JPH0248439Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〓産業上の利用分野〓 本考案は、ワインダーで巻き返し空になつたボ
ビンをトレイに挿し立て搬送する際の空ボビンの
中心孔内、及びトレイ上の屑糸を除去する装置に
関する。

〓従来の技術〓 精紡ワインダーのように、精紡機とワインダー
との間にボビンをトレイ上に挿し立て移送するボ
ビン搬送路を設けたものは、精紡機とワインダー
の糸処理量をバランスさせるために、空ボビンの
中心孔内に残つた屑糸を自動処理させている。従
来の屑糸除去装置としては、例えば特開昭61−
257878号に示されているように、トレイ上に挿立
されてボビン搬送路を返送される空ボビンを、一
時的にトレイから抜き上げ、抜き上げた空ボビン
の下位から、空ボビンの中心孔内へ圧縮空気を噴
出し、空ボビンに残つた屑糸を排出する構造のも
のがある。

〓考案が解決しようとする問題点〓 空ボビンの下位から圧縮空気を吹きかける構造
のものには、空ボビンをトレイから抜き上げるた
めの機構を必要とし、また、空ボビンの屑糸は除
去できるものの、トレイに付着した屑糸は除去で
きなかつた。

そこで、本考案は、空ボビンをトレイに挿立さ
せたまま屑糸を処理でき、しかもトレイ上の屑糸
をも除去できる屑糸除去装置の提供を目的とした
ものである。

〓問題点を解決するための手段〓 空ボビンの中心孔内に残つた屑糸と、トレイ上
に残つた屑糸を同時に除去する手段として、屑糸
を吸気により吸引除去するようにした。そのため
に、トレイに挿立して搬送される空ボビンの頂部
に対して、筒状体をモータ等によりピストン状に
進退自在にして設け、この筒状体の中空部を送風
機等の吸気装置と連通し、空ボビンの頂部を筒状
体の中空部で覆つて、空ボビンの中心孔内、及び
トレイ上の屑糸を筒状体の内部に吸引するように
構成した。

〓作用〓 トレイに挿立された空ボビンが搬送路の所定の
位置に達すると、筒状体が空ボビンの頂部へ向け
て進出し、空ボビンの頂部を筒状体が覆う。そこ
で、筒状体の中空部内に吸気装置の吸引力が及ぶ
と空ボビンの中心孔内を吸引すると共に、空ボビ
ンを吸引力で持ち上げ、トレイ上に空ボビンを支
持しているペグと空ボビン下端部との間に間隙を
生じさせ空ボビンの中心孔、更にペグ等に引掛か
りトレイ上に残つている屑糸を、筒状体の中空部
を経て吸気装置方向へと吸引し、屑糸は除去され
る。

〓実施例〓 本考案装置は、自動ワインダーとリング精紡機
との間に、精紡ボビン及び空ボビン３をトレイ１
に立設したペグ２に挿し立て移送するボビン搬送
路を設けた精紡ワインダーの、自動ワインダーか
ら送出される空ボビン３の搬送路の路程に設置さ
れ、空ボビン３の頂部を覆う筒状体４、その筒状
体４を昇降運動させる駆動機構５、そして図示し
ないフアン等の吸気装置で主要部が構成してあ
る。

筒状体４は、円筒形の筒主体６の下位先端部分
に頭部７が接続固定してあり、ケーシング８に備
えた固定筒９の筒体内に昇降自在に嵌挿してあ
る。この固定筒９は上方開口端を支持板によつて
塞いであり、また、側壁部分に下方側から案内溝
２５が設けてある。該筒状体４を昇降運動させる
駆動機構５としては、モータ１０と伝動軸１１、
それに揺動腕１２で構成してあり、モータ１０の
回転運動を伝動軸１１により揺動腕１２に伝達す
る往復スライダクランク機構を採用してあり、揺
動腕１２は、支軸１３を支点として揺動運動す
る。揺動腕１２の揺動運動は、筒状体４の筒主体
６に取付けたピン１４に、円板状のベアリング１
５を設け、このベアリング１５を揺動腕１２に載
せて筒状体４に伝達するように構成してある。ま
た、このベアリング１５は前記固定筒９の案内溝
２５にガイドされるように嵌挿してある。１６，
１６はコイルスプリングで、一端を前記筒状体４
のピン１４に固定し、他端をケーシング８に固定
して、ピン１４を常に引き下げる方向に付勢して
いる。前記モータ１０の回転軸１７には扇形の鉄
片１８が軸支してあり、この鉄片１８の回転軌跡
内に近接スイツチ１９を設け、筒状体４の一回の
昇降運動後、筒状体４を上方で待機させるように
してある。

尚、揺動腕１２は、筒状体４を挟むように一対
設けてあり、両腕の揺動端側を連結部材２０で接
続し、連結部材２０と伝動軸１１は、ボール状の
自在継手２１を介して接続してある。

前記固定筒９には通気口２２が開口してあり、
この通気口２２には、図示しないフアン等の吸気
装置に連なる吸気管２３が連ねてある。この通気
口２２の開口位置は、筒状体４が上昇位置にあつ
ては筒主体６の壁面で塞ぎ、筒状体４が下降した
際には通気口２２が開かれて、筒状体４の中空部
２４に吸気装置の吸引力が及ぶような位置に設定
してある。

次に上記実施例に基いて本考案装置の作用を詳
説する。

図示しない自動ワインダーで処理された空ボビ
ン３は、トレイ１のペグ２に挿立されて、図示し
ないリング紡績機へと搬送路を移送される。この
空ボビン３が所定の位置に達すると、図示しない
停止機構によりトレイ１の進行は阻止される。そ
こでモータ１０が作動して伝動軸１１をクランク
運動させ揺動腕１２を支軸１３を支点として第１
図中反時計針方向へと揺動し、筒状体４はピン１
４を同図中下方へと引き下げる力を付与されたコ
イルスプリング１６によつて下降される。この筒
状体４の下降運動により、頭部７は空ボビン３の
頂部を覆う。この時、通気口２２は、第１図に示
した状態のように開かれ、図示しない吸気装置の
作動により、吸引力は吸気管２３を経て通気口２
２、固定筒９、そして筒状体４の中空部２４へと
及ぶ。筒状体４の中空部２４の空気が第１図中上
方へと吸引されることにより、空ボビン３の中心
孔内の空気が吸引され、屑糸があれば筒状体４の
中空部２４内へと吸引されると共に、吸引力によ
り空ボビン３が若干持ち上げられ、空ボビン３に
よつてトレイ１の上に挟まれていた屑糸をも吸引
し除去する。モータ１０の回転により揺動腕１
２，１２が第１図中時計針方向へ揺動すると、ベ
アリング１５は揺動腕１２に同図中上方へ押し上
げられ、筒状体４は上昇して、空ボビン３の頂部
は解放される。と同時に、通気口２２は筒主体６
の壁面で塞がれ、吸気は阻止される。揺動腕１２
の前記１ストロークの運動は鉄片１８が近接スイ
ツチ１９を接続することにより終了し、次の空ボ
ビンが到達するまで待機状態となつている。

〓考案の効果〓 本考案装置は、トレイに挿し立て搬送される空
ボビンを、機械的に移動しなくてもそのままの状
態で処理でき、簡易な構成で確実に中心孔内に残
つた屑糸を除去することができる。また、空ボビ
ンの中心孔内の屑糸を吸気により除去するように
構成したことにより、トレイ上の屑糸も同時に吸
引除去できる効果をも発揮できるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置の実施の一例を示したもの
で、第１図はケースを外した状態の部分縦断正面
図、第２図は同左側面図、第３図は第１図−
線切断断面図、第４図はトレイに挿し立て搬送さ
れる空ボビンの状態を示した要部縦断正面図。 １……トレイ、３……空ボビン、４……筒状
体、５……筒状体の昇降駆動機構、９……固定
筒、１０……モータ、１１……伝動軸、１２……
揺動腕、１４……ピン、１５……ベアリング、１
６……コイルスプリング、２２……通気口、２３
……吸気管、２４……筒状体の中空部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 空ボビン頂部に接合出来る径の頭部を端部に有
   する筒主体よりなる筒状体を、吸気装置に連なる
   給気管に開口する通気孔を有する固定筒内に進退
   動自在に嵌挿することにより、筒主体を前記通気
   孔の開閉弁とし、筒状体には該筒状体を固定筒に
   対し進退動させる駆動機構を設け、前記筒状体頭
   部を屑糸除去位置の空ボビン頂部に対向して設け
   てなる屑糸除去装置。