JPH0120505Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は液体燃料燃焼装置、特に石油等の液体
燃料を加圧してノズルにより噴霧すると同時にそ
の周囲から空気を供給して燃焼させる形式の燃焼
装置に関する。

従来、この種の液体燃料燃焼装置は燃焼方式が
拡散燃焼方式であるため、燃えない燃料が中心
部分を飛びそのために赤火となり易く、不完全燃
焼を起し易い、噴霧される液体燃料の粒径が大
きく、燃料と空気との混合が液体と空気との混合
であるため混合が悪く、炎の長さが非常に長くな
り大きな燃焼室を必要とする、不完全燃焼を起
し易いため煤が発生しやすい、バーナーコーン
が主としてステンレス製であるため、バーナーコ
ーンに付いた未燃焼の液体燃料が分解してタール
がバーナーコーン表面に付着する、保炎器を備
えており、保炎器上で乱流状態で保炎するように
なつているため、炎の乱れにより大きな燃焼音を
発する等の欠点があつた。

本考案は上記問題を解消し、完全燃焼若くは完
全燃焼に近い燃焼をさせると共に燃焼音を小さく
することを目的とするものである。

上記目的を達成するための本考案の基本的な構
成は、バーナーコーンを吸水性のある多孔質セラ
ミツクで形成してその軸方向中途部に狭頚部を設
けると共に狭頚部より前部をノズルの噴霧角度よ
り若干狭い角度をもつて前方へ拡開せしめて該部
にノズルから噴出される燃料噴霧がぶつかる様に
なし、未燃の液体を一時バーナーコーン内部に浸
み込ませ、これを自己の燃焼熱で加熱されたコー
ンの熱を利用して蒸発させ、蒸気として放出する
ようになすと共に燃料噴霧用ノズル手前に旋回羽
根を設けてこれに炎を付着させることなくコーン
内を流れる一次空気にのみ旋回を与えるものであ
る。

以下、本考案の一実施例を図に基づいて説明す
る。

図中２はガンタイプバーナーのバーナー筒、１
は送風器であり、両者は従来公知の構造、形態を
有し、燃焼に必要な空気が送風器１によりバーナ
ー筒２内に供給されるようになつている。

バーナー筒２は内部にバーナーコーン４を有す
る。

バーナーコーン４はバーナー筒２より若干小径
の筒体で、バーナー筒２内に該筒２と同軸に配設
され、その外周面とバーナー筒２内周面との間に
生じる間隙により二次空気通路３を形成する。

従つて送風器１によりバーナー筒２内に供給さ
れる空気は一部が二次空気通路３を通り、バーナ
ーコーン４の前端開口部に二次空気として供給さ
れ、他は一次空気としてバーナーコーン４内を流
れる。

上記バーナー筒２の前端には二次空気をバーナ
ーコーン４の前端開口部に円滑に導くためにバー
ナー筒２前縁を内向き斜め前方に折曲して形成し
た二次空気案内部８が設けられており、この案内
部８前端の稍々手前においてバーナーコーン４の
前端が開口している。

バーナーコーン４は吸水性を有する多孔質セラ
ミツクで形成し、その軸方向中途部に径を絞つた
狭頚部７を設けると共に上記狭頚部７より前方に
向かつて径を漸増する拡開部９に形成しており、
内部には上記狭頚部７の若干手前に燃料噴霧用ノ
ズル６と旋回羽根５を配備する。

上記バーナーコーン４の拡開部９は、燃料噴霧
用ノズル６から噴霧される液体燃料が拡開部９内
面にぶつかるように燃料噴霧用ノズル６の噴霧角
度より若干狭い角度に形成する。

旋回羽根５は、環状に配置した多数の羽根片を
有しており、これらの羽根片は燃料噴霧ノズル６
の手前に取りつけられて送風器１により供給され
てバーナーコーン４内を流れる一次空気に旋回を
与え得るように配列されている。

燃料噴霧用ノズル６は略60゜の噴霧角度を有す
る従来周知のノズルであり、旋回羽根５の前方の
位置に有つて、バーナーコーン４の狭頚部７に臨
んでおり、後部は加圧ポンプ１１を介して給油源
１２に連絡している。

尚、図中１３はイグナイター、１４はバーナー
コーン４をバーナー筒２内部においてバーナー筒
２と同軸に支持し固定する支持片である。

次に、この燃焼装置の作動を説明すると、先ず
送風機１から一次空気、二次空気が供給され次に
イグナイター１３から火花を飛ばす。このような
状態で燃料噴霧用ノズル６から燃料が噴霧される
と、噴霧燃料と一次空気の混合気が形成される。
と同時にこの混合気にイグナイターの火花が着火
し、バーナーコーン４部に火炎を形成する。この
時、一次空気は燃料噴霧用ノズル６後方の旋回羽
根により旋回を与えられ供給されるが、バーナー
コーン狭頚部７で、中央部に向けられる為バーナ
ーコーン狭頚部７の前方の拡開部が負圧域とな
る。従つてこの負圧域に火炎が引き寄せられて保
炎域を形成する。

ここで形成される保炎域は、一次空気の旋回に
より旋回保炎される為、安定し乱れが少ない。こ
のように保炎域において乱流火炎を発生させるこ
とがないので、燃焼音が静かである。

一方、燃料はバーナーコーン４の拡開部９より
広い角度で噴霧されるので、バーナーコーン４に
ぶつかるが、バーナーコーン４は吸水性のある多
孔質セラミツク製であるため、バーナーコーン４
にぶつかつた燃料は一旦バーナーコーン４に浸み
込む。

一方火炎の熱によりバーナーコーン４特にその
拡開部９が加熱されるため、この浸み込んだ燃料
は加熱されたバーナーコーン４の熱によりすぐ蒸
発、ガス化し、これに火炎が着火源となつて着火
し、燃焼する。

更に二次空気通路３を経てバーナーコーン４前
端開口部への二次空気の吹き出しにより、燃料と
空気の混合が促進され、完全燃焼又はそれに近い
燃焼をする。

本考案は上記の構成であるから以下の利点を有
する。

(1) バーナーコーンを、吸水性を有する多孔質セ
ラミツクで形成し、その軸方向中途に狭頚部を
設けると共に狭頚部より前部をノズルの噴霧角
度より若干狭い角度をもつて前方へ拡開せしめ
たので、ノズルより噴霧されてバーナーコーン
にぶつかつた未燃の液体燃料は一旦内部に吸収
され、燃焼熱で加熱されたバーナーコーンの熱
により蒸発放出され、この蒸発した燃料と微細
な霧状燃料に対して二次空気が混合されること
になり、空気と燃料の混合が非常に良好となる
をもつて完全燃焼に近い、赤火のない白炎燃焼
になる。

従つて火炎の長さが短かく、燃焼室を小さく
することが可能である。

また空気過剰率を下げることができ、燃焼効
率が向上する。

完全燃焼に近いので、煤の発生、一酸化炭素
の発生を押えることができる。

(2) 液体燃料を気化する気化面を吸水性のある多
孔質セラミツクで形成することにより未燃の液
体を一時セラミツク内部に保留してから蒸気と
して放出するので、コーン表面に燃料の分解に
よるタールの付着及び煤の付着がない。

(3) バーナーコーンに狭頚部を設けると共に一次
空気に旋回を与える旋回羽根を上記狭頚部の手
前に配備したので、旋回羽根により旋回を与え
られて供給される一次空気が狭頚部で中央に向
けられるをもつて、狭頚部の前方の拡開部が負
圧域となり、この負圧域に火炎が引き寄せられ
て保炎域を形成し、しかも、上記保炎域は、一
次空気の旋回により旋回保炎されるため、炎が
安定して乱れが少なく燃焼音が静かである。

(4) バーナーコーンをセラミツク製としたので耐
熱性に優れ耐久性を向上させることができると
共に一体成型ができ構造が単純になる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す液体燃料燃焼装
置の模式図である。 図中、１……送風フアン、２……バーナー筒、
３……二次空気通路、４……バーナーコーン、５
……旋回羽根、６……燃料噴霧用ノズル、７……
狭頚部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後方に送風フアンを備えたバーナー筒と、バー
   ナー筒内に配設されその外周面とバーナー筒内周
   面との間に二次空気通路を設けるバーナーコーン
   とバーナーコーン内に配設され上記送風フアンで
   供給されてバーナーコーン内側を流れる一次空気
   に旋回を与える旋回羽根と、バーナーコーン内に
   挿入され先端部が上記旋回羽根の前方の位置に在
   る燃料噴霧用ノズルとを備え、上記バーナーコー
   ンは吸水性を有する多孔質セラミツクで形成して
   その軸方向中途部に狭頚部を設けると共に該狭頚
   部より前部をノズルの噴霧角度より若干狭い角度
   をもつて前方へ拡開せしめ、上記旋回羽根と燃料
   噴霧用ノズルは上記狭頚部より若干手前に配置せ
   しめたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。