JPH0244529Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は圧電材料の逆圧電効果による伸縮を応
用する圧電バイモルフ装置に関する。

圧電アクチユエータは、構造面から分類する
と、変位の拡大機能をもつ横効果を有する圧電バ
イモルフ、縦効果を利用して単位長当たりの変位
を大きくするようにした横層型圧電変位素子に大
別できる。

圧電バイモルフは、前述のとおり構造そのもの
に拡大機構の要素を持ち、構成する圧電板の横効
果による伸びの数百倍の屈曲変位を先端において
発生するもので、低電圧で大きな変位が得られる
圧電アクチユエータとして種々の応用が検討され
ている。

しかし、圧電バイモルフの欠点としては、先端
位置の不安定さがあげられる。これは構造そのも
のが片持ち梁の構造であり、外的な機械振動のみ
ならず温度の変化、あるいは圧電変位に関連して
電圧印加の継続の場合に、変位が徐々に増大して
ゆく不都合な現象も認められる。

圧電バイモルフを何等かの駆動源として用いる
場合、先端位置が温度によつて変動することは、
種々の性能の劣化を招くことになるが、現実には
数種の材質からなるラミネート構造のため、バイ
メタルと同じ効果によつて先端のたわみが生ずる
ことが避けられない。

本考案はかかる点に鑑み、圧電バイモルフにお
いて、その固定部分をシーソー構造とし、支点の
両側を熱膨張係数の夫々異なるねじで締め付け、
温度変化に起因して固定しているねじの熱膨張係
数の違いにより、固定部分の角度を変化せしめ、
結果としてバイモルフの先端位置の温度変化によ
る変動と相殺せしめ得るようにし、先端位置の温
度安定性を改善したバイモルフ装置を提案するこ
とを主たる目的とする。

以下本考案の一実施例について図面を参照しな
がら詳細に説明する。

第１図は本考案の基本的構造を示す図である。
バイモルフ素子１を固定するための固定部２の下
側には突起４が設けられている。したがつて、基
礎板６の上に固定部２をねじ３より固定すると、
バイモルフ素子１の固定部２は突起４を支点とし
て、４つのねじ３で締め付けられた揺動可能な構
造となる。

すなわち第２図において、突起４の支点をはさ
んで両側のねじ３の伸縮量の差により、バイモル
フ素子１の固定部２の取り付け角度に変化が生ず
ることになり、バイモルフ素子１の先端の位置は
徐々に上下に変化する。

これを具体的に示すと、突起４をはさんで前後
のねじ３同士の距離が10mm、ねじ３の実効長10
mm、突起４からバイモルフ素子１の先端までの距
離が55mm、前部のねじ３が軟鉄、後部のねじ３が
黄銅の場合には、30℃の温度変化によるバイモル
フ素子１の先端の変位量をを求めると、、固定部
２のねじ３の伸縮の差Δlは、 △ｌ＝10mm×（190−115）×10^-7／℃×30℃ ＝0.00225mm シーソー構造によつて拡大される比率は、 55mm÷５mm＝11（倍） したがつて、バイモルフ素子１の先端の変位量
△l′は、 △l′＝△ｌ×11＝0.0245mm 実際には、ねじ３の締め付けの程度、固定部２
を構成する材質によつても多少異なるが、支点前
後のねじ３の材質、締め付けの程度を適当に選ぶ
ことによつて、バイモルフ素子１自体が温度の変
化によつて先端が変動する分を、固定部の角度調
整によつて相殺することが可能となる。したがつ
て、バイモルフ素子１の先端位置は温度変化に対
して不動とすることができ、極めて安定した動作
を行なわせることができることになる。

以上述べたごとく本考案によれば、圧電バイモ
ルフの固定部分を揺動構造とし、揺動支点の両側
をねじで締め付けて固定する構造において、上記
ねじの異なる熱膨張係数の材質で構成し、環境温
度の変化に応ずる上記バイモルフ先端の位置の変
動を一定に調整し得るように構成したので、 従来、温度的にも不安定であつたバイモルフ素
子１の先端位置が安定化されるため、光通信関連
調整機構、圧電リレー、硬質処理機構等、圧電バ
イモルフ全ての応用分野において活用でき、技術
的には極めて価値のある考案となる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示す斜
視図及び側面図である。 １……バイモルフ素子、２……固定部分、３…
…ねじ、４……突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 圧電バイモルフの固定部分を揺動構造とし、揺
   動支点の両側をねじで締め付けて固定する構造に
   おいて、上記ねじの異なる熱膨張係数の材質で構
   成し、環境温度の変化に応ずる上記バイモルフ先
   端の位置の変動を一定に調整し得るようにしたこ
   とを特徴とするバイモルフ装置。