JPH0144533B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、シートリフタ、特にシートクツシ
ヨンとシートバツクを個別にリフトするシートリ
フタに関する。シートリフタは、運転者に最適な
姿勢を与えるためフロアに対しシート特にシート
クツシヨンを昇降させるために用いる。

従来のシートリフタの例を第１図に示す。この
例は、シート下方のフレーム１の前部に前方リン
ク２を枢支し、該フレーム１の後部に後方リンク
３を枢支させ、両リンク２，３をトルク伝達リン
ク４で連結し、平行リンクを構成する。シートフ
レーム５の前後部を両リンク２，３に夫々枢支さ
せる。かくして、トルク伝達リンク４のフレーム
１に対する平行移動は、シートフレーム５を自動
車のフロアに対し昇降させることになる。シート
フレーム５に固定した二方向クラツチ６の駆動部
材側に操作レバー７を取付け、且つ二方向クラツ
チ６の従動部材側をプレート８を介して前方リン
ク２に連結させる。９はリクライニング機構であ
る。

上記構成において、操作レバー７を矢印Ａ方向
に二方向クラツチ６を中心にして回動すると、そ
の駆動部材が従動部材を追回動させる。その結
果、従動部材がプレート８を矢印Ｂ方向に移動さ
せ、同時に、前方リンク２を支点１０を中心とし
て矢印Ｃ方向に回動させることになる。この前方
リンク２の回動は、トルク伝達リンク４を上方且
つ前方へと変位させ、後方リンク３を矢印Ｄ方向
に支点１１を中心として回動させる。前後方リン
ク２，３の矢印Ｃ，Ｄ方向への回動は、これらリ
ンクに枢支されたシートフレーム５を支点１０，
１１を中心にして上方へ移動させ、シート全体を
高くする。所望高さを得た後、操作レバー７を外
すことにより、シートを所望高さに維持する。二
方向クラツチ６は、プレート１８を介してその従
動部材へ作用する外力を、駆動部材側へ伝達する
ことなく、この外力をロツクするので、シートに
運転者が座りシートフレーム５に外力が作用して
もシート高さが変化することはない。二方向クラ
ツチ６としては、たとえば、スプリングカプラー
を用いることができる。

ところで、シートクツシヨンを上昇させる必要
のある着座者は小柄なため足も短い。従つて、シ
ートクツシヨンを高く調整する時は併せてシート
クツシヨンの前後長を短くすることが望ましい。
従来例はこの要件を充分に満たしていない。

この発明は、前述した点に着目したもので、シ
ートクツシヨンとシートバツクとを個別にリフト
させて、リフト量に応じてシートバツクを前後せ
しめてシートクツシヨンの長さを変えられるよう
にさせている。このため、本発明で講じた技術的
手段は、シートリフタを、シート下方のフレーム
前部に枢支される前方リンクと、該シート下方の
フレーム後部に枢支される後方リンクと、前記リ
ンクの回動位置を調整する二方向クラツチと、お
よび、前記前方リンクと後方リンクとを連結させ
るブラケツトとよりなり、前記ブラケツトにシー
トバツクを取付け、前記両リンクにシートクツシ
ヨンを保持させるとともに、前記後方リンクの枢
支軸に対して、水平する方向にシートクツシヨン
の保持位置を配設させ、且つ、該保持位置より上
下方向に位置をずらして前記ブラケツトを前記後
方リンクに連結なしたことにある。

この手段によれば、前方リンク並びに、後方リ
ンクは、ブラケツトにより一体的に連動する。二
方向クラツチにより何れかのリンクを回動させる
と両リンクが追従して回動する。よつて、ブラケ
ツトも揺動する。この結果、ブラケツトに取付け
られたシートバツクと、両リンクに保持されたシ
ートクツシヨンとが、リンクの回動方向に応じて
夫々個別に上下動される。しかも、シートクツシ
ヨンの保持位置は、後方リンクの枢支軸に対して
略水平方向に位置して後方リンクに取付けられ、
これに対してシートバツクを取付けられるブラケ
ツトはシートクツシヨンの保持位置より上下方向
に位置をずらして後方リンクに取付けられてい
る。よつて、後方リンクの回動に応じて、シート
クツシヨンの保持位置は略上下方向に移動し、ほ
とんど前後方向には移動しない。しかるに、ブラ
ケツト即ちシートクツシヨンは上下方向に位置が
ずれている分だけ、上下方向の移動量が抑制さ
れ、前後方向に移動する。従つて、シートクツシ
ヨンのリフトに応じてシートバツクはリフトしな
がらシートクツシヨンに対して前後する。よつ
て、シートクツシヨン長が事実上調整される。好
ましくは、後方リンクの後方側水平方向にシート
クツシヨンの保持位置を配し、ブラケツトを、こ
の保持位置より上方に位置させ且つ後方リンクの
後方側に連結させると良い。これにより、後方リ
ンクを回動させると、シートクツシヨン並びにシ
ートバツクは何れもリフトすることとなる。しか
も、シートバツクは前方に向かつて移動するの
で、シートはシートクツシヨンが上動し、且つ、
この上動に応じてシートクツシヨン長が短くな
る。よつて、小柄な人が必要とするシートリフト
作動を実現することが可能となる。

第２図以下を参照してこの発明の実施例を説明
する。シートは、シートクツシヨン４２とシート
バツク４１から成る。

第３図に図示するように、シート下方のフレー
ム２１，２１の一方の前部に二方向クラツチ２２
の軸２３を枢支させ、且つその後部に後方リンク
２４ａ，２４ｂを軸４７，４７ｂで枢支させる。
必ずしも必須ではないが好ましくは、二方向クラ
ツチ２２と同心関係として前方リンク２５ａ，２
５ｂを軸２３，２３ｂまわりに配す。第５図に示
すように、前方リンク２５ａが二方向クラツチ２
２のケースを兼ねる。更に二方向クラツチ２２の
駆動部材２６側に操作レバー２７を固定し、その
従動部材２８側に作動リンク２９の一端を軸４８
にて枢着させる。作動リンク２９の他端軸５１に
て後方リンク２４ａに枢着させる。第４図に示す
ように、後方リンク２４ａはベルクランク状をな
し、この後方リンク２４ａは、又、シートバツク
側部材であるブラケツト３０の後部を３８で示す
軸で枢支する。ブラケツト３０の前部を前方リン
ク２５ａに３９で示す軸で枢支させる。

更に、第３図に図示するように、後方リンク２
４ｂと前方リンク２５ｂの間には他方のブラケツ
ト３０ｂが配設され、夫々軸３８ｂ，３９ｂで枢
支されている。そして、両ブラケツト３０，３０
ｂによりシートバツク４１が保持される。

両前方リンク２５ａ，２５ｂの間には連結手段
たるパイプ状の前方トルクロツド４４が、両後方
リンク２４ａ，２４ｂの間はパイプ状の後方トル
クロツド４３が、夫々配設固定されている。これ
により、両前方リンク２５ａ，２５ｂ及び両後方
リンク２４ａ，２４ｂは夫々同時に回転する。

両トルクロツド４３，４４上にはシートクツシ
ヨン４２を保持するシートクツシヨンスプリング
４５が配設される。シートクツシヨンスプリング
４５の後縁側は、後方トルクロツド４３に固設さ
れた複数の止め金４６ａにより後方トルクロツド
４３まわりで回転自在に保持されている。又、シ
ートクツシヨンスプリング４５の前縁側は、前方
トルクロツド４４に回転自在に係止されたクリツ
プ４６，４６ｃの爪に前後方向に移動可能に保持
されている。これにより、前方リンク２５ａ，２
５ｂと後方リンク２４ａ，２４ｂとが、夫々ブラ
ケツト３０，３０ｂにより連結されていたとして
も、シートクツシヨンスプリング４５の前縁側が
前方トルクロツド４４に対して前後方向に移動し
得るので、両リンク２５ａ，２５ｂ，２４ａ，２
４ｂは自由に回転できることとなる。

尚、図示していないが、前方トルクロツド４４
のシートクツシヨンスプリング４５の前縁側を回
転自在に保持させ、後方トルクロツド４３にシー
トクツシヨン４５の後縁側を前後方向移動可能と
して回転自在に保持させても良い。又、シートク
ツシヨンスプリング４５を直接両トルクロツド４
３，４４に保持させる代わりに、シートクツシヨ
ンスプリング４５を支持するシートクツシヨンパ
ンを両トルクロツド４３，４４上に前述の如く保
持させることとしても良い。更に、クリツプ４６
ｂ，４６ｃに代えて、シート前後方向に向けて配
設されたリンクを用い、このリンクの一端をトル
クロツドに枢着させ、他端をシートクツシヨンス
プリングに枢着させることにより、トルクロツド
４３，４４に対してシートクツシヨンスプリング
４５を前後方向移動可能として回転自在に保持さ
せるようにしても良い。

後方リンク２４ａにおいて、第４図に図示する
ように、作動リンク２９の他端を枢着なす軸５１
は、後方リンク２４ａの枢支軸４７に対して略垂
直方向上方に位置して、これに対して後方トルク
ロツド４３は枢支軸４７に対して略水平方向後方
側に位置して夫々連結されている。更に、ブラケ
ツト３０の後部を枢着する軸３８は、後方トルク
ロツド４３と作動リンク２９の軸３８との間、即
ち後方トルクロツド４３より上方に位置してい
る。又、作動リンク２９の前部を枢支する軸４８
は、従動部材２８の軸２３に対して後方側下方に
位置されている。

従つて、作動リンク２９は、第４図図示におけ
る操作ハンドル２７、即ち従動部材２８の時計方
向の回転により、略水平方向に前方に移動する。
よつて、従動部材２８の回転がロスなく後方リン
ク２４ａに伝達され、後方リンク２４ａを反時計
方向に回転させる。しかも、後方リンク２４ａの
反時計方向の回転にともなう、ブラケツト３０並
びに後方トルクロツド４３の作動は、後方トルク
ロツド４３では後方リンク２４ａの枢支軸４７と
略水平方向に位置している関係から、略上下方向
上方に移動し、ほとんど前方には移動しない。し
かるに、ブラケツト３０の後部では後方トルクロ
ツド４３より上方の位置にて連結されている関係
から、上下方向上方並びに前後方向前方に移動す
ることとなる。

第５図、第６図に示すように、二方向クラツチ
２２としてスプリングカプラーを用いると良い。
スプリングカプラー２２は、切欠部３１ａ，３１
ｂを有する駆動部材２６と、その一方の切欠部３
１ａに間隙を持つて配される突起部３２を有する
従動部材２８と、両部材２６，２８を収容する前
方リンク２５ａたるケースと、及び一端が従動部
材２８に係止され、他端が駆動部材２６の切欠部
３１に夫々係合し、自由状態時に前方リンク２５
ａの内周壁に摩擦力をもつて接合する対のスプリ
ング３３を有す。第６図に示すように操作レバー
２７を時計方向に回動させると、駆動部材２６も
時計方向に軸２３と共に回動する。この際、一方
のスプリング３３の一端が切欠部３１ｂに当接
し、該一方のスプリング３３を収縮させる。次い
で、切欠部３１ａが突起部３２に当接し、従動部
材２８の突起部３２を幾分時計方向に動かし、該
突起部３２の溝３２ａに係止されている他方のス
プリング３３をも収縮させ、スプリング３３と前
方リンク２５ａの内壁との摩擦力を解放させる。
しかして、駆動部材２６の動きは、従動部材２８
に伝達される。このため、従動部材２８に連結さ
れた作動リンク２９が、第４図でみて矢印Ｅ方向
へと軸２３を中心として回動し、後方リンク２４
ａが支点３４を中心にして矢印Ｆ方向へと動く。
後方リンク２４ａの矢印Ｆ方向への回動は、これ
に枢着されたブラケツト３０及び固設された後方
トルクロツド４３を持ち上げシートバツク４１及
びシートクツシヨン４２を夫々高くする。ブラケ
ツト３０の動きは、前方リンク２５ａを軸２３を
中心として矢印Ｇ方向に回動させる。この際、前
方リンク２５ａはスプリング３３の摩擦力から解
放されているので、この前方リンク２５ａの動き
は円滑に成される。操作レバー２７の回動停止又
は多少のもどしは、スプリング３３の収縮力を解
放させ、スプリング３３を前方リンク２５ａの内
周壁に摩擦係合させることになるのでシート高さ
は調整された高さを維持する。この状態で、シー
トに負荷が作用すると、前方リンク２５ａが回動
しようとするが、スプリング３３との摩擦係合に
より阻止される。又、作動リンク２９が従動部材
２８を回動させようとするが、この動きはスプリ
ングを拡大させることになりその摩擦係合力が増
大し、作動リンク２９の動きは阻止される。操作
レバー２７の前述とは逆の動きは、同様な二方向
クラツチ２２の作用によりシートクツシヨン４
２、並びにシートバツク４１を降下させる。

第４図と第７図を参照する。シートを、実線で
示す低い位置から二点鎖線で示す高い位置に上昇
させると、第４図に示すようにブラケツト３０、
及び後方トルクロツド２６は夫々上昇する。しか
も、ブラケツト３０の後部では上昇と同時にシー
ト前方に向かつて長さL1だけ前進する。ところ
が、後方トルクロツド２６では微少の長さL2（L2
＜L1）だけしかシート前方へ移動しない。よつ
て、ブラケツト３０即ちシートバツク４１は後方
トルクロツド即ちシートクツシヨン４２に対して
前進し、シートクツシヨン４２の前後方向長をシ
ートリフトに応じて短くする。つまり、第７図に
図示するように、シートが低い位置にある時に
は、シートクツシヨン長は、長さＡとなり、高い
位置では長さＢ（Ｂ＜Ａ）となる。

尚、第７図で範囲Ｃは前方リンクの回転範囲を
示し、範囲Ｄは操作レバーの回転範囲を示す。
又、点Ｈは、着座者のかかと位置を示す。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシートリフタを示す側面図、第
２図、第３図はこの発明の一例を組込んだシート
の斜視図、第４図はこの発明の一例のシートリフ
タの側面図、第５図は第４図の矢視−線より
みた断面図、第６図は第５図の矢視−線より
みた部分断面図、第７図はシートの昇降とペダル
との関係を示す側面図である。 ２１……フレーム、２２……二方向クラツチ、
２４……後方リンク、２５……前方リンク、３０
……ブラケツト、４７……枢支軸、４１……シー
トバツク、４２……シートクツシヨン、４３……
保持位置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シート下方のフレーム前部に枢支される前方
   リンクと、該シート下方のフレーム後部に枢支さ
   れる後方リンクと、前記リンクの回動位置を調整
   する二方向クラツチと、および、前記両リンクを
   連結させるブラケツトとよりなり、前記ブラケツ
   トの後方リンクに対して上方にシートバツクを取
   付け、前記両リンクにシートクツシヨンを保持さ
   せるとともに、前記後方リンクのフレームへの枢
   支軸に対して、水平する方向に前記シートクツシ
   ヨンの保持位置を配設し、且つ、該保持位置に対
   して上下方向に位置をずらして前記ブラケツトを
   前記リンクに連結なしたシートリフタ。