JPH025088Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、燃料噴射装置において、燃料加圧
機構と噴射機構とを一体化したユニツトインジエ
クタの改良に関するものである。

周知のようにユニツトインジエクタは、燃料加
圧機構と噴射機構とが一体化されているので、燃
料噴射特性に悪影響を与える高圧パイプがなく、
そのため他の形式の燃料噴射装置と比較して性能
が良好であり、その従来の具体例が第１図に示さ
れている。

第１図において、インジエクタ本体１とケース
２とは、Ｏリング３を介して気密的に固定され、
該インジエクタ本体１及びケース２内にプランジ
ヤバレル４と噴射機構部５とが配されている。プ
ランジヤバレル４は、プランジヤ１１が摺動自在
に挿入されたプランジヤ挿入孔１２を有し、プラ
ンジヤ１１の上端にタペツト１３が係合してお
り、このタペツト１３に周期的な外部からの操作
力が与えられるとタペツトスプリング１４の戻し
力と相まつてプランジヤ１１が上下に往復動す
る。これによりインジエクタ本体１、ケース２及
びプランジヤバレル４で囲まれた燃料溜り室１６
からプランジヤバレル４に形成の燃料入口２０を
介して加圧室１９に燃料が吸入され、加圧されて
高圧油となり、噴射機構部５へ圧送される。噴射
機構部５は、ノズル本体２２にニードル２４が挿
入されてノズル本体２２の弁座２５に着座してお
り、前記加圧室１９から高圧路２７を介して弁座
２５の手前の燃料溜り２６に高圧油が送られる
と、その圧力でニードル２４がニードルスプリン
グ３１に抗して押開かれ、ノズル本体２２の先端
に複数形成された噴孔２３から機関のシリンダ
（図示せず）内に噴射されるものである。

前記プランジヤバレル４は、その上部がインジ
エクタ本体１に形成のバレル挿入孔６に挿入され
ていると共に、インジエクタ本体１と噴射機構部
５との間で挾持され、該プランジヤバレル４に形
成の凸段部８の上面がバレル挿入孔６の下部開口
端周囲に密接して胴付部９が構成されている。ま
た、プランジヤバレル４は周方向の回転を阻止す
るためインジエクタ本体１と周方向の相対的な位
置関係が限定する必要があり、そのため位置決め
装置３３が設けられている。

しかしながら、従来においては、上記位置決め
装置３３が前記胴付部９の上方に位置しているの
で、燃料溜り室１６が前記Ｏリング３及び胴付部
９によりシールされているのにかかわらず、該位
置決め装置３３を介して燃料溜り室１６内の燃料
が外部へ漏れる恐れがあつた。しかもこの位置決
め装置３３には、装着時の確実性を考慮して位置
決めスクリユー３３ａが用いられ、この位置決め
スクリユー３３ａをインジエクタ本体１に形成の
ねじ孔３３ｂにねじ込み、その先端をプランジヤ
バレル４に形成の位置決め溝３３ｃに係合するよ
う構成されているので、位置決めスクリユー３３
ａとねじ孔３３ｂとの隙間を介して燃料の漏れを
さらに増大させる原因となつていた。

また、プランジヤバレル４にはプランジヤ挿入
孔１２のほぼ中央と燃料溜り室１６とを連通する
リーク戻し孔２１が形成されており、加圧室１９
で加圧された燃料の一部をプランジヤ１１とプラ
ンジヤ挿入孔１２との隙間に導いて潤滑に用い、
リーク戻し孔２１を介して燃料溜り室１６に戻す
ように構成されている。しかしながら、上記した
ように位置決め装置３３を胴付部９の上方に設け
た関係で、胴付部９が比較的下方に位置している
ので、リーク戻し孔２１は、胴付部９を越えてプ
ランジヤ挿入孔１２のほぼ中央に開口するよう斜
めに穿孔され、該リーク戻し孔２１を穿孔するた
めの加工が煩しく、位置決め装置３３に位置決め
スクリユー３３ａを用いることと相まつて製造費
が高かつたのである。

そこで、この考案においては、インジエクタ本
体の下部開口端手前に凹段部を形成し、この凹段
部下面とプランジヤバレルの凸段部の上面とを密
接して胴付部を構成し、この胴付部の下方に位置
決め装置及びリーク戻し孔を位置させるようにし
て、燃料溜り室のシール性を確保し、しかも安価
に製造することができるユニツトインジエクタを
提供しようとするものである。

以下、この考案の実施例を図面により説明す
る。

第２図において、この考案の一実施例が示さ
れ、インジエクタ本体１とケース２とは、それぞ
れの下部と上部で螺合され、Ｏリング３を介して
固定されており、該インジエクタ本体１及びケー
ス２内に下記するプランジヤバレル４と噴射機構
部５とが配されている。

プランジヤバレル４は、該プランジヤバレル４
の上部がインジエクタ本体１に形成されたバレル
挿入孔６に挿入されていると共に、インジエクタ
本体１と噴射機構部５との間で挾持されて上下の
位置が固定されている。インジエクタ本体１のバ
レル挿入孔６の下部開口端手前には凹段部７が形
成され、この凹段部７の下面とプランジヤバレル
４に形成の凸段部８の上面とがインジエクタ本体
１と噴射機構部５との間の圧力で密接されて胴付
部９が構成されている。

この胴付部９の下方（噴射機構部側）にはイン
ジエクタ本体１とプランジヤバレル４との周方向
の相対的な位置関係を限定する位置決め装置１０
が位置し、この位置決め装置１０は、位置決め溝
１０ａと位置決めピン１０ｂとから構成されてい
る。位置決め溝１１ａは、プランジヤバレル４の
凸段部８の周縁で該凸段部８の上面に開口し、下
記するプランジヤ１１の軸方向と平行に形成され
ている。一方、位置決めピン１０ｂは、インジエ
クタ本体１の下部開口端やや手前で半径方向に形
成のピン挿入孔１０ｃに挿入され、その挿入先端
が位置決め溝１０ａに係合して、プランジヤバレ
ル４の回転を阻止している。したがつて、プラン
ジヤバレル４をインジエクタ本体１に装着するに
際しては、予めインジエクタ本体１のピン挿入孔
１０ｃに位置決めピン１０ｂを植込み、その後プ
ランジヤバレル４をバレル挿入孔６に挿入して位
置決め溝１０ａに位置決めピン１０ｂを係合する
ことができ、位置決め作業を容易且つ確実に行な
うことができる。

プランジヤ１１は、プランジヤバレル４に形成
されたプランジヤ挿入孔１２に摺動自在に挿入さ
れ、その下端にはリード１１ａと縦溝１１ｂが形
成されていると共に、その上端がタペツト１３に
係合されている。このタペツト１３と前記インジ
エクタ本体１との間にはタペツトスプリング１４
が弾装されており、タペツト１４に周期的な外部
からの操作力が与えられるとタペツトスプリング
１４の戻し力と相まつてプランジヤ１１がプラン
ジヤ挿入孔１２内を上下に往復動する。また、こ
のプランジヤ１１は、インジエクタ本体１とプラ
ンジヤバレル４とに囲まれた空間に配されたコン
トロールピニオン１５が周方向の相対的な位置関
係を限定するよう係合されており、このコントロ
ールピニオン１５に噛み合つたコントロールラツ
ク（図示せず）を操作することでプランジヤ１１
が回動され、その有効ストロークの調整がなされ
るようにされている。

燃料溜り室１６は、インジエクタ本体１、ケー
ス２及びプランジヤバレル４で囲まれた空間で、
前述したように位置決め装置１０が胴付部９の下
方に位置するので、該燃料溜り室１６の上部はＯ
リング３及び胴付部９とによりシールされてい
る。この燃料溜り室１６は、インジエクタ本体１
に形成された燃料給排路１７を介して燃料給排口
１８ａ，１８ｂと接続されていると共に、プラン
ジヤバレル４、プランジヤ１１及び下記する噴射
機構部５のスプリングケース２８に囲まれて構成
の加圧室１９とプランジヤバレル４に形成の燃料
入口２０を介して連通され、さらに同じくプラン
ジヤバレル４に形成のリーク戻し孔２１を介して
プランジヤ挿入孔１２と連通されている。このリ
ーク戻し孔２１は、加圧室１９で加圧された燃料
の一部をプランジヤ１１とプランジヤ挿入孔１２
との隙間に導いて潤滑に用い、燃料溜り室１６に
戻すためのもので、胴付部９の下方に位置してい
ると共に、プランジヤバレル４の半径方向にまつ
すぐ形成されている。これは前述したように胴付
部９をバレル挿入孔６の凹段部７の下面とプラン
ジヤバレル４の凸段部８の上面とを密接して構成
したために可能となるものであり、そのため該リ
ーク戻し孔２１の穿孔するための加工が容易にな
る。

噴射機構部５は、ケース２の先端に係止された
ノズル本体２２を有し、このノズル本体２２は、
先端に複数の噴孔３３が形成されていると共に、
先端やや手前にニードル２４が着座する弁座２５
が形成され、さらにこの弁座２５の手前に油溜り
２６が形成され、この油溜り２６と前記加圧室１
９とが高圧路２７を介して連通されている。この
ノズル本体２２と前記プランジヤバレル４との間
にはケース２に螺合されたスプリングケース２８
とストツパ２９とが介在されている。スプリング
ケース２８は、該スプリングケース２８内のスプ
リング室３０にニードル２４を閉弁方向に押圧す
るニードルスプリング３１を収納していると共
に、スプリング室３０と前記燃料溜り室１６とを
連通する溢流孔３２が形成され、ストツパ２９は
ニードル２４の開弁時の位置を規制している。

上記構成において、タペツト１３に周期的な外
部からの操作力が与えられると、タペツトスプリ
ング１４の戻し力と相まつてプランジヤ１１がプ
ランジヤ挿入孔１２内を上下に往復動し、上昇行
程にて燃料溜り室１６から燃料入口２０を介して
加圧室１９に燃料が吸入され、下降行程にて燃料
吸入口２０が閉じられると吸入された燃料が加圧
されて高圧油となり、高圧路２７を介して油溜り
２６に送られる。このため、油溜り２６内の圧力
は上昇し、ニードル２４がニードルスプリング３
１に抗して押開かれ、噴孔２３より燃料が噴射さ
れる。そして、燃料入口２０が再び縦孔１１ｂを
介して加圧室１９と連通するようになると、加圧
室１９内の圧力が急激に低下し、これにより油溜
り２６内の圧力も低下し、ニードル２４は再びニ
ードルスプリング３１により弁座２５に着座して
噴射は終了する。

このとき、燃料溜り室１６は、その上部でＯリ
ング３と胴付部９とによりシールされているので
外部へ燃料が漏れる恐れがないのである。尚、燃
料溜り室１６の燃料は図示しないフイードポンプ
から燃料給排路１７を介して供給され、また、過
剰分は同じく燃料給排路１７を介して図示しない
燃料タンクに戻される。

以上述べたように、この考案によれば、ユニツ
トインジエクタにおいて、インジエクタ本体のバ
レル挿入孔の下部開口端手前に凹段部を形成し、
この凹段部の下面とプランジヤバレルの凸段部の
上面とを密接して胴付部を構成し、この胴付部の
下方に位置決め装置を位置させたので、燃料溜り
室から位置決め装置を介して外部へ漏れようとす
る燃料を胴付部で防止することができ、そのため
燃料溜り室のシールを完全に確保することができ
る。また、リーク戻し孔も胴付部の下方に位置さ
せたので、該リーク戻し孔をプランジヤバレルの
半径方向に形成することができ、しかも位置決め
装置には位置決めピンを用いることができるの
で、製造費を安価にすることができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のユニツトインジエクタを示す断
面図、第２図はこの考案のユニツトインジエクタ
を示す断面図である。 １……インジエクタ本体、２……ケース、３…
…Ｏリング、４……プランジヤバレル、５……噴
射機構部、６……バレル挿入孔、７……凹段部、
８……凸段部、９……胴付部、１０……位置決め
装置、１０ａ……位置決め溝、１０ｂ……位置決
めピン、１１……プランジヤ、１２……プランジ
ヤ挿入孔、２１……リーク戻し孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インジエクタ本体とケースとが気密的に固定さ
   れ、該インジエクタ本体及びケース内にプランジ
   ヤバレルと噴射機構部とが配され、該プランジヤ
   バレルは、その上部が前記インジエクタ本体に形
   成のバレル挿入孔に挿入されていると共に、前記
   インジエクタ本体と噴射機構部との間に挾持さ
   れ、インジエクタ本体、ケース及びプランジヤバ
   レルとの間の空間を燃料溜り室としたユニツトイ
   ンジエクタにおいて、前記インジエクタ本体のバ
   レル挿入孔の下部開口端手前に凹段部を形成し、
   この凹段部の下面と前記プランジヤバレルに形成
   された凸段部の上面とを密接して胴付部を構成
   し、該胴付部よりも下方に、前記プランジヤバレ
   ルの凸段部の周縁で該凸段部の上面に開口し、且
   つプランジヤの軸方向と平行に形成された位置決
   め溝と、該位置決め溝に係合し、且つインジエク
   タ本体の凹段部で半径方向に挿入された位置決め
   ピンとから成る位置決め装置と、前記プランジヤ
   バレルに半径方向に形成されてプランジヤが摺動
   自在に挿入されたプランジヤ挿入孔と前記燃料溜
   り室とを連通するリーク戻し孔とを位置せしめた
   ことを特徴とするユニツトインジエクタ。