JPH018664Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はカムシヤフトとバランサを、チエンを
介してクランクシヤフトで駆動するタイプのエン
ジンにおけるチエンガイド装置に関する。

（従来技術） 近来エンジンのクランクシヤフトとカムシヤフ
トとを連結するカムシヤフト駆動用チエンとして
サイレントチエンが使用される場合が多くなつて
きている。ところがサイレントチエンは従来のチ
エンに比べてスプロケツトに対する噛込みが浅い
という不具合がある。即ち第１図に示すようにチ
エン１の各ブロツク２は、スプロケツト３を両側
から挟むように配置される２枚のリンクプレート
４（１枚のみ図示）と、両プレート４間において
インボリユート状凹部５を有する複数枚のリンク
プレート６とが、各ブロツク２を連結するピン
７，７によつて重ね合わされて形成されている。
図示するように凹部５にはスプロケツト３のイン
ボリユート状の外歯８が噛み込んでおり、この噛
合によつて従来のチエンに比べて騒音を低く抑え
ることができる反面、噛合が浅くなる不具合があ
る。そのためサイレントチエン１はテンシヨナで
張力を与えない場合、例えばバルブクリヤランス
調整時等にクランクを空転させるような場合に歯
飛びを起こし易いという問題を有している。

そこで従来は、第２図のような構成が採用され
ている。第２図においてクランクケース１０には
クランクシヤフト１１が回転自在に支持され、シ
ヤフト１１にスプロケツト３が一体に形成されて
いる。スプロケツト３にはサイレントチエン１が
架けられ、チエン１の外周側には飛越し防止用の
専用ガイド部１２が配置されている。第２図の実
施例ではガイド部１２はケース１０から素材（主
にアルミ鋳物）を延長することにより一体に形成
されている。又別の従来例として、鈑金等より成
る専用のガイド部をケース１０に固着するように
なつているものも知られている。

しかしながら上記従来の構成では、サイレント
チエン１の飛越し防止のためだけに専用のガイド
部を設けなければならず、そのため構造が複雑に
なつたり、重量増加を招来する弊害がある。

（考案の目的） バランサ駆動用チエンガイドがカムシヤフト駆
動用チエンのガイドを兼ねるようにして構成を簡
素化し、エンジン組立性の向上及び重量軽減を図
る。

（考案の構成） 本考案はカムシヤフト駆動用スプロケツト２５
とバランサ駆動用スプロケツト２６が、クランク
シヤフト２１上に隣接状態で固設されているエン
ジンにおいて、カムシヤフト駆動用スプロケツト
２５の近傍のクランクケース２０上にチエンガイ
ド２９を固定し、このチエンガイド２９に、バラ
ンサ駆動用チエン２８のスプロケツトとの噛合部
をわずかな隙間を隔てて覆う飛越し防止用ガイド
部と、カムシヤフト駆動用チエン２７のスプロケ
ツトとの噛合部をわずかな隙間を隔てて覆う飛越
し防止用ガイド部とを設けて、両スプロケツト歯
面での両チエンの飛び越しを不能にしたことを特
徴とするエンジンのチエンガイド装置である。チ
エンガイド２９がカムシヤフト駆動用チエン２７
とバランサ駆動用チエン２８のばたつきと飛越し
を防止する。

（実施例） 本考案によるチエンガイド装置を採用したエン
ジンのクランクシヤフト近傍を示す第３図におい
て、コンロツド２２が回転自在に支持されるクラ
ンクシヤフト２１はクランクケース２０に軸受２
３を介して支承されている。シヤフト２１のケー
ス２０外に突出する部分には筒状のボス２４が嵌
合固着されており、ボス２４の外周面には２つの
スプロケツト２５，２６が中心線Ｏ−Ｏ方向の間
隔を隔てて一体に形成されている。クランクシヤ
フト２１の先端側のスプロケツト２５は他方のス
プロケツト２６よりも歯の突出量が小さく、スプ
ロケツト２５には上記サイントチエン１（第１
図）と同一構造を有するカムシヤフト駆動用チエ
ン２７が架けられている。又スプロケツト２５は
上記スプロケツト３（第１図）と同様にインボリ
ユート状の歯を有している。他方のスプロケツト
２６には通常のプツシユドチエンより成るバラン
サ駆動用チエン２８が架けられている。更にチエ
ン２８をわずかな間隔を隔てて囲むように、プレ
ス成型された鈑金製のチエンガイド２９がチエン
長手方向に延在して配置され、ガイド２９に形成
されたブラケツト３０がボルト３１によつてクラ
ンクケース２０に固着されることでガイド２９は
所定位置に固定されている。ガイド２９のチエン
２８側の面にはチエン２８に沿つて延在する板状
ゴム３２（飛越し防止用ガイド部）が固着されて
おり、チエン２８とゴム３２との間にはわずかな
クリヤランスが設けられている。又ガイド２９は
中心線Ｏ−Ｏ方向にスプロケツト２５側へ延長さ
れ、その先端部がチエン２７側へ直角に屈曲され
ることにより壁部３３（飛越し防止用ガイド部）
が形成されている。壁部３３のチエン２７側先端
はチエン２７に沿うように形成され、チエン２７
との間には略一定のクリヤランスＣが設けられて
いる。クリヤランスＣはチエン２７とスプロケツ
ト２５との噛合深さ等を考慮してスプロケツト２
５からチエン２７が外れてしまわない程度（例え
ば約２mm）に設定される。

第４図に示すように、バランサ駆動用チエン２
８はその外側がクランクシヤフト２１側に架けら
れると共に、その内側が２つのバランサ（図示せ
ず）を回転させるバランサ駆動用スプロケツト３
５，３６及びアイドラスプロケツト３７に架けら
れることにより、クランクシヤフト２１とバラン
サとを連結している。チエンガイド２９はクラン
クシヤフト２１近傍のチエン２８部分を内側から
略Ｌ字形にガイドしており、スプロケツト３６側
のブラケツト３０ａには先端部にガイド用ゴム３
８が固着されて反対側に配置されるチエン２８部
分を内側からガイドしている。ゴム３８に対向す
る部分にはチエン２８を外側からガイドするガイ
ド部材３９が配置され、ゴム３８とガイド部材３
９とによつて両スプロケツト３６，３７間にある
チエン２８のばたつきを防止するようになつてい
る。なおチエンガイド２９の壁部３３はガイド２
９の本体部分の形状に従つてＬ字形に形成されて
おり、中央部に形成された円弧部分がスプロケツ
ト２５と同心に形成されることによつてチエン２
７を外周側からクリヤランスＣを隔ててガイドし
ている。

次に作動を説明する。エンジンが始動するとク
ランクシヤフト２１は例えば第４図の矢印X₁方
向に回転し、ボス２４を介してスプロケツト２５
及びスプロケツト２６（第３図）が一体的に回転
する。この回転によりチエン２７は矢印X₂方向
に循環して図示しないカムシヤフトを駆動すると
共に、チエン２８は矢印X₃方向に循環して図示
しないバランサに連動する各スプロケツト３５，
３６を駆動する。

エンジン作動時には、チエンガイド２９及びそ
れに固着されたゴム３２（第３図）がクランクシ
ヤフト２１近傍のチエン２８のばたつきを防止
し、又ゴム３８とガイド部材３９によつて両スプ
ロケツト３６，３７間のチエン２８のばたつきが
防止される。

一方チエンガイド２９の壁部３３がわずかなク
リヤランスＣを介して、スプロケツト２５に架か
るチエン２７部分を取り囲んでガイドしているこ
とから、チエン２７が歯飛びをおこしてカムタイ
ミングが狂つてしまうことはない。特にチエン２
７に対してテンシヨナで張力を与えない場合、例
えばバルブクリヤランス調整時等にクランクシヤ
フト２１を空転させるような場合でも、チエン２
７は歯飛びを生じることはない。

なおエンジン組立の際には、第３図の各スプロ
ケツト２５，２６に各チエン２７，２８を架けた
後に、チエンガイド２９をボルト３１でケース２
０に固定すれば、同時に両チエン２７，２８のガ
イドを完了することができる。

（考案の効果） バランサ駆動用チエンガイドがカムシヤフト駆
動用チエンのガイドを兼ねるので、構成が簡素化
し、エンジン組立性の向上及び重量軽減を図るこ
とができる。

（別の実施例） (a) チエンガイド２９を樹脂製としてもよく、又
アルミダイキヤストでクランクケース２０と一
体に形成してもよい。

(b) ゴム３２を省略して、チエンガイド２９で直
接にチエン２８をガイドするようにしてもよ
い。

(c) 壁部３３は第４図のように長く延在している
必要はなく、スプロケツト２５に対応する部分
にチエン２７の１〜２リンク分に相当するだけ
の長さがあれば足りる。

(d) 壁部３３のチエン２７側先端を曲げる等し
て、当りが滑らかになるようにしてもよい。

(e) チエン２７としては、チエン２８のような通
常のチエンを採用してもよく、又タイミングベ
ルト状のチエンを採用することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的なサイレントチエンの側面部分
図、第２図は従来のチエンガイド装置の縦断面
図、第３図は本考案によるチエンガイド装置の縦
断面図、第４図は第３図の視図である。 ２１……クランクシヤフト、２５，２６……ス
プロケツト、２７……カムシヤフト駆動用チエ
ン、２８……バランサ駆動用チエン、２９……チ
エンガイド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カムシヤフト駆動用スプロケツト２５とバラン
   サ駆動用スプロケツト２６が、クランクシヤフト
   ２１上に隣接状態で固設されているエンジンにお
   いて、カムシヤフト駆動用スプロケツト２５の近
   傍のクランクケース２０上にチエンガイド２９を
   固定し、このチエンガイド２９に、バランサ駆動
   用チエン２８のスプロケツトとの噛合部をわずか
   な隙間を隔てて覆う飛越し防止用ガイド部と、カ
   ムシヤフト駆動用チエン２７のスプロケツトとの
   噛合部をわずかな隙間を隔てて覆う飛越し防止用
   ガイド部とを設けて、両スプロケツト歯面での両
   チエンの飛び越しを不能にしたことを特徴とする
   エンジンのチエンガイド装置。