JPH024922B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、油圧等の流体圧回路に用いられ、
入口側圧力の如何にかかわらず、出口側圧力を入
口側圧力よりも低い設定圧力に調整する圧力制御
弁であるパイロツト形減圧弁に関する。

従来技術 従来のパイロツト形減圧弁は、第１図に示すよ
うに、ボデイ１に形成された入口ポート２と出口
ポート３とを連通するメイン流路を開閉すると共
に、出口ポート３をオリフイス５を介してベント
室７に連通する流路６を有するメインピストン４
と、ベント室７に収納され、メインピストン４を
メイン流路を開く方向に付勢するメインスプリン
グ８と、ベント室７とドレインポート９との間に
介挿した圧力設定用のパイロツト弁としてのポペ
ツト弁１０によつて構成されている。

この減圧弁RVは、出口ポート３の圧力P₂がポ
ペツト弁１０の設定圧力に達すると、パイロツト
油ｑが矢示のようにメインピストン４のオリフイ
ス５を通つて流れ、メインピストン４の上下面に
加わる圧力に差が生じる。

すなわち、メインピストン４の上下面の有効面
積をＡ、ベント室７の圧力をP₃とすると、メイ
ンピストン４にはAx（P₂−P₃）の力が上方に作
用する。その力がメインスプリング８の力F₁よ
り大きくなると、メインピストン４が上方に移動
してメイン流路Ｂを遮断することによつて、出口
ポート３の圧力P₂が設定圧以上にならないよう
にして一定に制御する。

第２図は、このようなパイロツト形減圧弁RV
を使用して、切換弁SVを介してシリンダＣを駆
動する場合の油圧回路の例を示す。

しかしながら、第１図に示した従来のパイロツ
ト形減圧弁では、出口ポート３側の圧油はメイン
ピストン４のオリフイス５を通過してポペツト弁
１０から逃げるようになつており、また、メイン
ピストン４を下方に下げる力はメインスプリング
８の力F₁のみであるため、第２図のようにして
実際に使用する場合、減圧弁RVの出口側が切換
弁SVによるブロツク状態からオープンする時、
第３図に示すように出口圧力P₂が急下降し、出
口側がオープン状態からブロツクされる時、同図
に示すようにピーク圧が生じ、設定圧力に戻るま
での圧力整定時間も長くかかる。

すなわち、減圧弁RVの出口側がブロツク状態
からオープンすると、圧力P₁とP₂の差が大きく
なるので、第１図に矢印で示すようにメイン流路
Ｂを通つて入口ポート２側から出口ポート３側へ
圧油が高速で流れ、それによつてメインピストン
４の鍔部４ａの上面側の圧力がP₁より低下する。

一方、鍔部４ｂの下面側には圧力P₁がそのま
ま加わつているため、メインピストン４に上向き
の流体力F₂が作用する。したがつて、メインス
プリング８によるメインピストン４を押下げる力
F₁が弱められることになる。

また、メインピストン４を下降させるには、ベ
ント室７へ油を流入させなければならないが、オ
リフイス５の前後の差圧が小さいので、オリフイ
ス５を通過する流量が少ない。

したがつて、メインピストン４の下降速度が遅
く、出口ポート３の圧力P₂が設定圧力まで上昇
するのに時間がかかる。

減圧弁RVの出口側がオープン状態からブロツ
クされた時には、出口ポート３内で圧縮された油
を速やかに逃がされなければならないが、オリフ
イス５は小さいし、パイロツト弁１０の流量も少
ないため、ピーク圧が高くなり、圧力整定時間も
長くなつていた。

目 的 この発明は、上記のような従来のパイロツト形
減圧弁における問題点に着目してなされたもので
あり、出口側をブロツク状態からオープンする時
の圧力降下及びオープン状態からブロツクする時
のピーク圧の発生を抑制し、圧力整定時間も短か
くすることを目的とする。

構 成 そこで、この発明によるパイロツト形減圧弁
は、入口ポートからベント室へ常に一定流量を供
給する圧力補償付流量制御弁を接続し、出口ポー
トからメインピストンのクラツキング圧より高い
クランキング圧をもつチエツク弁をベント室に接
続すると共に、圧力設定用のパイロツト弁をバラ
ンスピストン形リリーフ弁にしたものである。

実施例 以下、この発明の一実施例を第４図によつて説
明するが、第１図の従来例と対応する部分には同
一の符号を付してあり、それらの説明は省略す
る。

この実施例による減圧弁RVは、ボデイ１内の
入口ポート２とベント室７とを圧力補償付流量制
御弁１１を介して接続し、出口ポート３をベント
室７とを出口ポート３からベント室７方向へのみ
流通可能なチエツク弁１２を介して接続すると共
に、圧力設定用のパイロツト弁としてバランスピ
ストン形リリーフ弁１３を内蔵している。

圧力補償付流量制御弁１１は公知のものである
が、ピストン１１ａとこれを流路を開く方向に付
勢するスプリング１１ｂと絞り１１ｃとを有し
（図は模式的に示してある）、入口ポート２の圧力
P₁をピストン１１ａの図で右端側の室に導き、
絞り１１ｃを通した圧力P′₁をピストン１１ａの
左端側スプリング室に導き、P₁或はP₂が変動す
ることに伴つて絞り１１ｃの前後差圧P₁−P′₁＝
△Ｐが高くなるとピストン１１ａが左行して流路
を狭ばめ、差圧△Ｐが低くなるとピストン１１ａ
を右行させて流路を広くして、常に一定流量をベ
ント室７に供給する。

チエツク弁１２も公知のものであるが、メイン
ピストン４のメインスプリング８によるクラツキ
ング圧力より高いクラツキング圧力をもち、出口
ポート３にピーク圧が発生した時にその圧縮油を
矢示Ｙ方向へ流す。

バランスピストン形リリーフ弁１３は、バラン
スピストン弁１３ａとポペツト弁１３ｂとからな
る公知のものであり、ベント室７の余剰油を逃が
してベント室７の圧力を一定に保持する。

この第４図に示すパイロツト形減圧弁を、第２
図に示したように回路構成して使用した場合、切
換弁SVを切換えて、減圧弁RVの出力側をブロ
ツク状態からオープンすると、メインピストン４
が下降するが、その時ベント室７には、メインピ
ストン４内の流路６及びオリフイス５を通して出
口ポート３側から油が流入するだけでなく、入口
ポート２側からも圧力補償付流量制御弁１１を介
して流入するため、下降速度が速く、従つて出口
ポート３側の圧力降下（アンダーシユート）が少
なく、その回復時間も短かくなる。

また、減圧弁RVの出口側をオープン状態から
ブロツクすると、出口ポート３の圧力P₂が設定
圧力より高くなるが、そうすると、チエツク弁１
２が開いて圧油を出口ポート３からベント室７方
向へ流し、バランスピストン形リリーフ弁１３の
バランスピストン弁１３ａを開いて通過し、ドレ
インポート９から速やかに逃がすので、ピーク圧
の発生が少ない。

そして、メインピストン４の上昇に伴なうベン
ト室７からの油の流出に際しては、従来のポペツ
ト弁１０（第１図参照）のような流量制限が殆ん
どないので、メインピストン４が速やかに上昇
し、出口ポート３の圧力P₂が短時間で設定圧力
まで低下する。

効 果 以上説明してきたように、この発明によるパイ
ロツト形減圧弁を使用すれば、出口側をブロツク
状態からオープンした時の出口側圧力のアンダー
シユートが少なく、回復も速い。また、出口側を
オープン状態からブロツクした時の出口側圧力の
ピークが少なく、整定時間も短かくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のパイロツト形減圧弁の断面
図、第２図は、パイロツト形減圧弁及び切換弁を
介してシリンダを駆動する油圧回路の例を示す回
路図、第３図は、第２図の回路において切換弁
SVをブロツクからオープン、オープンからブロ
ツクに切換えた時の減圧弁RVの出口圧力の変化
曲線図、第４図は、この発明の一実施例を示すパ
イロツト形減圧弁の模式的断面図である。 １…ボデイ、２…入口ポート、３…出口ポー
ト、４…メインピストン、５…オリフイス、７…
ベント室、８…メインスプリング、９…ドレイン
ポート、１０…ポペツト弁（従来のパイロツト
弁）、１１…圧力補償付流量制御弁、１２…チエ
ツク弁、１３…バランスピストン形リリーフ弁
（パイロツト弁）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 入口ポートと出口ポートとを連通するメイン
   流路を開閉すると共に、出口ポートをオリフイス
   を介してベント室に連通する流路を有するメイン
   ピストンと、前記ベント室に収納され前記メイン
   ピストンを前記メイン流路を開く方向に付勢する
   メインスプリングと、前記ベント室とドレインポ
   ートとの間に介挿した圧力設定用のパイロツト弁
   を備え、前記出口ポートの圧力を前記入口ポート
   の圧力より低い設定圧力に調整するパイロツト形
   減圧弁において、 前記入口ポートとベント室とを該入口ポートか
   らベント室へ常に一定流量を供給する圧力補償付
   流量制御弁を介して接続し、前記出口ポートとベ
   ント室とを該出口ポートからベント室方向へのみ
   流通可能で、前記メインピストンのメインスプリ
   ングによるクラツキング圧力より高いクラツキン
   グ圧力をもつチエツク弁を介挿して接続すると共
   に、前記圧力設定用のパイロツト弁をバランスピ
   ストン形リリーフ弁としたことを特徴とするパイ
   ロツト形減圧弁。