JPH021672B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、プリント配線用基板などに用いられ
る金属箔張積層板の製造方法に関し、さらに詳し
くは片面金属箔張積層板の反りを改善する製造方
法に関する。

近年、銅張積層板を基板として加工するプリン
ト配線板の製造工程では、自動化設備が普及し、
生産性が著しく向上している。このような自動化
の背景のもとで、基板である銅張積層板特に片面
銅張積層板に対して、寸法の安定性、特に反りに
ついて改善の要請が高まつてきた。

片面銅張積層板は、プリプレグの片面に銅箔を
重ねて１組としたものを成形一体化することによ
つて得られる。プリプレグは、紙等の基材にフエ
ノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸乾燥したもの
で、このプリプレグと所望厚さに応じ数枚重ね、
さらにその片面に銅箔（必要に応じ接着剤付銅
箔）を重ねて素材の組としたものを成形一体化す
る。この成形一体化は、複数の上記各組をプレス
熱盤間に配置して成形し、各組を一体化する。こ
の方法は、各組がステンレス鏡面板にはさまれる
ように、素材の組とステンレス鏡面板を交互に重
ね、２枚のプレス熱盤間に配置し所定時間加熱加
圧成形して一体化したのち、ステンレス鏡面板か
ら取り出して片面銅張積層板が得られる。

この銅張積層板の成形説備も近年大型化し、プ
レスは10〜40段の熱盤を備える多段プレスで、一
組のプレス熱盤間には、10〜17の素材の組が配置
されて成形されるようになつた。しかも、成形さ
れる銅張積層板の面積が７m²に達するような大型
プレスも実用化されている。

ところが、１組の熱盤間に成形される片面銅張
積層板の数が多い多量製造方式になればなる程、
熱伝導の遅速によつて、熱盤の隣りに配置成形さ
れる片面銅張積層板と熱盤間の中間で成形される
片面銅張積層板との間には、反りに差があり、そ
れらが混在したロツトは反りのバラツキが大き
い。このような片面銅張積層板の反りは、クツシ
ヨン材の選択、プリプレグの硬化度の管理、成形
条件の適正化等の対策をとつても、多量製造方式
においては、さして効果が現われず、自動化され
たプリント配線板製造には大きな問題となつてい
た。

本発明は、そのような片面金属箔張積層板の多
量製造方式において、プリプレグに対する金属箔
の配置を指定するものであり、反りの少ない寸法
安定性に優れた片面金属箔張積層板を得るために
なされたものである。

即ち、本発明は、プリプレグの片面に金属箔を
重ねて１組とし、その複数組を２枚のプレス熱盤
間に配置して成形し、上記各組を一体化するに際
し、上記複数組のうち少くともプレス熱盤の隣り
に配置する組について、その組に対してより距離
が近いプレス熱盤と反対の側のプリプレグ面に、
金属箔を重ねて成形することを特徴とする片面金
属箔張積層板の製造方法である。

次に、本発明の製造方法の詳細を、図面を参照
して説明する。

第１図は、プレス成形する際のプリプレグと金
属箔との配置、プレス熱盤、付帯副資材などを、
多段プレスの１段分について示したものである。

熱盤１，１′は多段プレスの熱盤のうちの２枚
の熱盤であり、上の熱盤に接するトツププレート
２と下の熱盤に接するキヤリヤープレート２′は
金属板で仕込み取出しのために通常用いられるも
のである。両プレートの次に置かれるクツシヨン
材３，３′はクラフト紙、アスベスト紙などで、
加圧を均一化する。14枚の片面金属箔張積層板を
成形するためのステンレス鏡面板４は15枚必要
で、最上位と最下位のステンレス鏡面板は１枚の
片面金属箔張積層板に、他のステンレス鏡面板は
表裏で２枚の片面金属箔張積層板に直接接して成
形する。

片面金属箔張積層板の素材は、プリプレグと金
属箔との組合せである。プリプレグ１１は、積層
板の所望厚さに応じて複数枚が用いられるが、図
面には一体として図示した。プリプレグ１１の基
材はガラス質、セルローズ質、合成繊維質の紙布
など、熱硬化性樹脂はフエノール樹脂、エポキシ
樹脂、ポリイミド樹脂などが例示でき、熱硬化性
樹脂積層板が得られる基材と樹脂とのあらゆる組
合せが適用できる。

金属箔１２は、銅箔、アルミ箔など導電体を構
成する金属箔、上記のほか銅合金箔など熱伝導体
を構成する金属箔等すべての金属箔が適用でき
る。プリント配線板として9μｍ、18μｍ、35μｍ、
70μｍなどの厚さの銅箔が多く用いられ、その金
属箔１２の接着性を高めるために表面処理、接着
剤塗布などがなされることが多い。

プリプレグ１１の片面にのみ金属箔１２を重ね
た片面金属箔張積層板は、バイメタル的効果にた
めに、本発明のプリプレグに対する金属箔の配置
をすることにより本発明の効果が発揮される。そ
の配置は第１図のNo.１〜１４の素材の組のうち、
少くともNo.１及び〓１４の組については、それぞ
れの金属箔１２をプリプレグ１１に対してより距
離が近いプレス熱盤と反対の側のプリプレグ面に
重ねなければならない。即ち、No.１の組について
金属箔１２はプレス熱盤１からより遠い側である
プリプレグ１１の下面に、No.１４の組について金
属箔１２はプレス熱盤１′からより遠い側である
プリプレグ１１の上面に重ねる。少くともNo.１と
No.１４の組について、上記のようにすれば、ロツ
トの反りのバラツキは著しく減少させることがで
きる。

次に好ましくは、No.１とNo.１４の組に加えてNo.
２とNo.１３の組についても、それぞれの金属箔１
２をプリプレグ１１に対してより距離が近いプレ
ス熱盤と反対の側のプリプレグ面に重ねれば反り
のバラツキはより少くなる。更に好ましくは、No.
１〜No.１４までのすべての組について、同様にす
るのがよく、このときの反りのバラツキはNo.１と
No.１４だけについて同様にしたロツトのバラツキ
に比較して約4/5になるものと認められた。

本発明によれば、片面金属箔張積層板の多量製
造方式において、プレス熱盤の隣りに配置され、
熱伝導が他の組と異る素材の組について、プリプ
レグに対する金属箔の配置を指定するという簡単
な手法によつて、反りのバラツキを実施例で説明
するように著減させることができた。

以下に片面銅張フエノール樹脂積層板の実施例
について説明するが、本発明はこの実施例によつ
て限定されるものではない。

実施例 １ 油変性フエノール樹脂系コツトンリンター紙基
材プリプレグ８枚と接着剤付35μｍ厚さの銅箔と
の組をプレス熱盤間に次のように配置した。

熱盤１′の上にキヤリヤープレート２′を置き、
その上にクラフト紙のクツシヨン材料３′を置き、
更にその上にステンレス鏡面板４を置く。このス
テンレス鏡面板４の上に８枚のプリプレグを置
き、その上に接着剤付銅箔（接着剤面をプリプレ
グ側にする）を配置して次のステンレス鏡面板を
置く。これで１組（No.１４）分のプリプレグと銅
箔の組合せが完了する。この組の銅箔は熱盤１′
と反対の側のプリプレグ面に配置されたことにな
る。

次にNo.１３〜No.２の組については、No.１４と同
様にステンレス鏡面板の上に８枚のプリプレグを
置き、その上に接着剤付銅箔（接着剤面をプリプ
レグ側にする）を配置して次のステンレス鏡面板
を置く。次にNo.１の組については、ステンレス鏡
面板の上に接着剤付銅箔（接着剤面を上側にす
る）と置き、その上に８枚のプリプレグを配置し
て最後のステンレス鏡面板を置く。このようにす
ると、No.１の組とNo.１４の組、即ちプレス熱盤の
隣りに配置した組について、銅箔はそれぞれのプ
リプレグに対してより距離が近いプレス熱盤と反
対の側のプリプレグ面に配置され、他の組につい
ては必ずしもそのように規則的に配置されていな
い。しかるのち、クラフト紙のクツシヨン材料３
を置き、その上にトツププレート２を置き、１段
分の成形組合せが完了する。

このようにして30段分準備した後、175℃、120
Kg／cm²、170分の成形条件で成形して、1.6mm厚の
片面銅張フエノール樹脂積層板を得た。この板の
定尺（１ｍ×１ｍ）の反りをJIS C6481により測
定し、ロツトの反りの分布を第２図に示した。

比較例 １ 実施例１において、No.１の組合せもNo.１４〜No.
２の組合せと同様にして、従来方式の組合せと
し、実施例１と同様に成形し、反りを測定して、
ロツトの反りの分布を第３図に示した。

実施例１の反りの分布を比較例のそれと比較し
てみると、著しく大きな反りの分布の山がなくな
つているのがわかる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の製造方法によるプレス熱盤間
の配置図、第２図は本発明の製造方法による片面
銅張フエノール樹脂積層板の反り分布グラフ、第
３図は従来例の同様な反り分布グラフである。 １，１′……プレス熱盤、１１……プリプレグ、
１２……金属箔、No.１〜No.１４……プリプレグに
金属箔を重ねた組の番号。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プリプレグの片面に金属箔を重ねて１組と
   し、その複数組を２枚のプレス熱盤間に配置して
   成形し、上記各組を一体化するに際し、上記複数
   組のうち少くともプレス熱盤の隣りに配置する組
   について、その組に対してより距離が近いプレス
   熱盤と反対の側のプリプレグ面に、金属箔を重ね
   て成形することを特徴とする片面金属箔張積層板
   の製造方法。 ２ 複数組のすべてについて、その組に対してよ
   り距離が近いプレス熱盤と反対の側のプリプレグ
   面に、それぞれの組の金属箔を重ねて成形する特
   許請求の範囲第１項記載の片面金属箔張積層板の
   製造方法。