JPH0247298Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車用の摩擦クラツチ等に使用さ
れるダイヤフラムスプリング式クラツチカバー組
立体に関する。

（従来の技術） 一般に、中央に大径孔を有する皿状のクラツチ
カバー本体内に、プレツシヤプレートを付勢する
ダイヤフラムスプリングを同心に配置したダイヤ
フラムスプリング式クラツチカバー組立体では、
ダイヤフラムスプリングの内周部に内周縁に向け
て放射方向に延びる多数のフインガーを一体に有
している。

即ち、上記ダイヤフラムスプリングの構成で
は、フインガーは半径方向に延びる比較的長い帯
状に形成されている。又、フインガーの外周部は
ダイヤフラムスプリングの外周側円環状部分に一
体に形成されているが、内周部は自由端となつて
いる。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来の構成では、クラツチカバー組立体を
セツトした場合に、エンジンの軸振動がクラツチ
カバー本体を通じてダイヤフラムスプリングに伝
わり、ダイヤフラムスプリングのフインガーを共
振させるという問題点を有している。

ダイヤフラムスプリングのフインガーが共振す
ると、ダイヤフラムスプリングにより付勢される
プレツシヤプレートが振動し、クラツチエンゲー
ジ時のトルク伝達が均一かつスムーズに行なわれ
なくなる。更に、このプレツシヤプレートの振動
に伴つて、ジヤダーや異音が発生する。

本考案は、上記問題点を解決しようとするもの
である。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、中央に大径孔を有する皿状のクラツ
チカバー本体内に、プレツシヤプレートを付勢す
る金属板から成るダイヤフラムスプリングを同心
に配置し；ダイヤフラムスプリングの内周部に内
周縁に向けて放射方向に延びる多数のフインガー
を一体に形成したダイヤフラムスプリング式クラ
ツチカバー組立体において；概ねカバー円周方向
に延びる非金属材料製の振動減衰材料を複数のフ
インガーの両面に着座させ、隣接する２個のフイ
ンガーの間のスリツトを挟んで対向する２個の振
動減衰部材の一方に、スリツトを通過して他方の
振動減衰部材側へ突出した突起を設け、上記他方
の振動減衰部材に上記突起が固定状態で嵌合する
孔を設け、上記突起の先端部に、上記孔を通過し
て、上記他方の振動減衰部材のフインガーと反対
側の面に係合できる頭部を形成したことを特徴と
するダイヤフラムスプリング式クラツチカバー組
立体である。

（作用） フインガー表面に着座させた振動減衰部材によ
つてフインガーの振動が減衰されるので、クラツ
チカバー本体を通じてダイヤフラムスプリングに
振動が伝わつた場合でも、ダイヤフラムスプリン
グは共振しなくなる。

これによつて、クラツチエンゲージ時のトルク
伝達が均一かつスムーズに行なわれるようにな
る。更に、ジヤダーや異音が発生しなくなる。

（実施例） まず第１図及び第２図により、本考案ではない
が、本考案に関連する技術を説明する。

第１図において、図示しないエンジンにより駆
動されるフライホイール１１には、中央に大径孔
を有する皿状のクラツチカバー本体１２の外周部
が同心に固定されている。フライホイール１１と
クラツチカバー本体１２とで形成される空間内に
は同心のクラツチデイスク１３が配置され、クラ
ツチデイスク１３の中心部には図示しない出力軸
が連結されている。又、クラツチデイスク１３を
フライホイール１１側へ押圧するためのプレツシ
ヤプレート１４も上記空間内に同心に配置されて
いる。プレツシヤプレート１４は背面に突起１５
を備え、突起１５に環状のダイヤフラムスプリン
グ１６の外周部が当接している。ダイヤフラムス
プリング１６の外周側寄りの部分の両面には、１
対のワイヤーリング１７，１８が接触している。
ワイヤーリング１７，１８はダイヤフラムスプリ
ング１６の支点を構成する部材であり、いずれも
クラツチカバー本体１２に一体に形成されたタブ
１９によつて支持されている。ダイヤフラムスプ
リング１６の内周部には、レリーズベアリング２
０がプレツシヤプレート１４と反対の側から対向
している。レリーズベアリング２０は図示しない
出力軸の周囲に摺動自在に設けられており、図示
しないリンク機構等を介してクラツチペダルに連
結されている。

第２図に示すように、ダイヤフラムスプリング
１６は内周縁から外周よりの部分まで延びる放射
状のスリツト２２を備え、スリツト２２よりも外
周側の部分だけが環状に連続している。スリツト
２２の半径方向外側端部はカバー円周方向に拡開
されて、小判孔２４が形成されている。上記タブ
１９はそれぞれ小判孔２４が通つて第１図のよう
にプレツシヤプレート１４側へ延びている。タブ
１９のプレツシヤプレート１４側端部はカバー外
周側に湾曲しており、これによつてワイヤーリン
グ１７，１８をクラツチカバー本体１２と同心の
位置に保持している。

一方、第２図に示すように、上記スリツト２２
によつてダイヤフラムスプリング１６の内周部に
はその内周縁に向けて放射方向に延びる多数のフ
インガー２３が一体に形成されている。即ち、フ
インガー２３は半径方向に延びる比較的長い帯状
に形成されている。又、フインガー２３の外周部
はダイヤフラムスプリング１６の外周側円環状部
分に一体に形成されているが、内周部は自由端と
なつており、上記レリーズベアリング２０が当接
し得るようになつている。

フインガー２３には減衰部材２５が併設されて
いる。減衰部材２５はゴムや合成樹脂等の振動減
衰能力に優れた非金属材料製の環状部材で、フイ
ンガー２３の例えば長手方向（ダイヤフラムスプ
リング１６の半径方向）中間部の表面に着座して
ある。なお減衰部材２５を複数の円弧状部材で構
成することもできる。

フインガー２３の減衰部材２５と反対の側の面
には、減衰部材２５に沿つて延びる減衰部材２６
が着座している。減衰部材２６は減衰部材２５と
同様の材料で構成されており、両者はスリツト２
２を通過する複数のリベツト２７で連結されてい
る。

次に作動を説明する。第１図において、クラツ
チ接続状態では、ワイヤーリング１７，１８を支
点としてダイヤフラムスプリング１６が自己の弾
性によりプレツシヤプレート１４をフライホイー
ル１１側へ押しており、プレツシヤプレート１４
とフライホイール１１とでクラツチデイスク１３
を挟持している。クラツチを切断するため図示し
ないクラツチペダルを踏込むと、レリーズベアリ
ング２０がダイヤフラムスプリング１６の内周部
をフライホイール１１側へ押す（第１図の仮想線
の位置）。これによりダイヤフラムスプリング１
６はプレツシヤプレート１４に対する押付け力を
解放し、フライホイール１１とプレツシヤプレー
ト１４によるクラツチデイスク１３に対する挟持
が解かれる。又、このクラツチ切断状態から図示
しないクラツチペダルの踏込みを徐々に解除する
と、ダイヤフラムスプリング１６がプレツシヤプ
レート１４を押圧し、再びクラツチ接続状態とな
る。

上記作動時には、エンジンの軸振動がフライホ
イール１１及びクラツチカバー本体１２を通じて
ダイヤフラムスプリング１６に伝わる。しかしこ
の場合には、フインガー２３の振動は減衰部材２
５及び２６により減衰されるので、フインガー２
３の振動は防止又は低減される。従つてダイヤフ
ラムスプリング１６に連結する各部（例えばプレ
ツシヤプレート１４、クラツチカバー１２、レリ
ーズベアリング２０等）の振動は抑制され、クラ
ツチエンゲージ時のトルク伝達が均一かつスムー
ズに行なわれるようになり、ジヤダーや異音も発
生しなくなる。

そして、本考案によると、上述のリベツト２７
による連結構造に代えて第３図に示す構造が使用
することもできる。

すなわち本考案では、減衰部材２５が例えば合
成樹脂で形成され、その円周方向複数箇所に突起
２８が一体に形成してある。突起２８の先端部に
は概ね円錐形状又は半球状の頭部２９が形成して
あり、突起２８の軸部がスリツト２２及び減衰部
材２６の孔を貫通し、頭部２９が減衰部材２６の
フインガー２３と反対側の面に係合している。こ
の構造によると、減衰部材２５，２６とフインガ
ー２３を所定の位置関係に保ち、減衰部材２５を
減衰部材２６に向けて矢印Ｂの如く押すだけで、
減衰部材２５，２６をフインガー２３に取付ける
ことができる。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によると、フインガ
ー２３に装着した減衰部材２５によりダイヤフラ
ムスプリング１６やそれに連結する各部の振動を
防止あるいは抑制できるので、ジヤダーや異音の
発生を防止するとともに、クラツチの接続遮断動
作の円滑化を図ることができる。

更に本考案では、フインガー２３の両面に着座
させた減衰部材２５，２６の一方に頭部２９付き
の突起２８を設け、その突起２８をスリツト２２
及び減衰部材２６の孔に通して両減衰部材２５，
２６をフインガー２３に固定しているので、減衰
部材２５，２６の取り付け作業を簡単化できる。
又、ダイヤフラムスプリング１６などに、減衰部
材を取り付けるための特殊な構造を必要とせず、
従つて構造を簡単化できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に関連するダイヤフラム式クラ
ツチカバー組立体の縦断面図、第２図はその矢
視部分図、第３図は本考案実施例を分解状態で示
す断面部分図である。１２……クラツチカバー本
体、１４……プレツシヤプレート、１６……ダイ
ヤフラムスプリング、２３……フインガー、２
５，２６……減衰部材、２８……突起、２９……
頭部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中央に大径孔を有する皿状のクラツチカバー本
   体内に、プレツシヤプレートを付勢する金属板か
   ら成るダイヤフラムスプリングを同心に配置し；
   ダイヤフラムスプリングの内周部に内周縁に向け
   て放射方向に延びる多数のフインガーを一体に形
   成したダイヤフラムスプリング式クラツチカバー
   組立体において；概ねカバー円周方向に延びる非
   金属材料製の振動減衰材料を複数のフインガーの
   両面に着座させ、隣接する２個のフインガーの間
   のスリツトを挟んで対向する２個の振動減衰部材
   の一方に、スリツトを通過して他方の振動減衰部
   材側へ突出した突起を設け、上記他方の振動減衰
   部材に上記突起が固定状態で嵌合する孔を設け、
   上記突起の先端部に、上記孔を通過して、上記他
   方の振動減衰部材のフインガーと反対側の面に係
   合できる頭部を形成したことを特徴とするダイヤ
   フラムスプリング式クラツチカバー組立体。