JPH0119091Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は溶融金属の測温及び試料採取装置に関
し、とくにAOD炉、転炉等高温の炉内溶融金属
に強い撹拌流が存在する精練炉内の溶融金属の測
温及び試料採取装置に関する。

（従来の技術） AOD炉、転炉等の精錬炉の溶融金属の表層に
はスラグ層が形成され、溶融金属計測時の障害と
なる。

硬いスラグ層を通過する際温度測定素子等を保
護する為計測用プローブ先端に保護装置を装着し
たことについて、例えば実公昭52−52625号、実
開昭58−154461号などが知られている。

又溶融金属の円筒状サンプルを計測用プローブ
先端から突出させた流路を経て試料採取容器内に
導入する試料採取装置について、例えば特開昭55
−42093号、実公昭56−29744号、実開昭54−
12497号などが知られている。

底吹式転炉、AOD炉など炉底乃至炉底側部か
ら吹錬される精錬炉において、内部溶融金属、例
えば溶鋼には強い撹拌流が生じている。

溶鋼はこの様に高温下で反応をつづける反面、
表層に形成されるスラグはそれ自体従来の上吹転
炉の様に撹拌されることがない為硬い層となり溶
鋼表面を覆うことになる。

この様な炉において温度測定を行う為には、温
度測定素子が硬いスラグ層により破損されること
のない様に保護手段を講ずるのみならず、溶鋼内
において強い撹拌流により温度測定素子が破損又
は屈曲せぬことが要求される。

従来公知の技術においては鋼浴中での測定時の
温度測定素子の保護については考慮されていなか
つた。

また円筒状の試料を採取する為計測プローブ側
面に開口を設け試料を導入する手段が慣用されて
いるが、開口部を覆う紙管又は計測プローブの本
体部を構成する紙管などが燃焼し炭火物となつて
試料内に混入することがある。

即ちカーボンのピツクアツプ問題でありこれを
回避する為、紙管等の介在せぬ先端面から試料導
入管を突出させる方法が考えられる。

しかしながらこれらの方法についての従来公知
の技術においては、すべての吸引手段（機械的吸
引又は真空吸引）を必須の要件としている。

然しながらサブランス等の自動挿入装置を使用
する場合吸引手段を併用することは設備を複雑に
するのみならず、吸引の為のシーケンス制御の組
込みを要するなど操業上にも不都合となる。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は以上の問題点を解消し、温度測定素子
を実質上保護するとともに、特別の吸引手段を不
要にすることにより精度高い温度測定を行いかつ
良質の試料採取を行うことの出来る溶融金属の測
温及び試料採取装置の提供を目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は以上の目的達成のために本体の先端部
に収納された採取容器と、該採取容器内の下方に
形成された採取室と、該採取室の上方に装着され
孔を有する仕切りと、該仕切りの上方に形成れ側
面に開口を有する流入室と、前記採取容器の側方
に装着されその上方屈曲部が前記開口において〓
間を有して流入室に挿入されその主部が前記本体
の先端部材の先端面に開口する略Ｌ字状の試料導
入管と、前記本体の先端部材の先端面に突設され
た温度測定素子と、該温度測定素子の側面外周を
囲む保護筒と、該保護筒を囲む内キヤツプと、該
内キヤツプ及び前記試料導入管の開口を囲んで前
記本体の先端部材の先端面に装着されたテーパー
状の外キヤツプとからなる溶融金属の測温及び試
料採取装置を提案するものである。

（作用） 温度検出素子により溶融金属の測温が行われ、
この際温度検出素子は保護筒により溶融金属の撹
拌流から保護される。

又試料導入管により溶融金属が採取室に流入し
採取されるが、その際採取容器内の残存空気は流
入室の開口の〓間を通り本体外に押出される。

（実施例） 以下本考案の溶融金属の測温及び試料採取装置
（以下本考案の装置という）を図面に示す実施例
に従い説明する。

第１図は本考案の装置を示し、該装置１はサブ
ランスに装着され紙管等から作られた本体２を有
する。

該本体２の先端部には鋼等から作られた採取容
器３が収納される。

該採取容器３内には第２図乃至第４図に示す様
に下方に採取室５が形成される。

該採取室５の上方（第２図右側）にはセラミツ
クス等で作られ孔７を有する仕切り８が装着され
る。

該仕切り８の上方には流入室６が形成され、該
流入室６は側面に開口９を有する。

以上の採取容器３の側方には主部及び上方屈曲
部からなり略Ｌ字状に成形され石英等から作られ
た試料導入管１２が前記本体２内に装着される。

該試料導入管１２の上方屈曲部は前記開口９に
おいて〓間１０を有して前記流入室６に開口され
る。

又試料導入管１２の主部は本体２の先端部材４
の先端面に開口している。

該先端部材４の先端面にはガイシ等の耐火物で
作られた支持体１５に支持されて温度測定素子１
６が突設される。

該温度測定素子１６は例えば石英管内に熱電対
が封入されたものである。

又温度測定素子１６は石英等で作られた保護筒
１８によりその側面外周を囲まれている。

ここで温度測定素子１６の測定温度に悪影響を
与えない様に保護筒１８の先端を温度測定素子１
６の先端より僅かに後退させることが望ましい。

次に保護筒１８は金属等から作られた内キヤツ
プ１９により囲まれている。

更に該内キヤツプ１９及び試料導入管１２の開
口は金属等から作られテーパー状に成形され前記
本体２の先端部材４の先端面に装着された外キヤ
ツプ２０により囲まれている。

以上の実施例に示した本考案の装置の作用を次
に説明する。

すなわち装置１は本体２の基部をサブランスに
装着されてその先端から炉内に挿入される。

これにより外キヤツプ２０が炉内の溶融金属表
面の硬いスラグ層を突き破る。

この際該外キヤツプ２０が仮に熱により軟化変
形しても内方の内キヤツプ１９によつて温度測定
素子１６は保護される。

次に先端が溶融金属中に到ることにより外キヤ
ツプ２０は溶失又は脱落し、併せて内キヤツプ１
９も溶融金属に触れて溶失する。

この状態において温度測定素子１６により測温
が行われるが、該温度測定素子１６は保護筒１８
により溶融金属の撹拌流から保護される。

一方試料導入管１２の開口から溶融金属がその
主部及び上方屈曲部を通つて流入室６へと流入す
る。

これに伴う採取容器３内の残存空気は開口９の
〓間１０を通り本体２外に押出されて排気され
る。

すなわち特別の吸引手段を用いなくても溶融金
属が流入室６に採取されるのである。

又試料導入管１２が本体２の先端部材４の先端
面に開口しているので本体２を構成する紙管等の
燃焼による炭化物の混入の恐れはない。

溶融金属は流入室６から仕切り８において整流
され採取室５に流入する。

従つて溶融金属が該採取室５から逆流してこぼ
れ落ちる必配はない。

以上の結果採取室５に採取され凝固した金属試
料は引上げられ分析等に用いられる。

（考案の効果） 本考案の溶融金属の測温及び試料採取装置の実
施例は以上の通りでありその効果を次に列記す
る。

(1) 本考案の装置は実用新案登録請求の範囲に記
載した構成であり、特に温度測定素子の側面外
周を囲む保護筒を有するため溶融金属の撹拌流
により破壊されることなく該温度測定素子は測
温をすることが出来る。

(2) 本考案の装置は同上の構成であり、特にその
上方屈曲部が流入室の開口において〓間を有し
て挿入されるため溶融金属の採取に特別の吸引
手段を用いる必要がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の装置の一部切欠き縦断面図、
第２図は同上装置の先端部の一部切欠き斜視図、
第３図は同上採取容器の縦断面図、第４図は同上
開口部分の正面図。 １：装置、２：本体、３：採取容器、４：先端
部材、５：採取室、６：流入室、７：孔、８：仕
切り、９：開口、１０：〓間、１２：試料導入
管、１５：支持体、１６：温度測定素子、１８：
保護筒、１９：内キヤツプ、２０：外キヤツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 本体の先端部に収納された採取容器と、該採取
   容器内の下方に形成された採取室と、該採取室の
   上方に装着され孔を有する仕切りと、該仕切りの
   上方に形成され側面に開口を有する流入室と、前
   記採取容器の側方に装着されその上方屈曲部が前
   記開口において〓間を有して流入室に挿入されそ
   の主部が前記本体の先端部材の先端面に開口する
   略Ｌ字状の試料導入管と、前記本体の先端部材の
   先端面に突設された温度測定素子と、該温度測定
   素子の側面外周を囲む保護筒と、該保護筒を囲む
   内キヤツプと、該内キヤツプ及び前記試料導入管
   の開口を囲んで前記本体の先端部材の先端面に装
   着されたテーパー状の外キヤツプとからなる溶融
   金属の測温及び試料採取装置。