JP7500259B2 - 超音波探傷方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、超音波探傷方法に関する。
超音波探傷試験は、非破壊で構造材の表面および内部の健全性を確認できる技術であり、様々な分野で欠かせない検査技術となっている。小型の超音波送受信用圧電素子を並べ、圧電素子ごとにタイミング(遅延時間)をずらして超音波を発信することにより任意の波形を形成できるフェーズドアレイ超音波探傷試験(PAUT:Phased Array Ultrasonic Test)は、工業用途でも広く用いられている。所定の角度しか超音波を発信できない単眼プローブに比べ、1回の探傷で広範囲を探傷したり、複数の角度で探傷したり、ビームの制御によっては複雑形状に対応したりと、様々な点で拡張性がある。
特許第4096014号公報
今般、原子力や火力等の大規模発電プラントや社会インフラ設備は高経年化が進み、検査対象となる部位や検出すべき欠陥の種類が、従来に比べて増えてきている。
これまで検査が求められていた部位は、そもそも検査を想定して作られていたり、加工性の限界(溶接等)により検査対象が露出していたりと、超音波探傷におけるアクセスが容易な対象が大部分であった。一方、経年変化によって検査を想定していなかった部位でのリスクが顕在化してきており、そのような対象は製造時にUT対象となっていない、一体鍛造等で検査対象位置の形状が複雑である等、通常の手法ではUTが適用できないケースがある。例えば原子炉内のジェットポンプを保持するライザーブレースアームの原子炉圧力容器との接合部は、通常の全周溶接の部分ではあるが、アクセス性の限られた原子炉内から探傷するには多くの探傷姿勢が要求される程度が大きくなり、これに対応するためには装置にかかる負担が大きくなる。すなわち、探傷姿勢の要求が多い場合、装置が複雑化し原子炉内の狭隘部へ侵入できない場合が出たり、それを回避するために姿勢ごとに装置を取り替えたりする場合には検査には膨大なコストを要することになる。
しかし一方で、当該溶接部の溶接線に直交するような欠陥(割れ)を探傷しようとした時、溶接部の直上にプローブを設置するしか探傷方法がなく、炉内作業工数の増大は避けられない。
沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器外から炉内溶接部を探傷する技術が知られているが、対象が容器貫通部(スタブチューブ)に限定されている。また、超音波の伝搬パスを想定したときに、原子炉圧力容器外から当該部位へ超音波を到達させることは非常に困難であり、所望の探傷性能が得られなくなる可能性がある。
そこで本発明の実施形態は、原子炉内のジェットポンプを保持するライザーブレースアームの原子炉圧力容器との接合部のようなアクセス性の限られた部位を、原子炉圧力容器内で、確実に探傷することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本実施形態に係る超音波探傷方法は、互いに面間に間隔をあけて中間空間を形成し同一の部材に溶接で取り付けられた2枚の板のそれぞれの溶接部を検査対象として欠陥を探傷する超音波探傷方法であって、プローブ保持部に保持され、複数の超音波素子が長手方向に配列され探傷面が超音波を屈折させる長軸方向のx軸と超音波の屈折に寄与しない短軸方向のy軸の2軸に分けられるプローブおよびその傾きを調節する短軸傾き補正部と長軸傾き補正部を前記中間空間内に挿入、設置する挿入設置ステップと、前記x軸および前記y軸に垂直な方向をz軸とし、前記検査対象に超音波が入射する面を基準面としたときに、前記短軸傾き補正部が、前記短軸方向に沿ったyz平面における前記基準面の垂線と前記探傷面とがなす角である短軸傾きの調整を行う短軸側調整ステップと、前記長軸傾き補正部が、前記長軸方向に沿ったxz平面における前記基準面の垂線と前記探傷面とがなす角である長軸傾きの調整を行う長軸側調整ステップと、前記検査対象を探傷する探傷ステップと、を有することを特徴とする。
第1の実施形態に係る超音波探傷装置の構成を示す縦断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の構成を示す図1のII-II線矢視断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置におけるプローブおよびプローブ保持動作機構のプローブ近傍の構成を示す断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の検査対象の例としてのライザ管のライザーブレースアームとその取り付け部を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の検査対象範囲を示す図6のV-V線矢視平面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の検査対象範囲を示す図5のVI-VI線矢視側面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の対象部位としての平板の溶接部の溶接基準線長辺部を説明するための概念的な平面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の対象部位としての平板の溶接部の溶接基準線短辺部を説明するための概念的な側面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブおよびプローブ保持駆動機構の周辺部分を示す部分断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブおよびプローブ保持駆動機構の変形例の周辺部分を示す第1の部分断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブおよびプローブ保持駆動機構の変形例の周辺部分を示す第2の部分断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブと検査対象に入射する超音波を示す概念的な平面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブと検査対象に入射する超音波を示す概念的な図12のXIII-XIII線矢視断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブと検査対象に入射する超音波を示す概念的な図12のXIV-XIV線矢視断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブの検査対象における基準面のとり方の例を示す第3の溶接層の近傍の平面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブの検査対象における基準面のとり方の例を示す第3の溶接層の近傍の側面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置が平板の溶接部の溶接基準線長辺部を検査対象部とする場合を示す平面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置が平板の溶接部の溶接基準線長辺部を検査対象部とする場合を示す側面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブから出射された超音波と溶接線との関係を示す概念的な斜視図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブから出射された超音波と溶接線との関係を示す概念的な平面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の設置角度補正機構における設置角度判定部による短軸傾きの判定方法を説明する第1の状態を示す概念的な部分断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の設置角度補正機構における設置角度判定部による短軸傾きの判定方法を説明する第1の状態の場合の超音波信号強度の変化を示すグラフである。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の設置角度補正機構における短軸傾きの判定方法を説明する第2の状態を示す概念的な部分断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の設置角度補正機構における短軸傾きの判定方法を説明する第2の状態の場合の超音波信号強度の変化を示すグラフである。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の検査対象部における溶接方向と直交方向に進展する縦割れが生じた場合を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の設置角度補正機構における設置角度判定部による長軸傾きの判定方法を説明する第1の状態を示す概念的な部分断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の設置角度補正機構における設置角度判定部による長軸傾きの判定方法を説明する第1の状態の場合の超音波信号強度の変化を示すグラフである。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の設置角度補正機構における長軸傾きの判定方法を説明する第2の状態を示す概念的な部分断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の設置角度補正機構における長軸傾きの判定方法を説明する第2の状態の場合の超音波信号強度の変化を示すグラフである。 第1の実施形態に係る超音波探傷装置の構成を示す図2の部分断面図である。 第1の実施形態に係る超音波探傷方法の手順を示すフロー図である。 第2の実施形態に係る超音波探傷装置の構成を示す縦断面図である。 第2の実施形態に係る超音波探傷装置の構成を示す図32のXXXIII-XXXIII線矢視断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る超音波探傷装置および超音波探傷方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重畳する説明は省略する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る超音波探傷装置100の構成を示す縦断面図、図2は、図1のII-II線矢視断面図である。また、図3は、超音波探傷装置100におけるプローブ111およびプローブ保持動作機構120のプローブ111の近傍の構成を示す断面図である。
図1ないし図3は、本実施形態に係る超音波探傷装置100を、原子炉圧力容器1の内側に設けられたライザーブレースアーム10(図4)の原子炉圧力容器1内側への取り付け部分の部材である平板13とその溶接部である平板溶接層14、および平板15とその溶接部である平板溶接層16を検査対象部18aとしてその探傷のための探傷装置に適用した場合を例にとって示している。
原子炉圧力容器1は、原子炉圧力容器母材1aと、原子炉圧力容器母材1aの内面に形成された肉盛溶接部である原子炉圧力容器内面ライナを有する。以下、原子炉圧力容器内面ライナを第1の溶接層1bと呼ぶ。第1の溶接層1bの表面、すなわち原子炉圧力容器1の内側の面には、ライザーブレースアーム10の取り付け範囲をカバーする大きさで矩形形状の第2の溶接層12が形成されている。
平板13は平板溶接層14を介して、また、平板15は平板溶接層16を介して、第2の溶接層12に取り付けられている。平板13とその直下の平板15は、これらに挟まれた中間空間17を形成する。
超音波探傷装置100は、プローブ111,プローブ保持駆動機構120、超音波探傷器113、および監視操作部114、機構制御部115、遠隔目視部116、および設置角度補正機構130を有する。
設置角度補正機構130は、設置角度判定部131および補正動作部132(図10、11参照)を有するが、詳細は後述する。
プローブ111は、検査対象部18aに対向する位置において超音波を発し、かつ、超音波を受信する。
プローブ111は、超音波を発生する機構と、超音波をダンピングするダンピング材と、超音波の発振面に取り付けられた前面板との、いずれかもしくはその組み合わせからなる構成であり、一般的に超音波探触子と称されるものである。超音波を発生する機構としては、セラミクス製、複合材料製、またはそれ以外の圧電効果により超音波を発生することができる圧電素子や高分子フィルムによる圧電素子、またはそれ以外の超音波を発生できる要素を有する。
また、プローブ111は、圧電素子を1つだけ有するものに限らず、圧電素子が1次元的に配列された一般的にリニアアレイプローブ、リニアアレイプローブの奥行き方向に圧電素子を不均一な大きさで分割した1.5次元アレイプローブ、圧電素子が2次元的に配列されたマトリクスアレイプローブ、リング状の圧電素子が同心円状に配列されたリングアレイプローブ、リングアレイプローブの圧電素子を周方向で分割した分割型リングアレイプローブ、圧電素子が不均一に配置された不均一アレイプローブ、円弧の周方向位置に素子を配置した円弧状アレイプローブ、球面の表面に素子を配置した球状アレイプローブなどでもよく、また他形状のアレイプローブでもよい。
プローブ111は、コーキングやパッキングにより装置化され、気中、水中を問わず利用できるものも含まれる。
図示はしないが、プローブ111の設置に際しては、指向性の高い角度を検査対象部18aに入射するために楔を利用することもある。楔は、超音波が伝搬可能で音響インピーダンスが把握できている等方材である。楔としては、アクリル、ポリイミド、ゲル、その他高分子などがあり、前面板と音響インピーダンスが近い、もしくは同じ材質を用いることもできるし、被検査対象と音響インピーダンスが近い、もしくは同じ材質を用いることもできる。また、段階的もしくは漸次的に音響インピーダンスを変化させる複合材料でもよい。また、楔内の多重反射波が探傷結果に影響を与えないように楔内外にダンピング材を配置したり、山型の波消し形状を設けたり、多重反射低減機構を有する場合もある。
プローブ111と楔、楔と検査対象部18a、あるいはプローブ111と検査対象部18aの間は、音響接触媒質(図示しない)により音響的に結合される必要がある。音響接触媒質は、例えば水、グリセリン、マシン油、ひまし油、アクリル、ポリスチレン、ゲル等、超音波を伝搬できる媒質とする。なお、炉内のように完全水中環境としてプローブと検査対象部の間が伝搬媒質で満たされている場合は、別途、音響接触媒質を用いることはなくともよい。
超音波探傷器113は、超音波発信のための電位差をプローブ111に印加するとともに、プローブ111からの反射波の受信信号の増幅等の処理を行う。
超音波探傷器113は、任意波形の電圧を印加させる機能を有しており、印加電圧の波形はサイン波、のこぎり波、矩形波、スパイクパルス等が考えられ、正負両極の値をもついわゆるバイポーラでもよいし、正負どちらか片振りのユニポーラでもよい。また、正負どちらかにオフセットを付加してもよい。また、波形は単パルス、バーストもしくは連続波など印加時間や繰り返し周波数を増減させることもできる。プローブ111にアレイプローブを用いる場合は、チャンネルごとに電圧印加の有無や遅延時間に応じてタイミングを切り替える機構を用いることもできる。
監視操作部114は、超音波探傷器113から出力された検査対象部18aからの受信波形や、プローブ保持駆動機構120の現在位置を表示する表示部分を有するとともに、超音波探傷器113の条件設定やプローブ保持駆動機構120の条件設定、適宜の指示を入力可能な入力部分を有するユーザインタフェースである。ここで、超音波探傷器113の条件は、たとえば検査対象部18aへの超音波の入射角であり、プローブ保持駆動機構120の条件は、たとえば、探傷する想定欠陥との角度方向の指定などである。
監視操作部114の表示部分は、デジタルデータを表示できるものであればよく、いわゆるPCモニタ、テレビ、プロジェクタ、スマートフォン、タブレット端末等が考えられ、ブラウン管のように一度アナログ信号化してから表示させるものやオシロスコープ等の計測器画面そのものとの組み合わせでもよい。また、表示部分には設定した条件に応じて音や発光によりアラームを生じさせたり、タッチパネルとして操作を入力したりするいわゆるユーザインタフェース機能を有してもよい。
機構制御部115は、以上の各部の動作の相互関係の調整、全体のプロセスの進行制御などを行う。機構制御部115は、いわゆるPCに代表されるような汎用的に演算やデータ通信を行える機能を有する装置であって、上述した構成の一部または全部を内包もしくは通信ケーブルで接続できる構成とする。
以上のように、監視操作部114および機構制御部115は、計算機システムでもよいし、あるいは、PC、モニタ、制御盤等の複数の装置を組み合わせて構成してもよい。
遠隔目視部116(図1)は、いわゆるカメラであり、原子炉圧力容器1の内側では、水が張られているため水中利用に供せる機能を有するもの、もしくは防水機構の中に入れたもの等を用いてもよい。設置手段は据付や、ドローン等ロボットによる運搬、人力での運搬等が考えられ、一般的な他の手段を用いてもよい。また、遠隔目視部116は複数台用いてもよく、その種類や運搬方法なども全て組合せて用いることができる。
プローブ保持駆動機構120は、プローブ111を、検査対象部18aに対向する位置に移動するとともに、プローブ111の超音波の受発信面を測定対象部18aに対向する方向になるようにプローブ111の姿勢を調節する設置角度補正機構130の一部としても機能する。このため、プローブ保持駆動機構120は、3次元的に動作する。すなわち、必要に応じて、3軸方向の平行移動駆動と3軸周りの回転駆動の機能を有する各駆動部および支持軸を有する。また、プローブ111と検査対象部18aとの間隔を所定の値に維持するためにプローブ111と検査対象部18aとの間隔を測定する図示しないギャップセンサを有する。
設置角度補正機構130は、設置角度判定部131および補正動作部132を有する。設置角度判定部131および補正動作部132については、後述する。
プローブ保持駆動機構120は、支持部121、短軸傾き補正部122、長軸傾き補正部123、およびプローブ保持部125を有する。
図3においては、プローブ保持駆動機構120の支持部121のうちアクセス軸121b、121cおよび最終軸121aを示している。最終軸121aはアクセス軸121bに、また、アクセス軸121bはアクセス軸121cにより支持されている。プローブ111は、プローブ保持部125により保持されている。プローブ保持部125は、短軸傾き補正部122により支持され、短軸傾き補正部122は長軸傾き補正部123に支持されている。
長軸傾き補正部123は、最終軸121aに支持されている。短軸傾き補正部122は後述するプローブ111の短軸傾きを補正するようにその軸周りに周方向に回動する。また、長軸傾き補正部123は後述するプローブ111の長軸傾きを補正するようにその軸周りに周方向に回動する。したがって、最終軸121aは、長手方向に伸縮するような直動軸ではなく、回動部を支持する回転軸である。なお、最終軸121aは、自身が長手方向の軸を中心に回動するタイプの回転軸でもあってもよい。
最終軸121aおよびそれが支持するプローブ111までの各部材の部分は、図1に示す上部平板13と下部平板とに挟まれた中間空間17内に挿入されて、探傷に必要な動作を行う。
平板13と平板15は、図1に示すように、ほぼ水平方向に配されている。したがって、平板13と平板15は、互いにほぼ平行に上下に配されており、詳細には、平行度は±10度程度である。平板13と平板15との面間の間隔、すなわち、平板13の下面と平板15の上面との間隔、言い換えれば中間空間17の高さは、約76mmである。
プローブ111およびその傾きを調節する後述する短軸傾き補正部122および長軸傾き補正部123は、上方および下方の検査対象部を探傷するために、最終軸121aおよびそれが支持するプローブ111までの各部材の部分は、この上部平板13と下部平板15に挟まれた中間空間17内に挿入され調節動作が可能な寸法に形成されている。このため、最終軸121aおよびそれが支持するプローブ111までの各部材の部分は、上下にそれぞれ数mmのクリアランスを確保して、上下の幅60mm程度の大きさに構成する。
図4は、第1の実施形態に係る超音波探傷装置の検査対象の例としてのライザ管のライザーブレースアームとその取り付け部を示す斜視図である。なお、図4では、2つの平板のうち、下部平板15側の表示を省略し、上部平板13側のみを表示している。
原子炉圧力容器1は、前述のように、原子炉圧力容器母材1aと、原子炉圧力容器内面ライナ(第1の溶接層)1bすなわち原子炉圧力容器母材1aの内面に施された肉盛溶接部とを有する。
原子炉圧力容器母材1aは、主に低合金鋼であるが、一般的な炭素鋼やオーステナイト系ステンレス鋼やニッケル基合金等、あるいはその他の金属であってもよい。
第1の溶接層1bは、TIG溶接、MIG溶接、MAG溶接、被覆アーク溶接、レーザ溶接、サブマージアーク溶接、エレクトロスラグ溶接等が考えられ、材料もオーステナイト系ステンレス鋼、ニッケル基合金に加え、一般的な炭素鋼や低合金鋼等であってもよい。また、肉盛りを複数層で行う場合、例えば初層等、所望の層において異なる材料や工法を用いたものでもよい。
また、第1の溶接層1bである原子炉圧力容器内面ライナの表面に形成される第2の溶接層12についても、施工法および材料は、第1の溶接層1bと同様である。
沸騰水型原子炉においては、図示しないジェットポンプへの原子炉冷却材の供給側の配管であるライザ管11がライザーブレースアーム10によって、原子炉圧力容器1の内壁に取り付けられている。ライザーブレースアーム10のうち、直接、原子炉圧力容器1の内壁に取り付けられるのは、平板13および平板15(図1)である。
平板13および平板15は、溶接により取り付けられる。また、平板13および平板15の取付け部分には、第1の溶接層1bの表面(原子炉圧力容器1の内表面)に、さらに、それぞれ、平板状の第2の溶接層12が形成されている。したがって、平板13の取付け部分には、第1の溶接層である第1の溶接層1b、第2の溶接層12、および第3の溶接層である平板溶接層14が形成されている。また、平板15の取付け部分には、第1の溶接層である第1の溶接層1b、第2の溶接層12、および第3の溶接層である平板溶接層16が形成されている。
ここで、第3の溶接層である平板溶接層14は、フルペネトレーションの開先による完全溶け込み溶接部である。溶接金属終端部から所定の範囲は、平板13の全長以下であれば任意に定める範囲でよく、例えば1インチあるいは25mm、2インチあるいは50mm等を超音波探傷に求められる範囲としてよい。平板15の平板溶接層16についても同様である。
図5は、第1の実施形態に係る超音波探傷装置の検査対象範囲を示す図6のV-V線矢視平面図、図6は、図5のVI-VI線矢視側面図である。
図5および図6に示すように、検査対象範囲18は、平板13については、平板溶接層14および平板13の平板溶接層14の近傍の部分、また、平板15については、平板溶接層16および平板15の平板溶接層16の近傍の部分である。ここで、たとえば、平板溶接層14の近傍の部分とは、第2の溶接層12の表面から所定の距離の範囲の部分である。ここで、所定の範囲とは、板材の全長以下であれば任意に定める範囲でよく、例えば1インチあるいは25mm、2インチあるいは50mm等、超音波探傷に求められる範囲としてよい。平板溶接層16の近傍の部分についても、同様である。
図7は、第1の実施形態に係る超音波探傷装置の対象部位としての上部平板13の平板溶接層14の溶接基準線長辺部20aを説明するための概念的な平面図、図8は、上部平板13の平板溶接層14の溶接基準線短辺部20bを説明するための概念的な側面図である。
平板13は、断面が長方形の板であり、幅の広い2つの長辺側面13aと、幅の狭い2つの短辺側面13bとを有する。平板溶接層(第3の溶接層)14の長辺側面13aに沿った側の部分を平板溶接長辺部14a、平板溶接層(第3の溶接層)14の短辺側面13bに沿った側の部分を平板溶接短辺部14bと呼ぶこととする。
ここで、溶接基準線20を定義する。溶接基準線20には、溶接基準線長辺部20aおよび溶接基準線短辺部20bの2種類がある。
溶接基準線長辺部20aは、図7および図8に示すように、平板溶接長辺部14aの表面における仮想線である。長辺側面13aと平板溶接長辺部14aとの境界線と、長辺側面13aを第2の溶接層12に向かって仮想的に延長した時の第2の溶接層12との交線との中間位置にある仮想線を平板溶接長辺部14aの表面にずらした線を溶接基準線長辺部20aとする。ここで、ずらし方は、第2の溶接層12に平行な状態で移動することにより行うものとする。
同様に、溶接基準線短辺部20bは、平板溶接短辺部14bの表面における仮想線である。短辺側面13bと平板溶接短辺部14bとの境界線と、短辺側面13bを第2の溶接層12に向かって仮想的に延長した時の第2の溶接層12との交線との中間位置にある仮想線を平板溶接短辺部14bの表面にずらした線を溶接基準線短辺部20bとする。ここで、ずらし方は、同様に、第2の溶接層12に平行な状態で移動することにより行うものとする。
あるいは、溶接基準線20は、平板13の長辺側面13aおよび短辺側面13bの延長面で平板溶接層(第3の溶接層)14を切断したと仮定したときに、両断端の表面ビード幅中点どうしを結んだ線分と定義してもよい。
溶接基準線20は、1組の第3の溶接層14および平板13において、平板溶接長辺部14aの表裏1本ずつ、および平板溶接短辺部14bの裏表1本ずつの、計4本を有することとなる。
図9は、第1の実施形態に係る超音波探傷装置100のプローブ111の周辺部分を示す部分断面図である。
プローブ保持駆動機構120は、支持部121、短軸傾き補正部122、長軸傾き補正部123(図30)、およびプローブ保持部125を有する。
支持部121は、プローブ111が検査対象範囲18に位置するようにプローブ111を支持する。支持部121は、支持部121のプローブ111を支持する部分が移動するように図示しない駆動装置に結合し、移動駆動される。
短軸傾き補正部122は、支持部121のプローブ111側の端部近傍に配されており、プローブ保持部125の短軸側の角度を調整するために短軸側の回転が可能に構成されている。ここで、短軸側の回転とは、プローブ111の長手方向に垂直な断面上における回転である。
長軸傾き補正部123については、後に、図30を引用しながら説明する。
プローブ保持部125は、プローブ111を保持する機能を有する。プローブ保持部125に、楔や音響接触媒質を保持する機能を持たせてもよい。
機構制御部115(図1)は、監視操作部114等からの検査対象部18aの指定に対応して、支持部121によるプローブ111の位置、短軸傾き補正部122によるプローブ111の方向を決定し、プローブ111が検査対象部18aに対向する位置、方向となるように制御する。
ここで、プローブ保持部125および短軸傾き補正部122は、プローブ111が保持された状態となるようなステージを有していてもよい。ステージは直動ステージのように位置を変化させられるものでもよいし、回転ステージやゴニオステージのように角度を変化させられるものでもよく、それらの組合せでもよい。また、水中を遊泳するもの、ドローンのように空中を遊泳するもの、多軸多関節アームを有するもの、人型のものや、それらを組合せたものであってもよい。
短軸傾き補正部122は、検査対象部18aとの間の距離を確保しながらプローブ111を回転させる。
図10は、第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブおよびプローブ保持駆動機構の変形例の周辺部分を示す第1の部分断面図、図11は、第2の部分断面図である。
変形例によるプローブ保持駆動機構120aにおいては、プローブ保持部125にバネ124が設けられている。バネ124は、プローブ保持部125とプローブ111との間に配され、バネ124の伸縮により、プローブ111とプローブ保持部125間の間隔が変化する。
図10は、プローブ111が第3の溶接層14から離れている状態を示している。一方、図11は、プローブ111が第3の溶接層14の表面に密着している状態を示している。プローブ111が第3の溶接層14の表面に押し付けられると、短軸傾き補正部122は、外部からの回転力に抗することなくフリーな状態に移行する。この移行は、バネが所定の値だけ縮んだことを検出した場合に切り替えられる。この結果、プローブ111が第3の溶接層14の表面に押し付けられることにより、プローブ111は、その表面が、第3の溶接層14の表面に沿う方向になるような方向となる。なお、押し付ける部分はプローブ111本体でもよいし、付随する楔や、別途設けたスペーサ等でもよい。
以上のように、検査対象に押し付けることにより、プローブ111がその表面に沿う方向に補正することは、設置角度補正機構130の補正動作部132の動作であり、この場合、バネ124を有するプローブ保持駆動機構120が補正動作部132でもあるという構成となっている。
図12は、第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブと検査対象に入射する超音波を示す概念的な平面図、図13は、図12のXIII-XIII線矢視断面図、図14は、図12のXIV-XIV線矢視断面図である。
プローブ111の探傷面111s(図13、13)は、超音波を屈折させる長軸方向(x方向)、屈折に寄与しない短軸方向(y方向)の2軸に分けられる。図13は短軸方向に沿ったyz平面上の断面図であり、図14は長軸方向に沿ったxz平面上の断面図である。プローブ111から検査対象51に向けて発せられた超音波の主音線52は、基準面Pで屈折した後に検査対象51内を進行する。図14に示すように、主音線Uは、x方向の成分である主音線水平成分Uhと、z方向の成分である主音線垂直成分Uvに分割できる。
ここで図12ないし13に示すように基準面Pとプローブの関係を定義する。
図13の断面において、基準面Pから引いた垂線と、プローブ111の探傷面111sとの成す角を短軸傾きγと定義する。また、図14において、基準面Pから引いた垂線と、探傷面111sとの成す角を長軸傾きφと定義する。短軸傾き補正部122によって回転角を制御するのは、この短軸傾きγを制御することである。
図15は第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブの検査対象における基準面のとり方の例を示す第3の溶接層の近傍の平面図、図16は側面図である。基準面Pについては、たとえば、図15、15に示すように、第3の溶接層14の平板溶接長辺部14aの表面など、プローブ111から超音波を入射する面を基準面Pとすることが望ましい。
ただし、平板溶接長辺部14aなどの溶接部の表面は、グラインダ等の手仕上げである場合が多いため、曲率や凹凸を有する面となる場合もある。以下、説明の便宜上、基準面Pを平面とみなす。
図15、15では、第3の溶接層14の溶接長辺部14aと平板13の表面との境界線と、溶接長辺部14aと第2の溶接層12との境界線を通る平面を基準面Pとしている。基準面Pをこのように近似してもよいし、プローブ最下面等、管理したい座標系に応じてその他の面をとってもよい。
図17は第1の実施形態に係る超音波探傷装置が平板の溶接部の溶接基準線長辺部を検査対象部とする場合を示す平面図、図18は側面図である。
図17、17に示すような、第3の溶接層14の溶接長辺部14aを検査対象部18aとして探傷するとき、プローブから入射された超音波は、第3の溶接層14の溶接長辺部14aの表面から入射し、主音線Uは図14に示すように、主音線水平成分Uhと主音線垂直成分Uvに分割できる。主音線水平成分Uhは主音線Uを基準面Pへ投影した2次元の成分となる。
図19は第1の実施形態に係る超音波探傷装置のプローブから出射された超音波と溶接線との関係を示す概念的な斜視図、図20は平面図である。図19、19で示す例においては、主音線Uは、xz平面に沿って進行する。一方、溶接線53は、x方向に延びている。すなわち、図20に示すように、平面図上、すなわち、基準面Pに投影した状態では、主音線Uと溶接線53はほぼ同じx方向に延びている。いま、基準面Pに投影された溶接線53と主音線Uの水平成分Uhのなす角が、0°±ΔΦの範囲となるとき、溶接線53と平行方向の探傷条件が成立しているというものとする。ここで、ΔΦは、たとえば20°程度の値である。
ここで、探傷感度を最大化するためには、短軸傾きγを可能な限り90°(探傷面111sに垂直)に制御する必要がある。この制御は、設置角度補正機構130により行われる。
設置角度補正機構130(図1)は、前述のように、設置角度判定部131および補正動作部132を有する。
設置角度判定部131は、短軸傾きγおよび長軸傾きΦ(図26)が許容範囲にあるか否かを判定する。補正動作部132は、設置角度判定部131により短軸傾きγあるいは長軸傾きΦが許容範囲にあると判定されなかった場合に、これらを許容範囲内に移行させる。
以下に、短軸傾きγの判定と補正について説明する。なお、長軸傾きΦについては、後に、図26ないし図30を引用しながら説明する。
設置角度判定部131は、以下の図21ないし図24で説明するように、超音波の反射信号のレベルによって判定を行う。
図21は、設置角度補正機構130における設置角度判定部131による短軸傾きの判定方法を説明する第1の状態を示す概念的な部分断面図であり、図22は、第1の状態の場合の超音波信号強度の変化を示すグラフである。図22において、横軸は時間軸、縦軸は超音波信号強度である。強度レベルがA1より大きくA2より小さい強度範囲Apは、短軸傾きγが許容範囲内の時の強度範囲を示す。
今、基準面Pを図15、15に示した面とする。また、図21の断面において、基準面に垂直な方向を垂直線Qで示す。
この第1の状態においては、プローブ111から発せられる超音波の主音線Uの方向は、垂直線Qの方向とほぼ一致している。すなわち、短軸傾きγは、ほぼ90°である。このため、超音波が第3の溶接層14に入った後も、主音線は大きく屈折することなく、第3の溶接層14のほぼ検査対象部18aの範囲を通っている。
このような好ましい角度で入射する場合は、図22に示すように、第3の溶接層14の表面で反射する超音波の強度は、所定の強度レベルA1より大きな値となる。また、このような反射波の強度を有する場合は、反射波の到達時間が所定の到達時間範囲Tpとなる。したがって、反射波の強度が強度範囲Ap内にあるときあるいは到達時間が所定の到達時間範囲Tpとなるときは、短軸傾きγが許容範囲内であると判定される。
図23は、設置角度補正機構130における設置角度判定部131による短軸傾きの判定方法を説明する第2の状態を示す概念的な部分断面図であり、図24は、第2の状態の場合の超音波信号強度の変化を示すグラフである。
この第2の状態においては、プローブ111から発せられる超音波の主音線Uの方向は、垂直線Qの方向とほぼ一致している範囲にはない。すなわち、短軸傾きγは、ほぼ90°とは言えない角度である。このため、超音波が第3の溶接層14に入った後、主音線は大きく屈折し、第3の溶接層14のほぼ検査対象部18aの範囲を外れている。
このような好ましい角度を外れて入射する場合は、図24に示すように、第3の溶接層14の表面で反射する超音波の強度は、所定の強度レベルA1に到達せず、反射波の強度が強度範囲Apを外れる。また、このような場合は、反射波の到達時間が所定の到達時間範囲Tpよりも遅れたタイミングとなる。したがって、反射波の強度が強度範囲Apを外れるときあるいは到達時間が所定の到達時間範囲Tpより遅れるときは、短軸傾きγが許容範囲外であると判定される。
ここで、短軸傾きγの許容範囲は、主音線の方向が検査対象部18aの範囲内であるか否かを予め評価することにより設定することができる。この結果に基づいて、強度範囲Apおよび到達時間範囲Tpも予め設定することができる。
設置角度補正機構130における設置角度判定部131による判定は、以上のように反射波の大きさや伝搬時間の違いをもとに行われ、判別は、設置角度判定部131が自動的に実施する。なお、それぞれの結果は、監視操作部114の表示部にも表示されるので、検査員等が表示された波形をみて判定してもよい。
設置角度判定部131は、以上のような方式の他に、例えばレーザ距離計、超音波距離計、カメラ等のような非接触距離測定手段を用いて判定してもよい。あるいは、リミットスイッチやスペーサ等のような機械的に接触する手段でもよい。これらはプローブ111そのものにとりついてもよいし、プローブ保持部125や構造物そのものに取り付けてもよい。設置角度判定部131として、複数の種類や設置場所を組み合わせて用いることもできる。
設置角度判定部131による測定の結果、短軸傾きγが所定の範囲に収まっていない場合には、補正動作部132として短軸傾き補正部122を用いて、短軸傾きγを調整して、補正することができる。
あるいは、補正動作部132として、図10、10に示した方法によって、短軸傾きγを補正することができる。
なお、補正動作部132としては、単に検査対象部に押しつけて方向すなわち短軸傾きγを補正するのみではなく、例えば回転ステージ、ゴニオステージのような回転機構をプローブ保持部125および短軸傾き補正部122に持たせ、それらを制御することで最終的なγを所望の角度とすることでもよい。
図25は、第1の実施形態に係る超音波探傷装置の検査対象部における溶接方向と直交方向に進展する縦割れ14dが生じた場合を示す斜視図である。
図25に示すような、第3の溶接層14、16における溶接方向と直交方向に進展する割れ、いわゆる縦割れである疲労き裂の検出には、以上のような設置角度補正機構130を用いる。融合不良、ブローホール、スラグ巻き込み等といった種々の溶接欠陥、応力腐食割れ等経年により発生する割れの検出にも有効である。また、水素フレーキングのような原子炉特有の欠陥検出にも有効である。上記した溶接欠陥以外の割れ等は第3の溶接層14あるいは第3の溶接層16を起点として上部平板13あるいは下部平板15までも進展し得るが、このような割れに対しても有効である。
次に、長軸傾きΦの判定と補正について説明する。
設置角度判定部131は、以下の図26ないし図29で説明するように、超音波の反射信号のレベルによって判定を行う。
図26は、設置角度補正機構130における設置角度判定部131による長軸傾きの判定方法を説明する第1の状態を示す概念的な部分断面図であり、図27は、第1の状態の場合の超音波信号強度の変化を示すグラフである。また、図28は、第2の状態を示す概念的な部分断面図であり、図29は、第2の状態の場合の超音波信号強度の変化を示すグラフである。図26および図28の断面は、プローブ111の長手方向、すなわち超音波素子の並ぶ方向に沿って、かつ、基準面Pに垂直な断面を示す。
図27および図29において、横軸は時間軸、縦軸は超音波信号強度である。強度レベルがA1より大きくA2より小さい強度範囲Apは、長軸傾きΦが許容範囲内の時の強度範囲を示す。
長軸傾きΦは、図14を引用しながら説明したように、この断面において、基準面Pに垂直な直線とプローブ111の探傷面111sとのなす角である。ここで、基準面Pは、たとえば、図15、15に示した面である。
第1の状態における長軸傾きΦ1が適切な場合は、図27に示すように、第3の溶接層14の表面で反射する超音波の強度は、所定の強度レベルA1より大きな値となる。また、このような反射波の強度を有する場合は、反射波の到達時間が所定の到達時間範囲Tpとなる。したがって、基準面Pからの反射波の強度が強度範囲Ap内にあるときあるいは到達時間が所定の到達時間範囲Tpとなるときは長軸傾きΦが許容範囲内であると判定される。
一方、第2の状態における長軸傾きΦ2が適切ではない場合は、図29に示すように、第3の溶接層14の表面で反射する超音波の強度は、所定の強度レベルA1に達しない値となる。また、このような反射波の場合は、反射波の到達時間が所定の到達時間範囲より遅れる。したがって、短軸傾きγの判定と同様に、反射波の強度が強度範囲Apを外れるときあるいは到達時間が所定の到達時間範囲Tpより遅れるときは、長軸傾きΦが許容範囲外であると判定される。
なお、短軸傾きγの判定と同様に、設置角度判定部131による判定は、他の方法を用いての判定であってもよい。
図30は、第1の実施形態に係る超音波探傷装置の構成を示す図2の部分断面図である。
図30に示すように、プローブ保持駆動機構120が有する長軸傾き補正部123は、支持部121と短軸傾き補正部122との間にあって、補正動作部132として、プローブ保持部125の長手方向の傾きを調整する。
設置角度判定部131による測定の結果、長軸傾きΦが所定の範囲に収まっていない場合には、補正動作部132が有する長軸傾き補正部123が長軸傾きΦを補正することができる。なお、補正動作部132としては、短軸側と同様に、長軸側についても、他の方式を用いてもよい。
図31は、第1の実施形態に係る超音波探傷方法の手順を示すフロー図である。図31では、中間空間17から探傷を行う場合を例にとって、手順を示している。
まず、プローブ保持部125に保持されたプローブ111およびその傾きを調節する短軸傾き補正部122と長軸傾き補正部123を、上部平板13と下部平板15に挟まれた中間空間17内に挿入、設置する(ステップS10)。
次に、短軸側調整を行う(ステップS20)。詳細には、まず、設置角度補正機構130の設置角度判定部131が、短軸傾きγについての判定のための測定を行い(ステップS21)、設置角度判定部131は、短軸傾きγが許容値内にあるか否かを判定する(ステップS22)。
短軸傾きγが許容値内にあると判定されなかった場合(ステップS22 NO)には、設置角度補正機構130の補正動作部132としての短軸傾き補正部122が短軸傾きγを調整し(ステップS23)、ステップS21からステップS23を繰り返す。
短軸傾きγが許容値内にあると判定された場合(ステップS22 YES)には、次の長軸側調整を行う(ステップS30)。詳細には、まず、設置角度補正機構130の設置角度判定部131が、長軸傾きΦについての判定のための測定を行い(ステップS31)、設置角度判定部131は、長軸傾きΦが許容値内にあるか否かを判定する(ステップS32)。
長軸傾きΦが許容値内にあると判定されなかった場合(ステップS32 NO)には、設置角度補正機構130の補正動作部132としての軸傾き補正部123が長軸傾きΦを調整し(ステップS33)、ステップS21からステップS23を繰り返す。
長軸傾きΦが許容値内にあると判定された場合(ステップS32 YES)には、検査対象の探傷を行う(ステップS40)。
以上の手順では、上部平板13と下部平板15に挟まれた中間空間17内に第1プローブ111aおよび第2プローブ111bを配置して、上部平板13の検査対象部18aを下方から、また、下部平板15の検査対象部18bを上方から探傷する場合を例にとって説明したが、上部平板13を上方から、また、下部平板15を下方から探傷する場合については、配置上の制約が少ないため、通常の探傷が可能である。
以上のように、本実施形態によれば、原子炉内のジェットポンプを保持するライザーブレースアーム10の原子炉圧力容器1との接合部のようなアクセス性の限られた部位を、原子炉圧力容器1内で、確実に探傷することができる。
[第2の実施形態]
図32は、第2の実施形態に係る超音波探傷装置の構成を示す縦断面図、図33は、図32のXXXIII-XXXIII線矢視断面図である。
本第2の実施形態は、第1の実施形態の変形であり、本実施形態におけるプローブ保持駆動機構120aは、支持部121の最終軸121aに支持された第1プローブ111aおよび第2プローブ111bの2つのプローブを有する。
プローブ保持駆動機構120aが、上部平板13と下部平板15に挟まれた中間空間17内から、上方および下方のそれぞれを探傷可能に構成されている。
具体的には、第1プローブ111aは、上部平板13の第3の溶接層14近傍を探傷する。第1プローブ111aは、プローブ保持部125aに保持された状態で、短軸傾き補正部122aによって短軸傾きγを、また、長軸傾き補正部123aによって長軸傾きΦを、それぞれ調節される。
また、第2プローブ111bは、下部平板15の第3の溶接層16近傍を探傷する。第2プローブ111bは、プローブ保持部125bに保持された状態で、短軸傾き補正部122bによって短軸傾きγを、また、長軸傾き補正部123bによって長軸傾きΦを、それぞれ調節される。
プローブ保持部125aに保持された第1プローブ111aおよびその傾きを調節する短軸傾き補正部122aと長軸傾き補正部123a、プローブ保持部125bに保持された第2プローブ111bおよびその傾きを調節する短軸傾き補正部122bと長軸傾き補正部123b、およびこれらを支持する最終軸121aは、上方および下方の検査対象部を探傷するために、上部平板13と下部平板15に挟まれた中間空間17内に挿入され調節動作が可能な寸法に形成されている。具体的には、大の実施形態と同様に、上下の幅60mm程度の大きさに構成されている。
以上のように、本実施形態によれば、アクセス性の限られた部位を、同様に確実に探傷することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。また、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…原子炉圧力容器、1a…原子炉圧力容器母材、1b…原子炉圧力容器内面ライナ(第1の溶接層)、10…ライザーブレースアーム、11…ライザ管、12…第2の溶接層、13…上部平板、13a…長辺側面、13b…短辺側面、14…平板溶接層(第3の溶接層)、14a…平板溶接長辺部、14b…平板溶接短辺部、14d…縦割れ欠陥、15…下部平板、15a…長辺側面、15b…短辺側面、16…平板溶接層(第3の溶接層)、17…中間空間、18…検査対象範囲、18a…検査対象部、20…溶接基準線、20a…溶接基準線長辺部、20b…溶接基準線短辺部、51…検査対象、52…主音線、53…溶接線、100,100a…超音波探傷装置、110…探傷機構、111…プローブ、111a…第1プローブ、111b…第2プローブ、111s…探傷面、113…超音波探傷器、114…監視操作部、115…機構制御部、116…遠隔目視部、120、120a…プローブ保持駆動機構、121…支持部、121a…最終軸、121b、121c…アクセス軸、122、122a、122b…短軸傾き補正部、123、123a、123b…長軸傾き補正部、124…バネ、125、125a、125b…プローブ保持部、126…アクセス駆動部、130…設置角度補正機構、130…設置角度補正機構、131…設置角度判定部、132…補正動作部

Claims (1)

  1. 互いに面間に間隔をあけて中間空間を形成し同一の部材に溶接で取り付けられた2枚の板のそれぞれの溶接部を検査対象として欠陥を探傷する超音波探傷方法であって、
    プローブ保持部に保持され、複数の超音波素子が長手方向に配列され探傷面が超音波を屈折させる長軸方向のx軸と超音波の屈折に寄与しない短軸方向のy軸の2軸に分けられるプローブおよびその傾きを調節する短軸傾き補正部と長軸傾き補正部を前記中間空間内に挿入、設置する挿入設置ステップと、
    前記x軸および前記y軸に垂直な方向をz軸とし、前記検査対象に超音波が入射する面を基準面としたときに、前記短軸傾き補正部が、前記短軸方向に沿ったyz平面における前記基準面の垂線と前記探傷面とがなす角である短軸傾きの調整を行う短軸側調整ステップと、
    記長軸傾き補正部が、前記長軸方向に沿ったxz平面における前記基準面の垂線と前記探傷面とがなす角である長軸傾きの調整を行う長軸側調整ステップと、
    前記検査対象を探傷する探傷ステップと、
    を有することを特徴とする超音波探傷方法
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