JPH0220652Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔利用分野〕 本考案は、熱電対の冷接点補償装置に関する。

〔従来技術とその問題点〕

熱電対を温度センサとして用いる温度検出器や
温度コントローラにおいては、雰囲気温度すなわ
ち上記温度検出器等を設置する室温による冷接点
補償が必要とされる。この冷接点補償の従来技術
は、温度検出器や温度コントローラの内部のプリ
ント板に室温検知用のサーミスタ等の温度センサ
を別に設けて室温を検出し、熱電対が検出する冷
接点に対する温度値とこの室温値を加算すること
で実行せられていた。

この従来技術は、上記温度コントローラ等の内
部のプリント板に室温検知用のサーミスタ等の温
度センサを配置するため、この温度センサが熱電
対が接続された機器の端子板の冷接点温度を必ず
しも正しく検出していることにはならない。しか
も、検出したり制御したりする温度レンジの変更
に合わせて使用する熱電対を変更すると、この熱
起電力の変更に対応させて室温検知用のサーミス
タ等の温度センサの出力レンジの変更を必要とす
るため、温度検出器や温度コントローラの製造段
階で各種のプリント板を用意しておかなければな
らず、従つて在庫管理、製造工程等が複雑化し、
しかも極めてコスト高になるという欠点を有して
いた。

〔本考案の概要〕

本考案はかかる事情に鑑みてなされたものであ
つて、室温検知用の温度センサと、それに接続さ
れる信号処理のための冷接点補償回路及び信号増
幅回路とをハイブリツドで一体的に構成するとと
もに、室温検知用の温度センサをこのハイブリツ
ド素子において舌片状に突出させることで、ハイ
ブリツド素子をプリント板に配置させたとき、自
ずと熱電対の接続される機器の端子板位置に突出
するよう構成することで、熱電対の冷接点補償を
高精度に実行せんとするものである。以下、実施
例に基づいて本考案を詳細に説明する。

〔実施例の詳細な説明〕

第５図に、本考案における熱電対の冷接点補償
回路及び信号増巾回路を示す。１は熱電対であつ
て、被測定対象の温度を検出する。２は例えば白
金からなる測温抵抗体であつて、室温検知用の温
度センサである。測温抵抗体２は、抵抗Ｒ１，Ｒ
２，Ｒ３とともにブリツジ回路を構成し、これに
よりアンプ３は、熱電対１が検出する冷接点に対
する温度値と、測温抵抗体２が検知する冷接点の
室温値を加算増巾して出力する。従つて、アンプ
３の出力が冷接点補償された熱電対の温度検出値
を示し、被測定対象の実際の温度を表わすことに
なる。４はバツフアアンプであつて、外部機器に
温度スケールに対応させた出力を送出するために
設けられている。

第３図および第４図に、冷接点補償回路及び信
号増巾回路をハイブリツド化した素子１０の外観
図を示す。なお、熱電対１は温度検出器や温度コ
ントローラの外部にある被測定対象の温度を検出
するものであることから、このハイブリツド素子
１０内には入られていない。１１は、ハイブリツ
ド素子１０に舌片状に設けられる突出部であつ
て、この突出部１１には測温抵抗体２が配置され
る。１２は、ハイブリツド素子１０の内部回路と
外部回路の電気的接続のためのピンであつて、外
部回路に設けられるソケツトにそう入される。

次に、このハイブリツド素子１０が温度コント
ローラ等に実装され、使用される実施例をもつて
本考案を詳細に説明する。第１図および第２図
に、ハイブリツド素子１０が実装された状態を示
す。２０は熱電対を温度センサとする機器であつ
て、例えば温度コントローラである。２１はこの
温度コントローラ２０の背面部に互いに独立して
設けられた複数の端子板であつて、図示しない外
部機器のリード線との電気的接続の機能を果すも
のであり、熱電対１もこの端子板２１の２つに止
めねじ２１ａによつて接続される。２２は、温度
コントローラ２０の信号処理回路をプリントパタ
ーン化したプリント板である。このプリント板に
はソケツト２３が配置され、このソケツト２３に
ハイブリツド素子１０のピン１２がそう入され
て、ハイブリツド素子１０の位置が固定され決定
されるとともに、ハイブリツド素子の信号増巾回
路等が上記信号処理回路に電気的接続されること
になる。熱電対１が接続される端子板２１の近傍
には、ハイブリツド素子１０の突出部１１がそう
入される貫通孔２４が設けられている。

このような構成をとることで、本考案の冷接点
補償装置は、熱電対の冷接点温度である端子板２
１の温度を精度よく検知できることになる。すな
わち従来と異なり、室温検知用の測温抵抗体２
は、温度コントローラ２０のプリント板２２に設
けられるのではなく、ハイブリツド化された素子
１０の突出部１１の内に設けられ、かつ熱電対１
が接続される端子板２１の近傍に設けられる貫通
孔２４にそう入されて配置されるものであること
から、冷接点温度を極めて精度よく検知できるも
のである。しかも本考案は、冷接点補償回路及び
信号増巾回路とをハイブリツド化し一体化させて
ソケツトに差し込むことで固定するものであるこ
とから、貫通孔２４へのそう入の位置決めも何ら
複雑な調節を要することなく簡単に実行できるも
のである。

〔考案の効果〕

以上のように本考案は、熱電対を用いる温度コ
ントローラ等の冷接点を極めて正しく検知でき、
温度の測定精度を著しく高めることができるもの
である。更に本考案は、冷接点補償回路全体をハ
イブリツド化しているものであることから、熱電
対の変更に対しても室温検知用の温度センサを一
体に有するハイブリツド素子の交換だけですみ、
従来のようにいくつものプリント板を用意するこ
となく、在庫管理が効率よくなるほか、温度検出
器や温度コントローラへの組付けが容易化し、製
造効率の向上ならびにコストの低減を図れるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の冷接点補償装置の概略構成を
示す平断面図、第２図は同じく側面図、第３図は
ハイブリツド素子の正面図、第４図は同じく側面
図、第５図は冷接点補償回路図である。 図において、１は熱電対、２は温度センサ、３
はアンプ、４はバツフアアンプ、１０はハイブリ
ツド素子、１１は突出部、１２はピン、２１は端
子板、２２はプリント板、２３はソケツト、２４
は貫通孔である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱電対が検出した冷接点に対する温度値と、温
   度センサが検出した冷接点付近の雰囲気温度値と
   を加算することにより冷接点補償する熱電対の冷
   接点補償装置において、上記雰囲気温度を検出す
   る温度センサおよび該温度センサに接続される冷
   接点補償回路とを一体化したハイブリツド素子
   と、このハイブリツド素子を信号処理回路をのせ
   たプリント板に着脱自在に装着したとき上記温度
   センサが熱電対接続用の端子板近傍の貫通孔に挿
   入されるように該ハイブリツド素子に舌片状に設
   けられた突出部とを備えた熱電対の冷接点補償装
   置。