JPH0131772Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は、とくにボルト締め部品の取付けにお
いて片側からの接近しか可能でないようなボルト
継手位置用の通しボルト継手に関する。

従来技術とその問題点 通しボルト継手において、通しボルトを接合部
材の貫通開口の片側から組込んで他方側からナツ
トを締めて固定するために、ねじ継手位置の両側
から接近可能な場合に、接合部材を通しボルトと
ナツトとで結合することは既知である。したがつ
て片側からしか接近が可能でないようなねじ継手
位置の場合、通常のボルトとナツトとでこのよう
な通しボルト継手を形成することは不可能であ
る。

通しボルト継手が望ましいときまたはぜひ必要
なときは、たとえば機械部分の寸法を大きめにし
ておかなければならない。このために構造が不必
要に大きくなり重くなる。

考案の要約 本考案の課題は、ボルト継手位置の接近可能な
側から接合部材の貫通開口内へ通しボルトが組込
まれ、接近可能でない側でボルト頭が開口縁から
頭を出して保持面が接合部材上に当接することに
より、このときねじ込まれたナツトを締め付けて
固定が可能で、その結果、通しボルト継手が形成
され、さらにこの通しボルト継手は再び取外し可
能であつて締結部品はすべて再使用可能であるこ
とを基礎にしている。

この課題は本発明により、通しボルトはボルト
胴中心軸に対ち寸法「ｅ」だけ偏心した円柱形ボ
ルト頭を有し、こゝでボルト頭の直径は、それが
ちようど接合部材の貫通間口内へ挿入可能な大き
さとすることにより解決される。

このように構成された通しボルトはまずスリー
ブの貫通孔内に挿入され、こゝでこの貫通孔は同
時にスリーブ軸に対し寸法「ｅ」だけ偏心して設
けられ、スリーブは円柱形ボルト頭と同一直径を
有している。組込み状態における円柱形ボルト頭
とスリーブとの相対位置は１箇所しかなく、円柱
形ボルト頭とスリーブとがぴつたり一致したとき
両者は共に接合部材の貫通開口内へやつと組込み
可能となる。この位置はボルト頭の保持面に設け
られた拘束キーにより常に確実に決定され、すな
わち拘束キーはスリーブの組込側に設けられた貫
通溝の中で回転方向に一体形状係合を形成するの
である。通しボルトはスリーブとともにボルト頭
側から接合部材の開口内へ挿入されてボルト頭が
貫通開口の外まで達すると、通しボルトを持上げ
ることにより拘束キーと溝との間の一体形状係合
は引離されて通しボルトは回転可能となる。この
とき通しボルトが180度角だけ反対側に回転され
て引き戻されると、拘束キーはボルト軸に沿つて
スリーブに設けられた貫通長手スリツト内にて一
体形状係合を形成する。この状態において通しボ
ルトは拘束キーを介してスリーブと相対回転が不
可能なように結合される。180度角の回転と設け
られた偏心とにより、ボルト頭は接近不可能な側
において、貫通開口の開口縁と係合し、保持面を
接合部材の表面に当接させる。ボルト頭と接合部
材との間の接触面はしたがつて、通常のように円
形リング形状ではなくて三日月形であり、中央の
最も幅の広い位置で「2e」の寸法を有する。

座金を装着しナツトをねじ込むことにより通し
ボルト継手は完成する。

通しボルトとスリーブとの間の一体形状結合に
より、スリーブがたとえ自軸のまわりに回転した
としても、ボルト頭と接合部材との間の当接は常
に確実に最大の三日月形接触面で保持される。

通しボルト継手の弛緩は工程を逆に行えばよ
い。円柱形ボルト頭の周囲には切削歯が設けられ
ているので、木材、プラスチツク、セメントなど
のような軟らかい材料料からなる接合部材の袋穴
内でボルト頭が180度回転するとボルト頭はこれ
らの部材を切削する。これはとくに、接合部材が
壁のように厚かつたり貫通開口を設けることが好
ましくないときなどにはとくに有利である。

袋穴の内部でスリーブの周囲に、拘束歯、切削
歯、ねじなどを設けることが可能で、スリーブは
これにより補強されて接合部材と摩擦係合が可能
である。また着脱式座金が装着可能なように、ス
リーブはフランジを有している。ボルト継手を弛
緩するときナツトは完全に抜取る必要はないの
で、ねじ端をいく山かつぶすか、またはねじ端に
貫通スリツトを設けて相互に押拡げるかすること
により、ナツトの粉失が防止可能である。この場
合通しボルトと、座金と、ナツトとは１つの単位
を構成する。スリーブと通しボルトないし接合部
材との間にもねじ結合を設けることが可能であ
る。

発明の効果 本考案によりられる利点は、 片側からのみしか接近可能でないボルト継手位
置において、通しボルト継手のためにのみ構造物
の寸法を大きくするという必要もなく、着脱可能
で確実な通しボルト継手が形成可能なこと； 接合部材とくに回転部材はスリーブを介して一
体形状係合をなし、遊びがなく相互に結合され、
したがつてボルトにはボルト軸に垂直に作用する
動的な力が直接かからないこと； 通しボルトとスリーブとからなる構成単位はね
じの機能とボルトの機能とを有し、ボルトは軸方
向に締め付け部品を必要とせず開口からも簡単に
抜取り可能なこと； にある。

実施例 第１図に示す第１の実施例においては、両方の
接合部材１，２は通しボルトにより相互に結合さ
れ、このときボルト締め部品の取付けはボルト継
手位置の接近可能な側Ａからのみ行われる（第１
図）。

第１図は組込み状態における通しボルト継手の
たて断面図であり、こゝで通しボルト３はスリー
ブ４とともにボルト頭側から貫通開口５，６内に
組込まれて、ボルト胴中心軸ｘ−ｘに対し寸法
「ｅ」だけ偏心した円柱形ボルト頭７が貫通開口
５の外側にちようど突出した状態にある（第１
図）。

通しボルト３はこの場合スリーブ４の貫通孔８
内にあり、貫通孔８は同時にスリーブ中心軸ｙ−
ｙに対し寸法「ｅ」だけ偏心して設けられてい
る。円柱形ボルト頭７の直径「ｄ」は、ボルト頭
７が貫通開口５，６内にちようど挿入可能な大き
さに選定される。スリーブもボルト頭７と同一直
径「ｄ」を有し、したがつて組込み状態における
円柱形ボルト頭７とスリーブ４との相対位置は１
箇所しかなく、円柱形ボルト頭とスリーブとがぴ
つたり一致したとき通しボルト３はスリーブ４と
共にボルト頭側から貫通開口５，６内へ組込み可
能である。この位置はボルト頭７の保持面２３に
設けられた拘束キー９（第２図、５図、６図）と
スリーブ４の組込側の正面１０に設けられた貫通
溝１１（第２図、４図）との間の一体形状係合に
より決定される。スリーブ４の最も幅の狭い側、
すなわち溝１１の反対側にスリーブ軸に沿つて貫
通スリツト１２（第７図）が設けられ、したがつ
てスリーブ４は片側が開放している（第８図）。

円柱形ボルト頭７が貫通開口５の外側に達した
とき通しボルト３だけを押すと拘束キー９と溝１
１との間の一体形状係合は引離されて、こゝでス
リーブ４に対し通しボルト３は回転可能となる。
こゝで通しボルト３がスリーブ４に対し180度角
だけ反対側に回転されて引戻されると、両側に傾
斜面１３，１４を有する拘束キー９はスリツト１
２の両側の傾斜面１５，１６（第９図）内に押し
つけられて一体形状係合が形成される（第３図）。
180度角の回転と設けられた偏心とにより、円柱
形ボルト頭７は貫通開口５の縁と係合し、保持面
２３を接合部材１の表面１７に当接させる。ボル
ト頭７と接合部材１との間の接触面はこのとき三
日月形であり、中央の最も幅の広い位置で「2e」
（第４図）の寸法を有する。スリーブ４がたとえ
自軸のまわりに回転したとしても、この接触面は
拘束キー９とスリツト１２との間の一体形状結合
により常に保持される。

座金１９を装着したのちこの状態でナツト１８
が堅く締付けられる。

スリーブ長さは、スリーブ４が両側の表面１
７，２０間の距離より常に短かくなるように選択
され、したがつて接合部材との十分な当接が確実
に行われる。

傾斜面１３，１４は、拘束キー９がスリツト１
２の両側の傾斜面１５，１６上に押付けられ、
こゝで自緊結合が形成されるように選択される。
このときスリーブ４は押拡げられ、押付けられて
貫通開口５，６内の遊びがなくなり、これにより
両接合部材１，２は、とくに一方から他方へ回転
モーメントが伝達されるとき、相互に遊びがなく
回転方向に一体形状に結合される。スリーブ４は
このとき打込みボルトの機能をなすが、しかしこ
のボルトは軸方向締結部品を必要とせずまた簡単
に分解も可能である。

このような構造の通しボルト継手の利点は、接
合部材に動的な負荷がかゝつた場合、通しボルト
には、とくにボルト軸に垂直に作用する繰返し荷
重がかゝらないので、ねじ結合の自動的な弛緩の
原因となるボルトとナツトとの間のねじの傾斜は
回避されることにあることは明白である。さらに
通しボルトのせん断歪は、スリーブにより実質的
に軽減される。

ボルト軸に垂直に貫通する溝２１がボルト端に
設けられ、この溝２１は円柱形ボルト頭７がいず
れの側にあるかを指示するばかりでなく、ねじま
わしで通しボルトを保持する役もなす。

通しボルト継手を弛緩するときは、ナツト１８
は完全に取外すかまたは拘束キー９と傾斜部を有
するスリツト１２との間の一体形状係合がボルト
軸方向に解放されるかのいずれかであり、これに
よりボルト頭７は最初の位置に戻すことが可能で
ある。このあと通しボルト３はスリーブ４と、座
金１９と、ナツト１８とともに抜取りが可能であ
る。ナツト１８は完全に抜取る必要はないので、
ボルト端の溝２１を押拡げることによりボルト端
のねじ部が変形し、これにより、ナツト１８はも
はや抜取り不可能となる。このようにすればナツ
ト１８は粉失することもなく、これにより通しボ
ルト３はスリーブ４と、座金１９と、ナツト１８
とともに着脱可能な一組の単位を構成する。

第１０図から第１３図に示す第２の実施例で
は、接合部材３０は通しボルトにより左官工事の
壁３１に固定される（第１２図）。

壁３１は厚いので、貫通開口を形成することは
この場合無意味なので、その代りに壁３１の中に
袋穴３２だけが開けられる。第１０図は通しボル
ト３３がスリーブ３４とともに袋穴３２内に組込
まれた状態を示す。通しボルト３３は、ボルト胴
中心軸に対し寸法「ｅ」だけ偏心して配置され周
囲に焼入切削歯２２（第１１図、第１２図）を設
けた円柱形ボルト頭３５を有する。スリーブ３４
は通しボルト３３に適合するねじ孔３６を有し、
ねじ孔３６は同時にスリーブ中心軸に対し寸法
「ｅ」だけ偏心し、通しボルト３３はこのねじ孔
３６内にねじ込まれ、これによりボルト頭の保持
面３７はスリーブ３４の組込側正面３８と密接
し、ボルト頭３５がスリーブに対しこのような相
対位置にあるとき通しボルト３３はスリーブ３４
とともにボルト頭側から袋穴３２内に組込み可能
である（第１０図、第１１図）。

袋穴３２内のスリーブ周囲に歯ないしはぎざぎ
ざが設けてあるので、スリーブ３４は袋穴３２内
に打込みにより捕獲係合し、最後にフランジ３９
が衝当する（第１０図）。

こゝで通しボルト３３がボルト端に設けられた
四角タツプ４０を介して−ボルト頭からみた方向
で−ねじ込まれると、180度角の回転後切削歯２
２は左官工事の壁内へ切込んで袋穴内の円柱形ボ
ルト頭３５の空間を削り出す（第１３図）。この
ときボルト頭３５の保持面３７はスリーブ３４の
正面３８に当接する（第１２図）。

こゝで接合部材３０の取付けが可能となる。取
付け後ナツト４１がねじ込まれて固く締付けられ
るが、このとき通しボルト３３は四角タツプ４０
（第１０図、第１２図）により動かないよう保持
される。

このようにして袋穴内の通しボルト継手が形成
される。偏心したボルト頭３５により、スリーブ
３４は壁３１と摩擦係合で結合されるばかりでな
くボルト軸方向にも一体形状結合され、したがつ
てこのボルト継手は摩擦係合で結合される植込み
ボルトを使用する場合よりも確実である。

以上の記述から、ボルト頭７ないし３５はそれ
ぞれ、ボルト中心軸に対し非対称に配置された保
持部材の機能を有することがわかる。この保持部
材は必ずしも円板状ないし頭状に形成されるだけ
でなく、たとえば棒状に形成しても構わないの
で、第１図、第３図、第１０図および第１２図の
断面図と同様に、総称してかぎ状ボルトといえ
る。

【図面の簡単な説明】

(1) 第１の実施例： 第１図は組込み状態における通しボルト継手の
たて断面図、第２図は第１図のａ−ａ断面図、第
３図は締結状態における通しボルト継手のたて断
面図、第４図は第３図のｂ方向平面図、第５図は
通しボルトの正面図、第６図は第５図のｃ方向平
面図、第７図はスリーブのたて断面図、第８図は
第７図の平面図、第９図はスリーブのたてスリツ
ト内の拘束キーの位置図（２倍に拡大）、 (2) 第２の実施例 第１０図組込み状態における袋穴との通しボル
ト継手のたて断面図、第１１図は第１０図のｄ−
ｄ断面図、第１２図は締結状態における袋穴との
通しボルト継手のたて断面図、第１３図は第１２
図のｅ−ｅ断面図である。 １，２……接合部材、３……ボルト、４……貫
通スリーブ、５，６……貫通開口、７……保持部
材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 相互に直線に並ぶ貫通開口５，６が設けられ
   た相互に接合すべき接合部材１，２の貫通開口
   ５，６に外径が一致する貫通スリーブ４内にボ
   ルト３を有し、ボルト３の端部に、ボルト中心
   軸を横切つて同軸に対し非対称形で、ボルト径
   より幅の広い保持部材７を有する通しボルト継
   手において； ボルト３は貫通スリーブ４内で偏心して配置
   されていること； 保持部材７の幅は最大でも貫通開口５，６の
   内径に対応し、この幅の方向の保持部材の非対
   称性は貫通スリーブ４内のボルト３の偏心度
   （ｅ）に対応すること； を特徴とする通しボルト継手。 (2) 貫通スリーブ４はとくにその最も幅の狭い側
   で長手スリツト１２が設けられていることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記載
   の通しボルト継手。 (3) 貫通スリーブ４は一端に横溝１１を有し、ボ
   ルト３はこれに係合する拘束キー９を有し、ボ
   ルト３を回転して保持部材７とボルト４とが同
   心位置にきたときこの拘束キー９が横溝１１と
   の対向位置にくることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項または第２項に記載の通し
   ボルト継手。 (4) 長手スリツト１２と横溝１１とは相互に直径
   反対側にあることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第２項または第３項に記載の通しボル
   ト継手。 (5) 拘束キー９は貫通スリーブ４内に収斂するよ
   うに形成されていることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第３項または第４項に記載の通
   しボルト継手。 (6) 拘束キー９はボルト３の直径面に対し傾斜す
   る側面１３，１４を有することを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第５項に記載の通しボル
   ト継手。 (7) 貫通スリーブ４の長手スリツト１２は拘束キ
   ー９に対向する端部で拘束キー９の方向に発散
   するように形成されていることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第６項に記載の通しボル
   ト継手。 (8) ボルト３は保持部材７とは反対側の端部に横
   溝２１を有することを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲前記各項のいずれかに記載の通しボ
   ルト継手。 (9) 貫通スリーブ３４はボルト３３用の内ねじ３
   ６を有することを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲前記各項のいずれかに記載の通しボルト
   継手。 (10) 貫通スリーブ３４は保持部材３５とは反対側
   の端部にフランジ３９を有することを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第９項に記載の通し
   ボルト継手。 (11) 保持部材３５は最外端に切削歯４１を有する
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第９
   項または第10項に記載の通しボルト継手。 (12) 貫通スリーブ３４はその外周に、ぎざぎざ歯
   を設けたり、のこ歯切り欠きを設けたり、また
   はねじを設けていることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第９項、第10項または第11項に
   記載の通しボルト継手。 (13) ボルト３３は保持部材３５とは反対側の端
   部に工具係合輪郭４０を有することを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第９項ないし第12項
   のいずれかに記載の通しボルト継手。 (14) 保持部材７は貫通開口５，６の内側輪郭に
   対応する外周輪郭を有する円板として形成され
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲前記各項のいずれかに記載の通しボルト継
   手。