JPH0117231B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は、高輝度で且つ大光束が得られる全く
新規な低圧放電灯に関する。

（背景技術） 高輝度でしかも大光束が得られる放電灯として
は、例えば水銀灯の如き高圧金属蒸気放電灯等が
実現され実用化されている。しかしながら、この
タイプの放電灯は、定常点灯時は高気圧、高温で
動作するように設計されているため、点灯開始後
数分間は管内が低温、低気圧であるため光が十分
でない、いわゆるウオームアツプの時間を必要と
し、また、点灯後一旦消灯して即再点灯させよう
とすると、管内が高温、高圧になつているため再
始動できず、再始動可能になるまでに消灯後数分
間を要するという欠点がある。更に、所望の光
色、色温度を得ようとしても、実用的に使える放
電（発光）物質は数種以下に限定されるため特定
の光色、色温度となつてしまい、自由な設計がし
難いという欠点もある。更にまた、高温となるた
め一般の軟質ガラスが使えず、高価な石英ガラ
ス、多結晶アルミナ管等を必要とし、加工も合せ
高価になる欠点がある。

かかる欠点を改善するため、本願出願人は先に
下記の如き低圧金属蒸気放電灯を提案した（特開
昭59−68161号）。

上記低圧金属蒸気放電灯は、気密空間を形成す
る円筒状の外管と、該外管内の略中心に配設され
た同心円筒状の内管とより成り、該内管の両端は
開口し、該両開口部には１対の電極が配設され、
内管内を放電空間Ａとし、外管内のその他の空間
を非放電空間Ｂとする。そして、放電空間Ａを形
成する外表面積（内管の外表面積）Saに対する
非放電空間Ｂを形成する外表面積（外管の外表面
積）SbをSb≧５・Saとし、主放電（発光）物質
を金属蒸気としたものである。

而して、上記放電灯は前述のように低圧金属蒸
気放電であるので、螢光ランプとその動作原料は
本質的に同一であり、始動後直ちに十分な明るさ
に達し、消灯後の再点灯も直ちにできる。また、
放電空間Ａに対し非放電空間Ｂが極端に広く
（Sb≧５・Sa）、且つ、各放電空間Ａ，Ｂは開口
部を介して同一気密空間を形成するので、金属蒸
気の最冷温度は、放電空間内温度に比し十分低く
なり高効率な放射を維持できる。従つて、放電空
間Ａのみよりなる単一管放電灯に比べ放電空間温
度はより高温になるものの、最冷温度は非放電空
間Ｂで規制されるため、より低温になる。そし
て、その差は上記Ｂ／Ａが大きくなればなる程大
きくなる。このことは、ランプ入力を増し高輝
度、大光束を図つていく場合、非常に効果的とな
るのである。

ところで、上述の如き放電灯を特定方向へ有効
配光たらしめようとする場合、第１図及び第２図
に示す如き構成が考えられる。第１図に示すもの
は、いわゆる反射板器具の使用であるが、反射板
ａを図示の如く大きく（ランプｂの２倍以上は必
要）形成しなければ所望配光できないという欠
点、及びランプｂよりの光が外管１を一旦出て反
射板ａを経て再度外管１内に入り、また出ていく
というように、３回以上外管１を透過するものが
多く、この間の光透過損失（吸収、散乱）が大き
いという欠点がある。一方、第２図に示すもの
は、外管１の内表面に反射膜ｃを形成したもので
あり、前者程スペースをとらない利点はあるもの
の、任意のあるいは所望の配光を得ようとして
も、外管１の断面形状で一義的に決められ自在に
ならないこと、また、外管１の内表面に反射率の
高い反射膜ｃをコーテイングすることが一般に難
しく複雑であること等の欠点がある。

（発明の目的） 本発明は上記欠点に鑑みなされたもので、その
目的とするところは、高輝度で且つ大光束が得ら
れ、しかも効率良く特定方向に配光できる低圧金
属蒸気放電灯を提供するにある。

（発明の開示） 第３図は本発明の一実施例を示す断面図、第４
図は同上の簡略横断面図であり、気密空間を形成
する円筒状の外管１と、該外管１内の略中心に配
設された同心円筒状の内管２と、外管１と内管２
の間に配設された反射板３とより成り、該内管２
内は内管２に設けた開口部４を介して外管１内と
同一気密空間が形成され、内管２の両端近傍には
１対の電極５，５が配設され、内管２内を放電空
間Ａとし、外管１内のその他の空間を非放電空間
Ｂとする。そして、放電空間Ａを形成する外表面
積すなわち内管２の外表面積Saに対する非放電
空間Ｂを形成する外表面積すなわち外管１の外表
面積SbをSb≧５・Saとし、主放電（発光）物質
を金属蒸気とする。なお、図中６は内管２及び反
射板３を固定するホルダー、７は螢光体、８はス
テム、９は排気管である。

ここで、上記外管１は一般の透明軟質ガラス管
で形成され、その径は38mm、全長は350mmであり、
内管２は透明硬質ガラス管で形成され、その径は
６mmで内面には希土類螢光体７が被着されてい
る。反射板３は断面が半円形で、内面鏡面化ニツ
ケル板で形成されている。ステム８はガラス製ま
たはセラミツク製の所謂ボタンステムであり、ホ
ルダー６はセラミツクで形成されている。また、
外管１内には数10mmｇの水銀及び数Torrのアル
ゴンが封入されている。

次に、製法の一例を簡単に説明する。まず、内
管２の両端にホルダー６の突出部をそれぞれ挿入
した後、反射板３の両端縁を加熱硬化性無機接着
剤等でホルダー６に固着する。そして、一方のホ
ルダー６の開口端と排気管９が封着されたステム
８の内面を接着し、これを別途一方の開口端を他
方のステム８とガラスフリツトで気密封着した外
管１に内挿すると共に、前記開口端をステム８に
当接し、該当接部をガラスフリツトで気密封着す
る。しかる後、通常の方法で排気管９を介してガ
スを封入し、活性化、封止等を行つて完成する。
なお、加工途上、熱膨張や寸法精度バラツキ等に
よる接触部の破損を防止するため、必要に応じて
接触部にカオールシート等のソフト緩衝物を配設
すると良い。

上記実施例において、ランプ電流を0.2Aとし
た場合、ランプ電圧100V、ランプ電力20W、光
束500ｍ、内管２の表面温度約120℃（周囲温度
20℃）、水銀最冷温度（外管１の内面）約50℃で、
本実施例と略同等外形の一般の10Wけい光ランプ
並の光束を４〜５倍の高輝度の線状光源として得
ることができると共に、特定方向への有効な配光
の得られる反射形光源を得ることができた。

なお、本発明は上記実施例に限定されるもので
ないのは言うまでもないことである。また、反射
板３の形状を第５図のように放物面とすれば、主
配光方向は平行となる。

（発明の効果） 本発明は上記のように、気密に形成され非放電
空間Ｂを形成する外管内に、その外管内に開口部
を有し放電空間Ａを形成する内管を設け、上記放
電空間Ａの外表面積Saに対する非放電空間Ｂの
外表面積SbをSb≧５・Saとし、主放電物質を金
属蒸気とした低圧金属蒸気放電灯において、上記
外管内に内管より発せられる光を配光制御する反
射板を設けたことを特徴とする。従つて、コンパ
クトで瞬時点灯可能でしかも高輝度、大光束が得
られる低圧金属蒸気放電灯において、かかる放電
灯を特定方向へ有効配光たらしめようとする場合
も、放電灯の外部に余分なスペースを全く必要と
せず、また、反射板の形状を自在に設計できるの
で、所望の特定配光を有する放電灯を容易に提供
できる。さらに、反射板で反射した反射光のほと
んどは、１回外管を透過するだけで管外に出るの
で、光の透過（吸収、散乱）損失が小さく配光効
率が良い放電灯を提供できる。また、反射板自体
に導電性を持たせることが簡単であるため、始動
性の向上及び点灯安定性の向上を図つた放電灯を
容易に提供できる付加的効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来例の簡略断面図、第３
図は本発明の一実施例を示す断面図、第４図は同
上の簡略横断面図、第５図は本発明の異なる実施
例を示す簡略横断面図である。 １……外管、２……内管、３……反射板、４…
…開口部、５……電極。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 気密に形成され非放電空間Ｂを形成する外管
   内に、その外管内に開口部を有し放電空間Ａを形
   成する内管を設け、上記放電空間Ａの外表面積
   Saに対する非放電空間Ｂの外表面積Sbを Sb≧５・Sa とし、主放電物質を金属蒸気とした低圧金属蒸気
   放電灯において、上記外管内に内管より発せられ
   る光を配光制御する反射板を設けたことを特徴と
   する低圧金属蒸気放電灯。