JPH024261Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、ピンスライド型デイスクブレーキ
における、アウターパツドと、該アウターパツド
を係合するキヤリパーとの上下方向（該キヤリパ
ーの移動方向と直交する方向）の、いわゆる「ガ
タ」をなくするように形成したパツド保持金具に
関する。

従来の技術 従来例における、この種デイスクブレーキのキ
ヤリパーとアウターパツドの係合は、第２図およ
び第３図に示すように、キヤリパー１の天井壁部
に形成された開口部の、デイスクローターの軸線
に平行な開口縁に、Ｖ開先状の係合基台２（第１
図）或は段付状の係合基台２を設けて形成すると
共に、摩耗材としてのアウターパツド３を一体に
鋲着するアウターパツド裏板４の上端縁に前記Ｖ
開先状或は段付状の係合基台２と嵌合さる係合突
部５を設けて形成し、アウターパツド３およびア
ウターパツド裏板４の上下方向の位置づけと、制
動時におけるアウターパツド３およびアウターパ
ツド裏板４の摺動案内を司どるように形成されて
いる。

考案が解決しようとする問題点 従来例におけるように、キヤリパー１の係合基
台２とアウターパツド裏板４の係合突部５の嵌合
による係合方式では、係合基台２と係合突部５の
接触面が、制動時のトルクおよびアウターパツド
裏板４の移動摩擦を全部受持つことになる。また
制動時および車輛走行時に生ずる振動による接触
面の衝突も生ずるので、係合突部５の接触面が摩
耗したり、遡性的に変形し、キヤリパー１とアウ
ターパツド裏板４の係合が外ずれ、アウターパツ
ド３およびアウターパツド裏板４が脱落する問題
点がある。また係合基台２と係合突部５の嵌合部
における間隙をなくし、嵌合精度を高めて、上述
の問題点に対処するためには、嵌合部を精度よく
機械加工を施して形成する必要がある。しかし機
械加工し難い位置における、この機械加工は、作
業性にとぼしく、実際の製品に適用し難い問題点
を併合する。

問題点を解決するための手段 この考案は、パツド保持金具を設けてアウター
パツト３およびアウターパツド裏板４をキヤリパ
ー１の係合基台２から吊り下げるように形成し
て、脱嵌し得ないようにすると共に、上下方向の
「ガタ」をパツド保持金具の弾性力で吸収して制
動時における「発生音」を防止するように形成し
て上述の問題点を解決したデイスクブレーキにお
けるパツド保持金具を提供することを目的とする
ものである。

実施例 この考案を図示の実施例に基づいて詳細に説明
する。

まず理解を容易にするため、第４図に基づい
て、この考案に係るピンスライド型デイスクブレ
ーキの概要について説明する。第４図はデイスク
ブレーキの上方やや右寄から見た斜視図である。
図中１がキヤリパー、３がアウターパツド、４が
アウターパツド裏板、６がデイスクローター、７
がインナーパツド、８がインナーパツド裏板、９
はブレーキ基台、１０はスライドピンである。

キヤリパー１は、ブレーキ基台９に固定された
スライドピン１０によつてブレーキ基台９に保持
され、制動時にスライドピン１０をスライドし
て、インナーパツド７とアウターパツド３で回転
するデイスクローター６を挾んで制動するように
形成されている。すなわち、制動時に空気圧、若
しくは液圧又は螺子力によつて、ピストン又は押
出しロツドが押出されてインナーパツド裏板８を
押し、インナーパツド７をデイスクローター６の
一方の制動面に押しつけ、同時に、その反力でキ
ヤリパー１が押圧力と逆の方向に移動し、アウタ
ーパツド裏板４を押し、アウターパツド３を他方
の制動面に押し当て、アウターパツド３とインナ
ーパツド７で挾接して制動力を生ずるように形成
されている。この場合インナーパツド裏板８は、
ピストン又は押出しロツドと直接接触して強い押
圧力を受る。しかしアウターパツド裏板４はキヤ
リパー１の突出壁部１１から押圧力を受けるの
で、突出壁部１１の強さとも関連してキヤリパー
１の係合基台２と、アウターパツド裏板４の係合
突部５のわずかな「ガタ」が生長し、また発生音
の原因なりパツドの損傷を早める原因となつてい
る。

第１図は、この考案に係るパツド保持金具を設
けたデイスクブレーキの一部を欠除した平面図で
ある。パツド保持金具１２は、段付状に形成した
キヤリパー１の係合基台２に両側端部１３，１４
を載置状に設け中央部でアウターパツド裏板４の
係合突部５を固定するように形成し、パツド保持
金具１２を全体として曲りはり状の板ばねに形成
する。

またパツド保持金具１２は、第５図，第６図，
第７図に示すように、巾状薄肉鋼板を折曲して形
成し、両端部にやや巾広に形成した側端部１３，
１４を設けると共に、該側端部１３，１４のほぼ
中央に、長手方向に長辺を有する矩形形状の貫通
孔１５，１６を設けて形成する。また中央部に
は、アウターパツド裏板４の係合突部５を鋲着す
る抓み部１７を設けると共に、該抓み部１７が抓
み片部１８と対向する方向に突出するようにし、
アウターパツド４の外周縁とほぼ近似する凸面に
形成する。また抓み部１７は、第７図に示すよう
に、パツド保持金具１２を形成する巾状板の両側
に突出して形成したほぼ矩形状の突出片を、両側
外方に凸面を有する弾性部１９を設けて、ほぼ直
角に曲げて形成し、さらに端縁部を平行に対向す
るように形成し、同一線上の隔接した位置に対を
なす２組の鋲着孔を貫通して設けて形成する。

この場合、抓み片部１８の隔接間隔はアウター
パツド裏板４がわずかに遊嵌する寸法に形成す
る。アウターパツド裏板４は弧状に湾曲した内側
および外側周縁形状を有する扇形状に形成し、外
周縁から、外周縁の中点を中点として巾板状の係
合突部５を半径方向に突出して形成する。係合突
部５はアウターパツド裏板４と同一の板厚で一体
に形成する。該パツド保持金具１２を設けたアウ
ターパツド裏板４およびアウターパツド３は、第
９図に示すように、係合突起５の両側縁をキヤリ
パー１の開口縁とわずかに遊嵌する状態に嵌め合
せると共に、パツド保持金具１２の側端部１３，
１４を係合基台２に載置するようにして係合す
る。しかして、制動時にキヤリパー１の突出壁部
１１からの押圧力をアウターパツド裏板４が受け
ると、アウターパツド裏板４は側端部１３，１４
とキヤリパー１の係合基台２との接触面を摺動面
として力の方向に移動する。

この考案は上述の実施例に基づいて実用新案登
録請求の範囲のように形成したので、アウターパ
ツドは脱落するおそれは皆無となる。またパツド
保持金具の弾性力で上下方向のいわゆる「ガタ」
が吸収されるので、制動時や車輛の走行中に「ガ
タ」に起因する発生音をなくすことが可能とな
る。また係合基台の形成に精度の高い機械加工を
施す必要はなく、またパツド保持金具も平板加工
で形成されるので、形成が容易でかつ軽量に形成
できるので実用的なパツド保持金具の提供が可能
となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係るパツド保持金具を設
けたデイスクブレーキの一部を欠除した平面図、
第２図は、従来例の一を示すパツドとキヤリパー
の係合部の説明図、第３図は他の従来例における
係合部の説明図、第４図はデイスクブレーキの一
部を欠除した斜視図、第５図はパツド保持金具の
平面図、第６図は側面説明図、第７図は第６図に
おけるＡ−Ａ断面図、第８図はアウターパツドお
よび裏板の一部を欠除した正面図、第９図はパツ
ドとキヤリパーの係合部の説明図である。 １……キヤリパー、２……係合基台、３……ア
ウターパツド、４……アウターパツド裏板、５…
…係合突部、６……デイスクローター、１０……
スライドピン、１２……パツド保持金具、１３，
１４……側端部、１７……抓み部、１８……抓み
片部、１９……弾性部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. キヤリパーの天井壁部に開口部を有するピンス
   ライド型デイスクブレーキにおいて、当該開口部
   のデイスクローター軸線と平行する対向端面に段
   付状の係合基台２を形成し、該係合基台２に載置
   状に設ける巾状平板に形成した側端部１３，１４
   と、該側端部１３，１４の端間中央に形成し、ア
   ウターパツド裏板４の外周縁に突出して形成した
   係合突部５を挾持すると共に鋲着するように形成
   した抓み片部１８と、該抓み片部１８を、外方向
   に凸面を形成した弧状の湾曲部を設けて形成した
   弾性部１９で、一体に形成した抓み部１７を設
   け、該抓み部１７と側端部１３，１４を巾状平板
   で一体に形成し抓み部１７が突出してアウターパ
   ツド裏板４の外周縁と近似した凸面に形成し、抓
   み部１７で固定した係合突部５の端面が係合基台
   ２の対向端面とわずかに遊嵌するようにアウター
   パツド裏板４をキヤリパー１に係合するデイスク
   ブレーキにおけるパツド保持金具。