JPH024436Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は低融点合金部と銀線部とを直列に接続
しさらにその低融点合金部の外周には消弧チユー
ブを被せたヒユーズエレメントを絶縁筒内に収納
しその収納したエレメントの両端を絶縁筒の上下
外周に固着した上下部両電極にそれぞれ接続しさ
らに絶縁筒の絶縁空間には消弧剤を充填した全領
域形高圧限流ヒユーズの改良に係り、特にアーク
エネルギーが最大となる遮断（電流値）において
も絶縁筒を熱破壊させることなく確実に遮断動作
が行なえる構造を提供せんとするものである。

高圧配電線路では、従来の放出形ヒユーズに比
して遮断容量が大きいこと、無音、無炎であり安
全性が高いこと等の理由から限流ヒユーズが単独
で使用されたりあるいは開閉器及び高圧カツトア
ウト等のスイツチ類に組み込まれて使用されたり
している。そしてその中でも最近は第３図に示す
ように銀線と金合金の低融点合金線とを直列に接
続したヒユーズエレメントを使用すると共にさら
にこの低融点合金線の外周にハロゲン化合物、例
えばフツソ樹脂あるいはガラス繊維にシリコーン
を含浸した材料の消弧チユーブを被せて小電流領
域の遮断をも可能にした全領域形高圧カツトアウ
ト用限流ヒユーズが多く使用されるようになつ
た。しかしながら、このような全領域形高圧カツ
トアウト用限流ヒユーズでは性能アツプと同時に
上記のように他の機器への組み込み等を考慮して
小形軽量化が図られており、その絶縁筒の直径が
従来のものに比して一段と小さくなつている。そ
のため該ヒユーズにおける絶縁筒の絶縁空間つま
り内径は当然狭くなり特に巻芯にヒユーズエレメ
ントを捲回しこれを絶縁筒内に収納するようにし
た構造においては巻芯に捲回したヒユーズエレメ
ントと絶縁筒の内壁面間との距離が一段と接近し
た状態となる。そしてかかる構造のヒユーズにお
いて遮断が起こりそれが最大のアークエネルギー
となる電流値（ヒユーズの定格電流が７〜15Aの
高圧限流ヒユーズでは2000A程度）での遮断の場
合には、生成される高抵抗体物質の粒径が特に大
きくなるため、高熱状態の高抵抗体物質が無機質
のガラスあるいは磁器よりなる絶縁筒の内壁面に
まで到達（接触）し、その熱によつて絶縁筒を局
部的に加熱し偏熱破壊させたりする。

すなわち大電流遮断時にヒユーズエレメント５
がその全長に亘つて溶融気化し、この溶融気化し
たヒユーズエレメントがつまり、アークがが同エ
レメントの周囲の消弧剤中に拡散浸透し、高抵抗
体物質を形成する。即ち、高抵抗物質は、巻芯の
外周面に対しその全長に亘つてスパイラルに巻か
れたエレメントに沿つて形成される。

それ故、高圧カツトアウト用限流ヒユーズのよ
うに絶縁筒の内径が極めて小さい場合には巻芯巻
芯つまりヒユーズエレメントが絶縁筒の中心に収
納配置されていないと同エレメントが絶縁筒の一
方の内壁面に対し接近することになるためこの状
態で大電流遮断が発生し、高抵抗物質が形成され
れば高熱状態の高抵抗体物質が絶縁筒の内壁面に
接触し、これによつて同筒の偏熱破壊を引き起こ
す。

本案は上記の点に鑑みて提案するもので、低融
点合金部３と銀線部４とを直列に接続しその低融
点合金部３の外周に消弧チユーブ２０を被せたヒ
ユーズエレメント５をスパイラルに巻いて絶縁筒
１内に密閉収納しその収納したエレメントの両端
を絶縁筒１の上下外周に固着した上下部両電極
７，８にそれぞれ接続しさらに絶縁筒１の絶縁空
間１に消弧剤６を充填した全領域形高圧カツトア
ウト用限流ヒユーズにおいて、上記ヒユーズエレ
メント及び表示体用収納ケース１３と、絶縁筒の
内壁面１ａとの間に介在して、特に石綿からなる
絶縁性用断熱部材１９を配設し、かつ、前記巻芯
の上端に固定したガイド金具２２に巻芯の軸心を
中心としたラツパ状拡開部２２ａを形成し、該拡
開部２２ａの上部電極７に対する係合と前記表示
体用収納ケース１３の絶縁筒１の下端に被着した
下部カバー１６の中心に対する係合とによりヒユ
ーズエレメント５を絶縁筒１内の中心部に設置さ
せるようにしたものである。

以下、本案の技術思想を高圧カツトアウト用限
流ヒユーズにおいて具現化した場合の実施例につ
いて説明する。

１は無機質のガラスあるいはアリミナ磁器より
なる絶縁筒であり、その筒内にはコージライトあ
るいはアルミナ焼結体よりなる巻芯２とこの巻芯
２の外周面２ａに対しその全長に亘つてスパイラ
ルにヒユーズエレメント５が捲回されている。ヒ
ユーズエレメント５は低融点合金部３と銀線部４
とを直列接続したものでその低融点合金部３の外
周面には消弧チユーブ２０が被せられている。２
１は消弧チユーブ２０内に消弧剤６が侵入しない
ように同チユーブ２０の両端の開口部２０ａに挿
着したガラス繊維性の密栓を示す。上記の構成か
らなる巻芯２およびヒユーズエレメント５は消弧
チユーブ２０を被せた低融点合金部３が絶縁筒１
の上下外周に固着した上部電極７と下部電極８と
の間に位置するように絶縁筒１内に密閉収納され
るものでこれらの収納後さらに絶縁筒１内の絶縁
空間１ｂには硅砂、石英等からなる消弧剤６が充
填される。７，８は絶縁筒１の上下外周に固着し
た挿入刃７ａ，８ａ付きの上部電極と下部電極で
あり、上部電極７の上端開口部７ｂには巻芯２の
上端部に嵌着したラツパ状のガイド金具２２の拡
開部２２ａがそのテーパ状の内壁面７ｃに係止し
て該巻芯２が絶縁筒１内の中心に支持されるよう
になつている。９は中空の巻芯内に配設された表
示用抵抗線であり、同抵抗線９の一端と銀線４の
一端４ａとは上記開口部７ｂを閉鎖する石綿等の
断熱性クツシヨン材１０を介して外部へ導出され
さらにその外側に密着した板状の金属キヤツプ１
１に半田付けされて上部電極７に接続されてい
る。１２はその半田を示す。１３は絶縁筒１の下
端に位置して内装した絶縁部材（合成樹脂）より
なる表示体用収納ケースであり同ケースはその一
端に設けた軸線方向に突出するガイド部１３ａを
巻芯２の下端２ｂに差し込んで同巻芯２を軸線方
向に延長するようにして直結している。９は巻芯
２内に配設した表示用抵抗線であり同線は表示体
用収納ケース１３に内装した表示体１４に一旦連
結しさらにその余長部分をヒユーズエレメント５
の銀線部４と共に導電板１７の一端１７ａに接続
している。１５は表示体１４の係止段部１４ａを
収納ケース１３の上端部１３ｂ間に圧縮状態で介
在する表示体用バネであり、表示体１４を常時飛
び出し方向（下方に）付勢している。１７は下部
カバー１６の絶縁筒１に対する取付時、同絶縁筒
と下部カバー１６間で挟着固定される導電板であ
りその一端１７ａを絶縁筒１の下端開口部１ｃに
位置させて上記のごとく銀線部４と接続しさらに
絶縁筒１の下端より下端外面１ｄに沿つて上方へ
延出した他端１７ｂをビス１８によつて下部電極
８に接続している。

１６は導電板１７を覆うようにして絶縁筒１の
下端外面１ｄに被着した袋状の下部カバーであり
その後端１６ａの中央には係合凹部１６ｂと表示
体用***１６ｃとが設けられその内の係合凹部１
６ｂを収納ケース１３の下端部１３に嵌め、さら
に表示体用***１６ｃには先端１４ｂをアール状
に形成した表示体１４をその先端１４ｂがカバー
１６外へ突出しない程度に同***１６ｃに嵌入さ
せている。１９は絶縁筒１の内壁面１ａの全長に
亘つて内張りしたシート状石綿からなる絶縁性断
熱部材を示す。また絶縁筒１の全長に亘つて絶縁
性断熱部材１９を設けるのでなく第３図のように
消弧チユーブ２０の外側に若干の間隔を保つてパ
イプ状の石綿からなる絶縁性断熱部材１９を配置
する。また上記絶縁性断熱部材１９はその長手方
向の長さが少なくとも消弧チユーブ２０の両端
開口部２０ａよりさらに長手方向に延長させる
（消弧チユーブを覆うようにする）ことが必要で
ある。なお、パイプ状の絶縁性断熱部材１９は消
弧チユーブ２０を覆うだけではなく絶縁筒１の内
壁面１ａと銀線部４間の距離が接近する表示体用
収納ケース１３付近の外周面に沿つて同ケース１
３を覆うようにすれば遮断時にヒユーズエレメン
ト５と消弧剤６とで形成される高熱の高抵抗体物
質（通称いも虫という）が同部材により遮断され
て同部分における絶縁筒の偏熱破壊を防止するこ
とができる。

つまり、絶縁性断熱部材１９は上記したごとく
絶縁筒１の内壁面１ａの全長ａ−ｂ間に設けたり
あるいは消弧チユーブ２０と表示体用収納ケース
１３とが位置するｃ−ｄ間およびｅ−ｂ間の２箇
所に設けるようにする。

さて、上記構成のヒユーズにおいて、故障電流
が流れそれが大電流の場合には同ヒユーズのヒユ
ーズエレメントがその全長に亘つて瞬時に発弧し
その発生したアークは消弧剤中に拡散して高抵抗
体物質を生成しこれによつて絶縁回復がなされて
遮断が完了する。そしてこの場合アークと消弧剤
とによつて高熱の高抵抗体物質が生成されるが同
抵抗物質は絶縁性耐熱部材１９によつて絶縁筒の
内壁面への直接接触（到達）が阻止されるため絶
縁筒は局部加熱されず従つて偏熱破壊しない。な
お、この場合ヒユーズエレメント５の溶断と同時
に同電流がヒユーズエレメント５と並列に接続し
た表示用抵抗線９に移行して流れるため、同抵抗
線が続いて溶断しそれによつて常時飛び出し方向
に付勢された表示体１４が表示用バネ１５により
下部カバー１６の表示体用***１６ｃより飛び出
してヒユーズが溶断（遮断）したことを表示す
る。

また表示の際、表示体１４はその係止段部１４
ａが下部カバー１６の係合凹部１６ｂに係止され
て表示体１４はその飛び出し過ぎが防止される。

次に故障電流が小さい場合には低融点合金部３
において溶断発弧しそのアークによる熱で同合金
部に被せた消弧チユーブ２０が熱分解して消弧性
ガスを発生させそれによりアークは消弧され遮断
される。なお、表示体は上記同様に突出動作して
ヒユーズが溶断したことを表示する。尚、石綿は
一般に化学組成が3Mg・2SiO₂・2H₂Oであり、
主体は無機物と水から成つている。

そのため、大電流遮断によつてヒユーズエレメ
ントが気化しその周囲に配置された消弧剤が赤熱
（高熱）化して絶縁性断熱部材が高温に晒された
場合にも結晶水の脱水分解が起こるだけである。

このことは石綿が高温化した消弧剤の高熱化を
抑制して同消弧剤による絶縁筒への伝熱阻止を一
段と確実にすることを意味すると同時に分解ガス
の発生がないために絶縁筒の内圧を上昇させない
ことを意味するものである。

つまり、石綿を絶縁性断熱部材１９として使用
したことにより、大電流遮断時、絶縁筒を熱的お
よび機械的な破壊から護ることができる。

本案は以上の構成からなり、アークエネルギー
が最大となる電流値（定格電流7A〜15A、遮断
電流2000A程度）での遮断、即ち発生したアーク
と充填された消弧剤とによつて生成される高抵抗
体物質が最大の粒径となる場合でも絶縁筒１の内
壁面１ａとヒユーズエレメント５との間に介在す
る石綿の絶縁性断熱部材１９によつてこれら高熱
状態の高抵抗体物質が絶縁筒１の内壁面１ａに直
接接触（到達）するのを阻止できるため、高抵抗
体物質の絶縁筒１に対する伝熱が遮断されて絶縁
筒の偏熱破壊が確実に防止されるようになる。

更に巻芯およびヒユーズエレメントとが芯だし
され、絶縁筒の中心に常に正確に位置して収納さ
れるため、細径（内径）の絶縁筒であつても大電
流遮断時に形成される高熱状態の高抵抗物質の絶
縁筒内壁に対する接触が防止され、絶縁筒の局部
過熱による偏熱破壊が防止される。

なお、この場合絶縁筒の内壁面とヒユーズエレ
メントとの間及び絶縁筒の内壁面と表示体収納ケ
ースとの間に介在する絶縁性断熱部材１９による
絶縁筒の偏熱破壊防止効果も相乗的に作用する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す全領域形高圧カ
ツトアウト用限流ヒユーズの縦断面図、第２図は
ヒユーズエレメントを示す縦断面図、第３図は本
考案の他の実施例を示す縦断面図である。 １……絶縁筒、１ａ……内壁面、１ｂ……絶縁
空間、３……低融点合金部、４……銀線部、５…
…ヒユーズエレメント、６……消弧剤、７……上
部電極、８……下部電極、１３……表示体用収納
ケース、１９……絶縁性断熱部材、２０……消弧
チユーブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 低融点合金部３と銀線部４とを直列に接続しそ
   の低融点合金部３の外周に消弧チユーブ２０を被
   せたヒユーズエレメント５を、巻芯の外周にスパ
   イラルに巻いて絶縁筒１内に密閉収納しその収納
   したエレメント５の両端を絶縁筒１の上下に固着
   した上下部両電極７，８にそれぞれ接続しさらに
   絶縁筒１の絶縁空間１ｂに消弧剤６を充填しさら
   に上記巻芯を、その下端部に表示体用収納ケース
   １３を直結延長した全領域型高圧カツトアウト用
   限流ヒユーズにおいて、上記ヒユーズエレメント
   及び表示体用収納ケース１３と、絶縁筒の内壁面
   １ａとの間に介在して、特に石綿からなる絶縁性
   断熱部材１９を配設し、かつ、前記巻芯の上端に
   固定したガイド金具２２に巻芯の軸心を中心とし
   たラツパ状拡開部２２ａを形成し、該拡開部２２
   ａの上部電極７に対する係合と前記表示体用収納
   ケース１３の絶縁筒１の下端に被着した下部カバ
   ー１６の中心に対する係合とによりヒユーズエレ
   メント５を絶縁筒１内の中心部に設置させるよう
   にしたことを特徴とする全領域形高圧カツトアウ
   ト用限流ヒユーズ。