JPH0214701Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (1) 産業上の利用分野 この考案はバタフライ弁の軸封装置に関するも
のである。

(2) 従来の技術 この種軸封装置として第６図に示すものが知ら
れている。第６図において５１は内周に弁座５２
を有する弁箱、５３は外周に前記弁座５２と摺接
する弁座５４を有する弁体、５５はシール部材、
５６は押え筒であり、これらは弁箱５１の軸受部
５７に弁軸５８の周囲を軸封するように嵌挿され
ている。

(3) 考案が解決しようとする問題点 ところで、前記シール部材５５は弁体弁座５４
にその弁体側端面を摺接させて弁軸５８への液体
の漏洩を防止するようになつているが、該弁体側
端面が弁体５３の開閉に伴なう摺動によつて次第
に摩耗し、弁体弁座５４の摺接面との間に間隙を
生じさせていた。そのため、前記間隙から管路内
を通過する液体が浸入して弁軸５８が腐食してし
まうという問題点があつた。そこで、この考案は
前記のようなシール部材５５の弁体側端面が摩耗
して、弁体弁座５４の摺接面との間に間隙が生じ
ても、該間隙から弁軸に液体が浸入するのを防止
できるようにすることを技術的課題とする。

(4) 問題点を解決するための手段 前記弁体弁座の第１シール部材と摺接する摺接
面の弁軸側周りの一部に円形凹部を設け、この円
形凹部内に、前記第１シール部材と対面する一側
片と、円形凹部の底面と対面する他側片と、該両
側片を弁軸側で連結した連結片とを有する断面略
コ字状で中空環状の第２シール部材を、前記連結
片を弁軸に嵌合して収容し、このシール部材内
に、液体と接することにより膨潤して体積が増大
し、第２シール部材を膨大化して一側片を第１シ
ール部材に、かつ他側片を円形凹部の底面に密接
させる環状の膨潤部材を収容している。

(5) 作用 第１シール部材の弁体側端面が摩耗して、弁体
弁座の摺接面との間に間隙が生じ、該間隙から液
体が浸入すると、膨潤部材がこの液体によつて膨
潤して体積が増大し、円形凹部に充満する。これ
により、第２シール部材の一側片が第１シール部
材に密接し、かつ他側片が円形凹部の底面に密接
するので、前記浸入した液体は第２シール部材に
よつて再びシールされ、弁軸に浸入することがな
くなる。したがつて、弁軸の腐食が、第２シール
部材のシール性が破壊されるまでないので、その
ぶん長期の使用に耐える。

(6) 特有の効果 円形凹部内に収容された第２シール部材、及び
第２シール部材内に収容された膨潤部材は、第１
シール部材の弁体側端面が摩耗しないで、弁体弁
座の摺接面との間に間隙が生じない限り（すなわ
ち、第１シール部材によるシールが確保されてい
るとき）、いずれも膨潤、膨大化しない収縮した
状態にあり、第２シール部材の一側片が第１シー
ル部材に、他側片が円形凹部の底面に密接するこ
とがないから、弁体の開閉作動時に、これら両部
材が摩耗、損傷を受けることはほとんどなく、組
立時の品質をそのままその後の第２シール部材及
び膨潤部材でもつてシール性を発揮するまで維持
できるとともに、第１シール部材のシール性と、
その後の膨潤部材による第２シール部材のシール
性とを継続することから、長期間の使用における
軸封機能を損わずメンテナンスが容易になるとい
う利点がある。

(7) 実施例 第１図において１はバタフライ弁の弁箱、２，
２′は弁箱１の上部及び下部に設けられた軸受部、
３は軸受部２，２′に支持された回転弁軸で、こ
の弁軸３の弁箱内部分には弁体４がピン５によつ
て固着されている。７は弁箱１の内面の接液部に
被覆された防食用のゴムライニング部で、このラ
イニング部７はシール部材として機能する弁座８
を有している。１０は弁体４の外面の接液部に同
様に被覆された防食用のゴムライニング部で、こ
のライニング部１０は前記弁箱弁座８に摺接する
弁座１１を有している。

第２図に示す軸受部２において、１３はブツシ
ユ、１４はパツキン受け、１５は複数枚のパツキ
ン、１６はパツキス押えである。第３図に示す軸
受部２′において１３′はブツシユ、１８はボトム
カバー、１９はジヤツキボルト、２０はナツト、
２１は駒、２２はカバーである。

また第４図において、２４は弁体弁座１１の弁
箱弁座８との摺接面における弁軸３側周りの一部
に形成された円形凹部で、この円形凹部２４内に
は、断面が方形で、かつ液体に接することにより
膨潤して体積が増大する膨潤ゴム材料からなる環
状の膨潤部材２６と、断面がコ字状で中空環状の
シール部材２８とが、膨潤部材２６がシール部材
２８内に配置されて、収容されている。シール部
材２８は弁箱弁座８と対面する一側片２８ａと、
円形凹部２４の底面２９と対面する他側片２８ｂ
と、該両側縁２８ａ，２８ｂを弁軸３側で連結し
た連結片２８ｃから構成され、前記収容に際して
連結片２８ｃが弁軸３に嵌挿される。シール部材
２８の一側縁２８ａは円形凹部２４の底面２９の
幅Ｗより短く、すなわち、その先端と凹部２４の
側面との間に小隙間３０が形成されるようになつ
ている。また、他側縁２８ｂは前記幅Ｗとほぼ同
じ長さを有し、その先端が凹部２４の側面に当接
している。

次に、前記実施例の作用を説明する。

シール部材の機能をもつ弁箱弁座８の弁体側端
面が弁体弁座１１と摺接し、かつ該弁箱弁座８の
弁体側端面が摩耗しないで、弁体弁座１１の摺接
面との間に間隙が生じない状態を示す第４図にお
いて、シール部材２８はその一側片２８ａ，他側
片２８ｂが弁箱弁座８、及び円形凹部２４の底面
２９に密接することがなく、また膨潤部材２６は
シール部材２８内に収縮して収容されている。し
たがつて、前記状態では弁箱弁座８と弁体弁座１
１の摺接によりシールを保ち、弁軸３への液体の
浸入を防止している。

弁体弁座１１に摺接する弁箱弁座８の弁体側端
面が弁体４の開閉に伴なう摺動によつて次第に摩
耗し、弁体弁座１１の摺動面との間に間隙が生じ
ると、該間隙から管路内の液体が小隙間３０を経
て円形凹部２４内に浸入する。この液体の浸入に
より、膨潤部材２６が膨潤して体積が増大し、円
形凹部２４に充満する。これにより、シール部材
２８が膨大化し、シール部材２８の一側片２８ａ
が弁箱弁座８に、かつ他側片２８ｂが円形凹部２
４の底面２９に密接することになる（第５図参
照）。したがつて、液体はシール部材２８により
それ以上弁軸３側に浸入することができなくな
り、再びシールされた状態となる。前記のよう
に、弁箱弁座８の弁体側端面が摩耗してシール機
能を果せなくなつたとき、シール部材２８がこれ
に代わつてシール機能を果たし、該シール部材２
８のシール性が破壊されるまで弁軸３への液体の
漏洩を確実に防止するので、長期に亘る安全で確
実なシールが維持できる。

前記においては、弁箱１の内面の接液部、及び
弁体４の外面の接液部が、防食用のゴムライニン
グ部７，１０により被覆されているので、このバ
タフライ弁を腐食性液体管路に使用するに際し
て、さらに防食被覆施行する必要がなく、そのま
ま該管路に設置できる。

前記実施例においてシール部材２８、膨潤部材
２６の形状、構造は一例を示したにすぎず、図示
したもの以外の任意の形状、構造とすることを妨
げるものではない。その他、細部の設計も実用新
案登録請求の範囲に記載した要旨を逸脱しない限
り任意に変更、修正できることは言う迄もない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す全閉状態の縦
断正面図、第２図は第１図Ａ部の拡大断面図、第
３図は第１図Ｂ部の拡大断面図、第４図は要部の
拡大断面図、第５図は作用を説明するための第４
図と対応する拡大断面図、第６図は従来例の要部
縦断側面図である。 １……弁箱、２，２′……軸受部、３……弁軸、
４……弁体、７，１０……ゴムライニング部、８
……弁箱弁座、１１……弁体弁座、２４……円形
凹部、２６……膨潤部材、２８……シール部材、
２８ａ……一側片、２８ｂ……他側片、２８ｃ…
…連結片、２９……底面、３０……小隙間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弁箱の軸受部で支持された弁軸に、該弁軸の周
   りを軸封する環状の第１シール部材を、その弁体
   側端面を弁体弁座に摺接してなるバタフライ弁に
   おいて、前記弁体弁座の第１シール部材と摺接す
   る摺接面の弁軸側周りの一部に円形凹部を設け、
   この円形凹部内に、前記第１シール部材と対面す
   る一側片と、円形凹部の底面と対面する他側片
   と、該両側片を弁軸側で連結した連結片とを有す
   る断面略コ字状で中空環状の第２シール部材を、
   前記連結片を弁軸に嵌合して収容し、このシール
   部材内に、液体と接することにより膨潤して体積
   が増大し、第２シール部材を膨大化して一側片を
   第１シール部材に、かつ他側片を円形凹部の底面
   に密接させる環状の膨潤部材を収容したことを特
   徴とするバタフライ弁の軸封装置。