JPH0154021B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明はスパゲツテイの缶詰に関する。 〔従来の技術〕 スパゲツテイを家庭で調理する場合と同一条件
でゆで上げた後スパゲツテイ用ソース（ミートソ
ース等）を付着させたものを缶に充填巻締め加熱
細菌する場合は、缶内のスパゲツテイは加熱時に
スパゲツテイが膨潤し柔くなり、また粘着性が増
大して、開缶時にはうどんのように太くなり、ま
た団子状にかたまり、スパゲツテイ特有の旨味と
テクスチユアが失われしまうので、従来スパゲツ
テイの缶詰を製造することは不可能と考えられて
いた。 このような課題を解決するため、特開昭48−
19744号においては、スパゲツテイを10分前後茹
上げ、清水で洗滌して充分に水切りした後、食用
油で数分間いためて含有水分を重量で55〜60％と
し、このスパゲツテイに少量の寒天溶液又は同効
質材を混入したソースを均一に付着させ、之を缶
に詰め巻締め後、常法により加熱殺菌することを
特徴としたスパゲツテイ缶詰の製造方法が開示さ
れている。この方法によれば、数分の油いために
より含有水分を55〜60％とすることによりスパゲ
ツテイの膨潤を防止し、かつスパゲツテイの表面
に付着したソース中の寒天溶液、アルギニン酸溶
液等の作用によりスパゲツテイどうしの付着を防
止しようとするものである。 〔発明が解決しようとする課題〕 上記特開昭48−19744号の方法によれば、スパ
ゲツテイどうしの付着を防止するためソースに寒
天溶液等を混入したソースをスパゲツテイに均一
に付着させ缶に充填しているが、この方法による
と、スパゲツテイの膨潤、付着は防止できたとし
ても、開缶して喫食する際にソースがぱさつき、
家庭や料理店で食べるものと同様のソースの旨味
や汁気が失われるおそれがある。 本発明の目的は、家庭や料理店で食べるものと
同様の旨味とテクスチユア、汁気を損わないソー
ス付きスパゲツテイの缶詰を提供することを目的
とする。 〔課題を解決するための手段および作用〕 本発明者らは、研究と実験を重ねた結果、スパ
ゲツテイの水分含量が一定範囲になるようにゆで
た後、ソースその他の液汁分を一切加えずに缶詰
とすることにより、上記目的を達成しうることを
発見し、本発明に到達したものである。 すなわち本発明のスパゲツテイの缶詰は、ゆで
たスパゲツテイの水を切つた後油でいため総量比
での水分含量を約61％としたスパゲツテイをソー
スを付着することなく包装用缶に充填密封し殺菌
してなる缶詰と、これとは別体の包装容器に充填
したソースとの組合せよりなるものである。 本発明にかかるスパゲツテイの缶詰は、ゆで上
つた状態での水分含量61％の存在により、殺菌時
にたとえば117℃、30分の条件において固形分か
ら出る水蒸気が伝熱媒体となつて充分な殺菌が行
われ、しかる後水分は固形分中に浸み込み余剰液
分を缶内に残すことがないので、缶内に保存中に
スパゲツテイが缶内の他の水分を吸収して膨潤す
ることがなく、ゆで上つた時と同じのテクスチユ
アと旨味がそのまゝ保存される。 本発明は、上記のとおり、スパゲツテイをゆで
上つた状態で缶に充填密封し、スパゲツテイ自体
に含まれる水分の一部を加熱により水蒸気化する
ことによつて殺菌を行うことを特徴とするもので
あるから、その水分含量は重要である。本発明に
おいて、麺類の水分含量は総量比で約61％とす
る。本発明のスパゲツテイの缶詰においては、ソ
ース等他の液汁分をいつさい加えないので水分含
量が60％未満では殺菌時の缶内水蒸気量が不足し
殺菌不良を生じるおそれがあり、また62％以上で
はスパゲツテイが膨潤していわゆる「のびた」状
態となり、旨味とテクスチユアを害するおそれが
あり、また粘着力が増して団子状となるおそれが
あるので上記水分含量とすることが必要である。 水分含量が上記になるようにスパゲツテイをゆ
でるために要する時間は約12分間が適当な蒸煮時
間である。 スパゲツテイを熱湯中でゆでた後水中で冷却
し、水を切つた後適宜の包装用缶（たとえば５号
ラツカー缶）に充填し、適宜の真空度（たとえば
60cm）で密封後115〜120℃、35〜25分加熱殺菌す
る。スパゲツテイの水を切つた後少量の油でいた
めることによつてスパゲツテイが固まつてほどき
にくくなることを防止することができる。 スパゲツテイ用のミートソース等のソースはス
パゲツテイの缶詰とは別体の缶や箱、カツプ袋等
の包装容器に充填、密封し殺菌する。ソースの調
理方法および充填および殺菌方法については特に
限定はなく常法により行われる。 〔実施例〕 以下の実施例１は本発明にかかるスパゲツテイ
の缶詰にかかるものである。実施例１について
は、内容物、水分含量、蒸煮時間、缶種、肉詰
量、殺菌温度、殺菌時間を次表のとおりとして缶
詰を得た。また缶詰を開缶し、ザルに入れ熱湯中
に数秒間浸漬し、冷水をかけた後後述の実施例に
かかるソースとともに食味した20パネルによる開
缶評価を同表右端に示す。

〔発明の効果〕

上記の説明から明らかなように、本発明によれ
ば、ゆでたスパゲツテイを油でいためて、その総
量比での水分含量が約61％になるようにした後、
ソースを付着することなく包装用缶に充填密封し
殺菌することにより、次の諸効果を生じる。 (1) ゆでたスパゲツテイが含有する水分のみによ
り殺菌が行われ缶内に他の液汁分が残存しない
ので、スパゲツテイがのびることがなく、ゆで
た状態でのスパゲツテイの旨味とテクスチユア
がそのまゝ保存される。 (2) ソースはいかなる形でもスパゲツテイに付着
しておらず別体の容器に入れてあるので、ソー
スから出る水分によつてスパゲツテイが膨脹す
ることなく、またソース自体に特殊な加工を施
す必要がないのでソースの旨みや水分が損われ
ることがない。 (3) 開封後熱湯によるもどし等の手間と時間を必
要とせず、ただちに喫食することができ、屋内
のみならず、車内、行楽地等においても簡便容
易に喫食することができ、しかも長時間保存す
ることができる。 (4) 袋詰のスパゲツテイ類と異り、外圧を受けて
もつぶれたり変形することがなく、保形性が良
いから、運搬の際に便利である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ゆでたスパゲツテイの水を切つた後油でいた
   め総量比での水分含量を約61％としたスパゲツテ
   イをソースを付着することなく包装用缶に充填密
   封し殺菌してなる缶詰と、これとは別体の包装容
   器に充填したソースとの組合せよりなるソース付
   きスパゲツテイの缶詰。