JPH022324Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、穿刺カニユーレと採取された血液を
収容する少くとも１つの細管を有する容器とを備
えた、特に動脈血採取用に適した血液採取装置に
関する。

診断用、特に血液ガス分析実施用、としては、
外気非接触状態で試料を動脈から採取することが
必要となる。動脈血採取は患者にとつて静脈血採
取よりもずつと危険なものでもあるし不快なもの
でもある。一般に穿刺針を抜いたあとの動脈穿刺
箇所周辺にはヘマトーマ（血液膨出）が生じるも
のである。なぜならば、高圧の動脈血が動脈壁貫
通穿刺穴を通つて周囲組織内へ流れ出し、そうし
た組織内で圧力上昇してその動脈壁貫通穿刺穴を
閉鎖することとなるまで続くからである。特に、
集中治療実施中の患者の場合の血液ガス分析のよ
うに、何回も穿刺をくり返す必要のあるときに
は、広範囲のヘマトーマが生じることとなる。ま
た、在来式のカニユーレで動脈壁をひんぱんに突
き刺すと、血管にひどい傷を与えることとなる。

現在一般に血液ガス分析実施用の動脈血採取
は、ガラス製注射器と鋼製の丈夫な穿刺カニユー
レと、を使つて行われている。その場合、10mlま
でくらいの試料が採取される。

注射器と穿刺カニユーレとを主要構成材として
組付け合わせたものを無菌パツク状とした構成の
一連の採取装置がすでに知られており、それらの
うちには、冷却容器内へ血液試料を移すことので
きる手段を備えている形態例もある。

血液ガス分析用動脈血試料を外気非接触状態で
採取するためのそうしたすでに知られている血液
採取装置で一様に見られる欠点は、傷なしにある
いはほとんど傷なしに近い状態で動脈穿刺を行う
ことが不可能なことである。さらに、そうしたも
のに使われている注射器は注射器入り口部に、一
般にヘパリンなど抗血液凝固剤で満たされた無効
空間を持つこととなる。また、封入した真空力を
利用する採血装置もあるが、経時により真空低下
が生じ、長期の保管が困難であり、また、血中ガ
スが真空中に放散しやすく、高精度分析には適当
でない。

ところで、近時の微量分析機器の発達により、
各種の血液分析、特に血液ガス分析のためにはせ
いぜい数10μの試料があれば十分になつた。そ
こで、本考案が解決しようとする技術的課題は、
わずかな量の動脈血試料を傷なしにあるいはほと
んど傷なしに近い状態で採取可能であり、かつ大
気圧より低い圧力を用いずに試料容器が自動的に
動脈血で満たされ、それら試料を特別な閉鎖用具
を必要とせずに持運びでき、かつ分析のために簡
単に取出すことができる血液採取装置を提供する
ことである。

上記技術的課題を解決するために講じた本考案
の技術的手段は、容器が保護套体と、この保護套
体を塞ぐ第１蓋体及び第２蓋体を備え、毛管現象
を呈する試料保持管が両端開口の状態で前記保護
套体に収納されるとともに、前記第１蓋体が採取
された血液を穿刺カニユーレから前記試料保持管
に直接に流し込むことができるように前記カニユ
ーレを離脱自在かつ封密に受持するための孔を有
し、この孔に前記穿刺カニユーレが嵌入されるこ
とである。

上記技術的手段は、次のように作用する。

つまり、この血液採取装置のカニユーレを動脈
血管に穿刺すると、カニユーレの先端は動脈血管
内にあり、第１蓋体の孔を介してカニユーレと試
料保持管が封密に接続され、試料保持管の他端は
開口しているので、動脈内の血液の圧力と試料保
持管の毛細管現象による力とによつて、この試料
保持管が自動的に採血された血液で満たされる。
この状況を保護套体の透明部から観察していて、
試料保持管が血液で充満したところで、装置を動
脈から取外すようにできる。傷口は通常のとおり
指で押えて止血すれば良い。血液は毛細管現象の
力によつて試料保持管の中に滞留したままとな
り、輸送中に試料血液が流れ出すことはない。

試料保持管としては、通常１mm程度の径を有す
るガラス製の極めて脆いものが用いられるが、保
護套体が適当な強度を有して、内に収納された試
料保持管を保護する。また、保護套体は、第１、
第２の蓋体として合体して保護カプセルを形成
し、採取試料への異物混入を防ぎ、かつ取扱上の
衛生を確保する役割を果している。

従つて、本考案は次の効果を奏する。

血液の採取は、動脈に穿刺カニユーレを穿刺す
るだけの極めて簡単な操作で、わずかな量の動脈
血試料を傷なしかほとんど傷なしに近い状態で採
取できるに至つた。又動脈内の血圧と試料保持管
の毛細管現象による力とによつて自動的に行うこ
とができ、大気圧より低い圧力で吸引する必要な
く、血液採取を行うことができるに至つた。ま
た、ガス成分の放散が少なく、血中ガス濃度測定
の精度が確保できる。さらに、採血後、試料保持
管内に滞留する血液は流れ出すことがないから、
特別な閉鎖用具を必要とせずに簡単に持運びで
き、分析のためには簡単に取出すことができるに
至つた。

次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

この血液採取装置は筒状の保護套体１を備えて
おり、それは少なくとも部分的には透明材質製の
ものである。この保護套体１の第１蓋体２には引
出し管３が備えられていて、この引出し管３には
保護套体１内部空間へ開口している貫通孔５があ
り、この貫通孔５に極細の（寸法規格第16から20
号）穿刺カニユーレ４が離脱自在かつ封密状態で
嵌入されている。さらにこの保護套体１の第１蓋
体２に、両端が開口したガラス細管６が差し込ま
れており、その大部分の範囲はその保護套体１で
囲い込まれている。すなわち、採取された血液が
漏れることなく直接に前記穿刺カニユーレ４から
前記細管６に流し込むことができるように構成さ
れている。このガラス細管６は試料保持管として
働くものである。この血液採取装置不使用時に
は、引出し管３上に保護キヤツプ１０をかぶせて
おく。保護套体１の後端部には第２蓋体７が取外
し自在に取付けられており、この第２蓋体７に試
料保持管６の後端部が差し込まれている。

穿刺を行うには、まず保護キヤツプ１０を穿刺
カニユーレ４からはずしてから、そのカニユーレ
４を動脈血管へ45〜60゜の角度で差し込む。カニ
ユーレ４の先端は動脈血管内に穿刺されており、
第１蓋体２の孔５を介してカニユーレ４と試料保
持管６が封密に接続され、細試料保持管６の他端
は開口しているので、動脈内の血液の圧力と細管
である試料保持管の毛細管現象による力とによつ
て、この試料保持管６が自動的に採血された血液
でみたされる。この穿刺カニユーレ４は小内径の
ものであるから、十分な圧力低下が生じ、血液が
試料保持管６内へ高速流入することはできない。
血液柱が試料保持管６の端まで到達したとき、穿
刺箇所からこのカニユーレ４を引き抜いて、その
穿刺カニユーレ４に保護キヤツプ１０をかぶせれ
ばよい。

血液ガス分析では二重測定を要求されることが
多いが、その目的には、装置にさらにガラス細管
で成る第２の試料保持管８を備えることが好まし
い。この第２試料保持管８は連結路９を介して第
１試料保持管６と、直列に連結される。この連結
路９は、可撓性の管材で構成してもよいし、第２
蓋体７内に形成するＵ字形連結流路で構成しても
よい。図面の実施例においては、前記２本の試料
保持管６，８の装置後端方向端部はそれぞれ、第
２蓋体７内連結流路の別々の開口端内へ差し込ま
れる。このような構成により、カニユーレ４の先
端から、第１試料保持管６を通つて第２試料保持
管８の装置前端方向端部までの連通が実現され
る。動脈内の血圧は十分に高いものであるから、
穿刺カニユーレ４が動脈内へ入れられると、前述
したと同様に、動脈内の血圧と細管の毛細管現象
による力とによつて、第２試料保持管８の装置前
端方向端部にまで血液は流れ進んでくる。

穿刺箇所からカニユーレを引き抜いた後は、試
料保持管に取られた血液は毛細管現象の力で試料
保持管中に保持され、特に強い作用を与えなけれ
ば試料保持管から外に漏れることはないから、運
搬にも特別な器具や装置を必要としない。

この装置から試料保持管６，８をはずすには、
それら両試料保持管６，８の差し込まれている保
護套体１の後端部の第２蓋体７を引き抜けばよ
い。すると、前記第１蓋体２と第１試料保持管６
との差し込み接続部が、その第１試料保持管６と
第２蓋体７との差し込み接続部よりも、接続強度
が小さい寸法構成とされているから、この第２蓋
体７を保護套体１から取外す際に第１試料保持管
６は第１蓋体２のカニユーレ４からはずれて第２
蓋体７内に受持されたままとなる。そうすれば、
各採血試料保持管６，８は順に分析に使うことが
できる。この血液採取装置のそれ以外の部分はも
はや用のないものであるから捨て去つてよい。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案による血液採取装置の実施例
のひとつをその長手方向断面図として示したもの
である。 １……保護套体、２……第１蓋体、４……穿刺
カニユーレ、５……孔、６……第１試料保持管、
７……第２蓋体、８……第２試料保持管、９……
連結路、１０……保護キヤツプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 例えば動脈血採取に用いる、穿刺カニユーレ
   ４と採取血液を収容する少なくとも１つの試料
   保持管６を収納する容器とを備えた血液採取装
   置において、前記容器が保護套体１と、この保
   護套体１の一端を塞ぐ第１蓋体２と、その他端
   を塞ぐ第２蓋体７を備えており、前記試料保持
   管６が毛管現象を呈する両端開口の細管から成
   るもので、前記第１蓋体２は前記穿刺カニユー
   レ４を付け外し自在に受持するための孔５を有
   し、前記試料保持管６が該孔５の内側から嵌入
   されて前記保護套体１内に収められ、前記穿刺
   カニユーレ４が該孔５の外側から嵌入されて該
   試料保持管６と封密状態で連結され、採取血液
   を前記穿刺カニユーレ４から直接に前記試料保
   持管６に流し込む構造になつていることを特徴
   とする血液採取装置。 ２ 前記容器はさらに第２の試料保持管８を有
   し、この第２の試料保持管８は両端が開口した
   細管であつて、前記第１の試料保持管６の前記
   穿刺カニユーレと反対側の端に連結路９で直列
   連結され、前記保護套体１内に収められている
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項に記載の血液採取装置。 ３ 前記第２蓋体７は取り外し自在に前記保護套
   体１に取付けられて、その第２蓋体７内で前記
   ２本の試料保持管６，８の後端部が受持され、
   かつ、その第２蓋体７内には前記連結路９が作
   りつけられた構造とされていることを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第２項に記載の血液
   採取装置。 ４ 前記第１蓋体２と前記第１の試料保持管６と
   の差し込み接続部は、その第１の試料保持管６
   と前記第２蓋体７との差し込み接続部よりも、
   接続強度が小さくされていて、前記第２蓋体７
   を前記保護套体１から取り外す際に前記第１の
   試料保持管６は前記第１蓋体２からはずれて第
   ２蓋体７内に受持されたままとなることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第３項に記載の
   血液採取装置。 ５ 前記穿刺カニユーレ４の差し込まれている前
   記第１蓋体２に、カニユーレ保護キヤツプ１０
   がはめかぶせられることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１ないし４項のいずれかに記
   載の血液採取装置。