JP7502707B2 - 光増幅装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光通信システムおよび光増幅装置に関する。
長距離基幹光ファイバ通信網などの長距離伝送システムでは、イーサネット(Ethernet)等の高速化が進むクライアント信号を効率的に伝送信号に収用することが求められている。長距離伝送システムの容量の増加と併せてチャネル速度の向上が重要である。
このためには変調方式の高多値化が必要になる。変調方式を高多値化する場合、信号空間ダイヤグラムにおいて、信号点同士の間隔が狭まる。隣接する信号点を安定して識別するためには、伝送路の雑音を小さく抑えなくてはならない。高多値化によるシステム容量の増加のためには、伝送路の抜本的な高S/N化が求められている。
長距離伝送システムにおけるS/N劣化の主要因に、光増幅器からの自然放出光雑音の累積がある。自然放出光雑音を小さく抑えることが伝送路のSNR改善に重要となる。エルビウム添加ファイバレーザ増幅器(EDFA)のようなレーザ増幅器では、自然放出光雑音の最小値の理論的限界が存在し、信号光のS/Nは増幅前後で少なくとも3dB低下する。これは信号伝送時における伝送符号誤り率を上昇させ、伝送品質を低下させる。
この問題を解決するため、位相感応光増幅器(Phase Sensitive Amplifier:PSA)が検討されている。PSAは、信号光波形や位相信号を整形する機能を有する。また、信号とは無関係の直交位相を持った自然放出光を抑圧でき、同相の自然放出光も最小限で済むため、増幅前後で信号光のS/Nを劣化させず同一に保つことが原理的に可能である。
図1は、従来のPSAの基本的な構成を示す。図1に示されるように、PSA100は、光パラメトリック増幅を用いた位相感応光増幅部101と励起光源102と励起光位相制御部103と、第1及び第2の光分岐部104-1及び104-2とを備える。図1に示されるように、PSA100に入力された信号光110は、光分岐部104-1で2分岐されて、一方は位相感応光増幅部101に入射し、他方は励起光源102に入射する。励起光源102から出射した励起光111は、励起光位相制御部103を介して位相が調整されて、位相感応光増幅部101に入射する。位相感応光増幅部101は、入力した信号光110及び励起光111に基づいて出力信号光112を出力する。
位相感応光増幅部101は、入射した信号光110の位相と励起光111の位相とが一致すると信号光110を増幅し、両者の位相が90度ずれた直交位相関係になると、信号光110を減衰する特性を有している。この特性を利用して増幅利得が最大となるように励起光111―信号光110間の位相を一致させると、信号光110と直交位相の自然放出光が発生しない。また同相の成分に関しても信号光のもつ雑音以上に過剰な自然放出光を発生しないため、つまりS/N比を劣化させずに信号光110の増幅が可能になる。
このような信号光110および励起光111の位相同期を達成するため、励起光位相制御部103は、第1の光分岐部104-1で分岐された信号光110の位相と同期するように励起光111の位相を制御する。加えて、励起光位相制御部103は第2の光分岐部104-2で分岐された出力信号光112の一部を狭帯域の検出器で検波し、出力信号光112の増幅利得が最大となるように励起光111の位相を制御する。その結果、位相感応光増幅部102では、上記の原理によってS/N比の劣化のない光増幅が実現される。
なお、励起光位相制御部103は、励起光源102の出力側で励起光111の位相を制御する構成の他に、励起光源102の位相を直接制御する構成としても良い。また信号光110を発生する光源が位相感応光増幅部101の近くに配置されている場合は、信号光用光源の一部を分岐して励起光として用いることもできる。
上述のパラメトリック増幅を行う非線形光学媒質としては周期分極反転LiNbO(PPLN)導波路に代表される二次非線形光学材料を用いる方法と、石英ガラスファイバに代表される三次非線形光学材料を用いる方法がある。
図2は、非特許文献1等に開示されているPPLN導波路を用いた従来技術のPSAの構成を例示する。図2に示されるPSA200は、エルビウム添加ファイバレーザ増幅器(EDFA)201と、第1及び第2の二次非線形光学素子202、204と、第1及び第2の光分岐部203-1、203-2と、位相変調器205と、PZTによる光ファイバ伸長器206と、偏波保持ファイバ207と、光検出器208と、位相同期ループ(PLL)回路209と、を備える。第1の二次非線形光学素子202は、第1の空間光学系211と、第1のPPLN導波路212と、第2の空間光学系213と、第1のダイクロイックミラー214と、を備え、第2の二次非線形光学素子204は、第3の空間光学系215と、第2のPPLN導波路216と、第4の空間光学系217と、第2のダイクロイックミラー218と、第3のダイクロイックミラー219と、を備える。
第1の空間光学系211は、第1の二次非線形素子202の入力ポートから入力された光を第1のPPLN導波路212に結合する。第2の空間光学系213は、第1のPPLN導波路212から出力された光を第1のダイクロイックミラー214を介して第1の二次非線形光学素子202の出力ポートに結合する。第3の空間光学系215は、第2の二次非線形光学素子204の入力ポートから入力された光を第2のダイクロイックミラー218を介して第2のPPLN導波路216に結合する。第4の空間光学系217は、第2のPPLN導波路216から出力された光を第3のダイクロイックミラー219を介して第2の二次非線形光学素子204の出力ポートに結合する。
図2に示した例では、PSA200に入射した信号光250は、光分岐部203-1によって分岐されて、一方は第2の二次非線形光学素子204に入射する。他方は励起基本波光251として位相変調器205及び光ファイバ伸長器206を介して位相制御されてEDFA201に入射する。光通信に用いられる微弱なレーザ光から非線形光学効果を得るのに十分なパワーを得るためにEDFA201は、入射した励起基本波光251を増幅し、第1の二次非線形光学素子202に入射する。第1の二次非線形光学素子202では、入射した励起基本波光251から第二高調波(SH光:Second Harmonics)252が発生し、当該発生したSH光252は偏波保持ファイバ207を介して第2の二次非線形光学素子204に入射する。第2の二次非線形光学素子204では、入射した信号光250とSH光252とで縮退パラメトリック増幅を行うことで位相感応光増幅を行い、出力信号光253を出力する。
PSAにおいては、信号と位相の合った光のみを増幅するために、上述のように信号光の位相と励起光の位相とが一致するか、または、πラジアンだけずれている必要がある。すなわち二次の非線形光学効果を用いる場合は、SH光に相当する波長である励起光の位相φ2ωsと、信号光の位相φωsとが次の(式1)の関係を満たすことが必要となる。ここで、nは整数とする。
Δφ=1/2(φ2ωs-φωs)=nπ (式1)
図3は、二次非線形光学効果を利用したPSAにおける、入力信号光‐励起光間の位相差Δφと、利得(dB)との関係を示すグラフである。Δφが-π、0、またはπのときに、利得が最大となっていることがわかる。
図2に示した構成においては、信号光250と励起基本波光251とを位相同期させるために、位相変調器205を用いて微弱なパイロット信号により位相変調を励起基本波光251に施した後、出力信号光253の一部を分岐して検出器208で検波する。このパイロット信号成分は、図3に示される位相差Δφが最小の位相同期が取れている状態で最小となる。したがって、パイロット信号が最小、つまり増幅出力信号が最大となるようにPLL回路209を用いて、光ファイバ伸長器206にフィードバックを行う。このようなフィードバック動作により、励起基本波光251の位相を制御して信号光250と励起基本波光251の位相同期を達成することができる。
PPLN導波路を非線形媒質として用い、信号光250およびSH光252を第2の二次非線形光学素子204に入射して縮退パラメトリック増幅を行う上述の構成では、例えばダイクロイックミラー214の特性を用いて励起基本波光の成分を取り除く。これにより、SH光252および信号光250のみを第2の二次非線形光学素子204のようなパラメトリック増幅媒質に入射することができる。EDFA201の発生する自然放出光の混入による雑音が防げるので、低雑音な光増幅が可能になる。
PSAは強度雑音が少ないだけでなく、位相雑音を低減させる効果を持つことから、光通信における中継増幅器や受信器の前置増幅器として用いると、伝送路の非線形歪等の低減が可能であり、光信号品質の改善に効果的である。非特許文献2は、縮退パラメトリック過程を用いたPSAの中継増幅の構成例を開示している。
一方、上述の縮退パラメトリック過程を用いた位相感応光増幅は図3に示したように、直交する位相成分を減衰させる特性を有している。このため、通常の強度変調信号や二値の位相変調を用いるIMDD、BPSK、DPSK等の変調信号の増幅に対してのみ用いることができる。また、縮退パラメトリック過程を用いた位相感応光増幅は、1波長の信号光のみしか位相感応光増幅することができない。PSAを光通信技術に適用するためには、多値変調フォーマット・波長多重信号等、種々の光信号への対応が可能な構成が必要である。非特許文献3は、予め信号光の対となる位相共役光を用意し、PPLN等の非線形媒質への入力光とする非縮退のパラメトリック増幅に基づく構成を開示している。
ここで、PSAを光通信に適用する場合のより具体的な位相同期の手法に着目する。図2で示した基本構成のように、PSAが信号光の送信器の直後に配置され、信号光を発生する光源が位相感応光増幅部の近くにある場合、信号光用光源の出力の一部を分岐して励起光として利用できる。しかしながら、光伝送における中継増幅器としてPSAを用いる場合は、光変調が施されている信号光から平均的な位相を抽出し、信号の搬送波位相と同期した励起光を生成する必要がある。PSAを光伝送における中継増幅器として用いる場合は、搬送波位相の抽出方法を含めてPSAを構成することが重要となる。
PSAを中継増幅器に適用する構成としては、変調信号のキャリア位相と同じ位相をもつ連続波(CW)のパイロットキャリアを利用する構成(非特許文献4)が知られている。信号光とともにパイロットキャリアを光ファイバ伝送路に送り出し、中継増幅地点に設置した局部発振光に光注入同期をすることで、信号光と位相同期した局部発振励起光を生成できる。しかしながらこの構成では、信号光と同送するパイロットキャリアが信号帯域の一部を占有し、帯域利用効率を落としてしまう。CW光を同送することでファイバ中の四光波混合による不要な変換光が発生し、信号品質を劣化させる。
T. Umeki, O. Tadanaga, A. Takada and M. Asobe, "Phase sensitive degenerate parametric amplification using directly-bonded PPLN ridge waveguides," Optics Express, 2011年, Vol.19, No.7, p.6326-6332 Takeshi Umeki, Masaki Asobe, and Hirokazu Takenouchi,"In-line phase sensitive amplifier based on PPLN waveguides," Optics Express, 2013年5月, Vol.21, No.10, p.12077-12084 M. Asobe, T. Umeki, H. Takenouchi, and Y. Miyamoto,"In-line phase-sensitive amplifier for QPSK signal using multiple QPM LiNbO3 waveguide," In Proceedings of the OptoElectronics and Communications Conference, OECC, 2013年, PDP paper PD2-3 M. Abe, T. Kazama, T. Umeki, K. Enbutsu, Y. Miyamoto, and H. Takenouchi, "PDM-QPSK WDM Signal amplification using PPLN-based polarization-independent in-line phase-sensitive amplifier,"in Proc. 42nd European Conference on Optical Communication (ECOC’16), 2016年, paper W.4.P1.SC2.4 K. Enbutsu, T. Umeki, O. Tadanaga, H. Takenouchi and M. Asobe, "PPLN-based low-noise in-line phase sensitive amplifier with highly sensitive carrier-recovery system," 2015 21st Asia-Pacific Conference on Communications (APCC), Kyoto, Japan, 2015年, pp. 666-669, doi: 10.1109/APCC.2015.7412591 F. Mogensen, H. Olesen, and G. Jacobsen, "Locking conditions and stability properties for a semiconductor-laser with external light injection,"IEEE J. Quantum Electron., 1985年7月vol. 21, no. 7, pp. 784-793
PSAを中継増幅器に適用した別の例としてPPLNを用いた励起光抽出と光注入同期を用いた光増幅装置が提案されている(非特許文献5)。この光増幅装置は、パイロットトーンを必要とせず、変調された信号光から搬送波位相の抽出を行っているため、帯域の利用効率を落とさずにPSAの中継器への適用が可能な構成である。しかしながら後述するように、励起光生成過程で生じる位相雑音が、PSAにおいて雑音を生じさせる問題があった。信号の高多値化を実現するには、システムの送信側および伝送路におけるS/N比の向上が必要である。伝送路の途中で使用される中継型の光増幅装置においても、位相雑音を増やさずにPSA本来の低雑音性を確実にすることが望まれていた。
上述の問題に鑑みて本発明の目的は、雑音を抑えた局部発振励起光を生成する新規な光増幅装置を提供することにある。
本開示の1つの実施態様は、信号光および当該信号光の位相共役光を含む信号光対のための光増幅装置であって、前記信号光対の非縮退パラメトリック増幅を行う位相感応光増幅部と、前記信号光対の一部から、前記信号光と前記位相共役光の和周波光を発生させる第1の二次非線形光学素子、前記和周波光および第1の励起光から、差周波光を発生させる第2の二次非線形光学素子、前記差周波光の周波数に同期した第2の励起光を生成する注入同期光源、前記第2の二次非線形光学素子から出力された前記第1の励起光および前記差周波光から、第1のビート信号を取得する第1の検出部、前記第1の励起光および注入同期した第2の励起光から、第2のビート信号を取得する第2の検出部、前記第1のビート信号および前記第2のビート信号から、前記注入同期した第2の励起光の位相誤差を表す信号を生成する位相誤差検出部、および、位相誤差を表す前記信号に基づいて、前記注入同期光源の前記第2の励起光の位相を制御するフィードバック部を有する励起光生成部とを備え、前記注入同期した第2の励起光が、前記位相感応光増幅部における励起光生成のために利用される光増幅装置である。
高多値化された信号を精度良く効率的に伝送する光増幅装置を提供できる。
従来技術の位相感応光増幅器の構成の説明図である。 二次非線形光学効果を利用した位相感応光増幅器の構成図である。 入力信号光-励起光間の位相差Δφと利得との関係を示すグラフである。 注入同期を利用した励起光再生部を含む光増幅装置の構成を示す図である。 光増幅装置の各部における非線形動作、周波数関係を説明する図である。 光注入同期に用いる局部発振光源の同期状態を説明する図である。 本開示の中継型の光増幅装置の構成を示す図である。
本開示の光増幅装置は、信号光からの搬送波位相の抽出と、位相雑音を抑えた新規な構成の注入同期とを組み合わせた励起光生成部を備え、中継型PSA本来の低雑音性を発揮する。上述の非特許文献5による光増幅装置は、受信された変調された信号光から搬送波位相の抽出を行い、帯域の利用効率を落とさずにPSAを中継器へ適用できる。後述する本開示の光増幅装置は、信号光からの搬送波位相の抽出と注入同期とを組み合わせた励起光生成部を含むこの光増幅装置をベースとしている。本開示の光増幅装置と基本的な動作の点で共通しているので、最初に非特許文献5による光増幅装置300の構成および動作について説明する。
図4は、光注入同期を利用した励起光生成部を含む光増幅装置の構成を示す図である。図4の光増幅装置300は、信号光を光増幅するPSA部330と、これに対して励起光を供給する励起光生成部340を備えた、中継型の光増幅装置を構成している。
図5の(a)~(e)は、図4に示した光増幅装置300の各部における非線形媒質である二次非線形光学素子(PPLN)の動作と関連する各光周波数との関係を説明する図である。各図とも横軸を光角周波数ωとして、矢印で示した各信号の角周波数軸上での位置関係を説明している。また本明細書では、φは位相を表すものであるが、図5の各図において、また以下の図4の光増幅装置300の動作説明でφを含む数式では、φはそれぞれの光の光周波数を表しているものとする。また簡単のため、図4の以下の動作説明では光角周波数を単に「周波数」と呼ぶ。図4の光増幅装置の構成および動作について、図5の各図のPPLNによる非線形動作を参照しながら説明する。
伝送路である光ファイバ301を経由して、光増幅装置300へ、信号光401が入力される。図5の(a)に示したように、信号光401は、位相変調を受けた周波数φの信号光および周波数φの位相共役光(アイドラ光)の対からなる。周波数軸上で信号光対の中間に点線示したφpumpは、信号光のソース側(送信器)において、この信号光の対を生成するために使用されたポンプ光、すなわち励起光の周波数を示している。図4の光増幅装置300では、励起光生成部340において、受信した信号光401から励起光を生成して、生成された励起光を光増幅のためにPSA部330へ供給する。
励起光生成部340およびPSA部330は、それぞれ、2つの二次非線形光学素子を含み、合計4つの二次非線形光学素子を備えている。それぞれの二次非線形光学素子において、以下に説明する各非線形動作が実施される。
信号光の対401は、偏波コントローラ302を経由した後で、タップカプラ303によって一部を取り出され、励起光生成部340へ供給される。タップされた信号光401aは、EDFA304により強度を復元し、BPF305を経て、第1の二次非線形光学素子306に入力される。第1の二次非線形光学素子306は、SFG過程によって信号光のペアである信号光と位相共役光から、送信側のポンプ光(励起光)の2倍波402を生成する。図5の(a)の非線形動作を参照すると、和周波(φSF=φ+φ)は、送信側の周波数φの位相共役光の生成の定義から、周波数2φpumpとなり、ポンプ光の2倍波402となる。第1の二次非線形光学素子306におけるSFG過程によって、信号光および位相共役光の位相変調成分が相互にキャンセルされ、信号光の搬送波の位相が抽出された2倍波402(和周波光)が生成される。すなわち、送信側において信号光を生成するために使用された搬送波の位相情報が再生される。
励起光生成部340では、もう1つの第2の二次非線形光学素子307における差周波発生過程(DFG)によって、2倍波402の位相情報を持つ第2の励起光404を生成する。すなわち光源308から供給され、2倍波402の基本波(励起光)とは異なる周波数を持つ第1の励起光403と、2倍波402(和周波光)とから、DFG過程によって、第2の励起光404が得られる。ここで図5の(b)の非線形動作を参照すれば、DFG過程によって、周波数φp1の第1の励起光403と、周波数2φpumpを有する2倍波402とから、周波数φp2の第2の励起光404が生成されていることがわかる。ここで第2の励起光404は、信号光の対401から抽出された2倍波402の位相情報をそのまま維持している。
第1の二次非線形光学素子306のSFG過程によって生成された2倍波402(和周波光)には、残留する強度雑音成分が含まれている。したがって、第2の二次非線形光学素子407のDFG過程を通じて得られた第2の励起光404(差周波光)にもこの強度雑音が重畳されている。この強度雑音を取り除くために、次に述べる光注入同期を利用して、第2の励起光404と同じ位相情報を持ち、強度雑音が抑制された出力を、PSA部330へ供給する。
具体的には、強度雑音を持った第2の励起光404を、サーキュレータ315およびAWG314を経由して、第2の励起光404と同じ発振周波数φp2を有する局部発振光源313に入力する。光注入同期動作の結果、局部発振光源313から、第2の励起光404と同じ位相情報を持ち、強度雑音が抑制された発振出力が出力される。光注入同期した局部発振光源313からの出力光は、AWG314およびサーキュレータ315を経て、第2の励起光404aとしてPSA部330へ供給される。第2の励起光404aは、受信した信号光401と同じ位相情報を持ち、強度雑音が抑制されたものとなる。再び図5の(b)の非線形動作を参照すれば、周波数φp2の第2の励起光404の近傍には、強度雑音が含まれている。図5の(c)を参照すれば、局部発振光源313に対する光注入同期動作によって、周波数φp2の第2の励起光404の近傍の強度雑音は大幅に除去される。
周波数φp1の第1の励起光403に再び着目すると、光源308からの第1の励起光403は、3dBカプラ309で分岐され、分岐された第1の励起光403の一方は、上述のように第2の二次非線形光学素子307に与えられる。第1の励起光403は、第2の二次非線形光学素子307の出力側から出力されるが、サーキュレータ315を経て、AWGの分波側において、局部発振光源313が接続されたとポートとは異なるポートに出力され、そのまま消光する。
分岐された第1の励起光403の他方は、VOA310、位相変調器(PM)311、アイソレータ312を経由して、AWG314の合波側ポートに到達する。さらにサーキュレータ315を経由して、第1の励起光403aが、光感応増幅に使用する励起光を生成するためにPSA部330へ供給される。上述のように励起光生成部340では、信号光401から抽出された送信側のキャリアの位相情報を持つ周波数φp2の第2の励起光404aと、周波数φp1の第1の励起光403aとが、PSA部330へ供給されることになる。
PSA部330では、第3の二次非線形光学素子307のSFG過程によって、第2の励起光404aおよび第1の励起光403aから、PSAのための2倍波励起光を生成する。ここで図5の(d)の非線形動作を参照すれば、周波数φp2の第2の励起光404aおよび周波数φp1の第1の励起光403aの和周波発生(SFG)によって、周波数2φpumpの励起光405(和周波光)が生じることがわかる。周波数2φpumpのこの励起光405は、受信した信号光の対の送信側における周波数φpumpの励起光に対応しており、信号光の生成のために使用された搬送波の位相を維持している。
第4の二次非線形光学素子319に対して、送信側の位相情報が維持された励起光405を利用することで、受信した信号光の対401が位相感応光増幅され、増幅された信号光の対506が得られる。図5の(e)の非線形動作を参照すれば、周波数2φpumpを有する2倍波405のOPA(Optical-Parametric Amplification)過程によって、周波数φの信号光および周波数φの位相共役光が光感応増幅され、中継増幅が実施される。図5の(a)~(c)に示したように、受信した信号光対からのSFG過程およびDFG過程によるキャリア抽出と、光注入同期とを用いて中継型のPSAを構成することで、伝送路の強度雑音と位相雑音を低減した中継増幅が実現される。
しかしながら図4の中継型の光増幅装置の構成には、依然として以下に述べる問題点がある。上述のように光増幅装置300では、信号光401からキャリア抽出した後の第2の励起光404に対して、残留強度雑音の除去のために光注入同期を利用している。ところが、光注入同期の動作により強度雑音は抑制されるものの、光注入同期によって新たに位相雑音が発生してしまう。
図6は、光注入同期に用いる局部発振光源の同期状態を説明する図である。横軸を周波数として、局部発振光源の同期状態と位相雑音について説明する。図6に概念的に示したように、光注入同期に用いる局部発振光源には光注入同期可能なロッキングレンジが決まっている。ロッキングレンジは、注入光のパワーと局部発振光の出力パワーとの比、局部発振光源の線幅などで決定される。光源の外部からロッキングレンジ内の周波数の光が注入された場合、局部発振光源のフリーラン状態にある発振光451は、その発振波長が注入光の波長に引き込まれ、ロックされて、同期発振が生じる。このように外部からの注入光の波長(周波数)に同期する光源は、光注入同期光源とも呼ばれている。光注入同期の結果として、局部発振光源は、安定に同期した発振光452の状態となる。
しかしながら、局部発振光源に対して様々な雑音や環境変動が加わると、発振光の波長に変動が生じる。図6で不安定状態の発振光452として示したように、光注入同期している発振光には、その周波数に刻々とΔωの変動が生じ得る。図6では、温度変動やノイズを受けているときのある一瞬の状態を示しており、実際の光増幅装置においては、安定同期状態の周波数の前後で発振波長が揺れ動くことになる。
入力される注入光の周波数と、光注入同期している局部発振光との周波数差をΔω、ロッキングレンジをΔωとすると、局部発振光には次式で表されるような位相シフトΔφが発生することが知られている(非特許文献6)。
Figure 0007502707000001
上式において、αは線幅増大係数と呼ばれ局部発振光固有の値であって、レーザの材料や構造等で決定される。実際の光増幅装置においては、温度変動により局部発振光源の発振波長そのものがドリフトしたり、光源を駆動する電流ドライバ、温調ドライバからの雑音が加わったりして、周波数差Δωが刻々と変動する。周波数差Δωの変動は、発振光に対して位相変調が加わるのと等価であり、光注入同期している局部発振光の位相雑音となってしまう。このような位相雑音が重畳された局部発振光をPSAの励起光として用いれば、励起光の位相の雑音変動によって、PSAによる光増幅出力の位相および強度のいずれも変動してしまう。光注入同期している局部発振光の位相雑音は、PSAの長期的な安定動作を阻害する大きな要因ともなる。
以下に説明する本開示の光増幅装置は、受信した信号光から励起光を抽出し、光注入同期を用いる励起光生成部における上述の位相雑音の問題に対処する、光増幅装置のための新規な励起光生成の構成を提供する。
図7は、本開示の中継型の光増幅装置の構成を示した図である。光増幅装置400は、信号光の対を光増幅するPSA部450と、PSA部に対して励起光を供給する励起光生成部440を備えた、中継型の光増幅装置であって、図4に示した光増幅装置300と概ね同じ構成を持つ。中継型の光増幅装置全体としての基本的な動作も、光増幅装置300と同じであるため、概要のみ以下に述べる。
励起光生成部440は、受信された信号光(信号光φおよび位相共役光φ)501の一部をタップして、タップされた受信光501a(信号光対の一部)から信号光の位相情報を抽出する。光注入同期を利用して、第1の励起光503eおよび第2の励起光504eをPSA部450に供給する。周波数φp2の第2の励起光504を生成するために、第1の二次非線形光学素子406および第2の二次非線形光学素子407が利用される。上述の2つの二次非線形光学素子は、PPLNとすることができ、第1の二次非線形光学素子(PPLN-1)406は、SFG過程によって、送信側のポンプ光の2倍波502を生成する(2φpump=φSF=φ+φ:和周波光)。第2の二次非線形光学素子(PPLN-2)407は、DFG過程によって、2倍波502(和周波光)および第1の励起光から、2倍波502の位相情報を持つ第2の励起光504(差周波光)を生成する。
PSA部450は、2つの励起光503e、504eから、第3の二次非線形光学素子429によってPSAのための励起光505を生成し、第4の二次非線形光学素子430によって信号光501を光感応増幅する。第3の二次非線形光学素子(PPLN-3)429は、SFG過程によって、周波数φp2の第2の励起光504eおよび周波数φp1の第1の励起光503eから、PSAのための周波数2φpumpを有する2倍波励起光505を生成する。第4の二次非線形光学素子(PPLN-4)430は、2倍波505のOPA過程によって、周波数φの信号光および周波数φの位相共役光を光感応増幅する。
上述の4つの二次非線形光学素子の動作は、図4に示した光増幅装置300の動作と同じであるので、図4の光増幅装置の構成および図5の二次非線形光学素子の動作説明を参照されたい。二次非線形光学素子であるPPLNの詳細については、最後に述べる。
図7の本開示の光増幅装置400は、光注入同期動作における位相雑音を抑制するためのフィードバック制御機構を備えている点で、図4の光増幅装置300と相違している。図6で説明したように、入力される注入光の周波数と、光注入同期している局部発振光との周波数との間の周波数差Δωから、位相シフトΔφが発生する。光増幅装置400におけるフィードバック制御機構は、光注入同期している第2の励起光の位相誤差を表す信号を求め、局部発振光源(注入同期光源)にフィードバック制御を行う。フィードバック制御機構は、光注入同期の前後の状態において、第1の励起光503と第2の励起光504と間のビート信号を比較して、位相シフトΔφを求める。図5の(c)からも明らかなように、光注入同期する第2の励起光で生じる位相雑音は、近接した周波数の第1の励起光503を基準として、位相シフトΔφとして求められる。
図7の光増幅装置400における光注入同期は、第2の励起光504(差周波光)がサーキュレータ413を経由して局部発振光源426に入力され、光注入同期した第2の励起光504aがPSA部450に供給される。上述の局部発振光源(注入同期光源)426に対する光注入同期の基本的な構成は、図4の光増幅装置300と同じである。図7の光増幅装置における特有の構成は、光注入同期する前の2つの励起光のビート信号を生成する検出部と、光注入同期した後の2つの励起光のビート信号を生成する検出と、位相誤差を表す信号を生成する位相誤差検出部と、位相誤差に基づいて局部発振光源426を制御するフィードバック部である。以下、より詳細にフィードバック制御機構の各部の動作について説明する。
光源408から出力される周波数φp1の第1の励起光503は、10dBカプラ409で分岐され、第1の励起光の一部503aを第2の二次非線形光学素子407に入力して周波数φp2の第2の励起光504(差周波光)を生成している。第1の励起光503と第2の励起504の周波数差は、10GHzとなるように第1の励起光の周波数を設定した。
第2の二次非線形光学素子407から出力された第1の励起光および第2の励起光は第1のカプラ412で分岐され、分岐光の一方は2つの励起光の一部503c、504cとして第1の光検出器416に入力される。この第1の光検出器416を含む経路は、ビート信号を生成する検出部となり、後述する。カプラ412からの分岐光のもう一方は、サーキュレータ413を介して局部発振光源426に注入光として入力される。局部発振光源426における注入光すなわち第2の励起光の光強度は-25dBm、局部発振光の出力光強度は10dBmとしている。この条件において、局部発振光源426の光注入同期のロッキングレンジは約200MHzであった。注入光である第2の励起光と、局部発振光源426からの局部発振光の周波数差が、このロッキングレンジ内に入るように局部発振光源426は温度設定されている。
局部発振光源426からの局部発振光は、第2の二次非線形光学素子407から注入された第2の励起光(差周波光)に対して同期し、サーキュレータ413を介して強度雑音が抑制された第2の励起光504aが出力される。局部発振光源426への注入光には第2の二次非線形光学素子407を経由した第1の励起光も含まれる。局部発振光源426へ注入される第1の励起光は、ロッキングレンジからは外れているために大きく増幅されることはない。しかしながら、局部発振光源426内で反射された微弱な第1の励起光も、第2の励起光504aとともにサーキュレータ413を介して出力される。本開示の光増幅装置400では、局部発振光源426からのこの微弱な第1の励起光を利用する。
サーキュレータ413より後段側の第2のカプラ414において、第1の励起光および第2の励起光は分岐され、2つの励起光の一部503c、504cが第2の光検出器420に入力される。この第2の光検出器420の経路は、もう1つのビート信号を生成する検出部となる。第2のカプラ414からの分岐光のもう一方は、さらに後段側にある第3のカプラ415にて、10dBカプラ409で分岐されたもう一方の第1の励起光503aと合波される。
このとき第3のカプラ415の出力である第1の励起光503eの成分は、サーキュレータ413から出力と、10dBカプラ409からの出力とが合波されたものになる。サーキュレータ413から出力された第1の励起光成分は、10dBカプラ409からの第1の励起光成分に比べて無視できるほど弱く、2つの光成分の干渉による強度雑音が生じることはない。また第3の光カプラ415からは、第1の励起光および第2の励起光ともに、十分な光強度を持って出力され、第3の二次非線形光学素子429へと入力される。上述の3つカプラ412、414、415はいずれも例えば3dBカプラとすることができるが、これだけに限定されない。分岐比が3dB(等分)でなくても良いし、それぞれの分岐比が異なっていても良い。
本開示の光増幅装置400における、光注入同期における位相雑音を抑制するためのフィードバック制御機構は以下のように動作する。この制御機構は、局部発振光源426を含む位相同期ループとして動作する。上述のように、第1の光検出器416を含む第1の分岐経路は、第1の励起光503cと光注入同期前の第2の励起光504cから第1のビート信号を出力する。ビート信号の周波数は10GHzである。一方で、第2の光検出器420を含む第2の分岐経路は、第1の励起光503dと光注入同期した第2の励起光504dから第2のビート信号を出力する。2つのビート信号は、第1の分岐経路と第2の分岐経路との間で伝搬光路長が異なることに加えて、第2の分岐経路では第2の励起光504dが光注入同期動作時に受ける位相シフトにより、ビート信号間で位相が異なっている。
第1の光検出器416および第2の光検出器420におけるそれぞれの入力信号EPD1、EPD2は、以下のように表される。
Figure 0007502707000002

Figure 0007502707000003
j=1,2は光検出器の経路番号とすると、ωjはそれぞれの励起光の角周波数、KPDjは伝搬に伴う位相変化、φは初期位相を示している。このとき、第1の光検出器416および第2の光検出器420それぞれからのビート信号IPD1、IPD2は次式となる。
Figure 0007502707000004

Figure 0007502707000005
上式において、Δωは第1の励起光および第2の励起光の間の角周波数差である。光検出器416、420の直接出力は、ビート信号のDC成分および高周波成分が含まれており、光検出器の後段側のバンドパスフィルタ417、421で除去される。さらに、それぞれ必要に応じて増幅器418、422で増幅され、最終的に式(5)のビート信号507および式(6)のビート信号508が、ミキサー423に入力される。2つのビート信号をミキサー423に入力することで、次式のベースバンド信号が得られる。
Figure 0007502707000006
ここで式(7)のcos項内の最初の項に対して次の関係が成立するように、位相シフタ419で一方のビート信号の位相を調整することができる。
Figure 0007502707000007
式(8)が成立するように位相シフタ419のある第1の分岐経路の長さ、すなわち位相を調整すると、ミキサー423の出力として次式が得られる。
Figure 0007502707000008
式(9)を参照すれば、ミキサー423からの出力信号から、光注入同期動作時の注入同期光の位相誤差を表している位相シフトΔφの情報を得られることがわかる。ミキサー423の出力信号を、位相誤差を表す信号として例えばPID制御器425に入力することで、位相シフト量すなわち位相誤差が0となるように局部発振光源426にフィードバックを掛けることができる。一例を挙げれば、局部発振光源426の注入電流にフィードバックすることで、位相誤差がほぼ0となるように動作できることが確認できた。具体的には、従来技術の構成の場合の注入同期光源の位相誤差量の標準偏差は、約3°であった。これに対し図7の構成による励起光生成部によれば、注入同期光源426における位相誤差量の標準偏差は、ほぼ0°となるように動作できることを確認できた。
したがって本開示の光増幅装置400は、信号光および当該信号光の位相共役光を含む信号光対501のための光増幅装置であって、前記信号光対の非縮退パラメトリック増幅を行う位相感応光増幅部450と、前記信号光対の一部から、前記信号光と前記位相共役光の和周波光502を発生させる第1の二次非線形光学素子406、前記和周波光および第1の励起光503bから、差周波光504を発生させる第2の二次非線形光学素子407、前記差周波光の周波数に同期した第2の励起光を生成する注入同期光源426、前記第2の二次非線形光学素子から出力された前記第1の励起光503cおよび前記差周波光504cから、第1のビート信号を取得する第1の検出部、前記第1の励起光503dおよび注入同期した第2の励起光504dから、第2のビート信号を取得する第2の検出部、前記第1のビート信号507および前記第2のビート信号508から、前記注入同期した第2の励起光の位相誤差を表す信号を生成する位相誤差検出部423、および、位相誤差を表す前記信号に基づいて、前記注入同期光源の前記第2の励起光の位相を制御するフィードバック部425を有する励起光生成部とを備え、前記注入同期した第2の励起光504eが、前記位相感応光増幅部における励起光生成のために利用されるものとして実施できる。
通常、位相誤差を抽出しようとする場合は、位相変調器などを用いて信号にディザー信号を混ぜ、ディザー周波数成分が重畳された光信号を利用する。ディザー信号成分を含むこの光信号を電気信号に変換し、ディザー信号と同じ周波数の参照信号と混ぜ合わせることで位相誤差信号を復調・抽出するのが一般的な構成である。このような構成は複雑であるだけでなく、位相雑音を低減したい第2の励起光に対して、ディザー信号を加えることそれ自体が位相雑音をかえって増やす原因となり得る。
これに対して本開示の光増幅装置400の構成では、励起光生成部440において異なる周波数の2つの励起光503、504を用いていることを利用して、光注入同期の前後の状態における2つの励起光の間のビート信号から位相誤差信号を取り出すことができる。
光増幅装置における注入同期光源は、光源を駆動する電流ドライバ、温調ドライバからの雑音の影響を受けやすいため、位相雑音の増加が避けられなかった。光増幅装置400における位相雑音を抑制するフィードバック制御機構は、光注入点(サーキュレータ413)の直前および直後の状態における既存の2つの励起光を利用する。光注入の前後の状態からの各分岐経路において、2つの励起光からビート信号を求め、さらに2つ分岐経路のビート信号から、注入同期光の位相誤差を表す信号を取得している。局部発振光源426の近傍において、コンパクトに集約的に位相雑音を抑制のための制御機構を構成できる。
光増幅装置400において、フィードバック制御機構を安定して動作させるためには、第1の励起光の周波数φp1と第2の励起光の周波数φp2との間の差を光注入同期のロッキングレンジよりも大きくとる必要がある。上述の構成例の場合は、ロッキングレンジ200MHzに対して、2つの励起光の周波数差を10GHzと十分大きくとっているため問題はない。2つの励起光の周波数差がロッキングレンジ内に入る場合、局部発振光源426は、第1の励起光および第2の励起光のいずれにも引き込まれてしまい、フィードバック制御動作が不安定になってしまう。2つの励起光の周波数差を大きくとった方が良いが、2つの光検出器416、420の動作帯域よりも小さい必要がある。
光検出器416、420は、例えばフォトダイオード(PD)とすることができ、2つの励起光が混ざったものを光-電気変換する。光電気変換の過程は2乗検波になるので、自然とDC成分、差周波成分、和周波成分が生じる。PDの帯域は数十GHz程度のものを用いており、和周波成分はカットされ、ビート信号として式(5)、式(6)のよう差周波成分のみが出力される。
位相感応光増幅のためには、PSA部450において、第4の二次非線形光学素子430へ入力される2倍波励起光505の位相と信号光501の位相とを同期させることが必要である。光増幅装置400においては、第4の二次非線形光学素子430から出力された信号光506の一部を光カプラ431で分岐して、光検出器432で受光した後、位相同期ループ(PLL)回路434により位相同期を行う。第1の励起光の光源408の後段側に配置された位相変調器411を用いて、第1の励起光503にsin波により微弱な位相変調を施す。光検出器432およびPLL回路434でその位相変調による位相ずれを検出して、第4の二次非線形光学素子430の前段側に配置したPZT433による光ファイバ伸長器の駆動電圧にフィードバックを行う。位相変調により光検出器432で検出される交流振幅は、図3から明らかなように、位相整合している状態(φ=0)で最小となる。上述のPSAのための位相調整用フィードバック回路によって、光ファイバ部品の振動や温度変動による光位相の変動を吸収して、安定的に位相感応光増幅ができるようにした。
図7に示した光増幅装置400を用いて、10GbaudのDPSK信号光を位相感応光増幅した際のBER特性を取得した。励起光生成部440における注入同期光である第2の励起光504eの位相誤差が抑えられ、PSAから出力された信号光506の符号誤り率は非常に低い値で安定して動作した。24時間以上の連続動作をしても受信信号の品質特性が変動することはなく、長期的な安定動作も確認できた。
具体的には、従来技術の光増幅装置の場合と比較すると、10-3の符号誤り率を閾値とした場合に、試験受信機において1~3dBの受信感度の改善が確認された。本開示の光増幅装置を中継増幅に使用すれば、この感度改善の効果が得られる。また従来技術の光増幅装置の構成の場合、位相誤差が時々刻々と変動し、10分程度でも受信信号の品質特性が変動し安定しなかった。一方、図7の本開示の光増幅装置の構成では24時間以上の連続動作をしても受信信号の品質特性は変動せず、長期的にも安定な動作を確認できた。
本開示の光増幅装置400により、強度雑音および位相雑音が極めて少なく、長期的に安定動作が可能な中継型のPSAを構成することができる。また本開示の光増幅装置400用いて、伝送路のSN劣化を抑えながら中継増幅することで、伝送容量の大容量化に貢献できる。また、変調方式の高多値化が可能な点でも、光通信システムのさらなる大容量化を進めることができる。
上述の光増幅装置400における、二次非線形光学素子であるPPLNは、以下のように構成される。PPLN-1およびPPLN-3は、第1の空間光学および第2の空間光学系と、PPLN導波路を備える。PPLN-2およびPPLN-4は、第3の空間光学および第4の空間光学系を備える。第1の空間光学系は、PPLN導波路モジュールに入力された光をPPLN導波路に結合する。第2の空間光学系は、PPLN導波路から出力された光のうち2倍波励起光をPPLN導波路モジュールの出力ポートに結合し、信号波長帯成分の出力ポ-トへの結合を抑制する。第3の空間光学系は、PPLN導波路モジュールに入力された光のうち2倍波励起光成分をPPLN導波路に結合させ、信号波長帯成分のPPLN導波路への結合を抑制する。第4の空間光学系は信号波長帯成分を出力ポートへ結合させ、2倍波励起光成分の出力ポートへの結合を抑制する。
以下に、上述の光増幅装置400で用いたPPLN導波路の作製方法を説明する。まず、Znを添加したLiNbO上に、周期が約17μmの周期的な電極を形成した。次に、電界印加法により上述の電極パターンに応じた分極反転グレーティングをZn:LiNbO中に形成した。次に、この周期分極反転構造を有するZn:LiNbO基板をクラッドとなるLiTaO上に直接接合して、500℃で熱処理を行うことにより両基板を強固に接合した。次に、コア層を研磨により5μm程度まで薄膜化し、ドライエッチングプロセスを用いてリッジ型の光導波路を形成した。リッジ型の光導波路はペルチェ素子により温調が可能であり、導波路の長さを45mmとした。
このようにして形成されたPPLN導波路を有する二次非線形光学素子は、1.5μm帯の偏波保持ファイバで光の入出力が可能なモジュール形態で実装された。上述の構成例では、Znを添加したLiNbOを用いたが、それ以外の非線形材料であるKNbO、LiTaO、LiNbTa1-x(0≦x≦1)もしくはKTiOPO、またはそれらにMg、Zn、Sc、Inからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加物として含有している材料を用いても良い。
以上詳細に述べたように、強度雑音および位相雑音が極めて少なく、長期的に安定動作が可能な中継型のPSAを実現する。伝送路のSN劣化を抑えながら中継増幅を可能とし、変調方式の高多値化も可能となり、光通信システムのさらなる大容量化を進める。
本発明は、通信に利用できる。より具体的には光通信システムに利用できる。

Claims (7)

  1. 信号光および当該信号光の位相共役光を含む信号光対のための光増幅装置であって、
    前記信号光対の非縮退パラメトリック増幅を行う位相感応光増幅部と、
    前記信号光対の一部から、前記信号光と前記位相共役光の和周波光を発生させる第1の二次非線形光学素子、
    前記和周波光および第1の励起光から、差周波光を発生させる第2の二次非線形光学素子、
    前記差周波光の周波数に同期した第2の励起光を生成する注入同期光源、
    前記第2の二次非線形光学素子から出力された前記第1の励起光および前記差周波光から、第1のビート信号を取得する第1の検出部、
    前記第1の励起光および注入同期した第2の励起光から、第2のビート信号を取得する第2の検出部、
    前記第1のビート信号および前記第2のビート信号から、前記注入同期した第2の励起光の位相誤差を表す信号を生成する位相誤差検出部、および、
    位相誤差を表す前記信号に基づいて、前記注入同期光源の前記第2の励起光の位相を制御するフィードバック部
    を有する励起光生成部と
    を備え、
    前記注入同期した第2の励起光が、前記位相感応光増幅部における励起光生成のために利用される光増幅装置。
  2. 前記位相感応光増幅部は、
    前記励起光生成部からの前記第1の励起光および前記注入同期した第2の励起光から、前記信号光対を生成するために使用された送信側励起光の2倍波光に対応する和周波光を生成する第3の二次非線形光学素子、
    前記2倍波光を励起光として、非縮退パラメトリック増幅を行う第4の二次非線形光学素子
    を含む請求項1に記載の光増幅装置。
  3. 前記励起光生成部は、前記第1の励起光を生成する光源をさらに含み、
    前記第1の励起光の周波数と、前記差周波光の周波数との間の周波数差は、前記注入同期光源のロッキングレンジよりも大きく設定された請求項2に記載の光増幅装置。
  4. 前記第1の検出部および前記第2の検出部は、それぞれのビート信号を生成する光検出器、および、前記ビート信号より他の成分を除去するフィルタを含み、
    前記第1の検出部および前記第2の検出部の少なくとも一方は、前記ビート信号に対する位相調整器を含む、請求項1乃至3いずれかに記載の光増幅装置。
  5. 前記フィードバック部は、位相誤差を表す前記信号に基づいて、PID制御によって、前記注入同期光源の注入電流にフィードバックするよう構成された請求項1乃至3いずれかに記載の光増幅装置。
  6. 前記第1の励起光を変調する位相変調部と、前記第4の二次非線形光学素子において増幅された信号光対の一部を分岐して振幅を検出する検出器と、前記検出器からの振幅信号に応じて、前記第4の二次非線形光学素子の前段側に配置された光学長伸長器を制御し、前記信号光および前記位相共役光と、前記2倍波光との間の位相同期を行う位相同期ループ回路とをさらに備えた請求項2または3に記載の光増幅装置。
  7. 前記第1の二次非線形光学素子、前記第2の二次非線形光学素子、前記第3の二次非線形光学素子および前記第4の二次非線形光学素子は、それぞれ直接接合リッジ導波路を含み、
    前記直接接合リッジ導波路は、LiNbO、KNbO、LiTaO、LiNb(x)Ta(1-x)(0≦x≦1)、またはKTiOPOのいずれかの材料、または、これらの材料のいずれかにMg、Zn、Sc、Inからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加物として加えた材料から構成される請求項2、3または6いずれかに記載の光増幅装置。
JP2023512633A 2021-04-09 2021-04-09 光増幅装置 Active JP7502707B2 (ja)

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