JPH0227700Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動二、三輪車等の後輪懸架装置に関
するものである。

（従来の技術） スイングアームに後輪を支持せしめ、スイング
アームと車体間にクツシヨンユニツトを介設した
スイングアーム式後輪懸架装置は自動二輪車等に
採用されている。

かかる懸架装置として第４図に示される如く車
体５１にスイングアームをなすリヤフオーク５２
を揺動自在に枢支し、リヤフオーク５２後端で後
輪５３を回転自在に支持するとともに、一端を車
体５１側のシートレール５４に枢着したリヤクツ
シヨンユニツト５５の下端をリヤフオーク５２に
一端を枢着したリンク５６の他端に枢着し、リン
ク５６の中点をリンク５７の一端に枢着し、リン
ク５７の他端を車体側に枢着し、リヤフオーク５
２の揺動量でクツシヨンユニツト５５の緩衝特性
をリンク５６，５７の作動によりプログレシブ
（漸増）とした懸架装置が実用に供されている。

（考案が解決しようとする技術課題） 以上のプログレシブ式懸架装置においては、乗
車近辺のバネ定数を下げて乗心地性を良くし、一
方、フルストロークに近くなる程非線型にバネ定
数を上げてボトミングを防止することが目的であ
る。

ところで緩衝特性を漸増変化させるにさいし、
バネ定数をあるストロークから急激に立ち上がり
変化させると立ち上がり部分で体感的にこれを感
得して好ましくなく、一方、バネ定数の変化を直
線に近くするとボトミングし易くなつたり、或は
乗車1G付近の乗心地性にソフト感がなくなり、
好ましくない。ところでリヤクツシヨンにおける
スプリングはストロークに依存し、一方ダンパの
減衰力はピストン速度に依存するため両者を両立
させ得る領域が限られてしまう。

本考案は以上の技術課題を解決すべくなされた
もので、その目的とする処は、スプリングのバネ
特性、ダンパの減衰力特性夫々に適するバネ特性
の漸増変化を得せしめ、乗心地性、繰安性向上を
更に向上させたプログレシブタイプの懸架装置を
提供するにある。

（技術課題を解決するための手段） 以上の技術課題を解決するための手段は、スイ
ングアームで後輪を支持し、車体側にスプリング
及びダンパで構成されるリヤクツシヨンユニツト
の一端を枢着し、且つスイングアームに該リヤク
ツシヨンユニツトの他端を枢着した自動二、三輪
車等の後輪懸架装置において、ダンパを構成する
インナーシリンダとアウターシリンダ間に形成さ
れる油室にスプリングの下端部を支持する筒状の
ロアシートを摺動自在に嵌装し、インナーシリン
ダ内の前記油室間を連通し、ダンパと、スプリン
グとを独立して挙動せしめ得るようにした。

（作用） 上記手段によれば、プログレシブリンク機構を
構成するダンパ及びスプリングが別個に支持され
ることとなり、個々の変化率を夫々に最適の特性
に設定せしめることができる。

（実施例） 以下に本考案の好適一実施例を添付図面を参照
しつつ詳述する。

第１図は本考案に係る後輪懸架装置を適用した
自動二輪車の後部側面図で、１は自動二輪車のフ
レームであり、フレーム１の後上部には後方にシ
ートレール２が延出され、シートレール２の基部
とフレーム１後部との間にはサブステイ３が補強
のため架設されている。フレーム１の後下部には
ブラケツト４が固設され、これにスイングアーム
５の前端を揺動自在に枢着６し、スイングアーム
５の後端部には後輪７を取付支持する。

そして、スイングアーム５とシートレール２と
の間にはリヤクツシヨンユニツト８を配置してい
る。このリヤクツシヨンユニツト８は第２図にも
示す如く、ダンパ８０１とスプリング８０２とか
らなり、ダンパ８０１を構成するインナーシリン
ダ８０３内には上方からピストンロツド８０４が
挿入され、このピストンロツド８０４下端にイン
ナーシリンダ８０３内を上下の油室S₁，S₂に区画
するピストン８０５が固着されている。

またインナーシリンダ８０３の外側にはアウタ
ーシリンダ８０６が一体的に形成され、このイン
ナーシリンダ８０３外周とアウターシリンダ８０
６内周間に形成される油室S₃は油孔８０７を介し
て油室S₂と連通し、更に油室S₃には上方からシー
ル部材を介してロアシート８０８の筒状部を摺動
自在に嵌装している。

一方、前記ピストンロツド８０４の上端部はア
ツパーメタル８０９に結合し、このアツパーメタ
ルにはスプリング８０２のアツパーシート８１０
を取付けている。而して、スプリング８０２はア
ツパーシート８１０と前記ロアシート８０８間に
おいて保持される。

また、ダンパ８０１の中間部乃至下部はスイン
グアーム５の前部に設けたクロスメンバ間の空所
に遊合垂下され、スイングアーム５の中間部から
垂下したブラケツト５０２にベル型リンク９の一
端を枢着５０３し、リンク９の他端をダンパ８０
１の下端部に設けたブラケツト８１５に枢着８１
６する。そしてリンク９に中間をフレーム１の下
部後部に一端を枢着１０１した規制リンク１０の
他端に枢着している。

以上においては、スイングアーム５の支軸６を
支点とした揺動で後輪７からの衝撃を緩衝するも
のであるが、スイングアーム５の揺動で規制リン
ク１０で規制されつつリンク９は支軸５０３を支
点として揺動し、支軸８１６で枢支されたダンパ
８０１を軸方向に押印し、リンク９作動で減衰力
をプログレシブに変化させる。一方リンク９の作
動でダンパ８０１が上方に押し上げられると、相
対的にインナーシリンダ８０３内のピストン８０
５が押し下げられ、インナーシリンダ８０３内の
油が油孔８０７を介してアウターシリンダ８０６
側の油室S₃へ移動し、ロアシート８０８が上方に
押し上げられ、結果的にスプリング８０２に圧縮
動を与えることになる。従つて、スプリング８０
２はロアシート８０８が可動なためダンパ８０１
と協動しつつも独立して挙動し、またダンパ８０
１とスプリング８０２は夫々のプログレシブ動に
起因する変化率が異なることとなる。尚、アウタ
ーシリンダ８０６とインナーシリンダ８０３の油
室間の容積比を適当に選定することによつて所望
のストロークが得られる。

ところでリヤクツシヨンユニツト８を構成する
スプリング８０２とダンパ８０１とは従来のプロ
グレシブ緩衝装置ではダンパとロアシートとが一
体的なため固定的に挙動し、従つて既述の如くス
プリング、ダンパの緩衝特性を両立させる領域は
限定されることとなる。しかしながらは本考案で
はスプリング８０２とダンパ８０１が別個に挙動
するため、例えば第３図Ａに示すようにスプリン
グ８０２の変化率を大きくして乗車荷重を柔らか
くし、ダンパ８０１の変化率をレバー比に対して
直線的として大きくせず過減衰又は減衰力不足と
ならないようにすることができる。

（考案の効果） 以上詳述せる如く本考案によれば、緩衝力をプ
ログレシブに変化させる懸架装置において、スプ
リング、ダンパ夫々の好ましい変化率を選択で
き、自動二、三輪車の更なる乗心地性の向上と繰
安性の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は本考案に係る懸架装置の概略を示す側面図、第
２図は同要部拡大図、第３図Ａ，Ｂはスプリング
及びダンパの好ましい特性を示したグラフ、第４
図は従来例の側面図である。 尚、図面中１，２は車体、５はスイングアー
ム、７は後輪、８はリヤクツシヨンユニツト、８
０１はダンパ、８０２はスプリング、８０３はイ
ンナーシリンダ、８０６はアウターシリンダ、８
０８はロアシート、である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スイングアームで後輪を支持し、車体側にスプ
   リング及びダンパで構成されるリヤクツシヨンユ
   ニツトの一端を枢着し、且つスイングアームに該
   リヤクツシヨンユニツトの他端を直接又はリンク
   を介して枢着した自動二、三輪車等の後輪懸架装
   置において、前記ダンパはインナーシリンダとア
   ウターシリンダを有し、インナーシリンダ内の油
   室にはピストンロツドに固着されたピストンが摺
   動自在に設けられ、インナーシリンダとアウター
   シリンダ間に形成される油室は前記インナーシリ
   ンダ内の油室と連通し、且つインナーシリンダと
   アウターシリンダ間に形成される油室には前記ス
   プリングのロアシートが摺動自在に嵌装されてい
   ることを特徴とする自動二、三輪車等の後輪懸架
   装置。