JPH0140843Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、自動車用エンジンの輸送に用いら
れるエンジン用パレツト、特に上面に複数個のエ
ンジンを載置支承して、上下に複数段に段積みを
可能とする支柱型のパレツトに関する。

従来の技術 従来、この種のエンジン用パレツトとして、例
えば実開昭59−147086号公報に示されるようなも
のが知られている。即ち、この従来のパレツト
は、鋼材をもつて長方形状に組立てられた平盤状
のパレツト基台上に、複数個のエンジンを横並び
状態に載置するようになされており、かつ四隅部
に、上記エンジンの高さよりも僅かに高い位置に
まで突出する４本の隅部支柱を設けて、段積みを
可能としたものである。また、上記隅部支柱は、
これをパレツト基台の長手方向の両側縁上に折畳
みうるものとなされ、エンジンを降ろしたのち
は、全体をコンパクトな状態にして所謂戻し輸送
とか保管に便利なように構成されたものである。

考案が解決しようとする問題点 ところが、従来の上記のようなエンジン輸送用
パレツトに於ては、隅部支柱を長手方向の両側縁
上に折畳み得るものとしなければならないこと、
及び輸送効率上出来るだけ全高を低く抑えなけれ
ばならないこと、等の理由から、畢意パレツト基
台を比較的薄型のものに構成せざるを得ず、この
ために、当該基台上面に積載するエンジンは重量
が相当に大きいものであるに拘らず、パレツト基
台の強度、特にその長手方向における耐加重強度
を充分に大きいものとすることが困難であり、単
一のパレツト当りに搭載しうるエンジンの個数が
自動車用エンジンの場合でせいぜい４個程度に制
約され、輸送時の荷役効率が悪いという問題があ
つた。のみならず、エンジンが特に重い場合に
は、パレツトの段積み時に上段のパレツト基台に
下方撓曲を生じ、これがために搭載エンジンが不
安定になり、横転等を生ずる危惧のために、振動
や慣性力が強く働くトラツク輸送によるような場
合には多段積みを避けざるを得ないというような
難点もあつた。

この考案は上記のような問題点に鑑み、四隅の
隅支柱の折畳みによりコンパクト化しうる機能性
を損うことなく、かつ全高を可及的低く抑えうる
ものとしながらも、パレツト基台の強度の増大を
はかり、輸送効率の向上、積載エンジンの安全性
の向上をはかり得るものとしたエンジン輸送用パ
レツトを提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 上記の目的において、この考案は、縦横にフオ
ーク差込孔４，４を有する平盤状長方形のパレツ
ト基台１の長手方向の両側縁上方に、短柱片１５
を介して補強縦杆１４，１４が設けられる一方、
パレツト基台１の上面部にその長手方向に沿つて
平行状に２本づつで各１対をなす複数対の縦桟１
８，１８が固着され、この各対をなす縦桟１８，
１８間に、縦列に並べて複数個のエンジンＥを載
置支承するエンジン支承装置２が設けられると共
に、前記パレツト基台１の四隅部分に前記補強縦
杆１４の上面と等高な案内筒３１が設けられ、該
各案内筒３１に下部を挿入して４本の段積み用隅
支柱３２が立設され、かつ該隅支柱は、パレツト
基台１の短辺側の側縁上に重なり状に倒伏させて
折畳みうるように前記案内筒３１に所定範囲にお
いて上下摺動自在かつ起伏回動自在に枢支連結さ
れ、折畳み時においてその上面が前記案内筒３１
の上端より低い位置に納まるように設定され、ま
た前記隅支柱３２の上端と案内筒３１の底板３１
ａとに互いに嵌合しうる位置決め突起３７と嵌合
孔３８とがそれぞれ設けられてなるエンジン輸送
用パレツトを要旨とするものである。

実施例 添附図面に示す実施例において、エンジン輸送
用パレツトは、幅に対して長さが略２倍であるよ
うな長方形のパレツト基台１と、、この基台１上
にエンジンＥを６個載置支承しうるように、長手
方向に３個づつ２列に設けられたエンジン支承装
置２と、エンジンを積載した状態でトラツクの荷
台とか船倉内等に段積みしうるように基台１の四
隅部分に設けられた４つの支柱構造部分３とから
なる。以下、これらの各部分の構成について順次
説明する。

（パレツト基台部分の構成） 第１図ないし第３図に示すように、パレツト基
台１は、四隅部分に後述の支柱構造部分３に属す
る案内筒３１を介して長方形状に組まれた角パイ
プ製の上部枠体１１と下部枠体１２とを有する。
これらの上下両枠体１１，１２は相互間に井桁状
に組まれた下面開口のチヤンネル材１３を介して
相互に一体的に結合され、該チヤンネル材１３に
よつて縦横にフオーク挿入孔４を有する平盤状か
つ長方形のパレツト基台１を構成している。更
に、基台１の長手方向の両側縁には、その上方
に、両端の案内筒３１，３１の上端部間に渡して
偏平角パイプからなる補強縦杆１４，１４が上面
を案内筒３１と等高位にして設けられている。か
つ該補強縦杆１４は前記上部枠体１１との間に適
宜複数本の短柱片１５を介在して基台１と連結す
ることにより、基台１の主として長手方向の撓曲
強度を補強しうるものとなされている。また両補
強縦杆１４，１４の互いに反対側の端部上面に
は、パレツトを折畳み状態で段積みする際の位置
決め用として機能する小形の嵌合突起１６，１６
が設けられると共に、下部枠体１２，１２の端部
下部の対応位置に該突起の嵌り込む嵌合孔１７，
１７が設けられている。パレツト基台１の上面側
には、その長さ方向に沿つて、２本づつで各１対
をなす合計４本、即ち２組のアングル材からなる
縦桟１８が互いに平行状に溶接固着されている。

（エンジン支承装置の構成） エンジン支承装置２は、パレツト基台１の上面
で、各対をなす前記縦桟１８，１８間にエンジン
Ｅを載置支承するものであり、上記１対をなす縦
桟上に、それぞれ３個づつ設けられている。

エンジンＥはそれ自体の重量が大きく、かつ周
りにプーリーとかその他の付設物を有し、また放
熱板等を有するため、その本体部分を周りから拘
束固縛支承することは不向きである。しかも下面
には比較的変形し易い金属板製のオイルパンＰが
大きく下方膨出状に存在するため、これにエンジ
ンＥの荷重がかかる態様で載置支承することも避
けることが望ましいこのようなことから、図示実
施例の支承装置２は、エンジンＥの本体に対する
オイルパンＰの取付部分、即ちオイルパンＰの上
端の取付用フランジ部Ｆの下面に全周を巡る環状
の僅かな水平面が存在することに着目し、エンジ
ンの荷重をこのフランジ部Ｆの下面側から部分的
に支承する一方、支承状態の安定を、オイルパン
Ｐの深さの比較的深い部分を両側から挾持状態に
拘束することによつて実現するようになされたも
のである。而して、支承装置２は、第４図ないし
第８図に示すように、エンジンＥの下面に有する
オイルパンＰの上端フランジ部Ｆの少なくとも四
隅部分を部分的に担持する４個以上の支承片２０
と、該支承片２０によつて支承されるオイルパン
Ｐの比較的深さの深い部分に対応して、該部分の
両側面をその上端部から下端部に至る範囲に亘つ
て拘束的に挟み込む左右１対の対向挾持板部２１
ａ，２１ａとを有する。支承片２０は金属製の角
棒片からなるもので、前記縦桟１８，１８に下端
を溶接固着して基台１上に立設された対向状の支
持枠体２２，２２の上端に突出状に設けられてい
る。もとよりこの支承片２０の取付位置は、オイ
ルパンＰのフランジ部Ｆの下面に障害物として突
出するその取付ボルト頭の位置を避けて、隣接ボ
ルト間の位置にてフランジ部Ｆの下面に対応する
ようになつている。また、挾持板部２１ａ，２１
ａは、第６図及び第７図に示すように、１枚の帯
状金属板をオイルパンＰの対応部分の断面形状に
略沿つて、かつそれよりやゝ深さのみを深くして
略Ｕ字形に屈曲形成された単一の保持枠板２１の
両側壁部によつて構成されたもので、オイルパン
Ｐの対応部分を底面部のみを浮かしてしつくりと
嵌め込みうるようになつている。挾持板部２１
ａ，２１ａの内面側には、オイルパン保護用のラ
イニング材が貼付けられることもある。その他図
中２３は一方の支持枠体２２に形成された切欠き
であり、オイルパンＰの有するドレンキヤツプを
避けるためのもの、２４は支持枠体２２の補強リ
ブである。

エンジンＥは、上記の支承装置２において、そ
のオイルパンＰの部分を両支持枠２２，２２間に
嵌め込み、そのフランジ部Ｆの下面四隅部分を支
承片２０に担持せしめて重量を支持する一方、オ
イルパンＰの比較的または最も深さの深い部分を
両側から挾持板部２１ａ，２１ａに当接挾持せし
めて、横転等を生じることがないように拘束状態
とし、前後及び左右方向の移動並びに傾動等を生
じない安定状態に支持されるものである。

（支柱構造部分の構成） 支柱構造部分３は、第９図及び第１０図に詳細
に示すように、前記の案内筒３１と、これに下部
を上下摺動自在に挿入してパレツト基台１の四隅
部に立設された４本の隅支柱３２とを有する。案
内筒３１は、上部一側面を開口した角パイプまた
は断面コ字形材からなるもので、隅支柱３２の下
部に穿たれた縦長孔３３を貫通する軸３４を固着
し、隅支柱３２，３２をパレツト基台１の短辺側
の側縁部上に一部重なり状に倒伏させて折畳みう
るようになつている（第３図の一点鎖線状態参
照）。従つて、軸３４の高さ位置は、前後の隅支
柱の間で相互にその厚み分だけ位相差をつけた位
置に設定されている。また、隅支柱３２を上記の
如く折畳んだ際、その上面は案内筒３１の上端よ
り低い位置、即ち補強縦杆１４の上面より低い位
置に納まるようになされている。隅支柱３２の起
立状態は、その下部一側面に固着された楔片３５
を、案内筒３１の上縁対応部位に形成された略Ｕ
字状の切込み３６に落し込むことによつて強固に
保持しうるようになされると共に、この起立状態
時において複数個のパレツトを上下に安定良く段
積み可能なものとするべく、隅支柱３２の上端
と、案内筒３１の底板３１ａとに、互いに嵌合し
うる位置決め突起３７と嵌合孔３８とが設けられ
ている。

考案の効果 この考案に係るエンジン輸送用パレツトは、上
記実施例に示したように、平盤状長方形のパレツ
ト基台１の長手方向の両側縁上方に、短柱片１５
を介して補強縦杆１４が設けられる一方、同基台
の上面部にもその長手方向に沿つて平行状に２本
づつで各１対をなす複数対の縦桟１８が固着され
たものとなされている。そして、エンジンＥを、
上記両側の補強縦杆１４，１４間においてパレツ
ト基台１面上に設けられた支承装置２により支承
するものとなされている。従つて、エンジンＥの
積載時における全高を比較的低いものとしなが
ら、パレツトの特に基台による耐荷重強度、特に
その長さ方向における撓曲強度を、補強縦杆１４
と縦桟１３とによる効果的な補強作用をもつて充
分に大きいものとすることができ、１台のパレツ
トへのエンジンの可積載個数を増大できると共
に、位置決め突起３７と嵌合孔３８とを嵌合して
なす段積み時におけるエンジンの積載状態の安定
性、安全性を向上しうる。

また、隅支柱３２は、これをパレツト基台１の
短辺側の側縁上に折畳みうるものとなされている
から、長辺側の側縁上方に前記補強縦杆１４を設
けることに対して何ら支承とならず、かつ折畳み
時におけるパレツトの全高を、基台底面から補強
縦杆１４の上面までの比較的低い薄型のものとす
ることができるので、空パレツトの戻し輸送や保
管に好都合である。また、エンジンＥの支承装置
２をパレツト基台１上の、互いに平行する縦桟１
８，１８上に設けていることにより、エンジンの
重量を上記縦桟を介してパレツトの長手方向に分
散させて支承でき、愈々耐加重性、強度に優れた
ものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
はパレツト全体の斜視図、第２図は同正面図、第
３図は同側面図、第４図は支承装置部分の斜視
図、第５図は同平面図、第６図、第７図及び第８
図は第５図−線、−線及び−線の断
面図、第９図は隅部の支柱構造部分の斜視図、第
１０図は同正面図である。 Ｅ……エンジン、１……パレツト基台、２……
支承装置、３……支柱構造部分、４……フオーク
挿入孔、１４……補強縦杆、１５……短柱片、２
０……支承片、２１……保持枠板、２１ａ……挾
持板、２２……支持枠体、３１……案内筒、３１
ａ……底板、３２……隅支柱、３３……長孔、３
４……軸、３７……位置決め突起、３８……嵌合
孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 縦横にフオーク差込孔４，４を有する平盤状
   かつ長方形のパレツト基台１の長手方向の両側
   縁上方に、短柱片１５を介して補強縦杆１４，
   １４が設けられる一方、パレツト基台１の上面
   部にその長手方向に沿つて平行状に２本づつで
   各１対をなす複数対の縦桟１８，１８が固着さ
   れ、この各対をなす縦桟１８，１８間に、縦列
   に並べてエンジンＥを載置支承する複数個のエ
   ンジン支承装置２が設けられると共に、前記パ
   レツト基台１の四隅部分に前記補強縦杆１４の
   上面と等高な案内筒３１が設けられ、該各案内
   筒３１に下部を挿入して４本の段積み用隅支柱
   ３２が立設され、かつ該隅支柱は、パレツト基
   台１の短辺側の側縁上に重なり状に倒伏させて
   折畳みうるように前記案内筒３１に所定範囲に
   おいて上下摺動自在かつ起伏回動自在に枢支連
   結され、折畳み時においてその上面が前記案内
   筒３１の上端より低い位置に納まるように設定
   され、また前記隅支柱３２の上端と案内筒３１
   の底板３１ａとに互いに嵌合しうる位置決め突
   起３７と嵌合孔３８とがそれぞれ設けられてな
   るエンジン輸送用パレツト。 (2) エンジン支承装置は、エンジンＥの下面に有
   するオイルパンＰの上端フランジ部Ｆの少なく
   とも四隅部分を部分的に担持する少なくとも４
   個の支承片２０と、該支承片２０によつて支承
   されるオイルパンＰの比較的深さの深い部分に
   対応して、該部分の両側面を上端部から下端部
   に至る範囲に亘つて拘束的に挟み込む左右１対
   の対応挾持板２１ａ，２１ａとを有し、前記支
   承片２０が前記縦桟１８に下端を固着してパレ
   ツト基台１の上面に立設された支持枠体２２の
   上端に突出状に固着して設けられている実用新
   案登録請求の範囲第１項記載のエンジン輸送用
   パレツト。 (3) 対向挾持板２１ａ，２１ａが、１枚の帯状金
   属板を略Ｕ字状に屈曲して形成された単一の保
   持枠板２１の両側壁部によつて構成されてなる
   実用新案登録請求の範囲第２項記載のエンジン
   輸送用パレツト。