JPH0135591Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内燃機関等に取付けられるフライホ
イール磁石発電機に関するものである。

［従来の技術］ 内燃機関に取付けられるフライホイール磁石発
電機は、第６図に示したように、ほぼカツプ状に
形成されたフライホイール１の周壁部１ａの内周
に永久磁石２を取付けた磁石回転子３と、磁石回
転子３の磁極に対向する磁極部４ａを備えた鉄心
４に発電コイル５を巻回した固定子６とからなつ
ている。磁石回転子３の永久磁石２は、フライホ
イール１の周壁部１ａに設けられた打出し部１ｂ
により軸線方向に位置決めされ、接着等によりフ
ライホイール１の周壁部に固定されている。フラ
イホイール１の底壁部１ｃの中央にはボス７が固
定され、該ボス７を機関の出力軸等の回転軸に嵌
着することにより磁石回転子３が機関に取付けら
れる。また固定子６は機関のケースやカバー等に
設けられた取付け部８に固定される。

従来この種の発電機および機関を冷却するた
め、フライホイールの内周の底壁部１ｃ寄りの部
分に送風羽を設けることが提案されており、従来
は第６図に示したように、フライホイールの底壁
部１ｃにリング状の板９を配設して該板９に送風
羽９ａ，９ａ，…を設け、フライホイールの周壁
部１ａに設けた通風孔１ｄ，１ｄ，…を通して導
入した外気を発電コイル５に吹付けるようにして
いた。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら上記のような構造では、羽の付い
た板９をフライホイールと別個に製作する必要が
あるため部品点数が増加して構造が複雑になると
いう問題があつた。

また上記の磁石発電機では、フライホイール１
の周壁に磁石位置決め用の打出し部１ｂを設ける
必要があつたため、フライホイールの加工が面倒
であつた。

更に板９をフライホイールに組込む際には送風
羽９ａ，９ａ，…とフライホイールの周壁部の通
風孔１ｄ，１ｄ，…との位置を合せる作業が必要
になるため、組立て作業が面倒になるという問題
もあつた。

本出願人は、先に、フライホイールの周壁部の
一部を径方向の内側に切り起すことにより該周壁
部に送風羽を一体に設けた磁石発電機を提案した
（実願昭58−73942号）。このように、フライホイ
ールの周壁に送風羽を一体に形成すれば、送風羽
を有する板を取付ける必要が無いため、部品点数
の削減を図ることができる。しかしながら、フラ
イホイールの周壁に送風羽を形成する構造を採用
した場合には、全ての送風羽を一度に加工するこ
とができないため、送風羽の形成（打抜き加工と
折曲げ加工）を数工程に分けて行う必要があり、
フライホイールの加工の為に要する工数が多くな
るという問題がある。

またこの先に提案された磁石発電機では、送風
羽がフライホイールの周壁にあるため、固定子の
発電コイルに直接送風することができず、発電コ
イルに対する送風量が少なくなつて冷却効率が低
下するという問題があつた。

本考案の目的は、部品点数を増加させることな
く、且つ製造工数を増大させることなく、冷却用
の送風羽を設けることができるようにするととも
に、発電コイルの冷却効率を向上させることがで
きるようにしたフライホイール磁石発電機を提供
することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、カツプ状に形成されたフライホイー
ルの周壁部の内周面に永久磁石を取付けた磁石回
転子と、磁石回転子の内側に配置された固定子と
を備えたフライホイール磁石発電機に係わるもの
である。

本考案においては、フライホイールの底壁部の
一部を該フライホイールの内側に切り起こして該
フライホイールの周方向に所定の間隔をあけて放
射状に並ぶ多数の送風羽を形成する。

また多数の送風羽を切り起すことによりフライ
ホイールの底壁部に放射状に形成された多数の孔
をフライホイールの内外を連通させる多数の通風
孔とする。

更にフライホイールの周壁部側に位置する各送
風羽の外側端部が永久磁石の内周面よりも径方向
の外側に位置するように各送風羽を設け、送風羽
の外径側端部に永久磁石の端面の内周寄りの部分
を当接させることにより永久磁石をフライホイー
ルの軸線方向に位置決めする。

［作用］ 上記の発電機において、磁石回転子が回転する
と、送風羽により通風孔を通して流れる空気流が
生じ、この空気流により、固定子の発電コイルや
機関が冷却される。特に本考案のように送風羽を
フライホイールの底壁に設けると、該送風羽を発
電コイルに対向する位置に配置することができる
ため、発電コイルに直接送風して発電コイルの冷
却を良好にすることができる。

更に本考案のようにフライホイールの底壁部に
送風羽を一体に設けると、送風羽を有する板を設
けることを必要としないため、部品点数を削減し
て組立てを容易にすることができる。

また本考案のように各送風羽に磁石位置決め部
を設けて、該位置決め部に磁石の端面の内周寄り
の部分を当接させることにより磁石を軸線方向に
位置決めするようにすると、磁石の位置決めを容
易に行うことができる。

従来磁石の位置決めはフライホイールの周壁に
設けた打出し部に磁石の端面を当接させることに
より行なわれていたが、本考案によれば、このよ
うな打出し部は不要になり、フライホイールの加
工を容易にすることができる。

更に上記のように、フライホイールの底壁に送
風羽を設けると、フライホイールの底壁に型を当
ててプレス加工を施すことにより全ての送風羽の
形成を一度に行うことができる。従つてフライホ
イールの加工に要する工数の削減を図ることがで
き、コストの低減を図ることができる。

［実施例］ 以下添附図面を参照して本考案の実施例を説明
する。

第１図乃至第５図において、１０はほぼカツプ
状に形成された鉄製のフライホイールで、このフ
ライホイールの周壁部１０ａの内周面には弧状
の、またはリング状の永久磁石１１が配置されて
いる。フライホイールの底壁部１０ｂの中央には
孔１０ｃが設けられ、該孔１０ｃの周辺部にはボ
ス位置決め用の打出し部１０ｄが設けられてい
る。孔１０ｃには回転軸取付け用のボス１２の胴
部１２ａが嵌合され、ボス１２のフランジ部１２
ｂがフライホイールの底壁部の外面に当接されて
いる。ボスのフランジ部１２ｂには上記打出し部
１０ｄが嵌入する凹部が設けられ、該凹部と打出
し部１０ｄとの係合によりボス１２の回り止めが
図られている。ボスのフランジ部１２ｂは図示し
ないリベツトによりフライホイールの底壁部１０
ｂに固定されている。

フライホイール１０の底壁部１０ｂには、周方
向に所定の間隔をあけて、フライホイールの内側
に斜めに突出する（第３図及び第４図参照。）多
数の送風羽１４，１４，…が放射状に設けられて
いる。これらの送風羽は、底壁部１０ｂの周方向
に所定の間隔をあけて多数のほぼコ字状の切り込
みを形成した後、各切り込みの内側の部分をフラ
イホイールの内側に押し曲げることによつて、す
なわち、底壁部１０ｂの一部をフライホイールの
内側に切り起こすことによつて、フライホイール
と一体に形成される。従つて第５図に示したよう
に、送風羽１４，１４，…にそれぞれ隣接する位
置には、フライホイールの内外を連通させる通風
孔１５，１５，…が放射状に形成されている。

送風羽１４，１４，…はフライホイール１０の
内側に配置される固定子６の発電コイル５に対向
する位置に設けられ、フライホイールの回転に伴
つて通風孔１５から導入された外気が送風羽１４
により発電コイル５に吹付けられるようになつて
いる。なお各送風羽１４の傾斜角、傾斜方向及び
高さは送風すべき風の量に応じて、適宜に設定す
る。

本考案では、フライホイール１０の周壁部側に
位置する各送風羽１４の外側端部が永久磁石１１
の内周面よりも径方向の外側に位置するように各
送風羽１４が設けられ、送風羽１４，１４，…の
外側端部に永久磁石の端面の内周寄りの部分が当
接されて永久磁石がフライホイールの軸線方向に
位置決めされる。

本実施例では、所定の送風量を得るために各送
風羽の高さ寸法がフライホイールの底壁部内面と
各磁石の端面との間の距離よりも大きく設定され
ているため、各送風羽１４の磁石１１側の端部の
底壁部１０ｂからの突出高さが他の部分より低く
設定されて、該高さが低く設定された部分により
磁石位置決め部１６が構成され、送風羽１４の磁
石位置決め部１６とその他の部分との間には段差
が形成されている。このように送風羽１４の外側
端部を磁石位置決め部１６として、該磁石位置決
め部に磁石の端面の内周寄りの部分を当接させる
ようにすると、フライホイールの周壁に打出し加
工を施さずに磁石１１の位置決めを容易に図るこ
とができる。この場合、各磁石位置決め部は磁石
１１の内周寄りの部分にのみ当接するように設け
られるので、磁石位置決め部により磁石の両磁極
が短絡されることがない。

磁石１１は上記磁石位置決め部により位置決め
された状態で、接着等の任意の方法でフライホイ
ールの周壁部１０ａに固定され、所定の極数の磁
極が得られるようにフライホイールの径方向に着
磁されている。

上記フライホイール１０及び磁石１１により磁
石回転子１７が構成され、この磁石回転子はその
ボス１２を図示しない機関の出力軸等に嵌着する
ことにより、機関に取付けられる。

固定子６は第６図に示した従来の発電機の固定
子と同様に鉄心４に発電コイル５を巻回したもの
からなり、磁石回転子１７の内側に該回転子と同
心的に配置されて機関のケースやカバー等に設け
られた取付け部に固定さる。

上記の磁石発電機において、磁石回転子１７が
例えば第１図において反時計方向に回転すると、
送風羽１４によりフライホイールの外側から内側
に向かう空気流が生じ、該空気流が発電コイル５
に直接吹付けられて該コイルが効率良く冷却され
る。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、フライホイー
ルの底壁の一部を切り起こすことにより送風羽と
通風孔とを形成したので、何等部品点数を増加さ
せることなく、発電機の冷却を図ることができる
利点がある。また各送風羽に磁石位置決め部を形
成したので、磁石の位置決め部を別個に設けるこ
となく磁石の位置決めを図ることができ、部品点
数の削減を図ることができることと相俟つて、磁
石回転子の構造を簡単にすることができる利点が
ある。特に本考案においては、送風羽がフライホ
イールの底壁に設けられているので、該送風羽を
発電コイルに対向する位置に配置することがで
き、発電コイルに直接送風して発電コイルの冷却
を良好にすることができる。またフライホイール
の底壁に送風羽を設けたので、フライホイールの
底壁に型を当ててプレス加工を施すことにより全
ての送風羽の形成を一度に行うことができる。従
つてフライホイールの加工に要する工数の削減を
図ることができ、コストの低減を図ることができ
る実益がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す正面図、第２図
は第１図の−線断面図、第３図は本考案で用
いるフライホイールの正面図、第４図は第３図の
−線断面図、第５図は第３図の−線断面
図、第６図は従来例を示す縦断面図である。 ４……鉄心、５……発電コイル、６……固定
子、１０……フライホイール、１１……永久磁
石、１２……ボス、１４……送風羽、１５……通
風孔、１６……磁石位置決め部、１７……磁石回
転子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 カツプ状に形成されたフライホイールの周壁部
   の内周面に永久磁石を取付けた磁石回転子と、前
   記磁石回転子の内側に配置された固定子とを備え
   てなるフライホイール磁石発電機において、 前記フライホイールの底壁部の一部が該フライ
   ホイールの内側に切り起こされて該フライホイー
   ルの周方向に所定の間隔をあけて放射状に並ぶ多
   数の送風羽が形成され、 前記多数の送風羽を切り起すことにより前記フ
   ライホイールの底壁部に放射状に形成された多数
   の孔により前記フライホイールの内外を連通させ
   る多数の通風孔が形成され、 前記フライホイールの周壁部側に位置する各送
   風羽の外側端部が前記永久磁石の内周より外側に
   位置するように各送風羽が設けられ、 前記送風羽の外側端部に前記永久磁石の端面の
   内周寄りの部分が当接されて該永久磁石が前記フ
   ライホイール軸線方向に位置決めされていること
   を特徴とするフライホイール磁石発電機。