JPH0126992Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、間仕切り壁に埋め込むタイプの空調
機に関するものである。

「従来の技術」 従来、間仕切り壁の上部、あるいはドア上部の
欄間部分といつた間仕切り壁の一部に、空調機を
埋設することによつて、省スペースを図り、居住
空間の模様替え作業等を容易にした埋め込み型空
調機が、実開昭59−195421号公報等において提案
されている。この提案の空調機は、薄型の空調機
を間仕切り壁の内部に、室内に連通させて設け、
間仕切り壁の室内側に突出する部分を殆ど無くす
るようにしたものである。そして、前記提案の空
調機はその上部の吸入口から吸入した室内空気を
内部の熱交換器によつて加熱または冷却し、その
下部の吐出口から室内に戻すことによつて室内空
気を循環させつつ空調をなすようになつている。

「考案が解決しようとする問題点」 ところが、前述の如き室内空気を循環させつつ
空調を行う構成であると、冷房時においては熱交
換に伴う除湿作用によつて低湿度の室気を送り出
す事ができるものの、暖房時においては、除湿作
用がないために室内空気の入れ換えに充分注意し
なければ、室内を高湿度にしがちであり、更に、
空調機内にフイルタを設けた事によつて若干の除
塵作用を期待することはできるものの、一酸化炭
素や炭酸ガス等の濃度上昇によつて室内空気が汚
染され易く、衛生面での問題を生じがちであつ
た。なお、特に寒冷地においては、寒冷期の暖房
負荷が大きく、部屋を締め切つておくことが多い
ために、換気回数が極端に少ない場合が一般的で
あり、前記汚染が顕著になる問題がある。また、
前述の如く室内空気を循環させつつ空調を行う構
成では、ドアの下端と床との間の隙間等から室外
（ドアの外のホールや廊下あるいは隣室等の非暖
房室）の冷気が隙間風となつて流入する、いわゆ
るコールドドラフト現象を生じ易く、不快感を覚
える問題がある。

「考案の目的」 本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、空
調とともに換気をなして室内空気の汚染を極力抑
えることができるとともに、室外からの隙間風の
流入を無くすることができる間仕切り壁埋設型空
調機を提供することを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 本考案は、前面に室内側吸気口と送風口を、ま
た背面に室外側吸気口を各々備え、前記前面を室
内に連通させ、前記室外側吸気口を室外の屋内空
間に連通させて間仕切り壁に埋設される空調機で
あつて、内部に室内側吸気口と室外側吸気口とか
ら取り入れた空気を混合して加熱または冷却する
熱交換器と、この熱交換器で調整された空気を送
風口から吐出させる送風機とを設けてなるもので
ある。

「作用」 室内側吸気口から室内の空気を、また、室外側
吸気口から室外の乾燥した空気を吸入し混合する
とともに熱交換機で加熱または冷却して送風口か
ら室内に送風することによつて、室内を低湿度に
保ちつつ空調を行うとともに、室外空気を室内に
取り入れて室内を正圧状態にすることによつて隙
間からのコールドドラフト現象を無くする。

「実施例」 第１図と第２図は本考案の第１実施例を示すも
ので、室内Ａと、ホール等の室外Ｂを仕切る間仕
切り壁１に室内Ａと室外Ｂとに連通して出入り口
が形成され、この出入り口に設けられたドア枠兼
用の化粧枠２にこの出入り口を開閉自在にドア３
が取り付けられ、このドア３の上方に空調機５が
設けられている。

この空調機５は、間仕切り壁１と同程度の厚さ
の薄箱状のケース５Ａ内に、熱交換器５Ｂと送風
機５Ｃとを設け、更に、室内側吸入通路５Ｄと室
外側吸入通路５Ｅと送風通路５Ｆとを設けるとと
もに、ケース５Ａの前面上部に室内側吸入口５ａ
をまた前面下部に送風口５ｂを、更に、ケース５
Ａの背面上部に室外側吸入口５ｄを各々形成して
構成されたものである。また前記室内側吸入通路
５Ｄの一側が室内側吸入口５ａに連通し、室内側
吸入通路５Ｅの一側が室外側吸入口５ｄに連通す
るとともに、室内側吸入通路５Ｄの他側と室外側
吸入通路５Ｅの他側とがケース５Ａの内部で一体
になつて熱交換器５Ｂの吸入側に連通し、前記送
風通路５Ｆが熱交換器５Ｂの吐出側と送風口５ｂ
とを連絡している。なおこの送風通路５Ｆ内に、
前記熱交換器５Ｂで調整された空気を送風口５ｂ
から吐出させる送風機５Ｃが設けられている。

そして前記空調機５は、その前面を室内Ａに向
け、その背面を室外Ｂに向けて、ドア３の上方で
あつて、ドア３と天井６との間に無目鴨居４に支
持されて設けられ、空調機５が欄間を兼ねてい
る。なお、ドア３の下端部には切欠部３ａが形成
されている。

前述の如く設けられた空調機５を用いて室内Ａ
を暖房するには、熱交換器５Ｂと送風機５Ｃを作
動させる。これによつて送風機５Ｃは、図面の矢
印に示すごとく、室内側吸入口５ａから室内Ａの
空気を取り込むとともに室外Ｂの空気を室外側吸
入口５ｄから取り込み、この空気を熱交換器５Ｂ
で暖めて送風口５ｂから室内Ａに吹き出す。

ここで、空調機５は室外Ｂの低湿度で新鮮な空
気を室内Ａに取り入れつつ暖房するために、従来
の室内空気を循環暖房する空調機に比較して、室
内Ａの一酸化炭素や炭酸ガス濃度等による空気汚
染度の上昇を極力抑えることができ、室内空気を
新鮮な状態で保持しつつ暖房できる。また、室外
Ｂの空気は人が居る室内Ａに比較して低湿度のた
めに、空調機５を用いて暖房するならば、室内Ａ
を低湿度に保持しつつ暖房可能である。

また、空調機５を用いて空調を行うならば空気
を室外Ｂから室内Ａに取り入れることになるため
に、室内Ａは室外Ｂに比較して正圧になり、室内
Ａの空気はドア３の切欠部３ａ等の隙間から室外
Ｂに出る事になるために、室外Ｂから室外Ａに隙
間風が流入することもない。

第３図と第４図は、本考案の他の実施例を示す
もので、この例にあつては、室外側吸入口５ｄに
開閉自在のがらり７を設けたものである。

本実施例では、このがらり７を空調機５の作動
中に適宜開閉することによつて室外Ｂから室内Ａ
に取り入れる空気量を調節しつつ室内Ａの空調を
なしうる。

なお、がらり開閉用のモータ等の駆動手段を設
け、室内Ａに室内空気の汚染度を検知するセンサ
を設けておき、このセンサによつて前記駆動手段
を制御する構成にするならば、室内Ａの空気が汚
れてきた場合に自動的にがらりを開けて室外Ｂの
空気を吸入するようにすると室内Ａの空気を新鮮
に保ちつつ冷暖房できる。

第５図は本考案の更に別の実施例を示すもの
で、この実施例は、ドア３の切欠部３ａ近くの室
外Ｂの床１０に、吸入口１０ａを形成し、この吸
入口１０ａを床下に設けた室外機１１の吸入側に
吸入ダクト１２によつて連絡し、更に床１０に排
出口１０ｂを室外機１１の排出側に排出ダクト１
３によつて連絡して構成されている。

この実施例では、切欠部３ａから出た室内Ａの
高湿度の空気を室外機１１の熱交換器によつて冷
却し、除湿した後に室外Ｂに戻すことによつて室
外Ｂの湿度上昇を抑え、室外Ｂでの結露を防止す
る。

なお、空調機５の配管は天井裏の空間あるいは
間仕切り壁内を利用すればよい。また、空調機５
の埋設場所はドア３の上に限らず間仕切り壁の内
部でもよく、ドア３に設ける切欠部３ａは省略し
てもよい。

「考案の効果」 以上説明したように本考案は、前面に室内側吸
気口と送風口を、また背面に室外側吸気口を各々
備え、前記前面を室内に連通させ、前記室外側吸
気口を室外の屋内空間に連通させて間仕切り壁に
埋設される空調器であつて、内部に室内側吸気口
と室外側吸気口とから取り入れた空気を加熱また
は冷却する熱交換器と、この熱交換器で調整され
た空気を送風口から吐出させる送風機とを設けた
ものであるために、室外の低湿度で新鮮な空気を
室内に取り入れつつ冷暖房をなしうる。したがつ
て室内空気の一酸化炭素濃度や炭酸ガス濃度等に
よる室内汚染度を向上させることがなく、しかも
室内を低湿度に保つことができるために結露も防
止できる。また、室内に室外の空気を取り入れつ
つ空調をなすために、室内が正圧になり、隙間か
らのコールドドラフト現象を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は本考案の一実施例を示すもの
で、第１図は斜視図、第２図は断面図、第３図と
第４図は本考案の他の実施例を示すもので、第３
図は斜視図、第４図はがらりの斜視図、第５図は
本考案の更に別の実施例の断面図である。 Ａ……室内、Ｂ……室外、１……間仕切り壁、
５……空調機、５Ｂ……熱交換器、５Ｃ……送風
機、５ａ……室内側吸入口、５ｂ……送風口、５
ｄ……室外側吸入口。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 前面に室内側吸気口と送風口をまた背面に室
   外側吸気口を各々備え、前記前面を室内に連通
   させるとともに、前記室外側吸気口を室外の屋
   内空間に連通させて間仕切り壁に埋設される空
   調機であつて、内部には、前記室内側吸気口と
   室外側吸気口とから取り入れた空気を加熱また
   は冷却する熱交換器と、この熱交換器で調整さ
   れた空気を前記送風口から吐出させる送風機と
   が設けられてなることを特徴とする間仕切り壁
   埋設型空調機。 (2) 空調機の間仕り切壁に対する埋設場所がドア
   上方の欄間部分であり、空調機のケースが欄間
   を兼ねる実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   間仕切り壁埋設型空調機。 (3) 室外側吸気口が開閉自在にされてなる実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の間仕切り壁埋設
   型空調機。