JPH0128366Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ 本考案は従来の手動のシフトレバーで操作され
るシフトロツドを自動的に操作し得るようにした
車両の自動変速機に関するものである。

機関の負荷、回転数および車速などの入力信号
に基づくマイクロコンピユータの出力により自動
的に油圧回路を制御し、この油圧回路によつてシ
フトロツドを駆動する油圧アクチユエータを作動
させるようにした自動変速機は例えば特開昭54−
96659号公報などに既に提案されてはいるが、シ
フトロツドを駆動する油圧アクチユエータおよび
その油圧制御装置が、歯車変速機の主要部を変更
することなく従来のコードランドボツクス部に取
付けられ、歯車箱から上方への突出量が少なく全
体として平坦に構成され、油タンクが油圧アクチ
ユエータを隣接して一体的に形成されることが省
スペース上要求される。

本考案の目的は上述の課題を解決するために、
制御箱の余分な内部を削除し、電磁切換弁を支持
するハウジングとの間に油タンクを一体に備えた
自動変速機を提供することにある。

このため、本考案の構成は歯車箱の上側にシフ
トロツドを駆動する油圧アクチユエータを一体に
備える制御箱を重ね合せて結合し、制御箱の油圧
アクチユエータ相互の間に設けた油タンクとして
の窪みを、制御箱の上側に油圧アクチユエータの
油圧回路を制御する電磁切換弁を備えるハウジン
グを重ね合せて密閉したものである。

本考案を実施例に基づいて説明する。第２図に
示すように、本考案による自動変速機は公知の歯
車変速機の歯車箱の上側に従来のコートランドボ
ツクスに代る油圧アクチユエータ２１〜２３を備
えた（前進５段変速機の場合）制御箱２がフラン
ジ部２ａをボルトにより結合され、さらに制御箱
２の上側に各油圧アクチユエータ２１〜２３の油
圧回路を制御する６個の電磁切換弁３１〜３３，
３１ａ〜３３ａ（第５図）を備えたハウジング３
が結合される。

第１図に示すように、歯車箱４にはこの前後端
壁に軸受５，６をもつて図示してない主軸が支持
され、これに同期クラツチ機構のクラツチスリー
ブ７〜９が支持される。クラツチスリーブ７〜９
を軸方向に移動させるシフトアーム７ａ，８ａ，
９ａがそれぞれ別個のシフトロツド１０に支持さ
れ、これらのシフトロツド１０が各別に前述した
油圧アクチユエータ２１〜２３によつて図示の中
立位置から左方または右方へ押されると、所定の
変速段にそれぞれ変速されるようになつている。

シフトロツド１０はこの一端を制御箱２の端壁
に摺動可能に支持される一方、他端を油圧アクチ
ユエータ２１に結合される。油圧アクチユエータ
２１は制御箱２の左端部に形成した大径シリンダ
３４に大径ピストン３６を嵌合し、小径シリンダ
３５にシフトロツド１０と一体をなす小径ピスト
ン３７を嵌合して構成される。さらに、円筒部を
備える大径シリンダ３６に中間ピストン３８が嵌
合される。大径シリンダ３４の端部はシール部材
を介し蓋３９によつて閉鎖される。大径シリンダ
３４の端室に連なる通路４１は電磁切換弁３１を
経て油圧源Ｐまたは油タンクＲへ切換え接続され
る。大径シリンダ３４と小径シリンダ３５の段部
３４ａは通路４２を経て油タンクＲと接続され
る。小径シリンダ３５の端室に連なる通路４４は
電磁切換弁３１ａを経て油圧源Ｐまたは油タンク
Ｒへ切換え接続される。電磁切換弁３１，３１ａ
は他の油圧アクチユエータ２２，２３の電磁切換
弁３２〜３２ａ，３３〜３３ａとともにハウジン
グ３に取付けられる。

制御箱２に形成される油圧アクチユエータ相互
間の肉部を削除して窪み４３が形成される。制御
箱２の上側に結合したハウジング３により前記窪
み４３が閉鎖され、これにより油タンクＲが構成
される。この油タンクＲは通路４５に導管を接続
して、図示してない油圧ポンプの吸込口に接続さ
れる。また、油タンクＲは通路４６を経て軸穴４
７に連通され、シフトロツド１０の摺動部を潤滑
するようになつている。

第３図に示すように、各シフトロツド１０には
これを３位置に弾性的に保持するデイテント機構
が設けられる。すなわち、両側のシフトロツド１
０については制御箱２の側壁に舗合したボルト５
６の内側にばねおよびボール５９が収容され、こ
のボール５９がシフトロツド１０の窪み５８に弾
性的に係合される。中央のシフトロツド１０につ
いても同様のデイテント機構が備えられるが、こ
の場合ボルト５６は第１図に示すように、制御箱
２の上壁に取付けられる。

また、何れか１つのシフトロツド１０が中立位
置から所要の変速段へ操作された場合に、他のシ
フトロツド１０が中立位置に保持されるようにイ
ンタロツク機構６０が備えられる。すなわち、各
シフトロツド１０を支持する制御箱２の中間壁部
２ｂにシフトロツド１０と直角方向に延びる穴６
２が、また中央のシフトシフトロツド１０にこれ
を横切る穴６３がそれぞれ設けられ、さらに両側
のシフトロツド１０の側面に窪み６４がそれぞれ
設けられる。各穴６２に細長いインタロツクピン
６５が、穴６３に短いインタロツクピン６６がそ
れぞれ嵌装され、何れか１つのシフトロツド１０
を中立位置から所定の変速段へ操作すると、その
シフトロツド１０の窪み６４または穴６３からイ
ンタロツクピン６５，６６が排除されて、他のシ
フトロツド１０の穴６３または窪み６４へ係合さ
れるようになつている。

油タンクＲとしての窪み４３は第４図に格子模
様で表すように制御箱２の上面に形成される。こ
の油タンクＲはこの底部に通路４２，４４が設け
られるとともに、取付面６８にハウジング３を重
合せ結合して閉鎖される。

第５図に示すように、各油圧アクチユエータ２
１〜２３の両端室を油圧源Ｐまたは油タンクＲへ
接続するために、各端室ごとに電磁切換弁が接続
される。すなわち、油圧アクチユエータ２１の場
合について説明すれば、油圧源Ｐから電磁切換弁
３１ａを経て大径シリンダ３４へ圧油が送られる
かまたは大径シリンダ３４の油が油タンクＲへ戻
される。また、油圧源Ｐから電磁切換弁３１を経
て小径シリンダ３５へ圧油が送られるかまたは小
径シリンダ３５の油が油タンクＲへ戻される。各
電磁切換弁３１，３１ａは戻しばね２７の力によ
つて通常は図示の状態にあつて端室を油タンクＲ
へ接続しており、励磁されると戻しばね２７の力
に抗して弁体が移動され、油圧アクチユエータ２
１のシリンダ室を油圧源Ｐへ接続するように構成
される。

次に、本考案による自動変速機の作動について
油圧アクチユエータ２１を代表して説明する。第
５図において電磁切換弁３１ａを励磁すると、油
圧源Ｐから大径シリンダ３４へ圧油が供給され、
小径ピストン３７によつてシフトロツド１０が右
方へ押され、所定の変速段すなわち１速段の歯車
の噛合いが達成される。

電磁切換弁３１ａを消磁しかつ電磁切換弁３１
を励磁すると、油圧源Ｐの圧油が電磁切換弁３１
を経て小型シリンダ３５へ送られるとともに、大
径シリンダ３４の油が油タンクＲへ戻される。小
径ピストン３７および大径ピストン３６が左方へ
押されるととともに、シフトシフトロツド１０が
追随して所定の変速段すなわち後進段の歯車の噛
合いが達せられる。

電磁切換弁３１，３１ａを励磁すると、両端室
へ圧油が送られ、図示の中立位置へ戻される。こ
のように、各油圧アクチユエータ２１〜２３の油
圧回路に備えられる１対の電磁切換弁３１〜３
３，３１ａ〜３３ａの一方または両方を励磁する
ことによつて、各油圧アクチユエータの作動位置
を３位置に切換えることができる。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、歯車箱の上側にシフト
ロツドを駆動する油圧アクチユエータを一体に備
える制御箱を重ね合せて結合し、制御箱の油圧ア
クチユエータ相互の間に設けた油タンクとしての
窪みを、制御箱の上側に油圧アクチユエータの油
圧回路を制御する電磁切換弁を備えるハウジング
を重ね合せて密閉したから、油圧ポンプを接続す
るだけで油圧回路が形成され、構造が簡単で組立
てが容易である。

装置全体として軽量小形であり、歯車箱から上
方への出張りが少ないので、車両の床面からの出
張りが抑えられる。

また、電磁切換弁の作動不良が生じた場合は、
ハウジングを外して簡単に交換できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る歯車変速機本体を省略し
て示す側面断面図、第２図は同正面図、第３図は
同平面断面図、第４図は同制御箱の平面図、第５
図は同自動変速機の油圧回路図である。 Ｒ……油タンク、２……制御箱、３……ハウジ
ング、４……歯車箱、１０……シフトロツド、１
２……送り通路、２１〜２３……油圧アクチユエ
ータ、２８……戻り通路、３１，３１ａ，３２，
３２ａ，３３，３３ａ……電磁切換弁、３４……
大径シリンダ、３５……小径シリンダ、３６……
大径ピストン、３７……小径ピストン、３８……
中間ピストン、４３……窪み。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 歯車箱の上側にシフトロツドを駆動する油圧ア
   クチユエータを一体に備える制御箱を重ね合せて
   結合し、制御箱の油圧アクチユエータ相互の間に
   設けた油タンクとしての窪みを、制御箱の上側に
   油圧アクチユエータの油圧回路を制御する電磁切
   換弁を備えるハウジングを重ね合せて密閉したこ
   とを特徴とする自動変速機。