JPH0118251Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は複数種別のクランク軸に油穴加工を行
うクランク軸油穴加工治具であつて、穴明工具を
備えた加工ヘツドを有する工作機械のベツド上に
取付けて使用するものに関する。

〔従来技術〕

内燃機関等のクランク軸は潤滑のため油穴を設
けるが、この油穴１は、第５図および第６図に示
す如く、クランク軸Ｃの軸線２に対してはα、対
象面３に対してはβなる角度を有し、その角度は
例えば機種等によるクランク軸の種別毎に夫々相
違している。従来はこのようなクランク軸の油穴
を加工するには、各油穴１の中心線と穴明工具の
軸線を一致させた専用機をクランク軸の種別毎に
使用したり、多種別のクランク軸に１つの工作機
を使用する場合は種別が変る度に夫々の油穴の角
度α，βに合せて穴明工具の軸線を一致させるよ
う手動で調整していた。前者はクランク軸の種別
毎にそれぞれ専用の工作機を必要とし、コスト高
となる難点があり、後者は段取り替えに時間がか
かり加工の能率が悪かつた。

〔考案の目的〕

本考案はクランク軸Ｃの種別に応じて自動的に
穴明工具に対する軸線２、対象面３の方向を変え
ることができるクランク軸油穴加工治具を提供し
て上述の難点を除き、あるいは加工の能率を向上
させるものである。

〔考案の構成〕

上述の目的達成のため、本考案のクランク軸油
穴加工治具は、ベツド上の一側に、穴明工具を組
付けた加工ヘツドを同ベツドに対し相対的に工具
軸線方向に移動可能に組付けた工作機械に使用す
る加工治具であつて、前記加工ヘツドの前進方向
に位置する前記ベツド上に回転台を前記穴明工具
軸線に対して垂直をなす軸線を中心として回転可
能に設け、同回転台上に設けた主軸台の主軸によ
りクランク軸の一端を前記回転台の回転軸線に垂
直をなす軸線を中心として回転可能に把持すると
共に、同クランク軸の他端を支持する心押台を同
回転台上の前記主軸と相対する位置に設けてな
り、前記回転台には前記クランク軸の種別を示す
種別信号を受けて前記回転台を回動して前記穴明
工具の軸線に対するクランク軸の軸線の角度位置
を前記種別信号により特定される角度位置に割出
して停止保持する回転台割出駆動装置を、前記主
軸台には前記種別信号を受けて前記主軸を回転し
て前記穴明工具の軸線に対するクランクピンの角
度位置を前記種別信号により特定される角度位置
に割出して停止保持する主軸割出駆動装置とを備
えるよう構成したのである。

〔考案の効果〕

以上の如く構成した本考案においては、回転台
上の主軸台と心押台により支持されたクランク軸
は、その種別に応じて穴明工具の軸線に対する軸
線２および対象面３の角度が夫々所定の値となる
よう回転台割出駆動装置と主軸割出駆動装置とに
より所定の角度位置に割出されて油穴加工を受け
るので軸線２に対する油穴１の角度も対象面３に
対する油穴１の角度もクランク軸の種別毎に夫々
所定の値となる。従つて特に段取り替えを要する
ことなく、１台の加工装置で多種別のクランク軸
の油穴加工が可能となる。

〔実施例〕

第１図〜第４図に本考案の実施例を示す。クラ
ンク軸の油穴加工装置１０はベツド１１と、穴明
工具２５を取付ける加工ユニツト２０と、本考案
のクランク軸油穴加工治具３０とより成る。加工
ユニツト２０はテーブル２１、コラム２２、加工
ヘツド２３、加工主軸２４および穴明工具２５よ
り成る。ベツド１１は左右方向ガイド１１ａを介
してテーブル２１を、テーブル２１は前後方向ガ
イド２１ａを介してコラム２２を、コラム２２は
上下方向ガイド（図示せず）を介して加工ヘツド
２３を支持し、テーブル２１、コラム２２、加工
ヘツド２３は、夫々左右送りモータ２６、前後送
りモータ２７、昇降用モータ２８により互に直交
する各ガイド方向の送りが与えられる。加工ヘツ
ド２３には主軸駆動モータ２９により回転する加
工主軸２４が設けられ、その先端にはドリル等の
穴明工具２５が取付けられる。以上のベツド１１
および加工ユニツト２０の構成は従来より種々の
加工装置に用いられている。

本考案のクランク軸油穴加工治具３０は、第３
図に示すように回転台４０と同回転台４０上に互
に対向して設けられた主軸台５０と心押台６０
と、回転台割出駆動装置７０と主軸割出駆動装置
８０とより成る。

回転台４０は加工ヘツド２３の前進方向に位置
するベツド１１上に設けられ、回転台４０の回転
テーブル４３は、ベツド１１に固定された治具ベ
ース４１により回転自在に支持される。治具ベー
ス４１の中央には中心軸４２が立設固定され、ラ
ジアルベアリング４５、スラストベアリング４６
を介して回転テーブル４３の中央を保持する。両
ベアリング４５，４６はリングナツト４７により
抜け止めがなされ、回転テーブル４３の中央に固
定されたフランジ４４によりカバーされる。回転
テーブル４３の周囲は治具ベース４１の環状の支
持面４１ａにより摺動自在に支持され、押え板４
３ａにより抜止めがなされている。

回転台割出駆動装置７０はウオームホイール７
１、ウオーム７２、駆動軸７３、回転割出用サー
ボモータ７４、スペーサ７５、ボルト７６により
構成される。回転テーブル４３の中央下部には、
中心軸４２と同軸に、ウオームホイール７１がス
ペーサ７５を介してボルト７６により固定され、
ウオームホイール７１はウオーム７２、駆動軸７
３を介して回転割出用サーボモータ７４により駆
動される。回転割出用サーボモータ７４は予め与
えられたクランク軸Ｃの種別を示す種別信号に基
づき、穴明工具２５の軸線に対するクランク軸Ｃ
の軸線２の角度が所定の値αとなるよう回転テー
ブル４３を所定の角度位置に割出してその位置に
保持する。

回転テーブル４３上に設けられた主軸台５０の
主軸５１はローラベアリング５６を介して主軸台
ハウジング５３により軸支され、その先端にはチ
ヤツク５２が設けられ、チヤツク５２の３個の爪
５２ａによりクランク軸Ｃの一端を把持固定す
る。チヤツク５２にはクランク軸Ｃの把持に際
し、一時的にクランク軸Ｃを支持する仮受け５４
とクランク軸Ｃの一端面を突き当てて軸方向の位
置決めをおこなうストツパ５５を設ける。主軸５
１とチヤツク５２とを貫通して、把持されたクラ
ンク軸Ｃの種別を判別確認するための検測ロツド
５７が設けられる。

次に主軸割出駆動装置８０につき説明する。主
軸５１には３個の割出プレート８１ａ，８１ｂ，
８１ｃと割出駆動ギア８４とがリングナツト８
８、キー８８ａ，８８ｂにより固定される。各割
出プレート８１ａ，８１ｂ，８１ｃは本クランク
軸油穴加工治具が取扱うクランク軸Ｃの種別の
夫々に対応するものであり、即ち本実施例は３種
類のクランク軸を取り扱うものである。各割出プ
レート８１ａ，８１ｂ，８１ｃの外周には夫々対
応為るクランク軸Ｃの対象面３に対する油穴１の
角度αに応じて所定の角位置に係合溝８１ｄ，８
１ｅ，８１ｆを設ける。主軸台ハウジング５３の
各係合溝８１ｄ，８１ｅ，８１ｆに対向する部分
には割出係合ピン８２ａ，８２ｂ，８２ｃが設け
られ、夫々割出シリンダ８３ａ，８３ｂ，８３ｃ
により往復作動する。主軸５１は割出駆動ギヤ８
４，ピニオン８５を介して主軸割出し用油圧モー
タ８６により回転し、予め与えられた加工するク
ランク軸Ｃの種別を示す種別信号に応じて突出作
動している所定の割出係合ピン８２が所定の係合
溝８１に係合すれば主軸５１は所定の角度位置に
割出されて停止し、そのクランク軸Ｃの対象面３
に対する穴明工具２５の角度は所定の角度βとな
る。

回転テーブル４３上に、主軸台５０と対向して
設けられた心押台６０の心押軸６１は、ベース６
５を介して回転テーブル４３に固定された心押台
本体６３により、主軸台５０に向けて摺動自在に
支持され、シリンダ６４により往復動が与えら
れ、その先端にはセンタ６２が固定され、クラン
ク軸Ｃの他端を支持する。心押台６０に連接して
設けられた位相決め装置９０は主軸台５０と心押
台６０との間に取付支持されるクランク軸Ｃの軸
線２の回りに取付時の位相を決めるものである。
第４図に示すように位相決め装置９０の本体９１
の中央部はピニオン９２を軸支し、その上下には
これと噛合するラツク部材９４，９３を水平動自
在に設ける。下側ラツク部材９３の先端は上方に
曲げ、その先端面９３ａを上側ラツク部材９４の
先端面９４ａと対向せしめる。シリンダ９５を作
動させればラツク部材９３，９４は互に逆方向に
水平運動をおこなう。本体９１の心押台側の側面
にはクランク軸Ｃの仮受け９７を設ける。本体９
１はガイド９６を介して、クランク軸Ｃと平行運
動可能に回転テーブル４３により支持され、その
位置はベース６５に設けられたシリンダ６６によ
り制御される。ラツク部材９３，９４の先端面９
３ａ，９４ａを十分に開いた後、クランク軸Ｃ
を、概略の位相をきめて、仮受け５４，９７の上
に置き、これと前後してシリンダ６６を作動さ
せ、ラツク部材９３，９４をクランクピン４を挾
む位置に置く。シリンダ９５を作動させてラツク
部材９３，９４の先端面９３ａ，９４ａでクラン
クピン４を挾み、チヤツク５２の爪５２ａと心押
台６０を作動させれば、クランク軸Ｃは初期状態
の位相が決められて主軸台５０と心押台６０とに
より支持される。支持後はラツク部材９３，９４
は充分開いておく。

次にその作動につき説明する。

クランク軸油穴加工治具３０に工作物搬入装置
等により送られて来たクランク軸Ｃは仮受け５
４，９７上に置かれ、さらにストツパ５５に当接
するまで軸方向にシフトされる。その後シリンダ
６６にてピン部に対応するまで移動された位相決
め装置９０により位相が決められて、主軸台５０
と心押台６０により支持される。送られて来るク
ランク軸の種別は予め工作物搬入前に識別装置等
により判別されて、その種別を示す種別信号は主
軸台５０、回転台割出駆動装置７０、主軸割出駆
動装置８０、位置決め装置９０等の必要箇所に送
られている。主軸台５０に支持されたクランク軸
Ｃは検側ロツド５７により、その種別が判別確認
され、もし工作物搬入装置等により予め送られた
種別信号と対応しない場合は、警告等を発し、誤
加工を防止する。次いで種別信号により回転台割
出駆動装置７０と主軸割出駆動装置８０が作動
し、回転テーブル４３と主軸５１とを所定の角度
位置に割出し、その位置で停止保持させる。この
状態において、加工ユニツト２０を作動させ、所
定位置に加工主軸２４を置き、穴明工具２５によ
り油穴１を加工する。１個で複数の油穴１を有す
るクランク軸を加工する場合には、上記動作に続
いてさらに回転台４３を回転させてクランク軸を
反転するとともに、テーブル２１を左右に移動し
て、穴明工具２５により加工できる。

〔実施例の効果〕

以上の実施例においては、クランク軸Ｃは回転
台４０上の主軸台５０と心押台６０により支持さ
れ、その種類に応じて穴明工具に対する軸線２お
よび対象面３の角度が夫々所定の値となるように
回転台割出駆動装置７０と主軸割出駆動装置８０
とにより所定の角位置に位置決めされて穴明工具
２５により油穴加工がなされるので、軸線２に対
する油穴１の角度も対象面３に対する油穴１の角
度もクランク軸Ｃの種別毎に夫々所定の値とな
る。従つて、段取り替えをようすることなく、１
台の加工装置で多種別のクランク軸の油穴加工が
可能となる。実施例においては位相決め装置９０
を使用してクランク軸Ｃの主軸５１に所定の位相
で取付けているが、クランク軸Ｃの主軸５１への
取付側のフランジ等に穴などがある場合はこれを
利用しておこなうこともできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を備えたクランク軸
油穴加工装置の平面図、第２図は第１図の正面
図、第３図は前記本考案の実施例の詳細を示す断
面図、第４図は位相決め装置の断面図、第５図お
よび第６図はクランク軸の側面図および正面図で
ある。 符号の説明、１１……ベツド、２３……加工ヘ
ツド、２５……穴明工具、４０……回転台、５０
……主軸台、５１……主軸、６０……心押台、７
０……回転台割出駆動装置、８０……主軸割出駆
動装置、Ｃ……クランク軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベツド上の一側に、穴明工具を取付けた加工ヘ
   ツドを同ベツドに対し相対的に前記穴明工具軸線
   方向に移動可能に組付けた工作機械に使用する加
   工治具であつて、この加工治具には前記加工ヘツ
   ドの前進方向に位置する前記ベツド上に前記穴明
   工具軸線に対して垂直をなす軸線を中心として回
   転可能に回転台を設け、同回転台上に設けた主軸
   台の主軸によりクランク軸の一端を前記回転台の
   回転軸線に垂直をなす軸線を中心として回転可能
   に把持すると共に、同クランク軸の他端を支持す
   る心押台を同回転台上の前記主軸と相対する位置
   に設けてなり、前記回転台には前記クランク軸の
   種別を示す種別信号を受けて前記回転台を回動し
   て前記穴明工具の軸線に対するクランク軸の軸線
   の角度位置を前記種別信号により特定される角度
   位置に割出して停止保持する回転台割出駆動装置
   を設け、前記主軸台には前記種別信号を受けて前
   記主軸を回転して前記穴明工具の軸線に対するク
   ランクピンの角度位置を前記種別信号により特定
   される角度位置に割出して停止保持する主軸割出
   駆動装置を備えてなるクランク軸油穴加工治具。