JPH0220464Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動二輪車にそのエンジンをキツク
操作によつて始動させるために設けられるキツク
スタータ装置に関するものである。

従来技術とその問題点 現在、自動二輪車におけるエンジン始動は、セ
ルスタータまたは足踏み式のキツクスタータによ
つて行われている。キツクスタータの場合は、エ
ンジンから導出されたキツクシヤフトに一端を装
着され、他端に横向きに突出したキツクペダルを
有するキツクアームから成つているが、上記のよ
うにキツクスタータの使用頻度は比較的低いの
で、不使用時にキツクペダルが車体のサイドカバ
ーから外側に突出して外観を損わないように、あ
るいは、不使用時にはキツクアームをキツクシヤ
フトから取外し、コンパクトな形状にしてツール
ボツクス等に収納しておけるように、キツクペタ
ベルをキツクアームの先端に揺動可能に枢着して
折畳み可能とすることが知られており、例えば実
開昭58−102773号公報にこのようなキツクスター
タが示されている。

第１図は上記公報に記載されているキツクスタ
ータ装置で、０９はキツクアームである。このキ
ツクアーム０９の一端にはキツクシヤフトに嵌合
する孔０７が設けられており、他端に設けられた
軸部０１０にキツクペダル０１１の基部０１２が
枢動自在に嵌着されている。キツクアーム０９の
長手方向の中心線は孔０７の中心から下方に偏位
しており、これによつてキツクアーム０９の上方
においてキツクアーム基部０６と前記軸部０１０
との間に形成された空間にキツクペダル０１１が
納まるようになつている。エンジン始動操作時に
は、キツクペダル０１１を図示の状態から軸部０
１０のまわりに紙面と直角方向に回動させ、この
キツクペダル０１１を上方から足で踏み下げて、
キツクアーム０９を孔０７を中心として下方に揺
動させることによりキツクシヤフトを回動させ
る。

しかし、このようなキツクスタータにおいて
は、キツクアーム０９がキツクペダル０１１の下
方に張り出しているので、上記のようにして踏み
下げた時にキツクアーム０９の先端部ａが地面に
接触し、その揺動範囲が制限されることがある。

また、特開昭57−116155号公報には、一本のキ
ツクアームの後端部を下方に向つて屈曲延長し、
この延長端にキツクペダルを水平面内を前後に回
動可能に連結したキツクスタータ装置が示されて
いるが、このキツクスタータ装置においては、キ
ツクアームの屈曲によりペダルの回転軸を構成し
ているので、ペダルの上方空間に位置する車体ま
たはカバー等に干渉し易くなりがちである。

問題点を解決するための手段および作用 このため、本考案においては、キツクアームの
先端にキツクペダルの基部を揺動可能に枢着して
成る自動二輪車のキツクスタータ装置において、
キツクアームの先端部に二股状部を形成し、該二
股状部の間にキツクペダルを前記二股状部に沿う
格納位置と張出し位置との間で揺動可能に枢着す
るとともに、前記キツクペダルが前記格納状態で
前記二股状分岐部の間に納まるようにする。

本考案によれば、キツクアームの２股部分にお
いては、キツクペダルを介して加えられた力が上
下の両分岐部分を通じて伝達されるので、上下の
分岐部分に適当な断面積を与えて該部分をキツク
ペダルの上方および下方に大きく張り出させる必
要がない。従つて操作時にキツクアーム先端部が
地面に接触する等により揺動範囲が制限されるこ
とはない。また、キツクペダルは上下両分岐部分
間に挾まれた状態で枢着されているので、このキ
ツクペダルの支持が容易である。さらにキツクペ
ダルは格納時には少くとも部分的に前記上下の分
岐部分の間の空間内に納まり、キツクアームの側
面に沿い密着した状態で格納されるので良好な外
観を呈する。

実施例 以下、本考案を図示の実施例について説明す
る。第２図は本考案によるキツクスタータ装置を
備えたスクータ型自動二輪車の全体側面図で、１
は前輪、２は後輪、３はハンドル、４はシートで
ある。車体後部はシート４の下方から後輪２の上
部へかけて両側をサイドカバー５で覆われてい
る。サイドカバー５で覆われた内部には、前方上
部にエンジンが装着されたスイング式のパワーユ
ニツト６が前端を車体フレームに枢支されて揺動
自在に設けられており、その後端に後輪２が回転
自在に枢着され、動力伝達機構を介して前記エン
ジンにより駆動されるようになつている。パワー
ユニツト６の側部にはキツクスタータ装置７が設
けられている。このキツクスタータ装置７は、前
記エンジンのクランクケースを貫通しパワーユニ
ツト６の側部に突出したキツクシヤフト８と、こ
のキツクシヤフト８に一端部を固着され前方へ延
出したキツクアーム９と、該キツクアーム９の先
端に揺動自在に枢着されたキツクペダル１０とか
ら成つており、図示のようにサイドカバー５の下
縁に沿わせて該サイドカバー５の内方に配設され
ている。キツクペダル１０は常時はキツクアーム
９に沿つた図示の位置に格納され、サイドカバー
５の面から突出していないが、操作時にはこのキ
ツクペダル１０を外方へ揺動させてサイドカバー
５の面から突出させ、これを足で踏み下げてキツ
クアーム９を回動させる。これによつてキツクシ
ヤフト８が回動してエンジンを回転、始動させ
る。

第３図は上記キツクアーム９およびキツクペダ
ル１０をさらに詳細に示す側面図、第４図はその
平面図である。キツクアーム９の後端には取付穴
１１が設けられており、この取付穴１１を前記キ
ツクシヤフト８の突出端部に嵌合させてボルト１
２で締付けることにより、キツクアーム９をキツ
クシヤフト８に固着する。このキツクアーム９の
前方部分は上方分岐部分１３と下方分岐部分１４
とに２股状に分岐しており、両分岐部分１３，１
４間に前方へ向つて開放された空間１５が形成さ
れている。そして巾広に形成された端部を形成す
る上方分岐部分１３の先端部１３ａと下方分岐部
分１４の先端部１４ａとの間に挾まれて前記空間
１５の先端部にキツクペダル１０の基部１０ａが
装着され、これら１３ａ，１４ａ，１０ａを貫通
する回動軸１６により回動自在に取付けられてい
る。

キツクペダル１０は不使用時には第４図におい
て実線で示すようにキツクアーム９の側部に沿つ
た格納位置に格納保持されている。この時キツク
ペダル１０のほとんど大部分は前記空間１５内に
嵌入し、キツクアーム９から側方に突出する部分
は僅かである。操作時にはキツクペダル１０を、
第４図に鎖線で示すように、キツクアーム９に対
してほぼ直角な操作位置へ、回動軸１６のまわり
に回動させる。そして、このようにして前記サイ
ドカバー５の面から突出したキツクペダル１０を
踏み込んでエンジンを始動させる。１７はキツク
ペダル１０の基部１０ａに突設された蹴出し部片
で、キツクペダル１０を格納位置から引出す時こ
の蹴出し部片１７を足で押すことにより上記引出
しを極めて容易に行うことができる。

本実施例においては、キツクペダル１０の基部
１０ａが上方分岐部分１３と下方分岐部分１４と
によつて挾み付けられているので、キツクペダル
１０からキツクアーム９へ充分な力を伝達させる
ことができるとともに、キツクペダル１０の脱落
を防止することができる。また、上記力はキツク
アーム９の２股部分においては上方分岐部分１３
と下方分岐部分１４の両部分を通じて伝達される
ので、下方分岐部分１４の強度を低減させること
ができ、従つて下方分岐部分１４のキツクペダル
１０からの張り出し量ｔを小さくして、キツクア
ーム９が地面と接触することによる揺動範囲の制
限を回避することができる。さらに、キツクペダ
ル１０は不使用時にはその大部分が空間１５内に
納まり、キツクアーム９の側面に沿い密着した状
態で格納されるので良好な外観が得られる。

考案の効果 以上の通り、本考案においては、キツクアーム
の先端にキツクペダルの基部を揺動可能に枢着し
て成る自動二輪車のキツクスタータ装置におい
て、キツクアームの先端部に二股状部を形成し、
該二股状部の間にキツクペダルを前記二股状部に
沿う格納位置と張出し位置との間で揺動可能に枢
着するとともに、前記キツクペダルが前記格納状
態で前記二股状分岐部分の間の空間内に納まるよ
うにしたので、操作時にキツクアーム先端部が地
面に接触すること等に起因するキツクアーム揺動
範囲の制限を回避することができ、また、キツク
ペダルのキツクアーム側との取付け剛性を大にで
きるとともに、断面を双方に振り分けることがで
きコンパクト化できる。さらに、キツクペダルは
不使用時にはキツクアームの側面に沿い密着した
状態で格納されるので良好な外観が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のキツクスタータ装置の一例を示
す側面図、第２図は本考案によるキツクスタータ
装置を備えたスタータ型自動二輪車の全体側面
図、第３図はキツクスタータ装置の詳細側面図、
第４図は同平面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線に
沿う断面図である。 １……前輪、２……後輪、３……ハンドル、４
……シート、５……サイドカバー、６……パワー
ユニツト、７……キツクスタータ装置、８……キ
ツクシヤフト、９……キツクアーム、１０……キ
ツクペダル、１１……取付穴、１２……ボルト、
１３……上方分岐部分、１４……下方分岐部分、
１５……空間、１６……回動軸、１７……蹴出し
部片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. キツクアームの先端にキツクペダルの基部を揺
   動可能に枢着して成る自動二輪車のキツクスター
   タ装置において、キツクアームの先端部に二股状
   部を形成し、該二股状部の間にキツクペダルを前
   記二股状部に沿う格納位置と張出し位置との間で
   揺動可能に枢着するとともに、前記キツクペダル
   が前記格納状態で前記二股状分岐部の間に納まる
   ようにしたことを特徴とするキツクスタータ装
   置。