JP2625134B2 - シート調節装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「技術分野」 本発明は、車両のシート、特に乗用車の前席のクッシ
ョンシートの高さ、シートバックの傾斜角度等を調節で
きるシート調節装置に関する。

「従来技術およびその問題点」 従来の乗用車用前席シートは、シートトラックにより
前後位置調節可能に、およびシートバックの傾斜角を調
節（リクライニング）可能に形成されている。シートト
ラックは、車両床面に前後方向に固着されたロアレール
と、このロアレールに摺動自在に嵌着されたアッパレー
ルからなる。

さらに近年は、より快適で安全なドライビングポジシ
ョンを得るために、クッションシートの高さ調節機構、
シートバックのランバーサポート、サイドサポート調節
機構等種々のシート調節機構を備えたシートが種々提案
されている。この種シート調節機構は、各調節機構を操
作する操作ノブまたはレバーが、クッションシートの下
方側部に設けられている。

しかしながら、この操作ノブを設けることができるス
ペースは狭いので、複数の操作ノブを設けると、各操作
ノブが接近しすぎ、一の操作ノブを操作する時に他の操
作ノブが邪魔になるという問題があった。また、操作ノ
ブ間の間隔を広げるために操作ノブを小径化すると、操
作に必要なトルクが大きくなるか、回転量を多くしなけ
ればならず、いずれにしても操作性が損なわれていた。

「発明の目的」 本発明は、上記問題意識に基づいてなされたもので、
シートの高さ、傾斜角等の各種シート調節機構を容易に
調節操作できる操作性の良いシート調節装置を提供する
ことを目的とする。

「発明の概要」 本発明は、調節機構を操作する操作部材が少なければ
操作性が向上することに着眼してなされたもので、車両
用シートのクッションシートの前部および後部を支持し
て前部高さ、後部高さ、全体高さの調節が可能な前部リ
フト機構および後部リフト機構を有するシート調節機構
を備え、これらのシート調節機構の共通調節操作部がク
ッションシートの側面に位置し、前部、後部リフト機構
を択一的に駆動操作可能なシート調節装置であって、上
記一方のリフト機構の近傍に揺動自在に枢支したスイン
グアームと、このスイングアームの自由端部に回動自在
にかつ軸方向移動自在に軸を介して軸支した操作ノブ
と、この操作ノブの軸に固定したドライブギヤと、上記
スイングアームが揺動可能な両端部に移動したときに上
記ドライブギヤとそれぞれ噛合して操作ノブの回転を前
部リフト機構および後部リフト機構に伝達して上記前部
リフト機構および後部リフト機構を作動させる中間ギヤ
と、上記操作ノブが軸方向の特定位置に移動したときに
上記スイングアームを上記端部から端部への移動を可能
とし、上記特定位置以外では端部からの移動を規制する
ガイド手段と、を備えたことに特徴を有する。

「発明の実施例」 以下図示実施例について本発明を説明する。

第１図は、本発明のシート調節装置を適用した自動車
用シートの一実施例の要部を示した斜視図、第２図は、
同実施例の側面図である。

本自動車用シートは、シートトラック10上にクッショ
ンシートおよびシートバックが取付けられるが、図面に
は、これらのシートを支持する部分のみを示した。シー
トトラック10は、自動車の床に所定間隔で平行に固着さ
れたロアレール12、12およびこれらにそれぞれ摺動自在
に嵌装されたアッパレール14からなる。この両アッパレ
ール14上には、それぞれ支持プレート16が固着されてい
る。図において、左側の支持プレート16の内側面には、
前部リフト機構20および後部リフト機構40が、支持プレ
ート16の外面には前部リフト機構20の近傍に共通調節操
作装置60が設けられている。

前部リフト機構20は、支持プレート16に支軸21を介し
て揺動自在に軸支された揺動レバー22と、この揺動レバ
ー22に支軸23を介して揺動自在に軸支された連接リンク
24とを主要部材としている。揺動レバー22の先端には、
支軸21を中心とする扇形のセクタギヤ（内歯）22aが形
成され、この内歯22aには、中間小ギヤ26aが噛合してい
る。この中間小ギヤ26aは、回動軸26に装着され、回動
軸26は、支持プレート16に取付けられたブレーキ装置80
に装着されている。このブレーキ装置80から外方に突出
した回転軸26には中間大ギヤ26bが固着されている。

他側の支持プレート16の内側面にも、揺動レバー32、
連接リンク24に対応する揺動レバー32、連接リンク34が
取付けられている。そして、揺動レバー22と他側の揺動
レバー32とは、支軸21から延長された連接バー27により
連結され、連接リンク24と他側の連接リンク34には、軸
を介してクッションシートのフレームが連結されてい
る。したがって、揺動レバー22が揺動すると、連接バー
27を介して他側の揺動レバー32も揺動し、連接リンク2
4、32がクッションシートの前部を昇降する。

後部リフト機構40は、支持プレート16の内側面に、支
軸41を介して揺動自在に軸支された揺動レバー42を有
し、他側の支持プレート16の内面にも、この揺動レバー
42と対応する揺動レバー52が軸支されている。揺動レバ
ー42、52は、支軸41から延長された連接バー43により連
結されている。揺動レバー42、52の先端には、軸を介し
てクッションシートのフレームが取付けられている。し
たがって、揺動レバー42が揺動することにより、揺動レ
バー52も揺動し、クッションシートの後部が昇降する。

前部リフト機構20寄りの支持プレート16内側面には、
回動軸45を介して揺動自在に揺動リンク46が軸支されて
いる。この揺動リンク46と上記揺動レバー42とは、連接
バー48により連動されている。つまり、揺動リンク46が
揺動すれば、連接バー48を介して他の揺動レバー42も揺
動する。他側の支持プレート16の内側面にも、揺動リン
ク46に対応する揺動リンク56が取付けられ、これも揺動
レバー52と連接バー58を介して連動されている。揺動リ
ンク46、56は、支軸45から延長された連接バー49により
連結されている。

揺動リンク46の先端には、扇形のセクタギヤ（外歯）
46aが形成され、この外歯46aには、中間小ギヤ50aが噛
合している。この中間小ギヤ50aは、回動軸50に嵌装さ
れ、回動軸50は、支持プレート16に取付けられたブレー
キ装置80に装着されている。このブレーキ装置80から外
方に突出した回動軸50には中間大ギヤ50bが固着されて
いる。

共通調節操作装置60は、前部リフト機構20、後部リフ
ト機構40を駆動する駆動機構、およびその駆動力を一方
のリフト機構20または40に択一的に伝達する切換機構と
を有している。以下、第３図および第４図を参照して説
明する。

支持プレート16を貫通して外方に延びる回動軸45の外
方部には、軸方向に所定の間隔で形成されたスイングア
ーム62、63が回動自在に軸支されている。このスイング
アーム62、63間には、回動自在に且つ軸方向に移動自在
軸支されたドライブギヤ64を有する。ドライブギヤ64
は、スイングアーム62、63を貫通したドライブシャフト
（操作ノブ68の軸）66に軸支され、ドライブシャフト66
の外方端には、操作用ノブ68が固着されている。そし
て、ドライブシャフト66は、板ばね69により常時内方に
移動付勢されている。

ドライブギヤ64と操作用ノブ68との間には、スイング
アーム62、63の揺動範囲をつまりドライブギヤ64の移動
範囲を規制するガイド手段としてのガイドプレート70が
設けられ、ドライブシャフト66の太軸部は、ガイドプレ
ート70に穿たれたガイド溝71cを貫通している。ガイド
溝71cは、両端部に、操作用ノブ68を回動自在に支持す
る軸孔部71a,71bを有し、これら軸孔部71a,71bの間に、
やや幅狭のガイド溝71cを有している。ドライブシャフ
ト66には、特定位置まで引き出されたときにガイド溝71
cに嵌合して軸孔部71a,71b間を移動可能な細軸部66aが
形成されている。

支持プレート16には、軸孔部71a,71bと嵌合したドラ
イブシャフト66の先端が嵌入可能な軸孔16a、16bが穿た
れている。ドライブシャフト66が軸孔部71aにある時に
は、ドライブギヤ64は一方の中間大ギヤ26bに噛合し、
軸孔部71bにある時には、他方の中間大ギヤ50bに噛合す
る。

また、本実施例では、シートクッションに人が座った
場合等下降方向の負荷がかかっても、シートクッション
が下降しないように、回動軸26、50にブレーキ装置80を
組み込んである。回動軸26、50のブレーキ装置80は、共
に基本的には同一構造なので、回動軸26のブレーキ装置
80について、第５図を参照して説明する。

このブレーキ装置80は、例えばウインドレギュレータ
等に用いられている公知のもので、中間大ギヤ26aが固
着された回動軸26には、一体にコア部82が設けられてい
る。さらに、前記コア部82の空間部分に入りこみ、スト
ッパスプリング86と協働して中間小ギヤ26a側からの回
動力に対してブレーキを発生させる舌片を有するピニオ
ンプレート84が、中間小ギヤ26aに嵌着されている。88
はピニオンケースで、その内周側面は、ストッパリング
86との摩擦面となっている。

操作用ノブ68により回動軸26を回転させる場合には、
コア部82がストッパスプリング86のフック部に当接して
ストッパスプリング86を縮径させ、次いでその回転力は
ピニオンプレート84に伝達されてさらに該ピニオンプレ
ート84が嵌着されている中間小ギヤ26aに伝達され、中
間小ギヤ26aが回動する。

反対に、中間小ギヤ26a側からの回転力に対しては、
ピニオンプレート84の舌片がストッパスプリング86のフ
ック部に当接して該ストッパスプリング86を拡径させ
る。その結果、ストッパスプリング86とピニオンケース
88との摩擦力が増大して中間小ギヤ26aの回転が阻止さ
れる。

次に、上記溝成のシート調節装置の操作および動作に
ついて説明する。

第２図に示した状態は、ドライブシャフト66が軸孔部
71aに嵌入し、ドライブギヤ64が中間大ギヤ26bに噛合し
ている。この状態で操作ノブ68を反時計方向に回動する
と、ドライブシャフト66、ドライブギヤ64、中間大ギヤ
26b,中間小ギヤ26aおよび内歯22aを介して揺動レバー22
が時計方向に回動する。すると、揺動レバー22に軸支さ
れている連接リンク24が上昇し、クッションプレートの
前部が上昇する。また、操作用ノブ68を逆に時計方向に
回動すると、揺動レバー22が反時計方向に回動し、クッ
ションシートが下降する。

クッションシートの後部を昇降させる場合には、操作
用ノブ68を外方に一杯に引く。すると、ドライブギヤ6
4、ドライブシャフト66が板ばね69の付勢力に抗して外
方に移動し、ドライブギヤ64の先端が軸孔16aから抜け
出し、ドライブシャフト66と中間大ギヤ26bとの噛合が
外れ、ドライブシャフト66の細軸部66aがガイド溝71cに
嵌合する位置まで移動する。

この位置から操作用ノブ68をガイド溝71cに沿って軸
溝部71bまで移動させると、細軸部66aがガイド溝71cか
ら外れる。

ここで、操作用ノブ68を板ばね69の付勢力に沿って戻
す。すると、細軸部66aが軸孔部71bから外れるので、ド
ライブシャフト66はもはや軸孔部71a方向には戻らなく
なる。そして、ドライブギヤ64は中間大ギヤ49bに噛合
し、ドライブシャフト66の先端が軸孔16bに嵌入する。
これによりドライブシャフト66は、両端が軸孔16aおよ
び軸孔部71bに支持されるので、操作用ノブ68を回動す
ることにより中間大ギヤ50bの回転が可能になる。

そこで、操作用ノブ68を時計方向に回動すると、ドラ
イブシャフト66、ドライブギヤ64を介して中間ギヤ50b,
50aが反時計方向に回動し、揺動リンク46が時計方向に
回動する。したがって、連接バー48が前方に移動し、揺
動レバー42が反時計方向に回動してシートクッションの
後部が下降する。逆に操作用ノブ68を反時計方向に回動
すると、上記各部材の回転方向および移動方向が逆にな
り、つまり揺動レバー42が時計方向に回動してシートク
ッションの後部が上昇する。

本実施例によれば、以上の操作を適時選択することに
より、シートクッションの傾斜および高さを調節するこ
とができる。

また、本実施例では、クッションシートの下降防止装
置にブレーキ装置80を使用したが、ブレーキ装置80に替
えて、中間小ギヤ26a,50aおよび内歯22a,外歯46aにウォ
ームギヤを用いてもよい。さらに、ドライブギヤ64を三
つの位置に保持可能に構成し、その第三の位置では中間
ギヤ26b,50bを同時に回動できるようにギヤ列を構成し
てクッションシートの前後を同時に上下動可能に構成し
てもよい。

なお、本実施例では、クッションシートの前部、後部
高さ調節機構に本発明を適用した例について説明した
が、他の調節機構、例えばシートバックのランバーサポ
ート、サイドサポート調節機構にも適用できる。

［発明の効果」 以上の説明から明らかな通り本願発明のシート調節装
置は、一つの共通調整操作装置でシートクッションの高
さ、傾斜調節等二以上のシート調節をできるので、操作
ノブ等の操作部の数が減り、操作部を狭いシート下部の
側面に設けても、操作性を損なうことがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明のシート調節装置を適用した自動車用
シートの一実施例の要部を示した斜視図、第２図は、同
実施例の側面図、第３図は同実施例の操作部分の分解斜
視図、第４図は、同平面図、第５図は、ブレーキ装置の
断面図である。 10……シートトラック、14……アッパレール、16……支
持プレート、20……前部リフト機構、21……支軸、22…
…揺動レバー、22a……内歯、23……支軸、24……連接
リンク、26……回動軸、32……揺動レバー、34……連接
リンク、40……後部リフト機構、41……支軸、42……揺
動レバー、46……揺動リンク、46a……外歯、48……連
接バー、52……揺動レバー、60……共通調節操作装置、
62……スイングアーム、64……ドライブギヤ、66……ド
ライブシャフト、68……操作用ノブ、70……ガイドプレ
ート

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両用シートのクッションシートの前部お
   よび後部を支持して前部高さ、後部高さ、全体高さの調
   節が可能な前部リフト機構および後部リフト機構を有す
   るシート調節機構を備え、このシート調節機構の共通調
   節操作部がクッションシートの側面に位置し、前部、後
   部リフト機構を択一的に駆動操作可能なシート調節装置
   であって、 上記一方のリフト機構の近傍に揺動自在に枢支したスイ
   ングアームと、 このスイングアームの自由端部に回動自在にかつ軸方向
   移動自在に軸を介して装着された操作ノブと、 この操作ノブの軸に固定したドライブギヤと、 上記スイングアームが揺動可能な両端部に移動したとき
   に上記ドライブギヤとそれぞれ噛合して操作ノブの回転
   を前部リフト機構および後部リフト機構に伝達して上記
   前部リフト機構および後部リフト機構を作動させる中間
   ギヤと、 上記操作ノブが軸方向の特定位置に移動したときに上記
   スイングアームを上記端部から端部への移動を可能と
   し、特定位置以外では端部からの移動を規制するガイド
   手段と、 を備えたことを特徴とするシート調節装置。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項に記載のガイド手段
   は、上記スイングアームの軸を中心として円弧状のガイ
   ド溝およびガイド溝の両端部にガイド溝よりも大きい軸
   受部を有するガイドプレートを有し、上記操作ノブの軸
   は、上記ガイド溝より太径であって上記受部に回動およ
   び軸方向移動自在にガイドされる太軸部と、上記操作ノ
   ブが上記特定位置に移動したときに上記ガイド溝に嵌合
   してガイド部に沿って移動可能にする細軸部とを有する
   シート調節装置。
3. 【請求項３】特許請求の範囲第１項または第２項におい
   て、前記操作ノブは、ばね部材によって上記特定位置か
   ら移動する方向に弾性的に付勢されていること、
4. 【請求項４】特許請求の範囲第１項から第３項のいずれ
   か一項において、上記リフト装置の揺動レバーの軸また
   は中間ギヤの軸に、クッションシートに下降方向の力が
   加ったときに下降方向回転を阻止するブレーキ装置が設
   けられているシート調節装置。