JPH0118324B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は低温環境下に於いても確実な着火動作
が行なわれるようにした温水ボイラの燃焼装置の
改良に関する。

(ロ) 背景技術 従来の温水ボイラでは暖房用及び給湯用に拘ら
ず、燃焼装置に第１図に示す燃焼系統を備えてい
るものが一般的である。斯かる燃焼系統は先端に
噴霧ノズル１を取着した燃料油供給管２に制御弁
３及び油圧ポンプ４を介設し、噴霧ノズル１を燃
焼室５へ燃焼用空気を供給する空気供給管６の出
口部に配設するとともに、噴霧ノズル１の近傍に
点火プラグ７を配設して構成されており、燃料油
を７〜13Kg／cm²の高圧に加圧して噴霧ノズル１か
ら噴霧させることにより燃焼用空気と混合させ該
混合気体に点火プラグ７の高電圧スパークを飛ば
して点火させ、燃焼を行なわせるようにしたもの
である。

噴霧ノズル１から噴霧される燃料油の供給量は
油圧ポンプ４の圧力と、ノズル１の大きさとによ
り決定され、効率の良い燃焼が行なわれるように
燃焼用空気量は燃料油供給量に適した理論空気量
に定められる。ところで、燃料油供給量と燃焼用
空気量の比（空燃比）は定常燃焼時を基準にして
定めるのが普通であり、低温状態で着火する場合
には燃料油供給量が不足することが多い。このた
め、温水ボイラが寒冷地で外置きされる場合、周
囲温度が低いときには燃焼用空気に対し、燃料が
希薄になり、着火不良を起こすことがあつた。

そこで、従来は寒冷地向けの対策として燃料の
比率を大とするか、点火スパークのエネルギーを
大とする方法がとられている。前者の場合、着火
性能は向上するが、定常燃焼時に酸欠状態で燃焼
して不完全燃焼を起こし、煤が発生したり、燃焼
効率が低下する欠点があり、後者の場合、スパー
クによりノイズが発生してテレビやラジオ等への
雑音の問題があつた。又、着火時の一定時間だけ
燃料の比率を高くさせ、着火性の向上を図るよう
にしたものが提案されているが、このものでも周
囲温度が高かつたり、温水ボイラに温水残りがあ
つて温水ボイラが十分温まつている場合、空燃比
の変更を要さないにも拘らず、着火時に燃料の比
率が大きくなり、煤煙が発生したり、着火音が大
きくなる欠点があつた。

(ハ) 発明の目的 本発明は上述した従来技術の欠点を解消すべく
なされたものであり、着火時に周囲温度が低く、
かつ、温水ボイラの温度が低く、空燃比の変更を
要する場合にのみ、燃料の比率を大きくし、着火
動作を確実に行なわせるとともに、空燃比の変更
を要さない場合、空燃比を定常燃焼状態に適した
値として完全燃焼が行なわれるようにすることを
目的とする。

(ニ) 発明の要点 本発明は燃料油と燃焼用空気とを混合し、この
混合気体に着火して燃焼させるバーナを有し、こ
のバーナの燃焼熱で熱交換器を流れる被加熱水を
加熱する温水ボイラの燃焼装置を改良するもので
ある。

この発明ではバーナ側の温度と熱交換器にて温
度上昇した温水の温度とを感知し得る位置に感温
装置を設け、バーナの燃料油供給管に燃料油供給
量の調整機構を設け、着火時の調整機構の作動は
感温装置の感知温度が所定温度より高いとき燃料
油供給量を定常量にし、感知温度が所定温度より
低いとき燃料油供給量を定常量より増大させ、か
つ増大された燃料油供給量を感温装置の感知温度
が所定温度を超えるとき定常量に戻すようになさ
れていることを特徴とし、着火時に周囲温度が低
く、かつ、温水ボイラに温水残りがなく、感温装
置が所定の温度より低い温度を感知した場合には
調整機構にてバーナへの燃焼供給量を定常量より
増大させて空燃比を調整し、着火不良をなくすよ
うにする。又、着火時に周囲温度が高い場合、或
いは温水ボイラに温水残りがある場合更には燃焼
が安定した状態にある場合には感温装置の感知す
る温度が所定温度以上となるため、燃料供給量は
増大されることがなく、空燃比は定常燃焼状態に
適した値となつて完全燃焼が行なわれることにな
る。

(ホ) 発明の実施例 以下、本発明の一実施例を第２図ないし第５図
を参照して説明する。第２図は本発明を適用した
暖房用の温水ボイラを示し、８は内部を燃焼室５
とした内筒、９は内筒８を囲繞して内筒８との間
に水室１０を形成した外缶、１１は燃焼室５の下
部に配設したバーナ、１２は燃焼室５の上部に配
設した熱交換器、１３は熱交換器１２の上部を遮
蔽する排気フード、１４は排気フード１３に連結
した煙突、１５は水室１０の下部に連通させた温
水戻り管、１６は熱交換器１２から導出させた温
水往管、THは熱交換器１２と排気フード１３の
接合部に取着した感温装置である。尚、水室１０
の上部と熱交換器１２とは連結されており、温水
戻り管１５から水室１０に入つた水はここで内筒
８を冷却しつつ予熱され、更に熱交換器１２を通
過する際に十分に加熱されて温水往管１６へ供給
され、利用部へ送られる。又、バーナ１１からの
燃焼ガスは熱交換器１２を通過した後、排気フー
ド１３内に集まり、煙突１４から排出される。

バーナ１１は第３図に示す燃焼系統から成つて
おり、第１図のものと異なるのは油圧ポンプ４と
並列にして制御弁１７及び油圧調整弁１８を介設
したバイパス管１９からなる油圧調整機構２０が
燃料油供給管２に付与されていることである。

第４図は油圧ポンプ４及び制御弁３，１７の電
気回路であり、油圧ポンプ４及び制御弁３がプリ
パージタイマ接点２１を介して電源間に接続され
るとともに、制御弁３と並列にして感温機構TH
の出力スイツチ２２及び制御弁１７が直列接続さ
れている。出力スイツチ２２は第５図に示すよう
に感温装置THの感知温度が−５℃より低くなる
と開となり、０℃以上になると閉となる温度特性
を有する。又、制御弁３，１７は通電時に開、非
通電時に閉となるノーマルクローズ型の電磁弁を
使用している。

次に上述した実施例の動作を説明する。燃焼室
５内のプリパージが終了し、燃焼用空気と点火プ
ラグ７のスパークの条件が整うと、プリパージタ
イマ接点２１が閉路する。このため、油圧ポンプ
４が通電されて運転を開始するとともに、制御弁
３が通電されて開となる。このとき、感温装置
THの感知温度が−５℃よりも低くなつていると
出力スイツチ２２が開となつているため、制御弁
１７は通電されず閉じている。この場合、燃料油
供給管２の燃料油は油圧ポンプ４の最大圧力迄加
圧されて噴霧ノズル１から噴霧されるため、燃料
油供給量F_Mは最大となつて着火動作が確実に行
なわれる。

着火後、約１分位経過して燃焼が安定した状態
になると、排気フード１３はバーナ１１からの燃
焼熱により温度が急激に上昇するため、感温装置
THの感知温度が０℃以上となり、出力スイツチ
２２が閉となる。このため、制御弁１７が通電さ
れて開となり、油圧ポンプ４は吐出側と吸入側と
がバイパス管１９にて連通され、バイパス管１９
に介設した油圧調整弁１８の働きにより、所定の
圧力迄減圧されて燃料油を加圧するようになる。
このときに噴霧ノズル１から噴霧される燃料油供
給量F_S（F_S＜F_M）が空気供給管６の燃焼用空気量
（一定）に対し、定常燃焼状態での最適な空燃比
に保たれるように設計しておくことにより、以後
は完全燃焼に移行する。

着火時に、周囲温度が高い場合や、水室１０及
び熱交換器１２内に温水残りがある場合、感温装
置THの感知温度が０℃以上になつていて出力ス
イツチ２２が初めから閉じている。このような場
合は燃焼室５の温度が高く、着火不良となる心配
がないので、燃料油供給量はF_Sのままとなり、最
初から定常燃焼状態に適した空燃比で燃焼が開始
される。

而して、本実施例のものでは着火時に燃焼室５
の温度が低く、着火不良となる虞れがある場合に
限つてバーナ１１への燃料油給油量（噴霧ノズル
１からの噴霧量）を定常時より大きくして空燃比
を調整しているので、着火動作が確実になされ
る。又、着火時に周囲温度や温水残りの影響で燃
焼室５の温度が高い場合や、着火後にバーナ１１
の燃焼熱により燃焼室５が温まつた場合には定常
の空燃比で燃焼が行なわれるため、速やかに完全
燃焼に移行するようにでき、燃焼空５や熱交換器
１２への煤の付着が少なくなるとともに、着火時
の騒音を極力小さくできる。しかも、感温装置
THは熱交換器１２と排気フード１３の接合部に
取着してあるので、周囲温度は勿論の事、熱容量
の小さな排気フード１３を介してバーナ１１の燃
焼熱を速やかに感知できるとともに、熱容量の大
きな熱交換器１２を介して温水残りにも敏感に反
応できるようにしてある。更に又、温水ボイラに
感温装置THを取着し、バーナ１１の燃焼系統に
油圧調整機構２０を付与するという極めて簡単な
構成にて本発明を実現できた。

(ヘ) 発明の効果 本発明は以上説明したように、感温装置はバー
ナ側の温度と熱交換器にて温度上昇した温水の温
度とを感知し、着火時に感温装置の感知温度が低
いときには燃料油供給量を定常より大きくし、着
火動作を確実に行わせ、又、着火時に周囲温度、
燃焼部の温度、又は熱交換器に残つていた温水の
影響で感温装置の感知温度が高い場合、又は着火
後にバーナの燃焼熱により燃焼部が温まり、感温
装置の感知温度が高くなつた場合には、定常の空
燃比で完全燃焼が行われるようにしたものである
から着火当初の燃焼制御を熱容量の小さな燃焼部
の温度と、熱容量の大きな熱交換器の温度に応じ
て的確に行うことができ、周囲温度のみを感知し
て燃焼制御するものに比べ、煤や着火音等の騒音
の発生を少なくでき、又、燃焼効率を高くできる
とともに、テレビ、ラジオ等への雑音も大幅に減
少させることができ、更には感温素子が１個で済
み、安価に構成が可能であるなど優れた効果を発
揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の燃焼装置で使用された燃焼系統
の一例を示す系統図、第２図ないし第５図は本発
明の一実施例装置に関するものであり、第２図は
本発明を適用した温水ボイラの概略構造図、第３
図は本発明で使用する燃焼系統の系統図、第４図
は燃焼系統の電気回路図、第５図は第４図の出力
スイツチの温度特性説明図である。 ２…燃料油供給管、１１…バーナ、１２…熱交
換器、２０…油圧調整機構（調整機構）、TH…
感温装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 燃料油と燃焼用空気とを混合し、この混合気
   体に着火して燃焼させるバーナを有し、このバー
   ナの燃焼熱で熱交換器を流れる被加熱水を加熱す
   る温水ボイラの燃焼装置において、バーナ側の温
   度と熱交換器にて温度上昇した温水の温度とを感
   知し得る位置に感温装置を設け、バーナの燃料油
   供給管に燃料油供給量の調整機構を設け、着火時
   の調整機構の作動は感温装置の感知温度が所定温
   度より高いとき燃料油供給量を定常量にし、感知
   温度が所定温度より低いとき燃料油供給量を定常
   量より増大させ、かつ増大された燃料油供給量を
   感温装置の感知温度が所定温度を超えるとき定常
   量に戻すようになされていることを特徴とする温
   水ボイラの燃焼装置。