JPH0233263B2 - - Google Patents

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JPH0233263B2
JPH0233263B2 JP59044397A JP4439784A JPH0233263B2 JP H0233263 B2 JPH0233263 B2 JP H0233263B2 JP 59044397 A JP59044397 A JP 59044397A JP 4439784 A JP4439784 A JP 4439784A JP H0233263 B2 JPH0233263 B2 JP H0233263B2
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artificial blood
blood vessel
elastomer
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pore
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Kazuaki Kira
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は環状ノズルを用いた人工血管の製造法
に関する。 近年、血管外科手術の進歩とともに人工血管の
研究も進み、数多くの人工血管が開発されてきて
いる。現在管内径約6mm以上の中口径あるいは大
口径動脈用人工血管としては、たとえば米国
USOI社製のダクロンの編物であるドベイスキー
人工血管や米国ゴア社製の延伸ポリテトラフルオ
ロエチレン(以下、EPTFEという)からなるゴ
アテツクスなどが、臨床に用いられている。これ
らの人工血管は、血管の内側から外側まで連通し
ている孔を有しており、生体に埋入後すみやかに
仮性内皮によつて覆われ、生体組織側からこの孔
を通して組織が進入し、安定に器質化され、人工
血管としての使命をはたしている。このように、
人工血管の器質化に役立つ連通孔を有することを
以下、有孔性を有するという。しかしこれらの人
工血管は、コンプライアンスが生体血管と大きく
異なるため、生体に埋入後長期間経ると、吻合部
にパンヌス(pannus)の過形成など種々の不適
合に関する問題が発生する。また内径約6mm以下
の小口径動脈用人工血管として用いると、コンプ
ライアンスの相違が顕著に表われ、開存性がわる
く、臨床に使用できない。したがつて、膝から下
の動脈や冠状動脈などの血行再建手術には自家静
脈が使用されている。 以上のことから人工血管、とくに小口径動脈用
人工血管の開発にあたつては、人工血管が有孔性
を有することや、人工血管の素材の血液適合性を
向上させることに加えて、コンプライアンスを生
体血管に近似させることが重要であるといわれて
いる。 しかし、現在開発されている人工血管のコンプ
ライアンスは、笹嶋らの報告(人工臓器12(1)、
179−182、1983)によれば、第1表の通りであ
る。
【表】 このように現在の人工血管のコンプライアンス
は、生体の動脈と比較すると非常に小さく、動脈
に対しては剛管とみなされるものである。 このようなコンプライアンスの不一致を解決す
るため、米国特許第4173689号明細書には人工血
管を構成する材料としてエラストマーを用い、管
壁を多孔質とし、生体血管に類似したコンプライ
アンスを有する人工血管の製造法に関する開示が
なされている。しかしこの人工血管は、エラスト
マー溶液に心棒を浸漬し、つぎにこれを取出して
心棒上に溶液をコーテイングし、これを貧溶媒
(水)に浸漬して、エラストマーを析出させる方
法であるため、血液接触面から生体組織接触面ま
で連通した孔がなく、また製造された人工血管の
管壁断面は、非常に小さい孔しか有さず、比較的
密な構造となる。このようにして製造された人工
血管のコンプライアンスは、従来の人工血管のコ
ンプライアンスよりは大きくはなるけれども、生
体血管のそれと比較するとまだまだ小さい。その
上従来の人工血管は、製造法が複雑であり、結果
として人工血管が高価となる欠点をも有してい
る。 人工血管に必要とされる性質としては、縫合し
やすいこと、縫合部がほつれないこと、任意の長
さに切断して使用できること、結節を生じないこ
となどがあげられる。ダクロンやテフロンの編物
などでは、これらが編物であるため、切断部のほ
つれをなくすのに特殊な編み方が必要になるし、
また結節防止のために蛇腹加工などの工夫も必要
となり、製法が複雑になり、高価なものとなる。
またEPTFE製のものは、テフロンの延伸による
複雑な製法を必要とし、高価なものとなる。 本発明者は以上のことを踏えて、縫合性がよい
こと、縫合部のほつれがないこと、任意の長さに
切断して使用できること、結節を起さないこと、
コンプライアンスが生体血管に近似していること
に加えて、充分な有孔性を有する人工血管を簡単
安価に製造する方法をうるため鋭意検討したとこ
ろ、造孔剤を含有するエラストマー溶液を、環状
ノズルから管状に凝固液中に押出すことによつ
て、前記目的を達成しうることを見出し、本発明
を完成した。 すなわち本発明は、エラストマーおよび該エラ
ストマーに対して1〜250重量%の造孔剤を含有
するエラストマー溶液を環状ノズルから内部凝固
液とともに押出したのち、全体を外部凝固液に浸
すことを特徴とする人工血管の製造法に関する。 本発明に用いるエラストマーとは、血液適合性
に優れた熱可塑性エラストマー、すなわち急性毒
性、炎症、溶血、発熱反応などを惹起するような
低分子溶出物を含まず、血液の生理機能に重大な
損傷を与えず、抗血栓性に優れた熱可塑性エラス
トマーである。このようなエラストマーとして
は、たとえばポリスチレン系エラストマー、ポリ
ウレタン系エラストマー、ポリオレフイン系エラ
ストマー、ポリエステル系エラストマーなどや、
これらのエラストマーにエラストマーとしての性
質を維持する範囲でエラストマー以外の高分子を
ブレンドしたものなどがあげられる。これらは単
独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよ
い。強度、耐久性、抗血栓性などの面からみる
と、これらのうちではポリウレタン系エラストマ
ーがより好ましい。ポリウレタン系エラストマー
の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレタン
ウレア、これらとシリコーンポリマーとのブレン
ド物などがあげられる。前記ポリウレタンやポリ
ウレタンウレアのなかでは生体内での耐久性の面
からポリエステル型よりもポリエーテル型の方が
より好ましく、さらに好ましいものとしてはセグ
メント化ポリウレタン、セグメント化ポリウレタ
ンウレア、ハードセグメントあるいはソフトセグ
メントにフツ素を含有するセグメント化ポリウレ
タンあるいはセグメント化ポリウレタンウレア、
特開昭57−211358号公報に開示されている主鎖中
にポリジメチルシロキサンを含有するポリウレタ
ンまたはポリウレタンウレアなどがあげられる。
とくに好ましいものとしてはポリジメチルシロキ
サンを式: (式中、R1〜R6は炭素数1以上のアルキレン基、
好ましくは炭素数2〜6のエチレン、プロピレ
ン、ブチレン、ヘキサメチレンなどのアルキレン
基、a、eは0〜30の整数、b、dは0または
1、cは2以上の整数を表わす)のような形状で
含有し、該ポリエーテル部分が−(
CH2CH2CH2CH2O−)26〜30または
【式】であるポリウレタンまたは ポリウレタンウレアがあげられる。 本発明に用いる造孔剤としては、エラストマー
を溶解している溶媒(以下、良溶媒という)に不
溶であり、人工血管の成形中あるいは成形後に除
去できるものであれば、とくに限定されることな
く用いうる。生体内に埋入する人工血管に用いる
ことを考えると、造孔剤といえども生体に対して
充分安全なものを用いることが好ましい。この意
味から食塩のように安全な無機塩類、グルコース
やデンプンのような水溶性糖類、蛋白質などが好
ましい。しかし前記のような無機塩類や水溶性糖
類などは本質的に吸湿性であるため、微細粒径に
すると表面積が増大し、空気中の湿気などで2次
凝集を起しやすい傾向にあり、取扱いに注意を払
う必要がある。この意味から造孔剤としては、蛋
白質がとくに好ましい。蛋白質は微細粒径にして
も空気中の湿気などによつて2次凝集を起すこと
もなく、安定した造孔が可能である。また人工血
管として製造された成形物から、アルカリ、酸あ
るいは酵素を用いて容易に溶解除去できる。好ま
しい蛋白質としては、カゼイン、コラーゲン、ゼ
ラチン、アルブミンなどがあげられる。造孔剤の
粒径は、主に人工血管の内側表面に形成される孔
の最大径にあわせて決めればよい。なお前記孔の
最大径は造孔剤の粒径よりも小さくなるばあいが
あるので、その小さくなる分を考慮して造孔剤の
粒径を決ればよい。通常1〜100μmの粒径が好
ましく、10〜74μmがさらに好ましく、20〜50μ
mであることがとくに好ましい。粒径が100μm
をこえると、形成される孔が大きくなりすぎた
り、エラストマー溶液に分散したのち大きな粒子
が沈降したり、エラストマー溶液を環状ノズルに
送るポンプに詰つたりする傾向にある。粒径が
1μm未満になると、形成される孔が小さくなり
すぎる傾向にある。本発明で使用する造孔剤の量
(造孔剤の量/エラストマー溶液中のエラストマ
ーの量の重量%で示す)は、必要とする有孔性、
造孔剤の粒径およびエラストマー溶液の組成によ
つて変化するので一概には決定することはできな
いが、1〜250%が好ましく、20〜200%がさらに
好ましく、50〜150%であることがとくに好まし
い。造孔剤の量が250%をこえると、形成される
孔が多くなりすぎるため、コンプライアンスが大
きくなりすぎたり、血圧に対する耐久性が劣つた
り、エラストマー溶液の粘度が高くなつて操作が
困難になつたりする傾向にある。造孔剤が1%未
満になると、孔の形成数が少なくなり、必要な有
孔性をうることができなくなる傾向にある。 本発明においては、エラストマー、造孔剤、溶
媒および必要に応じて用いられる他の成分からエ
ラストマー溶液が調製される。 エラストマー溶液中のエラストマーの濃度は5
〜35%(重量%、以下同様)が好ましく、10〜30
%であることがさらに好ましく、12.5〜25%であ
ることがとくに好ましい。エラストマーの濃度が
5%未満になると、製造された人工血管の強度が
弱くなりすぎたり、管状に成形できにくくなる傾
向にある。またエラストマーの濃度が35%をこえ
ると、製造された人工血管の強度が生体血管と比
べて強くなりすぎたり、溶液の粘度が高いため、
成形が困難になつたりする傾向にある。 前記エラストマー溶液に用いる溶媒としては、
エラストマーをよく溶かす良溶媒であればよく、
エラストマーの種類によつて最適良溶媒は異なる
ので一概には決められないが、通常はN,N−ジ
メチルアセトアミド、N,N−ジメチルフオルム
アミド、ジメチルスルフオキシド、N−メチル−
2−ピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ンなどがあげられ、これらを単独で用いてもよ
く、混合して用いてもよい。 人工血管の管壁の構造や内面あるいは外面の形
状を調節する目的でエラストマー溶液に、エラス
トマーは溶解しないが良溶媒とはよく混和する溶
媒(以下、貧溶媒という)を加えてもよい。前記
貧溶媒としては、水、低級アルコール類、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,4−
ブタンジオール、グリセリンなどが好ましい。 本発明に用いる環状ノズルは、エラストマー溶
液を環状に押出し、かつその内部に内部凝固液を
注入できるものである。図面を用いて環状ノズル
を説明する。 第1図は、環状ノズル3のエラストマー溶液の
押出し口を示したものである。1はエラストマー
溶液の出口であり、目的とする人工血管の内径と
外径とにあわせて、1の内径と外径とを決めれば
よい。2は内部凝固液の出口である。 本発明に用いる凝固液としては、エラストマー
は溶解しないが、良溶媒とはよく混和する貧溶媒
があげられ、たとえば水、低級アルコール類、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、グリセリンなどの少なくと
も1種類以上を用いるのが好ましい。とくに好ま
しい凝固液としては、水または水を主成分とする
貧溶媒があげられる。また、エラストマーの凝固
速度を調節することにより、管壁の内部、内面、
外面の構造を調節したり、操作を容易にしたりす
るために、水に水溶性の無機塩や良溶媒を加えて
もよい。本発明に用いる内部凝固液、外部凝固液
は、同じ組成であつてもよく、異なつていてもよ
い。 つぎに本発明の人工血管の製造法について説明
する。 造孔剤を含有するエラストマー溶液を一定速度
で環状ノズルに注入し、ノズルから管状に押出
す。押出し速度にあわせて管の内側に、同時に内
部凝固液が注入される。管状に押出されたエラス
トマー溶液は、ただちにあるいは一定の乾式距離
を持つて、外部凝固液に浸される。該乾式距離と
しては、50cm以下が好ましく、操作の面からは、
ただちに外部凝固液に浸すことが好ましい。 以上の操作によつて、エラストマーは外部凝固
液中に、管状に析出せしめられる。そののちその
ままの状態で、あるいは適当な長さに切断され、
充分に溶媒の除去あるいは溶媒の除去と並行し
て、造孔剤の溶解除去がなされる。このようにし
て製造された人工血管の構造は、造孔剤を含有し
ている状態で、少なくとも管壁断面の内側にスキ
ン層を有し、管壁内部はセル状の空隙が集合した
スポンジ状構造となるため、人工血管の管壁に含
有されている造孔剤は、スキン層やセル状の空隙
を形成する隔壁から容易に溶出することができ
る。 上記のようにしてえられた人工血管の断面の一
実施態様の説明図を第2図に、第2図に示す断面
の部分拡大説明図を第3図、また前記人工血管の
内側表面を説明するための説明図を第4図に示
す。 第2図、第3図に示すように、管壁の内側と外
側にはスキン層4,5が存在し、スキン層4とス
キン層5との間には隔壁8で仕切られたセル6が
存在する。またスキン層4,5には外部に向つて
開いた多数の孔9が存在し(第2図には図示され
ていない)、隔壁8には多数の孔7が存在し、ス
キン層4からスキン層5まで連通する孔が存在す
る。連通してスキン層表面に到達した孔は、内側
表面4aにおいては第4図に示す孔口9として外
部と連通している。 前記のように本発明の方法を用いれば、任意の
径の孔を任意の密度に有する人工血管を非常に簡
単に、しかも均一に製造することができる。その
上環状ノズルの寸法を変えることにより、必要な
寸法の人工血管を容易に製造することができ、結
果として非常に安価に人工血管をうることができ
る。 このようにして製造した本発明による人工血管
の内側、つまり血液接触面は血液適合性に優れた
エラストマーで構成されており、血液適合性は良
好であるが、生体への埋入初期の抗血栓性をさら
に向上させる目的で、内側の表面に、アルブミ
ン、ゼラチン、コンドロイチン硫酸またはヘパリ
ン化材料などをコーテイングしてもよい。 手術などの異常な血圧の増加に耐えたり、長期
間にわたる耐久性の維持の目的から、本発明によ
る人工血管の外側を、網状のネツトや不織布など
で補強してもよい。 以上に述べた本発明の方法で製造した人工血管
は、管壁断面の内側と外側にスキン層を有し、管
壁内部にスポンジ状の空隙を有する構造であり、
スキン層やスポンジ状の空隙を形成する隔壁に
は、造孔剤の除去にともなつて形成された孔や欠
が多く存在する。したがつて、造孔剤の量と粒径
を変化させることにより、必要とする任意の有孔
性をうることができる。そして、この孔が偽内膜
形成を促進したり、形成された偽内膜の安定化に
役立つ。 また本発明の方法で製造した人工血管は、管の
内径と管壁の厚さを生体血管にあわせたとき、そ
の生体血管のコンプライアンスと一致したコンプ
ライアンスにすることができる。これは構成材料
がエラストマーであり、かつ管壁に占めるエラス
トマーの密度が疎であることおよび造孔剤によつ
て形成された多数の孔が存在することによつて達
成されるものである。管壁に占めるエラストマー
の密度はエラストマー溶液のエラストマー濃度に
ほぼ比例する。したがつて、エラストマー溶液中
のエラストマー濃度が5〜35%では管壁に占める
エラストマーの密度も約0.05〜0.35g/cm3と非常
に疎になり、柔い構造となる。つまり、本発明の
方法では、エラストマーの強度、エラストマーの
濃度および造孔剤の量と粒径の調節により、生体
血管のコンプライアンスに一致する人工血管を容
易に製造することができる。 なお本明細書にいうコンプライアンスとは、式
(1): C=△V/V0・△P×100 (1) (式中、Cはコンプライアンス、V0は内圧50mm
Hgのときの測定血管の内容積、△Pは内圧50mm
Hgから内圧150mmHgまでの100mmHg、△Vは内
圧50mmHgから内圧150mmHgまでの間に増加する
測定血管の内容積である)で定義されるものであ
る。具体的な測定は、閉鎖回路に測定血管(長さ
約6〜10cm)を挿入し、微量定量ポンプを用いて
この回路に液体を注入し、注入液量と回路内の圧
力の変化を測定し、(1)式からコンプライアンスが
求められる。 人工血管として好ましいコンプライアンスは、
人工血管の太さ、使用部位などにより異なり、一
概には決められないが、本発明による人工血管の
コンプライアンスは前記のようにして調節するこ
とができ、使用部位の生体血管のコンプライアン
スに近似したものを製造することができる。コン
プライアンスが0.1〜0.8の人工血管は、その太さ
などにもよるが動脈用血管などの用途に、また内
径が1〜6mmであり、コンプライアンスが0.1〜
0.5のものは小口径動脈用人工血管として好適に
使用しうる。 本発明の方法で製造された人工血管は、有孔性
であり、コンプライアンスが生体血管に近似し、
血液接触面が血液適合性に優れている性質に加え
て、つぎに示すごとき有用な性質をも併有してい
る。すなわち、管壁が実質的にエラストマーの連
続した構造であるため、任意の長さに切断しても
切口がほつれることはない。また、管壁断面がエ
ラストマー密度の低い構造であるため、縫合針の
貫通性が非常によく、生体血管との縫合が容易で
あり、かつ縫合部を引張つても縫合部がほつれ縫
合糸がはずれることはない。管壁がエラストマー
からなるため、縫合針の貫通した穴も針が存在し
なくなると自己閉塞し、血液の漏れが生じない。
さらに驚くべき性質としては、本発明による人工
血管は、その内部に血液が流れ、血圧がかかつた
状態では結節を生じない。これは、コンプライア
ンスが生体血管に近似していることに起因するた
めと考えられる。 以上述べてきたように、本発明の人工血管の製
造法はつぎのような特徴を有している。 (1) 人工血管がエラストマー溶液から、簡単、均
一、かつ安価に製造される。 (2) 人工血管の寸法が環状ノズルの寸法の変更に
より、容易に調節できる。 (3) 造孔剤の量と粒径の調節で、任意の径の孔を
必要な密度に有する人工血管が製造できる。 (4) 人工血管のコンプライアンスを生体血管のそ
れに近似させることができる。 (5) 血液接触面が、血液適合性に優れている。 (6) つぎに示す人工血管として必須の性質を全て
満している人工血管を製造することができる。 Γ縫合針の貫通性がよく、縫合が容易である。 Γ任意の長さに切断しても、切口にほつれが発生
しない。 Γ縫合部から、縫合糸がほつれることがない。 Γ縫合針の貫通孔が自己閉塞する。 Γ血圧のかかつた実際の使用状態では、結節を起
し難い。 したがつて、本発明の方法で製造された人工血
管は、血行再建手術にあたつて、人工血管、バイ
パス用人工血管、パツチ用材料に使用でき、かつ
ブラツドアクセスなどにも使用できる。さらに
0.1〜0.8のコンプライアンスを有する動脈用人工
血管として用いることができる。とくにコンプラ
イアンスが生体血管に近似し、血液接触面が血液
適合性に優れていることから、現在臨床に使用す
る人工血管が存在しない0.1〜0.5のコンプライア
ンスを有し、内径約1〜6mmの小口径動脈用人工
血管として使用できる。それゆえ膝から下の動脈
の血行再建や、大動脈−冠状動脈バイパス用人工
血管として、好適に使用できる。また、本発明に
よる人工血管は、その外側にコンプライアンスの
小さいネットなどをかぶせることにより、静脈用
人工血管としても使用できるし、尿管などの生体
の柔かい管状物の代替えとしての使用も可能であ
る。 つぎに実施例を用いて、本発明の人工血管の製
造法を説明する。 実施例 1 N,N−ジメチルアセトアミド80mlに粒径が30
〜50μmのカゼインを20g加え、ホモジナイザー
で撹拌分散させた。このカゼイン分散液に、特開
昭58−188458号公報の実施例1記載のポリウレタ
ン20gを加えて、溶解した。この溶液を減圧下で
充分脱泡したのち、60℃に保ちながらギアポンプ
を用いて、環状ノズル(溶液出口寸法が約3mm、
外径4.5mm)から約40cm/分で押出した。同時に
脱泡した水を管の内側に、押出されたエラストマ
ー溶液の内容積の1.2倍量の割合で注入した。押
出された管状の溶液はただちに水に浸漬し、エラ
ストマーを管状に析出させた。充分に水洗し、溶
媒を除去したのち、必要な寸法に切断した。この
管状物をPH約13の水酸化ナトリウムの水溶液に浸
し、時々撹拌を行ない、カゼインを溶出させた。
水酸化ナトリウムの水溶液を5回交換してカゼイ
ンを完全に除去したのち、水洗を行ない、水酸化
ナトリウムを洗浄・除去し、人工血管をえた。 えられた人工血管は内径約3mm、外径約4.5mm
であり、内側表面と外側表面は最大孔径約30μm
以下の孔が均一に存在するスキン層であつた。該
人工血管の管壁断面はスポンジ状の構造であり、
スポンジ状構造を形成する隔壁にも、最大径約
30μm以下の孔を有していた。 この人工血管の管壁断面を走査型電子顕微鏡で
観察したばあいにえられる映像を説明するための
説明図を第2図に、またその一部拡大説明図を第
3図に、該人工血管の内側表面を走査型電子顕微
鏡で観察したばあいにえられる映像を説明するた
めの説明図を第4図に示す。 この人工血管は任意の箇所で切断しても切断面
はほつれなかつた。その上、生体血管との縫合が
非常に容易であり、縫合部を引張つても縫合部が
ほつれることはなかつた。また、縫合針の貫通孔
は、針を除くと自己閉塞した。 この人工血管を8cmの長さに切り、牛血でプレ
クロツトリングしたのち閉鎖回路に挿入し、つぎ
に示す方法でコンプライアンスを測定したとこ
ろ、0.45であつた。なおコンプライアンスを測定
する方法であるが、まず1ストローク0.05ml送液
する定量ポンプで牛のACD血液をこの閉鎖回路
に送液し、内圧の変化を測定し、定量ポンプのス
トローク数と内圧の変化から(1)式より求めた。 また内圧が50〜150mmHgかかつた状態でこの人
工血管を曲げても、結節を生じなかつた。 以上のことから、この人工血管は小口径動脈用
人工血管として優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
第1図は環状ノズルのエラストマー溶液の押出
し口を示す説明図、第2図は実施例1において製
造した本発明の方法で製造した人工血管の管壁断
面を走査型電子顕微鏡で観察したばあいにえられ
た映像を説明するための説明図、第3図は第2図
の一部拡大説明図、第4図は実施例1でえられた
人工血管の内側表面を走査型電子顕微鏡で観察し
たばあいにえられた映像を説明するための説明図
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 エラストマーおよび該エラストマーに対して
    1〜250重量%の造孔剤を含有するエラストマー
    溶液を環状ノズルから内部凝固液とともに押出し
    たのち、全体を外部凝固液に浸すことを特徴とす
    る人工血管の製造法。
JP59044397A 1983-06-06 1984-03-07 人工血管の製造法 Granted JPS60188165A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP59044397A JPS60188165A (ja) 1984-03-07 1984-03-07 人工血管の製造法
EP84106392A EP0130401B1 (en) 1983-06-06 1984-06-05 Artificial vessel and process for preparing the same
DE8484106392T DE3478192D1 (en) 1983-06-06 1984-06-05 Artificial vessel and process for preparing the same
US06/842,956 US4921495A (en) 1983-06-06 1986-03-24 Porous artificial vessel

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP59044397A JPS60188165A (ja) 1984-03-07 1984-03-07 人工血管の製造法

Publications (2)

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