JP6774382B2 - 光増幅装置およびそれを用いた光伝送システム - Google Patents

光増幅装置およびそれを用いた光伝送システム Download PDF

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本発明は、光通信システムや光計測システムで用いられる光増幅装置およびそれを用いた光伝送システムに関する。
従来の光伝送システムでは、光ファイバを伝搬して減衰した信号を再生するために、光信号を電気信号に変換し、デジタル信号を識別後に光信号を再生する識別再生光中継器が用いられた。識別再生光中継器では、光−電気変換する電子部品の応答速度制限や、消費電力増大の問題があった。そこで、希土類元素を添加した光ファイバに励起光を入射して信号光を光のままで増幅するファイバレーザ増幅器や、半導体レーザ増幅器が登場した。これらレーザ増幅器は、劣化した信号光波形を整形する機能を有していなかった。逆に、不可避的かつランダムに発生する自然放出光が信号成分と全く無関係に混入され、増幅前後で信号光のS/Nが少なくとも3dB低下する。S/N低下は、デジタル信号伝送時における伝送符号誤り率を上昇させ、伝送品質を低下させる。
レーザ増幅器の限界を打開する手段として、位相感応光増幅器(Phase Sensitive Amplifier:PSA)が検討されている。PSAは、伝送ファイバの分散の影響による劣化した信号光波形や位相信号を整形する機能を有する。信号とは無関係の直交位相をもった自然放出光を抑圧でき、同相の自然放出光も最小限で済む。このために原理的に増幅前後で信号光のS/Nを劣化させず同一に保つことができる。
図1は、従来技術のPSAの基本的な構成を示す図である。図1に示されるように、PSA100は、光パラメトリック増幅を用いた位相感応光増幅部101と励起光源102と励起光位相制御部103と、第1光分岐部104−1及び第2の光分岐部104−2とを備える。図1に示されるように、PSA100に入力された信号光110は、光分岐部104−1で2分岐されて、一方は位相感応光増幅部101に入射し、他方は励起光源102に入射する。励起光源102から出射した励起光111は、励起光位相制御部103を介して位相が調整され、位相感応光増幅部101に入射する。位相感応光増幅部101は、入力した信号光110及び励起光111に基づいて出力信号光112を出力する。
位相感応光増幅部101は、信号光110の位相および励起光111の位相が一致すると信号光110を増幅し、両者の位相が90度ずれた直交位相関係になると信号光110を減衰する特性を有する。この特性を利用して増幅利得が最大となるように励起光111―信号光110間の位相を一致させると、信号光110と直交位相の自然放出光が発生せず、また同相の成分に関しても信号光のもつ雑音以上に過剰な自然放出光を発生しない。このため、S/N比を劣化させずに信号光110を増幅できる。
信号光110および励起光111の位相同期を達成するために、励起光位相制御部103は、第1の光分岐部104−1で分岐された信号光110の位相と同期するように励起光111の位相を制御する。励起光位相制御部103は、第2の光分岐部104−2で分岐された出力信号光112の一部を狭帯域の検出器で検波し、出力信号光112の増幅利得が最大となるように励起光111の位相を制御する。
上述のパラメトリック増幅を行う非線形光学媒質には、周期分極反転LiNbO3(PPLN)導波路に代表される二次非線形光学材料と、石英ガラスファイバに代表される三次非線形光学材料がある。
図2は、PPLN導波路を用いた従来技術のPSAの構成を示す図である(非特許文献1参照)。図2に示したPSA200は、エルビウム添加ファイバレーザ増幅器(EDFA)201と、第1の二次非線形光学素子202及び第2の二次非線形光学素子204と、第1の光分岐部203−1及び第2の光分岐部203−2と、位相変調器205と、光ファイバ伸長器206と、偏波保持ファイバ207と、光検出器208と、位相同期ループ(PLL)回路209と、を備える。第1の二次非線形光学素子202は、第1の空間光学系211と、第1のPPLN導波路212と、第2の空間光学系213と、第1のダイクロイックミラー214と、を備える。第2の二次非線形光学素子204も、同様の構成を持ち詳細は説明を省略する。
図2のPSA200に入射した信号光250は、光分岐部203−1によって分岐されて、一方は第2の二次非線形光学素子204に入射する。分岐光の他方は励起基本波光251として位相変調器205及び光ファイバ伸長器206を介して、位相制御されてEDFA201に入射する。EDFA201は、入射した励起基本波光251を十分に増幅し、第1の二次非線形光学素子202に入射する。EDFA201により、微弱な励起基本波光251から非線形光学効果を得るのに十分なパワーを得ることができる。第1の二次非線形光学素子202では、入射した励起基本波光251から第2高調波(以下、SH光)252が発生する。発生したSH光252は、偏波保持ファイバ207を介して第2の二次非線形光学素子204に入射する。第2の二次非線形光学素子204では、入射した信号光250およびSH光252によって縮退パラメトリック増幅を行うことで、位相感応光増幅を行い、出力信号光253を出力する。
PSAにおいては、信号光と位相の合った光のみを増幅するために、上述のように信号光の位相と励起光の位相とが一致するか、または、πラジアンだけずれている必要がある。すなわち二次の非線形光学効果を用いる場合は、SH光に相当する波長である励起光の位相φ2ωsと、信号光の位相φωsとが以下の式(1)の関係を満たすことが必要となる。ここで、nは整数とする。
Δφ=1/2(φ2ωs−φωs)=nπ 式(1)
図3は、従来技術の二次非線形光学効果を利用したPSAにおける、入力信号光‐励起光間の位相差Δφと利得との関係を示す図である。横軸の位相差Δφが−π、0、またはπのときに、縦軸の利得(dB)が最大となっていることがわかる。
信号光250と励起基本波光251との間の位相同期のために、まず位相変調器205で微弱なパイロット信号により位相変調を励起基本波光251に施し、出力信号光253の一部を分岐して検出器208で検波する。このパイロット信号成分は、図3に示した位相差Δφが最小となって、位相同期が取れている状態で最小となる。したがって、パイロット信号が最小、つまり増幅出力信号が最大となるようにPLL回路209を用いて、光ファイバ伸長器206にフィードバックを行う。励起基本波光251の位相を光ファイバ伸長器206によって制御して、信号光250と励起基本波光251との間の位相同期を達成できる。
図3に示したように、上述の縮退パラメトリック過程を用いた位相感応光増幅器は、直交する位相成分を減衰させる特性を持っている。このため、通常の光通信で用いられる強度変調信号(OOK)や、2値の位相変調を用いる強度変調・直接検波(IMDD: Intensity Modulation-Direct Detection)方式、2値位相変調(BPSK)または差動位相偏移変調(DPSK)等の変調信号の増幅に対してのみ利用できる。また、1波長の信号光のみしか位相感応光増幅することができない。位相感応光増幅器を光通信技術に幅広く適用するためには、多値変調フォーマットや波長多重信号等の種々の光信号への対応が必要である。この対応の一例として、非特許文献3では、非縮退のパラメトリック増幅に基づく構成を用いて、任意の変調フォーマットに対応し、複数波長を一括で中継増幅可能な位相感応光増幅器が報告されている。
T. Umeki, O. Tadanaga, A. Takada and M. Asobe, "Phase sensitive degenerate parametric amplification using directly-bonded PPLN ridge waveguides," Optics Express, 2011年, Vol.19, No.7, p.6326-6332 Takeshi Umeki, Masaki Asobe, and Hirokazu Takenouchi, "In-line phase sensitive amplifier based on PPLN waveguides,"Optics Express, 2013年5月, Vol.21, No.10, p.12077-12084 M. Asobe, T. Umeki, H. Takenouchi, and Y. Miyamoto, "In-line phase-sensitive amplifier for QPSK signal using multiple QPM LiNbO3 waveguide," In Proceedings of the OptoElectronics and Communications Conference, OECC, 2013年, PDP paper PD2-3 Masaki Asobe, Takeshi Umeki, Kouji Enbutsu, Osamu Tadanaga, and Hirokazu Takenouchi, "Phase squeezing and dispersion tolerance of phase sensitive amplifier using periodically poled LiNbO3 waveguide," J. Opt. Soc. Am. B 31, 3164-3169 2014年 D. McGhan, C. Laperle, A. Savchenko, C. Li, G. Mak, and M. O'Sullivan, "5120 km RZ-DPSK Transmission over G652 Fiber at 10Gb/s with No Optical Dispersion Compensation," in Optical Fiber Communication Conference and Exposition and The National Fiber Optic Engineers Conference, Technical Digest (CD) (Optical Society of America, 2005年, paper PDP27 Koji Enbutsu, Takeshi Umeki, Osamu Tadanaga, Masaki Asobe, Hirokazu Takenouchi, "PPLN-Based Low-Noise In-Line Phase Sensitive Amplifier with Highly Sensitive Carrier-Recovery System," IEICE Transactions on Communications, vol. E99.B 2016年 No. 8 pp. 1727-1733
しかしながら、従来技術の位相感応光増幅器では以下に述べるような問題があった。図3に示したように、位相感応光増幅器では信号と励起光の間の位相関係によって利得が変化する。このため、信号の位相変動に対し非常に敏感な増幅特性を持つ。位相感応光増幅器を中継増幅器として用いる場合、光ファイバ中の分散の影響で信号光の周波数成分に依存した位相変動が大きいと、位相感応光増幅後の信号品質が逆に劣化してしまう(非特許文献4)。信号の変調レートによって、信号光の周波数スペクトル広がりが異なるため、分散に対する耐力も異なる。例えば40GHzのシンボルレートで変調された信号光に対しては、約40ps/nmの累積分散が加わることで、位相感応光増幅後の信号品質が劣化してしまうことが指摘されている。通常用いられるシングルモードファイバ(SMF)の分散値を1.5μm帯光に対し18ps/nm・kmとすると、40ps/nmの累積分散値は約2.2km分の長さに相当する。伝送ファイバの1スパンが通常約80kmの長さを持つことを踏まえると、位相感応光増幅器は、SMFを伝送してきた信号光の増幅をすることができない。
位相感応光増幅器を使用する際の伝送用ファイバとして、分散補償ファイバを用いて伝送路の分散を光学的に抑える手法がこれまでとられてきた(非特許文献2、非特許文献3)。分散補償ファイバを用いることで、使用波長帯での分散値を数ps/nmに抑えられ、位相感応光増幅器を通しても、信号品質が劣化することなく低雑音増幅が実現できる。しかしながら、位相感応光増幅器を配置するための伝送ファイバすべてに分散補償ファイバを用いるのは、既設の光通信設備の大幅な更改を伴い、現実的では無い。
本発明は上述のような従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、SMFを伝送した後の信号に対しても位相感応光増幅器を適用できる構成を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項に記載の発明は、変調された信号光群を発生する送信器と、光ファイバ伝送路を介して前記送信器と接続される光増幅装置とを備えた光伝送システムであって、前記送信器は、前記光ファイバ伝送路において生じる波長分散に応じた前置分散補償を加えたデジタル信号データであって、位相共役の関係にある2組のデジタル信号データを生成するデジタル信号生成部と、信号光光源からの搬送波光および局部発振光から、前記搬送波光と位相共役の関係にあるアイドラ光を生成するアイドラ光生成部と、前記位相共役の関係にある2組のデジタル信号データの一方に基づいて、前記搬送波光の光位相および光強度を変化させて変調信号光を生成する第1の光変調部と、前記位相共役の関係にある2組のデジタル信号データの他方に基づいて、前記アイドラ光の光位相および光強度を変化させて変調アイドラ光を生成する第2の光変調部とを含み、前記変調信号光、前記変調アイドラ光および前記局部発振光が同送され、前記光増幅装置は、前記光ファイバ伝送路を伝送された前記局部発振光に基づいて、励起光を生成する第1の二次非線形光学素子と、前記励起光に基づいて、前記変調信号光および前記変調アイドラ光に対して非縮退パラメトリック増幅を行う第2の二次非線形光学素子と、前記変調信号光の位相と、前記励起光の位相を同期する手段とを含むことを特徴とする光伝送システムである。この光伝送システムは実施形態2の光伝送システムに対応する。
請求項に記載の発明は、請求項の光伝送システムであって、前記送信器は、前記局部発振光から、第2高調波光を生成する第3の二次非線形光学素子と、前記第2高調波光と前記搬送波光との差周波数光である前記アイドラ光を生成する第4の二次非線形光学素子とをさらに含むことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、光ファイバ伝送路において生じる波長分散に応じた前置分散補償を加えた変調信号により送信器において生成された信号光群であって、当該光ファイバ伝送路を伝送した前記信号光群を光感応増幅する光増幅装置であって、前記信号光群は、位相共役の関係にある2組のデジタル信号データの内の一方に基づいて、信号光光源からの搬送波光の光位相および光強度を変化させて変調された変調信号光と、前記位相共役の関係にある2組のデジタル信号データの他方に基づいて、前記搬送波光および局部発振光から生じ、前記搬送波光と位相共役の関係にあるアイドラ光に対して、その光位相および光強度を変化させて変調されたアイドラ変調光と、前記変調信号光および前記アイドラ変調光と同送された前記局部発振光を含み、前記光増幅装置は、前記光ファイバ伝送路を伝送した前記局部発振光に基づいて、励起光を生成する第1の二次非線形光学素子と、前記励起光に基づいて、前記変調信号光および前記アイドラ変調光に対して非縮退パラメトリック増幅を行う第2の二次非線形光学素子と、前記変調信号光の位相と、前記励起光の位相を同期する手段とを含むことを特徴とする光増幅装置である。この光増幅装置は、実施形態2の光増幅装置に対応する。
本発明により、SMFを伝送後の信号に対しても、分散に起因した特性劣化のない低雑音な位相感応光増幅を実現できる。
図1は、従来技術のPSAの基本的な構成を示す図である。 図2は、PPLN導波路を用いた従来技術のPSAの構成を示す図である。 図3は、PSAの入力信号光励起光間位相差−利得の関係を示す図である。 図4は、本発明の実施形態1の光伝送システムの構成を示す図である。 図5は、実施形態1の光伝送システムのPSAの構成を示す図である。 図6は、中継型PSAの各信号の波長軸上での関係を説明する図である。 図7は、中継型PSAで増幅された信号光のスペクトルを示す図である。 図8は、光伝送システム各部の信号光コンスタレーションを示す図である。 図9は、本発明の実施形態2の光伝送システムの構成を示す図である。 図10は、実施形態2の光伝送システムの送信器の構成を示す図である。
本発明の光伝送システムでは、送信器側において、変調器に加える変調信号に対して伝送路内で生じる波長分散との逆の波長分散を与える前置分散補償を行う。前置分散補償された変調光を伝送路に送信すれば、伝送路内で生じる波長分散による信号品質の劣化を低減またはキャンセルできる。BPSK信号に対して前置分散補償を行った変調信号で変調した信号光と、縮退型のPSAを組み合わせた光伝送システムが開示される。また、QPSK信号に対して前置分散補償を行った変調信号で変調した信号光と、非縮退型のPSAを組み合わせた光伝送システムが開示される。本発明により、これまで不可能であったSMF伝送後の信号に対しても、分散に起因した特性劣化のない低雑音な位相感応光増幅を実現できる。低雑音な光増幅が可能になるだけでなく、伝送路で光信号が受けた位相雑音を光信号のままで補償することができ、大容量光伝送に必須となるSNRの向上が可能となる。以下、図面を参照しながら本発明の光伝送システムおよび光増幅装置の実施形態について詳細に説明する。
[実施形態1]
図4は、本発明の実施形態1の光伝送システムの構成を示す図である。本発明に係る光増幅装置および光伝送システムでは、PPLN導波路を用いたPSAの構成を示す。本実施形態に係る光伝送システムは、前置デジタル信号処理により伝送路の分散を予め補償することで、光ファイバ伝送後の光信号に対しても低雑音な位相感応光増幅を可能とする。図4の実施形態1においては、励起光と同相成分のみを増幅する縮退型PSAにおいて、ファイバ伝送後の信号増幅を、前置分散補償を用いて実現する構成を示す。縮退型PSAは強度変調信号又は同位相成分のみが変調された信号を増幅できる。本実施形態においては、2値の位相変調(BPSK)が施された信号光を増幅するための構成例を説明する。
図4の光伝送システム400は、大まかに、デジタル信号処理により前置分散補償された信号光を送信する送信器401、光ファイバ430と偏波補償器440、及びPSA500からなる。詳細は動作とともに後述するが、送信器401は、信号光源409と、デジタル信号生成部402と、デジタルアナログ変換器(DAC)405、406と、駆動アンプ407、408と、光変調部であるIQ変調器(IQM)410とEDFA420を備える。本実施形態の光伝送システムでは、送信器401は前置分散補償されたBPSK信号を生成する。
図5は、実施形態1の光伝送システムにおける中継型PSAの構成を示す図である。図5の中継型PSA500は、BPSK信号からの搬送波位相の抽出方法を行う励起光生成部530および位相感応光増幅部540に大別される。励起光生成部530および位相感応光増幅部540は、それぞれ2つのPPLN導波路モジュールを用いて構成されている。励起光生成部530では、第1のPPLN導波路モジュール504は、励起光となる第2高調波(SH光)発生(SHG: Second Harmonic Generation)に用いられ、第2のPPLN導波路モジュール505は、差周波光生成(Difference Frequency Generation)に用いられる。第1のPPLN導波路モジュール504は入出力双方の空間光学系と、PPLN導波路と、出力側のダイクロイックミラーとを備える。第2のPPLN導波路モジュール505は、入出力の双方の空間光学系と、PPLN導波路と、入出力双方のダイクロイックミラーとを備える。位相感応光増幅部540では、第3のPPLN導波路モジュール516は、励起光となるSH光発生に用いられ、第4のPPLN導波路モジュール517は、パラメトリック増幅(OPA: Optical Parametric Amplification)に用いられる。各PPLN導波路モジュールの構成は、励起光生成部と同様である。
ここで、図5のPSA500で用いたPPLN導波路の作製方法を以下に例示する。まず、Znを添加したLiNbO3上に周期が約17μmの周期的な電極を形成した。次に、電界印加法により上記の電極パターンに応じた分極反転グレーティングをZn:LiNbO3中に形成した。次に、この周期分極反転構造を有するZn:LiNbO3基板をクラッドとなるLiTaO3上に直接接合を行い、500℃で熱処理を行うことにより両基板を強固に接合した。次に、コア層を研磨により5μm程度まで薄膜化し、ドライエッチングプロセスを用いてリッジ型の光導波路を形成した。この導波路はペルチェ素子により温度調整が可能である。導波路の長さを50mmとした。このようにして形成されたPPLN導波路を有する二次非線形光学素子を、1.5μm帯の偏波保持ファイバで光の入出力が可能なモジュール構成とした。本実施形態では、Znを添加したLiNbO3を用いたが、それ以外の非線形材料である、KNbO3、LiTaO3、LiNbxTa1−xO3(0≦x≦1)若しくはKTiOPO4、又はそれらにMg、Zn、Sc、Inからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加物として含有している材料を用いても良い。
再び図4を参照しながら、光伝送システム400で前置分散補償された信号光を送信する送信器401の動作についてさらに説明する。図4の送信器401において、デジタル信号生成部402は、光ファイバ伝送路で受ける分散に起因した光位相のシフトとは逆のシフトを与える演算を行って、送信データに基づく変調信号に対して補償を加える。すなわちデジタル信号生成部402、前置分散補償された第1のデータ信号404、第2のデータ信号403を出力する。これらデータ信号を、第1のDAC406、第2のDAC405へ入力してアナログ信号に変換し、さらに第1の駆動アンプ408、第2の駆動アンプ407で所要レベルまで増幅した。これにより、IQ変調器410に入力される2つの変調信号I、Qは、波長分散の前置補償が施された信号となる。信号光源409からの搬送波光は、IQ変調器410において、上述の変調信号I、Qによって強度および位相を変調され、前置分散補償の施されたシンボルレート10GHzのBPSK信号が出力される。
デジタル信号生成部402で与えられる歪みは、後段の光ファイバ430を伝送後に信号光に累積される分散による信号歪を受けることで相殺されるように与えられる。IQ変調器410でのレベル低下を補うため、EDFA420を用いて信号光を増幅した後、80kmの光ファイバ430に入力した。光ファイバ430は16.7ps/nm/kmの分散特性であり、80km伝送後のトータルの分散値は1336.0psである。図4の光ファイバ430の前後の信号光コンスタレーション421、422に示したように、光ファイバ430を伝搬することで、信号光の歪は補償されてゆく。80kmの光ファイバ430を伝送して、信号光に累積される分散による信号歪を受けると、理想的なBPSKの信号光を得ることができる。前置分散補償処理では分散のスロープも考慮した補償を行うことができる。このため、決まった波長に対しては従来技術の光学的な補償手段と比較して高精度な分散補償が可能であり、光ファイバ伝送による分散に起因した歪みのない信号光を得ることができる。このようにPSAに入力される信号光の累積分散値を補償することで、光ファイバを伝送後の信号光に対しても低雑音な位相感応光増幅が可能となる。光ファイバ430を伝送した信号光は、偏波補償器440により光ファイバ内の偏波を補償した後、信号光501は、PSA500へと入力される。次に、図5とともにPSA500の動作について説明する。
図5を参照すると、PSA500において、入力された信号光501の一部は光カプラ502により分岐され、励起光生成部530に入射される。光伝送における中継増幅器として縮退型のPSAを用いる場合には、変調が施されている信号光から平均的な位相を抽出し、励起光生成部530で信号の搬送波位相と同期した励起光を生成する必要がある。以下の説明では、図6で中継型PSA500の各部の光の波長軸上での関係を参照しながらPSA500の動作について説明する。
図6の(a)〜(d)は、図5の中継型PSA500における各信号の波長軸上での関係を説明する図である。図6のいずれの図も横軸を波長として、各信号の波長軸上の相対位置関係を概念的に示している。図6の各図では横軸を波長軸としているため、周波数のより高い光は、図6ではより短い波長の光として示されることに留意されたい。したがって、光の周波数が高いほど、図6では横軸のより左側の短波長側に位置することになる。
図5に再び戻ると、励起光生成部530では、分岐した信号光501をEDFA503によって増幅した後、第1のPPLN導波路モジュール504によって、信号光の波長に対して半分の波長を持つ第2高調波光(SH光)を生成する。一方で励起光生成部530では、局部発振光源507で生成された励起光(Lo1)551および上述の第1のPPLN導波路モジュール504からのSH光が、第2のPPLNモジュール505に入力される。第2のPPLNモジュール505では、励起光(Lo1)とSH光との間の差周波光(Lo2)が生成される。
第2のPPLN導波路モジュール505から出力された信号光、励起光(Lo1)および差周波光(Lo2)は、バンドパスフィルタ506により、差周波光(Lo2)のみが取り出される。差周波光(Lo2)は、光サーキュレータ513を通過した後、例えばアレイ導波路格子(AWG)型の波長合分波器511を経由して半導体レーザ512に入力される。半導体レーザ512は、光注入同期により差周波光(Lo2)と同じ位相、同じ波長を持つ第2の励起光を生成する。第2の励起光の光強度は、半導体レーザ512の出力により決まるため、第2のPPLN導波路モジュール505からの数10μW程度の微弱な差周波数光(Lo2)を用いて、数10mW以上の第2の励起光(Lo2)を得ることができる。波長合分波器511の分波側ポートから、局部発振光源507より光カプラ508で分岐していた励起光(Lo1)を波長合分波器511の合波側ポートへ入射し、半導体レーザ510からの注入同期した第2の励起光(Lo2)と合波して、サーキュレータ513から励起光出力552が出力される。
ここで図6の(a)を参照すると、信号光sに対して、波長軸上における短波長側に励起光(Lo1)p1が示されている。信号光sは、変調を受けているのでスペクトルが広がっている。図6の(b)を参照すると、波長軸上で信号光sに対して励起光(Lo1)p1の反対側に、差周波数光(Lo2)p2が示されている。差周波数光(Lo2)p2は、半導体レーザ512への注入同期(インジェクションロック)により強度雑音が除去される。
図5の中継型PSAにおける信号光sの位相φs、励起光(Lo1)p1の位相φp1および差周波光(Lo2)p2の位相φp2の間では、以下の式を満たす。
2φs − φp1− φp2 = 0 式(2)
したがって、差周波光(Lo2)p2の位相φp2は次式のように、信号光sの位相φsと励起光(Lo1)p1の位相φp1を用いて表される。
φp2 = 2φs − φp1 式(3)
式(2)および式(3)からもわかるように、第1のPPLN導波路モジュール504において信号光sからSH光を発生させることによって、信号光sの位相φsを2倍とすることができる。通常、信号光には送信する情報データによって変調が掛かっているため、搬送波位相を抽出することは難しい。しかしながら、図5の励起光生成部530のように信号光sの位相φsを2倍にすることで、2値の位相変調を取り除くことができる。さらに図6の(b)に示したように、SH光および励起光(Lo1)の差周波数光である第2の励起光(Lo2)p2は、注入同期によって強度雑音が除去される。図5のPSA500においては、信号光501の搬送波の位相情報を保持した純粋なS/N比の良い第2の励起光(Lo2)552が得られる。
局部発振光源507からの励起光(Lo1)551および注入同期した第2の励起光(Lo2)552は、位相感応光増幅部540において、EDFA514によって増幅される。さらにBPF515を用いて不要なASE光を除去した後に、第3のPPLN導波路モジュール516に入力される。第3のPPLN導波路モジュール516では、図6の(c)に示したように、励起光(Lo1)p1および第2の励起光(Lo2)p2の和周波(SF:Sum Frequency)を持つ励起光SFが生成される。この時、励起光(Lo1)p1の位相φp1、第2の励起光(Lo2)p2の位相φp2および和周波励起光SFの位相φSFの間では、次の式を満たす。
φSF= φp1 + φp2
= 2φs 式(4)
図5における第3のPPLN導波路モジュール516からの和周波励起光553を第4のPPLN導波路モジュール517に入射する。第4のPPLN導波路モジュール517内で、光カプラ502を経由した信号光501と、和周波励起光553とのパラメトリック増幅が行われる。位相感応光増幅のためには、図6の(d)に示したように、信号光sの位相φsおよび和周波光SFの位相φSFの間で、次式を満たす必要がある。
ΔΦ=φSF − 2φs = nπ(nは整数) 式(5)
すなわち入力信号光と和周波励起光との間の位相差ΔΦが、−π、0、またはπの時に利得が最大になる。信号光と各励起光との間で位相同期するために、位相変調器509を用いて微弱な信号により位相変調を励起光551に施す。第4のPPLN導波路モジュール517を通過した出力光の一部は、光カプラ518により分岐される。光検出器519によって分岐光の光強度の変化を検出し、励起光551と信号光501との間で位相同期するように、PLL回路520を用いて光ファイバ伸長器521にフィードバックをかける。上述の位相同期によって、図5の中継型のPSA500を安定動作させることができる。したがって、光カプラ518、PLL回路520および光ファイバ伸長器521を含むループは、信号光の位相と、第2の励起光の位相を同期する手段を構成する。
各信号の波長の一例を挙げれば、信号光sは1535.8nm、励起光p1(Lo1)は1534.25nm、差周波数p2(Lo2)は1537.4nm、和周波数SFは767.9nmである。
図4の光伝送システム400で、PSA500の光増幅特性を確認するため、前置分散補償の異なる条件で増幅前後の信号光周波数スペクトルおよび変調コンスタレーションを確認した。
図7は、実施形態1の位相感応光増幅器によって増幅された信号光の周波数スペクトルを説明する図である。図7の(a)〜(c)のいずれにおいても、3種類のスペクトルが重ねて表示され、1つはPSA500の入力(Input)を、2つのPSA500の出力(図4の矢印Cの位置)であって、PSAが通常の動作状態(PSA amp)およびPSAが減衰状態(PSA deamp)を示している。PSAの減衰状態(PSA deamp)は、PSA500への入力信号光501と、和周波励起光553の位相を直交(π/2ずらす)させることによって得られる。図7の(a)には参照のため、「前置分散補償なし」のBPSK信号を、光ファイバ430を伝送させずにPSA500へ入力したときのスペクトルを示している。つまり、図4の矢印Aの位置における前置分散補償されていない(歪みの無い)BPSK信号のスペクトル(Input)およびPSAが伝送路分散の影響を全く受けない理想状態のスペクトル(PSA amp, PSA deamp)が示されている。
図7の(b)は、「前置分散補償なし」のBPSK信号を80kmの光ファイバ伝送後にPSAに入力した時のスペクトルが示されている。すなわち、入力スペクトル(Input)は図4の矢印Bの位置のものとなる。図7の(c)は、「前置分散補償をした」BPSK信号を80kmの光ファイバ伝送後にPSAに入力した時のスペクトルが示されている。
図7の(b)に示したように、前置分散補償の無い信号では、光ファイバの分散の影響のために周波数成分毎に位相がずれてしまうことにより、周波数成分毎に同期した位相感応特性が得られていない。特に、位相誤差により敏感な減衰域におけるスペクトルが劣化して、隣接チャネル帯域における歪みが増大している。一方で、図7の(c)に示したように、前置分散補償をした信号を用いた場合は、位相感応光増幅・減衰動作にスペクトルの劣化は見られず、図7の(a)の理想状態の入力信号および理想状態で光増幅された信号光の場合と同等のスペクトルが得られた。
図8は、実施形態1の位相感応光増幅器によって増幅された信号光のコンスタレーションを示した図である。位相感応光増幅後の信号品質を確認するために、増幅の前後での信号光のコンスタレーション図を取得した。図8の(a)には参照として、「前置分散補償なし」で光ファイバ伝送をさせていないBPSK信号のPSA出力におけるコンスタレーションを示している。図8の(b)は、「前置分散補償なし」のBPSK信号を80kmの光ファイバ伝送後のPSA出力におけるコンスタレーションを示している。図8の(c)は、「前置分散補償した」BPSK信号を80kmのファイバ伝送後のPSA出力におけるコンスタレーションを示している。
図7の(a)、(b)、(c)において、Q値はそれぞれ17.6dB、6.9dB、17.3dBである。ここでBPSK信号におけるQ値とは、バイナリ信号の「1」と「0」の振幅の標準偏差と平均振幅の差で定義される。前置分散補償の無い信号では、光ファイバにおける分散の影響を受けた信号光を位相感応光増幅したことで、信号光のQ値が劣化してしまっている。これに対して、前置分散補償を用いることで、シングルモードファイバを伝送させて、ファイバの分散の影響を受けた場合であっても、Q値劣化のない位相感応光増幅が実現できた。
本実施形態のPSA500では、信号光501と局部発振光551の位相同期には、光注入同期を用いたが、その他の方法を用いても良い。例えば、コスタスループに代表される高速な電気信号のフィードバックを局部発振光源507に帰還することで位相同期を行っても良い。
上述の実施形態1の光伝送システムにおいては、光ファイバ伝送路の分散に起因した位相誤差を、予め送信器401デジタル信号生成部の段階で補償する。これによって、分散を有する光ファイバを伝送した後の信号光に対しても、分散に起因した特性劣化のない位相感応光増幅を実現できる。本発明の光伝送システムにより、従来技術では分散補償されたファイバで構成された伝送路にしか適用できなかったPSAを、通常のSMF伝送後の信号に対しても適用可能となる。大容量光伝送に必要なSNRの向上のキーとなるPSAの適用領域を、大幅に拡張できる。
[実施形態2]
以下、本発明の実施形態2の光増幅装置および光伝送システムについて説明する。先の実施形態1の光伝送システムは、BPSK変調信号に対して縮退型のPSAを用いた場合の構成であった。実施形態1の光伝送システムは、BPSK変調信号などの変調方式の使用でも十分に伝送容量が満足するシステムへの適用には問題ない。しかしながら、より大容量伝送が要求されるシステムでは、増幅可能な変調フォーマットや波長数に制限がある縮退型のPSAの適用は難しい。本実施形態の光伝送システムでは、直交位相成分にもデータ変調成分を含む直交位相振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)信号のような任意の変調フォーマットの信号に対応可能で、複数波長を一括増幅できる非縮退型のPSAの構成を提示する。直交位相成分にもデータ変調成分を含む変調信号に対して、前置分散補償を適用した本実施形態では、4値QAMである4位相偏移変調(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)信号を例として説明する。
図9は、本発明の実施形態2の光伝送システムの構成を示す図である。本実施形態に係る光伝送システム900は、送信器1000におけるデジタル信号処理によって変調信号に対して伝送路の分散を予め前置補償することで、光ファイバ伝送後の光信号に対しても低雑音な位相感応光増幅を可能とする。図9の光伝送システム900は、信号光、アイドラ光及びパイロット信号を送信する送信器1000、光ファイバ(シングルモードファイバ:SMF)910と偏波補償器920、並びにパイロット信号を用いて励起光を生成する非縮退型のPSA930からなる。
図10は、実施形態2の光伝送システムの送信器1000の詳細構成を示す図である。以下、まず図10によって送信器の構成および動作を、次に図9によって非縮退型のPSA930の構成および動作を説明する。図10の送信器1000は、大まかに、信号光源1001と、局部発振光源1003と、EDFA1005、1022と、PPLN導波路モジュール1002、1007と、光カプラ1004、1021、1023と、バンドパスフィルタ(BPF)1006と、波長選択型光スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)1020と、を備える。前置分散補償された変調信号を生成するために、デジタル信号生成部1010、1011と、DAC1012〜1015と、駆動アンプ1016〜1019と、IQ変調器1008、1009をさらに備える。
送信器1000では、PPLN導波路を用いた差周波数生成過程(DFG: Difference Frequency Generation)により、信号光1030と対となるアイドラ光を発生させる。DFG過程は、励起光となるSH光発生のための第1のPPLN導波路モジュール1007、及びアイドラ光生成のための第2のPPLN導波路モジュール1002により動作する。PPLN導波路モジュールの構成、モジュール内のPPLN導波路の作製方法は実施形態1と同様である。
局部発振光源1003からの励起光(Lo1)は、光カプラ1004、EDFA1005およびBPF1006を経由して、第1のPPLN導波路モジュール1007において、SH光1038を発生させる。SH光1038および信号光源1001からの信号光搬送波1030は、第2のPPLN導波路モジュール1002において、SH光1038および信号光の搬送波1030の差周波数に対応するアイドラ光を発生する。したがって第2のPPLN導波路モジュール1002からの出力光1031は、信号光の搬送波およびアイドラ光を含む。ここで信号光の周波数とアイドラ光の周波数は、周波数軸上において局部発振光の周波数を中心として、対称な位置関係にある。さらに、信号光の搬送波およびアイドラ光は、位相共役の関係にある。
第1のデジタル信号生成部1010および第2のデジタル信号生成部1011により、光ファイバ伝送路で受ける分散に起因した光位相のシフトとは逆のシフトを与える演算を行って、送信データに基づいた変調信号に対して補償を加える。第1のデジタル信号生成部1010からの第1のデータ信号1034および第2のデータ信号1035は、信号光に対する変調信号を生成する。同様に、第2のデジタル信号生成部1011からの第3のデータ信号1036および第4のデータ信号1037は、アイドラ光に対する変調信号を生成する。データ信号1034〜1037は、それぞれ、DAC1012〜1015へ入力してアナログ信号に変換し、さらに駆動アンプ1016〜1019で所要レベルまで増幅した。光変調部である第1のIQ変調器1008に入力される2つの変調信号I、Qは、波長分散の前置補償が施された信号光に対する変調信号となる。同様に、光変調部である第2のIQ変調器1009に入力される2つの変調信号I、Qは、波長分散の前置補償が施されたアイドラ光に対する変調信号となる。デジタル信号生成部1010、1011で与えられる前置分散補償による歪みは、後段の光ファイバ910を伝送後に信号光およびアイドラ光に累積される分散による信号歪を受けることで相殺される。また、第1のデータ信号1034および第2のデータ信号1035と、第3のデータ信号1036および第4のデータ信号1037とは、互いに位相共役の関係にあるデータ信号となっている。
第2のPPLN導波路モジュール1002からの信号光およびアイドラ光は、WSS1020により分波され、それぞれIQ変調器1008、1009によって強度および位相を変調される。すなわち、IQ変調器1008からは、前置分散補償が施されたシンボルレート10GHzのQPSK変調の信号光が出力され、IQ変調器1009からは、前置分散補償が施されたシンボルレート10GHzのQPSK変調のアイドラ光が出力される。2つのIQ変調器1008、1009からのQPSK信号は光合分波器(光カプラ)1021で合波される。上述のように2つのIQ変調器1008、1009への変調信号は互いに位相共役の関係にある信号である。また、変調を受ける搬送波としての信号光およびアイドラ光も、位相共役関係にある。すなわち、IQ変調器1008、1009からの変調後の信号光およびアイドラ光は、変調データも搬送波の光位相も互いに位相共役関係にある。
IQ変調器でのレベル低下を補うため、EDFA1022を用いて合波された変調信号を増幅する。その後、光カプラ1004で分波された励起光を光カプラ102で信号光およびアイドラ光に合波させ、図9の80kmの光ファイバ910に入力した。伝送ファイバとその分散特性は実施形態1と同様である。位相感応光増幅をする際には、増幅する信号光およびアイドラ光の基準位相の情報を持つ励起光が必要である。本実施形態の光伝送システムでは、信号光およびアイドラ光の基準位相となっている局部発振光源1033から出力された励起光1032を、信号光およびアイドラ光と同送するパイロットトーンとしている。
再び図9を参照すると、中継型PSA930は、大まかに波長合分波器931と、第4の光合分波器と、BPF933、938、942と、サーキュレータ934と、局部発振光源(半導体レーザ)935と、位相変調器936と、EDFA937と、PPLN導波路モジュール939、940と、光検出器943と、PLL回路944と、PZTによる光ファイバ伸長器945を備えている。中継型PSA930においても送信器1000と同様、位相感応光増幅過程は、励起光となるSH光発生(SHG)のための第3のPPLN導波路モジュール939、及びOPAのための第4のPPLN導波路モジュール940により動作する。各PPLN導波路モジュールの構成、モジュール内のPPLN導波路の作製方法は実施形態1と同様である。
信号光およびアイドラ光並びにパイロットトーンを含む光ファイバ910を伝送した信号光群は、偏波補償器920により光ファイバ内の偏波変動が補償される。PSA930において、信号光群951の内のパイロットトーンのみが、波長合分波器931により分波され、信号光およびアイドラ光は第4のPPLN導波路モジュール940へと入力される。パイロットトーンはBPF933により不要なASE光成分を除去した後、光サーキュレータ934経由して、第2の局部発振光源935に光注入同期を行った。光注入同期により、パイロットトーンと同一波長および同一の位相情報を持つ局部発振光を生成した。局部発振光源935は、例えば半導体レーザによって実現できる。
光サーキュレータ934により局部発振光源935からの注入同期した出力を取り出し、局部発振光953をEDFA937により3Wまで増幅する。さらにBPF938によりEDFAの自然放出光を除去した後、第3のPPLN導波路モジュール939に入射した。第3のPPLN導波路モジュール939内のPPLN導波路中のSHG動作により、SH光の励起光954を生成した。3Wの局部発振光により、1Wの強度の励起光954が得られた。この励起光954を、第4のPPLN導波路モジュール940に入射した。第4のPPLN導波路モジュール940内のPPLN導波路内では、信号光およびアイドラ光に対して非縮退パラメトリック過程が引き起こされる。
信号光およびアイドラ光は、送信器1000における励起光1038の基準位相に同期されている。このため、中継型PSA930においても励起光954を送信器1000の基準位相に同期させることで、全波長で一括位相感応光増幅を実現できる。PSA930において励起光と信号光の位相同期をするため、位相変調器936を用いて微弱な信号により局部発振光に位相変調を施す。第4のPPLNモジュール940を通過した出力光955の一部を光カプラ941により分岐した。BPF942により、出力光955の信号光の波長のみを切り出し、光検出器943により光強度の変化を検出する。PLL回路944を用いて、励起光の位相と信号光の位相が同期するように光ファイバ伸長器945にフィードバックを掛けた。ここでは、位相同期をかけるために出力光955の内の信号光のみを切り出しているが、出力光955のアイドラ光を切り出して光ファイバ伸長器945にフィードバックを掛けても、同様に位相感応光増幅が可能である。
本実施形態の光伝送システム900では、送信器1000から同送されたパイロットトーンと、PSA930の局部発振光953との位相同期には、光注入同期を用いた。その他の方法として、例えばコスタスループに代表される高速な電気信号のフィードバックを局部発振光源935に帰還することで、位相同期を行っても良い。
上述の本実施形態の光伝送システムにおいても、光ファイバ伝送路の分散に起因した位相誤差を、予め送信器1000のデジタル信号生成部1010、1011の段階で補償する。これによって、分散を有する光ファイバを伝送した後の信号光に対しても、分散に起因した特性劣化のない位相感応光増幅を実現できる。本発明の光伝送システムにより、従来技術では分散補償されたファイバで構成された伝送路にしか適用できなかったPSAを、通常のSMF伝送後の信号に対しても適用可能となる。直交位相成分にもデータ変調成分を含むQAM信号のような変調フォーマットの信号にも対応可能で、複数波長の一括増幅もできるPSAにより、大容量光伝送に必要なPSAの適用領域を拡張できる。
本発明は、光伝送システムに利用することができる。特に中継型の光増幅装置に利用できる。
100、200、500、930 位相感応光増幅器(PSA)
102 励起光源
103 励起光位相制御部
201、420、503、514、937、1005、1022 EDFA
202、204、504、505、516、517、939、940、1002、1007 PPLN導波路モジュール
203−1、203−2、502、508、518、941、1004、1021、1023 光カプラ(光分岐部)
205、936 位相変調器
206、207、521、945 光ファイバ伸長器
209、420、520、944 PLL回路
400、900 光伝送システム
401、1000 送信器
402、1010、1011 デジタル信号生成部
405、406、1012〜1015 デジタルアナログ変換器(DAC)
409、1001 信号光源
410、1008、1009 IQ変調器(IQM)
430、910 光ファイバ
440、920 分散及び偏波補償器
506、515、933、938、942、1006 BPF
507、1003 局部発振光源
512、935 半導体レーザ(局部発振光源)
513、934 光サーキュレータ
530 励起光生成部
540 位相感応光増幅部
931 波長合分波器
1020 波長選択型光スイッチ

Claims (3)

  1. 変調された信号光群を発生する送信器と、
    光ファイバ伝送路を介して前記送信器と接続される光増幅装置と
    を備えた光伝送システムであって、
    前記送信器は、
    前記光ファイバ伝送路において生じる波長分散に応じた前置分散補償を加えたデジタル信号データであって、位相共役の関係にある2組のデジタル信号データを生成するデジタル信号生成部と、
    信号光光源からの搬送波光および局部発振光から、前記搬送波光と位相共役の関係にあるアイドラ光を生成するアイドラ光生成部と、
    前記位相共役の関係にある2組のデジタル信号データの一方に基づいて、前記搬送波光の光位相および光強度を変化させて変調信号光を生成する第1の光変調部と、
    前記位相共役の関係にある2組のデジタル信号データの他方に基づいて、前記アイドラ光の光位相および光強度を変化させて変調アイドラ光を生成する第2の光変調部と
    を含み、
    前記変調信号光、前記変調アイドラ光および前記局部発振光が同送され、
    前記光増幅装置は、
    前記光ファイバ伝送路を伝送された前記局部発振光に基づいて、励起光を生成する第1の二次非線形光学素子と、
    前記励起光に基づいて、前記変調信号光および前記変調アイドラ光に対して非縮退パラメトリック増幅を行う第2の二次非線形光学素子と、
    前記変調信号光の位相と、前記励起光の位相を同期する手段と
    を含むことを特徴とする光伝送システム。
  2. 前記送信器は、
    前記局部発振光から、第2高調波光を生成する第3の二次非線形光学素子と、
    前記第2高調波光と前記搬送波光との差周波数光である前記アイドラ光を生成する第4の二次非線形光学素子と
    をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の光伝送システム。
  3. 光ファイバ伝送路において生じる波長分散に応じた前置分散補償を加えた変調信号により送信器において生成された信号光群であって、当該光ファイバ伝送路を伝送した前記信号光群を光感応増幅する光増幅装置であって、
    前記信号光群は、
    位相共役の関係にある2組のデジタル信号データの内の一方に基づいて、信号光光源からの搬送波光の光位相および光強度を変化させて変調された変調信号光と、
    前記位相共役の関係にある2組のデジタル信号データの他方に基づいて、前記搬送波光および局部発振光から生じ、前記搬送波光と位相共役の関係にあるアイドラ光に対して、その光位相および光強度を変化させて変調されたアイドラ変調光と、
    前記変調信号光および前記アイドラ変調光と同送された前記局部発振光を含み、
    前記光増幅装置は、
    前記光ファイバ伝送路を伝送した前記局部発振光に基づいて、励起光を生成する第1の二次非線形光学素子と、
    前記励起光に基づいて、前記変調信号光および前記アイドラ変調光に対して非縮退パラメトリック増幅を行う第2の二次非線形光学素子と、
    前記変調信号光の位相と、前記励起光の位相を同期する手段と
    を含むことを特徴とする光増幅装置。
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