JPH0219432Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、貯水タンクとして用いられるコン
クリート製容器の周壁を構成する合成側壁構造に
関するものである。

［従来の技術］ 従来、コンクリート製容器の周壁を構成する側
壁構造としては、(1)特開昭53ー144015号公報によ
り公表されているように、外側周壁に上下方向に
分割された多数のプレキヤストコンクリート部材
により構成し、内側周壁を場所打コンクリートの
打設により構成した側壁構造、(2)特公昭42ー4811
号公報により公表されているように、外面の左右
両側に複数の縦リブを備えている多数のプレキヤ
ストコンクリート部材を、上下方向および容器周
囲方向に並べて配置して、PC緊張材により結合
した側壁構造等が知られている。

［考案が解決しようとする課題］ 前記(1)、(2)の側壁構造の場合は、側壁の強度が
弱く、かつプレキヤストコンクリート部材が上下
方向にも並べて配置されているので、組立施工が
煩雑であるという問題がある。

この考案は、側壁の強度が強く、かつプレキヤ
ストコンクリート部材の組立施工を容易にしかも
迅速に行なうことができるコンクリート製容器の
合成側壁構造を堤供することを目的とするもので
ある。

［課題を解決するための手段］ 前記目的を達成するために、この考案のコンク
リート製容器の合成側壁構造においては、外側に
複数の縦リブ１を備えている上下一体型の多数の
リブ付きプレキヤストコンクリート部材２が、容
器周囲方向に並べて配置されて外側周壁３が構成
され、前記リブ付きプレキヤストコンクリート部
材２における縦リブ１内に鉛直方向PC鋼材５が
配置され、前記外側周壁３を構成するリブ付きプ
レキヤストコンクリート部材２の内側に複数のジ
ベル筋６が突設され、前記外側周壁３の内側に場
所打コンクリートが打設されて内側周壁４が構成
されている。

［実施例］ 次にこの考案を図示の例によって詳細に説明す
る。

第４図ないし第６図はこの考案の実施例におい
て用いられる外側周壁構成ユニツト８に示すもの
であつて、容器周壁の全体高さにわたつて上下方
向に連続して延長する版体９の巾方向の両側に、
その版体９から外側に突出する補強用縦リブ１が
一体に連設され、各縦リブ１の下端部およぴ版体
９の下端部に一体に連設された下部フランジ１０
に、凹部１１が設けられると共に複数のアンカー
ボルト挿通用縦孔１２が設けられて、リブ付きプ
レキヤストコンクリート部材２が構成され、かつ
各縦リブ１内にその長手方向に延長する複数の鉛
直方向PC鋼材５が配置されると共に、版体９内
に配力鉄筋（図示を省略した）が埋設され、コ字
状の多数のジベル筋６は、版体９の内側において
上下方向および版体巾方向に間隔をおいて配置さ
れると共に、前記配力鉄筋に対し溶接結合または
結束され、各ジベル筋６は版体９の内面から突出
している。

前記鉛直方向PC鋼材５は予め緊張され、リブ
付きプレキヤストコンクリート部材２のコンクリ
ートの養生期間を経過したのち、鉛直方向PC鋼
材５の緊張力が解放されて、リブ付きプレキヤス
トコンクリート部材２にプレストレスが導入さ
れ、前記リブ付きプレキヤストコンクリート部材
２の一方の側面には、上下方向に延長するゴム製
シール材１３が接着剤等により固着されている。
このように構成された外側周壁構成ユニツト８は
工場において製造される。

前記外側周壁構成ユニツト８を使用してこの考
案の合成周壁を有するコンクリート製容器を築造
する場合は、まず第１図および第７図に示すよう
に、底版および基礎版の築造予定位置の地盤を堀
削したのち、コンクリートの基礎版１４およびコ
ンクリートの底版１５を順次施工し、その底版１
５における周壁結合部には、予め環状溝１６を設
けると共にその環状溝１６の底部にアンカーボル
ト１７、２６の下部を埋込固定しておく。

次に外側周壁構成ユニツト８を施工現場に運搬
してクレーンにより所定の位置に建込み、かつリ
ブ付きプレキヤストコンクリート部材２の下部フ
ランジ１０に挿通した前記アンカーボルト１７の
上部にナツト２０を螺合すると共に、そのナツト
２０を緊締してリブ付きプレキヤストコンクリー
ト部材２の下端部を底版１５に結合する。また上
下方向に間隔をおいて配置された複数段の足場板
２５を備えている環状の組立式足場１８を、予め
周壁築造位置の内側において底版１５上に組立設
置し、必要に応じ組立式足場１８の上部と外側周
壁構成ユニツト８の上端部とを連結部材（図示を
省略した）により連結して外側周壁構成ユニツト
８を倒れないように支持する。

前述の作業を反復して行ない、かつ隣り合う外
側周壁構成ユニツト８のジベル筋６にわたつて連
結鉄筋２１を配置して溶接により結合して、多数
の外側周壁構成ユニツト８からなる外側周壁３を
組立構成する。

次に外側周壁３の内側に内側周壁用の周囲方向
PC鋼材７および鉄筋２２を配置し、かつ第８図
に示すように、予めリブ付きプレキヤストコンク
リート部材２に埋込まれているインサート２７に
型枠間隔保持具２８の一端部を螺合連結し、次い
で筒状の内側型枠２３を建込むと共に、その内側
型枠２３を前記型枠間隔保持具２８の他端部に螺
合した型枠締付具２９により固定し、かつその型
枠締付具２９と前記組立式足場１８とを、連結杆
１９を介して連結する。

次に内側型枠２３と前記外側周壁３との間に場
所打コンクリートを打設して、内側に複数のピラ
スタ２４を有する内側周壁４を構成し、その内側
周壁４と前記外側周壁３とにより合成周壁を構成
する。

前記コンクリートが所定の強度に達したのち、
ピラスタ２４の側面にジヤツキを配置し、そのジ
ヤツキにより前記周囲方向PC鋼材７を緊張し、
その周囲方向PC鋼材７の端部を公知の定着具２
５によりピラスタ２４に定着する。

周囲方向PC鋼材７がシース内に挿入されてい
る場合は、その周囲方向PC鋼材７を緊張定着し
たのち、周囲方向PC鋼材７とシースとの間にモ
ルタルグラウトを注入する。

最後に組立式足場１８および内側型枠２３を撤
去したのち、アンカーボルト２７の上部に螺合し
たナツトにより内側周壁４の下部フランジを締付
けて、合成周壁を有するコンクリート容器を完成
する。

前記周壁における多数のリブ付きプレキヤスト
コンクリート部材２からなる外側周壁３と場所打
コンクリートからなる内側周壁４とは、多数のジ
ベル筋６を介して一体化されているので、周壁に
作用する応力に対しては、外側周壁３と内側周壁
４とが一体構造となつて抵抗する。

また周壁に作用する鉛直方向の応力に対して
は、主としてリブ付きプレキヤストコンクリート
部材２の縦リブ１内に配置された鉛直方向PC鋼
材５を緊張して得られるプレストレスによつて抵
抗させる。さらに水平方向の応力に対しては、主
として場所打コンクリート内に配置された周囲方
向PC鋼材７を緊張して得られるプレスレスによ
つて抵抗させる。

前記実施例のように、リブ付きプレキヤストコ
ンクリート部材２における上下方向に延長する縦
リブ１内に鉛直方向PC鋼材５を配置すれば、中
立軸からの鉛直方向PC鋼材５の偏心量を大きく
することができるので、鉛直方向PC鋼材の使用
量を少なくすることができる。

この考案を実施する場合、前記鉛直方向PC鋼
材５を予めシース内に挿込んでおいてもよく、あ
るいはシースを用いない公知のアンボンド鋼棒ま
たはアンボンドケーブルを鉛直方向PC鋼材５と
して使用してもよい。第９図に示すように、また
ピラスタ２４を隣り合うリブ付きプレキヤストコ
ンクリート部材２の間から外側に突出するように
設けてもよい。

［考案の効果］ この考案は前述のように構成されているので、
以下に記載するような効果を奏する。

外側に複数の縦リブ１を備えている上下一体型
のリブ付きプレキヤストコンクリート部材２にお
ける前記縦リブ１内に鉛直方向PC鋼材５が配置
されているので、容器の外側周壁３を構成するプ
レキヤストコンクリート部材２を著しく強化する
ことができ、かつ外側周壁３を構成するプレキヤ
ストコンクリート部材２は外側周壁３の全長にわ
たつて連続しているので、外側周壁３を構成する
プレキヤストコンクリート部材２の組立施工を容
易にかつ迅速に行なうことができ、さらに前記外
側周壁３を構成するプレキヤストコンクリート部
材２の内側に複数のジベル筋６が突設され、その
ジベル筋６は、前記外側周壁３の内側に打設され
た場所打コンクリートからなる内側周壁４に埋込
固定されているので、プレキヤストコンクリート
部材２からなる外側周壁３と場所打コンクリート
からなる内側周壁４とを強固に一体化して、大強
度の合成側壁を構成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第８図はこの考案の一実施例を示
すものであつて、第１図は合成周壁を有するコン
クリート製容器の縦断側面図、第２図は合成周壁
におけるジベル筋のレベルの断面図、第３図は合
成周壁における周囲方向PC鋼材のレベルの断面
図、第４図はこの考案の実施例において用いられ
る外側周壁構成ユニツトの一部切欠正面図、第５
図はその一部切欠側面図、第６図は第４図のＡー
Ａ線断面図、第７図は合成周壁を施工している状
態を示す一部切欠縦断側面図、第８図は第７図の
一部を拡大して示す縦断側面図である。第９図は
ピラスタを外側に設けた例を示す横断平面図であ
る。 図において、１は縦リブ、２はリブ付きプレキ
ヤストコンクリート部材、３は外側周壁、４は内
側周壁、５は鉛直方向PC鋼材、６はジベル筋、
７は周囲方向PC鋼材、８は外側周壁構成ユニツ
ト、６は版体、１０は下部フランジ、１４は基礎
版、１５は底版、１６は環状溝、１７はアンカー
ボルト、１８は組立式足場、１９は連結部材、２
１は連結鉄筋、２２は鉄筋、２３は内側型枠、２
４はピラスタである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 外側に複数の縦リブ１を備えている上下一体
   型の多数のリブ付きプレキヤストコンクリート
   部材２が、容器周囲方向に並べて配置されて外
   側周壁３が構成され、前記リブ付きプレキヤス
   トコンクリート部材２における縦リブ１内に鉛
   直方向PC鋼材５が配置され、前記外側周壁３
   を構成するリブ付きプレキヤストコンクリート
   部材２の内側に複数のジベル筋６が突設され、
   前記外側周壁３の内側に場所打コンクリートが
   打設されて内側周壁４が構成されていることを
   特徴とするコンクリート製容器の合成側壁構
   造。 (2) 前記内側周壁４を構成する場所打コンクリー
   ト内に、内側周壁周囲方向に延長する複数の周
   囲方向PC鋼材７が配置されていることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載のコ
   ンクリート製容器の合成側壁構造。