JPH0240080B2 - - Google Patents

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JPH0240080B2
JPH0240080B2 JP62254517A JP25451787A JPH0240080B2 JP H0240080 B2 JPH0240080 B2 JP H0240080B2 JP 62254517 A JP62254517 A JP 62254517A JP 25451787 A JP25451787 A JP 25451787A JP H0240080 B2 JPH0240080 B2 JP H0240080B2
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dna
hil2
cells
rna
sequence
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Chaaruzu Fuiaazu Warutaa
Robaato Debosu Reen
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Biogen NV
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Publication of JPH0240080B2 publication Critical patent/JPH0240080B2/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/70Vectors or expression systems specially adapted for E. coli
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/04Immunostimulants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons
    • C07K14/54Interleukins [IL]
    • C07K14/55IL-2
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は、N末端にメチオニンを有するひとイ
ンターロイキン2様ポリペプチドに関する。この
ひとインターロイキン2様ポリペプチドは、各種
の医薬およびその他の有益な産業用途に使用し得
る。 (従来の技術) インターロイキン2(「IL2」)はリンホカイン
である。リンホカインは、マイトジエンによる刺
激に際しリンパ球で合成される生産物である。こ
れらは可溶性の免疫反応調節因子である。多数の
リンホカインは、その医薬用途および実験室用途
に重要である。例えば、免疫インターフエロン
(IFN―γ)は抗ウイルス、抗癌および免疫調節
活性を有するリンホカインである〔例えば、アー
ル・デボス等、ヌクレイツク・アシツド・リサー
チ、第10巻、第2487―501頁(1982)〕。 インターロイキン2は、重要かつ有用な生物学
的性質を有するリンホカインである〔ギリス等、
イムノロジカル・レビユー、第63巻、第166―209
頁(1982)〕。例えば、IL2は、(a)in vitro(試験管
内)において抗原特異性の効果T―細胞の長期増
殖を刺激し、(b)胸腺細胞の有糸***を促進し、か
つ(c)細胞障害性T―細胞の反応性およびヌードマ
ウス脾細胞の培養物におけるプラーク形成反応を
誘発する〔ギリスおよびワトソン、ジヤーナル・
エキスペリメンタル・メデイスン、第152巻、第
1709〜19頁(1980);ジエー・ジエー・フアラー
等、イムノロジカル・レビユー、第63巻、第129
〜65頁(1982)〕。 生物学的性質の結果、インターロイキン2を使
用して、免疫系が阻害された癌患者におけるひと
白血球抗原の制限された腫瘍特異性の細胞障害性
細胞の補給を、例えば胸腺刺激によつて刺激する
ことができる。従つて、IL2による治療は、各種
の細菌およびその他の感染に対しこれらの患者の
耐性を増大させる。しばしば、これらの感染は癌
治療、特に照射および薬剤治療を複雑化させる。 さらに、免疫系を刺激するIL2の能力は、免疫
系の機能障害に関連する病気、例えばエイズ
(AIDS)、狼瘡、多発性硬化症および関節リユー
マチ症の治療に有用である。公表された臨床学的
研究は、これらの病気とT―リンパ球における異
常性または異常抗体の生成との間の関係を示して
いる。例えば、in vitroの研究が示唆するところ
では、免疫系の少なくとも幾つかの機能は、IL2
の投与によつてエイズ患者を回復させることがで
きる。さらに、in vitroの研究が示すところで
は、低レベルのIL2は、免疫系のこれら病気の幾
つかに関連する異常抗体の生成に関係する。 さらに、公表された研究によれば、IL2は広範
囲の癌の治療に有用であると信じられる。さら
に、固体腫瘍、例えば肺癌、結腸―大腸癌および
乳癌を治療するための補助治療として特に有用で
ある。また、IL2は単独でまたは補助治療剤と共
に陰部疱疹およびその他のウイルス病を治療する
のにも有用である。 さらに、インターフエロンの抗癌活性がIL―
2により高められ、かつIL2を必要とさえするこ
とが示されている。何故なら、IL2はインターフ
エロンの抗癌活性における主原印であると考えら
れる「ナチユラルキラー」細胞の全活性を刺激す
るからである(シー・エス・ヘニー、ネイチヤー
誌、第291巻、第335〜38頁(1981)〕。また、IL2
は幾種かの免疫病、例えば多発性硬化症の特徴で
あるサプレツサー細胞の欠乏を防止するにも有用
である。 最後に、IL2は診断および治療目的でT細胞の
培養物の確立および長期増殖についても使用され
る。例えば、同型細胞障害性T細胞の選択を可能
にするため、現在では癌細胞が使用されている。
これらのT細胞をin vitroで培養し、患者に注射
して腫瘍を後退させる。 生化学的レベルにおいて、IL2は約15000ダル
トンの分子量を有しかつグリコシル化されている
と信じられる。グリコシル化されていると仮定す
れば、これは100乃至130個のアミノ酸を有するは
ずである。IL2はカラム上で若干異質的に挙動す
る。SDSゲルにおいて、恐らくサブユニツトであ
る2つのバンド(12000および13000ダルトン)が
観察される〔ジエー・ダブリユー・マイエルおよ
びアール・シー・ガロ、プロシーデイング・ナシ
ヨナル・アカデミー・サイエンス、USA、第77
巻、第6134―38頁、(1980)〕。さらに、IL2は1
種より多い化合物である。これは白血球インター
フエロン(IFN―α)と同様に、種々なレベルの
免疫治療活性を示す1群の生産物である。また、
IL2は多形質でもある。例えば、特定個体の細胞
はより一般的なIL2分類内のIL2種類を生産する
ことができ、これら種類はそれが属する分類の原
型と生理学的に類似しているが、構造的に若干異
なつている。 リンホカインの1種であるIFN―γは、遺伝子
工学の応用によつて多量に生産されている(アー
ル・デボス等、上記〕。IL2はこの方法では生産
されていない。 しかしながら、IL2の多くの重要な免疫治療活
性のため、並びに診断および治療目的に対するT
細胞の確立および長期増殖におけるその必要用途
のため、IL2の大規模生産に関し種々の方法およ
び手段が研究されているが、まだ成功を収めたも
のはない。 (発明の構成) 本発明においては、IL2を暗号化するDNA配
列を位置決定しかつ同定し、これら配列によつて
適当な宿主を形質転換させ、それによりひとイン
ターロイキン2の免疫学的もしくは生物学的活性
を示すポリペプチドを生産しており、そのことに
より、上記問題を解決する。 本発明のポリペプチドは、N末端にメチオニン
を有するIL2様ポリペプチドであり、次のアミノ
酸配列を有する:
MetAlaProThrSerSerSerThrLysLysThrGlnLe
uGlnLeuGluHisLeuLeuLeuAsp
LeuGlnMetIleLe
uAsnGlyIleAsnAsnTyrLysAsn
ProLysLeuThrA
rgMetLeuThrPheLysPheTyrMe
tProLysLysAl
aThrGluLeuLysHisLeuGlnCys
LeuGluGluGluLe
uLysProLeuGluGluValLeuAsn
LeuAlaGlnSerL
ysAsnPheHisLeuArgProArgAs
pLeuIleSerAsnI
leAsnValIleValLeuGluLeuLy
sGlySerGluThrT
hrPheMetCysGluTyrAlaAspGl
uThrAlaThrIle
ValGluPheLeuAsnArgTrpIleT
hrPheCysGlnSer
IleIleSerThrLeuThr。 本発明によれば、免疫治療剤並びにT細胞の確
立および長期増殖に使用するための、IL2の免疫
学的もしくは生物学的活性を示すポリペプチドが
提供される。これらポリペプチドは、従来不可能
であつた量および方法で製造され得る。 以下の開示から明らかなように、本発明のIL2
の免疫学的もしくは生物学的活性を示すポリペプ
チドは、DNA配列および組み換えDNA分子を適
当な宿主中で発現させることにより産生すること
ができる。さらに、適当な宿主におけるこれら
DNA配列および組み換えDNA分子の複製は、こ
れらポリペプチドを暗号化する遺伝子を多量に製
造することを可能にする。これらポリペプチドお
よび遺伝子の分子構造および性質は、容易に決定
することができる。ポリペプチドおよび遺伝子
は、宿主中で生産されたままで或いは適当に誘導
または修飾した後に、これら生産物自身の生成を
検出しかつ改善するための組成物および方法、免
疫治療剤および方法に使用するための組成物およ
び方法、並びにT細胞の確立および長期増殖のた
めの組成物および方法に使用するのに有用であ
る。 上記から判るように、本発明の基本点は、
DNA組み換え技術を用いてIL2の免疫学的もし
くは生物学的活性を示すポリペプチドを提供する
ことである。ここで用いられるDNA配列は、以
下に示すDNA配列の集団からこの種の配列を少
なくとも選択し得ることであり、これらDNA配
列はDNA挿入物hIL2―0、hIl2―1、前記DNA
挿入物のいずれかにハイブリツド形成しかつIL2
を暗号化するDNA配列、および前記DNA配列の
いずれかにより暗号化されたポリペプチドを暗号
化するDNA配列よりなる群から選択される。本
発明において用いられた配列はさらに、宿主にお
いてIL2およびIL2様ポリペプチドの生産を可能
にすることを特徴とする。 本発明を一層よく理解し得るよう以下詳細に説
明する。 以下の説明において次の用語を使用する: ヌクレオチド:糖成分(ペントース)とリン酸
と含窒素複素環塩基とよりなるDNAもしくは
RNAのモノマー単位。この塩基はグリコシド炭
素(ペントースの1′炭素)を介して糖成分に結合
される。塩基と糖との組合せをヌクレオシドと呼
ぶ。各ヌクレオチドはその塩基により特徴づけら
れる。4種のDNA塩基はアデニン(「A」)、グア
ニン(「G」)、シトシン(「C」)、およびチミン
(「T」)である。4種のRNA塩基は、A,G,C
およびウラシル(「U」)である。 DNA配列:リン酸ペントースと3′炭素と5′炭
素との間でホスホジエステル結合により互いに結
合されたヌクレオチドの線状列。 コドン:mRNAを介してアミノ酸、翻訳開始
信号または翻訳停止信号を暗号化する3個のヌク
レオチド(トリプレツト)のDNA配列。例えば、
ヌクレオチドトリプレツトTTA、TTG、CTT、
CTC、CTAおよびCTGはアミノ酸ロイシン
(「Leu」)を暗号化し、TAG、TAAおよびTGA
は翻訳停止信号であり、またATGは翻訳開始信
号である。 読枠:mRNAをアミノ酸配列まで翻訳する際
のコドンのグループ化。翻訳の際、適正な読枠を
維持しなければならない。例えば、配列
GCTGGTTGTAAGは3つの読枠もしくは相で
翻訳することができる。これら相のそれぞれは次
の異なるアミノ酸配列を与える: GCT GGT TGT AAG…Ala―Gly―CYs―
Lys G CTG GTT GTA AG…Leu―Val―Val GC TGG TTG TAA G…Trp―Leu―(停
止) ポリペプチド:隣接アミノ酸のα―アミノ基と
カルボキシ基との間でペプチド結合により互いに
接続されたアミノ酸の線状列。 ゲノム:細胞またはウイルスの全DNA。これ
は特に物質のポリペプチドを暗号化する構造遺伝
子、ならびにオペーター、プロモーターおよびリ
ボソームの結合および相互作用配列と包含し、例
えばシヤイン―ダルガルノ配列のような配列をも
含む。 遺伝子:鋳型またはメツセンジヤーRNA
(「mRNA」)を介して特定のポリペプチドに固有
のアミノ酸の配列を暗号化するDNA配列。 転写:遺伝子からmRNAを生産する過程。 翻訳:mRANからポリペプチドを生産する過
程。 発現:遺伝子もしくはDNA配列によりポリペ
プチドを生産するために受ける過程。これは転写
と翻訳との組合せである。 プラスミド:プラスミドが宿主細胞で複製され
るような完全「レプリコン」からなる非染色体性
二本鎖DNA配列。プラスミドを単細胞生物内に
挿入すると、この生物の特性はプラスミドの
DNAの結果として変化し、或いは形質転換する
ことができる。例えば、テトラサイクリン耐性
(TetR)に対する遺伝子を有するプラスミドは、
あらかじめテトラサイクリンに対し感受性の細胞
をテトラサイクルに対し耐性の細胞まで形質転換
することができる。プラスミドにより形質転換さ
れた細胞を「形質転換体」と呼ぶ。 フアージまたはバクテリオフアージ:細菌性ウ
イルスであつて、その多くは蛋白質エンベロープ
またはコート(「カプシド」)にカプセル化された
DNA配列よりなつている。 クローン化ベヒクル:宿主細胞において複製し
うるプラスミド、フアージDNAまたはその他の
DNA配列であつて、これはDNAの本質的な生物
学的機能、たとえば複製、コート蛋白質の生成の
喪失を伴わずに、或いはプロモーターもしくは結
合部位の喪失を伴わずに決定可能に前記DNA配
列を切断することができる1個もしくは少数のエ
ンドヌクレアーゼ認識部位により特徴づけられ、
かつ形質転換細胞の同定に使用するのに適する標
識、たとえばテトラサイクリン耐性またはアンピ
シリン耐性を有する。クローン化ベヒクルはしば
しばベクターと呼ばれる。 クローン化:1種の生物もしくはDNA配列か
ら誘導される生物またはDNA配列の無性繁殖に
よつて得る過程。 組み換えDNA分子またはハイブリツドDNA:
生細胞の外部で端部結合された異なるゲノム由来
のDNA断片よりなり、かつ有る種の宿主細胞に
感染してそこに維持される能力を有する分子。 発現制御配列:DNA配列もしくは遺伝子の発
現を、これら配列に作用可能に結合された際、制
御かつ調節するヌクレオチドの配列。これらは
lac系、trp系、フアージλの主オペレーターおよ
びプロモーター領域、fdコート蛋白質の制御領
域、ならびに原核もしくは真核細胞およびそのウ
イルスの遺伝子の発現を制御することが知られた
その他の配列またはそれらの組合せを包含する。 IL2(様):IL2の免疫学的もしくは生物学的活
性を示すポリペプチド。このポリペプチドは、原
IL2のアミノ酸の他にさらにアミノ酸を含み、あ
るいは原IL2のアミノ酸の全部を含まないことも
できる。 インターロイキン2の生物学的分析 (a) 原理 インターロイキン2(IL2)またはT―細胞
増殖因子は可溶性化合物であつて、マイトジエ
ンまたは抗原刺激されたT細胞のクローン化誘
導体の長期培養を可能にする〔デイー・エー・
モルガン等、サイエンス誌、第193巻、第1007
―08頁(1976)〕。これら細胞の成長および増殖
は、投与量に応じて(dose―dependent)培地
中のIL2の存在に依存する。従つて、増殖量の
測定(すなわち、トリチウム標識チミジンの取
り込み量による)は、培地中のIL2の濃度を示
す。 (b) 目的細胞 「リンホプレプ」(フアルマシア社)により
ひとの末梢血液から単核細胞を単離し、これら
細胞(中間層)を2回洗浄し、そしてこれらを
5×105細胞/mlの濃度にてRPMI1640培地で
培養し、この培地には1%L―グルタミンと抗
生物質(下記参照)と10%ウシ胎児血清とを補
充した。次いで、これら細胞を10μg/mlまで
のフイトヘマグルチニン(PHA)(ウエルカム
社)により37℃で20時間刺激し、細胞を集めて
激しく洗浄し、そしてこれらをPHAを含まな
い培地中でさらに3日間培養した。4日目に、
これら細胞に対し、部分精製したひとIL2調製
物(PHA刺激した脾細胞の培地から得られた
50〜80%の(NH42SO4沈澱物を初期容量の
1/20に再溶解し、かつリン酸緩衝生理食塩水
に対し徹底的に透析したもの〔モルガン等、上
記〕)の5%を補給した。次いで、これら細胞
を3〜4日毎に1:2の割合で分割した。 培養物を約2〜3週間置いた後、これらから
の生存細胞を洗浄し、かつこれら細胞を40%ウ
シ胎児血清と10%ジメチルスルホキシドとを含
有するIL2を含まない培地中で2×107細胞/ml
の最終濃度まで培養した。その直後に、細胞を
1mlのガラス瓶中で、速度調節フリーザー(ク
リオソン社)を用いて1℃/minの冷却速度で
−45℃まで凍結させ、次いで急速に−80℃まで
凍結させた。これら目的の細胞を液体窒素中で
保存した〔グラマツキ等、ジヤーナル・イムノ
ロジカル・メソツド、第53巻、第209〜20頁
(1982)〕。これら細胞を使用する直前に、これ
らを37℃にて迅速に解凍し、これらを培地と段
階的に混合し、そして洗浄した。調製した細胞
の生存度をチロール青排除によつて検査した。 (c) 微量分析 ギリス等、ジヤーナル・イムノロジー、第
120巻、第2027〜32頁(1978)により記載され
たのと実質的に同様にIL2微量分析を行つた。
先ず、100μlのIL2試料を96穴のマイクロタイタ
ープレート(フアルコン社)中へ段階的に1:
2希釈した(RPM1640、10%ウシ胎児血清、
1%L―グルタミンおよび抗生物質、下記参
照)。次いで、目的細胞を2×105細胞/mlの濃
度で懸濁し、100μlの細胞を穴へ約2×104
胞/穴の最終濃度まで加えた。これらマイクロ
タイタープレートを空気中5%CO2の加湿雰囲
気において37℃で24時間培養し、0.5μCiの 3H
―標識したチミジン(アメルシヤム社、20〜
30Ci/mmole)を各マイクロタイタープレー
トの穴へ加え、そして細胞をさらに5時間培養
した。次いで、培養物をガラスフイルターの上
へ回収し(セル―ハーベスター、MASH型
を用いる)、かつ液体シンチレーシヨンカウン
ターによつて 3H―チミジン取込み量を測定し
た。 (d) 定量 ひとIL2標準試料を用いて、各試験試料の相
対活性を決定した。この標準(任意に選択した
ひとIL2含有の上澄液)は100単位/mlを含有
するものと規定した。これは 3H―チミジン吸
収により測定して、1:4〜1:8の希釈率ま
で最大の増殖を誘発する。一般に、標準曲線の
直線的下降部分の中央において、この試料の最
大活性の30%が観察された。 さらに、一連の希釈物において各試料を試験
し、それらの力価をグラフ分析によつて計算し
た。次いで、各試料の活性を式〔サタドラー等、
ジヤーナル・イムノロジー、第128巻、第1620〜
24頁(1982)〕: 試験試料の標準に対する最大cpmの30%における逆
タイマー/標準の最大cpmの30%における逆タイマー=
単位×100 を用いて単位に変換した。 ひとインターロイキン2mRNA(hIl2―mRNA)
を含有するポリ(A)RNAの調製 本発明のポリペプチドを得るために使用した
RNAは、マイトジエン刺激したひとの脾細胞か
ら抽出した。提供された脾細胞は、単一供与体か
ら多量の免疫系細胞を供給するという利点を有
し、さらにひと末梢血液リンパ球により生成され
る量よりも多い量でインターロイキン2を生成す
るという利点を有する〔エー・モレツタ等、クリ
ニカル・エキスペリメンタル・イムノロジー、第
44巻、第262〜269頁(1981)〕。 (a) ひと脾細胞の単離 外科部門から得られたひと脾臓を無菌プラス
チツク袋中に入れて実験室まで選び、実験室内
において無菌ガラス皿に移した。無菌解剖鋏に
よつて脾臓の外膜を除去し、5cm3の脾臓組織を
切断した。この組織をプラスチツクペトリ皿
(直径15cm)に入れ、さらに小さい片(0.5cm3
で)に切断した。約10mlのRPMI1640培地(キ
ブコ社)(2g/のNaHCO3と20mMの
HEPESとを補充したもの)を添加した後、2
mlプラスチツク注射器の吸子(plunger)の端
部で組織断片を静かに砕いて細胞の大部分をほ
ぐした。次いで、この懸濁物を約50mlの
RPMI1640培地で希釈し、そして得られた懸濁
物を充分に混合した。次いで、組織および細胞
懸濁物を無菌金属篩(8×0.3mm/cm)に移し
て、液体を他のプラスチツクペトリ皿に排液し
た。次いで、この篩上の組織を元のプラスチツ
ク皿に戻し、そして前記と同様に砕きかつ濾過
した。最後に、全細胞懸濁物を0.5のプラス
チツク管へ注ぎ入れた。この手順を全脾臓が調
製されるまで新鮮な脾臓片につき反復した。 プラスチツク管の底部に凝集して濃厚沈澱物
を形成した死細胞を大部分を、再び金属篩によ
る懸濁物の濾過によつて除去した。次いで、細
胞懸濁物をシリコーン処理した100mlの無菌円
錐ガラス遠沈管に移し、この管の底部または懸
濁物の表面に存在する凝集物を除去した。 次いで、室温にて900×gで10分間遠心分離
することにより細胞を集め、これら細胞を10倍
容量の冷トリス―NH4Cl(0.83%NH4Cl9部と
トリス―TCl1部との混合物、20.6g/、PH
7.2)溶液に静かに懸濁させて赤血球を溶血さ
せた。4℃にて10分間後、底部に凝集した全て
の死細胞を除去し、白色細胞を集め、そして
RPMI1640培地で少なくとも2回洗浄した。次
いで、細胞を完全培地(0.03%L―グルタミン
と100U/mlペニシリンと100μg/mlのストレプ
トマイシンと25μg/mlのネオマイシンと5×
10-5Mのβ―メルカプトエタノールと10%ウシ
胎児血清とを補充したRPMI1640培地)へ移し
て2〜4×104細胞/mlの濃度にした。 (b) マイトジエンによるひと脾細胞の刺激 上記細胞懸濁物(5、1×1010細胞)を遠
心分離フラスコに移し、フイトヘマグルチニン
(「PHA」)(ウエルカム社)を10μg/mlの濃度
まで加え、或いは0.08%PHA―P(デイフコ
社)および10ng/mlの12―0テトラデカノイ
ルホルボール―13―アセテート(「TPA」)(ビ
ー・エル・バイオケミカルス社)を加えた。培
養物上方の雰囲気を5%Co2の気体混合物で飽
和した後、懸濁物を37℃で20時間ゆつくり攪拌
した。 次いで、上記と同様にIL2依存性のひと末梢
血液リンパ球による 3H標識チミジンの吸収を
測定して、IL2活性につき懸濁物を分析した。 (c) ポリA+RNAの単離および翻訳 PHA/TPA誘発された脾細胞を遠心分離に
より集め、これらを冷PBSで洗浄した。これ
らの誘発脾細胞から全RNAを単離するため、
これら細胞を直ちにチオシアン酸グアニジウム
の溶液で溶解させた〔ジエー・エム・チヤーグ
ウイン等、「リボヌクレアーゼの豊富な原料か
ら生物学上活性なリボ核酸の単離」、バイオケ
ミストリー、第18巻、第5294―99頁(1979)〕。
脾臓1個当り平均して30mgの全RNAを得た。
次いで、このRNAをグアニジウム塩酸塩溶液
からの沈澱によりかつオリゴ(dT)セルロー
ス上でのクロマトグラフイーによつて生成した
〔ジエー・エム・チヤーグウイン等、上記〕。こ
の段階で、約1mgのRNA(その内60%以上が
rRNAである)が残留した。 得られたポリA+RNAを滅菌水に溶解させ、
混合物を68℃にて1分間加熱し、そしてこれを
10mMトリス―HCl(PH7.5)と1mM EDTAと
における5〜20%蔗糖密度勾配において分画
し、その際密度勾配当り1〜2mgのRNAとベ
ツクマンSW41型Tiローターでの4℃で
40000rpmの16時間にわたる遠心分離とを用い
た。25個のフラクシヨン(それぞれ0.4ml)を
ISCO密度分画装置に集め、光学密度(254nm)
を連続的に測定した。 RNAを通過させた約300μgのオリゴ(dT)
セルロースの並行密度勾配における遠心分離の
後に、5Sおよび18SのrRNAピーク(28S
rRNAはチユーブの底に存在した)の高さを測
定することにより単離RNAの品質を分析した。 各フラクシヨン中のRNAを−20℃にて少な
くとも2時間沈澱させ、遠心分離(10000rpm、
30分、−20℃、HB4ソルバール型モーター)に
よつて集め、70%エタノールで洗浄した。この
RNAを乾燥させた後、これを25〜50μの滅
菌水中に溶解させた。 ポリA+RNA蔗糖密度勾配フラクシヨンのそ
れぞれを小麦胚芽抽出物(全容量10μ)にお
いて 35S―メチオニンの存在下で翻訳し〔ビ
ー・ロバーツおよびビー・エム・パターソン、
「市販の小麦胚芽からの無細胞系における
TMV RNAおよびうさぎグロビン5S RNAの
効率的翻訳」、プロシーデイング・ナシヨナ
ル・アカデミー・サイエンス・USA、第70巻、
第2330〜34頁(1973)〕、そして合成された蛋白
質を12.5%のSDS―ポリアクリルアミドゲル上
で分析した〔ユー・ケー・ラメリ、「バクテリ
オフアージT4の頭部を組込む際の構造蛋白質
の関裂」、ネイチヤー誌、第227巻、第680〜85
頁(1970)〕。この方式における大型ポリペプチ
ドの合成は、ここで調製されたRNAフラクシ
ヨンがin vitroでの翻訳の抑制因子を含まない
RNAを含有したことを示した。蔗糖密度勾配
7S〜18Sで沈降したポリA+RNAフラクシヨン
を分析して、このmRNAにより暗号化された
IL2の活性を決定した。この分析のため、50μ
のポリA+RNA(1mg/ml)をそれぞれ15〜
20個のアフリカツメガエル(Xenopus laevis)
の卵細胞へ微量注入し、この卵細胞をHEPES
緩衝された改変バース溶液(MBS―H)中で
3日間培養した。この緩衝溶液は0.1%のポリ
エチレングリコールと0.4%のアブロチニン原
液(シグマ社)とを含有した。 次いで、培地を抜き取り、分泌された翻訳生
成物をそのIL2活性につき上記のように分析し
た。第1図は典型的な分析実験の結果を示すグ
ラフである。これらの結果が示すように、ひと
IL2活性を暗号化するmRNA種類は、約10〜
11Sの蔗糖密度勾配で沈降した。 さらに、マイトジエン誘発脾細胞から単離し
た蔗糖密度勾配分画ポリA+RNAの微量注入の
後に、アフリカツメガエルの卵細胞によるひと
IL2の分泌の動力学を検査した。ここで、卵細
胞培養培地におけるIL2の蓄積は少なくとも72
時間持続することが観察された。 この点において認識すべきことは、蔗糖密度
勾配から得られるポリA+RNA生成物でさえ極
めて多数の異なるmRNAを含有することであ
る。IL2に対し特異的なmRNAを除き、他の
mRNAは望ましくない汚染物である。残念な
がら、これらの汚染物RNAは、本発明のクロ
ーン化工程の残りの工程においてずつとhIL2
mRNAと同様に挙動する。したがつて、ポリ
(A)RNAにおけるその存在はIL2以外のポリペ
プチドを暗号化する遺伝子を含有する多数の望
ましくない細菌クローンを最終的に生成する。
この汚染は、所望のIL2ハイブリツドクローン
を単離する際に複雑なスクリーニング問題を提
起する。IL2の場合、スクリーニング問題は、
所望クローンの同定に対するスクリーニングプ
ローブとして役立つような充分精製されたIL2
mRNAもしくはDNAまたはその部分の試料が
無いためさらに悪化する。したがつて、IL2ク
ローンのスクリーニング工程は極めて時間のか
かる困難なものである。さらに、極めて少割合
のIL2クローンしか生物学的もしくは免疫学的
な活性型でIL2を発現しないと予想されるの
で、活性クローンの単離は「藁の中から針を探
す」ようなスクリーニング工程となる。 有利なことに、本発明のポリペプチドを得る
工程においては組み換えDNA技術を使用して
IL2 mRNAもしくはcDNAまたはその一部の
精製プローブを生成させることができる。次い
で、この精製されたmRNAもしくはcDNAを
使用して、極めて多数の細菌クローンを迅速に
スクリーニングし、かつそれによりIL2を活性
型で発現するクローンを単離することができ
る。 hIL2 cDNAを含有する二本鎖cDNAの合成 hIL2 mRNAの豊富なポリ(A)RNAを鋳型とし
て使用して相補的DNA(「cDNA」)を調製した。
これはバクテリオフアージMS2 RNAのDNAコ
ピーを含有するプラスミドの作成につきデボス等
により実質的に記載されている〔「バクテリオフ
アージMS2 RNAのほぼ完全寸法のDNAコピー
を含有するプラスミドの作成および特性化」、ジ
ヤーナル・モレキユラー・バイオロジー、第128
巻、第595〜619頁(1979)〕。 30μgのポリA+RNA(蔗糖密度勾配から3つの
フラクシヨン)を50μの50mMトリスHCl(PH
8.3)と31mMのβ―メルカプトエタノールと
50mMのKClと10mMのMgCl2とそれぞれ0.5mM
の4つのdNTPと10μgのPT12-18と100μCiのα―
32P dATPと100μCiのα― 32P dCTP(それぞ
れ2500Ci/モル)と4mMのNa2P2O7と100単位の
AMV逆転写酵素との混合物において43℃で30分
間培養した。EDTAにより反応を停止させかつ
フエノール抽出した後、この混合物をセフアデツ
クス―G75カラムにかけた。排除(ボイド)フラ
クシヨンにおける核酸をエタノールで−20℃にて
1晩沈澱させ、そしてこれらを遠心分離により集
めた。ペレツトを70%エタノールで洗浄し、乾燥
させ、40μの水に溶解させた。 上記で合成したcNNA試料は、実際には濃厚
化したポリA+mRNAに存在する異なるmRNAか
ら生じた複雑なcDNAの混合物である。さらに、
AMV逆転写酵素による早期停止のため、cDNA
の多くはポリA+RNAにおける各種mRNAの不
完全コピーである。 cDNAを二本鎖にする前に、上記水混合物を
100℃にて30秒間加熱することによりこれを相補
的鋳型mRNAに対する結合から切り離し、次い
で直ちに0℃で冷却した。3μgの膵臓リボヌクレ
アーゼと3単位のT1―リボヌクレアーゼとを加
え、そして混合物を37℃で30分間培養した。 K―ホスフエート(PH6.9)(最終濃度100mM)
とジチオスレイトール(4mM)とMgCl2
(10mM)と4dNTP(それぞれ250μM)と50μCiα
32PdATPと50μCiα― 32PdCTP(それぞれ
2500Ci/モル)との混合物を加えて混合物を
100μに調整し、イー・コリDNAポリメラーゼ
(ビオラビ社、100単位)を加えかつ得られた
混合物を15℃にて3時間培養することにより、
cDNA鎖を二本鎖にした。反応をEDTAにより
停止させ、混合物をフエノール処理し、セフアデ
ツクス―G75カラムに通し、そして排除(ボイ
ド)フラクシヨンを前記と同様にエタノールによ
つて−20℃で一晩沈澱させた。 二本鎖cDNA構造に残存する一本鎖のヘアピン
ループを開裂させるため、遠心分離によりDNA
を除去し、ペレツトを乾燥し、そしてこれを再び
水に溶解し、混合物を0.2MのNaClと50mMの
NaOAc(PH4.5)と1mMのZnCl2と10単位のSIヌ
クレアーゼ(シグマ社)との100ml中で37℃にて
30分間培養した。混合物をフエノール/CHCl3
イソアミルアルコールで抽出することにより反応
を停止させ、200μの2MのNH4OAcと10μgのイ
ー・コリtRNAと1mlのエタノールとを加えるこ
とにより、−20℃で2時間および−70℃で10分間
沈澱させた。遠心分離によりペレツトを取り出
し、そしてこれを乾燥した。二本鎖cDNAのこの
混合物は、これを調製するための鋳型として使用
したポリA+RNAの不均一性の結果、並びに
AMV逆転結果によるcDNA転写の早期停止によ
り不均一となる。 上記の不均一性の影響を少なくするため、二本
鎖cDNA混合物のサイズを選別した。この際ペレ
ツトを10mMトリス―HCl(PH7.5)と1mM
EDTAとの20μに溶解し、これを55℃にて5分
間培養し、ブロモフエノールブルー―キシレンシ
アノールFFと蔗糖とを加え、DNAを4%ポリア
クリルアミドゲル(トリス―硼酸塩、20cm×40cm
×0.3cm、200V−20mA)で一晩電気泳動した。
この際、フアージφX174のDNAの5′― 32P―標
識Hae断片を並行路にマーカーとして電気泳動
させた。ゲルを放射線分析した後、このDNAを
ゲル上に位置にしたがつてフラクシヨンM1(1000
〜1300bp)、M2(750―1000bp)、M3(600―
750bp)およびM4(500〜―600bp)に分離した。
各フラクシヨンに対応するゲルスライスを切除
し、これらを2mlの0.5MのNH4OAcと10mMの
MgCl2と0.1%SDSとで1晩溶出させ、そして
DNAを2容量のエタノールで沈澱させた(−20
℃)。遠心分離した後、各ペレツトを100μの水
に溶解し、そしてこれを900μの10mM燐酸ナト
リウム(PH7.4)と100μ(充填容量)のヒドロ
キシアパタイト(バイオラツド社)との存在下で
37℃にて10分間培養した。次いで、ヒドロキシア
パタイトをセフアデツクス―G75カラムに充填し
た。そしてこのカラムを2mMのリン酸ナトリウ
ム(PH7.4)で充分洗浄した後、DNAを0.45Mの
燐酸ナトリウム(PH7.4)で溶出させ、そして1/1
0容量の2MのNaOAc(PH5)と2容量のエタノ
ールとで沈澱させた。 ここでも認識されるように、cDNAフラクシヨ
ンのそれぞれには多数のcDNAが存在し、その極
く僅かのみがhIL2関連のcDNAである。 二本鎖cDNAのクローン化 本発明において用いられる調製された二本鎖
cDNAは、クローン化または発現させる際に、多
くの種類の宿主/クローン化ベヒクルの組み合わ
せを使用することができる。例えば、有用なクロ
ーン化または発現ベヒクルは染色体、非染色体お
よび合成DNA配列の断片、例えばSV40の各種の
公知誘導体及び公知の細菌プラスミド、例えば
col E1、pCR1、pBR322、pMB9およびその誘導
体を含むイー・コリからのプラスミド、広範囲の
宿主プラスミド、例えばRP4、フアージDNA、
例えばフアージλの多くの誘導体、例えば
NM989およびその他のDNAフアージ、例えば
M13および繊維状一本鎖DNAフアージ並びにプ
ラスミドとフアージDNAとの組み合わせから得
られるベクター、例えばフアージDNAまたはそ
の他の発現制御配列を使用するよう改変したプラ
スミドまたは酵母プラスミド、例えば2μプラス
ミドもしくはその誘導体よりなることができる。
有用なクローン化もしくは発現宿主は細菌宿主、
例えばイー・コリ HB101、イー・コリX1776、
イー・コリX2282、イー・コリMRCIおよびシユ
ードモナス、枯草菌、高熱細菌およびその他の細
菌類、酵母およびその他の真菌類の菌株、動物も
しくは植物宿主、例えば培養物における動物(ひ
とを含む)もしくは植物細胞またはその他の宿主
を包含する。勿論、必ずしも全ての宿主/ベクタ
ー組み合わせが同等に有効であるとは限らない。
宿主/クローン化ベヒクル組み合わせの特定の選
択は、ここに記載した原理を考慮して本発明のポ
リペプチドを得るべく、種々の組み合わせで当業
者により行うことができる。 さらに、それぞれ特異的クローン化もしくは発
現ベヒクルには、二本鎖DNAを挿挿入するため
の各種の部位を選択することができる。これらの
部位は、一般にそこを切断する制限エンドヌクレ
アーゼにより命名される。これらの部位は当業者
により充分知られている。勿論、本発明に有用な
クローン化もしくは発現ベヒクルは、選択DNA
断片を挿入するための制限エンドヌクレアーゼ部
位を持つ必要がないことを了解すべきである。寧
ろ、ベヒクルは他の手段によつて断片に結合する
ことができる。 ベクターまたはクローン化もしくは発現ベヒク
ル、および特に選択DNA断片を付着させて組み
換えDNA分子を生成させるためにここに選択さ
れる部位は種々の因子、例えば特定の制限酵素の
作用を受ける部位の個数、発現すべき蛋白質の寸
法、宿主細胞酵素による蛋白質に対する所望蛋白
質の感受性、精製の際除去することが困難な宿主
細胞蛋白質による発現される蛋白質の汚染または
結合、例えばベクター配列に対する開始コドンお
よび停止コドンの位置のような発現特性、並びに
当業者に知られたその他の困子により決定され
る。特定遺伝子に対するベクターおよび挿入部位
の選択はこれら因子のバランスによつて決定さ
れ、必ずしも全ての選択が所定の場合に同等に有
効であるとは限らない。 外来DNAをクローン化ベヒクルまたは発現ベ
クター中に挿入して組み換えDNA分子を生成さ
せるには当業界で幾つかの方法が知られている
が、初期クローン化につき好適な方法はBamHI
によりpSV529DNA(後記)を切断し、BamHI部
位を充填し、かつ末端トランスフエラーゼによつ
てdC末端を3′末端に付加することである。次い
で、二本鎖cDNAをこのpSV529 DNAへ先ずこ
れをdG末端で処理した後に結合させる。次いで、
切断DNAと切断cDNAとを融合させて、DNAを
プラスミドの選択部位に挿入すると共にハイブリ
ツドDNAを再環化させることができ、dG―dC
末端の相補的性質はそれらの付着およびBamHI
部位の再構築を可能にする。かくして得られた組
み換えDNA分子は、クローン化ベクターにおけ
る選択位置に挿入遺伝子を有する(第2図)。 勿論、DNA配列をクローン化もしくは発現ベ
ヒクル中へ挿入して組み換えDNA分子を生成さ
せるその他の公知の方法も、同等に有用である。
例えば、これらはdA―dT末端処理、直接結合、
合成リンカー、エキソヌクレアーゼおよびポリメ
ラーゼ結合修復反応に続く結合、またはDNAポ
リメラーゼによるDNA鎖の延長および適当な一
本鎖鋳型の作成に続く結合を包含する。 勿論、クローン化ベヒクルの選択部位に挿入さ
れたヌクレオチド配列またはcDNA断片は、所望
のポリペプチドを暗号化する実際の遺伝子の一部
でないヌクレオチドを包含するか、あるいは所望
の蛋白質に対する完全遺伝子の断片のみを包含し
得ることを了解すべきである。DNAが最終的に
挿入された場合、形質転換された宿主がIL2の生
物学的もしくは免疫学的活性を有するポリペプチ
ドを生産すること、或いはDNA配列自身がIL2
の免疫学的もしくは生物学的活性を有するポリペ
プチドの生産に有用なDNA配列を含有するクロ
ーンを選択するためのハイブリダイゼーシヨンプ
ロープとして使用し得るものであることのみを必
要とする。 外来遺伝子を含有するクロー化ベヒクルまたは
発現ベクターを使用して宿主を形質転換させ、こ
の宿主が遺伝子の暗号化するIL2の免疫学的もし
くは生物学的活性を示すポリペプチドを発現する
ようにさせる。適当な宿主の選択は当業界で知ら
れた多くの因子により制限される。これらは、例
えば選択ベクターとの適合性、ハイブリツドプラ
スミドにより暗号化される蛋白質の毒性、所望蛋
白質の回収の容易さ、発現特性、生物安全性およ
びコストなどを包含する。これら因子のバランス
は、必ずしも全ての宿主が特定組み換えDNA分
子のクローン化または発現のいずれかに同等に有
効でないという理解と一致せねばならない。 本発明のポリペプチドの合成において、好適な
初期クローン化ベヒクルはpSV529であり、かつ
好適な初期制限エンドネクレアーゼ部位はBam
HIである。好適な初期宿主はイー・コリHB101
である。 1 Bam HI―開裂されたdC末端処理pSV529
DNAの調製 pSV529は、多量の後期領域が除去されてい
るキメラSV40プラスミド発現ベクターである
(第2図)。この構造はVP1遺伝子の大部分
(0.945〜0.145地図単位)を欠如するが転写の
複製、開始および停止、並びに16Sおよび19S
mRNAのスプライシングおよびポリアデニル
化に関与する全ての領域を保持する。pSV529
は、後期SV40転写制御の下で遺伝子を発現す
るよう設計される〔デイー・ゲイセンおよびダ
ブリユー・フイエルス、ジヤーナル・モレキユ
ラー・アプライド・ジエネテイツクス、第1
巻、第385〜94頁(1982)〕。 pSV529の主たる特徴は次の通りである:(a)
SV40ゲノムの完全初期領域が存在しかつ小型
―tおよび大型―T抗原を暗号化し、さらに猿
の細胞における複製に必要な領域も存在し、こ
れらoriの後期領域の方向に位置する「エンハ
ンサー」配列である;(b)主たる構造蛋白質VP1
に対する遺伝子が削除されている(0.945―
0.145地図単位からのHind―Bam HI断
片);(c)唯一のBam HI部位がキメラプラスミ
ドに存在し、そこに外来DNA配列を挿入して
SV40後期モロモーターの制御下で発現させる
ことができ、このBam HI部位は後期16S
mRNAアクセプタースプライス部位から39個
のヌクレオチドの後にかつVPI遺伝子の開始コ
ドン(既に除去されている)から12個のヌクレ
オチドの前に存在する;(d)主たる後期16Sメツ
セージに対するドナーおよびアクセプタースプ
ライス部位が存在する;(e)SV40後期領域から
のポリアデニル化部位が存在する(SV40地図
単位0.17);(f)SV40 DNAの2080bp断片(0.33
〜0.725の地図位置の間)の複製は猿細胞にお
ける同質の組み換えを可能にすると共に、プラ
スミド配列が既に除去されているウイルス構造
遺伝子VP1の代わり挿入遺伝子を含むSV40レ
プリコンを発生する。 50μgのpSV529 DNAを40単位のBamHI制
限酵素で37℃にて2時間にわたり60μの8mM
MgCl2と40mM NaClと100mMトリス―HCl
(PH7.4)において切断した。EDTAによりこの
反応を停止させ、そして混合物をフエノール処
理し(3回)、エーテル抽出し(2回)、1/10容
量の2M KOAc(PH5)と2容量のエタノール
とで沈澱させた。 沈澱しかつ線状化した(Bam HI)pSV529
DNAを次いで分離し、これを70%エタノール
で2回洗浄し、乾燥させ、水に溶解し、そして
50mMトリス―HCl(PH8.3)と50mM KClと
10mM MgCl2と30mM β―メルカプトエタノ
ールとそれぞれ250μMの4dNTPと50単位の
AMV逆転写酵素との混合物50μにおいて37
℃で30分間培養した。EDTAにより反応を停
止させ、この混合物をフエノール/CHCl3/イ
ソアミルアルコールで抽出した。緩衝液および
混合物をセフアデツクス―G75カラム(20cm×
0.5cm)に10mMトリス―HCl(PH7.5)と1mM
EDTAとで充填し、排除(ボイド)フラクシ
ヨンを2M KOAc(PH5)とエタノールとで−
20℃にて1時間沈澱させた。 DNAを遠心分離により分離し、乾燥させ、
30μの10mMトリス―HCl(PH7.5)と1mM
EDTAとに入れ、68℃にて30秒間加熱し、そ
して氷上で冷却した。次いで、このDNAを
0.14M K―カコジル酸と30mMトリス緩衝液
(PH6.8)と1mM CoSO4と1mMジチオスレイ
トールと0.1mM dCTPと100μCiα― 32PdCTP
(2500Ci/モル)と100単位の末端デオキシヌク
レオチジルトランスフエラーゼ(P―Lバイオ
ケミカルス社)との混合物200μ中で37℃に
て培養した。5分および10分後、100μの量
を抜き取つて、EDTAにより反応を停止させ
た。 これらの分取部分をフエノール/CHCl3/イ
ソアミルアルコールで抽出し、DNAを上記の
ようにセフアデツクス―G75カラムを通してク
ロマトグラフイーにより精製した。排除(ボイ
ド)フラクシヨンにおけるDNAをエタノール
により沈澱させ、遠心分離し、乾燥しそして
30μの10mMトリス―HCl(PH7.5)と1mMの
EDTAとに溶解した。平均して22個および36
個のdCMP残基が、それぞれ5分間および10分
間の培養の後に線状化pSV529 DNAの3′末端
に付加されると計算された。さらに、Pvu
で切断したdC末端pSV529 DNAのアガロース
ゲル電気泳動により示されるように、殆ど内部
切断(インターナルテイリング)が生じなかつ
た。 2 誘発脾細胞から得られるdG末端cDNAの調
製 上記の二本鎖cDNA(フラクシヨンM2および
M3)をゲルから溶出させ、ヒドロキシアパタ
イトで精製し、かつオリゴdGと共に煮沸し、
この場合慣用方法と末端デオキシヌクレオチジ
ルトランスフエラーゼとを使用した。 3 dC延長pSV529とdG延長cDNAとのアニー
リング フラクシヨンM2およびM3のそれぞれからの
dG末端dsDNAを、Bam HIで線状化し充填さ
れかつdC末端処理したpSV529と混合し、標準
条件下で融合させた。 アニーリング後に得られるハイブリツド
DNAは、勿論、挿入DNA配列を含まない種々
の組み換えDNA分子と幾つかのクローン化ベ
ヒクルとの混合物である。しかしながら、各組
み換え、DNA分子は、Bam HI部位にcDNA
断片を含有する。この種の各cDNA断片は遺伝
子またはその断片からなることもできる。極め
て少数のcDNA断片のみIL2またはその部分を
暗号化する。大多数は、他の蛋白質またはその
部分(そのmRNAは本発明のポリペプチドを
得るための方法に使用されるポリ(A)RNAの一
部である)を暗号化する。さらに、上記で得ら
れたクローンのいずれもIL2の免疫学的もしく
は生物学的活性を示すポリペプチドの発現を可
能にしないことを了解すべきである。寧ろ、こ
れらはこの種のクローンをスクリーニングしか
つ同定する際にのみ有用である。 4 融合ハイブリツドDNAによるイー・コリ
HB101の形質転換 形質転換法および得られた形質転換体を処理
するその後の工程に対し、必要に応じ適当な封
じ込め施設を使用した。 融合DNAの混合物(フラクシヨンM2および
M3のそれぞれにつき)を、標準形質転換条件
を用いてコンペテント イー・コリHB101細
胞へ付加した。 次いで、これら細胞を100μ/mlのカルベ
ニシリンを含有するLB―寒天平板に接種した。
プラスミドpSV529はペニシリン耐性の遺伝子
を含むので、この遺伝子を有するプラスミドで
形質転換されたイー・コリ宿主は、このように
形質転換されない細菌を除き、抗生成物を含有
する培地中で増殖するであろう。したがつて、
カルベニシリン含有培地における増殖は、組み
換えDNA分子または再環化ベクターにより形
質転換された宿主の選択を可能にする。 個々のコロニーを採取し、そしてこれらをマ
イクロタイタープレートにおける200μのLB
培地(カルベニシリンを含有する)において1
晩増殖させた。ジメチルスルホキシドを10%の
終濃度で加えた後、これらプレートを−20℃で
貯蔵した。M2およびM3 DNAフラクシヨンか
らそれぞれ約1300個および1000個のクローンを
得た。 各フラクシヨン(M2およびM3)のカルベニ
シリン耐性のクローンは、誘発脾細胞からポリ
A+RNAの混合物の寸法決定された完全もしく
は部分コピーを表現する各種の組み換えDNA
分子を含有する。これらクローンの大部分は、
単一の組み換えDNA分子を含有するであろう。
しかしながら、これら組み換えDNA分子の極
く少数のみがIL2に関連する。したがつて、こ
れらのクローンは、IL2関連クローンを他のク
ローンから選択するよう選別せねばならない。 hIL2 cDを含有するクローンのスクリーニング hIL2cDNAを含有する細菌クローンをスクリ
ーニングするには幾つかの方法がある。これら
は、例えばRNA選択ハイブリダイゼーシヨン
(ア―ウイン等、下記)、分別ハイブリダイゼーシ
ヨン〔テイー・ピー・セント・シヨーンおよびア
ール・ダブリユー・デービス、「分別プラーク・
フイルターハイブリダイゼーシヨンによるサツカ
ロミセス・セレビシーからのガラクトース誘発性
DNA配列の単離」、セル誌、第16巻、第443〜452
頁(1979)〕、合成プローブによるハイブリダイゼ
ーシヨン〔ビー・ノイエス等、「オリゴデオキシ
ヌクレオチドプローブを用いるガストリン
mRNAの検出および部分配列分析」、プロシーデ
イング・ナシヨナル・アカデミー・サイエンス・
USA、第76巻、第1770〜74頁(1979)〕、または
所望蛋白質を生産するクローンの免疫学的分析
〔エル・ビラーコマロフ等、「プロインシユリンを
合成する細胞クローン」、プロシーデイング・ナ
シヨナル・アカデミー・サイセンス・USA、第
75巻、第3727〜31頁(1978)〕または生物学的分
析(エー・シー・ワイ・チヤング等、「ねずみジ
ヒドロホレート・レダクターゼを暗号化する
DNA配列のイー・コリにおける表現型発現」、ネ
イチヤー誌、第275巻、第617〜24頁(1978)〕に
よる選別を包含する。本発明においては、主たる
クローン選別に対する最も便利かつ有望な方法と
してRNA選択ハイブリダイゼーシヨンを選択し
た。 RNA選択ハイブリダイゼーシヨンにより同定
される組み換えDNA分子およびそれにより形質
転換された細菌培養物が完全IL2 cDNA配列を
含有するという保証はなく、またDNA配列が実
際にIL2を暗号化しまたはIL2の免疫学的もしく
は生物学的活性を示すポリペプチドをクローンに
発現させ得るという保証さえない。しかしなが
ら、組み換えDNA分子は確かにIL2 mRNA暗号
化に相補なヌクレオチド配列を含有する。したが
つて、組み換えDNA分子は、少なくとも他の組
み換えDNA分子およびそれにより形質転換され
たクローンを選別するためのプローブ源として使
用し、標準または完全IL2ヌクレオチド暗号化配
列を含有する他の種類のクローンを同定すること
もできる。次いで、これらクローンを、IL2の生
物学的もしくは免疫学的活性を示すポリペプチド
の可能な発現につき直接に分析することができ
る。さらに重要なことに、これらハイブリツドプ
ラスミドの挿入DNA断片およびそのアミノ酸翻
訳生産物のヌクレオチド配列は常套手段によつて
決定することができ、このDNA配列を使用して
適当な発現ベクターを作成し、これにより形質転
換された適当な宿主においてIL2の合成を行うこ
とができる。 A RNA選択ハイブリダイゼーシヨン分析 1 選択ハイブリダイゼーシヨンの背景 蔗糖密度勾配からのポリA+RNAは約
1μgRNA/μを含有し、その内30ng(30n
)を各卵細胞へ微量注入する。IL2
mRNAが蔗糖密度勾配のピークフラクシヨ
ンにおいて全ポリA+RNAの0.3%を構成す
ると仮定し、0.1ngのIL2 mRNAを各卵細胞
中に微量注入する。この量の1/10、すなわち
0.01ngのIL2 mRNAは卵細胞中への注入後
に検出することができる。上記の推定によれ
ば、ピークフラクシヨンにはポリA+RNA
1μg当り3ngのIL2 mRNAが存在する筈であ
り、またハイブリダイゼーシヨン溶出分析に
つき50μgのポリA+RNAを使用すれば150ng
のIL2 mRNAが得られるであろう。 50個のクローンからなる各群は約10個の挿
入物を含有する。3〜5μgの挿入DNAを蔗
糖密度勾配遠心分離によつて精製し、ニトロ
セルロースフイルターに結合させた。かくし
て、0.3〜0.5μgの個々の挿入DNA(個々のク
ローンから得られたもの)がフイルターに結
合される。 10ngのIL2 mRNA(150ngが利用可能であ
る)がフイルターに結合された300〜500ng
のIL2 cDNA挿入物とハイブリツド形成し
得ると仮定し、かつこのRNAの30%が溶出
後に回収され得ると仮定して、3ngのIL2
mRNAを2μの水に溶解し、その内30nも
しくは0.05ngのIL2 mRNAを卵細胞中へ注
入する。これは分析中に検出される筈であ
る。 それぞれ10個の挿入物(50個のクローンか
ら得られたもの)を含有する30個のフイルタ
ーを分析して、ハイブリツド形成すべき300
の個々の挿入物を与えた。IL2 mRNAがds
cDNA合成に使用したポリA+RNAの0.3%を
構成すると仮定して、平均で1個のIL2
cDNAクローンがフイルター中に存在する筈
である。 2 分析の実施 工程A:「挿入DNA」の精製およびこの「挿
入DNA」を含有するニトロセルロー
スフイルターの調製 上記で調製したライブラリー(M2および
M3)のそれぞれを50個のクローンからなる
群に分割し、50個の各群を単一の寒天平板上
で1晩増殖させた。次いで、これらクローン
から得られた細菌を10mlのLB培地に懸濁さ
せ、0.5の脳心臓潅流物(BHI―ジフコ)
にこの懸濁物を接種した。細菌懸濁物を1晩
増殖させた後(プラスミドの増加を伴わな
い)、SDS―アルカリ溶菌によつてこれら培
養物からDNAを単離した(デイー・イシユ
ーホロビツツおよびジエー・エフ・パーク、
ヌクレイツク・アシド・リサーチ、第9巻、
第2989〜2998頁(1981)〕。次いで、50個のク
ローンの各混合物(200μg)からのプラスミ
ドDNAを200μの10mMトリス―HCl(PH
7.5)と1mMのEDTAにおいてBamHI制限
エンドヌクレアーゼにより切断して、「挿入
DNA」を切除した。反応が完結した後(4
%ポリアクリルアミドゲルにおいて5μを
電気泳動させて検査する)、DNA混合物を68
℃にて5分間加熱し、これを氷中で冷却し、
そして11μの5―220%蔗糖密度勾配へ
10mMトリス―HCl(PH7.5)と1mMのEDTA
とで充填した。各密度勾配をベツクマン
SW41型ローターにて40K(40000rpm)かつ
4℃で16時間遠心分離した。 次いで、各密度勾配を分画しかつ「挿入
DNA」の混合物(5〜10μg)を含有するフ
ラクシヨンを1:10容量の2M KOAc(PH5)
と2容量のエタノールとで−20℃にて少なく
とも3時間沈澱させた。 「挿入DNA」の沈澱混合物を遠心分離に
より集め、ペレツトを全部で20μの10mM
トリス―HCl(PH7.5)と1mM EDTAとに入
れ(2μを4%ポリアクリルアミドゲルの
電気泳動に使用した)、この混合物を100℃に
て1分間加熱し、氷中で冷却し、そして10μ
の1.5N NaOHを加えた。混合物を室温で
10分間培養した後、30μの2M NH4OAcを
加え、これを前もつて1M NH4OAcで湿ら
せておいたニトロセルロースフイルターにス
ポツトし(9mm2、シユライヒヤーおよびシユ
エルBA85、0.45μm)、「挿入DNA」をフイ
ルター吸着させた。これらフイルターを空気
乾燥し、0.9M NaClと0.09Mクエン酸ナトリ
ウムとで洗浄し、乾燥し、そして80℃にて減
圧下に1晩焼成した。 工程B:「挿入DNA」とポリA+RNAとのハイ
ブリダイゼーシヨン ハイブリダイゼーシヨン選択のため、30個
のニトロセルロースフイルターを、65%ホル
ムアミド(アンバーライトMB1、セルバ社、
により脱イオン化したもの)と0.2%SDSと
20mM HEPES(PH6.4)と0.4M NaClとの混
合物500μを含有する15mlのシリコン処理
した無菌コレツクスチユーブ中で50℃にて2
時間予備ハイブリツド形成させた。次いで、
溶液を、ポリA+RNAを含有する同一の混合
物(PHA/TPA誘発された脾細胞から得ら
れる5〜20%蔗糖密度勾配で上記のように精
製しかつ68℃にて1分間予備加熱したもの
50μg)で交換した。次いで、これらフイル
ターおよび混合物を50℃にて5時間培養し
た。30個のニトロセルロースフイルターは、
上記のようにM2およびM3フラクシヨンの一
部からそれぞれ調製された50個のクローンよ
りなる30群を示した。 工程C:非ハイブリツド形成ポリA+RNAか
らのハイブリツド形成ポリA+RNA―
挿入DNAの分離 ハイブリツド形成ポリA+RNA―挿入
DNAを含有する30個のフイルターを50mlの
プラスチツクチユーブに移し、これらを50ml
の10mMトリス―HCl(PH7.6)と0.15M
NaClと1mMのEDTAと0.5%SDSとの溶液
50mlで9回洗浄し、かつSDSを含まない上記
の緩衝液で65℃にて2回洗浄した。次いで、
それぞれ個々のフイルターを100μの水と
2μ(4μg)のポリA+RNAとを含有するシ
リコン処理したエツペンドルフ管へ移した
(オリゴ(dT)セルロースカラムには脾細胞
からのRNAを通した)。これらチユーブを
100℃にて1分間加熱し、そして直ちにこれ
らをCO2/エタノール浴中で凍結させた。こ
れらチユーブを室温で解凍した後、フイルタ
ーを各チユーブから取り出し、溶出した
RNAを−20℃にて15μの2M NAOAc(PH
5)と300μのエタノールとで1晩沈澱さ
せた。遠心分離によりRNAを集め、ペレツ
トを70%エタノールで2回洗浄しそして乾燥
させた。 工程D:IL2―mRNA活性の測定 30個のペレツトのIL2―mRNA活性を分析
するため、30個のフイルターに対応する、す
なわちM2およびM3フラクシヨンからの50個
のクローンよりなる初期の30群に対応するペ
レツトのそれぞれを2μの水に溶解し、こ
のRNA溶液を15〜20個のアフリカツメガエ
ルの卵細胞へ上記と同様に注入した。23℃で
3日間後、卵細胞培地を除去し、IL2活性に
つき分析した(上記と同様)。 3 RNA選択ハイブリダイゼーシヨン分析の
結果 50個のクローンよりなる30群〔cDNAフラ
クシヨンM2(750―1000bp)からの18群およ
びcDNAフラクシヨンM3(600―750bp)か
らの12群〕のうち2群、すなわち群M3―2
(フイルター20)と群M3―6(フイルター24)
とが、卵細胞注入分析で測定してIL2活性を
暗号化するmRNA(誘発脾細胞からのポリ
A+RNAから得られたもの)にハイブリツド
形成する挿入DNAを含有した。この分析の
結果を第1表に示す。
【表】
【表】
【表】 上記したように第2のハイブリダイゼーシ
ヨンと分析とを行つた後、群M3―2および
M3―6が再び陽性を示した。群M3―2の50
個のクローンを14個のサブ群、すなわちサブ
群A〜Nにそれぞれ分割した(各群は7個の
クローンを含有し、ただしサブ群又は8個の
クローンを含有し、全群における陽性クロー
ンの存在は2つの陽性サブ群をもたらす筈で
あり、すなわち「平方根法」を使用する)。
次いで、上記のハイブリダイゼーシヨンおよ
び分析手順を、これら14個のサブ群からの挿
入DNAを含有するニトロセルロースフイル
ターについて反復し、サブ群M3―2D(クロ
ーンM3―2―4,11,18,25,32,39およ
び46を含有する)とサブ群M3―2L(ーM3―
2―29,30,31,32,33,34および35を含有
する)とがIL2活性を示すことを突き止め
た。したがつて、個々のクローンM3―2―
32がひとIL2―mRNAに相補的な「挿入
DNA」を有するプラスミドを含有するクロ
ーンとして同定された。したがつて、クロー
ンM3―2―32の挿入DNAを単離し、精製
し、そしてこれをニトロセルロースフイルタ
ーに結合させ、このRNAハイブリダイゼー
シヨン分析を上記と同様に反復した。この分
析において個々のクローンM3―2―32は約
6800cpmIL2活性を示した。 このクローンをイー・コリHB101
(pSV529(Bam HI)/IL2―0)と命名し、
その組み換えDNA分子をpSV529(Bam
HI)/hIL2―0(「pSV―hIL2―0」)と命名
し、かつそのDNA挿入物をhIL2―0と命名
した。この命名法は、クローンおよび組み換
えDNA分子がBam HI部位にhIL2―関連
cDNAを含有するプラスミドpSV529からな
ることを示し、特定クローンが最初に示され
ている。 hIL2―0にクロスハイブリツド形成する組み換
えDNA分子を含有したクローンの同定 上記のように単離したpSV―hIL2―0を使用
して、群M2およびM3のcDNAから予め調製した
クローンのライブラリーをコロニーハイブリダイ
ゼーシヨンによつて選別した〔エム・グルンスタ
インおよびデイー・エス・ホグネス、「特定遺伝
子を含むクローン化DNAの単離法」、プロシーデ
イング・ナシヨナル・アカデミー・サイエンス・
USA、第72巻、第3961―65頁(1975)〕。この方
法は、pSV―hIL2―0から作成された放射性プ
ローブをニトロセルロースフイルターに固定され
た溶菌細菌コロニーのDNAに対しハイブリダイ
ゼーシヨンさせて関連コロニーを迅速に同定する
ことを可能にする。 上記のように、マイクロタイタープレートに集
めたクローンのライブラリーを同様な寸法のニト
ロセルロースシート(0.45μmの孔直径、シユラ
イヒヤーおよびシユエルまたはミリポア社)で複
製したが、これらシートは界面活性剤を除去する
ため予め煮沸し、そしてこれらシートをカルベニ
シリル(100μg/ml)を含有するLB寒天平板の
上に置いた。細菌コロニーを37℃にて1晩増殖さ
せた。ニトロセルロースシート上の細菌の溶菌お
よび固定を、0.5N NaOH(約7分間2回)と1M
トリス―HCl(PH7.5)(約7分)と0.5Mトリス―
HCl(PH7.5)および1.5M NaCl(約7分)と、2
×SSC(0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウ
ム(PH7.2)(約7分)とで順次に洗浄することに
より行つた。エタノールで充分洗浄しかつ風乾し
た後、これらシートを減圧下で80℃にて2時間焼
成し、室温で貯蔵した。 挿入DNA hIL2―0断片に特異的なHinf制限
断片を、コロニーハイブリダイゼーシヨンのプロ
ーブとして使用した。この断片(450塩基対)を、
pSV―hIL2―0のHinf切断生成物の4%ポリア
クリルアミドゲルにおける電気泳動で精製した。
DNAバンドを臭化エチジウムで染色した後、特
定断片を溶出させ、そして残留する臭化エチジウ
ムをイソアミルアルコール抽出によつて除去し
た。次いで、特定断片をエタノールでの沈澱によ
り濃縮し、「ニツク翻訳」により 32P―標識し
〔ピー・ダブリユウ・ジエー・リグビー等、
「DNAポリメラーゼIでのニツク翻訳によるin
vitroでのデオキシリボ核酸の高比放射能ラベ
ル」、ジヤーナル・モレキユラー・バイオロジー、
第113巻、第237―251頁(1977)〕、この場合それ
ぞれdCTP、dTTPおよびdGTPを400μMで2.5μ
含有し、かつ100p molesのα―ATP(アメル
シヤム社、2000Ci/mmole)と2.5単位のDNA―
ポリメラーゼ(ベーリンガー社)とを含有する
50μの50mMトリス―HCl(PH7.4)と10mM
MgCl2と20mMβ―メルカプトエタノールにおい
て15℃にて45分間培養した。未反応のデオキシヌ
クレオシド三リン酸を、セフアデツクスG75カラ
ムにおけるTE緩衝液でのゲル濾過によつて除去
した。高度に 32P―標識されたDNAを0.1容量の
2M酢酸ナトリウム(PH5.1)と2.5容量のエタノ
ールとにより20℃にて沈澱させた。 フイルター含浸されたDNAに対する上記プロ
ーブのハイブリダイゼーシヨンを行つた(これは
デイー・ハナハンおよびエム―メセルソンによ
り、「高コロニー密度におけるプラスミドスクリ
ーニング」、ジーン誌、第10巻、第63―67頁
(1980)に実質的に記載されている)。上述したよ
うに調製したフイルターを0.1%フイコール、0.1
%ポリビニルピロリドン、0.1%牛血清アルブミ
ン、0.15M NaCl、0.03Mトリス―HCl(PH8)、
1mM EDTAにおいて68℃にて2時間予備培養
し、次いで0.02%フイコール、0.02%ポリビニル
ピロリドン、0.02%牛血清アルブミン、0.75M
NaCl、0.15Mトリス―HCl(PH8)、5mM
EDTAおよび0.5%SDSにて洗浄した。上記洗浄
溶液と同一の溶液でハイブリダイゼーシヨンを68
℃にて進行させ、この場合使用に先立ち100℃に
て5分間変性した 32P―標識プローブを使用し
た。ハイブリツド形成したフイルターを0.3M
NaCl、0.06Nトリス―HCl(PH8)、2mM EDTA
にて68℃で2時間2回洗浄した後、風乾しかつ放
射分析した。 cDNAフラクシヨンM2から生じた約1300個の
クローンとcDNAフラクシヨンM3から生じた
1050個のクローンとを選別した。このコロニーハ
イブリダイゼーシヨンスクリーニングの結果、
IL2プローブに強力にハイブリツド形成したフラ
クシヨンM3 cDNAから生じる1個のコロニーを
同定した。フラクシヨンM3からのこのクローン
をpSV―hIL2―1と命名した。これはRNA選択
分析において予め陽性であつたM3―6群から生
じたものである。 DNA挿入物hIL2―1は約230bpを示した(そ
のG/C末端を含む)。この挿入物はhIL2―0の
内部Hinf断片とハイブリツド形成するので、こ
の挿入物は内部ニツクでdG末端処理されたds
cDNA分子を挿入することにより生じたものと思
われる。 勿論、上記のようにhIL2―0挿入DNAまたは
その挿入物を使用して同定されたクローンのその
他のDNA挿入物を用いるクローンスクリーニン
グのこの方法は組み換えDNA技術、合成、天然
源またはその組合せから生ずるDNA配列を含有
するその他のクローン、あるいは単一もしくは複
数の塩基置換、挿入、逆転または削除を含む突然
変異による上記DNA配列のいずれかに関連した
DNA配列を含むクローンについても同等に使用
することができる。さらに、上記DNA配列によ
り選別されないが、ヌクレオチド配列の結果とし
て上記DNA配列により暗号化されたポリペプチ
ドを暗号化するようなDNA配列も用いられうる。 さらに、ひとインターロイキン2を暗号化する
DNA配列とねずみ、豚、にわとり、牛または犬
のようなひと以外の原料から得られるIL2を暗号
化するDNA配列との間には同質性が予想される
ので、本発明のポリペプチドを暗号化するDNA
配列はこれらのひと以外のインターロイキン2を
暗号化するDNAの選択において、および免疫治
療剤および方法に使用するためのひと以外のイン
ターロイキンのクローン化および発現において有
用である。また、本発明のポリペプチドを暗号化
するDNA配列またはそれから調製かつ誘導され
るオリゴヌクレオチドを使用して、インターロイ
キン2ではないインターロイキン関連のポリペプ
チドを暗号化するその他のDNA配列を選択する
こともできる。 hIL2活性を示すポリペプチドの発現 hIL2―関連の挿入DNAを含有するプラスミド
で形質転換するためのアフリカ産緑猿(AP8)の
腎臓細胞を調製するため、これら細胞をデユルベ
ツコの改変イーグル最小培地(「DME」(ギブコ
社)に維持した。この培地は10%新生ウシ血清
(ギブコ社)と1ml当り100単位のペニシリンと1
ml当り100μgのストレプトマイシンとを含有し
た。細胞培養物を、DEAE―デキストラン改変法
を用いてプラスミドDNAにより形質転換させた。
次の工程も行つた:細胞の単一層をトリプシン―
EDTAにより約1時間徹底的に処理し、次いで
10%の新生ウシ血清を含有するDMEにおいて17
mmのウエル(1板の板当り24穴、コスター社)に
分散させた。24時間後、これらの細胞をHEPES
緩衝最小必須培地で2回洗浄し、そしてプラスミ
ドDNA(12μのF11―HEPES緩衝液中に約1〜
10μg/μで溶解)を500μg/mlのDEAE―デキ
ストラン(フアルマシア社)を含有する120μ
のDMEに加えた。この混合物を次いで細胞の単
一層へ約30〜60分間かけて加えた(ジエー・エツ
チ・マツクチヤンおよびジエー・エス・バガノ、
「ジエチルアミノエチル―デキストランによる猿
ウイルス40デオキシリボ核酸の感染性の促進」、
ジヤーナル・ナシヨナル・キヤンサー・インスチ
チユート、第41巻、第351―57頁(1978);ジー・
チユーおよびピー・エー・シヤープ、「懸濁物に
おける細胞のSV40 DNA形質転換:T―抗原の
転写および翻訳の効率分折」、ジーン誌、第13巻、
第197―202頁(1981))。これら細胞をDMEで3
回洗浄した後、新鮮な培地(DME+10%ウシ血
清+100μg/mlペニシリン、および100μg/mlス
トレプトマイシン)を加えそして細胞培養物を
CO2培養器において37℃で72時間培養した。 形質転換に使用したプラスミドDNAはリゾチ
ーム―界面活性剤の溶菌によりイー・コリ
HB101(pSV―hIL2―0)集落から調製し、臭化
エチジウムの存在下におけるCsCl勾配での同密
度遠心分離によつて精製した(エム・カーン等、
「プラスミドColE1から誘導されたプラスミドク
ローン化ベヒクル」、メソツド・イン・エンザイ
モロジー、第68巻、組み換えDNA(アール・ウー
編)、第268―280頁(1979)に実質的に記載され
ている)。 72時間培養した後、上澄液(〜1/2ml)を形
質転換細胞から除去し、そしてこれを慣用のIL2
分析に使用して、上澄液における生物学的活性な
hIL2―関連ポリペプチドの存在を測定した(上
記)。 クローンpSV―hIL2―0からのIL2活性の発現
は何ら観察されなかつた。その後のDNA配列決
定(下記)が示すところでは、このクローンの
DNA挿入物hIL2―0はその5′末端において不完
全であり、開始信号を含まない。* * hIL2―0の5′末端における喪失ヌクレオチド
の数を確定するため、短い(63bp)制限断片
を単離した。5′標識し、ストランド分離し、そ
して誘発脾細胞から得られたポリA+RNAへハ
イブリダイゼーシヨンした後に逆転酵素により
延長化した。変性用ポリアクリルアミドゲル上
でのcDNA生成物の分析は約210ヌクレオチド
のバンドを示した。この分析から、hIL2―0
はIL2 mRNAの全長よりも約110個のヌクレオ
チドだけ短いと確定された。 ここで使用した発現ベクターは開始信号を与え
ない。従つて、いかなるhIL2発現も、hIL2―0
のみを使用するこの叛現系において期待すること
ができなかつた。しかしながら、DNA挿入物、
hIL2―0を使用して本発明で用いたクローンラ
イブラリーから、あるいはIL2の完全暗号化配列
を持つもしくはhIL2―0の配列と組み合わせて
配列の喪失部分を供給するような他のクローンま
たは染色体から、その他のクローンを選択し得る
ことを了解すべきである。この種の選択技術は上
記に記載され、これを以下に例示する。hIL2に
対する完全暗号化配列を有するクローンを同定し
た後、この配列を使用して猿細胞を上記のように
形質転換させ、あるいはその他の適当な宿主を形
質転換させて、hIL2様ポリペプチドを生成させ
ることができる。さらに、このhIL2―0配列を
常法により、ATG開始コドンと組み合わせて、
成熟hIL2を暗号化するその配列またはその部分
を発現させることができる。 第5図は、hIL2―0 DNAを使用してhIL2を
生成する幾つかの作成を示している。これらの作
成においては、先ずpSV―hIL2―0のBam HI
―Bam HI断片を単離した。これは第4図に示し
たヌクレオチド配列を有する断片(hIL2―0)
である(ただし、下線を施した部分を除く)。 操作を単純化するため、先ずこの断片を
pAT153にサブクローン化し(第5図)、次いで
得られたhIL2―0暗号化配列を含有するプラス
ミドpAT 153をHgi A1によつて線状化させ、
T4ポリメラーゼにより3′末端を除去し、次いで
Bam HIにより線状DNAを制限してhIL2含有の
断片を単離し、この断片の5′末端はCCT(第4図
に示される第3のアミノ酸に対するコドン)で始
まり、またその3′末端はhIL2暗号化領域の末端を
越える(第4図)。この断片をhIL21と命名した。 DNA配列hIL21はPro(第4図に示したhIL2―
0配列の第3のアミノ酸)で始まる蛋白質を暗号
化するので、この配列の第2のアミノ酸(Ala)
をも暗号化するDNA配列を調製することに決定
した。* * 成熟hIL2はこのアラニンで始まる。 この作成を行うため、先ずhIL2断片をpAT153
から調製した断片へ結合させ、その際このプラス
ミドNar I(GG↓CGCC)により線状化し、末
端をDNAポリメラーゼI(クレノー)(Ban
部位をも形成する)で充填し、かつ線状断片を
Bam HIで制限した。得られたプラスミド、すな
わち第5図においてpAT153(hIL2B)は結合部
に次の配列を有する: GGCGCCT…… Pro 次いで、このプラスミドをBan Iで線状化し、
5′末端をDNAポリメラーゼI(クレノー)で充填
し、そしてこの線状プラスミドをBam HIで制限
した。得られたhIL2含有の断片をhIL2101と命名
した。その5′末端はGCGCCT(Ala―Proを暗号
化する)で始まりその3′末端はBam HI部位であ
つて、hIL2暗号化配列の末端を越える。次いで、
これら断片を、ATG開始コドンに隣接し、かつ
プロモーターおよびリボソーム結合部位の下流に
個々の発現ベクター中へ挿入した。この種の作成
によりアミノ末端としてそれぞれMet―Pro―
ThrまたはMet―Ala―Pro―Thrを有する本発明
のhIL2関連のポリペプチド生成物が得られた。
このポリペプチドのアミノ酸配列を以下に示す:
MetAlaProThrSerSerSerThrLysLysThrGlnLe
uGlnLeuGluHisLeuLeuLeuAsp
LeuGlnMetIleLe
uAsnGlyIleAsnAsnTyrLysAsn
ProLysLeuThrA
rgMetLeuThrPheLysPheTyrMe
tProLysLysAl
aThrGluLeuLysHisLeuGlnCys
LeuGluGluGluLe
uLysProLeuGluGluValLeuAsn
LeuAlaGlnSerL
ysAsnPheHisLeuArgProArgAs
pLeuIleSerAsnI
leAsnValIleValLeuGluLeuLy
sGlySerGluThrT
hrPheMetCysGluTyrAlaAspGl
uThrAlaThrIle
ValGluPheLeuAsnArgTrpIleT
hrPheCysGlnSer
IleIleSerThrLeuThr,および
MetProThrSerSerSerThrLysLysThrGlnLeuGl
nLeuGluHisLeuLeuLeuAspLeu
GlnMetIleLeuA
snGlyIleAsnAsnTyrLysAsnPr
oLysLeuThrArg
MetLeuThrPheLysPheTyrMetP
roLysLysAlaT
hrGluLeuLysHisLeuGlnCysLe
uGluGluGluLeuL
ysProLeuGluGluValLeuAsnLe
uAlaGlnSerLys
AsnPheHisLeuArgProArgAspL
euIleSerAsnIle
AsnValIleValLeuGluLeuLysG
lySerGluThrThr
PheMetCysGluTyrAlaAspGluT
hrAlaThrIleVa
lGluPheLeuAsnArgTrpIleThr
PheCysGlnSerIle
IleSerThrLeuThr (a) フアージMuから得られるPLプロモーターお
よびリボソーム結合部位 上記のDNA配列を発現ベクターpPLcMu299
(ゲーリーブエルの寄贈による)中へ挿入した。
このベクターはフアージMu*から得られるPL
プロモーターとリボソーム結合部位とを含有す
る。これはさらに、Nco I部位(CCATGG)
の一部であるATG開始コドンと、さらに下流
の唯一のBam HI部位とを特徴とする。* * このベクターはpPLc236から得られた
(イー・レモート等、「コリフアージλにPL
ロモーターにより制御される高効率発現のため
のプラスミドベクター」、ジーン誌、第81―93
頁(1981))。これら配列を含有する微生物およ
びプラスミドは、1982年8月16日付でATCC寄
託番号39173としてアメリカン・タイプ・カル
チヤー・コレクシヨンに寄託した。この培養物
は入手し得ると同時に、後記する培養物も入手
することができる。 従つて、pPLcMu299をNco Iによつて線状
化し、5′末端をDNAポリメラーゼI(クレノー
断片)で全ての4つのdNTPの存在下に充填
し、かつさらに線状DNAをBma HIにより切
断した。アガロースゲル上で精製した後、線状
化したpPLcMu299を上記のhIL2含有断片と結
合させ、そして得られたプラスミドを挿入され
たhIL2含有断片に基づいてpPLcMu―hIL21お
よびびpPLcMu―hIL201と命名した。構造
pPLcMu―hIL21の結合部におけるDNA配列
は次の通りである: TTAGGAGGGTTTTTACCCATGCCT… S.D. MetPro… 構造pPLcMu―hIL201の結合部における
DNA配列は次の通りである: TTAGGAGGGTTTTTACCATGGCGCCT
… S.D. MeTAlaPro… さらに、pPLcMu―hIL21の構造、フアージ
Muからのリボソーム結合部位およびPLプロモ
ーターを特徴とする第2のプラスミドを、
pPLcMu―hIL21の初期領域をpPLc28の領域
で交換することにより作成した(イー・レモー
ト等、上記)。このより小さいプラスミドを
pPLcMu―hIL22と命名した(第5図)。 次いで、イー・コリK12 ΔHIΔtrpをこれら
発現ベクターのそれぞれ形質転換し、得られた
培養物を42℃で3時間誘発させた。次いで、煮
沸SDS中で細菌を破砕することにより細菌抽出
物を調製し、この抽出物をSDSポリアクリルア
ミドで分析した(セルバブルーで染色)。3つ
の抽出物のそれぞれにおいて、誘発後に約15K
の新たな蛋白質バンドが存在した。しかし、こ
のバンドは28℃で生育させた形質転換細胞から
の抽出物には存在しなかつた。15Kの蛋白質は
全細胞蛋白質の約5〜10%であると推定され
た。 さらに上記した 3H―チミジン取込み分析に
より、これら形質転換宿主から作成された透明
な抽出物のhIL2生物学的活性を分析した。こ
の分析において、培養かつ誘発した細胞を界面
活性剤の不存在下で音波処理により開裂させ、
細胞残骸を30000gで遠心分離し、上澄液を
0.2μのミリポアフイルターを通して清澄させ
た。この分析の結果を下記第表に示す。
【表】
【表】 (b) Trpアテニエイシヨン領域から得られるTrp
プロモーターおよびリボソーム結合部位 次いで、上記のhIL2配列を発現ベクター
pTrp321(ゲーリーブエルの寄贈)に挿入した。
このベクターはTrpアテニユエイシヨン領域か
ら得られる。Trpプロモーターとリボソーム結
合部位とを含有する。ベクター部分は実質的に
pBR322であり、開始ATGコドンはNco I部
位の部分であり、かつ唯一のBam HI部位が存
在する。従つて、上記(a)の項に記載したと同じ
作成技術に従つて、hIL2配列を含有するプラ
スミドを作成した。これらのプラスミドを、使
用したhIL2含有断片に基づいて、pTrp―
hIL21およびpTrp―hIL201と命名した。構造
pTrp―hIL21の結合部におけるDNA配列は次
の通りである: AAAGGGTATCGATTCCATGCCT… S.D. MetPro… 構造pTrp―hIL201の結合部におけるDNA配
列は次の通りである: AAAGGGTATCGATTCCATGGCGCCT… S.D. MetAlaPro… 次いで、イー・コリK514λをpTrp―hIL21お
よびpTrp―hIL201で形質転換させ、そしてこ
れら形質転換宿主をトリプトフアン欠乏によつ
て37℃で誘発させた。誘発の後、再び誘発細胞
内に15Kの蛋白質バンドが観察された。予想通
り、このバンドは誘発しない細胞には存在しな
かつた。ここでも、ひとインターロイキン2の
活性の誘発合成のレベルは全細胞蛋白質の5〜
10%であつた。 さらに、界面活性剤の不存在下で音波処理に
より誘発培養物の細胞を開裂させ、細胞残骸を
30000gにて遠心分離し、かつ上澄液を0.2μの
ミリポアフイルターに通した後、生物学的活性
につき分析した。これら分析の結果を第表に
示す。
【表】 (c) 細菌抽出物からの生物学的活性の回収 1mlの培養物(pPLcMu―hIL21またはpTrp
―hIL21)から調製した細菌ペレツトを1%
SDS―1%β―メルカプトエタノールを含有す
るラメリの電気泳動用緩衝液(200μ)中に
懸濁させ、そしてこの懸濁物を37℃で1時間培
養し、次いで音波処理した。これら抽出物
(40μ)を0.1%SDSを含有する15%PAGE(ラ
メリ)に通して電気泳動した後、このゲルを2
mmのスライスに切断し、各ゲルスライスをマイ
クロタイタープレートの穴に入れた。次いで、
ゲルスライスを10%ウシ胎児血清を含有する
RPMI1640培地(ストレプトマイシンとペニシ
リンとを補充)で2回洗浄し、これらゲルをガ
ラス棒で破砕し、そして200μの培地中へ拡
散させることにより37℃で1晩溶出した。プレ
ートを4℃で2時間培養した後、これを200g
にて15分間遠心分離し、そして上澄液を前記と
同様にhIL2活性につき分析した。 この分析の結果、細菌抽出物(pPLcMu―
hIL21またはpTrp―hIL21)のhIL2生物学的活
性は、形質転換細胞の誘発の際現れる15K蛋白
質バンドと共に移動し、かつこの生学的活性は
SDS―PAGEから回収され得ることが確認され
た。 hIL2関連挿入DNAの特性化 第4図を参図して、挿入DNA hIL2―0の物
理地図を、供給業者により特定された条件下にお
ける種々の制限酵素(ニユー・イングランド・バ
イオラブ社またはベーリンガー社)での切断によ
つて作成した。切断生成物を2.2%アガロースゲ
ルまたは6%ポリアクリルアミドゲルにおいて
40mMトリス―HOAc(PH7.8)と20mM EDTA
で電気泳動させた。これら臭化エチジウムで染色
して肉眼化した後、または征限断片を 32P―ホス
フエート(下記)で末端標識する放射線分析の後
に分布し、pBR322の詳細な物理的地図と比較し
た〔ジエー・ジー・サツトクリフ、「大腸菌プラ
スミドpBR322の完全ヌクレオチド配列」、コー
ルド・スプリング・ハーバー・シンポジウム、第
43巻、第1号、第77―90頁(1978)〕。制限地図
を、これら切断パターンに基づいて作成した。こ
れらをDNA挿入物の配列決定により規定した
〔エー・エム・マキサムおよびダブリユウ・ギル
バート、「DNAの新規な配列決定方法」、プロー
シーデイグ・ナシヨナル・アカデミー・サイエン
ス・USA、第74巻、第560―64頁(1977)の方法
による〕。hIL2―0の配列は、下記するゲノム
hIL2クローンからの配列情報によつて補充した。
ゲノム情報を第4図に示す。 プラスミドDNAをイシユーホロビツツおよび
バーク(上記)の方法によつてpSV―hIL2―0
から作成し、この方法はスクリーニングとして一
群のクローンからDNAを単離するために上記で
使用した。挿入DNAをpSV―hIL2―0の
BamHI制限によつて得、これを前記と同様に中
性蔗糖密度勾配遠心分離によつて精製した(約
740bp)。次いで、製造業者(ニユー・イングラ
ンド・バイオラブ社)により推奨されるように、
種々の制限酵素で制限した。 制限したDNAを、4単位の細菌由来のアルカ
リホスフアターゼと0.1%のSDSとの存在下に65
℃にて30分間脱リン酸した。2回フエノール抽出
しかつエタノールを沈澱した後、DNAをγ―
32P―ATP(〜3000Ci/mmole)とポリヌクレオ
チドキナーゼ(P―Lバイオケミカルス社)とで
5′末端標識した。或いは、制限断片を、α―標識
した 32P―ヌクレオシドトリホスフエート(〜
1000Ci/mmole)の存在下でDNAポリメラーゼ
反応(クノレー断片、ベーリンガー社)により
3′末端標識した。 配列決定のため、標識した断片を2つ方法で処
理した。すなわち、あるものは第2の制限酵素で
開裂する前にポリアクリルアミドゲルで精製し
た。他のものは第2の制限酵素で直ちに開裂し
た。両者の場合、所望の断片をポリアクリルドゲ
ル上でトリス硼酸塩―EDTA緩衝液にて分離し
た。第3図は種々の制限断片(円および正方形は
それぞれ3′または5′標識を示し、矢印は配列決定
の方向を示す)および使用した配列決定を示して
いる。酵素Acc I、Apa、Ava I、BglII、
BstEI、Dde I、EcoRI、EcoRV、Fnn4HI、
HaeII、HincII、Hpa I、Hph I、Kpn I、
Msp I、Nae I、Nru I、Pvu I、PvuII、
Sec I、Sma I、Sph IおよびTaqについては
制限部位が見られなかつた。 これら断片をエー・エム・マキサムおよびダブ
リユー・ギルバート(上記)の方法に従つて分解
した。生成物を、種々の濃度および長さのポリア
クリルアミドゲルで50mMトリス硼酸塩と1mM
EDTA(PH8.3)にて900V〜2000Vを用いて分画し
た。このようにして得られた複合ヌクレオチド配
列およびその対応アミノ酸配列を第4図に示す。 hIL2―0に関し第4図に示したDNA配列は、
GC末端から−9〜−14の位置にポリアデニル化
信号AATAAAを有する。これは停止信号で終端
する133個のアミノ酸を暗号化するオープン読み
枠を有する。hIL2の分子量に基づきかつ天然
hIL2がグリコシル化されていると仮定して、成
熟hIL2は100〜130個のアミノ酸を有するであろ
うと予想した。従つて、挿入hIL2―0は成熟
hIL2に対する完全暗号化配列を含むと信じられ
るが、プレhIL2の推定シグナル配列およびこの
シグナル配列のATG開始信号のアミノ酸に対す
る暗号化領域に少なくとも1部を喪失していると
思われる。*ここでも、これらの喪失アミノ酸を
暗号化するクローンを前記と同様に選択し、或い
は作成することができる。例えば、第4図におい
て、この部分はゲノムクローン(下線)から配列
情報によつて供給される。しかしながら、この配
列は、これにより形質転換された宿主における
hIL2様ポリペプチドの合成を可能にする。 * 推定信号ペプチドは第4図における矢印で示
されるようにSerとAlaとに間で成熟hIL2から
開裂されると思われる。 この配列は、塩基置換、欠損、挿入または逆転
を含む、単数もしくは複数の突然変異のような遺
伝子に対する改変がまだこの遺伝子に生じていな
いか、或いはこのような改変によつてさらにこの
遺伝子の性質またはこの遺伝子から発現されるポ
リペプチドの性質を改変させ得ないという可能性
を排除するものではない。さらに、生理学的に同
じであるが、構造的には第4図に示したものと若
干異なる遺伝子またはポリペプチドをもたらすよ
うな任意の多形性を排除するものでもない。 もちろん、常法によりポリA+RNAから得られ
たクローン化cDNA(上記)は5′末端ヌクレオチ
ドを欠如していても、また人工的配列を含んでい
てもよいことを了解すべきである〔アール・ア
イ・リチヤード等、「鶏の成体のβ―グロビン
cDNAの分子クローン化および配列分析」、ヌク
レイツク・アシツド・リサーチ、第7巻、第1137
―46頁(1979)〕。 さらに、真核生物mRNAにおいて、5′末端か
ら最初のAUGトリプレツトは、一般に蛋白質合
成のための快始部位である〔エム・コザツク、
「メツセンジヤーRNAにおける開始領域を真核細
胞リボソームはどのように選択するか」、セル誌、
第15巻、第1109―25頁(1978)〕。 もちろん、第4図に示したポリペプチドの構造
は、生体内における酵素との相互作用、たとえば
グリコシル化によつてもたらされるポリペプチド
に対する何らの改変をも考慮に入れていない。従
つて、第4図に示したアミノ酸配列は、生体内で
生成されるIL2とは同一でないこともあると理解
せねばならない。 IL2を暗号化する染色体遺伝子の同定 HeaおよびAluで部分開裂により生成され
かつEcoRリンカーによつてλシヤロン4Aアー
ムに結合された胎児ひと染色体DNAの断片から
得られるハイブリツドフアージは、アール・エ
ム・ローン等によつて作成された〔セル誌、第15
巻、第1157―74頁(1978)〕。同様に、Mbo
での部分開裂により生成されるひと染色体DNA
断片を、λ47のBamH 部位にクローン化させ
た〔ダブリユー・エー・エム・レーネンおよびダ
ブリユー・ジエー・ブライマー、ジーン誌、第20
巻、第249―59頁(1980);ジエー・デラマータ、
私的通信〕。両遺伝子は前記のようなpSV―hIL2
―0の 32P―標識Hinf 断片をプローブとし
て使用する(インサイチユ(in situ))方法によ
つて選別した〔ダブリユー・デー・ベントンおよ
びアール・ダブリユー・デビス、サイエンス誌、
第196巻、第180―82頁(1977);テイー・マニア
チス等、セル誌、第15巻、第687―701頁
(1978)〕。 ローン遺伝子の1300000個のプラークから2個
およびレーネン遺伝子の700000個のプラークから
3個のハイブリダイゼーシヨン陽性フアージクロ
ーンを単離した。これらプラークを繰返し精製し
て、これらをそれぞれλCH4A―ghIL2―1、
λCH4A―ghIL2―2並びにλL47―ghIL2―1、
λL47―ghIL2―2およびλL47―ghIL2―3と命名
した。 第6図は、全hIL2遺伝子を有するプラーク
λCH4A―ghIL2―1の部分制限地図を示してい
る。さらに、この遺伝子をpUR250において、そ
れぞれ2.7kbおよび3.8kbの2つのEcoRI断片とし
てサブクローン化した〔ユー・ルター、「pURは
挿入物DNAストランドの迅速な化学的開裂決定
を可能にする」、ヌクレイツク・アシツド・リサ
ーチ、第10巻、第5765―72頁(1981)〕。制限分析
およびハイブリダイゼーシヨンのデータに基づ
き、pUR―ghIL2―1/2700bp RI―RIはhIL2の
信号配列とプロモーター領域とを含有することが
確認された。このプラスミドおよびpUR―ghIL2
―1/3800bp RI/RIの制限分析はさらに、
hIL2暗号化領域には4個のエクソンと3個のイ
ントロンとが存在することを示唆した。 IL2活性を暗号化する染色体遺伝子は細菌宿主
において発現できないこともあることを了解すべ
きである。何故なら、これらの介入配列はこの種
の宿主によつて正確に処理されないことがあるか
らである。染色体遺伝子は真核細胞宿主における
IL2の生産において極めて有用であると思われ、
この場合ひと非暗号化領域、イントロンおよび暗
号化領域は、高レベルの発現および生物学的活性
なIL2への生産物の正確な処理に対し極めて重要
である。 本発明のIL2活性を示すポリペプチドの収率およ
び活性の向上 蛋白質の生産レベルは3つの主要な因子により
支配される:すなわち、細胞内の遺伝子のコピー
数、これら遺伝子コピーが転写される効率および
これらが翻訳される効率である。転写および翻訳
(これらは一緒になつて発現を構成する)の効率
はヌクレオチド配列、一般には所望の暗号化配列
の前方に位置する配列に依存する。これらのヌク
レオチド配列または発現制御配列は、特に、
RNAポリメラーゼが反応して転写を開始する位
置(プロモーター配列)と、リボソームが
mRNA(転写の生成物)と結合かつ反応して翻訳
を開始する位置とを規定する。必ずしも全てのこ
の種の発現制御配列が同等な効率を有するとは限
らない。従つて、所望の蛋白質に対する特定暗号
化配列を隣接するヌクレオチド配列から分離し
て、これらを他の公知の発現制御配列へ融合さ
せ、より高レベルの発現を得ることが有利であ
る。これが達成された後、新たに作成された
DNA断片をより多数のコピープラスミド中へ、
またはバクテリオフージ誘導体中へ挿入して、細
胞内の蛋白質コピー数を増加させ、かつそれによ
り発現蛋白質の収率をさらに向上させることがで
きる。 上記のように数種の発現制御配列を使用するこ
とができる。これらはイー・コリの乳糖オペロン
(「lac系」)のオペレーター、プロモーターおよび
リボソーム結合および相互反応配列(例えばシヤ
イン―ダルガルノ配列のような配列を含む)、イ
ー・コリのトリプトフアンシンセターゼ系(「trp
系」)の対応する配列、フアージλ主オペレータ
ーおよびプロモーター領域(上記したようなUL
PLおよびURPR)、繊維状の一本鎖DNAフアージ
の制御領域、または真核もしくは原核細胞および
そのウイルスの遺伝子の発現を制御するその他の
配列、またはそれらの組合せを包含する。従つ
て、適当な宿主における特定ポリペプチドの生産
を向上させるには、このポリペプチドを暗号化す
る遺伝子を上記のように作成し、かつこれをその
発現制御配列に近接して、または上記の改善発現
制御配列の1種の制御下で組み換えDNA分子中
に挿入する。この種の方法は当業者で公知であ
る。 翻訳の効率を向上させる他の方法は、化学的ま
たは酵素的に調製したオリゴヌクレオチドを開始
コドンの前方に挿入することを含む。この方法に
より、一層最適なメツセンジヤーRNAの1次お
よび2次構造を得ることができる。さらに詳細に
は、開始AUGコドンが容易に認識され得る位置
(すなわち2次構造により遮蔽されていない)に
おいてヘアピンの頂部に生ずるか、または他の一
本鎖領域に生ずるように配列を設計することがで
きる。さらに、上記シヤイン―ダルガルノ断片の
位置および配列も同様に最適化することができ
る。メツセンジヤーRNAの一般的構造(折畳み)
の重要性が示されている〔デイー・イセレンタン
トおよびダブリユー・フアイエルス、「mRNAの
2次構造および翻訳開始の効率」、ジーン誌、第
3巻、第1〜12頁(1980)〕。 所望生成物の細胞収率の増加は、細胞内で利用
し得る遺伝子数の増加に依存する。これは、IL2
遺伝子をその転写および翻訳制御要素を用いて、
または用いずに高コピー数プラスミドへ、または
温度制御されたコピー数プラスミド(すなわち、
プラスミドのコピー数が温度の上昇変化の後に増
大する〔ビー・ウーリン等、「クローン遺伝子お
よびその生産物の増大に対する温度依存性コピー
数を有するプラスミド」、ジーン誌、第6巻、第
91―106頁(1979)〕ように突然変異したプラスミ
ド)へ挿入することにより達成される。 或いは、遺伝子量の増加は、たとえば上記のよ
うに作成された組み換えDNA分子を特に簡単に
は制限酵素でのプラスミドの切断によつて溶原性
バクテリオフアージλ中へ挿入して線状分子を生
成させ、次いでこれを制御フアージλクローン化
ベヒクルと混合することにより達成され〔例え
ば、エヌ・イー・ムレー等、「in vitro組み換え
体の回収を簡単にするフアージλ」、モレキユラ
ー・ゼネラル・ジエネテイツクス、第150巻、第
53―61頁(1977)およびエヌ・イー・ムレー等、
「バクテリオフアージT4からのDNAリガーゼ遺
伝子の分子クローン化」、ジヤーナル・モレキユ
ラー・バイオロジー、第132巻、第493―505頁
(1979)〕、そして組み換えDNA分子をDNAリガ
ーゼと共に培養して生成させる。次いで、所望の
組み換えフアージを前記と同様に選択し、かつこ
れを使用してイー・コリの宿主菌株を溶原化させ
る。 従つて、本発明に用いられる挿入DNAは
SV529プラスミドから取り出して、これを前記と
同様に他の発現ベクター中へ挿入し、これらベク
ターを種々の宿主で前記と同様に使用してIL2を
暗号化する遺伝子の発現を向上させ得ることを了
解すべきである。 ここに記載した方法で調製された微生物および
組み換えDNA分子は、1983年2月8日付けで西
ドイツ国、ゲツチンゲン在、ドイツチエ・ザンム
ルング・フオン・ミクロオルガニスムの培養物コ
レクシヨンに寄託した培養物で例示される: hIL2―A:E.coli HB101 (pSV―hIL2―0) hIL2―B:E.coli HB101 (pSV―hIL2―1) これら培養物は、それぞれ寄託番号DSM2595
および2596(ブタペスト条約に基づく国際寄託)
が付与されている。 さらに、ここに記載した方法で作成された微生
物および組み換えDNA分子を、1983年4月18日
付けでメリーランド州、ロツクビル在のアメリカ
ン・タイプ・カルチヤー・コレクシヨンの培養物
コレクシヨンに寄託した: hIL2―C:E.coli K514λ (pTrp―hIL201) hIL2―D:E.coli K12RRIΔM15 (λCH4A―ghIL2―1/ 2700bp RI―RI) hIL2―E:E.coli K12RRIΔM15 (λCH4A―ghIL2―1/ 3800bp RI―RI) これら培養物には、それぞれATCC 39338,
39339および39340の(ブタペスト条約に基づく国
際寄託)の寄託番号が付与された。 本発明のひとインターロイキン2様ポリペプチ
ドは、N末端にMet Ala Pro…のアミノ酸配列
を有する。このようなN末端にMetを有するイン
ターロイキン2ポリペプチド(以下、Met―IL2
とする)は、同様の活性を示すがN末端にMetを
もたないインターロイキン2ポリペプチド(以
下、des―Met―IL2とする)に比べて、次の利点
もしくは相異点である。: (1) 分子内のジスルフイド結合を還元した後の活
性の回復率が高い; (2) 広範囲のPHにおいて安定である; (3) 血清中での安定性が高い; (4) 非イオン性界面活性剤の影響が極めて少な
い; および (5) 分子中のHis残基のpkaが大きく異なる。 上記(1)〜(5)を確認するために行つた実験および
その結果を次に示す。 試料および測定方法 以下、「IL2」とは、Met―IL2とdes―IL2の両
方を包括的に指示することとする。 1 IL2試料 Met―IL2は、精製された本発明のポリペプ
チドを、50mM酢酸溶液(タンパク濃度1.0
mg/ml)と用いた。des―Met―IL2は、上記ポ
リペプチドのN末端メチオニン残基をアミノペ
プチダーゼで切除・精製し、50mM酢酸溶液
(タンパク濃度1.0mg/ml)として用いた。 2 アミノ酸分析 ニンヒドリン法とフエニルチオカルバモイル
(PTC)アミノ酸誘導体化法を用いた。IL2の
加水分解は、0.2%の3―(2―アミノエチル)
インドールを含む4Nメタンスルホン酸中、110
℃で24,48,72時間(ニンヒドリン法)または
150℃で50分、2時間、3時間(PCT)の条件
で行つた。ニンヒドリン法ではCys残基を過ギ
酸酸化して定量した。 3 タンパク濃度 50mM酢酸溶液のIL2濃度は別途決定した
280nmにおける吸光係数E0.1mg 1cm0.71(Met―
IL2)、および0.71(des―Met―IL2)を用いて
吸光度から求めた。種々の条件下のIL2溶液の
タンパク濃度は各IL2酢酸原溶液からの調製
(希釈)条件またはHPLCピーク面積に基づい
て算出した。 4 UVおよびCDスペクトル測定 UV自記分光光度計および円二色性スペクト
ル計を用いた。UVスペクトルの測定には1cm
セミミクロセルを、CDスペクトルの測定には
1cmセル(長波長領域)と0.1mmセル(短波長
領域)を用いた。平均残基楕円率〔θ〕は、平
均残基量116.0(Met―IL2)および115.9(des―
Met―IL2)を用いて求めた。 5 HPLC 4.6mmφ×25cmの分析カラムと4.6mmφ×5cm
のプレカラムを用い、移動相はA=0.1%トリ
フルオロ酢酸(TFA)水溶液/アセトニトリ
ル(99:1)、B=0.075、0.070または0.1%
TFAのアセトニトリル溶液としてグラジエン
ト溶出を行なつた。検出はUV217nm、流速は
1.0ml/minとした。 6 バイオアツセイ 種々の条件下のIL2溶液は、0.25%ヒト血清
アルブミン(HSA)を含むPH3.8またはPH7.4の
vehicleで0.013〜0.051mg/mlまで希釈してアツ
セイに供した。還元条件下のIL2溶液を希釈す
る時には2mMジチオトレイトール(DTT)を
含むvehicleを用いた。なお、PH7.4のvehicleに
は、0.5mg/mlの濃度でTween80を共存させた。
バイオアツセイはこれらの溶液をさらに
RPMI160培地(10%仔牛血清、0.02mMメルカ
プトエタノール、1mMピルビン酸ナトリウム
含有)で3000〜5000倍希釈し、3―(4,5―
ジメチルチアゾリル―2)―2,5―ジフエニ
ルテトラゾリウムブロミドの比色によるMTT
法を用いて行なつた。培養は37℃、48時間とし
た。 7 S―S結合の還元 約0.8mg/mlのIL2を0.2MDTTを含む3.9mM
酢酸中、室温で12時間静置して還元した。CD
スペクトルを測定するため、さらに透析して、
DTT濃度を2mMまで下げた溶液も調製した。
還元体の生成量はHPLC分析によつて求めた。 8 PH安定性試験 PH1.1〜10.0の9種PH条件下で約0.35mg/mlの
IL2溶液を調製してCDスペクトルを測定し、タ
ンパク構造に及ぼすPHの影響を調べた。HPLC
分析も併行して行なつた。生物活性に対するPH
安定性は、IL2溶液を各PHで4℃、24時間静置
した後PH7.4のvehecleで希釈してバイオアツセ
イすることによつて調べた。なお、初めの9種
PH溶液合のうちPH5以下は酢酸水溶液または酢
酸緩衝液、PH6以上はリン酸緩衝液をそれぞれ
用いて調製した。また、PH6以上のIL2溶液に
は0.5mg/mlのTween80を共存させ、中性付近
での不溶化を抑制するようにした。 9 血清中安定性試験 遠心濾過して不溶物を除いたヒト血清60μ
に1mg/ml IL2の50mM酢酸溶液2μを加え
て混和し(PH7.1〜7.4)、37℃で一定時間静置
した後、HPLC上のIL2ピークで追跡すること
によつて安定性を調べた。対照実験では血清の
代わりに50mM酢酸を用いた。各条件下のIL2
溶液はすべて遠心濾過した後、HPLCに注入し
た。IL2の検出量は対照実験のIL2ピークを100
とする百分率表わした。 10 His残基のPH滴定 IL2を凍結乾燥法によつて重水素置換し、
種々のPHのIL2重水溶液を調製した。これらの
1H―NMRスペクトルをNMRで測定し、His
残基のC2プロトンの化学シフトにおけるPH変
化を調べた。 実験方法の概略および結果 上記アミノ分析により、Met―IL2とdes―Met
―IL2は、前者でMetが1残基多い以外はアミノ
酸組成値は互いによく一致し、理論値ともよく一
致していることが確認された。N末端領域のアミ
ノ酸配列は手動式エドマン分解法を用い、Met―
IL2およびdes―Met―IL2についてそれぞれMet
―Ala―Pro―Thr―SerおよびAla―Pro―Thr―
Serであることが確認された。 (1) 還元剤で還元した後バイオアツセイを行う
と、希釈条件によつて生物活性は異なる。その
結果を第表に示す。
【表】 第表から、Met―IL2では活性の回復率が
78〜96%であるのに対し、des―Met―IL2では
活性の回復率が50〜70%と低い値であることが
わる。 (2) PHを1〜10の各PHで、4℃にてそれぞれ24時
間静置したIL2溶液についてのバイオアツセイ
の結果をFig.7に示す。Fig.7から、Met―
IL2およびdes―Met―IL2の生物活性について
のPH安定性はPH1〜10の範囲でいずれも高く、
ほとんど失活しないとみなされる。しかし、両
極端領域のPH1およびPH10ではのMet―IL2の
方が相対的に10%程度残存活性が高い。 Met―IL2およびdes―Met―IL2の溶液をPH
1〜10の各PHで2〜3日または6〜7日間4℃
にて保存した後、HPLCでIL2ピークを測定し
た。その結果をそれぞれFig8AおよびBに示
す。Fig8AおよびBから、PH1ではdes―Met
―IL2の方がHPLC上で異種成分ピークを多く
生成し、保存期間中の保溶化や吸着によるタン
パク濃度の低下(27%)が著しいことがわか
る。同条件下のMet―IL2では異種成分ピーク
は2%程度であり、タンパク濃度低低下はほと
んど認められなかつた。 (3) ヒト血清にMet―IL2およびdes―Met―IL2
の50mM酢酸溶液を3:1の容量比で加え、37
℃で52時間静置したときの未変性IL2の回収率
をFig.9に示す。Fig.9から時間と共にIL2未
変化体のHPLCピークとしての回収率が低下す
ることがわかる。44〜52時間後の回収率はMet
―IL2で54〜56%、des―Met―IL2で48〜50%
であり、後者の低下度の方が5〜6%程度大き
かつた。 (4) 酸性下で非イオン性界面活性剤ドデシル―β
―D―マルトシド(DDM)を2および10mg/
mlの割合で共存させると、両IL2は変性を引き
起こした。しかし、DDMが10mg/mlという高
濃度においては円二色性スペクトルを参照する
と、Met―IL2の方が変性の度合が低いことが
わかつた。 (5) Met―IL2およびdes―Met―IL2の滴定曲線
からHis残基のpkaを求めると、His15
(pka7.30)とHis55(滴定されない)とでは両者
に相違はない。しかし、His79のpkaは6.75
(Met―IL2)および6.32(des―Met―IL2)と
相違が認められた。 結 論 上記結果から、Met―IL2はdes―Met―IL2に
比べて次の利点を有することが明らかである: (1) 分子内のジスルフイド結合を還元した後の活
性の回復率が高い; (2) 広範囲のPHにおいて安定である; (3) 血清中での安定性が高い;および (4) 非イオン性界面活性剤の影響が極めて少な
い。 上記Met―IL2とdes―Met―IL2の相違は、例
えば、両IL2におけるN末端アミノ酸残基の相違
に基づく上記His79pkaの相違;等電点の相違;
N末端アミノ酸(メチオニンまたはアラニン)の
α1―アミノ基のpkaの相違;側鎖基の疎水性の度
合の相違などにもとづくと考えられる。 このように、Met―IL2は、des―Met―IL2に
比較して、実際の製造時において活性の回収率が
高いため、有利に生産され得る。さらにPH安定性
に優れ、界面活性剤や血清の存在下においてもよ
り安定であるため、各種診断用試薬あるいは治療
用薬剤として有利に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明における工程で製造される一連
の蔗糖密度勾配RNAフラクシヨンのIL2暗号化
活性を示すグラフである。第2図はpSV529並び
にそのBam HI部位に挿入されたIL2関連DNA挿
入物を有するベクターの説明図である。第3図は
本発明のポリペプチドの調製に用いられるIL2関
連DNA配列の制限地図およびこのDNA配列を決
定する際に使用する配列決定法の説明図である。
第4図は本発明のIL2関連ポリペプチドを暗号化
するDNA配列のヌクレオチド配列である。第5
図は適当な宿主を形質転換させてこれを培養した
際、本発明のIL2様生産物を生産させるのに使用
し得る各種の組み換えDNA分子の製造を示す略
図である。第6図は全hIL2遺伝子を含むλCH4A
―ghIL2―1プラークの部分制限地図である。第
7図は、Met―IL2およびdes―Met―IL2の各種
PH条件下における相対活性を示すグラフである。
第8図AおよびBは、Met―IL2およびdes―Met
―IL2の各種PH条件下におけるタンパク濃度を示
すグラフである。第9図は、Met―IL2およびdes
―Met―IL2を血清中に保存したときの、未変性
体の回収率の変化を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 式:
    MetAlaProThrSerSerSerThrLysLysThrGlnLe
    uGlnLeuGluHisLeuLeuLeuAsp
    LeuGlnMetIleLe
    uAsnGlyIleAsnAsnTyrLysAsn
    ProLysLeuThrA
    rgMetLeuThrPheLysPheTyrMe
    tProLysLysAl
    aThrGluLeuLysHisLeuGlnCys
    LeuGluGluGluLe
    uLysProLeuGluGluValLeuAsn
    LeuAlaGlnSerL
    ysAsnPheHisLeuArgProArgAs
    pLeuIleSerAsnI
    leAsnValIleValLeuGluLeuLy
    sGlySerGluThrT
    hrPheMetCysGluTyrAlaAspGl
    uThrAlaThrIle
    ValGluPheLeuAsnArgTrpIleT
    hrPheCysGlnSer
    IleIleSerThrLeuThr で示される、ひとインターロイキン2の免疫学的
    もしくは生物学的活性を示すポリペプチド。
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