JPH0228370Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車用空気調和装置に用いられる積
層型エバポレータに係り、特に、凝縮水の飛散を
防止し得るものに関する。

一般に自動車用空気調和装置は、第１図に示す
ようにインテークユニツト１と、クーラユニツト
２と、ヒータユニツト３とを有している。インテ
ークユニツト１にはモータ４により駆動されるフ
アン５が内蔵され、更にインテークユニツト１内
へ内気流入口６を通つて流入する空気と、外気取
入口７を通つて流入する空気とを切換制御するた
め、インテークユニツト１内にはインテークドア
９が取付けられている。

クーラユニツト２には冷媒導管１０により冷媒
が循環するエバポレータ（蒸発器）１１が内蔵さ
れており、このクーラユニツト２内でインテーク
ユニツト１かの空気と冷媒との間で熱交換されて
空気は低温となる。この時空気中の水分は凝縮し
てエバポレータの表面に付着する。このエバポレ
ータ１で凝縮された水１２を車外に排出するた
め、クーラユニツト２には排水口１３が設けら
れ、これに接続されたホース１４により水１２は
車外に案内される。

クーラユニツト２にはヒータユニツト３が接続
され、ヒータユニツト３内には、クーラユニツト
２を通過した空気を加熱するためのヒータコア１
５、ミツクスドア１６、ベントドア１７あるいは
フロアドア１８等の各種ドアが組み込まれてい
る。

クーラユニツト２内に組み込まれる通常の積層
型エバポレータは第２図ないし第５図に示すよう
に構成されている。すなわち、積層型エバポレー
タ２１は第３図に示すような薄板ピース２２をい
わゆる菓子の最中の皮を合せるようにして第２，
３図に示す液管ユニツト２３を形成し、このユニ
ツト２３を多数整列状に連結するとともに、相隣
る液管ユニツト２３，２３間にコルゲートフイン
２４を介装したものである。すなわち前記薄板ピ
ース２２は両端に深い膨出部を有し、この両端の
深い膨出部をこの軸との直角断面が扁平で浅い凹
部を有した略コ字状をした中間部２５により連結
したもので、このピース１対を最中合せにすれ
ば、両端に液溜り部２６，２７を有し、この両液
溜り部２６，２７を前記中間部２５よりなる扁片
な液管２８により連通した液管ユニツト２３が構
成される。かかるユニツト２３の液溜り部２６又
は２７相互を、通孔２９又は３０により連通状態
として多数連結し、下部液溜り部２７群が連結さ
れた部分に冷媒を導入する入口側導管３１を挿入
し、上部液溜り部２６群が連結された部分に冷媒
を導出する出口側導管３３を連結すれば、積層型
エバポレータ２１ができる。

このように構成された積層型エバポレータは、
入口側導管３１から冷媒が下部液溜り部２７を通
つて液管２８群に流入し、冷媒がこの液管２８群
を流通する間にフイン２４の間を流通する空気か
ら熱を奮つて蒸発し、その蒸発熱により空気を冷
却し、蒸発した冷媒を上部液溜り部２６から出口
側導管３３を経て図示しない圧縮機に送り込むよ
うになつている。

ところで、このような積層型エバポレータのフ
イン群に凝縮水が付着し、この凝縮水がフイン間
を通過する空気流によつて飛散することにより空
気吹出口から水滴が車室内へ流出する虞れがあ
る。

特に、最近の積層型エバポレータ２１は第３図
に示すように前記中間部２５に溝状凹部３４を形
成してあり、この溝状凹部３４は第５図に示すよ
うに前記液管２８内に突出して冷媒との伝熱面積
を多くするとともに、この薄板プレート２２の補
強としての意義を有している。

しかし、この凹部３４の内部端面３４ａ，３４
ｂは両薄板プレート２２，２２をロー付する場合
に両者がこの液管内で密着し、強度及び剛性を高
めているが、この場合、両内部端面３４ａ，３４
ｂが少なくとも一部で接触するように両薄板プレ
ートの凹部３４がクロスするように形成してい
る。したがつて、この風の流れ方向に向つて下り
傾斜するように成形した凹部３４には、凝縮水が
流れ込み、これが一種の樋となり、水飛びをより
生ぜしめる結果となつている。

そのため、従来の積層型エバポレータにあつて
は、積層型エバポレータの風下側に金網を設置し
て、この飛散してくる凝縮水を捕捉し、下流側へ
その飛散を防止するようにしている。

しかしながら、このような従来の積層型エバポ
レータの凝縮水飛散防止構造にあつては、風下側
に金網を設置するため、部品点数および組付工数
が増加して製造原価増を招来し、また通過空気抵
抗の増加や総重量増となる等の欠点がある。

本考案の目的は、前記従来技術の欠点を解消
し、安価かつ軽量な構造にて凝縮水の飛散を防止
することができる積層型エバポレータを提供する
にある。

以下図面に即して本考案の実施例を説明する。

本考案の一実施例を示す第６〜９図には第１〜
５図に示す部材と同一部材には同一符号を付して
ある。

この積層型エバポレータは薄板プレートＰに形
成した溝状凹部３４を第６図に示す空気の流れ方
向に向つて上り傾斜となるように構成している。
図示のものでは、この溝状凹部３４を空気の流れ
方向に向つて４列形成してある。

特に本考案では、第７，８図より明らかなよう
にこの溝状凹部３４を薄板プレートＰのうちの一
方の薄板プレートPaのみに形成してあり、他方
のの薄板プレートPbは通常の平板に構成してあ
る。したがつて、この溝状凹部３４の内部端面３
４ａは他方の薄板プレートPbの内面４１に当接
し、ロー付されている。

このようにロー付された両薄板プレートPa，
Pbの外表面には、コルゲートフイン２４がロー
付されているが、この溝状凹部３４を形成してい
ない平たい薄板プレートPbにはコルゲートフイ
ン２４が、風の流れ方向におけるこのプレートの
端部から端部まで、ロー付されることになり、従
来のように凹部のため、一部しか接着しないとい
うことはなく、フイン全体がプレートと接するこ
とから、熱交換効率が向上することになる。

一方、凹部３４を形成した薄板プレートPaで
は、従来と同様に一部に非接着部分が生じるが、
この非接着部分となる所は、コルゲートフイン２
４あるいは、このプレートPa等と接触した空気
中の水分が凝縮水となつて流下するいわば樋にな
る部分である。

特にこの溝状凹部３４は空気の流れ方向に向つ
て上り傾斜しているため、凝縮水はこの溝状凹部
３４に沿つて流下することになる。すなわち、こ
の水は風下側に向つて流れずむしろ風上に向つて
流れることになり、この積層型エバポレータ４０
の風下側へ凝縮水が飛散することにはならない。

なお、図中４２は水飛び防止用の樋部であり、
コルゲートフイン２４の端部２４ａより所定長
（４mm〜６mm）突出し、コルゲートフイン２４若
しくは薄板プレートPa，Pbに沿つて流れて来た
凝縮水が風下側に飛散しないようにしている。

上述した実施例は、薄板プレートに４列の溝状
凹部を形成したものであるが、エバポレータの能
力等に応じて、この溝状凹部の列数あるいは溝状
凹部間のピツチ等は適駆変更することができる。
例えば第９図に示すように溝状凹部を空気の流れ
方向に対し千鳥状に形成してもよい。また前述し
た実施例は、すべて凹部であるが、場合によつて
はこれを凸部に形成してもよいことはいうまでも
ない。

以上説明するように、本考案によれば、凝縮水
をこの溝状凹凸部に集め、これに沿つて落下させ
て、速やかに車外に排出し、凝縮水の飛散を防止
でき、場合によつては従来例における金網の設置
も廃止が可能となる。

また、薄板プレートの一方に溝状凹凸部を形成
したため、成形工数が低減し、製造が容易とな
り、製造原価の低減も達成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車用空気調和装置の概略図、第２
図は従来の積層型エバポレータの斜視図、第３図
はその一部を抽出した分解斜視図、第４図は第３
図の要部切断斜視図、第５図は第２図の要部断面
拡大図、第６図は本考案の一実施例を示す要部正
面図、第７図は同エバポレータの要部分解斜視
図、第８図は第６図の−線に沿う断面図、第
９図は本考案の他の実施例を示す正面図である。 ２３……液管ユニツト、２４……コルゲートフ
イン、２６……上部液溜り部、２７……下部液溜
り部、２８……液管、３４……溝状凹部、Pa，
Pb……薄板プレート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 一対の薄板ブレートを最中合せすることによ
   り中間部２５が上部液溜り部２６および下部液
   溜り部２７の一部に形成され、また前記中間部
   ２５が両液溜り部２６，２７相互を連通する液
   管２８にそれぞれ形成されるとともに、この中
   間部２５自体に凹凸部３４を冷媒側に凸部、空
   気側に凹部となるように形成してなる液管ユニ
   ツト２３を、多数整列連結し、これら相隣る液
   管ユニツト２３の外表面間にフイン２４を介設
   してなる積層型エバポレータにおいて、前記液
   管ユニツトの中間部に形成した凹凸部３４を、
   風の流れ方向に向かつて所定角度上り傾斜とな
   る溝部３４により構成してなる積層型エバポレ
   ータ。 ２ 前記凹凸部３４は、いずれか一方の薄板Pa
   に成形したことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項に記載の積層型エバポレータ。