JPH0226150Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の属する技術分野） 本考案は通信線等に流入する異常サージから機
器や人体を保護するためのガス封止形避雷器に係
り、詳しくは、開放破壊に対してガス封止形避雷
器自体にフエールセーフ機構を具備するものに関
する。

（従来の技術） ガス封止形避雷器（以下避雷器という）が持続
波によつて継続放電して開放破壊すると、持続波
が機器側へそのまま流入して危険な状態となるこ
とは知られている。この場合に避雷器にフエール
セーフ機構を備えさせた考案が従来から各種公知
となつている。この種のフエールセーフ機構とし
ては、避雷器自体に兼備させるものと、避雷器外
部に装備させるものとに大別される。

従来から避雷器自体にフエールセーフ機構を備
えさせたのとしては、絶縁外囲器の内部に上下へ
貫通する穴を設けた避雷器を製造した後に、この
穴に一方の電極から他方の電極へ到達しない程度
に低溶融金属を設けた金属体を差込み、金属体を
一方の電極にねじ止めする構造のものがある。

これによれば、継続放電熱で低溶融金属を溶融
させて、電極間を短絡させるものである。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記避雷器によれば、絶縁外囲
器の上下貫通穴に低溶融金属が設けられているた
めに、放電熱が低溶融金属へ効果的に伝達され難
く、所望の短絡動作特性を得難いものであつた。

又、貫通穴部分とそうでない部分とにおける径
方向の熱伝導率が相違するために、放電熱の分散
ができずにかえつて早期の気密破壊が誘起される
危険性があつた。さらに、絶縁外囲器に上下貫通
穴を設けるために、外囲器自体の肉厚にしなけれ
ばならずに構造が制約されるばかりか、金属板を
電極にねじ止めする等で構造が複雑化する欠点が
あつた。

しかして、本考案は上記実情に鑑みて開発され
たものであつて、電極放電部外側凹部を利用して
動作特性にバラツキのない短絡を行なえるように
したことを、その目的とするものである。

（考案の構成） 上記目的を達成するための本考案に係るガス封
止形避雷器は、対向方向へ突出された電極の放電
部に穴が貫設され、上記穴が絶縁外囲器と電極と
を封止する銀ロウ材等よりも高いが放電熱で溶融
する溶融媒体で封着されるとともに、突出された
放電部外側凹部に低溶融金属が設けられている構
成を特徴とするものである。

（考案の作用） 持続波の流入によつて継続放電が起こると、ま
ず電極の放電部が放電集中個所として局所的に発
熱する。この発熱に伴なつて、放電部の穴部分の
溶融媒体が溶融して、穴を開口させようとする。
これと同時に、放電部外側凹部の低溶融金属にも
熱伝達がなされているので、前記穴から低溶融金
属が流入して電極放電間隙を短絡させる。

（考案の実施例） 図面第１図は本考案に係るガス封止形避雷器の
一実施例を示す断面図であり、二極避雷器に適用
したものを示す。

図中１は円筒状に構成できる絶縁外囲器、２は
絶縁外囲器１の両端に夫々封着されて内部にガス
を封止する電極、３は対向方向へ突出された電極
２の放電部、４は放電部３の外側に形成される凹
部である。

上記放電部３には内外へ小さな穴６が貫設さ
れ、上記穴６が放電熱で溶融する溶融媒体７で閉
塞される。この場合に電極２の融点よりも低いが
前記銀ロウよりも高い溶融媒体７で予め穴６を閉
塞しておいたものを用いることが可能となる。な
ぜならば、放電部３での継続放電によつて放電部
３が放電個所として局所的に急激に温度上昇する
ために、この放電部３に存在する高融点の溶融媒
体７が絶縁外囲器１と電極２との銀ロウが溶融す
るよりも速く溶融するからである。溶融媒体７は
図示の如く穴６の前面まで到達しなくても良い。

放電部３の外側凹部４にはガス封止後にハンダ
等の低溶融金属５が充填される。低溶融金属５は
凹部４を満たすだけの量に増やすことができ、負
圧（大気圧以下の）内部へ吸収される。

上記一実施例によれば以下の効果を奏する。

穴６と凹部４を用いて溶融短絡させるので、
放電部３の肉厚を薄くする必要がなく、各種放
電特性を低下させることがない。

穴６が中央にあるので、放電発熱が集中し易
い個所の熱を有効に利用して応答動作を早くす
ることができる。

溶融媒体７が穴６の前面まで到達していない
場合には、この窪み８に各種塗布剤を設ける個
所に利用することができるが、塗布しない場合
には穴端面のエツジ効果を発揮させることが可
能である。

図面第２図は本考案の他の一実施例を示す断面
図で、多極避雷器に適用したものを示す。

しかして、放電部３の端部に位置して穴９が設
けられ、穴９には溶融媒体７が前面まで設けらて
いる。溶融媒体７は穴径に応じては封着製造と同
時に穴６に充填させて閉塞することができる。図
中１０は中間電極、１１はその連通孔である。

上記一実施例によれば、連通孔１１から離間し
た端部の穴９によつて電極２，２と中間電極１０
とを短絡させることができる。

図面第３図は本考案の別の一実施例を示す断面
図である。

しかして、放電部３には放電板１２が設けられ
ている。この場合には放電部３と放電板１２とは
溶融媒体で接着されている。

この一実施例によれば、放電板１２として低仕
事関数で放電特性の良好な素材を選択することが
できるうえ、継続放電熱によつて接着部分を溶融
させて低溶融金属を穴６から内部に流入させるこ
とができる。

図面第４図は本考案にさらに別の一実施例を示
す断面図である。

穴１３は電極放電部分に大きく形成され、この
穴１３の端面１４に放電板１５を溶融媒体７で接
着して電極２が構成される。

この一実施例によれば、発熱温度の高い電極放
電部から確実に溶融させることができる。

図面第５図は本考案のさらに異なる一実施例を
示す断面図である。

穴１６は放電部３の側部に位置して形成され、
穴１６には溶融媒体７が表面まで設けられてい
る。これによれば、側部にあるために放電に伴な
うスパツタリングの影響を受け難く、経時使用に
際しては長寿命にできる。

上記実施例は夫々組合せて実施することを妨げ
ないものである。

（考案の効果） 以上説明した通り本考案によれば以下の効果を
奏する。

対向方向へ突出された電極の放電部に穴が貫
設され、上記穴が絶縁外囲器と電極とを封止す
る銀ロウ材等よりも高いが放電熱で溶融する溶
融媒体で封着されるとともに、突出された放電
部外側凹部に低溶融金属が設けられているの
で、既存の避雷器外形を利用してフエールセー
フ機構を兼備させることができる。

放電部の発熱を利用して早期且つ確実な短絡
を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るガス封止形避雷器の一実施
例を示し、第１図は同断面図、第２図は他例を示
す断面図、第３図は別の例を示す断面図、第４図
はさらに別の例を示す断面図、第５図はさらに異
なる一実施例を示す断面図である。 １……円筒絶縁管、２……電極、３……放電
部、４……凹部、５……低溶融金属、６……穴、
７……溶融媒体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 絶縁外囲器の管端面に銀ロウ等を介して電極で
   ガス封止して成るガス封止形避雷器において、 対向方向へ突出された電極の放電部に穴が貫設
   され、上記穴が前記銀ロウ材等よりも高いが放電
   熱で溶融する溶融媒体で封着されるとともに、突
   出された放電部外側凹部に低溶融金属が設けられ
   ていることを特徴とするガス封止形避雷器。