JPH0159647B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

この発明は、磁気記録媒体に関するものであ
り、その目的とするところは、強磁性粉末の分散
性に優れる磁気記録媒体を提供することにある。 磁気記録体は、通常、強磁性粉末、結合剤、溶
剤および必要に応じて、他の添加剤からなる磁性
塗料をポリエステルフイルムなどの非磁性基体に
塗着してつくられる。強磁性粉末としては、従来
より用いられている酸化鉄系微粉末、および近
年、その飽和磁化及び保磁力が高いため、磁気記
録密度の向上、再生出力の向上を目的に用いられ
はじめた金属粉末等がある。溶剤としては、トル
エン、メチルエチルケトン（MEK）、メチルイソ
ブチルケトン（MIBK）、イソプロピルアルコー
ル、シクロヘキサノン等の一種又は二種以上の混
合物が一般に用いられる。他の添加剤としては、
分散剤、研磨剤、充填剤、帯電防止剤、防錆剤等
が必要に応じて用いられる。分散剤は強磁性粉末
を被覆して用いる場合もある。結合剤について
は、強磁性粉末の分散性の面で、磁気記録媒体の
特性上、極めて重要な働きを担つている。それ故
強磁性粉末の分散性が良好で磁気記録媒体に高感
度、高SN比などの優れた電磁気特性を付与でき
るものを選定する必要がある。これらの背景から
現在実際に使用されている結合剤の代表として、
塩化ビニル系共重合体樹脂およびポリウレタン系
樹脂の２種類がある。 しかるに塩化ビニル系共重合体樹脂の場合、強
磁性粉末を分散させる能力については比較的優れ
ているがなお充分でない。一方ポリウレタン系樹
脂においては、走向特性並びに耐久性の面では優
れているが、強磁性粉末に対する分散性が劣り、
結果として感度、SN比などの電磁気特性の悪化
をまねいている。 本発明は、従来の樹脂を用いた場合に生ずるこ
れらの欠点を克服するためになされたものであつ
て、分散性が優れた結合剤を含む磁気記録媒体を
提供することを目的とする。 即ち、本発明は、非磁性基体上に強磁性粉末及
び結合剤を含む磁性層を設けた磁気記録媒体にお
いて、該結合剤成分がポリカプロラクトンポリオ
ール、ジアミン及びイソシアネートからなる共重
体をその硬化剤で架橋してなる架橋体を主成分と
するものである。 本発明で使用する共重合体の製造原料である前
記ポリカプロラクトンポリオール（以下「PC」
と略記する。）は分子量及び末端水酸基の数に特
に制約はなく、市販されているものをそのまま使
用することができる。例えばダイヤル社製
Placcel（同社商標）、UCC社製NIAX PCP（同社
商標）などが挙げられる。 前記ジアミン（以下「DI」と略記する。）とし
ては、一級アミノ基を１個もしくは２個有する化
合物又は二級アミノ基を２個有するものであれば
よく、中でもフエニレンジアミン、アルキレンジ
アミンなどが好ましい。 前記イソシアネート（以下「IS」と略記する。）
としては、トリレンジイソシアネート、ジフエニ
ルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネートなど一般的なイソシアネート化合物
を使用することができる。 前記共重合体の製造方法は、具体例を実施例に
示すが、特に限定されるものではなく、溶液重
合、乳化重合等公知の方法を採用することができ
る。 前記共重合体の製造において使用するPC、DA
及びISの割合は、これらの合計量に対してPCが
20〜80重量％、DAが10〜40重量％、ISが10〜40
重量％とするのがよい。 前記共重合体と共に強磁性粉末と混合され、該
共重合体の硬化剤としての役割をもつものとして
は、ポリイソシアネート（以下「PIS」と略記す
る。）とエポキシ樹脂を挙げることができる。硬
化反応が早い点で前者が好ましい。 PISとして、例えばトリメチロールプロパン１
モルとトリレンジイソシアネート３モルとの反応
物である三官能性低分子量イソシアネート化合物
等があげられる。該反応物は、バイエル社からは
商品名「デスモジユールＬ」として、日本ポリウ
レタン工業(株)からは商品名「コロネートＬ」とし
て市販されている。 PISの前記共重合体への混入量は、多すぎると
最終的に得られる塗膜が脆くなり、少な過ぎると
耐溶剤性等に問題が生じるので、該共重合体100
重量部に対し５〜30重量部が適当である。 本発明における前記強磁性粉末としては、特に
限定されず、たとえばγ−Fe₂O₃、Co−γ−
Fe₂O₃、CrO₂、金属鉄、コバルト、ニツケル、
銅、クロム、けい素等の鉄合金等を挙げることが
できる。 結合剤を溶剤に溶解し、これに強磁性粉末を添
加、混合して分散させれば、磁性塗料を得るが、
結合剤と強磁性粉末の添加順、分散手段等は何ら
限定されない。次に、本発明を実施例につき更に
詳細に説明するが本願発明はこれらに限定される
ものではない。 実施例 撹拌棒、凝縮器、滴下装置、窒素吹込管、温度
計を備えた反応容器を用いる。 まず反応器を50℃に加温し、窒素置換をし、ジ
フエニルメタンジイソシアネートを10重量部およ
び平均分子量1250のポリカプロラクトンジオール
を25重量部添加し、内容物を撹拌しながら窒素雰
囲気下80℃、４時間反応を行なう。反応終了後50
℃まで冷却し、ジメチルフオルムアマイド28重量
部を添加し30分撹拌し、均一に溶解させる。一方
ジメチルフオルムアマイド28重量部にビスアミノ
プロピルピペラジン９重量部を溶解させたものを
調整し、前記反応生成物に添加し撹拌しながら窒
素雰囲気下50℃、２時間反応させ、反応後室温ま
で冷却させる。得られた反応物の樹脂濃度は44重
量パーセントであつた。この反応生成物を用い、
表１に示す如く、硬化剤と共に各種の強磁性粉末
を種々変えた場合の各種配合により、ボールミル
を用い、48時間混合分散し磁性塗料を調整した。
又この塗料を公知の方法にて、厚さ12μのポリエ
ステルフイルム基体上に塗布した後、80℃で30分
乾燥・硬化処理して厚さ4μの磁性層を形成せし
め、巾10mmに裁断して磁気テープを作つた。 比較例 実施例の配合組成物のうち、本発明における結
合剤に代えて、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニル
アルコール共重合体（UCC社製；商品名：
VAGH；樹脂分100％）又はポリウレタン樹脂
（日本ポリウレタン工業(株)製；商品名：ニツポラ
ン2304；樹脂分35重量パーセント）をおのおの使
用した以外は、実施例と全く同様の方法で磁気テ
ープを作製した。 配合表は表２にまとめて示す。但し実施例と対
比する為に結合剤及び溶剤の量を合わせてある。

【表】

【表】 実施例および比較例において得られた磁気テー
プの磁気特性並びに光沢度のデータを表３にまと
めて示す。この表から磁性粉として、γ−
Fe₂O₃、Co−γ−Fe₂O₃及びFe合金を用いた場合
のいずれにおいても磁気特性（残留磁束密度
（Br）、角形比（Br／Bm））および表面光沢性に
おいて、高分散性記録媒体としての本発明による
磁気テープの優秀性が明らかである。

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 非磁性基体上に強磁性粉末および結合剤を含
   む磁性層を設けた磁気記録媒体において、該結合
   剤成分がポリカプロラクトンポリオール、ジアミ
   ン及びイソシアネートからなる共重合体をその硬
   化剤で架橋してなる架橋体を主成分とすることを
   特徴とする前記磁気記録媒体。 ２ 前記架橋体が、前記硬化剤としてポリイソシ
   アネートを使用したものであることを特徴とする
   第１項記載の磁気記録媒体。 ３ 前記架橋体が、前記硬化剤としてエポキシ樹
   脂を使用したものであることを特徴とする第１項
   記載の磁気記録媒体。