JPH02500321A - ヘテロ二官能性抗体および利用方法 - Google Patents
ヘテロ二官能性抗体および利用方法Info
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるため要約のデータは記録されません。
Description
【発明の詳細な説明】
ヘテロ三官能性抗体および利用方法
[技術分野]
に関するものである。またこの発明は、免疫診断および免疫原法を行う際のこれ
らへテロ三官能性抗体の使用方法に関する。
[背景技術〕
大部分の心筋梗8は冠動脈血栓症によって起こる[デ・ウッドら、二ニー・イン
グランド・ジャーナル・オブ・メジシン、303巻、897頁(1983年)]
、心筋8!塞を起こす冠動脈血栓症は血栓溶解剤で溶解することができる。これ
らの血栓溶解剤は、プラスミノーゲンが線溶系酵素であるプラスミンへ変換する
のを活性化するプラスミノーゲン・アクチベータである。ついでプラスミンは血
栓中に存在するフィブリンを溶解する。このプラスミノーゲン・アクチべ一夕に
よる処置に副作用がないわけではない、プラスミンは非選択的に作用し、したが
って血栓中のフィブリンを溶解するばかりでなくフィブリノーゲンおよび凝固因
子群をも攻撃し、しばしば重篤な出血性素質に陥ることが多い。
ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼおよびML織型プラスミノーゲン・アクチベ
ータ(TPA)は、血栓溶解に使用されるよく知られた三つのプラスミノーゲン
・アクチベータである。これらのアクチベータは、心筋梗塞、卒中発作、肺器栓
症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞症、その他の静脈血栓症のような急性心血管
系疾患の処置に適用される。然しながらストレプトキナーゼとウロキナーゼには
何れも厳しい限界がある。この二つのアクチベータは、フィブリンに対する低い
親和性のため循環中およびフィブリン結合型のプラスミノーゲンを無差別に活性
化する。循環血液中で形成されたプラスミンは、線溶系に利用され得る前に中和
される。残りのプラスミンが幾つかの凝固因子タンパク質、例えばフィブリノー
ゲン、第V因子および第■因子を分解して出血素因を生じる。またストレプトキ
ナーゼは強い抗原性を有し、抗体価の高い患者は、処置に対して効果的に反応せ
ず継続した処置を続けることができない。
ヒト組織型プラスミノーゲン・アクチベータはフィブリンと結合できるので血栓
とごく近接した位置でプラスミノーゲンの活性化を行つのに都合よく、循環系の
他の場所のフィブリノーゲンに;よ作用Lζ1゛・ 然し冠動脈血栓を速やかに
溶解するのに必要な投与量では、組織型プラスミノーゲン・アクチベータを使用
しても出血を来すことが起こり得る。
血栓に対する血栓溶解剤の特異性を増大するため、ウロキナーゼとフィブリン−
特異抗体との共有結合が線溶能および特異性を著しく向上させることが報告され
た[ボードら、サイエンス、229巻、765〜767頁(1985年)]。
すべての抗抗体子の一官能特性は抗原決定基と特異的に結合することである。抗
体は生体内で二価で単一特異性であり、2つの同一抗原結合部位を含んでいる。
抗体分子による抗原の特異的結合はH鎖およびL鎖双方の可変領域(Fat+)
における抗体楕遺によって決定される。8なった特異性を有する抗体を、2個の
H鎖を互いに結合しているジスルフィド架橋の選択的切断によって、二重の特異
性を再会合させ二重の特異性を備えたハイブリッド抗体が作成された。
ニソノフら[ネーチャー(ロンドン)、194巻、355頁(1962年)]は
、ポリクローナル家兎抗体(抗オボアルブミン)および抗bgg抗体から二種特
異性抗体分子のイン・ビトロ生産を報告した。単一特異性抗体をペプシン処理す
ることにより、1個のジスルフィド結合で共有結合されている2個の抗原結合部
位(F−b)を残して抗体のFc部分を除去した。ついで還元条件下でこの結合
を切断し、2個の抗体分子を酸化条件下で再会合させて二種特異性抗体を作成し
た。
ブレナンら[サイエンス、229巻、31頁(1985年)]は、モノクローナ
ル抗体から二種特異性抗体断片を作成する化学的方法を報告した。この方法では
、F、b断片を切断し、半分ずつの断片を再会合して二種特異性抗体分子を作成
するニソノフの手法の修飾法を用いている。Fl、断片を亜ヒ酸ナトリウムの存
在下で還元して隣接したジチオール類を安定化し、分子内ジスルフィドの生成を
抑制した。もう二つの修飾は、一方のF、b半分断片の千オールをチオニトロ安
息香酸として活性化することを含んでいる。この方法によって抗アビジンF、b
および抗ルシフェラーゼF、bから二種特異性抗体が作成された。
リウら[ブロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ−・オブ・サイ
エンシズ・オブ・USA、82巻、8684頁(1985年)]は、抗T3抗体
を別のモノクローナル抗体(ヒトBリンパ腫の表面免疫グロブリンのイデオタイ
ブに特異的な抗1gId>と共有結合させて二種特異性抗体を作成する化学的方
法を発表した。
まず抗T3抗体および抗IgId抗体をN−スクシンイミジル−3−(2−ピリ
ジルジチオ)プロピオナート(SPDP)と反応させる。
2−イミノチオランを用いて切断した抗T3抗体へチオール基を付ける。ついで
修飾した二つの半分抗体(抗T3および抗IgId)を混合してこの二つの抗体
を共有結合させた。その結果、T8細胞障害性Tリンパ球はヒトBリンパ腫細胞
を溶解するが、T4細胞障害性Tリンパ球細胞を使用したし場合は細胞溶解が全
く観察されないことが判明した。
また二種特異性抗体はハイブリドーマからも作成された。抗体を産生ずるハイブ
リドーマ細胞同志の融合による二種特異性モノクローナル抗体の作成がミルスタ
インおよびフェロによって報告された[ネーチャー(ロンドン)、305巻、5
37頁(1983年)]、この文献では、二つのハイブリドーマ同志を融合し、
または一つのハイブリドーマと免疫したラットのび臓細胞とを融合してハイブリ
ッド・ハイブリドーマを作成したことが報告された 、これらのハイブリッド・
ハイブリドーマは予期した二種特異性モノクローナル抗体だけでなく単一特異性
抗体も分泌する。この方法によって抗ソマトスタチン/抗プルロキシダーゼおよ
び抗すブスタンスP/抗ペルオキシダーゼの二種特異性モノクローナル抗体が作
成された。ハイブリッド・ハイブリドーマによって産生された二種特異性モノク
ローナル抗体はF6領域および抗原結合部位を含んだ完全分子であった。
PCT出願WO33103679号には、2つのハイブリドーマ同志の融合によ
って得られた二重の特異性を有する二種特異性抗体の生産が開示されている。こ
の出願はハイブリッド・バイブリド−異性抗体は、免疫診断から藁物標的送達に
至る広範囲の多くの可能性ある用途を有することが述べられている。
一つは血栓に対する特異性、他の一つは血栓溶解剤に対する特異性からなるその
ような二重の特異性を備えた二種特異性抗体が得られるのは好ましいことであろ
う、この二種特異性抗体で血栓が検出される。ついで、血栓溶解剤自身が抗血栓
溶解性抗体となり、あるいは抗体へ付着した血栓溶解剤の作用によってこの血栓
を溶解し得るはずである。血栓の溶解は複雑であり、二種特異性抗体が、血栓溶
解剤による血栓溶解作用を阻止するのか、あるいは拮抗するのかどうかまだ判っ
ていなかった・
[発明の態様]
この発明は、一つは血栓に対する特異性、他の一つは血栓溶解剤に対する特異性
からなる二重の特異性を備えたヘテロ二官能性抗体を提供する。この発明のへテ
ロ三官能性抗体は、免疫診断および免疫療法に使用できる。したがってこの発明
はまた、ヘテロ二官能性抗体を使用する免疫診断および免疫的治療の方法を提供
する。
[図面の簡単な説明]
第1図は、下記の化合物、(1)連綴型プラスミノーゲン・アクチベータ(TP
A)と複合させてフィブリンおよびTPA双方に特異的なヘテロ二官能性抗体(
BI−A8ついでTPA)、(2)最初にフィブリン−セファロースを添加し、
これを洗浄した後、TPAを添加したフィブリンおよびTPA双方に特異的なヘ
テロ二官能性抗体(BI−AB+TPA)、(3)ウロキナーゼ−抗フィブリン
抗体共有結合型複合体(U K−A B )、(4)TPA単独、(5)ウロキ
ナーゼ単独(UK)による、標識されたフィブリンのフィブリン−セファロース
からの遊離を示す、溶解は、遊離した放射能と放射能合計との比で表した。各点
は別々に3回ずつ実施した実験の平均値(平均標準偏差値1.23)を表す。
第2図は、フィブリン−セファロースから(1)TPA単独、および(2)フィ
ブリンおよびTPA双方に特異的なヘテロ二官能性抗体によって捕獲されたTP
Aによる標識ペプチドの遊離を示す。
明確を期するため、このグラフには0.1および0.34ng/mlにおける成
績を示さず、これらは第3図のグラフに加えた。各点は別々に3回ずつ実施した
実験の平均値(平均標準偏差値0.74)を表す。
第3図は、ヘテロ二官能性抗体が存在する場合と存在しない場合の溶解%の最大
比として計算した線溶系の促進を示す、成績は第2図および第2図に示していな
い0.1および0.3ng/mlにおける実験値を加えて計算した。継線で示し
た誤差範囲は各比の平均の標準偏差値を表す、このグラフから抗体で前処理した
試料においてTPAの比活性がTPA濃度の減少に伴って増大することが判る。
第4図は、体細胞融合によって作成されたヘテロ二官能性抗体F32.1および
F36.23による抗原結合性の証明を示す。
第5図は、ヘテロ二官能性抗体F32.1およびFB6.23の線溶系に対する
促進作用を示す。
[発明を実施する最も好ましい態様]
この発明は、一つは血栓に対する特異性、他の一つは血栓溶解剤に対する特異性
からなる二重の特異性を備えたヘテロ二官能性抗体を目的とする0個々の特異性
は、(a)血栓に対する抗原決定基および(b)血栓溶解剤に対する抗原決定基
からなる。
この明細書を通じて、「ヘテロ二官能性抗体」の語は、二種の特異性を有する1
個の抗体分子またはそれぞれ異なった特異性を有し互いにつながり合っている2
個の分子を示す場合に用いる。ヘテロ二官能性抗体を表すのに、とりわけ異種抗
体、二種特異性抗体、ハイブリッド抗体、ヘテロ結合抗体、二重抗体、ヘテロニ
量体等を含み、他の用語が用いられてきた。この技術に熟練した専門家であれば
これらはすべて等価的な用語であることが理解し得よう。
この発明のへテロ三官能性抗体を生産するのに利用し得る抗体はポリクローナル
抗体またはモノクローナル抗体の何れでもよい、この発明の好ましい態様ではモ
ノクローナル抗体をヘテロニ官能性抗体の作成に使用する。
この明細書で用いる抗血栓特異性なる話は、フィブリンまたはフィブリノーゲン
に対して発生した抗体を表す、トロンビンがフィブリノーゲンを2対の小ペプチ
ドに分割してフィブリンモノマーを生成すると、血液は凝固するしブロムバック
ら、アルキブ・ケミイ、12巻、173頁(1958年)およびドフリットル、
R,F、、アドバンシズ・イン・プロティン・ケミストリー、27巻、1頁(1
973年)]、フィブリン・モノマーは自然に集合して、第XI[a因子により
共有結合的に安定化した不溶性ゲルを生成する。フィブリンは元のフィブリノー
ゲンの共有結合構造の98%を残す。 したがってこの発明の好ましい態様では
、ヘテロ三官能性分子の半分を形成するのに使用される抗体はフィブリン特異性
であり、フィブリノーゲン交差反応性を実質上火いている任意の抗体である。
この特異性を備えた抗体が、例えばフイらによって報告されている[サイエンス
、222巻、1129頁(1983年)]、さらにこれと同タイプの抗体の報告
が、「フィブリノーゲン交差反応性を欠いたフィブリン特異性モノクローナル抗
体」と題した、同一人に譲渡され几出願中の 米国特許出願第824228号(
1986年1月30日出願)に示されている。また実質上フィブリノーゲン交差
反応性をもたないフィブリン特異性モノクローナル抗体が、−iに同時係属出願
に指定された米国特許出願第851514号(この発明と同時出願)に報告され
た。血栓に対する特異性を有する抗体のもう一つの例がキュトリックらの報告に
掲載されている[モレキュラー・イムノロジー、21巻、89頁(1984年)
]、上に挙げた参考文献はすべて本明細書に包含させる。
血栓溶解剤に対し特異性のある抗体もポリクローナルまたはモノクローナル抗体
でよく、好ましくはモノクローナル抗体である。プラスミノーゲンがアクチベー
タ(プラスミンの線溶系活性酵素)によってプラスミンへ変換されると、その基
質(フィブリン)に対し著しい親和性を発現する。現在、プラスミノーゲンをプ
ラスミンへ変換する三つの7ラスミノーゲン・アクチベータ、即ちストレプトキ
ナーゼ、ウロキナーゼおよびヒト組織型プラスミノーゲン・アクチベータ(TP
A)が入手できる。したがってこの明細書で用いる「血栓溶解剤」の語は、血栓
溶解を誘導し、または開始するのに使用される任意の活性物質を広く包括した意
味に用いる。血栓溶解の技術では線維素溶解等を含むその他の用語が知られてい
る。最も一般的な血栓溶解剤はストレプトキナーゼ、ウロキナーゼおよび組織型
プラスミノーゲン・アクチベータであるが、その他任意の血栓溶解剤がこの発明
のへテロ三官能性抗体の関連部分の特異性を規定する要素として利用できる。
血栓溶解剤に対し特異的な抗体は、この技術における既知手段によって生じさせ
ることができる。特異性を高めるには、モノクローナル抗体を血栓溶解剤に対し
て生じさせるのが好ましい[コーラ−およヒミルスタイシ、ネーチャー、256
巻、495頁(1975年)コ。
この発明のへテロ三官能性抗体を得る方法では、一つは血栓に対して特異的な抗
体およびもう一つは血栓溶解剤に対して特異的な抗体が必要である。再結合して
ヘテロ三官能性抗体を生産し得る抗体断片を作成するため、これら二つの抗体を
化学的な方法によって修飾してもよい、また別法として、2個のバイプリドーマ
を融合することによって予測したヘテロ三官能性抗体を分泌するハイブリッド・
ハイブリドーマを作成してヘテロ三官能性抗体を生産することが抗血栓抗体およ
び抗血栓溶解剤抗体を化学的に修飾してヘテロ三官能性抗体を作成する一方法が
、ここにその一部を引用して説明したリウらの報告[ブロシーディングズ・オプ
・ザ・ナショナル・アカデミ−・オプ・サイエンシズ・オブ、USA、82巻、
8648頁(1985年)コに示された。この方法は、無水エタノールに溶解し
た過剰モルのN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオナート
(SPDP)でそれぞれの抗体を別々に処理する。ついで修飾した抗体の一つに
、ホウ酸ナトリウムに溶解した過剰モルの2−イミノチオラニンを反応させるこ
とによってチオール基を加える。ついで修飾した二つの抗体の等モル量ずつを混
合し、十分に反させる。ついで反応混合物をアフィニティー・カラムへ通し、結
合しなかった抗体から二種特異性抗体を分離する。この方法では抗体分子のFc
/F、bのにが無傷のまま保たれる。
ヘテロ二官能性抗体を化学的に作成するもう一つの方法は、抗体のFc部分をF
。部分から切り離す、この方法は、ここにその一部を引用して説明したブレナン
ら[サイエンス、229巻、31頁(1985年)コの報告に開示されている。
この方法では、ペプシン加水分解によって抗体のF1部分を切断してF、1部分
を得る。ついで亜ヒ酸ナトリウムの存在でメルカプトエチルアミンによりFeb
部分を還元してジスルフィド結合を切断する。この結合をエルマン試薬[5,5
’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)]で安定化させる。
ついで安定なFab半分子の一方をメルカプトエチルアミンで処理し、処理を加
えていないもう一方の安定なF、1半分子の等モル量と混合することによってヘ
テロ二官能性抗体を作成する。
この明細書で通常用いる「修飾」とは、上記二つの方法のように化学的に変化さ
せた単一特異性抗体を脱会合し、ついで二重の特異性を有するヘテロ二官能性抗
体を作成するため、これらを再会合させることを表す。
別法として、ハイプリドーマ融合により、予測した二種特異性へテロ三官能性抗
体を分泌するハイブリッド・ハイブリドーマを作成してヘテロ二官能性抗体を生
産することもできる。この方法は、ここにその一部を引用して説明したミルスタ
インおよびフェロの報告[ネーチャー(ロンドン)、305巻、537頁(19
83年)コに示されている。また二つの異なった抗原決定基に対して二重の特異
性を備えたハイブリッドモノクローナル抗体を分泌するハイブリッド・ハイブリ
ドーマの生産方法は、ここにその一部を引用して説明したPCT出願WO331
03679号にも報告されている。このPCT出願では、ハイブリッド・ハイブ
リドーマを培養する培地中で単一特異性ハイブリドーマが生存し得ないような選
択マーカーを含んだハイブリドーマを使用する方法を報告している。したがって
、二種のハイブリドーマの融合によって選択培地中で発育する発育能を互いに付
与し合うハイブリッド・ハイブリドーマを容易に分離することができる。そのよ
うな選択例として、HPRT酵素の産生不能、HAT−ウアバイン選択、HAT
rB受性、抗生物質耐性等を挙げることができる。
またこの発明は、二重の特異性の一つは血栓に対する特異性、他の一つは血栓溶
解剤に対する特異性からなる二重の特異性を備えたヘテロ二官能性抗体を使用す
る免疫治療および免疫診断の方法を提供する。免疫療法および免疫診断を適用す
る際には、化学手段もしくはハイブリッド・バイブリドーマから作成した何れの
へテロ三官能性抗体でも使用できる。
血栓に対する特異性と血栓溶解剤に対する特異性を備えた抗体を組立てることに
よって、二重の特異性を有するヘテロ二官能性抗体を免疫療法に使用できる。こ
の発明の好ましい態様として、抗血栓抗体は、実質上フィブリノーゲンに対して
交差反応性がないフィブリンに対するモノクローナル抗体であり、血栓溶解剤は
TPAである。この適用ではへテロ三官能性抗体を患者に投与すると、ヘテロ二
官能性抗体は血栓部位へ集中してくる。この間に、内在性TPAはへテロ三官能
性抗体へ付着してくる。
窓外なことにヘテロ二官能性抗体によって内在性TPAが捕獲され、TPA濃度
を減らして効果を増大させる内在性のTPAおよび線溶能の向上を生じることが
判明した(実施例参照)。
またこの方法は、まず低用量の血栓溶解剤を患者に投与することもできる。つい
でヘテロ二官能性抗体を患者に投与すると抗体は血栓部位へ藁まる。ヘテロ二官
能性抗体は、投与した血栓溶解剤を捕獲し、直接血栓部位へ運ぶ、イン・ビトロ
で得られた成績から、まずへテロ三官能性抗体を投与し、ついで血栓溶解剤の低
用量を投与し得ることが判明した。この技術の専門家なら理解し得るように、血
栓溶解剤の低投与量では出血のような重篤な副作用の起こる危険が減少するはず
である。
この発明のもう一つの態様は、例えばストレプトキナーゼ、ウロキナーゼまたは
TPAのような血栓溶解剤を患者に投与する前に、これらをヘテロ二官能性抗体
に付着させることからなる。この頁物標的投与方式では、ヘテロ二官能性抗体の
抗血栓部分の特異性により、血栓溶解剤は選択的に血栓を溶解することができる
。
またヘテロ三官能性抗体は免疫診!IT適用に使用することも可能である。この
発明のへテロ三官能性抗体を使用して生体内(イン・ビボ)免疫診断を実施でき
る。まず血栓に対する特異性および血栓溶解剤に対する別の特異性を有するヘテ
ロ三官能性抗体を患者に投与する。抗体が患者の体内の血栓へ藁申し、結合しな
かった抗体が患者の健康な組織から除去され得る十分な時間を経過後、放射性核
種を付けた血栓溶解剤を投与する。放射性核種は特定の型の装置で検出し得る崩
壊型でなければならない、さらに生体内診断の場合、半減期が放射性核種の最大
取り込み時間においてもなお検出可能な長さを有し、しかも診断後は好ましくな
い放射線が体内に残存しない程度に短いものであるべきである。放射性核種をタ
ンパク物質と結合することはこの技術で公知であり、直接的または中間官能基を
利用して間接的に行われることが多い、生体内診断に使用し得る放射性同位元素
を例示すれば”Tc、+23i、131 ■、11!In、9フRu、6フCu
、 6フGa、 ”Ga、 フ”AS、”νZ r、””T I である。
また生体内診断の目的で常磁性同位元素をこの発明の方法により使用することが
できる。磁気共鳴エネルギー手法に使用する特に有用な元素を例示すれば157
Qd、”Mn、””Dy、”Cr、”Fe等である。
また二重の特異性を備えたヘテロ三官能性抗体は、製藁上許容し得る担体ととも
に医藁組成物とすることができる。これらの担体はこの技術周知のものであり、
食塩水および緩衝性媒質等を含む水性または溶媒乳剤または!3濁剤等が可能で
ある。医票組成物は、例えばレミントンズ・ファーマシューティカル・サイエン
シズ(第16版、1980年)に記載されているような製薬技術上周知の任意の
方法によって調製することができる。
ヘテロ三官能性抗体の投与量は、血栓の存在を十分に検出し得る程度の量とする
。投与量は、好ましくない交差発疹およびアナフィラキシ−性発疹等のような有
害な副作用を生じるほど大量にすべきでない、一般に投与量は患者の年齢、状態
、性差、疾患の程度により変わる。禁息症は免疫寛容およびその他の変化を含み
、個々の医師によって調節できる。投与量の範囲は、0.01mg/kg〜50
0mg/kg(体重)であり、好ましくは0.01mg/kg 〜200mg/
kgである。ヘテロ三官能性抗体は非経口的に、注射または時間をかけて徐夕に
点滴することにより投与できる。またこれらは静脈内、腹腔内、筋肉内または皮
下へ投与することができる。
この発明についてさらに理解を深めるため、以下に具体的な実施例をあげてこの
発明を説明する。実施例は単に発明を説明するためのものであって、発明の範囲
を限定する目的をもつものではない。
[実施例〕
実施例1
ヒト組織型プラスミノーゲン・アクチベータに対して特異的なモノクローナル抗
体(抗tPA)の生産
組換え体2本鎖ヒト組織型プラスミノーゲン・アクチベータ(TPA)(ジェネ
ンテク・インコーホレーテッド)で免疫したA/Jマウスから、ヒト組織型プラ
スミノーゲン・アクチベータに対して特異的なIgG1マウス・モノクローナル
抗体(抗TPA)を得た。
好適なりローンを選び出すために、免疫したマウスからのひ臓細胞を5P210
骨髄腫細胞と融合し、ついでマクロファージ支持細胞層を加えた96ウ工ル型ミ
クロ滴定板10枚へこの混合物を分配した。ウェルの95%以上でハイブリドー
マ・コロニーが観察された。
固層免疫測定によって、12個のウェルかち得た上清で抗TPA結合が証明され
た。これらのコロニーのクローニングおよびサブクローニングから、限定希釈法
によってそれぞれ抗TPA抗体を産生ずる安定な33個の系を得た。ベーリンガ
ー・キットによるイソタイプ分類から、これらの系のうち27株はI gG、カ
ッパで、6株はIgGzbカッパであった。 Jl!水中で抗体価を高めるため
I g G I系の2株を選び、ついで抗体を硫酸アンモニウム沈殿(45%)
およびDEAE−セルロースクロマトグラフィーによって精製した。
得られた抗体標本は、5DS−PAGE電気泳動によりホモジニアスで、ウェス
タン・プロッティングによりTPAのHfflと結合していることを証明した。
”J−TPAの半最大結合濃度を測定し、ここれより2株の抗TPA抗体の見掛
けの解離定数を算定した。一つの抗体のに6は4.5X10−10であり、他の
一つは6.5X10−10であった、何れの抗体とも、エステラーゼ基質(S2
444)で測定したTPA活性およびフィブリンモノマーで測定した線維素溶解
を抑制しなかった(実施例3に示す)、この抗TPAハイブリドーマ細胞系TC
L8を、HB9090のATCC番号のもとにアメリカン・タイプ・カルチャー
・コレクション(ATCC)(ロックビル、マリ−ランド)へ寄託した。ハイブ
リドーマ系TCL8は、TPAの触媒活性鎖に対して特異的なモノクローナル抗
体を産生ずる。
実施例2
フィブリンに特異的なモノクローナル抗体および抗TPAモノクローナル抗体か
ら二重の特異性を備えたヘテロ三官能性抗体の生産フィブリンに対して特異性を
備え、フィブリノーゲンと交差反応しないIgG1マウス・モノクローナル抗体
(59D8)はフィらによって先に報告された[サイエンス、222巻、112
9〜1131頁(1983年)]、]交差結合試薬N−スクシンイミジル3−(
2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)[ルイら、プロシーディング
ズ・オプ・ザ・ナショナル・アカデミ−・オプ・サイエンシズ・オブ・IJSA
、82巻、8648〜8652頁(1985年)〕を使用して、実施例1で記載
した抗TPAモノクローナル抗体を抗フィブリンモノクローナル抗体59D8と
共有結合的に結合させた。
代表的な実験例では、抗フィブリン抗体8.4mgを0.01 Mリン酸塩、0
.15M NaC1,0,02%NaN5 (pH7,4)[PBSA]溶液に
濃度2.4mg/mlで溶解し、これを20mM 5pDPの無水エタノール溶
液50μlと反応させた。室温で30分後0.14M NaC1,1mM KC
I 、3.7mMリン酸ナトリウム(pH7,4)[NaPi]で平衡化したセ
ファデックスG−25カラム(2,5X30cm)を通すゲル?過により試薬を
除去した。抗フィブリン抗体1モル当り2−ピリジルジスルフィド基2〜4個の
修飾が得られた[グラセラティら、アーカイブズ・オブ・バイオゲミストリー・
アンド・バイオフィジックス、119巻、41〜49頁(1967年):スタチ
ュバリーら、バイオケミカル・ジャーナル、151巻、417〜432頁(19
75年)]。
2つの抗TPAモノクローナル抗体のうちの何れが(8,4mg)を2.4ng
/mlの濃度でNaPiに溶解した溶液を、200倍モル過剰の2−イミノチオ
ランの25mMホウ酸ナトリウム溶液(pH9,1)と反応さ、せることにより
、抗TPA抗体ヘチオール基を付けた。室温で45分後、混合物を、0.1M
NaC1,0,1Mリン酸ナトリウム(pH6,6)で平衡化したセファデック
スG−25カラム(2,5x30cm)に掛けて分画した。この方法により抗体
1分子当り1〜2個のチオール基が導入される(ルイら、前掲)。
抗フィブリン抗体および抗TPA修飾抗体の等モル量ずつを混合し、室温で3.
5時間撹拌した。ついで1Mヨード酢酸アミドの1Mリン酸ナトリウム溶液(p
H8,0)0.5mlを添加して反応を停止した。この時点で混合物はもはやエ
ルマン試薬に反応しなかった。
次にYM30メンプランを使用する10m1アミコン限外濾過セルで試料を9m
l容量まで濃縮し、ついでこれを0.1Mリン酸塩、0.1M NaC1,1,
0M尿素(pH6,6)で平衡化して補正したセファクリルS−300カラム(
2,5X85cm)に掛けた。明瞭な2本のピークに分かれた。約300Kdで
溶出した第1のピークは、ヘテロ三官能性抗体(ヘテロニ量体)と一致した。約
150Kdで溶出した第2のピークは、未反応の抗体モノマーを含有しているも
のと推定された。また少量の高分子量物質が認められ、これは一層高分子のポリ
マーと推定された。下記の検定に使用するため300Kdピークを示す物質をプ
ールし緩衝液に対して透析した。
TPAをヘテロ三官能性抗体と結合するため、TPA3.5mg(0,5mg/
mりをヘテロ三官能性抗体5mg(0,5mg/ml)と室温で2時間混合した
。溶液をYM30メンプランを使用する10m1アミコン限外濾過セルで9ml
容量まで濃縮し、セファクリルS−300カラムに掛けた。2本のピークに分か
れた。1本のピークはへテロニ官能性抗体ピークのものより僅かに少い量で溶出
し、約400Kdの分子量を示した。このカラムにおけるTPAの見掛けの分子
量は70Kdであるから、第1のピークは抗体−TPA複合体であり、第2のピ
ークは未結合のTPAであると推定された。
酵素活性に基づき(実施例3に示す)、ヘテロニ官能性抗体各1モル当り約1.
5モルのTPAが結合しているものと判定した。
実施例3
ペプチダーゼ酵素活性検定
TPA、ヘテロニ官能性フィブリンーTPA抗体、ウロキナーゼおよびウロキナ
ーゼとフィブリン特異的抗体の共有結合複合体(ウロキナーゼ−抗体複合体)[
ボードら、サイエンス、229巻、765〜767頁(1985年)コの等価ペ
プチダーゼ活性におけるプラスミノーゲン活性化能を比較した。フィブリン結合
に依存しないペプチダーゼ活性を色素産生基質S−2288(ヘレナ・ラボラト
リーズ)で測定した。ウロキナーゼ(アポキナーゼ、アボット、ロフト#82−
087−AF)を基準標品とした。ウロキナーゼ1単位のペプチダーゼ活性はT
PA7ngの活性と等しかった。
実施例4
プラスミノーゲン・アクチベータ検定
セファロース4B−CIと共有結合した12Si−フィブリンモノマー(フィブ
リン−セファロース)の溶解によりプラスミノーゲン・アクチベータ検定の終末
点が判る(フイら、前掲)、この検定では試験物質を、10mMリン酸ナトリウ
ム、0.1%BSA、0.01%ツイーン−80を含有した緩衝液(pH7,4
)に懸濁したフィブリン−セファロース300μmとインキュベートした。これ
と同じ緩衝液でフィブリン−セファロースを洗浄し、ついでプラスミノーゲン溶
液(0,15mg/ml >1mlとインキュベートした。フィブリン−セファ
ロースを遠心したあとの上清アリコートを計測する初の比放射能に対する%で表
した。
測定した試験物質は
(i)実施例2に記載のへテロ三官能性抗体、(ii)TPAで前処理したヘテ
ロ三官能性抗体、(i)TPA、
(〜)ウロキナーゼ(UK)、および
(V)ウロキナーゼ−抗フィブリン複合体である。またフィブリン−セファロー
スとインキュベートした後、洗浄し、TPAと混合し、もう一度洗浄したヘテロ
三官能性抗体からなる追加的試料を、上記と同様にプラスミノーゲンとインキュ
ベートした。 。
第1図から、標識したペプチドをフィブリン−セファロースから遊離するのに要
するTPA′dA度がウロキナーゼの場合の約1710であり、TPA−へテロ
三官能性抗体の場合はTPA草独の場合より10倍強力であることが判る。ヘテ
ロ三官能性抗体の場合、まずTPAで処理し、これをフィブリン−セファロース
へ加えるのと、まずヘテロ三官能性抗体をフィブリン−セファロースと混合し、
ついでTPAで処理するのとの間には、線維素溶解効果に有意の差がなかった。
TPA−ヘテロ三官能性抗体はボードら(前掲)が報告したウロキナーゼ−抗フ
ィブリン複合体の線維素溶解能と同等の活性を示した。
TPAのウロキナーゼに対応する相対的な有効性は、TPAの選択的なフィブリ
ン結合能に由来している[コーレンら、サーキュレーション、70巻、1012
〜1017頁(1984年):ノく−グマンら、サイエンス、220巻、118
1〜1183頁(1983年):ホイラーツら、ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー、257巻、2912〜2919頁(1982年)]、ウロ
キナーゼはフィブリン結合部位を持っていない、TPA−へテロ三官能性抗体お
よびウロキナーゼ−抗フィブリン複合体で観察されたほぼ匹敵する強力な線溶能
は、TPAとフィブリン−特異的抗体59D8との間に存在する相対的なフィブ
リン親和性の重要な相違によって説明し得よう、フィブリンに対するTPAのに
、は0.1mMであるが、抗体59D8のに6は0.1μMである。ヘテロ三官
能性抗体の場実施例5
低濃度におけるTPA捕獲
TPAの血漿温度は5ng/mlの範囲であることが報告されている[ハムスタ
ーら、二ニー・イングランド・ジャーナル・オブ・メジシン、313巻、155
7〜63頁(1985年)]、この濃度およびそれよりも低い濃度でTPAの線
溶効果が促進されるがどうか検討するため、ヘテロ二官能性抗体330μg/m
l(容量1.0m1)を添加し、または添加せず、フィブリン−セファロースの
アリコート1mlを20℃で4時間インキュベートした。TPAを、0(対照)
、0.1.0.3.1.0または5.0’ng/ml含有している100mMリ
ン酸塩、0.1%BSA、0.01%ツイーン−80の溶液2.7リツトルを、
流速180m1/時間でカラムを通した。
液体がカラムを通過後、フィブリン−セファロースを取り出し25℃で試験管へ
加えた。ついでプラスミノーゲン(0、151m g/m ])11mを添加し
た。セファロースは試験管の底に沈んだまま放置した。上清液0.6mlを、2
0分、45分、60分、90分、120分、150分および180分に採り、ガ
ンマ・シンチレーション・カウンターで計測した後、これをフィブリン−セファ
ロースへ戻した。上清へ遊離した総カウント数の割合として溶解%を計算した。
第2図は、フィブリン−セファロースをヘテロ二官能性抗体で前較を示したもの
である。各TPA濃度において、ヘテロ二官能性抗体と一緒に加熱した試料で線
溶能が実質上促進されたことが判る。
第3図は、溶解促進を、ヘテロ二官能性抗体の添加および添加しなかった場合の
線溶能の最大比として示したものである。TPA濃度の減少とともにTPA−へ
テロ三官能性抗体複合体の相対的な活性が明らかに増大する。この知見は前述の
フィブリンに対するTPAおよび抗体の相対的な親和性とよく対応していると言
える。抗フィブリン抗体はTPAの場合より、フィブリンに対してより一層高い
親和性を示す、したがってヘテロ二官能性抗体は、TPA単独の場合より一層高
い親和性をもってTPAをフィブリンに結合し得る。
このようにフィブリン特異性抗体およびフィブリンと結合した抗TPA抗体から
なるヘテロ二官能性抗体は、TPAの線溶能を促進し、TPAの減少に伴って効
果を増大する。この現象は、TPAの血漿濃度またはそれ以下でのイン・ビトロ
実験で容易に証明することができる。これらの知見をイン・ビボく生体内)に拡
大して考えれば、血栓の処置は外来性プラスミノーゲン・アクチベータの投与が
なくても可能なのかも知れない、フィブリンに対するフィブリン特異性抗体の親
和性がTPAの場合より高いことから、フィブリノーゲン溶解またはその他の凝
固タンパク破壊の危険性は極めて少なくなり、したがって出血の危険は解消され
るものと思われる。
実施例6
以下の実施例は、二種のハイブリドーマ系の体細胞融合による二つの異なったヘ
テロ二官能性抗体の生産を示したものである。得られた細胞系は、フィブリンお
よびTPAを双方とも結合でき、化学的に生産された生成物と線溶系促進を分担
し得る不斉抗体(ヘテロ二官能性抗体)を分泌する。二つのへテロ三官能性抗体
は、何れもTPA結合部位および他の一結合部位を有しており、一方の抗体はフ
ィブリンのβ鎖のアミノ末端に特異的な抗体結合部位を有しくF36.23)、
もう一方の抗体はフィブリンα鎖のアミノ末端に特異的な抗体結合部位を有して
いる(F32.1)。
抗TPA−抗β鎖−ヘテロニ官能性抗体バイプリドーマTCLS系は触媒的に活
性なTPAのβ鎖に特異的なモノクローナル抗体を産生する。 TcLsi胞を
6−チオグアニンで処理し、ヒボキサンチン・ホスホリボシル・トランスフェラ
ーゼ欠損(HPRT−マイナス)変異種を選びサブクローニングして、これらを
HAT (ヒボキサンチン、アミノプテリン、チミジン)培地で変異性について
試験した。HAT培地で生存し得ないチミジンキナーゼ欠損サブクローンを選び
出すため、ヒトフィブリンβ鎖に対して特異的なモノクローナル抗体を産生ずる
ハイブリドーマ59D8系をブロモデオキシウリジン中で発育した。HPRT−
マイナス株とチミジンキナーゼ欠損サブクローンとをポリエチレングリコール中
で融合し、HAT培地中で生存し得る所望のクローン2選び出した。また合成フ
ィブリン様ペプチドおよびTPAを抗原として使用する固層放射免疫検定でスク
リーニングすることにより、サブクローンを選び出した。FB6.23と呼ばれ
たー細胞系は、抗ヒト・フィブリン活性よび抗ヒトTPA免疫活性を双方とも有
していた。この細胞系の生産物を連続アフィニティークロマトグラフィーによっ
て精製して非生産鎖の組換え体を除いた。抗体を、まずβ鎖ペプチド−セファロ
ースカラムで分画し、逐次これを吸着させ、ついでTPA−セファロースカラム
から溶出した。精製した生産物をさらにその二官能性を証明する二つの検定によ
り性質を調べた。
フィブリンモノマーをプラスチック表面に吸着させ、試験抗体溶液を添加し、1
25I標識をしたtPAを加える固層免疫放射検定法を組立てた(各中間に洗浄
段階を挿入する)、第4図Aは、フィブリンおよびTPA双方に結合している根
拠を示す、第4図Bは、TPAをプレートに吸着させ12SIを標識したD2E
(β鎖およびα鎖のアミノ末端を含んだフィブリン断片)をプローブとして組
み立てた同様の検定である。この場合も試験抗体を都合よく対照と比較できた。
これらの測定からクローンF36.23の精製生産物がフィブリンおよびTPA
双方に結合し得るヘテロ三官能性抗体であることが判る。
抗TPA−抗α鎖−ヘテロニ官能性抗体別の方法を用いてヘテロ三官能性抗体F
32.1を生産した。TCL8細胞(HPRT−マイナス)を、フィブリンα鎖
のアミノ末端に対応するフィブリン様ペプチドで免疫したマウスからのびyA細
プチドを抗原として使用して融合生産物を同様にスクリーニングし、両方の活性
をともに生成する所望のハイブリドーマを得た。このモノクローナル抗体のイソ
タイプはガンマ−カッパであった。
抗体F36.23の項で記載したのと同様に、但しβ鎖ペプチドの代わりにアミ
ノ末端α鎖ペプチドを使用したアフィニティークロマトグラフィーを行った後、
同様な免疫放射測定を実施した。第4図Cは、フィブリンモノマーを固体層に結
合し、”5I−tPAeプローブとしたときのF32.1の結合を示し、第4図
りは、TPAを固体層に結合し、”5 I −D 2 Eをプローブとしたとき
の同じ抗体の結合を示す、またこれらの検定は、クローンF32.1の精製生産
物もフィブリンおよびTPA双方を結合し得るヘテロ三官能性抗体であることを
示している。
これら二つの抗体を、前記およびボードらが報告した検定法[サイエンス、22
9巻、765〜767頁(1985年)]によって、それらの線維素溶解促進能
を試験した。第5図から明らかなように、F36.23またはF32.1の存在
によりTPAの線維素溶解能は5倍ないし10倍促進された。
以上の説明、実施例および具体例が、この発明の説明のみを目的とするものであ
り、この出願の精神に基づき、請求の範囲内で種々の修飾が考えられることが理
解されよう。
FIG、 i
プラスミノーゲン・アクチヘータ−(単位)FIG、2
分
FIG、 3
tPA (ng/mlλ
FIG、’/
F 32.1、F 36.23によって結合する抗原の匠明抗体=二重親和性
抗体=二重親和性
(F32・1修飾>、 (F 3s、o修8)溶解%
補正書の写しく翻訳文)提出書
(特許法第184条の8)
昭和63年lO月14燭
Claims (19)
- (1)一つは血栓に対する特異性、他の一つは血栓溶解剤に対する特異住からな る二重の特異性を備えたヘテロ二官能性抗体。
- (2)血栓に対する特異性が、実質上フィブリノーゲンとの交差反応性を欠いた フィブリン特異性である請求の範囲第1項記載のへテロ二官能性抗体。
- (3)血栓溶解剤が組織型プラスミノーゲン・アクチベータ(TPA)、ストレ プトキナーゼおよびウロキナーゼの中から選ばれたものである請求の範囲第1項 記載のヘテロ二官能性抗体。
- (4)血栓溶解剤が上記ヘテロ二官能性抗体と結合したものである請求の範囲第 1項記載のヘテロ二官能性抗体。
- (5)上記抗体と結合した上記血栓溶解剤が組織型プラスミノーゲン・アクチベ ータ、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼの中から選ばれたものである請求 の範囲第4項記載のヘテロ二官能性抗体。
- (6)上記抗体と結合した上記血栓溶解剤が放射能標識またはイメージング(映 像化)標識されたものである請求の範囲第4項記載のヘテロ二官能性抗体。
- (7)請求の範囲第1項記載のヘテロ二官能性抗体と製薬上許容し得る担体を含 んでなる医薬組成物。
- (8)血栓に対する特異性を有する修飾抗体および血栓溶解剤に対する特異住を 有する修飾抗体からなる二重の特異性を備えたヘテロ二官能性抗体。
- (9)血栓に対する特異性を有する修飾抗体が実質上フィブリン交差反応性を欠 いたフィブリン特異性モノクローナル抗体である請求の範囲第8項記載のヘテロ 二官能性抗体。
- (10)血栓溶解剤に対する上記修飾抗体が抗TPAモノクローナル抗体である 請求の範囲第8項記載のヘテロ二官能性抗体。
- (11)血栓溶解剤に対して特異的である上記修飾抗体が抗ストレプトキナーゼ モノクローナル抗体である請求の範囲第8項記載のへテロ二官能性抗体。
- (12)血栓溶解剤に対して特異的である上記修飾抗体が抗ウロキナーゼモノク ローナル抗体である請求の範囲第8項記載のヘテロ二官能性抗体。
- (13)二重の特異性の一つは血栓に対する特異性、他の一つは組織型プラスミ ノーゲン・アクチベータに対する特異性からなる二重の特異性を備えたヘテロ二 官能性抗体の有効量を血栓疾患患者に投与することからなる血栓溶解方法。
- (14)血栓溶解剤を上記ヘテロ二官能性抗体に結合した請求の範囲第13項記 載の方法。
- (15)(a)一つは血栓に対する特異性、他の一つは血栓溶解剤に対する特異 性からなる二重の特異性を備えたヘテロ二官能性抗体の有効量を血栓疾患患者に 投与し、 (b)上記の患者に血栓溶解剤を投与することからなる血栓溶解方法。
- (16)上記血栓溶解剤が組織型プラスミノーゲン・アクチベータ、ストレプト キナーゼおよびウロキナーゼである請求の範囲第15項記載の方法。
- (17)(a)一つは血栓に対する特異住、他の一つは血栓溶解剤に対する特異 性からなる二重の特異住を備えた抗体を宿主に投与し、(b)放射能標識または イメージング標識を結合した前記血栓溶解剤を投与する ことからなる血栓の検出方法。
- (18)一つは血栓に対する特異性、他の一つは血栓溶解剤に対する特異性から なる二重の特異住を備えた抗体を宿主に投与し、ここでこのヘテロ二官能性抗体 は、放射能標識またはイメージング標識を結合した上記血栓溶解剤に結合させた ものであることからなる血栓の検出方法。
- (19)上記血栓溶解剤が組織型プラスミノーゲン・アクチベータ、ストレプト キナーゼおよびウロキナーゼの中から選ばれたものである請求の範囲第17また は18項の何れか1項記載の方法。
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