JP7501040B2 - 画像形成装置用ベルト及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置用ベルト及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、「像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、該中間転写体は少なくとも内側から基層、球形微粒子による凹凸形状を有した弾性層を順次備える積層構造からなり、前記球形微粒子の体積抵抗率が1×10-4Ω・cm以上1×10Ω・cm未満であることを特徴とする中間転写体。」が提案されている。
特許文献2には、「像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、前記中間転写体は、基層、及び弾性層が積層されたものであり、前記弾性層は、表面に微粒子による凹凸形状を有し、前記微粒子の体積抵抗率が1×10Ω・cm~1×10Ω・cmであることを特徴とする中間転写体。」が提案されている。
特許文献3には、「像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写ベルトであって、前記中間転写ベルトは、基層と、球形微粒子を含みかつ前記球形微粒子による凹凸形状を有する弾性層とを備えた積層構造を有し、前記弾性層は、リン系化合物と金属水和物と粘土鉱物とを含むことを特徴とする中間転写ベルト。」が提案されている。
特開2019-128585号公報 特開2018-155953号公報 特開2019-120742号公報
本発明の課題は、基材と、前記基材上に設けられた弾性層と、樹脂粒子と、を有する画像形成装置用ベルトにおいて、前記樹脂粒子がメラミン樹脂粒子であり、前記弾性層の表面から前記樹脂粒子が露出するように、前記弾性層に前記樹脂粒子を含有する場合と比較して、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち
<1>
基材と、
前記基材上に設けられた弾性層と、
自己修復性樹脂粒子と、を有し、
前記弾性層上に表面層を有する場合は、前記表面層の表面から前記自己修復性樹脂粒子が露出した状態で、前記表面層に前記自己修復性樹脂粒子を含有し、
前記弾性層上に表面層を有しない場合は、前記弾性層の表面から前記自己修復性樹脂粒子が露出した状態で、前記弾性層に前記自己修復性樹脂粒子を含有する画像形成装置用ベルト。
<2>
前記自己修復性樹脂粒子の体積平均粒径D50vが5μm以上20μm以下である前記<1>に記載の画像形成装置用ベルト。
<3>
前記自己修復性樹脂粒子がアクリルウレタン樹脂を含有する粒子である前記<1>又は<2>に記載の画像形成装置用ベルト。
<4>
前記アクリルウレタン樹脂を含有する粒子が、23℃でのマルテンス硬度が0.5N/mm以上220N/mm以下、23℃での戻り率が70%以上100%以下である前記<3>に記載の画像形成装置用ベルト。
<5>
前記アクリルウレタン樹脂が、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と、複数のヒドロキシル基を有し且つ前記ヒドロキシル基が炭素数6以上の炭素鎖を介するポリオール(b)と、多官能イソシアネート(c)と、の反応物である前記<3>又は<4>に記載の画像形成装置用ベルト。
<6>
前記表面層又は前記弾性層の表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の存在割合が、400個/mm以上40000個/mm以下である前記<1>~<5>のいずれか1つに記載の画像形成装置用ベルト。
<7>
前記表面層の厚みが1.0μm以上20.0μm以下である前記<1>~<6>のいずれか1つに記載の画像形成装置用ベルト。
<8>
前記表面層又は前記弾性層の表面粗さRaが0.1μm以上10.0μm以下である前記<1>~<7>のいずれか1つに記載の画像形成装置用ベルト。
<9>
前記表面層がアクリルウレタン樹脂を含有する前記<1>~<8>のいずれか1つに記載の画像形成装置用ベルト。
<10>
前記アクリルウレタン樹脂が、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と、複数のヒドロキシル基を有し且つ前記ヒドロキシル基が炭素数6以上の炭素鎖を介するポリオール(b)と、多官能イソシアネート(c)と、の反応物である前記<9>に記載の画像形成装置用ベルト。
<11>
前記<1>~<10>のいずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトを備える画像形成装置。
<1>、<3>、<9>又は<10>に係る発明によれば、基材と、前記基材上に設けられた弾性層と、樹脂粒子と、を有する画像形成装置用ベルトにおいて、前記樹脂粒子がメラミン樹脂粒子であり、前記弾性層の表面から前記樹脂粒子が露出するように、前記弾性層に前記樹脂粒子を含有する場合と比較して、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトが提供される。
<2>に係る発明によれば、前記自己修復性樹脂粒子の平均粒径が5μm未満又は20μm超過である場合と比較して、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトが提供される。
<4>に係る発明によれば、前記アクリルウレタン樹脂を含有する粒子が、23℃でのマルテンス硬度が0.5N/mm未満若しくは220N/mm超過、又は、23℃での戻り率が70%未満である場合と比較して、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトが提供される。
<5>に係る発明によれば、前記アクリルウレタン樹脂が、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と、ポリオール(b)と、イソシアネート(c)と、の反応物であり、前記ポリオール(b)が単数のヒドロキシル基を有するポリオール、若しくは、前記ヒドロキシル基が炭素数6未満の炭素鎖を介するポリオールである又は前記イソシアネート(c)が単官能イソシアネートである場合と比較して、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトが提供される。
<6>に係る発明によれば、前記表面層又は前記弾性層の表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の存在割合が、400個/mm未満又は40000個/mm超過である場合と比較して、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトが提供される。
<7>に係る発明によれば、前記表面層の厚みが1.0μm未満又は20.0μm超過である場合と比較して、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトが提供される。
<8>に係る発明によれば、前記表面層又は前記弾性層の表面粗さRaが0.1μm未満又は10.0μm超過である場合と比較して、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトが提供される。
<11>に係る発明によれば、基材と、前記基材上に設けられた弾性層と、樹脂粒子と、を有し、前記樹脂粒子がメラミン樹脂粒子であり、前記弾性層の表面から前記樹脂粒子が露出するように、前記弾性層に前記樹脂粒子を含有する画像形成装置用ベルトを備える画像形成装置と比較して、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置用ベルトの層構成の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置用ベルトの層構成の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
<画像形成装置用ベルト>
本実施形態に係る画像形成装置用ベルトは、例えば、図1及び図2に示すように、基材70と、前記基材70上に設けられた弾性層72と、自己修復性樹脂粒子76と、を有する。
図1に示すように、前記弾性層72上に表面層74を有する場合は、前記表面層74の表面から前記自己修復性樹脂粒子76が露出した状態で、前記表面層74に前記自己修復性樹脂粒子76を含有する。
図2に示すように、前記弾性層72上に表面層を有しない場合は、前記弾性層72の表面から前記自己修復性樹脂粒子76が露出した状態で、前記弾性層72に前記自己修復性樹脂粒子76を含有する。
本実施形態に係る画像形成装置用ベルトは、上記構成により、連続使用による画像抜けが抑制される。その理由は、次の通り推測される。
従来、基材と、前記基材上に設けられた弾性層と、樹脂粒子と、を有し、前記弾性層の表面から前記樹脂粒子が露出するように、前記弾性層に前記樹脂粒子を含有する画像形成装置用ベルトにおいて、連続使用による画像抜けが発生するということがあった。
本実施形態に係る画像形成装置用ベルトの表面に存在する自己修復性樹脂粒子76は、柔軟性を有する。そのため、画像形成装置用ベルトの表面は追従性を有し、転写時に部分的な空隙の発生を低減でき、画像抜けが抑制される。
また、画像形成装置用ベルトの表面に存在する自己修復性樹脂粒子76は、自己修復性を有する。そのため、使用による表面の状態の変化が生じにくく、連続使用しても画像抜けを抑制する効果が低下しにくい。
そのため、本実施形態に係る画像形成装置用ベルトは、連続使用による画像抜けが抑制される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置用ベルトの詳細について説明する。なお、符号は省略して説明する。
(基材)
基材は樹脂を含有し、必要に応じて、導電剤を含んで構成される。
樹脂としては、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂、フッ化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましく、特にポリイミド樹脂が好ましい。
ポリイミド樹脂としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体であるポリアミド酸のイミド化物が挙げられる。ポリイミド樹脂として具体的には、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との等モル量を溶媒中で重合反応させてポリアミド酸の溶液として得て、そのポリアミド酸をイミド化して得られたものである。
樹脂の含有量は、例えば、基材を構成する成分全体に対して10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上75質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上70質量%以下であることが更に好ましい。
樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
導電剤としては、導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm未満、以下同様である)又は半導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)の粉末(1次粒径が10μm未満の粒子からなる粉末がよく、望ましくは1次粒径が1μm以下の粒子からなる粉末)が挙げられる。
導電剤としては、特に制限はないが、例えば、カーボンブラック(例えばケッチェンブラック、アセチレンブラック、表面が酸化処理されたカーボンブラック等)、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、酸化金属化合物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)、導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなど)等が挙げられる。
導電剤の含有量は、例えば、基材を構成する成分全体に対して1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、2質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、4質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。
なお、導電剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
基材には導電剤以外の他の添加剤を含んでもよい。
他の添加剤としては、例えば、発泡剤、発泡助剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、架橋剤、架橋促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)などの、基材に添加され得る公知の材料が挙げられる。
基材の厚みとしては、30μm~150μmが好ましく、40μm~120μmがより好ましく、50μm~80μmが更に好ましい。
基材の厚みは、例えば、マイクロメーター及び渦電流式の膜厚計を使用して測定される。
(弾性層)
弾性層は、ゴム材料を含有し、必要に応じて、導電剤及び他の添加剤を含有してもよい。
ゴム材料としては、エラストマー及びゴムからなる群から選択される少なくとも1種のが挙げられる。
エラストマーとしては、ブタジエン系ポリマー、スチレン-ブタジエン系ポリマー、スチレン-イソプレン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ニトリル系ポリマー、ポリアミド系ポリマーなどが挙げられる。これらは、ホモポリマーとしてもよいし、コポリマーやポリマーブレンドの形態をとってもよい。これらのポリマーは2種以上のポリマーの混合物として用いてもよい。
ゴムとしては、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシドゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、塩素化ポリイソプレン、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、水素化ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等、又は、これらの2種以上の混合材料が挙げられる。
これらの中でも、弾性層は、アクリルゴムを含むことが好ましい。
ゴム材料の含有量は、例えば、弾性層を構成する成分全体に対して30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上70質量%以下であることが更に好ましい。
導電剤としては、電子導電剤とイオン導電剤とが挙げられる。
電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の金属又は合金;酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫-酸化アンチモン固溶体、酸化錫-酸化インジウム固溶体等の導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理した物質;などの粉末が挙げられる。電子導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電子導電剤の含有量は、ゴム材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、15質量部以上25質量部以下がより好ましい。
イオン導電剤としては、例えば、四級アンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム又は変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩又は塩化ベンジル塩)、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩、ベタイン、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。イオン導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イオン導電剤の含有量は、ゴム材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下がより好ましい。
他の添加剤としては、例えば、発泡剤、発泡助剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、架橋剤、架橋促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)などの、弾性層に添加され得る公知の材料が挙げられる。
弾性層の厚さは、25μm以上150μm以下であることが好ましく、50μm以上100μm以下であることがより好ましく、70μm以上80μm以下であることが更に好ましい。
(自己修復性樹脂粒子)
自己修復性樹脂粒子は、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトを得る観点から、アクリルウレタン樹脂を主成分として含むことが好ましい。
ここで、「自己修復性」とは、応力によってできた歪を応力の除荷時に復元する性質を指す。
また、「アクリルウレタン樹脂」とは、アクリル系樹脂に由来するセグメントを分子構造中に有するとともに、ウレタン結合(-NHCOO-)を有する樹脂を指す
アクリルウレタン樹脂としては、具体的には、アクリル系の単量体(例えば下記式(ac)で表される単量体)を少なくとも含み、且つビニル基(例えば「(R-C=C-(R)-」で表される基、なお前記Rはそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は炭素数1以上8以下のアルキル基(例えばメチル基、エチル基等)を表す)を有する単量体を含んでもよい重合性単量体群が重合してなるアクリル系樹脂に由来するセグメントを分子構造中に有するとともに、ウレタン結合(-NHCOO-)を有する樹脂を指す。
「式ac:(Rac-)C=C(-Rac)(-COO-Rac)」
(式ac中、Racは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1以上8以下のアルキル基(例えばメチル基、エチル基等)を表す。Racは、有機基を表す。なお、有機基とは、C、H、O、及びNからなる原子群から選択される少なくとも1種の原子を含む有機系の基が挙げられ、例えば炭化水素基(アルキル基、アリール基等)、フッ化アルキル基(パーフルオロアルキル基等)等が挙げられる。前記炭化水素基及びフッ化アルキル基は、さらに置換基やヘテロ原子(例えば-OH、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-等)を有していてもよい。
ここで、主成分とは、自己修復性樹脂粒子中で質量比での含有率が最も多い成分であることを意味する。
本実施形態では、自己修復性樹脂粒子がアクリルウレタン樹脂を主成分として含むことが好ましいが、その含有率としては、樹脂粒子全体に対し50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
アクリルウレタン樹脂は、例えば分子構造中にヒドロキシル基を含むアクリル樹脂(ヒドロキシル基含有アクリル樹脂)(a)と、イソシアネート基を複数有する多官能イソシアネート(c)と、を反応させることで得られる。
なお、アクリルウレタン樹脂は、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトを得る観点から、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と、複数のヒドロキシル基を有し且つ前記ヒドロキシル基が炭素数6以上の炭素鎖を介するポリオール(長鎖ポリオール)(b)と、多官能イソシアネート(c)と、の反応生成物であることがより好ましい。
また、アクリルウレタン樹脂は、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトを得る観点から、上記(a)、(b)、及び(c)を重合成分全体に対して合計で90質量%以上含む重合成分群の反応物であることがさらに好ましい。
(a)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂
本実施形態では、アクリルウレタン樹脂の原料としてヒドロキシル基(-OH)を有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)が用いられる。なお、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)中に含まれるヒドロキシル基(-OH)は、カルボキシ基(-COOH)の形態であってもよい。
ヒドロキシル基は、例えばヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の原料となる重合性単量体として、ヒドロキシル基を有する重合性単量体を用いることで導入される。
ヒドロキシル基を有する重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、及びN-メチロールアクリルアミン等の、(1)ヒドロキシル基を有するエチレン性の重合性単量体等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、及びマレイン酸等の、(2)カルボキシ基を有するエチレン性の重合性単量体を用いてもよい。
また、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の原料となる重合性単量体には、ヒドロキシル基を有しない重合性単量体を併用してもよい。ヒドロキシル基を有しない重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、及び(メタ)アクリル酸n-ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル誘導体;塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等のアクリル酸及びその塩;アクリル酸β-ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N-メチロ-ルアクリルアミド等のアクリル酸アルキルエステル誘導体;メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カルシウム等のメタクリル酸及びその塩;メタクリルアミド、メタクリル酸β-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸アルキルエステル誘導体等;無水マレイン酸、メチルマレイミド、フェニルマレイミド等の酸無水物類やイミド類など、前記重合性単量体(1)及び(2)と共重合し得るエチレン性の重合性単量体が挙げられる。
本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両者を含むことを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両者を含むことを意味する。
ここで、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)は、例えばアクリル系の単量体を少なくとも含み、且つビニル基を有する単量体を含んでもよい重合性単量体群の反応物が挙げられる。そして、この反応物は、各重合性単量体におけるエチレン性二重結合部分が重合することで形成された主鎖と、この主鎖に結合する側鎖とを有する。
樹脂粒子に含まれるアクリルウレタン樹脂が、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と、長鎖ポリオール(b)と、多官能イソシアネート(c)と、の反応物である場合、上記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)は、ヒドロキシル基を有する側鎖全体のうち、ヒドロキシル基を有し且つ炭素数(側鎖部分における炭素数)が10未満である側鎖(以下「短側鎖ヒドロキシル基」とも称す)に対する、ヒドロキシル基を有し且つ炭素数(側鎖部分における炭素数)が10以上の側鎖(以下「長側鎖ヒドロキシル基」とも称す)の含有比(モル比)が、1/3未満であってもよい。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)が、短側鎖ヒドロキシル基に対する長側鎖ヒドロキシル基の比が1/3未満であり、つまり短側鎖ヒドロキシル基に比べて長側鎖ヒドロキシル基が少ない構造であっても、さらに長鎖ポリオール(b)が用いられることで、アクリルウレタン樹脂における戻り率は大きくなり且つマルテンス硬度は小さくなる傾向にある。そして、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトを得易くなる。なお、長鎖ポリオール(b)の使用量が増えるほど、アクリルウレタン樹脂における戻り率は大きくなり且つマルテンス硬度は小さくなる傾向にある。
短側鎖ヒドロキシル基の側鎖部分における炭素数は10未満であり、6以下が好ましい。長側鎖ヒドロキシル基の側鎖部分における炭素数は10以上であり、15以上が好ましい。
短側鎖ヒドロキシル基を導入するための重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、N-メチロールアクリルアミン、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、及びマレイン酸等が挙げられる。
長側鎖ヒドロキシル基を導入するための重合性単量体としては、弾力性を増しやすい構造であるε-ラクトン環を開環したものが好ましく、例えば3モル以上5モル以下のε-カプロラクトンを1モルの(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチルに付加したもの等が好ましい。
なお、短側鎖ヒドロキシル基及び長側鎖ヒドロキシル基は、いずれも側鎖部分の構造中にフッ素原子を有しない構造であってもよい。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)は、フッ素原子を有するアクリル樹脂であることが好ましい。ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)が分子構造中にフッ素原子を含むことで、樹脂粒子を粒子形状に成形する成形性が高め易くなる。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)中へのフッ素原子の導入は、例えばヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の原料となる重合性単量体としてフッ素原子を有する重合性単量体を用いることで行われる。具体的には、フッ素原子を含む基とビニル基とを有する重合性単量体によって導入することができる。
なお、ビニル基とは「(R-)C=C(-R)-」(前記Rは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は炭素数1以上8以下のアルキル基を表す)の構造式で表される基を指す。Rとしては、水素原子、フッ素原子、又はメチル基が好ましい。本明細書におけるビニル基の例としては、例えばCH=CH-、CH=C(CH)-、CF=CF-等の基が挙げられる。
フッ素原子を含む基とビニル基とを有する重合性単量体としては、公知のものを使用でき、具体例としては、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルメチル(メタ)アクリレート、ポリパーフルオロブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロトリデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロテトラデシルメチル(メタ)アクリレート、2-(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロエチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロプロピル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロペンチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘプチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロノニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロトリデシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロテトラデシル)エチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルエチレン、ヘキサフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロペンエポキサイド、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等が挙げられる。
また、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)中において、フッ素原子を有する側鎖は、長鎖ポリオール(b)及び多官能イソシアネート(c)と反応する基を有しないことが好ましい。そのため、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の原料となるフッ素原子を有する重合性単量体には、(b)及び(c)と反応する基を有しないか、又は(b)及び(c)と反応する基が重合後に残存しない重合性単量体を用いることが好ましい。
フッ素原子を有する側鎖の炭素数としては、例えば2以上20以下が挙げられる。またフッ素原子を有する側鎖における炭素鎖は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
フッ素原子を有する重合性単量体1分子に含まれるフッ素原子数は特に限定されないが、例えば1以上25以下が好ましく、3以上17以下がより好ましい。
自己修復性樹脂粒子では、フッ素原子の含有率は、自己修復性樹脂粒子全体に対して0.5質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
0.5質量%以上であることで、自己修復性樹脂粒子を粒子形状に成形する成形性が高め易くなる。一方、15質量%以下であることで、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトが得易くなる。
自己修復性樹脂粒子中におけるフッ素原子の含有率は、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)を合成する全重合性単量体中における、フッ素原子を有する重合性単量体の割合、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と他の成分(長鎖ポリオール(b)、多官能イソシアネート(c)等)との割合等によって調整される。
なお、自己修復性樹脂粒子におけるフッ素原子の含有率の測定は、自己修復性樹脂粒子に対し、クラスターアルゴンによる、エッチングしながらのX線光電子分光分析(XPS)方法により行われる。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の水酸基価は、40mgKOH/g以上280mgKOH/g以下であることが好ましく、70mgKOH/g以上200mgKOH/g以下がより好ましい。
水酸基価が40mgKOH/g以上であることにより架橋密度が高いアクリルウレタン樹脂が重合され、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトが得易くなる。一方、280mgKOH/g以下であることにより適度な柔軟性をもつアクリルウレタン樹脂が得られる。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の水酸基価は、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)を合成する全重合性単量体中における、ヒドロキシル基を有する重合性単量体の割合等によって調整される。
なお、水酸基価とは、試料1g中の水酸基(ヒドロキシル基)をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数を表す。本実施形態における水酸基価の測定は、JIS K0070-1992に定められた方法(電位差滴定法)に準じて測定される。但しサンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒が用いられる。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の重量平均分子量は、5000以上100000以下であることが好ましく、10000以上50000以下であることがさらに好ましい。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の重量平均分子量が5000以上であることで、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトが得易くなる。一方、重量平均分子量が100000以下であることで、柔軟性に優れた樹脂粒子が得易くなる。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、テトラヒドロフラン(THF)溶媒で行う。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の合成は、例えば、前述の重合性単量体を混合し通常のラジカル重合やイオン重合等を行った後、精製することによって行なわれる。
(b)長鎖ポリオール
長鎖ポリオールは、複数のヒドロキシル基(-OH)を有し、且つ前記ヒドロキシル基が炭素数(ヒドロキシル基同士を結ぶ直鎖の部分における炭素数)が6以上の炭素鎖を介するポリオールである。つまり、長鎖ポリオールは全てのヒドロキシル基同士が炭素数(ヒドロキシル基同士を結ぶ直鎖の部分における炭素数)が6以上の炭素鎖によって連結されるポリオールである。
長鎖ポリオールは、官能基数(すなわち、長鎖ポリオール1分子中に含まれるヒドロキシル基の数)が、例えば2以上5以下の範囲が挙げられ、2以上3以下であってもよい。
長鎖ポリオールにおける炭素数が6以上の炭素鎖とは、ヒドロキシル基同士を結ぶ直鎖の部分における炭素数が6以上である鎖を表す。炭素数が6以上の炭素鎖としては、アルキレン基、又は1種以上のアルキレン基と-O-、-C(=O)-、及び-C(=O)-O-から選択される1つ以上の基とを組み合わせてなる2価の基が挙げられる。ヒドロキシル基が炭素数6以上の炭素鎖を介する長鎖ポリオールは、-[CO(CHn1O]n2-H(ここで、n1は1以上10以下(好ましくは3以上6以下、より好ましくは5)を表し、n2は1以上50以下(好ましくは1以上35以下、より好ましくは1以上10以下)を表す。)の構造を有することが好ましい。
長鎖ポリオールとしては、例えば、2官能ポリカプロラクトンジオール、3官能ポリカプロラクトントリオール、4官能以上のポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
2官能ポリカプロラクトンジオールとしては、例えば-[CO(CHn11O]n12-H(ここで、n11は1以上10以下(好ましくは3以上6以下、より好ましくは5)を表し、n12は1以上50以下(好ましくは4以上35以下)を表す。)で表される、末端にヒドロキシル基を有する基を2つ有する化合物が挙げられる。中でも、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
(一般式(1)中、Rはアルキレン基、又はアルキレン基と、-O-及び-C(=O)-から選択される1つ以上の基とを組み合わせてなる2価の基を表し、m及びnはそれぞれ独立に1以上35以下の整数を表す。)
一般式(1)中、Rで表される2価の基に含まれるアルキレン基は、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい。該アルキレン基としては、例えば炭素数1以上10以下のアルキレン基が好ましく、炭素数1以上5以下のアルキレン基がより好ましい。
Rで表される2価の基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは炭素数2以上5以下)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキレン基が好ましく、また炭素数1以上5以下(好ましくは炭素数1以上3以下)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキレン基2つが-O-もしくは-C(=O)-(好ましくは-O-)で連結されてなる基が好ましい。これらの中でも、*-C-*、*-COC-*、又は*-C(CH-(CH-*で表される2価の基がより好ましい。なお、上記に列挙した2価の基は、それぞれ「*」部分で結合する。
m及びnは、それぞれ独立に1以上35以下の整数を表し、2以上10以下であることが好ましい。
3官能ポリカプロラクトンジオールとしては、例えば-[CO(CHn21O]n22-H(ここで、n21は1以上10以下(好ましくは3以上6以下、より好ましくは5)を表し、n22は1以上50以下(好ましくは1以上28以下)を表す。)で表される、末端にヒドロキシル基を有する基を3つ有する化合物が挙げられる。中でも、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
(一般式(2)中、Rはアルキレン基から水素原子を1つ除いた3価の基、又はアルキレン基から水素原子を1つ除いた3価の基と、アルキレン基、-O-、及び-C(=O)-から選択される1つ以上の基とを組み合わせてなる3価の基を表す。l、m、及びnはそれぞれ独立に1以上28以下の整数を表し、l+m+nは3以上30以下である。)
一般式(2)中、Rがアルキレン基から水素原子を1つ除いた3価の基を表す場合、その基は直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい。このアルキレン基から水素原子を1つ除いた3価の基としては、例えば炭素数1以上10以下のアルキレン基が好ましく、炭素数1以上6以下のアルキレン基がより好ましい。
また上記Rは、上記に示すアルキレン基から水素原子を1つ除いた3価の基と、アルキレン基(例えば炭素数1以上10以下のアルキレン基)、-O-、及び-C(=O)-から選択される1つ以上の基と、を組み合わせてなる3価の基であってもよい。
Rで表される3価の基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキレン基から水素原子を1つ除いた3価の基が好ましい。これらの中でも、*-CH-CH(-*)-CH-*、CH-C(-*)(-*)-(CH-*、CHCHC(-*)(-*)(CH-*で表される3価の基がより好ましい。なお、上記に列挙した3価の基は、それぞれ「*」部分で結合する。
l、m、及びnは、それぞれ独立に1以上28以下の整数を表し、2以上10以下であることが好ましい。l+m+nは3以上30以下であり、6以上30以下であることが好ましい。
長鎖ポリオールは、水酸基価が30mgKOH/g以上300mgKOH/g以下のものを用いることが好ましく、50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましい。水酸基価が30mgKOH/g以上であることにより、架橋密度が高いアクリルウレタン樹脂が重合され、一方300mgKOH/g以下であることにより、適度な柔軟性をもつアクリルウレタン樹脂が得易くなる。
尚、上記水酸基価とは、試料1g中の水酸基(ヒドロキシル基)をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数を表す。本実施形態における上記水酸基価の測定は、JIS K0070-1992に定められた方法(電位差滴定法)に準じて測定される。但しサンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサン、THF等の溶媒が用いられる。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)の水酸基価[OH]と、長鎖ポリオール(b)の水酸基価[OH]との比[OH/OH]は、0.1以上3以下であることが好ましく、0.2以上2.5以下であることがより好ましく、0.3以上2.0以下であることがさらに好ましい。
(c)多官能イソシアネート
多官能イソシアネート(c)はイソシアネート基(-NCO)を複数有する化合物であり、例えばヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)が有するヒドロキシル基、長鎖ポリオール(b)が有するヒドロキシル基等と反応してウレタン結合(-NHCOO-)を形成する。そして、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)同士、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と長鎖ポリオール(b)、長鎖ポリオール(b)同士を架橋する架橋剤として機能する。
多官能イソシアネートとしては、特に制限されるものではないが、例えばメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の、2官能のジイソシアネートが挙げられる。また、ヘキサメチレンポリイソシアネートの多量体でビュレット構造、イソシアヌレート構造、アダクト構造、弾性型構造などをもつ多官能イソシアネート等も好ましく用いられる。
なお、多官能イソシアネートとして市販品を用いてもよく、例えば旭化成(株)製のポリイソシアネート(デュラネート)等が挙げられる。
多官能イソシアネートは1種のみを用いても、2種以上を混ぜて用いてもよい。
多官能イソシアネートの量としては、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)及び長鎖ポリオール(b)中のヒドロキシル基(-OH)の総量に対して、イソシアネート基(-NCO)の割合がモル比で0.8以上1.5以下となる量に調整することが好ましく、さらにはモル比で1以上1.3以下が好ましい。
(e)他の添加剤
本実施形態では、自己修復性樹脂粒子に他の添加剤が含まれていてもよい。例えば、他の添加剤としては、着色剤、帯電防止剤、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)及び長鎖ポリオール(b)におけるヒドロキシル基(-OH)と多官能イソシアネート(c)におけるイソシアネート基(-NCO)との反応を促進させる反応促進剤等が挙げられる。
・着色剤
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、自己修復性樹脂粒子全体に対して1.0質量%以上40質量%以下が好ましく、2.0質量%以上30質量%以下がより好ましい。
・帯電防止剤
帯電防止剤の具体例としては、カチオン系の界面活性化合物(例えばテトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルアミンの塩酸塩、イミダゾリウム塩等)、アニオン系の界面活性化合物(例えばアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフォスフェート等)、非イオン系の界面活性化合物(例えばグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、N,N-ビス-2-ヒドロキシエチルアルキルアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル等)、両性の界面活性化合物(例えばアルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン等)等が挙げられる。
また、帯電防止剤として、4級アンモニウムを含有する物が挙げられる。
具体的には、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパラトルエンスルフォネート、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、オクタン酸アミドプロピルベタイン、ポリオキシエチレンステアリルアミンの塩酸塩等が挙げられる。これらの中でも、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホンイミドが好ましい。
また、高分子量の帯電防止剤を用いてもよい。
高分子量の帯電防止剤としては、例えば、4級アンモニウム塩基含有アクリレートを重合した高分子化合物、ポリスチレンスルホン酸型高分子化合物、ポリカルボン酸型高分子化合物、ポリエーテルエステル型高分子化合物、エチレンオキシド-エピクロルヒドリン型高分子化合物、ポリエーテルエステルアミド型高分子化合物等が挙げられる。
4級アンモニウム塩基含有アクリレートを重合した高分子化合物としては、例えば下記の構成単位(A)を少なくとも有する高分子化合物などが挙げられる。

(構成単位(A)中、Rは水素原子又はメチル基を、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基を、Xはアニオンを、表す。)
なお、高分子量の帯電防止剤の重合は公知の方法により行い得る。
高分子量の帯電防止剤は、同じ重合性単量体からなる高分子化合物のみを用いても、異なる重合性単量体からなる2種以上の高分子化合物を併用してもよい。
なお、本実施形態では形成される画像形成装置用ベルトの表面抵抗が、1×10Ω/□以上1×1014Ω/□以下の範囲となるよう調整することが好ましく、また体積抵抗は1×10Ωcm以上1×1013Ωcm以下の範囲となるよう調整することが好ましい。
表面抵抗及び体積抵抗は、(株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP-450型URプローブを用いて、22℃、55%RHの環境下で、JIS-K6911に従い測定される。
なお、画像形成装置用ベルトの表面抵抗及び体積抵抗は、帯電防止剤を含有させる場合であれば、その種類や含有量等の調整によって制御される。
帯電防止剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
・反応促進剤
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)及び長鎖ポリオール(b)におけるヒドロキシル基(-OH)と多官能イソシアネート(c)におけるイソシアネート基(-NCO)との反応を促進させる反応促進剤を加えることもできる。促進剤としては、オクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、オクチル酸ビスマス、デカン酸ビスマスなどの金属触媒が挙げられる。たとえば、日東化成株式会社のネオスタンU-28、U-50、U-600等が挙げられる。
自己修復性樹脂粒子がアクリルウレタン樹脂を含有する粒子である場合、23℃でのマルテンス硬度が0.5N/mm以上220N/mm以下であることが好ましく、1N/mm以上80N/mm以下であることがより好ましく、1N/mm以上5N/mm以下であることが更に好ましい。
マルテンス硬度(23℃)が220N/mm以下であることにより、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトを得易くなる。一方、0.5N/mm以上であることにより、自己修復性樹脂として求められる形状を保持し易くなる。
自己修復性樹脂粒子は、23℃での戻り率が70%以上100%以下であり、好ましくは80%以上100%以下であり、より好ましくは90%以上100%以下である。
戻り率は、自己修復性樹脂粒子の自己修復性(応力によってできた歪を応力の除荷後1分以内に復元する性質、即ち傷の修復の度合い)を示す指標である。つまり、戻り率(23℃)が70%以上であることで傷の修復のし易さ(つまり自己修復性)が向上し、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトを得易くなる。
自己修復性樹脂粒子におけるマルテンス硬度及び戻り率の測定は、測定装置としてフィッシャースコープHM2000(フィッシャー社製)を用い、サンプルをスライドガラスに接着剤で固定して、上記測定装置にセットする。サンプルに特定の測定温度(例えば23℃)で0.5mNまで15秒間かけて荷重をかけていき0.5mNで5秒間保持する。その際の最大変位を(h1)とする。その後、15秒かけて0.005mNまで除荷していき、0.005mNで1分間保持したときの変位を(h2)として、戻り率〔(h1-h2)/h1〕×100(%)を計算する。また、この際の荷重変位曲線から、マルテンス硬度が求められる。
なお、この測定の際のサンプルとしては、上記測定装置における圧子により直接荷重を負荷することができる大きさの自己修復性樹脂粒子である場合には、自己修復性樹脂粒子自体(1つの自己修復性樹脂粒子)をサンプルとして用いる。一方、自己修復性樹脂粒子が圧子により直接荷重を負荷することができない大きさである場合には、自己修復性樹脂粒子の構成成分を分析によって解析し、この構成成分と同じ成分で樹脂膜(平均厚さ5μm)を形成して、この樹脂膜をサンプルとして用いる。
なお、通常であれば、体積平均粒径D50vが10μm以上の自己修復性樹脂粒子であれば、圧子により直接荷重を負荷することができる。
自己修復性樹脂粒子におけるマルテンス硬度及び戻り率は、自己修復性樹脂粒子の主成分であるアクリルウレタン樹脂の構成を調整することで制御し得る。例えば、アクリルウレタン樹脂が、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と、複数のヒドロキシル基を有し且つ前記ヒドロキシル基が炭素数6以上の炭素鎖を介するポリオール(b)と、多官能イソシアネート(c)と、の反応物である場合を例にすると、アクリル樹脂(a)の水酸基価、長鎖ポリオール(b)においてヒドロキシル基間に介される炭素鎖の炭素数、アクリル樹脂(a)に対する長鎖ポリオール(b)の比率、多官能イソシアネート(c)における官能基(イソシアネート基)の数、アクリル樹脂(a)に対する多官能イソシアネート(c)の比率等を制御することで調整される。
自己修復性樹脂粒子は、体積平均粒径D50vが5μm以上20μm以下であることが好ましく、7μm以上18μm以下であることがより好ましく、10μm以上15μm以下であることが更に好ましい。
体積平均粒径D50vが5μm以上であることで、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトを得易くなる。一方、20μm以下であることで画像形成装置用ベルト表面の追従性が向上する。
自己修復性樹脂粒子の体積平均粒径D50vは、自己修復性樹脂粒子が露出した画像形成装置用ベルトの表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテクノロジーズ製、S-4700)を用いて、倍率4万倍で画像を撮影、加速電圧15kV、エミッション電流20μA、WD15mmで観察する。特定した自己修復性樹脂粒子を画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事(株)製)で解析し、円相当径を求め、少なくとも100個の粒子について粒径(円相当径)を測定し、粒径の体積基準の分布において小径側から累積50%となる粒径である体積平均粒径を求める。
測定対象となる自己修復性樹脂粒子100個の円相当径を求める画像解析は、解析装置(ERA-8900:エリオニクス社製)を用いて、倍率10,000倍の二次元画像を撮影し、画像解析ソフトWinROOF(三谷商事社製)を用いて、0.010000μm/pixel条件で投影面積を求め、式:円相当径=2√(投影面積/π)で円相当径を求める。
自己修復性樹脂粒子の含有量は、例えば、弾性層上に表面層を有し、表面層の表面から自己修復性樹脂粒子が露出した状態で自己修復性樹脂粒子を含有する場合は、表面層を構成する成分全体に対して10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上60質量%以下であることが更に好ましい。
自己修復性樹脂粒子の含有量は、例えば、弾性層上に表面層を有さず、弾性層の表面から自己修復性樹脂粒子が露出した状態で自己修復性樹脂粒子を含有する場合は、4質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、6質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
自己修復性樹脂粒子は、自己修復性樹脂粒子以外の他の粒子と併用してもよい。
他の粒子としては、有機粒子又は無機粒子が挙げられる。
有機粒子としては、例えば、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の自己修復性樹脂粒子以外の粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の粒子が挙げられる。
他の粒子の含有量は、例えば、自己修復性樹脂粒子及び他の粒子の合計に対して、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、望ましくは10質量%以上40質量%以下、より望ましくは10質量%以上30質量%以下である。
(自己修復性樹脂粒子の製造方法)
アクリルウレタン樹脂を主成分として自己修復性樹脂粒子の製造方法について、詳しく説明する。
本実施形態に係る自己修復性樹脂粒子の製造方法は限定されるものではない。ただし、例えば溶解懸濁法等の湿式製法によって製造することが好ましい。
・溶解懸濁法
本実施形態に係る自己修復性樹脂粒子を製造する溶解懸濁法としては、有機溶剤中に少なくとも重合成分(例えば前述のヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)、長鎖ポリオール(b)、多官能イソシアネート(c)等)を溶解または分散させて油相を調製する油相調製工程と、該油相成分を水相中で懸濁造粒する造粒工程と、溶媒を除去する溶媒除去工程と、を有する方法が挙げられる。
(油相調製工程)
溶解懸濁法では、まず、重合成分(例えば前述のヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)、長鎖ポリオール(b)、多官能イソシアネート(c)等)を有機溶剤中に溶解または分散させて油相を調製する。
使用できる有機溶剤は、重合成分の種類に依存するが、一般に、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;エタノール、ブタノール、ベンジルアルコールエーテル、テトラヒドロフラン等のアルコールまたはエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等のケトン類等が用いられる。油相に用いる重合成分と溶剤の質量比は、造粒のしやすさ、または、最終的な自己修復性樹脂粒子収率の点で、10:90乃至80:20の範囲が好ましい。
本実施形態において、自己修復性樹脂粒子中に着色剤等の添加剤を添加する場合には、油相を調製する前に、添加剤を予めシナージストと分散剤とによって分散させた添加剤分散液を作製し、これを重合成分(例えば前述の(a)、(b)、及び(c)の成分等)と混合することが好ましい。添加剤分散液の作製に際しては、まず、シナージストと分散剤とを添加剤に付着させる。添加剤への付着は、通常の撹拌装置を使用して行う。具体的には、例えばアトライター、ボールミル、サンドミル、振動ミル等の粒状メディアを装備した容器に添加剤、シナージスト、および分散剤を投入し、この容器を好ましい温度範囲、例えば20℃から160℃の温度範囲に保ち、撹拌する方法が使用される。
(造粒工程)
次に、これら油相成分は水相中で求められる粒径になるように懸濁造粒される。尚、水相の主要媒体は水であり、分散剤を混合することが好ましい。また、水には食塩を添加して食塩水として用いてもよい。
分散剤は、親水性コロイドを形成することにより油相液滴を分散安定化する。無機の分散剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、珪酸ケイソウ土、粘土などがある。
また、これら無機の分散剤と共に有機の分散剤を併用してもよい。有機の分散剤としては、具体的には、ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えば、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン等)、アルブミン、カゼイン等の蛋白質類、コロジオン、アラビアゴム、寒天、アルギン酸、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースのアルキルエステル、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、合成高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩)等が挙げられる。
これらの分散剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を混合して用いてもよい。
分散剤は、水相の主要媒体に対して0.001質量%以上5質量%以下の範囲で用いることが好ましい。
水相には、さらに分散補助剤を併用してもよい。分散補助剤には界面活性剤が好適であり、イオン性、非イオン性の界面活性剤類が挙げられる。これらの分散補助剤は、単独で用いてもまた二種類以上を混合して用いてもよい。分散補助剤は、水相の主要媒体に対して0.001質量%以上5質量%以下の範囲で用いることが好ましい。
油相と水相の混合比率は、最終的な自己修復性樹脂粒子の粒径や、製造装置によっても異なるが、質量比で、油相/水相が10/90乃至90/10の範囲が好ましい。また、水相中での油相の造粒は、高速剪断下で行うのが好ましい。なお、製造しようとする自己修復性樹脂粒子の粒径が小粒径であるほど、使用する高速剪断機構を備えた分散機の選定に注意を払うことが望ましい。中でも各種ホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、ウルトラタラックス、クレアミル等の高速羽根回転型や強制間隔通過型の乳化分散機が好適である。
(溶媒除去工程)
造粒工程中または造粒工程後、溶媒(有機溶剤)を取り除く。溶媒の除去は、常温(例えば25℃)で行ってもよく、さらに減圧下で行ってもよい。常温で行うためには、溶媒の沸点より低く、かつ樹脂(アクリルウレタン樹脂)のガラス転移温度Tgを考慮した温度をかけることが望ましい。樹脂のTgを大きく超えると自己修復性樹脂粒子の合一が起こることがある。
例えば、反応促進剤の添加量にもよるが、一般に40℃で1時間以上3時間以下撹拌して溶媒除去を行い、次いで60℃で2時間以上6時間以下撹拌して架橋反応を進行させることで、造粒することができる。なお、減圧する際は20mmHgから150mmHgで行うのが好ましい。
得られた造粒物(スラリー物)は、溶媒除去後に、塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸等の、前記無機分散剤を水溶化する酸類で洗浄するのが好ましい。これにより自己修復性樹脂粒子表面に残存する無機分散剤が除去される。上記酸で処理した造粒物は、水酸化ナトリウム等のアルカリ水で再度洗浄してもよい。こうして酸性雰囲気下に置かれることで不溶化した自己修復性樹脂粒子表面の一部のイオン性物質が、再度、可溶化除去され、帯電性や粉体流動性が向上する。洗浄時のpH、洗浄の回数、洗浄時の温度等の条件の調整の他、撹拌機や超音波分散装置等を用いることで、洗浄が効果的に実施されるためより好ましい。その後濾過、デカンテーション、遠心分離等の工程を実施してもよく、乾燥後、自己修復性樹脂粒子が得られる。
乾燥は、従来の一般的な乾燥方法が利用できる。例えば気流乾燥装置を用いる方法が挙げられ、例えばフラッシュジェットドライヤーを用いた乾燥処理や、流動床(Fluid Bed)による処理等を挙げることができる。さらに凍結乾燥法も使用できる。特にフッ素原子が無い場合は乾燥工程で凝集し易いので、凍結乾燥法が好適に使用できる。
(画像形成装置用ベルトの表面)
本実施形態に係る画像形成装置用ベルトは、弾性層上に表面層を有する場合は、前記表面層の表面から自己修復性樹脂粒子が露出した状態で、前記表面層に前記自己修復性樹脂粒子を含有し、弾性層上に表面層を有しない場合は、前記弾性層の表面から自己修復性樹脂粒子が露出した状態で、前記弾性層に前記自己修復性樹脂粒子を含有する。
ここで、表面から自己修復性樹脂粒子が露出した状態とは、自己修復性樹脂粒子を電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡等で観察した場合に、表面に自己修復性樹脂粒子が直接確認できる状態を意味する。
前記表面層又は前記弾性層の表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の存在割合は、連続使用による画像抜けを抑制する観点から、400個/mm以上40000個/mm以下であることが好ましく、500個/mm以上30000個/mm以下であることがより好ましく、600個/mm以上20000個/mm以下であることが更に好ましい。
表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の存在割合は、以下の様にして測定される。
まず、画像形成装置用ベルトの自己修復性樹脂粒子が露出している表面を、光学顕微鏡(VHX-6000、キーエンス社製)を用いて、倍率800倍にて観察する。100μm×100μmの領域に存在する、表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の個数を数え、1μm当たりの表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の個数(つまり、単位は「個/μm」)を算出する。そして、得られる1μm当たりの表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の個数を、1mm当たりの表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の個数に単位換算(つまり、単位は「個/mm」)することで算出する。
画像形成装置用ベルトの表面粗さRa(算術平均粗さ)は、連続使用による画像抜けを抑制する観点から、0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以上8μm以下であることがより好ましく、1μm以上5μm以下であることが更に好ましい。
ここで、表面粗さRaは、JIS B0601(1994)規格に基づいている。測定装置は、東京精密社製SURFCOMである。測定長さは4〔mm〕、カットオフ波長は0.8〔mm〕、カットオフ種別はガウシアン、測定速度は0.3〔mm/s〕となっている。
弾性層上に表面層を有する場合、表面層は樹脂を含有する。
表面層が含有する樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、フッ化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトを得る観点から、表面層が含有する樹脂としては、アクリルウレタン樹脂であることが好ましく、アクリルウレタン樹脂は、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と、複数のヒドロキシル基を有し且つ前記ヒドロキシル基が炭素数6以上の炭素鎖を介するポリオール(b)と、多官能イソシアネート(c)と、の反応物であることが好ましい。
前記アクリルウレタン樹脂としては、前記(自己修復性樹脂粒子)において記載されているアクリルウレタン樹脂と同じ樹脂が適用される。
弾性層上に表面層を有する場合、連続使用による画像抜けを抑制できる画像形成装置用ベルトを得る観点から、前記表面層の厚みは1.0μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上18μm以下であることがより好ましく、3μm以上15μm以下であることが更に好ましい。
ここで、表面層の厚みとは、表面層の内、自己修復性樹脂粒子が存在しない部分の厚みである。つまり、図1記載の「t」で示される部分の厚みを指す。
表面層の厚みは、表面層を有する画像形成装置用ベルトを、膜厚方向に沿って切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で10箇所観察し、10枚のSEM像から各々の観察箇所の表面層の厚みを計測し、得られた10個の計測値を平均することにより求められる。
画像形成装置用ベルトの表面を、表面から自己修復性樹脂粒子が露出した状態にするためには、弾性層上に表面層を有する画像形成装置用ベルトの場合は、弾性層(又は弾性層の原料の層)を形成した後に、自己修復性樹脂粒子及び表面層を形成する樹脂(又は表面層を形成する樹脂原料)を含む塗工液を、弾性層上にスプレー塗布によって塗工する方法又はアニックスロールを使用したロールコートして塗工して、表面層を形成する方法が挙げられる。
前記弾性層上に表面層を有しない場合は、硬化前の弾性層を基材上に形成し、アニックスロール等を使用したロールコート等の方法により、自己修復性樹脂粒子を硬化前の弾性層上に付着させ、加熱して硬化する方法が挙げられる。
アニロックスロールを用いて、自己修復性樹脂粒子を硬化前の弾性層上に付着させる場合、自己修復性樹脂粒子は粉体のままでもよいし、アセトン等の溶剤に分散させた状態であっても良い。溶剤に分散させた場合は塗膜表面に埋め込む前に溶剤を揮発させることが好ましい。
(画像形成装置用ベルトの使用例)
本実施形態に係る画像形成装置用ベルトは、電子写真複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置に用いる中間転写ベルト及び用紙搬送ベルトとして用いることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置用ベルトは、インクジェット方式の画像形成装置に用いる用紙搬送ベルト及び中間転写ベルトとして用いることもできる。
本実施形態に係る画像形成装置用ベルトの形状は、無端状であってもよいし有端状であってもよい。
(画像形成装置)
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
以下の説明では、電子写真方式の画像形成装置について説明するが、本実施形態に係る画像形成装置は、これに限定されるわけではなく、例えば、インクジェット方式の画像形成装置であってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、転写装置を備え、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、二次転写方式の画像形成装置の場合は、中間転写ベルトとして、本実施形態に係る画像形成装置用ベルトを備える態様が挙げられる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、直接転写方式の画像形成装置の場合は、用紙搬送用ベルトとして、本実施形態に係る画像形成装置用ベルトを備える態様が挙げられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。なお、中間転写ベルトとして本実施形態に係る画像形成装置用ベルトが適用されている。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図3に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、帯電手段の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成手段の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、体積抵抗率が例えば1×10Ωcm以上1×1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚みは、例えば0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図3に示すB方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面抵抗率が1×10Ω/□以上1×1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写手段の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(不図示)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本実施形態について説明したが、上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
例えば、本実施形態に係る画像形成装置用ベルトを用紙搬送ベルトとして用いた画像形成装置においても同様の効果が得られる。
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
(原料調製)
-基材用塗工液の調製-
N-メチル-2-ピロリドン80質量部、及び、カーボンブラック(SpecialBlack4、エボニックデグザ社製)20質量部をビーズミルを用いて攪拌し、分散液を得た。得られた分散液16質量部を、ポリイミド前駆体溶液(U-ワニス-A、宇部興産社製)100質量部に加え、攪拌混合し、基材用塗工液を得た。
-弾性層用塗工液の調製-
下記に示す化合物を、2軸混練機を用いて混練した。
・アクリルゴム(ニポールAR12、日本ゼオン社製):100部
・ステアリン酸(ビーズステアリン酸つばき、日油株式会社):1部
・赤リン(ノーバエクセル140F、燐化学工業社製):10部
・水酸化アルミニウム(ハイジライトH42M、昭和電工社製):60部
・ヘキサメチレンジアミンカーバメイト(Diak.No1、デュポン ダウ エラストマージャパン社製):0.6部
・架橋促進剤(VULCOFACACT55、70% 1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7と二塩基酸との塩、及び、30% アモルファスシリカの混合物、Safic alca社製):1部
・過塩素酸テトラブチルアンモニウム(QAP-01、日本カーリット社製):0.3部
得られた混練物をメチルイソブチルケトンに溶解し、35%の溶液として、弾性層用塗工液を得た。
-表面層用塗工液1の調製-
ヒドロキシエチルメタクリレート286.8部と、ブチルメタクリレート313.2部と、重合開始剤(過酸化ベンゾイル、BPO)27部と、酢酸ブチル60部と、からなるモノマー溶液を滴下ロートに入れ、窒素還流下で110℃に昇温した酢酸ブチル300部中に、攪拌下3時間かけて滴下し重合した。さらに酢酸ブチル135部とBPO3部とからなる液を1時間かけて滴下し、反応を完結させた。尚、反応中は常に110℃に保持して攪拌し続けた。こうしてアクリル樹脂プレポリマーA1を合成した。
下記A液と下記B液とを、下記の割合で混合したのち、下記C液をさらに加え10分間減圧下で脱泡し表面層用塗工液1を得た。
・A液(上記アクリル樹脂プレポリマーA1液、44.2%、水酸基価206):113部
・B液(ポリオール、ダイセル化学工業社製、プラクセル208、ポリカプロラクタンジオール、水酸基価138、[ヒドロキシル基同士が炭素数約42の鎖によって連結]):149.6部
・C液(イソシアネート、旭化成ケミカルズ社製、デュラネートTKA100、化合物名:ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアヌレート体):138.2部
-自己修復性樹脂粒子B1の作製-
n-ブチルメタクリレート(nBMA)と、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と、フッ素原子及びビニル基を有するアクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)と、の各重合性単量体を、2.5:3:0.5のモル比で混合した。さらに、対重合性単量体比2質量%の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))及び対重合性単量体比40質量%のメチルエチルケトン(MEK)を添加して重合性単量体溶液を調製した。
この重合性単量体溶液を滴下ロートに入れ、窒素還流下で80℃に昇温した対重合性単量体比50質量%のMEK中に、攪拌下3時間かけて滴下し重合した。さらに対重合性単量体比10質量%のMEKと対重合性単量体比0.5質量%のAIBNとからなる液を1時間かけて滴下し、反応を完結させた。尚、反応中は80℃に保持して攪拌し続けた。こうしてアクリル樹脂プレポリマーB1を合成した。
得られたアクリル樹脂プレポリマーB1の水酸基価を、JIS K0070-1992に定められた方法(電位差滴定法)に準じて測定したところ、水酸基価175mgKOH/gであった。
また、アクリル樹脂プレポリマーB1の重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いた前述の方法により測定したところ、重量平均分子量19000であった。
続いて、下記の成分を混合し、10分間減圧下で脱泡して、重合成分溶液を得た。
・アクリル樹脂プレポリマーB1液(固形分50質量%):4.4部
・長鎖ポリオール(ポリカプロラクトントリオール、プラクセル308、(株)ダイセル社製、分子量850、水酸基価190~200mgKOH/g):5.2部
・多官能イソシアネート(デュラネートTPA100、旭化成ケミカルズ社製、化合物名:ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアヌレート体):6.4部
・架橋触媒(ネオスタンU-600、日東化成社製、化合物名:ジブチル錫):0.08部
・メチルエチルケトン:12部
下記成分を混合し、ジルコニアボールを用いてボールミルにより、24時間分散を行い、炭酸カルシウム分散液を得た。
・炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製ルミナス):36部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・食塩(NaCl):90部
・イオン交換水:420部
炭酸カルシウム分散液135部中に、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を運転しながら、上記重合成分溶液100部を加えて均一に乳化を行った。その後、40℃に加熱しながら脱溶剤(MEK)を2時間かけて行い、さらに60℃にて3時間加熱をつづけた。次いで、1N塩酸300部を加えて、炭酸カルシウムの多くを溶解せしめたのち、40ミクロンナイロンメッシュ通過させた後、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水中に再分散し、15分、ステンレスインペラーを用い100rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離したのち、含有水分量を40%に調整した後、入口気流温度を60℃に設定したフラッシュジェットドライヤーにて乾燥を行い、自己修復性樹脂粒子B1を得た。
自己修復性樹脂粒子B1の体積平均粒径D50vは15μm、マルテンス硬度は3.5N/mm、戻り率は86%であった。
-自己修復性樹脂粒子B2の作製-
重合成分溶液調製の際、アクリル樹脂プレポリマーB1液(固形分50質量%)の添加量を0.4部に変更した以外は、自己修復性樹脂粒子B1の作製と同様にして自己修復性樹脂粒子B2を得た。
自己修復性樹脂粒子B2の体積平均粒径D50vは10μm、マルテンス硬度は0.4N/mm、戻り率は65%であった。
-自己修復性樹脂粒子B3の作製-
重合成分溶液調製の際、アクリル樹脂プレポリマーB1液(固形分50質量%)の添加量を1.0部に、長鎖ポリオールを8.6部に変更した以外は、自己修復性樹脂粒子B1の作製と同様にして自己修復性樹脂粒子B3を得た。
自己修復性樹脂粒子B3の体積平均粒径D50vは14μm、マルテンス硬度は0.5N/mm、戻り率は92%であった。
-自己修復性樹脂粒子B4の作製-
重合成分溶液調製の際、長鎖ポリオールの添加量を0.4部に変更した以外は、自己修復性樹脂粒子B1の作製と同様にして自己修復性樹脂粒子B4を得た。
自己修復性樹脂粒子B4の体積平均粒径D50vは12μm、マルテンス硬度は210N/mm、戻り率は70%であった。
-自己修復性樹脂粒子B5の作製-
重合性単量体溶液調製の際、n-ブチルメタクリレート(nBMA)をメタクリル酸メチルに変更し、重合成分溶液調製の際、長鎖ポリオールの添加量を0.4部に、多官能イソシアネート(デュラネートTPA100)を二官能イソシアネート(デュラネートD101)に変更した以外は、自己修復性樹脂粒子B1の作製と同様にして自己修復性樹脂粒子B5を得た。
自己修復性樹脂粒子B5の体積平均粒径D50vは10μm、マルテンス硬度は225N/mm、戻り率は68%であった。
-自己修復性樹脂粒子B6の作製-
乳化の際、炭酸カルシウムの添加量を46部に変更し、食塩90部の代わりにカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬社製セロゲン)1.0部に変更した以外は、自己修復性樹脂粒子B1の作製と同様にして自己修復性樹脂粒子B6を得た。
自己修復性樹脂粒子B6の体積平均粒径D50vは4μm、マルテンス硬度は3.5N/mm2、戻り率は86%であった。
-自己修復性樹脂粒子B7の作製-
乳化の際、炭酸カルシウムの添加量を46部に変更し、食塩90部の代わりにカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬社製セロゲン)0.5部に変更した以外は、自己修復性樹脂粒子B1の作製と同様にして自己修復性樹脂粒子B7を得た。
自己修復性樹脂粒子B7の体積平均粒径D50vは5μm、マルテンス硬度は3.5N/mm2、戻り率は86%であった。
-自己修復性樹脂粒子B8の作製-
乳化の際、炭酸カルシウムの添加量を16部に変更し、食塩90部の代わりにカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬社製セロゲン)1.0部に変更した以外は、自己修復性樹脂粒子B1の作製と同様にして自己修復性樹脂粒子B8を得た。
自己修復性樹脂粒子B8の体積平均粒径D50vは20μm、マルテンス硬度は3.5N/mm2、戻り率は86%であった。
-自己修復性樹脂粒子B9の作製-
乳化の際、炭酸カルシウムの添加量を16部に変更し、食塩90部の代わりにカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬社製セロゲン)0.5部に変更した以外は、自己修復性樹脂粒子B1の作製と同様にして自己修復性樹脂粒子B9を得た。
自己修復性樹脂粒子B9の体積平均粒径D50vは21μm、マルテンス硬度は3.5N/mm2、戻り率は86%であった。
<実施例1>
(画像形成装置用ベルトの作製)
-基材の作製-
円筒状金型を、回転速度を35mm/secとして塗布ローラーに近づけ、円筒状金型外側に基材用塗工液を塗布した。なお、円筒状金型と塗布ローラーとのギャップは0.4mmとした。円筒状金型の回転を維持しながら、熱風循環乾燥機に円筒状金型を投入し、110℃に昇温した後30分間加熱を行った。続いて、200℃に昇温した後30分間加熱を行った。円筒状金型の回転を停止し、円筒状金型を焼成炉に移して、320℃に昇温
した後60分加熱を行い、膜厚80μmの基材を円筒状金型上に得た。
-弾性層及び自己修復性樹脂粒子を含有する表面層の作製-
基材が形成された円筒状金型を回転させながら、弾性層用塗工液をノズルから吐出させて、基材上にらせん状に弾性層用塗工液を塗布した。塗布量は、弾性層の膜厚が75μmとなるような条件とした。
表面層用塗工液1に、溶液全体に対して35%となるように、自己修復性樹脂粒子B1を添加し、溶液中の全固形分濃度が80%になるようにメチルエチルケトンを加えて調整した後、自己修復性樹脂粒子を分散させた。自己修復性樹脂粒子B1が分散した表面層用塗工液1を、アニックスロールを用いて、弾性層用塗工液の塗布により形成された層の表面に塗布しつつ120℃で加熱した。弾性層用塗工液の塗布により形成された層の表面全体に、自己修復性樹脂粒子B1が分散した表面層用塗工液1が塗布された後、アニックスロールによる塗布を止め、熱風循環乾燥機に円筒状金型を投入し、120℃に昇温した後60分間加熱を行った。得られた画像形成装置用ベルトを円筒状金型から外し、画像形成装置用ベルト1を得た。得られた画像形成装置用ベルト1の弾性層の膜厚は75μmであり、表面層の膜厚は8μmであった。
<実施例2>
実施例1と同様の手順により、円筒状金型上に、基材用塗工液により基材を形成した後、基材上に弾性層用塗工液を塗布した。塗布量としては最終的な膜厚が75μmになるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、アニロックスロールにより粒子配列を規制して、自己修復性樹脂粒子B1を塗膜表面に付着させ、次いでポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を押し当てて弾性層に埋め込んだ。このとき、押し付け部材の押圧力は100mN/cmとした。弾性層用塗工液の塗布により形成された層上に自己修復性樹脂粒子B1が埋め込まれた円筒状金型を塗布熱風循環乾燥機に投入し、120℃に昇温した後60分間加熱を行った。得られた画像形成装置用ベルトを円筒状金型から外し、画像形成装置用ベルト2を得た。得られた画像形成装置用ベルト2の弾性層の膜厚は75μmであった。
<実施例3>
表面層用塗工液1を、DM-A6000(株式会社ダイゾー製、PTFE含有ウレタン樹脂)、およびDM-A6000XL(株式会社ダイゾー製、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン硬化剤)を95:5の質量比で混合した混合液とし、表面層の膜厚を表1記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト3を得た。
<実施例4>
表面層用塗工液1を、B-19034X(大阪ソーダ社製、シリコーンアクリル樹脂)に変更し、表面層の膜厚を表1記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト4を得た。
<実施例5>
B-19034Xに分散させる粒子として、自己修復性樹脂粒子B1及び他の粒子であるシリカ粒子(サンスフェアH51、AGC社製、体積平均粒径5μm)を使用し、表面層の膜厚を表1記載の通りに変更した以外は、実施例4と同様にして画像形成装置用ベルト5を得た。
なお、シリカ粒子は、自己修復性樹脂粒子B1に対して15質量%使用した。
<実施例6>
B-19034Xに分散させる粒子として、自己修復性樹脂粒子B1及び他の粒子であるナイロン樹脂粒子(SP-10、東レ社製、体積平均粒径10μm)を使用し、表面層の膜厚を表1記載の通りに変更した以外は、実施例4と同様にして画像形成装置用ベルト6を得た。
なお、ナイロン樹脂粒子は、自己修復性樹脂粒子B1に対して10質量%使用した。
<実施例7>
表面層用塗工液1に、自己修復性樹脂粒子B1の代わりに自己修復性樹脂粒子B6を添加した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト7を得た。
<実施例8>
表面層用塗工液1に、自己修復性樹脂粒子B1の代わりに自己修復性樹脂粒子B7を添加した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト8を得た。
<実施例9>
表面層用塗工液1に、自己修復性樹脂粒子B1の代わりに自己修復性樹脂粒子B8を添加した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト9を得た。
<実施例10>
表面層用塗工液1に、自己修復性樹脂粒子B1の代わりに自己修復性樹脂粒子B9を添加した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト10を得た。
<実施例11>
実施例1における樹脂粒子B1作製の際のアクリル樹脂プレポリマーB1液(固形分50質量%):4.4部を0.4部に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト11を得た。
<実施例12>
実施例1における樹脂粒子B1作製の際のアクリル樹脂プレポリマーB1液(固形分50質量%)4.4部を1.0部に、長鎖ポリオール5.2部を8.6部に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト12を得た。
<実施例13>
実施例1における樹脂粒子B1作製の際の長鎖ポリオール5.2部を0.4部に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト13を得た。
<実施例14>
実施例1におけるアクリル樹脂プレポリマーB1合成の際及びアクリル樹脂プレポリマーB1合成の際のn-ブチルメタクリレート(nBMA)をメタクリル酸メチルに変更し、樹脂粒子B1作製の際の長鎖ポリオール5.2部を0.4部に、さらに樹脂粒子B1作製の際の多官能イソシアネート(デュラネートTPA100)を二官能イソシアネート(デュラネートD101)に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト14を得た。
<実施例15>
実施例1における表面層用塗工液1に、溶液全体に対して25%から35%の範囲で自己修復性樹脂粒子B1を添加し、自己修復性樹脂粒子を分散させ、表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の存在割合が、390個/mmにコントロールした以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト15を得た。
<実施例16>
実施例1における表面層用塗工液1に、溶液全体に対して25%から35%の範囲で自己修復性樹脂粒子B1を添加し、自己修復性樹脂粒子を分散させ、表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の存在割合が、420個/mmにコントロールした以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト16を得た。
<実施例17>
実施例1における表面層用塗工液1に、溶液全体に対して35%から45%の範囲で自己修復性樹脂粒子B1を添加し、自己修復性樹脂粒子を分散させ、表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の存在割合が、39000個/mmにコントロールした以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト17を得た。
<実施例18>
実施例1における表面層用塗工液1に、溶液全体に対して35%から45%の範囲で自己修復性樹脂粒子B1を添加し、自己修復性樹脂粒子を分散させ、表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の存在割合が、41000個/mmにコントロールした以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト18を得た。
<実施例19>
実施例1におけるアニロックスロールの線数を、55線/インチ~2400線/インチまで変化させ、表面層の厚みを0.9μmにコントロールした以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト19を得た。
<実施例20>
同様に、表面層の厚みを1.0μmにコントロールした以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト20を得た。
<実施例21>
同様に、表面層の厚みを20.0μmにコントロールした以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト21を得た。
<実施例22>
同様に、表面層の厚みを21.0μmにコントロールした以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト22を得た。
<実施例23>
実施例1における自己修復性樹脂粒子B1の添加量を溶液全体に対して5%から50%まで変化させ、表2のとおりに表面層の表面粗さRa及び膜厚をコントロールしたこと以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト23を得た。
<実施例24>
同様に、表2のとおりに表面層の表面粗さRa及び膜厚をコントロールしたこと以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト24を得た。
<実施例25>
同様に、表2のとおりに表面層の表面粗さRa及び膜厚をコントロールしたこと以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト25を得た。
<実施例26>
同様に、表2のとおりに表面層の表面粗さRa及び膜厚をコントロールしたこと以外は、実施例1と同様にして画像形成装置用ベルト26を得た。
<比較例1>
自己修復性樹脂粒子B1を使用せず、表2の通りに膜厚をコントロールしたこと以外は、実施例3と同様にして画像形成装置用ベルトC1を得た。
<比較例2>
自己修復性樹脂粒子B1を使用せず、表2の通りに膜厚をコントロールしたこと以外は、実施例4と同様にして画像形成装置用ベルトC2を得た。
<比較例3>
自己修復性樹脂粒子B7の代わりに、ベンゾグアナミン樹脂粒子(日本触媒社製:エポスターM05、平均粒径5μm)を使用したこと以外は、実施例8と同様にして画像形成装置用ベルトC3を得た。
<画質評価>
各例で得られた画像形成装置用ベルトを中間転写ベルトとして、画像形成装置「富士ゼロックス社製D110(モノクロ複合機)」の転写部の搬送転写ベルトとして装着し、レザック66(凸凹紙)50万枚に対して連続して画像出力した後、画像濃度100%のシアン及びマゼンタから構成されるブルーの画像について画質評価を行った。
ここで、画質評価は以下の基準で評価した。
A(◎):画像濃度低下なし
B(〇):わずかに画像濃度が低下する(許容レベル内)
C(△):画像濃度が低下する(許容できないレベル)
D(×):画像濃度が顕著に低下する(許容レベルを大きく超える)
<耐摩耗性評価>
各例で得られた画像形成装置用ベルトを中間転写ベルトとして、画像形成装置「富士ゼロックス社製D110(モノクロ複合機)」の転写部の搬送転写ベルトとして装着しに搭載し、レザック66(凸凹紙)250万枚通紙した後、中間転写ベルトの摩耗状態について目視で評価を行った。
ここで、耐摩耗性評価は以下の基準で評価した。
A(◎):初期とほぼ変化なし
B(〇):わずかに摩耗は生じたが実用可能なレベル
C(△):傷又は表面の剥がれが生じたが実用可能なレベル
D(×):摩耗が大きく実用不可能なレベル
以下、表1及び表2中の記載について説明する。
「表面粗さ」は、実施例及び比較例で作成した画像形成装置用ベルトの表面粗さの測定値を表す。
「塗工液」は、実施例及び比較例で使用した表面層用塗工液の種類を表し、「樹脂種」は表面層を構成する樹脂成分の主成分(表面層を構成する樹脂で質量比での含有率が最も多い成分)を表す。
「他の粒子」は、実施例及び比較例で作成した画像形成装置用ベルトが、自己修復性樹脂粒子以外の他の粒子を含有する場合、「粒子種」に他の粒子の種類を記載し、「粒径(他の粒子の列内に記載されたもの)」の欄に他の粒子の粒径を記載する。
「-」は、表面層若しくは他の粒子を有しない、又は、表面層の厚み若しくは他の粒子の粒径を測定していないこと表す。
「Si粒子」は、シリカ粒子を表し、「Ny粒子」は、ナイロン粒子を表す。
上記結果から、本実施例の画像形成装置用ベルトは、連続使用による画像抜けを抑制できることがわかる。
1Y,1M,1C,1K 画像形成ユニット
10 一次転写部
11 感光体
12 帯電器
13 レーザ露光器
14 現像器
15 中間転写ベルト
16 一次転写ロール
17 感光体クリーナ
20 二次転写部
22 二次転写ロール
25 背面ロール
26 給電ロール
31 駆動ロール
32 支持ロール
33 張力付与ロール
34 クリーニング背面ロール
35 中間転写ベルトクリーナ
40 制御部
42 基準センサ
43 画像濃度センサ
50 用紙収容部
51 給紙ロール
52 搬送ロール
53 搬送ガイド
55 搬送ベルト
56 定着入口ガイド
60 定着装置
100 画像形成装置
70 基材
72 弾性層
74 表面層
76 自己修復性樹脂粒子

Claims (9)

  1. 基材と、
    前記基材上に設けられた弾性層と、
    自己修復性樹脂粒子と、を有し、
    前記弾性層上に表面層を有する場合は、前記表面層の表面から前記自己修復性樹脂粒子が露出した状態で、前記表面層に前記自己修復性樹脂粒子を含有し、
    前記弾性層上に表面層を有しない場合は、前記弾性層の表面から前記自己修復性樹脂粒子が露出した状態で、前記弾性層に前記自己修復性樹脂粒子を含有し、
    前記自己修復性樹脂粒子がアクリルウレタン樹脂を含有する粒子であり、
    前記アクリルウレタン樹脂を含有する粒子が、23℃でのマルテンス硬度が0.5N/mm 以上220N/mm 以下、23℃での戻り率が70%以上100%以下である画像形成装置用ベルト。
  2. 前記自己修復性樹脂粒子の体積平均粒径D50vが5μm以上20μm以下である請求項1に記載の画像形成装置用ベルト。
  3. 前記アクリルウレタン樹脂が、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と、複数のヒドロキシル基を有し且つ前記ヒドロキシル基が炭素数6以上の炭素鎖を介するポリオール(b)と、多官能イソシアネート(c)と、の反応物である請求項又は請求項に記載の画像形成装置用ベルト。
  4. 前記表面層又は前記弾性層の表面から露出する前記自己修復性樹脂粒子の存在割合が、400個/mm以上40000個/mm以下である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置用ベルト。
  5. 前記表面層の厚みが1.0μm以上20.0μm以下である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置用ベルト。
  6. 前記表面層又は前記弾性層の表面粗さRaが0.1μm以上10.0μm以下である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置用ベルト。
  7. 前記表面層がアクリルウレタン樹脂を含有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置用ベルト。
  8. 前記アクリルウレタン樹脂が、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(a)と、複数のヒドロキシル基を有し且つ前記ヒドロキシル基が炭素数6以上の炭素鎖を介するポリオール(b)と、多官能イソシアネート(c)と、の反応物である請求項に記載の画像形成装置用ベルト。
  9. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置用ベルトを備える画像形成装置。
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