JPH0248360Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は穀粉、セメント、配合飼料、砂糖、塩
等を充填収納する重包装袋に関する。

〔従来の技術〕

従来、重包装袋はクラフト紙を用いて偏平筒を
形成し、次いで当該偏平筒の開口縁部を重ね折り
して角底部を形成すると共に、該重ね折り角底部
の外表部に化粧紙を貼着して構成せられていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

然しながら、斯かる従来重包装袋はクラフト紙
製であるが故に、通気性従つてまた透湿性を避け
られない結果、保管中に内容物が吸湿してしまう
と云う欠点を免れないものであつた。

他方、単に非通気性素材により重包装袋を構成
した場合には、内容物充填の際（特に自動充填機
利用の場合）、内容物と共に袋内に送入された空
気の脱気を行うことができないため、内容物を所
定量充填する前に重包装袋が許容一杯に膨張して
しまうと云う欠点を免れない。

そこで、本考案者は斯かる従来の欠点を解消し
た重包装袋を提供すべく種々検討を重ねた結果、
防湿性を有し、かつ内容物充填中の脱気を行い得
る本考案重包装袋を案出したものである。

〔課題を解決するための手段〕

すなわち、本考案は合成樹脂フイルム製内袋を
有する袋筒１開口部上辺の少なくとも一ケ所に切
り込み２を入れた後、該袋筒１の開口部を拡げつ
つ左右両端部を内側に折り込み、少なくとも一方
の端部に切り込み残留部片２Ｓを非内方折り込み
部とする五角形折り込み片部５及び／又は６を形
成し、次いで裏面部片４及び表面部片３を順次重
ね折りして角底部とし、当該五角形折り込み片部
５及び／又は６と表面部片３及び裏面部片４との
間に、折り返し片８不存在部による外部に通じる
非積層間隙部７を形成したことを特徴とする重包
装袋である。

本考案重包装袋は、まず合成樹脂フイルム製袋
を内袋として有することを必須要件とする。本考
案に於て合成樹脂フイルム製内袋とは、合成樹脂
フイルムのみを素材として製袋したもの及び合成
樹脂フイルムにクラフト紙をラミネートした素材
にて製袋したものを云う。

尚、本考案に於ける合成樹脂フイルム製内袋
は、その重ね折り角底部に適宜数のスリツトを形
設すれば、内容物充填中の空気抜きをより効果的
に行うことができると共に、充填終了後に於て該
スリツトはその間隙が閉止されて単なる線様とな
る結果、充填後の袋内への湿気侵入を防止し得、
特に有利な結果が得られる。

ここに合成樹脂フイルムとしては防湿性ある合
成樹脂フイルムであれば如何なるものでも使用し
得るが、例えばポリエチレンフイルム１５μ等の
中低圧フイルムが好適である。本考案の実施にあ
たつては、外袋としては従来同様通気性あるクラ
フト紙等が用いられ、所謂二層袋構造が基本とな
るが、当該内袋の更に内側に例えば耐油クラフト
紙等の最内袋を設けた三層袋構造等の多層袋とす
ることもできる。

次に、本考案に於ては、重ね折り角底部の端部
積層部に外部に通じる非積層間隙部が必須要件と
される。

〔実施例〕

以下実施例を示す、図面と共に本考案を更に説
明する。

まず、上下開口した前記素材より成る袋筒１を
第１図に示す如く偏平筒とした後、五角形折り込
み片部形成可能な如く当該上部開口部の上辺部よ
り山折り線ａ及びｂに至る切り込み２を入れる。
この切り込み２の長さは得ようとする非積層間隙
部巾に応じて適宜選択し得るが、通常は上辺部よ
り谷折り線ｃまでの距離の３分の１程度が好適で
ある。次いで、当該袋筒１の上部開口縁部を拡げ
つつその左右両端部を各々山折り線ａ及びｂに沿
つて内側に折り込むと共に、その表面部のみを谷
折り線ｃに沿つて下方に折り返せば、第２図に示
す如く表面部片３及び裏面部片４の左右端に、切
り込み残留部片２Ｓが非内方折り込み部として一
対の五角形折り込み片部５及び６が形成される。
そこで、当該裏面部片４及び左右の五角形折り込
み片部５及び６の下部を谷折り線ｄに沿い、裏面
部片４の短手巾の1/2以上を内側に折り込み、第
３図に示す如き状態とする。次いで、表面部片３
及び左右の五角形折り込み片部５及び６の上部も
同様に谷折り線ｅに沿い、表面部片４の短手巾の
１／２以上を内側に折り、先の裏面部片４の折り込
み部片上に対向的に折り重ねることによつて、第
４図に示す如き重ね折り角底部が形成され、非積
層間隙部７を除き各積層部は適宜糊付け固定せら
れるものである。

尚、以上に説述した例は、重ね折り角底部の両
端部積層部に非積層間隙部を設けた例であるが、
一方の端部積層部のみに当該非積層間隙部を設け
ても良いこと論を俟つまでもない。

〔作用〕

斯くして得られた重ね折り角底部の端部積層部
は、切り込み残留部片２Ｓが非内方折り込み部と
して、五角形折り込み片部５，６とは異なり、何
ら内方に折り込まれない状態にある結果、この折
り返し片８不存在部により、第５図に示す如く、
当該切り込み残留部片２Ｓの厚さ相当分、換言す
れば五角形折り込み片部６の厚さ相当分の外部に
通じる非積層間隙部７が、表面部片３と五角形折
り込み片部６との間並びに裏面部片４と五角形折
り込み片部６との間に形成される。而して、重包
装袋内の空気Ｐは、第１１及び第１２図に示す如
く、重ね折り角底部の端部積層部に形成された当
該非積層間隙部７を通つて外部に抜気される。

〔考案の効果〕

本考案は合成樹脂フイルム製内袋の存在によ
り、極めて優れた防湿効果が得られると共に、非
積層間隙部７により内容物充填中の空気が外部に
放出せられる結果、空気充満による重包装袋の膨
張が未然に防止せられるものである。しかも、当
該非積層間隙部７は、内容物の充填が終了すると
該内容物の充満により、積層部が圧縮される結
果、該間隙部７自体が圧閉され、該間隙部７によ
る湿気侵入の惧れは殆ど認められない。

因に、切り込み２を入れずに、従来法に従つて
重ね折り角底部を形成すれば、第６〜９図の通り
であり、得られた端部積層部は、五角形折り込み
片部５Ｐ及び６Ｐが内方に折り込まれて形成され
ている結果、第１０図に示す如く、非積層間隙部
がなく、従つてまた空気の逃げのない重包装袋と
ならざるを得ないものである。

以上従つて、本考案によれば防湿と空気抜きと
云う相矛盾した技術的課題を克服した極めて実用
性に優れた重包装袋を提供し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は非積層間隙部を形成する重ね折り
例を示す平面説明図、第５図は第４図Ａ−Ａ線要
部拡大断面図、第６〜９図は従来角底部の重ね折
り例を示す平面説明図、第１０図は第９図Ｂ−Ｂ
線要部拡大断面図、第１１図は袋内部から外部へ
の空気の流れを示す平面説明図、第１２図は五角
形折り込み片部５と裏面部片４との間に形成され
る非積層間隙部７に於ける空気の流れを示す第１
１図Ｂ−Ｂ線要部拡大断面説明図である。 １……袋筒、２……切り込み、２Ｓ……切り込
み残留部片、５，６……五角形折り込み片部、７
……非積層間隙部、８……折り返し片、９……屈
曲部、Ｐ……空気。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂フイルム製内袋を有する袋筒１開口部
   上辺の少なくとも一ケ所に切り込み２を入れた
   後、該袋筒１の開口部を拡げつつ左右両端部を内
   側に折り込み、少なくとも一方の端部に切り込み
   残留部片２Ｓを非内方折り込み部とする五角形折
   り込み片部５及び／又は６を形成し、次いで裏面
   部片４及び表面部片３を準次重ね折りして角底部
   とし、当該五角形折り込み片部５及び／又は６と
   表面部片３及び裏面部片４との間に、折り返し片
   ８不存在部による外部に通じる非積層間隙部７を
   形成したことを特徴とする重包装袋。