JPH0218920Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は密閉形アルカリ蓄電池の改良に関する
もので、特に耐震性、耐衝撃性の向上を目的とし
ている。

従来、この種の電池は、金属容器が負、端子蓋
が正の極性を有するように構成される。即ち、金
属容器に収容された電池要素のうち、負極板はリ
ード用金属板を介して金属容器の底部に接続さ
れ、正極板はリード用金属板を介して端子蓋に接
続されている。また正極板、セパレータ、負極板
を積層したものを渦巻状に捲回した電池要素は、
金属容器への収納を容易ならしめるため、金属容
器の内径よりも十分に小さい外径寸法を有するよ
うに配慮されている。従つて、金属容器の内壁と
電池要素との間には少なからず空隙が生じてい
る。即ち、金属容器中の電池要素は、端子蓋と金
属容器の底部との２箇所の接続部で支持されてい
るにすぎない。このような構造であるため、該電
池をモーターの駆動源とするような用途、例えば
電動工具や電動クリーナ等の携帯用機器において
は、モーターによる振動が該電池に伝わり、金属
容器内で電池要素が空隙の間で共振する現象が生
ずる。その際、正、負極板とリード用金属板との
接続部あるいはリード用金属板と金属容器、端子
蓋との接続部に繰返し応力が加わり、遂には疲労
破壊等により接続部が剥れ、電池として機能しな
くなるという欠点を有していた。また、電池を床
面に落下させる等の衝撃を与えることによつても
同様の欠点を有していた。

本考案は上記の如き欠点を除去するもので、耐
震性、耐衝撃性に優れた密閉形アルカリ蓄電池を
提供するものである。

本考案の要点とするところは、内部に電池要素
を収容した金属容器の開口部において、端子蓋と
電池要素との間に電池要素の上記外縁部を覆う屈
折部と端子蓋によつて押圧される環状凸部とを一
体に有する絶縁体と、金属容器の底部において、
金属容器底面と電池要素との間に電池要素の下部
外縁部を覆う屈折部を有する絶縁体を介在させて
なり、各絶縁体の中央に貫通孔が形成されてお
り、該孔に正負極板のリード用金属板が挿通さ
れ、前記凸部は正極板のリード用金属板を取り囲
むように配置されている点にある。

詳細な内容は本考案の一実施例に基づいて説明
する。

第１図は本考案による密閉形アルカリ蓄電池の
要部断面図、第２図は第１図における絶縁体の平
面図である。

該電池は円筒状の金属容器１の内部に電池要素
２を収容し、金属容器１の開口部において排気弁
を有する金属蓋３とゴム質パツキン４からなる端
子蓋がかしめられて気密を保つている。電池要素
２の正極板はリード用金属板５によつて金属蓋３
にスポツト溶接により接続されており、負極板は
リード用金属板６によつて金属容器１の底部に同
様に接続されている。したがつて、金属蓋３は
正、金属容器１は負の極性を有している。本考案
における絶縁体７は金属蓋３と電池要素２の間に
介在して、電池要素２の外縁部を覆い、且つ金属
容器１と電池要素２との間に生じた空隙１１の一
部を埋める様な屈折部８を有している。また、絶
縁体７′は金属容器１の底部で金属容器１の底面
と電池要素２の間に介在して、電池要素２の外縁
部を覆い、空隙１１の一部を埋める様な屈折部
８′を同様に有している。

この様に該空隙１１の一部をそれぞれ絶縁体
７，７′で埋めることによつて、振動や衝撃によ
つて、電池要素２が横振れすることを阻止でき
る。しかしこれだけでは電池要素２の縦振れに対
して完全ではない。そこで、絶縁体７はまた、金
属蓋３がその周縁に配置されたパツキン４を介し
て金属容器１にかしめられる際、金属蓋３によつ
て押圧される環状凸部９を有している。該凸部９
はかしめによつて押圧され、そして電池要素２を
も押圧、固定せしめる。したがつて、絶縁体７，
７′の該屈折部８，８′と該凸部９の効果が相乗し
て、電池要素２は横振れも縦振れも出来なくな
る。また、該凸部９は正極板のリード用金属板５
の周囲で取り囲む様に配置することが必要であ
る。なぜなら、金属蓋３によつて押圧される力が
電池要素２の上面全体に均等にかかるだけでな
く、金属蓋３とリード用金属板５との接続が仮に
剥れても、リード用金属板５が金属容器１に接触
して電池が短絡されることを防止できるからであ
る。また、絶縁体７，７′の中央には貫通孔１０，
１０′が形成される。貫通孔１０，１０′はこれを
通してリード用金属板５，６を導入するためばか
りではなく、負極板のリード用金属板６を金属容
器１の底部に接続する際に電池要素２の巻回中心
の隙間を通して溶接棒を導入するためにも採用さ
れるし、貫通孔１０は電池要素２で発生するガス
を排気弁に導く役目もする。なお、本実施例では
絶縁体７，７′はポリプロピレン製であるが、電
気的絶縁性、耐アルカリ性を有する材料、例えば
塩化ビニル、ABS樹脂、ポリテトラフロロエチ
レン等どんなものでもかまわない。

本考案は以上の様な構成であるため、前記の如
く電池に対して振動や衝撃が加わつても、電池要
素の運動が阻止され、リード用金属板の接続部で
の剥れがなくなる等の効果を有し、実用的価値極
めて大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す要部断面図、
第２図は第１図における絶縁体の平面図である。 １は金属容器、２は電池要素、３は金属蓋、４
はパツキング、５は正極板のリード用金属板、６
は負極板のリード用金属板、７，７′は絶縁体、
８，８′は絶縁体７，７′の屈折部、９は絶縁体７
の凸部、１０，１０′は絶縁体７，７′の貫通孔、
１１は空隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部に電池要素を収容した金属容器の開口部に
   おいて、端子蓋と電池要素との間に電池要素の上
   部外縁部を覆う屈折部と端子蓋によつて押圧され
   る環状凸部とを一体に有する絶縁体と、金属容器
   の底部において、金属容器底面と電池要素との間
   に電池要素の下部外縁部を覆う屈折部を有する絶
   縁体を介在させてなり、各絶縁体の中央に貫通孔
   が形成されており、該孔に正負極板のリード用金
   属板が挿通され、前記凸部は正極板のリード用金
   属板を取り囲むように配置されていることを特徴
   とする密閉形アルカリ蓄電池。