JPH0250339B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本発明は自動車用多段式自動変速機のケースに
関し、特にエンジンが車体の横方向に配置される
フロントエンジン、フロントドライブ式の自動車
（以下FF車という）に搭載される多段自動変速機
のケースに関する。 ［従来の技術］ FF車に搭載される多段式自動変速機のケース
は、トルクコンバータ、歯車変速機、デイフアレ
ンシヤルギアおよび互いに平行に配設される歯車
変速機の出力軸とデイフアレンシヤルギアとを連
結する歯車式伝動機構を収納する空間を備えると
共に、トルクコンバータ装着側にはエンジンへの
取付面が設けられ、歯車式伝動機構の収納部には
歯車を回転自在に支持すべくベアリングが装着さ
れるベアリング装着部が設けられている。 自動変速機を異なるエンジンに装着するために
は、エンジンへの取付面の形状変更、および伝達
トルクの変更により歯車式伝動機構を支持するベ
アリングのサイズ変更が必要になる。しかしエン
ジンの種類毎に、これらの変更を加えたケースを
製作することは生産上好ましくないため、ケース
を分割構造として一部の部品の変更によつて対応
することが提案されている。 特開昭55−40367号公報には、多段式自動変速
機のケースを歯車変速機を収納するトランスミツ
シヨンケースと、トルクコンバータおよびデイフ
アレンシヤルギアが収納されるトルクコンバータ
ケースとから構成し、歯車式伝動機構の出力歯車
の一端をトルクコンバータケースに締結された第
１の軸受ハウジングにベアリングを介して装着す
ると共に他端をトルクコンバータケースにベアリ
ングを介して装着し、歯車式伝動機構の駆動大歯
車の一端をトルクコンバータケースにベアリング
を介して装着すると共に他端をトランスミツシヨ
ンケースに締結された第２の軸受ハウジングにベ
アリングを介して装着したものが提案されてい
る。 上記多段式自動変速機のケースによれば、車両
に搭載されるエンジンの多様化に対して、エンジ
ンへの取付形状の変更、駆動大歯車を支持するベ
アリングのサイズ変更がトルクコンバータケース
と軸受ハウジングの変更によつて可能であり、ト
ランスミツシヨンケースの共通化が可能であると
共に、軸受ハウジングによる出力歯車、駆動大歯
車の組付はトランスミツシヨンケースの組付と独
立して行ない得ることから、ベアリングの与圧調
整が容易となり、組付性に優れるものである。 ［発明が解決しようとする問題点］ しかし軸受ハウジングを用いた上記自動変速機
のケースでは、出力歯車と駆動大歯車との軸間精
度が出力歯車の一端を支持する軸受ハウジングの
トルクコンバータケースへの組付精度、駆動大歯
車の他端を支持する軸受ハウジングのトランスミ
ツシヨンケースへの組付精度、およびトルクコン
バータケースとトランスミツシヨンケースとの組
付精度の影響を受ける。これら多数の箇所の組付
精度を厳密に管理するのは非常に困難であり、出
力歯車と駆動大歯車との軸間精度が低下しやす
く、歯車式伝動機構の噛み合いに誤差が生じ、ギ
アノイズが増大する恐れがある。また軸受ハウジ
ング、トルクコンバータケースおよびトランスミ
ツシヨンケースの互いに油密的に締結されたシー
ル部分には歯車式伝動機構の動力伝達時に大きな
スラスト荷重がこれらの接合を離す方向に作用す
るために、シール性が低下しやすく、油漏れの恐
れがある。 本発明は、自動変速機のケースをトルクコンバ
ータを収納するトルクコンバータケースと歯車変
速機を収納するトランスミツシヨンケースとから
構成することにより車両に搭載されるエンジンの
多様化に対するトランスミツシヨンケースの共通
化を図ると共に、歯車式伝動機構の出力歯車と駆
動大歯車の軸間精度を確保してギアノイズを低減
し、しかもトランスミツシヨンケースとトルクコ
ンバータケースとの締結部に歯車式伝動機構の動
力伝達時に生ずるスラスト荷重を作用させないよ
うに構成することによつてシール性を確保するこ
とのできる多段式自動変速機のケースの提供を目
的とする。 ［問題点を解決するための手段］ 本発明の車両用多段自動変速機のケースは、ト
ルクコンバータ１と、該トルクコンバータに連結
された入力軸２１と、２つの駆動軸４０Ａ，４０
Ｂを有し前記入力軸と平行的に配設されたデイフ
アレンシヤルギア４と、該デイフアレンシヤルギ
アと平行的に配設された出力軸３２と、プラネタ
リギアセツトおよびその構成要素を選択的に係合
または固定する摩擦係合装置を有し前記入力軸と
出力軸との間に連結された歯車変速機２，３と、
前記出力軸に同心的に連結された出力歯車３３お
よび前記デイフアレンシヤルギアに同心的に連結
された駆動大歯車４１を有し前記出力軸とデイフ
アレンシヤルギアを連結する歯車式伝動機構４５
とを備える車両用多段式自動変速機のケースにお
いて、前記入力軸の軸線上において前記トルクコ
ンバータを収納するように一方に凹状に開口され
ると共に前記出力軸の軸線上及びデイフアレンシ
ヤルギアの軸線上において前記歯車式伝動機構お
よび前記デイフアレンシヤルギアを収納するよう
に他方に凹状に開口されたトルクコンバータケー
ス７と、前記入力軸の軸線上および出力軸の軸線
上において前記歯車変速機を収納するように前記
一方に凹状に開口されると共に前記デイフアレン
シヤルギアの軸線上において前記デイフアレンシ
ヤルギアの他方の駆動軸４０Ａが嵌入される穴８
５１を有し前記デイフアレンシヤルギアの側方を
カバーする側壁８５が設けられ、前記トルクコン
バータケースの他方に油密的に締結されるトラン
スミツシヨンケース８と、前記トルクコンバータ
ケースとトランスミツシヨンケースとの間に配設
されると共に前記トルクコンバータケースの前記
他方に締結された中間支壁９とを備え、前記トル
クコンバータケースは前記出力軸の軸線上に形成
されて前記出力歯車の前記一方側を回転自在に支
持するベアリング３３２が装着される凹部７３と
前記デイフアレンシヤルギアの軸線上に形成され
て前記デイフアレンシヤルギアの一方の駆動軸４
０Ｂが嵌入されると共に前記駆動大歯車の前記一
方側を回転自在に支持するベアリング４０２が装
着される段付穴７２１とを有し、前記中間支壁は
前記出力軸の軸線上に形成されて前記出力軸が嵌
入されると共に前記出力歯車の他方側を回転自在
に支持するベアリング３３１が装着される段付穴
９２１と前記デイフアレンシヤルギアの軸線上に
形成されて前記デイフアレンシヤルギアの他方の
駆動軸４０Ａが嵌入されると共に前記駆動大歯車
の前記他方側を支持するベアリング４０１が装着
される段付穴９１１とを有することを特徴とす
る。 ［作用および発明の効果］ 本発明の車両用多段式自動変速機のケースは、
トルクコンバータケース７に形成された出力軸の
軸線上の凹部７３とデイフアレンシヤルギアの軸
線上の段付穴７２１にベアリング３３２，４０２
を介して出力歯車３３および駆動大歯車４１の一
方側を装着し、中間支壁９に形成された出力軸の
軸線上の段付穴９２１とデイフアレンシヤルギア
の軸線上の段付穴９１１にベアリング３３１，４
０１を介して出力歯車３３および駆動大歯車４１
の他方側を装着し、中間支壁をトルクコンバータ
ケースに締結することによつて歯車式伝動機構を
トルクコンバータケースと中間支壁の間に回転自
在に支持しているので、中間支壁のトルクコンバ
ータケースへの組付精度を管理することにより容
易に出力歯車３３と駆動大歯車４１の軸間精度を
向上せしめてギアノイズを低減することができる
と共に、中間支壁による出力歯車、駆動大歯車の
組付はトランスミツシヨンケースの組付と独立し
て行なえるので、ベアリングの与圧調整が容易で
あり、組付性に優れるものである。 また、エンジンに取り付けられるトルクコンバ
ータケースをトランスミツシヨンケースと別体と
すると共に駆動大歯車をトルクコンバータケース
と該トルクコンバータケースに締結される中間支
壁で支持したので、自動変速機ケースのエンジン
への取付形状の変更、駆動大歯車を支持するベア
リングのサイズ変更がトルクコンバータケースと
中間支壁の変更によつて可能であり、車両に搭載
されるエンジンの多様化に対してトランスミツシ
ヨンケースの共通化が可能である。 しかも上記のように歯車式伝動機構をトルクコ
ンバータケースと中間支壁の間に回転自在に支持
したことにより、デイフアレンシヤルギア４の軸
線上において前記デイフアレンシヤルギアの側方
をカバーする側壁８５を備えることによつてトル
クコンバータケースの他方に油密的に締結される
トランスミツシヨンケース８には、歯車式伝動機
構が動力伝達時に発生するスラスト荷重が作用せ
ず、トルクコンバータケースとトランスミツシヨ
ンケースとの間のシール部からの油漏れが防止さ
れる。 なお、上記した構成に付加した番号は、理解を
容易にするために図面と対比させるためのもので
あり、これにより構成が何ら限定されるものでは
ない。 ［実施例］ 本発明を図に示す一実施例に基き説明する。 第１図は前進４段後進１段式自動車用自動変速
機の骨格図である。１は本実施例では直結クラツ
チ１０１が付加されている公知の流体式トルクコ
ンバータ、２は直列的に配された第１入力軸２１
と第１出力軸２２とからなる第１軸２０の該第１
入力軸２１と第１出力軸２２との間に設けられた
第１歯車変速機、３は前記第１軸２０と平行して
直列的に配された第２入力軸３１と第２出力軸３
２とからなる第２軸３０の該入力軸３１と出力軸
３２との間に設けられた第２歯車変速機、４は車
輪に連結される駆動軸４０Ａ，４０Ｂが前記第１
軸または第２軸３０と平行に装着された公知のデ
イフアレンシヤルギアである。５は前記第１出力
軸２２に取り付けられた駆動歯車５１と、前記第
２入力軸３１に取り付けられた被動歯車５２と、
両歯車を伝動するチエーンとからなる第１出力軸
２２と第２入力軸３１との間のチエーン式第１伝
動機構、４５は前記第２出力軸３２のエンジン側
端部に設けられた出力歯車３３と、デイフアレン
シヤルギア４に同心的に連結された駆動大歯車４
１と、出力歯車３３と駆動大歯車４１とに歯合し
たアイドラギア４６とからなり、第２出力軸３２
とデイフアレンシヤルギア４との間の伝動を行な
う歯車式第２伝動機構である。 第１歯車変速機２はプラネタリギアセツト２３
と、摩擦係合要素である多板クラツチ２４、多板
ブレーキ２５、および一方向クラツチ２６とを有
し、本実施例ではオーバドライブ機構を構成して
いる。 第２歯車変速機３は、第１伝動機構５側に配さ
れた第１プラネタリギアセツト３４、エンジン側
に配された第２プラネタリギアセツト３５、多板
クラツチ６１，６２、バンドブレーキ６３、多板
ブレーキ６４，６５、および一方向ブレーキ６
６，６７を有する。 この自動変速機は、摩擦係合要素である上記多
板ブレーキ２５，６４，６５、多板クラツチ２
４，６１，６２、およびバンドブレーキ６３を油
圧サーボで選択的に係合又は解放することにより
表に示す変速を行なう。

【表】 表において〇は係合、×は解放、△はエンジ
ンブレーキ時にのみ係合している状態を示す。 第２図は第１図に示した前進４段後進１段の自
動変速機を本発明にかかる自動変速機のケース内
に装着した具体的な断面図を示す。 自動変速機のケースはエンジンに締結されるト
ルクコンバータケース７、該トルクコンバータケ
ース７に締結されたトランスミツシヨンケース８
および両ケース間に配設された中間支壁９からな
る。 トルクコンバータケース７には、第１軸２０上
においてエンジン側（図示右側）が凹状に開口せ
しめられると共に先端側（エンジン側と反対側、
以下同じ）に入力軸２１の支壁７０が設けられて
トルクコンバータ１が収納されるトルクコンバー
タルーム７１と、駆動軸４０Ａ，４０Ｂの軸線上
において先端側に開口し、エンジン側に駆動軸４
０Ｂが挿入される取付穴７２１が設けられてデイ
フアレンシヤルギア４が収納されるデイフアレン
シヤルギアルーム７２と、第２軸３０およびアイ
ドラギア４６の軸線上において先端側が開口し、
エンジン側壁には第２出力軸３２を受け持つ軸受
用凹部７３が形成され且つ該凹部７３とデイフア
レンシヤルギアルーム７２との間に後述するアイ
ドラギア４６の支軸４５１を保持する凹部７４が
形成されて前記出力歯車３３とアイドラギア４６
とが収納されるギアルーム７５とが軸方向のほぼ
同一区画に設けられている。 トランスミツシヨンケース８はトルクコンバー
タケース７の先端側端面に油密的に締結され、第
１軸２０の軸線上でエンジン側が凹状に開口し、
その先端側に第１歯車変速機２の第１出力軸２２
のエンジン側を支持する側壁８２が形成されて第
１歯車変速機２を収納する第１変速機ルーム８１
と、先端側端部に設けられて第１出力軸２２の先
端側および第２入力軸３１を支持する先端側壁８
３と、第２軸３０の軸線上においてエンジン側に
開口して先端側壁との間に形成される第２歯車変
速機３を収納するためのシリンダ状の第２変速機
ルーム８４と、駆動軸４０Ａ，４０Ｂの軸線上に
駆動軸４０Ａが嵌入される穴８５１を有すると共
にデイフアレンシヤルギア４の側方をカバーする
側壁８５とが設けられている。 中間支壁９はトルクコンバータケース７とトラ
ンスミツシヨンケース８との間にこれら両ケース
に収納された状態で配設され、トルクコンバータ
ケース７の先端側端面に締結されており、デイフ
アレンシヤルルーム７２の先端側を蓋閉するデイ
フアレンシヤルギア側壁部９１と、ギアルーム７
５の先端側を蓋するギアルーム側壁部９２と、該
ギアルーム側壁部９２からトランスミツシヨンケ
ース８の第２ルーム８４内に軸方向に突出された
筒状部９３とを備える。 デイフアレンシヤルギア側壁部９１とギアルー
ム側壁部９２にはそれぞれデイフアレンシヤルギ
ア４、第２出力軸３２の軸線上に駆動軸４０Ａ、
第２出力軸３２が嵌入される段付穴９１１，９２
１が形成されている。 １０はトランスミツシヨンケース８の先端側端
面に締結されたチエーンカバーであり、トランス
ミツシヨンケース８の先端側壁８３との間にチエ
ーンルーム８０を構成する。１１はトルクコンバ
ータケース７の支壁７０のエンジン側に締結され
たオイルポンプカバーであり、トルクコンバータ
１に溶接された中空の駆動軸１２１により駆動さ
れるギア式オイルポンプ１２が内部に収納されて
いる。１３はトランスミツシヨンケース８の下方
に締結された油溜め、１４は該油溜め１３内に収
納されると共にトランスミツシヨンケース８の下
端に固着された油圧制御装置のバルブボデイであ
る。 第１歯車変速機２は、本実施例では減速比１：
１および１：0.689に切り換るオーバドライブ装
置とされている。第１入力軸２１はトルクコンバ
ータケース７の側壁７０の中心部に形成された筒
状のセンタサポート７６内に嵌着されて固定され
たスリーブ１５にベアリングを介して回転自在に
嵌込まれ、その先端はフランジ状に形成されてプ
ラネタリギアセツト２３のキヤリヤ２３１の一部
を構成する。 プラネタリギアセツト２３は、前記第１入力軸
２１のフランジ状の先端部と該先端部に溶接され
たヨーク部とからなるキヤリヤ２３１、第１入力
軸２１にベアリングを介して回転自在に外嵌され
先端にサンギア２３２が形成されたサンギア軸２
３３、第１出力軸２２のエンジン側端にスプライ
ン嵌合されたハブ部と該ハブ部端に設けられたフ
ランジ部とからなるデイスク２３４の外周に固着
されたリングギア２３５、キヤリヤ２３１に回転
自在に取り付けられると共にサンギア２３２およ
びリングギア２３５の間に歯合されたプラネタリ
ギア２３６からなる。 多板クラツチ２４は、キヤリヤ２３１のエンジ
ン側端外周部に溶接された筒状クラツチハブ２７
の外周に歯合されたクラツチ板２４１と、サンギ
ア軸２３３のエンジン側端に溶接され、前記セン
タサポート７６に回転自在に外嵌された環状シリ
ンダ２８１の外筒内周壁先端部に歯合された摩擦
板２４２とを有し、前記シリンダ２８１と、該シ
リンダ２８１内に嵌め込まれた環状ピストン２８
２と、該ピストン２８２に配設されたピストンス
プリング２８３とで構成される油圧サーボ２８で
作動される。 多板ブレーキ２５は、前記環状シリンダ２８１
の外筒先端（開口端）内周に係合されたフランジ
部と該フランジ部から先端方向に突出したブレー
キハブ部とを有する連結環２５０に複数のブレー
キ板が歯合され、トランスミツシヨンケース８の
第１ルーム８１内周壁に複数の摩擦板２５２が歯
合されてなり、該第１ルーム８１内の側壁８２の
外周部に形成された環状シリンダ２９１、該シリ
ンダ２９１に嵌め込まれた環状ピストン２９２お
よび該ピストン２９２よりなる油圧サーボ２９に
より作動される。 前記サンギア軸２３３とクラツチハブ２７内周
にスプライン嵌合されたアウタレース２６１との
間には一方向クラツチ２６が挿入されている。 第１出力軸２２は側壁８２に形成されたセンタ
サポート８２１と先端側壁８３に形成されたセン
タサポート８３１にベアリングを介して回転自在
に支持され、内部には潤滑油路２２１が形成され
ている。 第１伝動機構５の駆動歯車５１は前記第１出力
軸２２の先端にスプライン嵌合され、被動歯車５
２は第２歯車変速装置３の第２入力軸３１の先端
にスプライン嵌合されており、ここで１：１〜
１：1.5の減速が行なわれる。この減速比は伝達
トルクの大きさに比例して決定され、必要伝達ト
ルクが小さいときには大きな減速がなされ、必要
伝達トルクが大きいときに減速を行なわないか又
は小さな減速を行なう。減速比は被動歯車５２の
外径寸法の制約から１：1.5以内となり、１：1.3
程度が望ましい。 第２入力軸３１は、トランスミツシヨンケース
８の先端側壁８３に設けられた筒状センタサポー
ト８３２にベアリングを介して回転自在に支持さ
れている。クラツチ６１は、前記第２入力軸３１
の端に溶接されている環状シリンダ６１１の外筒
内周に歯合された摩擦板と第１プラネタリギアセ
ツト３４のリングギア３４２に歯合されたクラツ
チ板からなり、該シリンダ６１１とその内部に嵌
め込まれた環状ピストン６１２、該ピストン６１
２に配設されたスプリング６１３からなる油圧サ
ーボ６１０により作動される。クラツチ６２は、
前記センタサポート８２３のエンジン側に回転自
在に外嵌された環状シリンダ６２１の外筒部内周
に歯合されている摩擦板６２４と、前記シリンダ
６１１の先端側壁に溶接されているクラツチハブ
６２２の外周に歯合された複数のクラツチ板６２
３とを有し、前記シリンダ６２１のその内部に嵌
め込まれた環状ピストン６２３と該ピストン６２
３に配設されたスプリング６２５とからなる油圧
サーボ６２０により作動される。 第１プラネタリギアセツト３４は第２出力軸３
２の先端に回転自在に支持されているデイスク３
４１の外周に嵌着されたリングギア３４２、第２
出力軸３２にスプライン嵌合されたキヤリヤ３４
３、第２出力軸３２に回転自在に外嵌されている
サンギア軸３４４の先端に形成されたサンギア３
４５、およびキヤリヤ３４３に回転自在に支持さ
れ、リングギア３４２とサンギア３４５とに歯合
されたプラネタリギア３４６とからなる。 バンドブレーキ６３は前記シリンダ６２１の外
周壁に溶接されているバンドドラム６３１の外周
に巻設されたブレーキバンド６３２と図示しない
油圧サーボよりなり、バンドドラム６３１はシリ
ンダ６２１および第１のプラネタリギアセツト３
４を内包してサンギア軸３４４に連結されている
連結ドラム６３３と歯合している。 ブレーキ６４は、中間支壁９の筒状部９３の内
周壁に突設した多数の軸方向の突条９３１に外周
に形成した歯車状部が歯合された摩擦板６４１
と、一方向ブレーキ６６を介してサンギア軸に外
嵌されたクラツチハブ６４２の外周に歯合してい
るクラツチ板６４３とを有し、該筒状部９３の先
端内周に嵌め込まれた環状シリンダ６４４と該シ
リンダ６４４内に嵌め込まれた環状ピストン６４
５と該環状ピストン６４５に配設されたスプリン
グ６４６とからなる油圧サーボ６４０により作動
される。これによりサンギア軸３４４は一方向ブ
レーキ６６とその周方向に直列に形成されたブレ
ーキ６４とを介して、中間支壁９の筒状部９３に
係合される。 第２プラネタリギアセツト３５は前記サンギア
軸３４４のエンジン側端に形成されたサンギア３
５１、該サンギア軸３４４に回転自在に支持され
たキヤリヤ３５２、ハブ状部が第２出力軸３２に
スプライン嵌合されたデイスク３５３の外周に溶
接されたリングギア３５４、およびキヤリヤ３５
２に回転自在に支持されサンギア３５１とリング
ギア３５４とに歯合されたプラネタリギア３５５
とからなる。 ブレーキ６５は、前記第２プラネタリギアセツ
トのキヤリヤ３５２の先端側壁外周に溶接された
一方向ブレーキ６７のインナレース６７１のエン
ジン側に該インナレース６７１と一体に延展され
た大径部外周に歯合しているブレーキ板６５１
と、中間支壁９の筒状部９３内周壁に形成された
突条９３１に歯合した摩擦板６５２とを有し、中
間支壁９のギアルーム側壁部９２に形成された環
状シリンダ６５４と、該シリンダ６５４に嵌め込
まれた環状ピストン６５６と、該ピストン６５６
に配設されたスプリング６５７とからなる油圧サ
ーボ６５０により作動される。これにより第２プ
ラネタリギアセツト３５のキヤリヤ３５２は一方
向ブレーキ６７のインナレース６７１を介して、
一方向ブレーキ６７および該一方向ブレーキ６７
と並列されたブレーキ６５を介して中間支壁９の
筒状部９３内壁に係合される。 ６はパーキング機構であり、第２プラネタリギ
アセツト３５のリングギア３５４からエンジン側
に延展されたフランジ部の外周に形成されている
歯６８１と、該歯６８１と対応して中間支壁９の
筒状部９３に枢着された係止レバー６８２と、該
係止レバー６８２と中間支壁９との間に介在させ
たスプリング６８３とからなる。 第２出力軸３２は、そのサンギア側端部に形成
された出力歯車３３の両端が、トルクコンバータ
ケース７の軸受用凹部７３と、該トルクコンバー
タケース７に締結されている中間支壁９のギアル
ーム側壁部９２の段付穴９２１とにそれぞれ装着
された一対のテーパードローラーベアリング３３
１，３３２により回転自在に支持されている。 アイドラギア４６は第２軸３０と平行して、両
端がトルクコンバータケース７の穴７４と中間支
壁９のギアルーム側壁部９２とに嵌着された支軸
４５１に、一対のテーパードローラーベアリング
４５２，４５３を介して回転自在に支持され、前
記出力歯車３３とデイフアレンシヤルギア４の駆
動大歯車４１とに歯合している。 駆動大歯車４１はトルクコンバータケース７に
形成された段付穴７２１と中間支壁９のデイフア
レンシヤルギア側壁部９１の段付穴９１１とにそ
れぞれ装着された一対のテーパードローラーベア
リング４０１，４０２により回転自在に支持され
ている。 前記出力ギア３３と駆動大歯車４１との間で最
終減速がなされるが、この最終減速比は前記チエ
ーン式第１伝動機構５での減速に対応して小さく
でき、該最終減速比を小さく設定した場合には駆
動大歯車４１の径を小さくできる。通常この駆動
大歯車４１が自動車の最下位部となるため駆動大
歯車４１の小径化は車両の最低地上高の確保を容
易にする。 上記実施例に示した車両用多段式自動変速機の
ケースは、トルクコンバータケース７に形成され
た第２出力軸３２の軸線上の凹部７３とデイフア
レンシヤルギア４の軸線上の段付穴７２１にベア
リング３３２，４０２を介して出力歯車３３およ
び駆動大歯車４１のエンジン側を装着し、中間支
壁９に形成された第２出力軸３２の軸線上の段付
穴９２１とデイフアレンシヤルギア４の軸線上の
段付穴９１１にベアリング３３１，４０１を介し
て出力歯車３３および駆動大歯車４１の先端側を
装着し、中間支壁９をトルクコンバータケース７
に締結することによつて歯車式第２伝動機構４５
をトルクコンバータケース７と中間支壁９の間に
回転自在に支持しているので、中間支壁９のトル
クコンバータケース７への組付精度を管理するこ
とにより容易に出力歯車３３と駆動大歯車４１の
軸間精度を向上せしめてギアノイズを低減するこ
とができると共に、中間支壁９による出力歯車３
３、駆動大歯車４１の組付はトランスミツシヨン
ケース８の組付と独立して行なえるので、与圧調
整を伴うベアリング３３１，３３２，４０１，４
０２の組付性が容易である。 また、エンジンに取り付けられるトルクコンバ
ータケース７をトランスミツシヨンケース８と別
体とすると共に駆動大歯車４１をトルクコンバー
タケース７とトルクコンバータケース７に締結さ
れる中間支壁９で支持したので、自動変速機ケー
スのエンジンへの取付形状の変更、駆動大歯車４
１を支持するベアリング４０１，４０２のサイズ
変更がトルクコンバータケース７と中間支壁９の
変更によつて可能であり、車両に搭載されるエン
ジンの多様化に対してトランスミツシヨンケース
８をほとんど変更する必要がない。 しかも歯車式第２伝動機構４５をトルクコンバ
ータケース７と中間支壁９の間に回転自在に支持
したことにより、デイフアレンシヤルギア４の軸
線上においてデイフアレンシヤルギア４の側方を
カバーする側壁８５を備えることによつてトルク
コンバータケース７の先端側に油密的に締結され
るトランスミツシヨンケース８には、歯車式第２
伝動機構４５が動力伝達時に発生するスラスト荷
重が作用せず、トルクコンバータケース７とトラ
ンスミツシヨンケース８との間のシール部からの
油漏れが低減される。

【図面の簡単な説明】

第１図は前進４段後進１段式自動変速機の骨格
図、第２図は第１図の自動変速機を本発明の一実
施例にかかる自動変速機のケース内に装着した断
面図、第３図はトランスミツシヨンケースの右側
面図である。 図中１……トルクコンバータ、２……第１歯車
変速機、３……第２歯車変速機、４……デイフア
レンシヤルギア、５……チエーン式第１伝動機
構、７……トルクコンバータケース、８……トラ
ンスミツシヨンケース、９……中間支壁、２１…
…第１歯車変速機の入力軸、２２……第１歯車変
速機の出力軸、３１……第２歯車変速機の入力
軸、３２……第２歯車変速機の出力軸、３３……
出力歯車、４５……歯車式第２伝動機構、４６…
…アイドラギア、４１……駆動大歯車、２３，３
４，３５……プラネタリギアセツト、２４，６
１，６２……多板クラツチ、２５，６４，６５…
…多板ブレーキ、２６……一方向クラツチ、６
６，６７……一方向ブレーキ、７１……トルクコ
ンバータルーム、７２……デイフアレンシヤルギ
アルーム、７５……ギアルーム、８１……第１変
速機ルーム、８４……第２変速機ルーム、８５…
…側壁、３３１，３３２，４０１，４０２，４５
２，４５３……ベアリング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ トルクコンバータと、該トルクコンバータに
   連結された入力軸と、２つの駆動軸を有し前記入
   力軸と平行的に配設されたデイフアレンシヤルギ
   アと、該デイフアレンシヤルギアと平行的に配設
   された出力軸と、プラネタリギアセツトおよびそ
   の構成要素を選択的に係合または固定する摩擦係
   合装置を有し前記入力軸と出力軸との間に連結さ
   れた歯車変速機と、前記出力軸に同心的に連結さ
   れた出力歯車および前記デイフアレンシヤルギア
   に同心的に連結された駆動大歯車を有し前記出力
   軸とデイフアレンシヤルギアを連結する歯車式伝
   動機構とを備える車両用多段式自動変速機のケー
   スにおいて、前記入力軸の軸線上において前記ト
   ルクコンバータを収納するように一方に凹状に開
   口されると共に前記出力軸の軸線上及びデイフア
   レンシヤルギアの軸線上において前記歯車式伝動
   機構および前記デイフアレンシヤルギアを収納す
   るように他方に凹状に開口されたトルクコンバー
   タケースと、前記入力軸の軸線上および出力軸の
   軸線上において前記歯車変速機を収納するように
   前記一方に凹状に開口されると共に前記デイフア
   レンシヤルギアの軸線上において前記デイフアレ
   ンシヤルギアの他方の駆動軸が嵌入される穴を有
   し前記デイフアレンシヤルギアの側方をカバーす
   る側壁が設けられ、前記トルクコンバータケース
   の他方に油密的に締結されるトランスミツシヨン
   ケースと、前記トルクコンバータケースとトラン
   スミツシヨンケースとの間に配設されると共に前
   記トルクコンバータケースの前記他方に締結され
   た中間支壁とを備え、前記トルクコンバータケー
   スは前記出力軸の軸線上に形成されて前記出力歯
   車の前記一方側を回転自在に支持するベアリング
   が装着される凹部と前記デイフアレンシヤルギア
   の軸線上に形成されて前記デイフアレンシヤルギ
   アの一方の駆動軸が嵌入されると共に前記駆動大
   歯車の前記一方側を回転自在に支持するベアリン
   グが装着される段付穴とを有し、前記中間支壁は
   前記出力軸の軸線上に形成されて前記出力軸が嵌
   入されると共に前記出力歯車の他方側を回転自在
   に支持するベアリングが装着される段付穴と前記
   デイフアレンシヤルギアの軸線上に形成されて前
   記デイフアレンシヤルギアの他方の駆動軸が嵌入
   されると共に前記駆動大歯車の前記他方側を支持
   するベアリングが装着される段付穴とを有するこ
   とを特徴とする車両用多段式自動変速機のケー
   ス。 ２ 前記歯車変速機は、前記歯車変速機の入力軸
   と該入力軸と同軸的に配された出力軸との間に設
   けられ、プラネタリギアセツトおよびその構成要
   素を選択的に係合または固定する摩擦係合装置か
   らなる第１歯車変速機と、前記入力軸と平行に配
   された前記歯車変速機の出力軸と該出力軸と同軸
   的に配された入力軸との間に設けられ、プラネタ
   リギアセツトおよびその構成要素を選択的に係合
   または固定する摩擦係合装置からなる第２歯車変
   速機とを備え、前記第１歯車変速機の出力軸と前
   記第２歯車変速機の入力軸とはチエーン式伝動機
   構によつて連結されていることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載の車両用多段式自動変速
   機のケース。 ３ 前記歯車式伝動機構は前記出力歯車と駆動大
   歯車とに歯合するアイドラギアを有し、該アイド
   ラギアを、両端がトルクコンバータケースと中間
   支壁とに嵌着された支軸にベアリングを介して回
   転自在に支持したことを特徴とする特許請求の範
   囲第１項に記載の車両用多段式自動変速機のケー
   ス。