JPH0214767Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はミシンの送り機構に関する。

（従来の技術及びその問題点） 揺動レバータイプのミシンの送り機構は、構造
的にはシンプルであるが、送り歯の布送り性能は
十分なものではなかつた。例えば第６図に示すよ
うに、水平送り軸１に送り歯２が固着された送り
台３がピン４を介して枢支され、下軸５に固着さ
れた上下送りカム６により、送り調節板７を介し
て送り台３が上下動させられるものにあつては、
一つの調整方法として、第７図に示す如く、送り
歯２の上面２ａがミシンの針板上面８に出る位相
で上面２ａが針板上面８と平行になるように設定
しておくと、ピン４が送り歯２の上面２ａより下
方に位置しているので、上下送りカム６により送
り歯２が最大上昇した場合には、第８ａ図に示す
如く、前下がりに傾斜し、送り歯２が最大下降し
た場合には、第８ｂ図に示す如く、前上がりに傾
斜する。

即ち、布送り動作中は上面２ａが針板上面８に
対して傾斜する。

その結果として縫製上、布の送り効率が悪く、
特に布によつて送り効率が変化したりあるいは布
縮み、布ずれ等の問題が生ずることが知られてい
る。

送り歯の望ましい送り性能を得るためには、送
り歯の上面が針板上面に対して常に平行を保ちな
がら駆動されることが望ましい。

従来、揺動レバータイプのミシンの送り機構に
対して前記したような運動軌跡を得るために種々
の提案がなされている。しかしそれらはいずれも
構造的に複雑であつたり製作上の困難があつて実
用化には問題があつた。

（問題点を解決するたの手段及びその作用） 本考案は揺動レバータイプのミシンの送り機構
の主送り台に該主送り台に対して揺動自在で送り
歯を一体的に固着した副送り台を設け、これらの
送り台を夫々別の上下送りカムにより連係して制
御して送り歯の上面が、針板上面と平行な状態を
維持したまま送り歯を駆動するようにしたもの
で、簡単な構成で、しかも従来のものに比べ送り
効率に優れ、布縮みや布ずれ等の問題が解決でき
るという作用がある。

（実施例） 以下本考案を実施例により説明する。第１図に
おいて、１０は水平送り軸で、腕部１０ａの先端
付近には二又１２が回動中心としてのピン１１に
より枢止されている。該二又は第３図及び斜視図
の第１０図に示す如く、その二又部１２ａに下軸
１３に固着された三角カム１４が係合している。
二又１２にはまたピン３８を介して角駒１５が枢
支され、該角駒は送り調節器１６の溝１６ａに係
合している。送り調節器１６は第１図及び第５図
に示す如く、ミシン機枠に回転可能に支持される
軸４０に固着されており、該軸の回転によつて溝
１６ａの傾きが変化する如く構成されている。

送り調節器１６の回転によつて、送り軸１０の
水平揺動量が調節される構成については従来技術
と同様であるので、簡単に説明すると、該送り調
節器の溝１６ａに案内された角駒１５が三角カム
１４により揺動させられる二又１２により溝１６
ａ内を拘束運動させられ、ピン３８、二又１２及
びピン１１を介して水平送り軸１０の腕部１０ａ
が溝１６ａの傾斜に応じて水平揺動させられるよ
うになつている。

水平送り軸１０の一対の腕部１０ｂには夫々ピ
ン１７を介して主送り台１８の腕部１８ａが枢支
されている。

主送り台１８は、基板３９との間に張られたば
ね１９により下方に引かれ、ねじ２０により主送
り台１８に上下方向が調節可能に取り付けられた
主送り台用の送り調節板２１を介して、上下送り
カム体２２の主送り台用の上下送りカム２３に従
動させられている。

主送り台１８には、その上面にねじ２４により
送り歯２５が固着された副送り台２６が回動中心
としての軸２７に枢支され、該副送り台は基板３
９との間に張られたばね２８により下方に引か
れ、ねじ２９により、副送り台２６に上下方向が
調節可能に取り付けられた副送り台用の送り調節
板３０を介して、上下送りカム体２２の副送り台
用の上下送りカム３１に従動させられている。

上下送りカム体２２は、下軸１３に打ち込まれ
たキー３２に溝部２２ａが係合し、下軸１３に対
して軸方向に摺動自在となつている。上下送りカ
ム体２２は、ばね３３により第２図の右方に付勢
され、ドロツプレバー３４に当接させられてい
る。同図の状態からドロツプレバー３４により上
下送りカム体２２を左方に移動させると、主送り
台調節板２１は等径の小リフト部２３ａに従動
し、同時に送り調節板３０も上下送りカム３１の
等径の小リフト部３１ａに従動し、送り歯２５が
針板３５の下方に沈下させられるようになつてい
る。

下軸１３には歯車３６が固着され、釜３７の歯
車部３７ａと係合し、釜３７を駆動するようにな
つている。

上下送りカム２２により主送り台１８が揺動さ
せられ、上下送りカム３１により副送り台２６が
揺動させられるのであるが、これらの上下送りカ
ム２２と３１との関係は、副送り台２６の回動中
心であるピン２７の上下運動量と副送り台２６の
上下量とが量及び位相的に一致するように形成さ
れている。

上下方向の運動軌跡は、回動中心であるピン１
７の軸心を通る水平面に対する回動中心である軸
２７の軸心の位置により決定され、送り歯２５が
針板面３５から出るときに軸２７の軸心がピン１
７の軸心と略々同一高さになるように設定すれば
望ましい上下方向の運動軌跡が得られる。

（動作説明） 以下本考案の実施例に係るミシンの送り機構の
動作について説明する。

調整位置を、第７図に示す如く、送り歯の上面
がミシンの針板上面にでる位相で平行になるよう
に設定しておくと、上下送りカム体２２の主送り
台用の上下送りカム２３の最大偏心部により、主
送り台１８が最大上昇した場合には、該主送り台
は第９ａ図に示す如く、前下がりに傾斜する。

しかしながら、副送り台用の上下送りカム３１
の最大偏心部により、送り調節板３０を介して、
副送り台２６が軸２７を中心として反時計方向に
回転することにより、副送り台２６に固着の送り
歯２５の上面２５ａは針板３５の上面と平行に保
たれる。

又、上下送りカム体２２の主送り台用の上下送
りカム２３の最小偏心部により、主送り台１８が
最大下降する場合には、第９ｂ図に示す如く、該
主送り台は前上がりに傾斜する。

しかしながら、副送り台用の上下送りカム３１
の最小偏心部により、送り調節板３０を介して、
副送り台２６が軸２７を中心として時計方向に回
転することにより、副送り台２６に固着の送り歯
２５の上面２５ａは針板３５の上面と平行に保た
れる。

この上下送りカム２３による、副送り台２６の
回動中心である軸２７の上下動の量と、副送り台
２６が送り調節板３０を介して伝達される上下送
りカム３１による上下動の量とを一致させ、更に
運動位相も一致させることにより、送り歯２５は
針板面３５に対して平行状態を保ちながら上下動
し、水平送りと合成されて好ましい形の運動軌跡
を描き、布を効率よく送ることができる。

（効果） 以上のように本考案によれば、揺動レバータイ
プのミミンの送り機構の主送り台に該主送り台に
対して揺動自在で送り歯を一体的に固着した副送
り台を設け、これらの送り台を夫々別の上下送り
カムにより連係して制御したから、常に送り歯の
上面が針板上面と平行な状態を維持したまま送り
歯を駆動することが簡単な構成で、しかも従来の
ものに比べ送り効率に優れ、布縮みや布ずれ等の
問題が解決できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図から第５図及び第９ａ図と第９ｂ図は本
考案の実施例に係り、第１図はミシンの送り機構
の洋舞を示す平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ矢
視断面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ矢視断面図、
第４図は第２図のＣ−Ｃ矢視断面図、第５図は送
り機構の斜視図、第６図は従来の揺動レバー式の
送り機構を示す図、第７図は送り歯の上面を針板
上面と一致時に平行に調整することの説明図、第
８ａ図は従来の送り機構の送り歯最上位置におけ
る傾きの説明図、第８ｂ図は従来の送り機構にお
ける送り歯最下位置の傾きの説明図、第９ａ図は
本発明の送り機構における送り歯最上位置の傾き
の説明図、第９ｂ図は本発明の送り機構における
送り歯最下位置の傾きの説明図である。 １０は水平送り軸、１７は回動中心のピン、１
８は主送り台、２１は主送り台用の送り調節板、
２３は主送り台用の上下送りカム、２５は送り
歯、２６は副送り台、２７は回動中心の軸、３０
は副送り台用の送り調節板、３１は副送り台用の
上下送りカムである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 水平送り軸上に回動中心を有する主送り台
   と、該主送り台に回動中心を有し送り歯が一体
   的に固着された副送り台と、前記主送り台を上
   下揺動させる主送り台用の上下送りカムと、前
   記副送り台を上下揺動させる副送り台用の上下
   送りカムとを備え、前記２つの上下送りカムを
   連係させて送り歯の上下運動を制御することを
   特徴とするミシンの送り機構。 ２ 主送り台と副送り台には、夫々取付位置を上
   下に調節可能な送り調節板を設けたことを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載のミ
   シンの送り機構。