JPH0112369Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は固定端子に摺接切換させる可動端子を
保持したスライダーを、可動鉄心型電磁石の可動
鉄心の変移に連動して摺動させるようにした電磁
切換式スライドスイツチに関するもので、特にス
ライダーの切換後の保持を安定し得ると共に、小
型化が可能な電磁切換式スライドスイツチを提供
することを目的とする。

固定端子に摺接切換させる可動端子を保持した
スライダーを可動鉄心型電磁石の可動鉄心の変移
に連動して摺動させるようにした電磁切換式スラ
イドスイツチにあつては、可動鉄心を制御する励
磁コイルへの通電を断つと該励磁コイルが可動鉄
心を吸引保持する力が消滅するため可動鉄心の位
置が定まらず外部からの力で容易に移動し、これ
に伴つてスライダーも動き該動作が生ずる恐れが
ある。その為にスライダーを機械的に固定する機
構が必要となり、スイツチの形状が大型化すると
言う問題点がある。またこの問題点を解決する為
に、励磁コイルへの通電を常時行なわせておく方
法もあるが、この方法によると消費電力が大きく
省電力型を要求されている機器には逆行すること
になる。

本考案は係る上記電磁切換式スライドスイツチ
の問題点に鑑みなされたものであつて、その幾つ
かの実施例を図面を用いて説明する。

第１図は本考案に係る電磁切換式スライドスイ
ツチの第１の実施例を示す平面図で、第２図は第
１図の軸方向縦断面図で、第３図は第２図の−
′線に沿つて断面した断面図で、第４図は第１
図乃至第３図に示したスイツチの分解斜視図、第
５図は端子基板を示す平面図、第６図はスライダ
ーを示す底面図である。

図に於いて、１は複数の固定端子２を直列状に
固設した絶縁性の端子基板で、該端子基板１は第
４図に平面図として詳細に示される。この端子基
板１には固定端子２を挿入固定する為の孔１Ａ
が、又、ケース３の開口側端面と対向する周面近
傍内側位置に溝部１Ｂが設けられており、固定端
子列２Ａ，２Ｂとの間にはスライダー４（第６図
に底面が詳細に示される。）の突出部４Ａが係合
され、スライダー４の摺動を案内する為の案内溝
１Ｃが形成されている。更に、端子基板１には固
定端子列２Ａ，２Ｂと並行して該端子基板１から
上方へ延びる案内壁１Ｄが形成されていると共
に、案内壁１Ｄの略中間部側面には係合爪部１ｄ
が形成されており、又、固定端子列２Ａ，２Ｂと
案内壁１Ｄとの間には後述する電磁石装置におけ
る給電端子が挿入される複数の挿入孔１Ｅが、前
記溝部１Ｂの底面にはケース３の開口端面から延
出された固定脚部３Ａが挿入される複数の挿入孔
１Ｆが夫々形成されている。

前記スライダー４は樹脂材で一体成形されてお
り、その底面部に可動接片５を保持する為の保持
孔４Ｂと該スライダー４の摺動時、固定端子２
Ａ，２Ｂとの衝突を避ける為の逃げ溝４Ｃが前記
保持孔４Ｂと連設した関係で、該スライダー４の
長手方向全体に亘つて形成されている。又、前記
スライダー４の上面で略中間部分には、その上方
へ突設された係合部４Ｄが形成されており、その
先端部分は後述する電磁石装置Mgの可動鉄心６
の略中間部分に形成された小径段部６Ａと係合し
得るように形成されている。

前記電磁石装置Mgは、樹脂材で形成されたコ
イルボビン７と、該コイルボビン７に巻回された
励磁コイルC₁，C₂と、該コイルボビン７の長手
方向両端間に配設されるヨーク８と、平板状の永
久磁石９と、該永久磁石９と密着状態で配設され
る平板状のヨーク１０と、前記コイルボビン７の
中心円筒中に配設される前記可動鉄心６とをユニ
ツト化して成る。

前記コイルボビン７は両端に給電端子１１を埋
設した鍔部７Ａと、該鍔部７Ａ間の略中間部分に
形成された中間部体部７Ｂと、該中間部体部７Ｂ
を挾んで各々鍔部７Ａ間に形成されたボビン部７
Ｃとから成る。そして、このコイルボビン７の中
心部は可動鉄心６を摺動可能に配設する為に空洞
になつている。

又、前記中間部体部７Ｂはその上面にヨーク１
０と永久磁石９とを収納する為の凹部７B₁が形
成されており、その下面は前記空洞内まで続がる
空洞７B₂として形成されており、この中間部体
部７Ｂの空洞７B₂内に於いて前記可動鉄心６の
小径段部６Ａとスライダー４の係合部４Ｄとが係
合し得るようになつている。

ヨーク８は両端が略直角に折曲されたフオーク
状の折曲部８Ａを有し、該折曲部８Ａの一部がコ
イルボビン７の鍔部外面に形成された突出壁７ａ
間に挿入された状態で、両鍔部７Ａ間を挾持する
ことによつて、コイルボビン７に取付けられて、
コイルボビン７の空洞内に配設された可動鉄心６
の抜け止めを兼ね、前記コイルボビン７の中間部
体部７Ｂの凹部７B₁に収納されたヨーク１０と
永久磁石９とは、凹部７B₁の開口部をヨーク８
が覆うことによつて確実に収納保持される。尚、
永久磁石９は上下方向に着磁されており、可動鉄
心６の一部を磁路として利用し、コイルC₁，C₂
が励磁されていない時、可動鉄心６を吸引保持す
るようになつている。又、コイルC₁，C₂はその
励磁時、対向する側が両極となるように通電さ
れ、その極は永久磁石９の下面側の極と同極にな
つている。そして、各鍔部７Ａに埋設されている
給電端子１１は各コイルC₁，C₂に電気的に接続
されていると共に、その根元部１１Ａを鍔部７Ａ
の下部に設けられた孔に圧することによつてコイ
ルボビン７に固設されている。

前記スイツチケース３は、その開口端が端子基
板１の溝部１Ｂに対応した大きさで箱状に一枚の
鉄板を折曲することによつて形成されており、固
定脚部３Ａが挿入孔１Ｆに挿入され、端子基板１
に所定状態にセツトされると、端子基板１の係合
爪部１ｄが内側より係合される係合孔３Ｂが両側
面に形成されていると共に、その上面には内側へ
若干折曲された片持状のバネ部３Ｃが、又、ケー
ス３が取付けられた際、前記永久磁石９、ヨーク
１０と対応する側面の一部に窓孔３Ｄが形成され
ている。この窓孔３Ｄを設けることによつて、永
久磁石９の磁束がケース３をほとんど通らない様
にし、該永久磁石９が可動鉄心６を吸引保持する
力を強めている。

この様に構成されている本考案に係る電磁切換
式スライドスイツチの組立方法について、次に説
明すると、まず、固定端子２を孔１Ａに挿入配設
した端子基板１と、可動端子５を保持孔４Ｂ内に
配設保持したスライダー４と、コイルC₁，C₂を
巻回したコイルボビン７にヨーク１０、永久磁石
９、ヨーク８、可動鉄心６をユニツト化した電磁
石装置Mgとケース３とが用意される。

そして、端子基板１上にスライダー４が載置さ
れた後、電磁石装置Mgがスライダー４と重なる
様にして端子基板１上に取付けられ、更に、その
周囲を覆うようにしてスイツチケース３が取付け
られる。

この様にして組付けられたスイツチは、コイル
C₁又はコイルC₂が励磁されると、永久磁石９の
吸引保持力を打消し、励磁された側のコイル側に
吸引され、その後、コイルの通電が断たれてコイ
ルが不励磁状態になり、永久磁石９の吸引保持力
だけが働くと、可動鉄心６が励磁コイルにて移動
された位置で保持される。

この作動状態を更に詳しく説明すれば、第２図
の状態は励磁コイルC₁への通電後で、現時点で
は励磁コイルC₁，C₂に通電が行なわれていない
不励磁状態にある。そして、可動鉄心６は前に励
磁コイルC₁が励磁された際の吸引によつて左側
に変移した状態にあつて、この状態は永久磁石９
の吸引作用によつて他の励磁コイルC₂が励磁さ
れない限り保持される。

次に、励磁コイルC₂側だけに通電が行なわれ、
永久磁石９よりも大きな磁界が励磁コイルC₂に
発生すると、永久磁石９の保持力を打消し、可動
鉄心６が励磁コイルC₂側へヨーク８の折曲部８
Ａと衝突する迄、瞬時に吸引変移された状態とな
る。そして、その後、励磁コイルC₂への通電が
断たれると、再び励磁コイルC₁が励磁される迄、
可動鉄心６は永久磁石９の吸引作用によつてその
位置で保持される。

従つて、スライダー４は係合部４Ｄと可動鉄心
６の小径段部６Ａとが係合されている為に、可動
鉄心６の変移に連動して、その可動鉄心６の移動
量のみ左右に摺動し、その摺動によつて固定端子
２に対する可動接片５のコンタクト位置を切換へ
スイツチングが行なえる。

この様に構成されている本実施例にあつては、
次の様な特徴を有する。

(1) 励磁コイルC₁又はC₂への通電は可動鉄心６
を変移させる時間だけ行なわれ、その後は永久
磁石９によつて変移後の可動鉄心６を保持する
ものであるから、励磁コイルC₁又はC₂の励磁
作用が解かれた後でも、振動、衝撃等によつて
可動鉄心６が動き、それに伴なつてスイツチが
切換わつたりすることがなく、信頼性の面で秀
れ、又、省電力化が図れる。

(2) スライダー４の上面に重なるようにして電磁
石装置Mgが配設される構造の為に、軸方向長
さを固定端子２の列長さに押えることが可能で
あるから極めてコンパクト化されたスイツチが
得られ、更にスライダー４と可動鉄心６との係
合がスライダー４の上方にユニツト化された電
磁石装置Mgを配設するのみで行なわれる為
に、組立が極めて容易となる。

(3) この種のスイツチにあつては磁束漏洩を少な
くする為に、ケースをアルミ、黄銅等の非磁性
体を用いることが検討されるが、電磁石装置
Mgの永久磁石９と近接対抗する側面に窓孔３
Ｄを形成することによつて、永久磁石９が可動
鉄心６以外に作用する磁束漏洩を防ぎ永久磁石
９による可動鉄心６の吸着力を向上させる構造
とした為に、材料費の比較的安い鉄材を使用す
ることができる。これはケース３をアルミ、黄
銅等の非磁性体で形成した場合、スイツチを機
器に組付けるとき、ケース３を接地回路に接続
することが多くハンダ付けが必要であり、アル
ミ等をケース３として使用するとハンダ付けが
困難で、接地用端子を外枠にカシメ等で接続さ
せる必要があつたが、鉄板を使用可能とするこ
とによつて組立作業性が向上する。

(4) 又、コイルボビン７にヨーク１０と永久磁石
９を収納する為の収納部を一体に設け、且つ、
コイルボビン７の両端間にまたがつてコ字状ヨ
ーク８を嵌着させる構造とすることによつて、
ヨーク１０と永久磁石９とを容易にコイルボビ
ン１７の所定位置に確実に配設することができ
る。

(5) 又、ケース上面に、該ケース３が取付けられ
た際、ヨーク８に当接して電磁石装置Mgを下
方へ押圧するバネ部３Ｃが設けられている為
に、電磁石装置Mgが振動したりすることがな
い。

第７図は第１図乃至第６図に示されるスイツチ
の電磁石装置Mgを変形した実施例を示すもの
で、コイルボビン７の中間部体部７Ｂの凹部７
B₁の下面７B₁′の一部を可動鉄心６の周囲を覆う
ように半円形に湾曲させ、又、凹部７B₁内に収
納される永久磁石１９の前記凹部７B₁の下面７
B₁′と対向する面にも半円形の湾曲切欠部１９Ａ
を形成し、永久磁石１９の面がより多くの可動鉄
心６の外周面と近接して対向配置させることによ
つて、永久磁石１９の可動鉄心６に対する吸引保
持力を増大させるようにしたものである。尚、こ
の実施例にあつては、第１の実施例で使用したヨ
ーク１０は使用されない。

第８図は第７図に示す変形例を更に変形させた
実施例を示すもので、第９図は第８図に示す変形
例の軸方向断面図である。

前記実施例にあつては、永久磁石９，１９を励
磁コイルC₁，C₂の中間に於けるコイルボビン７
の中間部体部７Ｂに配設されているが、本実施例
にあつてはコイルボビン１７の一端側に円筒突出
部１７Ｃと、この円筒突出部１７Ｃの先端部に鍔
部１７Ｄが設けられてなる。そして、鍔部１７Ｄ
と鍔部１７Ａとの間の円筒突出部１７Ｃには２つ
割りの永久磁石２９Ａ，２９Ｂが互いに対向して
鍔部１７Ｄと鍔部１７Ａに設けられた段部１７
ｄ，１７ａに案内されて配設される。この配設構
造は、可動鉄心６の周面全体を永久磁石２９Ａ，
２９Ｂが覆うように構成されている為に永久磁石
２９Ａ，２９Ｂが可動鉄心６を吸引する吸着力は
更に増大する。尚、この実施例にあつては中間部
体部１７Ｂには永久磁石が配設されない為に、第
１のコイルボビン部と第２のコイルボビン部とを
接続する為の円筒部１７ｂとして形成され、円筒
部１７ｂの前記スライダー４と対抗する部分は切
欠かれていることは勿論で、その切欠部よりスラ
イダー４の係合部４Ｄが進出し、可動鉄心６の小
径段部６Ａと係合する。又、ヨーク８は鍔部１７
Ｄと鍔部７Ａ（他端側は第４図と同様に形成され
ている。）との間に嵌合される。

以上説明した様に、本考案に係る電磁切換式ス
ライドスイツチは、複数の固定端子に摺接切換さ
れる可動端子を保持したスライダーを可動鉄心型
電磁石の可動鉄心の変移に連動して摺動させるよ
うにした電磁切換式スライドスイツチであつて、
前記電磁石は筒状励磁コイルと、この励磁コイル
内に摺動可能に配設された可動鉄心と、この可動
鉄心を吸引保持する永久磁石とよりなり、前記励
磁コイルはその励磁時、前記永久磁石の吸引力よ
りも大きな吸引力を発生し、前記永久磁石の吸引
保持力を打消し、前記可動鉄心を吸引変移させる
ようにしてなるものであるから、前記励磁コイル
の励磁後は永久磁石の吸引力にて可動鉄心がしつ
かりと保持状態が行なわれているので、スイツチ
に外部振動が加えられても可動鉄心は動くことが
なく信頼性に秀れ、その為に機械的保持機能が不
要となるから小型化されたスイツチを得ることが
できる効果を有する。

尚、本実施例では永久磁石と対抗するケースの
側面に窓孔を設けて、永久磁石の漏洩磁束を防ぎ
可動鉄心の保持に作用する永久磁石の吸引力を向
上させているが、ケース自体を例えばプラスチツ
ク等で形成すればより大きい効果が期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る電磁切換式スライドスイ
ツチの第１の実施例を示す平面図で、第２図は第
１図の軸方向断面図、第３図は第２図の−′
線に沿つた断面図で、第４図は第１図乃至第３図
に示したスイツチの分解斜視図である。第５図は
第１図乃至第４図に示したスイツチの端子基板１
を示す平面図、第６図は同じく第１図乃至第４図
に示したスイツチのスライダー４の底面図であ
る。第７図は第１図乃至第６図に示した実施例の
一部を変形した部分のみを示す第２の実施例の要
部斜視図である。第８図は第７図の実施例を更に
変形して示す第３の実施例の分解斜視図で、第９
図は第８図に示す実施例の軸方向断面図である。 １……端子基板、２……固定端子、３……ケー
ス、４……スライダー、５……可動端子、６……
可動鉄心、Mg……電磁石装置、７……コイルボ
ビン、C₁，C₂……励磁コイル、８……ヨーク、
９，１９，２９Ａ，２９Ｂ……永久磁石、１０…
…ヨーク、４Ｄ……係合部、６Ａ……小径段部
（係合部）、３Ｄ……窓孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定端子に摺接切換される可動端子を下方に保
   持したスライダーを可動鉄心型電磁石の可動鉄心
   の変移に連動して摺動させるようにした電磁切換
   式スライドスイツチであつて、前記スライダーは
   上面の略中間部に上方へ突設された係合部が設け
   られ、前記電磁石は前記スライダーの上方に配さ
   れ、前記スライダーの摺動方向に互いに離間して
   配された複数の筒状励磁コイルと、この励磁コイ
   ル内に摺動可能に配設され、中間部に前記スライ
   ダーの係合部と前記複数の励磁コイル間位置で係
   合する小径段部が形成された可動鉄心と、前記複
   数の励磁コイル間の上方に配され、前記可動鉄心
   を吸引保持する永久磁石とよりなり、前記励磁コ
   イルはその励磁時、前記永久磁石の吸引力を打消
   し、且つ、吸引力を発生し、前記可動鉄心を励磁
   された励磁コイル側に吸引変移させるようにして
   なる電磁切換式スライドスイツチ。