JP7513984B2 - セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法、セラミックス-金属接合体、およびセラミックス-金属接合体の製造方法 - Google Patents

セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法、セラミックス-金属接合体、およびセラミックス-金属接合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7513984B2
JP7513984B2 JP2020168397A JP2020168397A JP7513984B2 JP 7513984 B2 JP7513984 B2 JP 7513984B2 JP 2020168397 A JP2020168397 A JP 2020168397A JP 2020168397 A JP2020168397 A JP 2020168397A JP 7513984 B2 JP7513984 B2 JP 7513984B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic
metal
boundary
ceramic member
bonded body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020168397A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022060741A (ja
Inventor
俊一郎 田中
英世 小山内
祐基 寺本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
Dowa Holdings Co Ltd
Original Assignee
Tohoku University NUC
Dowa Holdings Co Ltd
Dowa Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC, Dowa Holdings Co Ltd, Dowa Mining Co Ltd filed Critical Tohoku University NUC
Priority to JP2020168397A priority Critical patent/JP7513984B2/ja
Publication of JP2022060741A publication Critical patent/JP2022060741A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7513984B2 publication Critical patent/JP7513984B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ceramic Products (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Description

本発明は、セラミックス部材と金属部材との接合体に関し、詳しくは、セラミックス-金属接合体においてセラミックスに生じる残留応力を緩和する方法、そのセラミックス-金属接合体、およびセラミックス-金属接合体の製造方法に関するものである。
例えば窒化アルミニウム(AlN)など、熱伝導率が高く電気絶縁性が高いセラミックス部材に金属部材を接合したセラミックス-金属接合体は、パワーモジュール用の電子部品の搭載基板などに広く用いられている。
セラミックス-金属接合体は、例えばセラミックス基板にろう材を介して金属板を貼り付ける活性金属法、あるいはセラミックス基板の表面に金属の溶湯を接触させ、冷却して溶湯を固化させることによりセラミックス基板に金属板を直接接合する溶湯接合法等によって接合される。セラミックス-金属接合体が回路基板の場合は、さらに金属板にエッチング加工等を施して回路が形成される。セラミックス部材と金属部材とは、互いに熱膨張率が異なることから、接合時の加熱および接合後の冷却過程により、熱膨張差に起因して、セラミックス部材に引張残留応力が発生する。
例えば従来のAlN(窒化アルミニウム)-Cu(銅)接合体によるパワー半導体搭載用の回路基板の場合、熱サイクル試験(TCT)50回程度で、Cuの接合金属部端近傍のAlNから亀裂が生じることがある。
このようなセラミックス部材に生じる亀裂を防止する方法として、例えば特許文献1には、セラミック絶縁基板面上に金属層を形成する工程と、該金属層のうち、金属回路を形成する部位を覆うように保護層を形成する保護層形成工程と、該保護層に保護されていない金属層とセラミック絶縁基板を選択的に除去して段差を形成するエッチング工程とを行い、セラミック絶縁基板と金属回路との接合界面である金属回路形成面が、金属回路を形成しないセラミック露出面よりも高くなるように形成することや、金属回路の端面と、金属回路形成面の端面と、セラミック露出面とが、連続的になめらかに繋がっているように形成することにより、絶縁基板と金属回路との接合信頼性が良好になり、優れた耐熱サイクル性を確保できるセラミック回路基板が開示されている。
また、特許文献2には、セラミックス基板の残留応力が-50MPa以下であり、且つ、セラミックス基板の金属板との接合面の算術平均粗さRaが0.15~0.30μmになるように、液体中に砥粒を含むスラリーをセラミックス基板の表面に噴射する処理を行い、この処理により得られたセラミックス基板に金属板を接合することにより、セラミックス基板と金属板の接合強度に優れるとともに耐ヒートサイクル特性に優れた金属-セラミックス接合基板が開示されている。
特許文献3には、セラミック基板上に、メカニカルアロイ法によって機械的に噛合結合した複合粉末からなる接着材を用いて導電性金属板を貼着した後、金属板表面をピーニング処理することにより、金属板に圧縮応力が与えられ、残留応力が緩和されて耐熱衝撃性が向上し、接合部の剥離や基板の割れを抑制する回路基板が開示されている。
また、特許文献4には、溶湯接合法を用いて作製された金属-セラミックス複合基板の金属部分の表面にショットピーニング層を形成することにより、耐ヒートサイクル性を向上させる技術が開示されている。
特開2001-274545号公報 特開2014-101248号公報 特開昭63-254031号公報 特開平10-87385号公報
しかしながら、上記特許文献1は、保護層に保護されていない金属層とセラミックス絶縁基板面を選択的に除去して段差を形成するエッチング工程として、サンドブラスト加工等を行うものであり、回路間等に露出したセラミックス基板の表面にダメージが生じて回路基板の強度や耐熱サイクル性が低下したり、或いは均一な加工が難しく回路基板の強度や耐熱サイクル性にばらつきが発生する恐れがある。また、金属回路の全周にわたって、金属回路の端面と金属回路形成面の端面と、セラミック露出面とが連続的になめらかに繋がっているように形成することは困難である。
特許文献2は、予めセラミックス部材にウェットブラスト加工等を行ってからセラミックス-金属接合体を製造するものであり、既に形成された接合基板に対して、耐ヒートサイクル性を向上させることはできない。さらに、セラミックス基板の表面全面に均一にブラスト処理する必要があり、金属-セラミックス接合基板としてばらつきの少ない製品の作製が難しくなる場合がある。また、特許文献3および特許文献4は、回路等を形成する金属部材をピーニングにより摩耗、損傷させるおそれがある。
以上の問題を解決するために、本発明は、セラミックス部材と金属部材との接合体において、回路基板等としての使用に伴う冷熱サイクルでセラミックス部材にクラックや破壊などが生じにくく、金属部材表面やセラミックス部材表面へのダメージの発生を少なくでき、セラミックス部材の金属部材との接合界面に対して垂直方向の引張残留応力を低減させる残留応力緩和方法、そのセラミックス-金属接合体、およびセラミックス-金属接合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、回路基板に冷熱サイクルが負荷されたときにセラミックス部材にクラックなどが発生するメカニズムについて種々の検討を行った。その結果、セラミックス部材にクラックや破壊が生じる前の回路基板の接合部端近傍の応力分布を、X線を用いて実測すると、AlNと金属との接合部端(接合境界)から0.1mm以内のセラミックス表面において、金属との接合境界に直交する方向に400MPa以上の引張応力が残留していることがわかった。この残留応力がTCT中にAlNの材料強度を超えてクラックが発生したものと考えられる。
上記問題を解決するため、本発明は、セラミックス部材の表面に金属部材が接合された接合体において、前記セラミックス部材および前記金属部材が板材であり、前記セラミックス部材が前記金属部材より大きく、前記金属部材の側面の下端との接合境界近傍において、前記セラミックス部材の表面が露出し、前記セラミックス部材と前記金属部材の側面の下端との接合境界近傍における前記セラミックス部材の表面に、ホーニング、ピーニング、またはブラスティング処理を行って圧縮応力を負荷し、前記セラミックス部材の前記接合境界近傍の表面における前記接合境界に対して垂直方向の引張残留応力を低減させることを特徴とする、セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法を提供する。
前記金属部材の表面と、前記接合境界近傍を除く前記セラミックス部材の表面とに、マスキング部を形成した後、前記圧縮応力を負荷することが好ましい。
前記セラミックス部材は、主成分がAl3、AlN、Siのいずれかであり、前記金属部材は、Cu、Al、あるいはCuまたはAlのいずれかを主成分とする合金であり、前記セラミックス部材と前記金属部材との接合は、ろう付け法または溶湯接合法によって行われてもよい。
また、本発明は、セラミックス部材の表面に金属部材が接合された接合体において、前記セラミックス部材および前記金属部材が板材であり、前記セラミックス部材が前記金属部材より大きく、前記金属部材の側面の下端との接合境界近傍において、前記セラミックス部材の表面が露出し、前記セラミックス部材の前記接合境界近傍の表面における前記接合境界に対して垂直方向の引張残留応力が250MPa以下であることを特徴とする、セラミックス-金属接合体を提供する。
前記セラミックス部材の前記接合境界近傍の表面における前記接合境界に対して垂直方向の応力勾配が、200MPa/0.1mm以下でもよい。また、前記セラミックス-金属接合体が回路基板でもよい。
また、本発明は、前記残留応力緩和方法でセラミックス-金属接合体の残留応力を緩和する工程を有することを特徴とする、セラミックス-金属接合体の製造方法を提供する。
本発明によれば、セラミックス部材と金属部材の側面の下端との接合境界近傍における前記セラミックス部材の表面に、ホーニング、ピーニング、またはブラスティング処理により圧縮応力を負荷することにより、セラミックス部材と金属部材の接合境界に垂直方向の残留引張応力を低減させ、セラミックス部材のクラックを防止し、耐熱サイクル性を向上させることができる。
本発明が適用されるセラミックス-金属接合体の例を示し、(a)は上面図、(b)は縦断面図、(c)は底面図である。 図1(a)のA部の拡大図である。 図1(b)のB部の拡大図である。 図2のC部におけるセラミックス部材の接合境界に垂直方向の残留応力分布を示すグラフである。 圧縮応力を負荷する際の、図2のC部におけるマスキング部の一例を示す断面模式図である。
本発明は、セラミックス部材の表面に金属部材が接合された接合体において、セラミックス部材と金属部材の側面の下端との接合境界近傍におけるセラミックス部材の表面に、ホーニング、ピーニング、またはブラスティング処理を行って圧縮応力を負荷し、セラミックス部材の接合境界近傍の表面における接合境界に対して垂直方向の引張残留応力を低減させることを特徴とする、セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法である。
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、セラミックス-金属接合体1の一例を示す図である。セラミックス部材2としては、例えばAlN(窒化アルミニウム)、Al(アルミナ)、Si(窒化珪素)等を主成分とする(例えばAlN、Al、またはSiを80質量%以上含有する)セラミックスが用いられる。特に窒化珪素と比べて強度、靭性の小さいAlNやAlを主成分とするセラミックスに適用することが好ましい。金属部材3としては、例えばCu、Al、あるいはCuまたはAlのいずれかを主成分とする合金等が用いられる。セラミックス部材2と金属部材3とは、活性金属を含有するろう材を用いて金属部材3をセラミックス部材2に接合するろう付け法(活性金属法)、または金属溶湯を固化させて金属部材3をセラミックス基板2に接合させる溶湯接合法等によって接合される。
図1はセラミックス-金属接合体1の一実施形態としての回路基板を示すものである。活性金属法による接合では、セラミックス基板(板材)からなるセラミックス部材2と金属板からなる金属部材3がチタン等の活性金属を含有するろう材を介して接合され、接合後に金属部材3およびろう材層(図示省略)にエッチングを施して回路パターン等を形成することにより、パワーモジュール用などの回路基板を作製することができる。
また、溶湯接合法による接合では、鋳型内にセラミックス基板(セラミックス部材2)を設置した後、このセラミックス基板に接触するようにアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯を鋳型内に注湯し、冷却して溶湯を固化させることにより、セラミックス基板に直接接合したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属板(金属部材3)を形成し、例えば図1に示すような形状の回路基板(セラミックス-金属接合体1)が製造される。
セラミックス-金属接合体1が回路基板の場合、セラミックス部材2の厚さは0.2~2.0mm、さらには0.3~1.0mmであることが好ましく、金属部材3の厚さは0.2~5.0mmであることが好ましい。また金属部材3が回路パターンの場合、金属部材3の厚さは0.2~2.0mm、さらには0.25~1.0mm程度であることが好ましい。回路パターン間の(絶縁)距離は1.0mm以上が好ましく、1.2mm以上がより好ましく、1.5mm以上がさらに好ましい。
図2は図1(a)のA部を拡大した平面図である。図3は、図1(b)のB部を拡大した縦断面図であり、セラミックス部材2の表面と金属部材3の側面の下端との接合の境界である接合境界11付近を示す縦断面図である。図3の例では、金属部材3の側面がセラミックス部材2の表面に対してなす角は90°である。なお、本発明において、金属部材3の側面とセラミックス部材2の表面のなす角度は90°に限定されず、例えば15°以上120°以下、好ましくは45°以上90°以下であるセラミックス-金属接合体に適用できる。
このようなセラミックス-金属接合体1は、金属部材3との接合部において、セラミックス部材2の表面に残留応力が生じる。図4は、図2のC部における、セラミックス部材2の表面と金属部材3の側面との接合境界11に対して垂直方向(図2のC部の矢印方向)のセラミックス部材2の表面の残留応力分布を示し、縦軸の「+」が引張応力で「-」が圧縮応力、横軸は図2のC部であり、左右の一点鎖線は金属部材3の側面の下端の位置(接合境界11)を示す。図4に示すように、セラミックス部材2の表面に生じる残留応力は、セラミックス部材2と金属部材3の側面との接合境界11において、最も大きい引張方向の応力が生じており、接合境界11の近傍にも大きな引張応力が生じている。また、接合境界11から離れた金属部材3の中央部(図4の縦軸)付近は、接合境界11およびその近傍と比べて引張応力が小さく、圧縮応力となる領域も存在している。本発明は、この接合境界11近傍のセラミックス部材の表面にホーニング、ピーニング、またはブラスティング処理を行うことにより、セラミックス部材2の特に接合境界11の近傍に生じる引張応力の緩和を図る。
ホーニング、ピーニング、またはブラスティング処理は、セラミックス部材2の金属部材3との接合境界11から離れた位置には圧縮応力が負荷されないように、且つ、金属部材3の回路部分を損傷しないように、接合境界11からなるべく狭い範囲の接合境界11の近傍に、セラミックス部材2と金属部材3との接合界面に対し略垂直な方向から負荷することが好ましい。
さらに、セラミックス部材2の、金属部材3との接合境界11の近傍に集中して圧縮応力を加えるために、図5に示すように、金属部材3の表面と、接合境界11近傍を除くセラミックス部材2の表面とに、マスキング部5を形成した後、圧縮応力を負荷することが好ましい。図5は、図2のC部においてマスキング部5を形成した状態の一例を示す断面模式図である。マスキング部5の材料としては、例えばマスキングテープやドライフィルム、レジストインク等を用いることができる。セラミックス基板2の表面など、狭い領域にマスキング部5を形成するためには、レジストインクをインクジェットプリンタやディスペンサーを用いて塗布することが好ましい。
なお、本明細書において、接合境界11の近傍とは、前述の引張応力が大きくなる部分であり、接合境界11から垂直方向に概ね0.3mm以内の範囲(距離)のセラミックス部材2の表面の領域を意味する。
ピーニング処理は、例えば、先端径が3mmのノズルを用いて、直径約50μmの鋼球微粒子を100m/secで噴射させるショットピーニングとしてもよい。また、ショット材としてナイロン球のような柔らかいプラスティック球も含めてもよい。
ブラスティング処理は、例えば、先端径が4mmのノズルを用いて、粒度JIS#100~150のAlを0.3~0.5MPa、好ましくは0.35~0.45MPa、0.75Nm/minで投射するショットブラスティングとしてもよい。
以上のような処理を行うことにより、例えばAlNからなるセラミックス部材2の金属部材3の側面との接合境界11付近の残留応力(引張応力)を250MPa以下、接合境界11近傍の応力勾配200MPa/0.1mm以下を実現し、耐熱サイクル性能を大きく向上させたセラミックス-金属接合体1が得られる。本発明にかかるセラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法において、接合境界11近傍の残留応力(引張応力)を200MPa以下、さらには100MPa以下に低減することができる。
残留応力は、例えば照射部直径0.1mmのCrKαX線束、または照射部直径0.2mmのCuKαX線束によるsinψ法、あるいはX線2次元検出器を用いた2D法やcosα法で測定することができる。なお、X線束はCrKα、CuKαの他、MnKα、CoKαやVKαでも測定可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
<比較例>
高熱伝導性AlNからなる縦34mm、横34mm、厚さ0.635mmの平板状のセラミックス部材(株式会社トクヤマ製のAlN基板)の両面に、縦32mm、横32mm、厚さ0.25mmのCu板からなる金属部材を、Tiを含むAg-Cu系ろう材を用いた活性金属法(AMC)で接合し、AlN-Cu接合体(接合基板)を作成した。
さらに、AlN-Cu接合体のAlN基板の一方の主面(表面)に形成(接合)されたCu板の表面に、スクリーン印刷により回路形状のエッチングレジスト(インク)を形成し、紫外線で硬化させた後、薬液によりCu板およびろう材の不要部分をエッチングで除去し、次いでエッチングレジストを除去して、複数のアイランド(Cu回路板)からなる回路パターンを形成し、セラミックス-金属接合体であるAlN-Cu接合回路基板を作製した。AlN基板の表面とCu回路板の側面とのなす角を90°とした。アイランド間(回路間)の距離は1.2mmとした。
この回路基板のCu回路板の全長20mmにわたる回路間(幅1.2mm)の長さ方向の中央部において、AlN基板の表面とCu回路板の側面との接合境界(回路パターン端部)から垂直方向に所定の距離の部位を中心として、AlN基板表面にX線束を照射し、X線応力測定法の2D法により、セラミックス基板表面の残留応力を測定した。その測定条件は、管電圧38kV、管電流16mAとし、直径0.2mmのCrKα線のX線束を用い回折角2θ=150.3deg付近に現れるAlNの(202)回折環を測定し、ヤング率(縦弾性係数)E=315GPa、ポアソン比ν=0.24として応力を求めた。その結果、接合境界から垂直方向に0.1mm離れた部位のφ0.2mm領域におけるAlN基板の表面において、接合境界に垂直な方向に350MPaに達する残留引張応力が生じ、接合端(接合境界)の外挿値は450MPaとなった。接合境界近傍(接合境界から垂直方向に0.1~0.2mmの間)のセラミックス基板表面における前記接合境界に対して垂直方向の応力勾配の絶対値は約300MPa/0.1mmであった。この接合体に対して、125℃から-40℃の熱サイクル試験(TCT)を行ったところ、250回で接合部の片端から亀裂が生じた。
<実施例>
比較例と同様の製造条件でAlN-Cu接合回路基板を作製した。この回路基板のCu回路板表面の全面にマスキングテープ(日東電工株式会社製のプリント基板用エレップマスキング N-300)を貼り付けた。次いで、Cu回路板の側面の下端(接合境界)から垂直方向に0.3mm以内の領域を除いたセラミックス基板表面に前記マスキングテープを貼り付け、接合境界近傍を除くセラミックス基板表面にマスキング部を形成した。このマスキングしたAlN-Cu接合回路基板において、AlN基板の表面とCu回路板の側面との接合境界に沿ってアルミナメディアの湿式ホーニングを行った。湿式ホーニングの条件として、アルミナ粉は粒度JIS#120(篩目の開き125μm)を用い、ノズル径4mm、噴射圧力0.4MPa、0.75Nm/minとした。このように湿式ホーニングによる圧縮応力を接合境界近傍のセラミックス基板の表面に負荷した後、マスキング部(マスキングテープ)を除去した。
このようにして得られたAl-Cu接合回路基板を、比較例と同様の方法で、接合境界から垂直方向に0.1mm離れた部位のφ0.2mm領域におけるAlN基板の表面の残留応力を測定し、応力勾配を算出した。その結果、残留応力は引張応力200MPa、応力勾配は約120MPa/0.1mmに下がっていた。また、TCTは500回まで亀裂が発生しなかった。
以上のように、セラミックスと金属側面との接合界面近傍のセラミックス基板表面へのホーニング処理により、界面垂直方向の残留応力が250MPa以下、界面応力勾配が200MPa/0.1mm以下を実現することができ、耐TCTが2倍以上に向上した。また、マスキングをすることにより、ホーニング処理を不要部分に行うことがないため、回路板やセラミックス基板表面へのダメージを抑制し、ばらつきの少ない処理を行うことができた。
本発明は、セラミックス部材の表面に金属部材を接合した接合体に適用できる。
1 セラミックス-金属接合体
2 セラミックス部材
3 金属部材
5 マスキング部
11 接合界面

Claims (7)

  1. セラミックス部材の表面に金属部材が接合された接合体において、
    前記セラミックス部材および前記金属部材が板材であり、
    前記セラミックス部材が前記金属部材より大きく、前記金属部材の側面の下端との接合境界近傍において、前記セラミックス部材の表面が露出し、

    前記セラミックス部材と前記金属部材の側面の下端との接合境界近傍における前記セラミックス部材の表面に、ホーニング、ピーニング、またはブラスティング処理を行って圧縮応力を負荷し、前記セラミックス部材の前記接合境界近傍の表面における前記接合境界に対して垂直方向の引張残留応力を低減させることを特徴とする、セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法。
  2. 前記金属部材の表面と、前記接合境界近傍を除く前記セラミックス部材の表面とに、マスキング部を形成した後、前記圧縮応力を負荷することを特徴とする、請求項1に記載のセラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法。
  3. 前記セラミックス部材は、主成分がAl3、AlN、Siのいずれかであり、前記金属部材は、Cu、Al、あるいはCuまたはAlのいずれかを主成分とする合金であり、前記セラミックス部材と前記金属部材との接合は、ろう付け法または溶湯接合法によって行われることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載のセラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法。
  4. セラミックス部材の表面に金属部材が接合された接合体において、
    前記セラミックス部材および前記金属部材が板材であり、
    前記セラミックス部材が前記金属部材より大きく、前記金属部材の側面の下端との接合境界近傍において、前記セラミックス部材の表面が露出し、
    前記セラミックス部材の前記接合境界近傍の表面における前記接合境界に対して垂直方向の引張残留応力が250MPa以下であることを特徴とする、セラミックス-金属接合体。
  5. 前記セラミックス部材の前記接合境界近傍の表面における前記接合境界に対して垂直方向の応力勾配が、200MPa/0.1mm以下であることを特徴とする、請求項に記載のセラミックス-金属接合体。
  6. 前記セラミックス-金属接合体が回路基板であることを特徴とする、請求項4または5のいずれか一項に記載のセラミックス-金属接合体。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の方法でセラミックス-金属接合体の残留応力を緩和する工程を有することを特徴とする、セラミックス-金属接合体の製造方法。
JP2020168397A 2020-10-05 2020-10-05 セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法、セラミックス-金属接合体、およびセラミックス-金属接合体の製造方法 Active JP7513984B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020168397A JP7513984B2 (ja) 2020-10-05 2020-10-05 セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法、セラミックス-金属接合体、およびセラミックス-金属接合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020168397A JP7513984B2 (ja) 2020-10-05 2020-10-05 セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法、セラミックス-金属接合体、およびセラミックス-金属接合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022060741A JP2022060741A (ja) 2022-04-15
JP7513984B2 true JP7513984B2 (ja) 2024-07-10

Family

ID=81125381

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020168397A Active JP7513984B2 (ja) 2020-10-05 2020-10-05 セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法、セラミックス-金属接合体、およびセラミックス-金属接合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7513984B2 (ja)

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000178080A (ja) 1998-12-14 2000-06-27 Japan Science & Technology Corp セラミックス−金属接合体
JP2001274545A (ja) 2000-03-28 2001-10-05 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミック回路基板およびその製造方法
JP2003192463A (ja) 2001-12-26 2003-07-09 Kyocera Corp 窒化物セラミックス銅回路基板
JP2008069044A (ja) 2006-09-14 2008-03-27 Hitachi Metals Ltd セラミックス基板、これを用いたセラミックス回路基板及び半導体モジュール
JP2014101248A (ja) 2012-11-20 2014-06-05 Dowa Metaltech Kk 金属−セラミックス接合基板およびその製造方法
JP2014168044A (ja) 2013-01-30 2014-09-11 Mitsubishi Materials Corp ヒートシンク付パワーモジュール用基板及びその製造方法
JP2015168591A (ja) 2014-03-06 2015-09-28 国立大学法人東北大学 接合体
JP2017069302A (ja) 2015-09-29 2017-04-06 京セラ株式会社 回路基板および回路基板の製造方法
JP2018142561A (ja) 2017-02-24 2018-09-13 三菱マテリアル株式会社 セラミックス板の製造方法及びパワーモジュール用基板の製造方法
JP2022022641A (ja) 2020-06-30 2022-02-07 国立大学法人東北大学 セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法およびセラミックス-金属接合体

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000178080A (ja) 1998-12-14 2000-06-27 Japan Science & Technology Corp セラミックス−金属接合体
JP2001274545A (ja) 2000-03-28 2001-10-05 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミック回路基板およびその製造方法
JP2003192463A (ja) 2001-12-26 2003-07-09 Kyocera Corp 窒化物セラミックス銅回路基板
JP2008069044A (ja) 2006-09-14 2008-03-27 Hitachi Metals Ltd セラミックス基板、これを用いたセラミックス回路基板及び半導体モジュール
JP2014101248A (ja) 2012-11-20 2014-06-05 Dowa Metaltech Kk 金属−セラミックス接合基板およびその製造方法
JP2014168044A (ja) 2013-01-30 2014-09-11 Mitsubishi Materials Corp ヒートシンク付パワーモジュール用基板及びその製造方法
JP2015168591A (ja) 2014-03-06 2015-09-28 国立大学法人東北大学 接合体
JP2017069302A (ja) 2015-09-29 2017-04-06 京セラ株式会社 回路基板および回路基板の製造方法
JP2018142561A (ja) 2017-02-24 2018-09-13 三菱マテリアル株式会社 セラミックス板の製造方法及びパワーモジュール用基板の製造方法
JP2022022641A (ja) 2020-06-30 2022-02-07 国立大学法人東北大学 セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法およびセラミックス-金属接合体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022060741A (ja) 2022-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3971296B2 (ja) 金属−セラミックス接合基板およびその製造方法
JP6400501B2 (ja) 金属−セラミックス回路基板の製造方法
WO2007125878A1 (ja) アルミニウム-炭化珪素質複合体及びそれを用いた放熱部品
KR102151824B1 (ko) 전자 부품 장착 기판 및 전자 부품 장착 기판을 제조하는 방법
JP5367914B2 (ja) 配線基板およびその製造方法ならびに半導体装置
WO2014080536A1 (ja) 金属-セラミックス接合基板およびその製造方法
WO2007080701A1 (ja) アルミニウム-炭化珪素質複合体及びそれを用いた放熱部品
JP4140593B2 (ja) メタライズ基板
JP2009099597A (ja) 半導体装置およびその製造方法
KR100723532B1 (ko) 도전성 범프 형성용 몰드, 그 몰드 제조방법, 및 그몰드를 이용한 웨이퍼에 범프 형성방법
WO2017188273A1 (ja) セラミック回路基板及びその製造方法
WO2001006029A1 (fr) Cible de pulverisation
JP2013522872A (ja) 金属接合セラミック基板
JP7513984B2 (ja) セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法、セラミックス-金属接合体、およびセラミックス-金属接合体の製造方法
JP6940997B2 (ja) アルミニウム−セラミックス接合基板およびその製造方法
JP4599121B2 (ja) 電気中継板
JP2005095944A (ja) 金属基板−炭素基金属複合材料構造体および該構造体の製造方法。
JP2002359453A (ja) 回路基板及びその製造方法
JP2004307307A (ja) セラミックス回路基板とその製造方法
JP2022022641A (ja) セラミックス-金属接合体の残留応力緩和方法およびセラミックス-金属接合体
WO2020218193A1 (ja) セラミックス回路基板および電子部品モジュール
JP2004162147A (ja) 溶射被膜を有する窒化アルミニウム焼結体
JP3846650B2 (ja) 高熱効率サーマルヘッド
JP7358123B2 (ja) 金属-セラミックス回路基板およびその製造方法
JP7383582B2 (ja) アルミニウム-セラミックス接合基板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230807

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240514

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240619

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7513984

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150