JPH0212630B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は化粧料を入れるコンパクト容器など
の合成樹脂製物品のうち、その一部または全部に
加飾面を有する合成樹脂製物品の製造方法に関す
るものである。

一般に合成樹脂製物品、例えばコンパクト容器
はその用途上、意匠性および装飾性に優れたもの
であるこが重要視されるため、その一部または全
部に種々のメタリツク模様や文字、図柄などを施
こして加飾面を形成している。近年、上記のよう
な加飾面の装飾は、増々その新規性、美麗性を協
う方向にあり、独得で印象深く美しいものが要求
されているのが現状である。

この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、
合成樹脂製物品の一部または全部にメタリツクな
表面を付与するとともにその表面に文字、図柄な
どの凸状のパターンおよびこのパターン以外の部
分にシボを設けて加飾部を形成し、この加飾部の
パターンの上部平坦面上にホツトスタンピングな
どにより光揮性のある着色層を形成し、その上に
加飾部の表面全体を被覆する透明なトツプコート
層を形成して、文字、図柄などのパターンが全面
反射により光輝性を帯び、緑がシヤープに見え、
パターンが鮮やかに浮び上がつて見え、さらにシ
ボ部分が乱反射により美しい虹彩輝を呈し、その
ため上記パターンがより鮮明に見える加飾面を有
する合成樹脂製物品の製造方法を提供することを
目的とするものである。

以下、第１の発明の一実施例を合成樹脂製物品
として第１図に示すようなコンパクト容器を例に
とつて説明する。このコンパクト容器はABS、
スチロール、アクリル樹脂などの熱可塑性合成樹
脂を材料として射出成形などの方法により一体成
形されるものである。このコンパクト容器の蓋部
１の上面部分に加飾部２を形成する。この加飾部
２は蓋部１と一体としてもよいし、別途成形して
蓋部１の上面部分に接着剤などにより固着するよ
うにしてもよい。この加飾部２はメタリツクな表
面を有し、その表面上に文字や図柄などの凸状の
パターン（図ではＫという文字）３およびこのパ
ターン３以外の部分にこのパターン３より高さの
低い凹凸状のシボ４を有するように形成したもの
である。次にこの加飾部２のパターン３の上部平
坦面にホツトスタンピングにより異色透明な着色
層５を形成する。そして、この上に加飾部２の表
面全体を被覆する透明なトツプコート層６を形成
して、新規で独得な美しさを持つ加飾面を形成す
るのがこの実施例の概要である。

次に上記各構成部分において、この実施例をさ
らに詳しく説明する。

上記加飾部２は次のようにして形成する。

まず、第３図および第４図に示すように、合成
樹脂製の基板７を上記コンパクト容器１と一体ま
たは別途成形で形成する。この基板７の表面には
パターン８およびシボ９を形成しておく。次に、
この基板７上にベースコート層１０を形成する。
このベースコート層１０上に真空蒸着法によりア
ルミニウム蒸着層（金属層）１１を形成する。最
後に、この金属層１１上に透明もしくは着色半透
明なオーバーコート層１２を形成して上記加飾部
２が出来上がる。

上記異色透明な着色層５は、第５図に示すよう
に、透明着色層１３およびこの透明着色層１３と
異色の透明着色層１４とからなるもので、第６図
に示すように、ポリエステルフイルム１５上に付
着させた透明着色層１３および１４をホツトスタ
ンピング装置によつて上記パターン３の上部平坦
面のオーバーコート層１２上に転写して形成する
ものである。

上記トツプコート層６はウレタン系樹脂、紫外
線硬化タイプのアクリル樹脂などの表面保護性の
高い樹脂によつて構成するものである。

上記のようにして形成されたコンパクト容器
（合成樹脂製物品）においては、パターン３が凸
状に形成されており、このパターン３上に異色透
明な着色層５が形成されているので、パターン３
の縁がシヤープに見え、パターン３が全反射によ
り光輝性を有し、色鮮やかに立体的に見える。ま
た、シボ４が設けられていることにより、パター
ン３以外の部分が乱反射し虹様の色彩を呈し美し
く見えると同時にパターン３がさらに際立つて見
える。

従つて、上記第１の実施例の方法によれば、使
用者に新規で美しく独得な印象を与えることので
きるコンパクト容器を製造することができる。

第７図は第１の発明の他の実施例の要部を示す
もので、第１図ないし第６図と共通する部分には
第１図ないし第６図と同一符号を付し説明を簡略
化する。この実施例においては、加飾部２のパタ
ーン３上に形成する異色透明な着色層５の形成方
法が異なるだけで他の部分の形成方法は上記第１
の実施例と同様である。この実施例における異色
透明な着色層５は、第７図に示すように前記オー
バーコート層１２の上にスクリーン印刷などによ
り着色透明な印刷層１６を設け、この印刷層１６
上にホツトスタンピングにより透明着色層１４を
設けて形成する。この後は前記同様、この異色透
明な着色層５の上に加飾部２の表面全体に表面保
護性の高い透明なトツプコート層を被覆形成す
る。

上記の実施例のようにして、コンパクト容器を
形成しても、上記第１の実施例と同様の効果を得
ることができる。

第８図はこの発明の加飾面を有する合成樹脂製
物品の製造方法の他の製造方法の要部を示すもの
である。図中符号１７は加飾部を示すもので、こ
の加飾部１７は上記２つの実施例の加飾部２と同
様にコンパクト容器の蓋部１と一体としてもよい
し、別途成形して蓋部１の上面部分に接着剤など
により固着するようにしてもよいものである。こ
の加飾部１７は魚リン、薄片状のビスマス塩、雲
母やアルミニウム粉末などの顔料を混合してメタ
リツクな外観を有する合成樹脂やポリマーブレン
ドにより得られるパール状の外観を有する合成樹
脂から構成し、その表面に文字や図柄などの凸状
のパターン１８およびこのパターン１８以外の部
分にシボ１９を設けて形成する。この加飾部１７
のパターン１８上にホツトスタンピングにより着
色光輝層２０を形成する。最後にこの上に上記２
つの実施例と同様にウレタン系樹脂、紫外線硬化
タイプのアクリル樹脂などの表面保護性の高い樹
脂によつて透明なトツプコート層６を被覆、形成
する。

上記着色光輝層２０は、第９図に示すように、
順次積層した接着層２１、金属層２２、異色透明
な着色層２３とからなるもので、第１０図に示す
ように、ポリエステルフイルム２４上に順次異色
透明な着色層２３、金属層２２、接着層２１を積
層、付着させたものをホツトスタンピング装置に
よつて上記パターン１８の上部平坦面上に転写し
て形成するものである。

このようにして、コンパクト容器を形成して
も、前記２つの実施例と同様の効果を得ることが
できる。

なお、上記各実施例では加飾部をコンパクト容
器の蓋部分の上に形成したが、他の部分または全
体に形成してもよい。このようにすれば、それぞ
れの場所による独得な装飾効果を得ることができ
る。

また、上記各実施例では、この発明をコンパク
ト容器に適用したが、他の容器や家具の飾り扉な
ど他の合成樹脂製物品にも適用することが可能で
ある。

以上説明したように、この発明によれば、文
字、図柄などのパターンが光輝性を帯び、パター
ンの縁がシヤープに見え、パターンが鮮やかに浮
び上がつて見え、さらにシボ部分が光の回折によ
り美しい虹彩輝を呈し、そのためパターンがさら
に鮮明に見えるなど新規で独得な美しい加飾面を
有する合成樹脂製物品を得ることができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図は第１の発明の一実施例を
説明するためのもので、第１図は加飾面を有する
コンパクト容器の斜視図、第２図は加飾部分の正
面図、第３図は同加飾部分の側断面図、第４図は
第３図部分の拡大断面図、第５図は第３図部
分の拡大断面図、第６図は異色透明な着色層のホ
ツトスタンピングによる形成方法を説明するため
の図、第７図は第１の発明の他の実施例を説明す
るための要部の断面図、第８図ないし第１０図は
第２の発明の一実施例を説明するためのもので、
第８図は加飾部分の側断面、第９図は第８図部
分の拡大断面図、第１０図は着色光輝層のホツト
スタンピングによる形成方法を説明するための図
である。 ２……加飾部、３……パターン、４……シボ、
５……異色透明な着色層、６……トツプコート
層、７……基板、８……パターン、９……シボ、
１０……ベースコート層、１１……金属層、１２
……オーバーコート層、１３，１４……着色層、
１６……印刷層、１７……加飾部、１８……パタ
ーン、１９……シボ、２０……着色光輝層、２１
……接着層、２２……金属層、２３……異色透明
な着色層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 表面に上面が平坦な文字、図柄などの凸状の
   パターンとこのパターン以外の部分にこのパター
   ンよりも高さの低い凹凸状のシボを有する合成樹
   脂製の基板を形成し、この基板上にベースコート
   層を形成し、このベースコート層上に真空蒸着法
   などにより金属層を形成し、この金属層上にオー
   バーコート層を形成してなる加飾部を合成樹脂製
   物品の一部または全部に形成し、この加飾部のパ
   ターンの上部平坦面上にホツトスタンピングによ
   り異色透明な着色層を形成し、その上に加飾部の
   表面全体を被覆する透明なトツプコート層を形成
   することを特徴とする加飾面を有する合成樹脂製
   物品の製造方法。 ２ 加飾部のパターンの上部平坦面上に形成する
   異色透明な着色層を加飾部のパターンの上部平坦
   面上に印刷層を形成し、この印刷層上にホツトス
   タンピングにより着色層を形成することにより形
   成する特許請求の範囲第１項記載の加飾部を有す
   る合成樹脂製物品の製造方法。 ３ パール顔料、金属粉を含有するか、または異
   種の樹脂をブレンドしてなるメタリツクな表面を
   有する合成樹脂により表面に上面が平坦な文字、
   図柄などの凸状のパターンとこのパターン以外の
   部分にこのパターンよりも高さの低い凹凸状のシ
   ボを有する加飾部を合成樹脂製物品の一部または
   全部に形成し、この加飾部のパターンの上部平坦
   面上に、接着層、金属層、異色透明な着色層を順
   次積層してなる着色光輝層をホツトスタンピング
   により形成し、その上に加飾部の表面全体を被覆
   する透明なトツプコート層を形成することを特徴
   とする加飾面を有する合成樹脂製物品の製造方
   法。