JPH0222526Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 「産業上の利用分野」 この考案は例えばケーシングが二つ割り型の送
風機に用いられる分割形フローテイングシールに
関する。

「従来の技術」 例えば上下二つ割りのケーシングの合せ面に沿
つて回転軸が挿通する形式の送風機のケーシング
と回転軸の貫通部の漏れ止め装置として羽根車を
分解することなく分解組立ができる分割形フロー
テイングリングシールが用いられる。

従来のフローテイングシールの例を縦断面図の
第３図に示す。上下二つ割りケーシング３の中に
二つの全く同じ形状を持つ浮動形のシールリング
１が軸方向に向き合つて配置されている。両シー
ルリング１の間にはばね５が存在して各シールリ
ング１をケーシング３に押し当てている。各シー
ルリング１のケーシング３との接触部は通例すべ
り抵抗を小さくするために極力面積が少なくなる
ようにしている。またシールリング１は回転軸７
の回りに配され二分割以上で、シールリング１の
外周部はガータスプリング４で中心に向つて押し
付けられている。シールリング１とケーシング３
とに回り止めピン６が横切つて設けられている。
回り止めピン６のガータスプリング４がとおる部
分は又は溝となつている。圧力は両シールリング
１で形成される中央空間が高く、ケーシング３の
外部が低い。圧力を持つ流体の漏れは浮動してい
るシールリング１と軸７との狭いすきまで極力少
ない状態に保たれる。またシールリング１は軽い
こと及びケーシング３との接触すべり抵抗（軸に
直角方向）が少ないことを要求されるためにその
材料としてはカーボンを使用することが多い。

しかし乍ら、シールリング１は半径方向の分割
面で分割されているため、分割面の位置で隣接す
るシールリング１の内外周間にどうしても段差が
生じ易く、そのため漏洩損失が多くなるという欠
点があつた。このような欠点は例えば特公昭29−
９号公報に示されるように、シールリングの外周
を切落した面にシールリングの分割面をわたつて
リテーナを接したものに、シールリングにリテー
ナを圧する手段を設けることによつて解決され
る。

「考案が解決しようとする課題」 然し乍ら、上記第３図に示した従来例では回り
止めピン６をカーボン製のシールリング１に直接
取り付けたために、衝撃が加わつてシールリング
１が損傷する事故があつた。そこで第３図の従来
例において特公昭29−９号公報のようにリテーナ
を設けても、回り止めピンをシールリングに設け
ているため、同様に衝撃が加わるとシールリング
が損傷する事故は避けられない。

この考案は上記欠点を除去し、シールリングの
内外周に段差が生ぜず且つシールリングが回り止
めピンにより損傷されない分割形フローテイング
シールを提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

「問題点を解決するための手段」 この考案は回転軸の回りに分割して配したシー
ルリングを軸方向にケーシングに向つて押し当て
る手段を設けた分割形フローテイングリングシー
ルにおいて、シールリングの半径方向の分割面に
交叉してその外周が切落され、隣接するシールリ
ングにわたつて該切落した面に当接するリテーナ
が配され、リテーナをシールリングに向つて附勢
する手段とリテーナとケーシングとの間にリテー
ナの回り止め部材を備えた分割形フローテイング
リングシールである。

「実施例」 以下図面に従つてこの考案の実施例について説
明する。第１図は軸直角の正面図、第２図は第１
図のＡ−Ａ断面図である。上下二つ割りのケーシ
ング３の分割面に沿つて回転軸７が挿通してお
り、回転軸７の回りに分割形のシールリング１が
配されている。シールリング１は通常カーボン製
である。シールリング１は円周を等配して半径方
向の分割面８で分割され完全に回転軸７を囲み、
分割面８が密接した状態でシールリング１の内径
と回転軸７との間は極めてわずかの隙間があるよ
うにしこの隙間により軸封室９の密封流体の密封
を行つている。

シールリング１の分割面８に直交してシールリ
ング１は平面に切落されており、切落し面１１が
形成されている。

この隣接するシールリング１にわたる切落し面
１１にはその外周がシールリング１の外周の延長
上にある円弧状セグメントとなつたリテーナ１２
の弦となつている平面が接している。リテーナ１
２はアルミ等の軽く強い金属製である。回転軸７
を中心として同円上に円周方向の溝１３がシール
リング１とリテーナ１２に設けられ、該溝１３に
はガータスプリング４が嵌め込み張接され、シー
ルリング１及びリテーナ１２は回転軸７の方向に
附勢されている。リテーナ１２とケーシング３と
の間にはこれら夫々に嵌入して半径方向のピン６
が設けられる。ピン６はリテーナ１２の周方向へ
の移動を止めるがリテーナ１２が半径方向には移
動できるような回り止め部材である。ピン６はガ
ータスプリング４と干渉する部分は切り欠かれて
いる。

上記構成は回転軸７の回りに等配して同じに設
けられている。

分割された夫々のシールリング１は軸方向に対
をなして対向しており夫々のシールリング１間に
は圧縮ばね５が間挿され、シールリング１をケー
シング３に押し付けている。

軸封室９の密封流体はシールリング１がガータ
スプリング４及び密封流体の圧力により直接回転
軸７に向つて附勢され、及びリテーナ１２を介し
て同じく回転軸７に向つて附勢されることにより
分割面８は密接し、シールリング１と回転軸７間
は極小隙間が保たれ、圧縮ばね５及び密封流体の
圧力によりシールリング１がケーシング３に圧接
されることにより封止される。

シールリング１が分割面８に沿つて移動して切
落し面１１に段差が生じようとすると外径側へ出
ようとする切落し面１１はガータスプリング４及
び密封流体の圧力により押圧されているリテーナ
１２により押えられて隣接するシールリング１の
切落し面１１は一平面を保つから、上記回転軸７
とシールリング１の隙間は保たれ、分割面８が離
れることがない。

シールリング１が仮に回転軸７に接していて回
転軸７が起動することにより、シールリング１が
急激に回動を受けても、回動力はピン６により回
り止めされているリテーナ１２と広い切落し面１
１の接触面により制止される。従つてシールリン
グ１がカーボン製であつても切欠応力を生ぜず損
傷することがない。又、このようなシールリング
１の回動により隣接するシールリング１の切落し
面１１はリテーナ１２に倣うので正常な位置に直
ちに回復される。

実施例は分割面８を半径方向としたが半径方向
に対して限度はあるが傾いていてもよい。又切落
し面１１は分割面８に必ずしも直交する必要はな
く交叉していてもよい。更に又、切落し面１１は
実施例のように平面にするのが製作上好適である
が回転軸７に向つて凸な曲面としてもよい。

尚、シールリング１とリテーナ１２を回転軸７
に向つて附勢する手段はガータスプリング４に限
られるものではない。

〔考案の効果〕

この考案は回転軸の回りに分割して配したシー
ルリングを軸方向にケーシングに向つて押し当て
る手段を設けた分割形フローテイングシールにお
いて、シールリングの半径方向の分割面に交叉し
てその外周が切落され、隣接するシールリングに
わつて該切落した面に当接するリテーナが配た
れ、リテーナをシールリングに向つて附勢する手
段とリテーナとケーシングとの間にリテーナの回
り止め部材を備えた分割形フローテイングリング
シールとしたから、回転軸とのつれ回りによる衝
撃力が加わつてもシールリングが損傷することが
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の軸直角の正面図、
第２図は第１図のＡ−Ａ断面図、第３図は従来例
の縦断面図である。 １……シールリング、３……ケーシング、４…
…ガータスプリング、５……ばね、６……回り止
めピン、７……回転軸、８……分割面、９……軸
封室、１１……切落し面、１２……リテーナ、１
３……溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転軸の回りに分割して配したシールリングを
   軸方向にケーシングに向つて押し当てる手段を設
   けた分割形フローテイングリングシールにおい
   て、シールリングの半径方向の分割面に交叉して
   その外周が切落され、隣接するシールリングにわ
   たつて該切落した面に当接するリテーナが配さ
   れ、リテーナをシールリングに向つて附勢する手
   段とリテーナとケーシングとの間にリテーナの回
   り止め部材を備えた分割形フローテイングリング
   シール。