以下に、実施の形態にかかる移動体システムおよび移動体制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる移動体システムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる移動体システム1は、第1の移動体2と、第2の移動体3と、第1の移動体2と第2の移動体3とを接続するケーブル4とを備える。かかる移動体システム1は、例えば、構造物の点検を行う点検システムであるが、構造物の点検以外の作業を行うシステムであってもよい。第2の移動体3は、各種のセンサを有しており、これらのセンサによって検出された情報を第1の移動体2へ送信する。以下において、移動体システム1が構造物の点検を行う点検システムであるものとして説明する。
第1の移動体2は、地上の走行路または構造物の側壁の走行路を走行する移動体であり、例えば、自動車、列車、移動ロボット、またはゴンドラなどである。移動ロボットは、例えば、自律移動ロボットまたは遠隔操作移動ロボットなどである。遠隔操作移動ロボットは、遠隔で操作可能な移動ロボットである。第1の移動体2が自動車である場合、走行路は道路であり、第1の移動体2が列車である場合、走行路はレールである。また、第1の移動体2が移動ロボットの場合、走行路はコンクリート面または不整地である。また、第1の移動体2がゴンドラである場合、走行路はビルなどの構造物の側壁に敷設されたレールである。
第2の移動体3は、例えば、モータを駆動源として空中を移動するドローンなどの無人飛行体である。第2の移動体3は、不図示のモータを有しており、かかるモータの駆動によって空中を移動することができる。以下においては、第2の移動体3がドローンであるとして説明するが、第2の移動体3は、モータを駆動源として空中を移動する移動体であればよく、ドローンに限定されない。
ケーブル4は、第1の移動体2から第2の移動体3への給電を行う給電線と、第1の移動体2と第2の移動体3との間で通信を行うための通信線とを含む。第2の移動体3のモータは、ケーブル4から供給される電力によって駆動される。なお、第2の移動体3はバッテリが搭載された飛行体であってもよい。
図2は、実施の形態1にかかる移動体システムの第2の移動体に加わる力を説明するための図である。図2に示すように、実施の形態1にかかる移動体システム1の第2の移動体3には、第2の移動体3の重量に応じた重力に加え、ケーブル4の張力などの外乱が加わる。ケーブル4の張力は、ケーブル4に生じる張力であり、第2の移動体に対する張力である。図2に示す例では、第1の移動体が第2の移動体3よりも速く移動している状態であり、ケーブル4の張力に応じた力が第2の移動体3に加わる。
そこで、移動体システム1では、第2の移動体3の位置とケーブル4の状態とに基づいて、第2の移動体3の位置が目標位置になるように第2の移動体3の位置制御が行われる。第2の移動体3の位置制御は、例えば、第2の移動体3の制御と後述するウィンチの制御とを含む。ウィンチは、ケーブル4の送り出しおよび巻き取りを行う機能を有する電動ウィンチである。移動体システム1で用いられるケーブル4の状態は、例えば、ケーブル4の張力、および第1の移動体2と第2の移動体3との間のケーブル4の長さのうち少なくとも1つを含む。第1の移動体2と第2の移動体3との間のケーブル4の長さは、ウィンチから送り出されているケーブル4の長さであり、以下、単にケーブル4の長さと記載する。
例えば、第1の移動体2の制御部は、ケーブル4の張力の大きさと方向に基づいて、第2の移動体3の位置が目標位置になるように、第2の移動体3に対する移動指令とウィンチに対するケーブル長変更指令とを生成する。第1の移動体2の制御部は、第2の移動体3に対する移動指令を第2の移動体3へケーブル4を介して送信し、かつケーブル長変更指令に基づいてウィンチを制御する。
これにより、第1の移動体2は、第2の移動体3との距離を変化させながら、第2の移動体3を移動させることができる。そのため、第1の移動体2は、第2の移動体3に対する移動指令による第2の移動体3の駆動制御だけでは第2の移動体3の位置制御が難しい場合であっても、第2の移動体3を精度よく制御することができる。この場合、第1の移動体2は、第2の移動体3の駆動制御とウィンチの制御とを連動して位置制御を行うが、ウィンチの制御だけで第2の移動体3の位置制御を行うこともできる。
なお、第1の移動体2の制御部は、第2の移動体3との距離を変化させる必要がない場合、ケーブル4の張力の大きさと方向に基づいて、ウィンチを制御することなく、第2の移動体3に対する移動指令によって第2の移動体3の位置制御を行うこともできる。
また、第1の移動体2の制御部は、第1の移動体2および第2の移動体3のうちの少なくとも一方の移動状態と、ケーブル4の状態とに基づいて、ケーブル4が存在する領域の移動軌跡を予測することができる。そして、第1の移動体2の制御部は、予測したケーブル4の移動軌跡が障害物領域に進入しないように第2の移動体3の位置制御を行うことができる。
また、第1の移動体2の制御部は、例えば、第1の移動体2がケーブル4を介して第2の移動体3を引っ張っている状態で、第1の移動体2が加速または減速しているか否かを判定する。第1の移動体2の制御部は、第1の移動体2が加速または減速していると判定した場合、ケーブル4の張力の大きさと方向とを示す張力情報を含む信号を第2の移動体3へケーブル4を介して送信する。
第2の移動体3は、第1の移動体2から受信した信号に含まれる張力情報に基づいて、第2の移動体3の姿勢制御を行う。これにより、第2の移動体3は、第2の移動体3に加わる力に含まれる張力を外乱として姿勢制御を行うことができ、第2の移動体3の姿勢を精度よく制御することができる。
このように、移動体システム1は、ケーブル4の状態に基づいて、第2の移動体3の位置および姿勢を制御するため、第2の移動体3の移動性能が第1の移動体2の移動性能よりも低い場合であっても、第2の移動体3は第1の移動体2の速度で移動することができる。
以下、実施の形態1にかかる移動体システム1の構成についてさらに詳細に説明する。まず、第1の移動体2の構成について説明する。図3は、実施の形態1にかかる第1の移動体の構成の一例を示す図である。図4は、実施の形態1にかかる第1の移動体の一例を示す側面図を含む図である。図5は、実施の形態1にかかる第1の移動体の一例を示す平面図である。
図3に示すように、第1の移動体2は、ウィンチ21と、張力検出部22と、位置検出部23と、障害物検出部24と、移動状態検出部25と、通信部26と、給電部27と、処理部28と、制御部29とを備える。図4および図5に示すように、ウィンチ21、張力検出部22、位置検出部23、および障害物検出部24は、移動体本体20の上面に配置される。なお、ウィンチ21、張力検出部22、位置検出部23、および障害物検出部24の配置は、図4および図5に示す例に限定されない。
ウィンチ21は、ケーブル4の送り出しおよび巻き取りを行う機能を有する電動ウィンチであり、制御部29による制御によってケーブル4を送り出したり、ケーブル4を巻き取ったりする。ウィンチ21は、例えば、ドラムと、ドラムを回転させるモータと、モータを駆動するモータ駆動部と、ドラムの回転をロックするロック機構とを備える。ウィンチ21は、制御部29からの制御信号に含まれるケーブル長変更指令によってモータ駆動部がモータを回転させることによってケーブル4の送り出しまたは巻き取りを行う。また、ウィンチ21のロック機構は、制御部29からの制御信号に含まれるロック指令またはロック解除指令に基づいて、ドラムの回転をロックしたりロックを解除したりする。
張力検出部22は、ケーブル4の張力の大きさと方向とを検出する。張力検出部22は、例えば、ひずみを電気抵抗の変化に変換するひずみゲージによって張力の大きさを検出するセンサ、圧力を電圧に変換する圧電素子によって張力の大きさを検出するセンサ、または線形ばねと張力との釣り合いの位置を検出することによって張力の大きさを検出するセンサを有する。
また、張力検出部22は、張力の方向を検出するセンサを有する。例えば、張力検出部22は、ケーブル4の傾きを張力の方向として検出するセンサを有する。なお、張力検出部22は、ケーブル4の張力の大きさと方向とを検出することができればよく、上述した構成に限定されない。なお、後述するように、ケーブル4の張力の大きさと方向を検出する張力検出部は、第1の移動体2に代えて、第2の移動体3に設けられていてもよい。
位置検出部23は、第2の移動体3を各々検出する複数の移動体検出部23a,23bを備える。移動体検出部23a,23bは、例えば、カメラ、LIDAR(Light Detection And Ranging)、またはRADAR(Radio Detection And Ranging)であり、第2の移動体3が存在する方向を検出する。例えば、移動体検出部23a,23bがカメラである場合、移動体検出部23a,23bは、カメラによって撮像される画像に含まれる第2の移動体3の位置に基づいて、第2の移動体3が存在する方向を検出する。第2の移動体3が存在する方向は、移動体検出部23a,23bの各々の位置から第2の移動体3へ向かう方向であり、以下、第2の移動体3の存在方向と記載する場合がある。
位置検出部23は、移動体検出部23a,23bによって検出される第2の移動体3の存在方向に基づいて、第2の移動体3の位置を検出する。位置検出部23によって検出される位置は、第1の移動体2を基準とした第2の移動体3の相対位置であり、3次元の直交座標系の座標で表される。以下、相対位置を単に位置と記載する場合がある。
図6は、実施の形態1にかかる位置検出部による第2の移動体の位置の検出方向を説明するための図である。図6に示すように、第2の移動体3の位置をB点とした場合、位置検出部23は、A点からB点へ向かう方向とC点からB点へ向かう方向とを検出し、検出したこれらの方向から第2の移動体3の位置を検出する。このように、位置検出部23は、多点計測によって第2の移動体3の位置を検出することによって、第2の移動体3の位置の検出を精度よく行うことができる。
図3に示す障害物検出部24は、移動体本体20の周囲のうちケーブル4の延在方向の領域に存在する障害物を検出する。障害物検出部24は、例えば、カメラ、LIDAR、またはRADARなどを含み、ケーブル4の延在方向の領域に存在する障害物が存在する領域である障害物領域を検出する。なお、障害物検出部24は、障害物領域を検出することができればよく、カメラ、LIDAR、またはRADARとは異なるセンサであってもよい。
移動状態検出部25は、第1の移動体2の加速度を検出するセンサ、第1の移動体2の速度を検出するセンサ、第1の移動体2の位置を検出するセンサ、および第1の移動体2の移動方向を検出するセンサなどを含む。移動状態検出部25は、予め移動体本体20に搭載されているセンサ群であってもよく、第2の移動体3を検出するために新たに設けられるセンサ群であってもよい。
通信部26は、第2の移動体3との間で信号の送受信を行う。制御部29は、第2の移動体3への信号を通信部26から第2の移動体3へ送信させたり、第2の移動体3から送信され通信部26で受信された信号を通信部26から取得する。
給電部27は、ケーブル4を介して第2の移動体3への給電を行う。給電部27は、例えば、移動体本体20に搭載された不図示のバッテリの電力を第2の移動体3へケーブル4を介して出力する。また、バッテリは、移動体本体20の駆動源として用いられるバッテリであってもよい。給電部27は、バッテリの電圧を降圧または昇圧し、降圧または昇圧した電圧を第2の移動体3へケーブル4を介して出力することもできる。給電部27は、ケーブル4を介した第2の移動体3への給電が制御部29によって制御される。なお、給電部27は、バッテリに代えて発電機を有し、発電機で発電した電力を第2の移動体3へケーブル4を介して供給する構成であってもよい。
処理部28は、第2の移動体3から送信され通信部26で受信された情報を通信部26から取得し、取得した情報を処理する。例えば、第2の移動体3が点検対象物を撮像するカメラを有する場合、処理部28は、カメラで繰り返し撮像される点検対象物の画像の情報を通信部26から取得し、取得した情報に基づいて、点検対象物の画像を貼り合わせることで、点検対象物の全体画像の情報を生成する。
処理部28は、例えば、移動状態検出部25によって検出される第1の移動体2の位置と、位置検出部23によって検出される第2の移動体3の位置とに基づいて、第2の移動体3の絶対位置を算出する。そして、処理部28は、第2の移動体3の絶対位置に基づいて、例えば、点検対象物の画像の貼り合わせを行うことができる。
また、処理部28は、点検対象物の画像に基づいて、点検対象物におけるひび割れなどの変状の有無を判定し、判定した結果を内部の記憶部に記憶することができる。また、処理部28は、第2の移動体3に設けられたカメラ以外の各種センサで検出される情報を第2の移動体3の絶対位置に関連付けて内部の記憶部に記憶することができる。また、処理部28は、第2の移動体3に設けられたカメラ以外の各種センサで検出される情報を予め設定された処理を施して内部の記憶部に記憶することができる。例えば、第3の移動体5が点検対象物を計測するレーザスキャナを有する場合、処理部28は、レーザスキャナで繰り返し撮像される点検対象物の3次元点群の情報を通信部26から取得する。処理部28は、取得した情報に基づいて、3次元点群の情報を繋ぎ合わせることで、点検対象物の3次元点群の情報を生成する。
制御部29は、第2の移動体3の位置とケーブル4の状態とに基づいて、第2の移動体3の位置制御を行う。また、制御部29は、障害物検出部24によって検出された障害物領域に進入しないように第2の移動体3を制御する。
制御部29は、移動軌跡予測部41と、位置制御部42と、ウィンチ制御部43とを備える。移動軌跡予測部41は、位置検出部23によって検出された第2の移動体3の位置と、移動状態検出部25によって検出された第1の移動体2の移動状態とに基づいて、ケーブル4の移動軌跡を予測する。移動軌跡予測部41で用いられる第1の移動体2の移動状態は、例えば、第1の移動体2の位置、移動速度、および移動方向などである。
例えば、移動軌跡予測部41は、位置検出部23によって検出された第2の移動体3の位置に基づいて、ケーブル4が存在する領域を検出する。また、移動軌跡予測部41は、移動状態検出部25によって検出された第1の移動体2の移動状態に基づいて、第1の移動体2の移動軌跡を予測する。移動軌跡予測部41は、検出したケーブル4が存在する領域と第1の移動体2の移動軌跡とに基づいて、ケーブル4の移動軌跡を予測する。ケーブル4の移動軌跡は、第1の移動体2と第2の移動体3との間のケーブル4の移動軌跡である。なお、第1の移動体2の移動軌跡が予め定められている場合、移動軌跡予測部41は、移動状態検出部25の検出結果を用いずに、ケーブル4の移動軌跡を予測することができる。
なお、ケーブル4の移動軌跡の予測方法は、上述した処理に限定されない。すなわち、移動軌跡予測部41は、第1の移動体2および第2の移動体3のうちの少なくとも一方の移動状態と、ケーブル4の状態に基づいて、ケーブル4の移動軌跡を予測することができればよく、ケーブル4の移動軌跡の予測は上述した例に限定されない。
移動軌跡予測部41で用いられる第1の移動体2の移動状態は、例えば、第1の移動体2の位置、移動速度、および移動方向などである。移動軌跡予測部41は、移動状態検出部25によって検出される第1の移動体2の移動状態に基づいて、第1の移動体2の将来の移動状態を予測することができる。将来の移動状態には、予測される移動軌跡が含まれる。
また、移動軌跡予測部41で用いられる第2の移動体3の移動状態は、例えば、第2の移動体3の位置、移動速度、および移動方向などである。移動軌跡予測部41は、例えば、移動状態検出部25によって検出される第1の移動体2の移動状態および第2の移動体3の移動目標位置などに基づいて、第2の移動体3の将来の移動状態を予測することができる。将来の移動状態には、予測される移動軌跡が含まれる。
移動軌跡予測部41で用いられるケーブル4の状態は、ケーブル4の張力およびケーブル4の長さなどのうち少なくとも1つを含む。移動軌跡予測部41は、ケーブル4の長さの情報を位置制御部42から取得することができる。また、移動軌跡予測部41は、ケーブル4の張力の情報を張力検出部22から取得することができる。移動軌跡予測部41は、ケーブル4の張力の大きさと方向に基づいて、第2の移動体3の移動状態を検出することができる。
移動軌跡予測部41は、第1の移動体2の移動軌跡と第2の移動体3の移動軌跡とを予測することができる。この場合、移動軌跡予測部41は、ケーブル4の長さ、第1の移動体2の移動軌跡、および第2の移動体3の移動軌跡に基づいて、ケーブル4の移動軌跡を予測することができる。また、移動軌跡予測部41は、ケーブル4の張力の大きさに基づいて、第1の移動体2が第2の移動体3を引っ張っている状態であると判定すると、ケーブル4の張力の方向、ケーブル4の長さ、および第1の移動体2の移動軌跡に基づいて、ケーブル4の移動軌跡を予測することもできる。なお、移動軌跡予測部41は、第1の移動体2が停止している場合、第2の移動体3の移動状態とケーブル4の状態とに基づいて、ケーブル4の移動軌跡を予測することができる。
位置制御部42は、第2の移動体3の位置とケーブル4の状態とに基づいて、第2の移動体3の位置制御を行う。例えば、位置制御部42は、位置検出部23によって検出された第2の移動体3の位置に基づいて、第2の移動体3の位置が目標位置になるように移動指令を生成し、生成した移動指令を含む制御信号を第2の移動体3へケーブル4を介して通信部26に送信させる。かかる移動指令は、例えば、第2の移動体3の移動方向および移動速度の情報を含む。
第2の移動体3がドローンの場合、第2の移動体3は、複数のロータと、これら複数のロータのうち対応するロータを各々駆動する複数のモータとを備える。第2の移動体3は、第1の移動体2から送信された移動指令を含む制御信号を受信すると、受信した制御信号に含まれる移動指令に応じた移動方向へ移動指令に応じた移動速度で移動するように、複数のモータで複数のロータを回転させる移動制御を行う。
また、位置制御部42は、位置検出部23によって検出された第2の移動体3の位置に基づいて生成された移動指令を、張力検出部22によって検出された張力の大きさおよび方向に基づいて、補正することができる。この場合、位置制御部42は、補正後の移動指令を含む制御信号を通信部26に送信させる。
ケーブル4の張力の大きさおよび方向によっては、第2の移動体3の位置に基づいて生成された移動指令による第2の移動体3の移動方向および移動速度が移動指令で意図する移動方向および移動速度で第2の移動体3が移動しない場合がある。そこで、位置制御部42は、張力検出部22によって検出された張力の大きさおよび方向に基づいて、移動指令を補正し、補正後の移動指令を含む制御信号を通信部26に送信させる。これにより、位置制御部42は、第2の移動体3の位置の検出を精度よく行うことができる。
また、位置制御部42は、第2の移動体3の制御とウィンチ21の制御とを含む位置制御を第2の移動体3の位置制御として行うこともできる。例えば、位置制御部42は、位置検出部23によって検出された第2の移動体3の位置と張力検出部22によって検出された張力の大きさと方向に基づいて、移動指令とケーブル長変更指令とを生成することができる。かかる移動指令は、張力検出部22によって検出された張力の大きさおよび方向に基づいて補正された移動指令であるが、補正されていない移動指令であってもよい。また、ケーブル長変更指令は、ケーブル4の送り出し量を示す情報またはケーブル4の巻き取り量を示す情報を含むが、ケーブル4の長さを示す情報であってもよい。位置制御部42は、例えば、第2の移動体3の位置と、張力検出部22によって検出されたケーブル4の張力の大きさおよび方向と、ケーブル4の長さとに基づいて、移動指令とケーブル長変更指令とを生成することができる。また、移動軌跡予測部41は、第1の移動体2が停止している場合、ケーブル4の状態に基づいて、ケーブル4の移動軌跡を予測することができる。
ウィンチ制御部43は、位置制御部42によって生成されたケーブル長変更指令がケーブル4の巻き取りの指令である場合、ケーブル長変更指令で規定された巻き取り速度且つ巻き取り長でケーブル4が巻き取られるようにウィンチ21を制御する。また、ウィンチ制御部43は、位置制御部42によって生成されたケーブル長変更指令がケーブル4の送り出しの指令である場合、ケーブル長変更指令で規定された送り出し速度でケーブル4がケーブル長変更指令で規定された送り出し長分だけ送り出されるようにウィンチ21を制御する。
図7は、実施の形態1にかかる制御部によるウィンチの制御を含む位置制御を説明するための図である。図7に示す例では、第2の移動体3は、ウィンチ21によってケーブル4が巻き取られることによって移動しつつ移動指令によって移動する。その後、第2の移動体3は、ケーブル4が送り出されることによって移動しつつ移動指令によって移動する。
このように、制御部29は、第1の移動体2と第2の移動体3との距離を変化させながら、第2の移動体3を移動させることができる。そのため、制御部29は、第2の移動体3に対する移動指令だけでは第2の移動体3の位置制御が難しい場合であっても、第2の移動体3を精度よく制御することができる。
なお、上述した例では、制御部29は、張力検出部22の検出結果に基づいて、第2の移動体3の位置制御を行うが、第2の移動体3の位置制御は、上述した例に限定されない。例えば、制御部29は、生成した移動指令と、第2の移動体3の位置と、ケーブル4の延在状態とに基づいて、ケーブル4の張力の大きさと方向とを推定することができる。
ケーブル4の張力の大きさと方向の推定は、例えば、機械学習によって生成された学習モデルを用いて行うことができる。かかる学習モデルは、移動指令と、第2の移動体3の位置と、ケーブル4の延在状態とを入力とし、ケーブル4の張力の大きさと方向とを出力とする検出モデルである。
ケーブル4の張力の大きさと方向を推定する検出モデルは、畳み込みニューラルネットワークなどのニューラルネットワークであるが、線形回帰、またはロジスティック回帰などの学習アルゴリズムで生成される計算モデルであってもよく、サポートベクターマシンなどの計算モデルであってもよい。
図3に戻って、位置制御部42の説明を続ける。位置制御部42は、障害物検出部24によって検出された障害物領域に第2の移動体3が進入しないように第2の移動体3の位置制御を行う。具体的には、位置制御部42は、移動軌跡予測部41によって予測されたケーブル4の予測軌跡が障害物検出部24によって検出された障害物領域に進入するか否かを判定する。位置制御部42は、ケーブル4の予測軌跡が障害物領域に進入すると判定した場合、ケーブル4が障害物領域に進入しないように第2の移動体3の位置制御を行う。第2の移動体3の位置制御は、移動指令による第2の移動体3の位置制御に加え、上述したウィンチ21による第2の移動体3の位置制御を含む。ウィンチ21による第2の移動体3の位置制御では、ウィンチ21によるケーブル4の送り出しおよび巻き取りのうち少なくとも一方が行われる。
図8は、実施の形態1にかかる第1の移動体、第2の移動体、および障害物の位置関係の一例を示す平面図であり、図9は、実施の形態1にかかる第1の移動体、第2の移動体、および障害物の位置関係の一例を示す正面図である。図8および図9に示す例では、障害物は、移動体システム1による点検対象物である。
図8に示す例では、第1の移動体2の進行方向を前方とした場合、第2の移動体3は、第1の移動体2の右後方を飛行しており、第2の移動体3の前方に点検対象物が存在している。そのため、第2の移動体3の高度によっては、ケーブル4が点検対象物に衝突してしまう可能性がある。
そこで、制御部29は、ケーブル4の予測軌跡が障害物領域に進入するか否かを判定し、ケーブル4の予測軌跡が障害物領域に進入すると判定した場合、障害物領域にケーブル4が進入しないように第2の移動体3の位置制御を行う。この場合、障害物領域は、点検対象物が存在する領域である。制御部29は、第1の移動体2と第2の移動体3との距離を変化させながら、第2の移動体3を移動させることで、障害物領域にケーブル4が進入しないように第2の移動体3の位置制御を行うことができる。これにより、移動体システム1では、図9に示すように、ケーブル4が障害物である点検対象物に接触することを回避することができる。なお、障害物領域を検出する障害物検出部は、第2の移動体3に設けられていてもよい。この場合、位置制御部42は、第2の移動体3に設けられた障害物検出部によって検出された障害物領域を、通信部26を介して第2の移動体3から取得する。
図3に戻って、位置制御部42の説明を続ける。位置制御部42は、移動状態検出部25による加速度の検出結果に基づいて、第1の移動体2が加速または減速しているか否かを判定する。位置制御部42は、例えば、第1の移動体2がケーブル4を介して第2の移動体3を引っ張っている状態である場合において、第1の移動体2が加速または減速していると判定した場合、張力検出部22で検出された張力の大きさと方向とを示す張力情報を第2の移動体3へケーブル4を介して通信部26に送信させる。位置制御部42は、第1の移動体2がケーブル4を介して第2の移動体3を引っ張っている状態であるか否かを、例えば、張力検出部22で検出された張力の大きさまたは第1の移動体2の速度に基づいて判定する。なお、位置制御部42は、移動状態検出部25によって検出された加速度の情報と張力情報とを第2の移動体3へケーブル4を介して通信部26に送信させることもできる。
次に、第2の移動体3の構成について説明する。図10は、実施の形態1にかかる第2の移動体の構成の一例を示す図である。図10に示すように、第2の移動体3は、電源部31と、複数のロータ32と、複数のモータ33と、通信部34と、センサ群35と、制御部36とを備える。第2の移動体3に接続されるケーブル4は、第1の移動体2から第2の移動体3へ電力を供給する電路を形成する給電線4aと、第1の移動体2と第2の移動体3との間で送受信される信号が伝送される通信線4bとを含む。
電源部31は、ケーブル4に含まれる給電線4aを介して第1の移動体2から供給される電力に基づいて、通信部34、センサ群35、および制御部36などへ電力を供給する。なお、電源部31は、バッテリを有する構成であってもよい。この場合、電源部31は、ケーブル4からの電力供給が途絶えた場合に、バッテリの電力を通信部34、センサ群35、および制御部36などへ供給する。
複数のロータ32の各々は、複数のモータ33のうち対応するモータ33によって回転させられる。複数のロータ32の回転によって、第2の移動体3が空中を移動することができる。なお、図10などに示す第2の移動体3は、ロータ32の数が4つであるが、ロータ32の数は、5つ以上であってもよく、3つ以下であってもよい。
通信部34は、ケーブル4に含まれる通信線4bに接続されており、通信線4bを介して第1の移動体2との間で情報の送受信を行う。制御部36は、第1の移動体2から送信され通信部34で受信された信号を通信部34から取得したり、第1の移動体2への信号を通信部34から第1の移動体2へ送信させたりすることができる。
センサ群35は、各種のセンサを含む。センサ群35に含まれるセンサは、例えば、カメラ、レーザスキャナ、LIDAR、RADAR、角速度センサ、加速度センサ、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、超音波センサ、磁気方位センサ、またはGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機などである。なお、センサ群35に含まれるセンサはこれらのセンサに限定されない。
制御部36は、第1の移動体2から送信され通信部34で受信される制御信号に含まれる移動指令とセンサ群35に含まれるセンサの検出結果とに基づいて、複数のモータ33を制御し、移動指令に応じた移動方向へ移動指令に応じた移動速度で移動する。
また、制御部36は、第1の移動体2から送信され通信部34で受信される制御信号に含まれる張力情報に基づいて、第2の移動体3の姿勢を制御する。例えば、張力情報は、第1の移動体2が加速または減速する場合に第2の移動体3へ送信される。
第1の移動体2によって第2の移動体3がケーブル4を介して引っ張られている状態で、第1の移動体2が加速したり減速したりすると、ケーブル4の張力が変化する。このような場合において、制御部36は、張力情報から第2の移動体3に加わる力に含まれる張力の大きさと方向を把握することができ、かかる張力を外乱として第2の移動体3の姿勢制御を精度よく行うことができる。
また、制御部36は、第1の移動体2から送信される信号に張力情報と加速度情報とが含まれる場合、第1の移動体2から通信部34で受信した信号に含まれる加速度情報に基づいて、第1の移動体2が加速または減速しているか否かを判定する。そして、制御部36は、第1の移動体2から通信部34で受信した信号に含まれる張力情報に基づいて、第1の移動体2がケーブル4を介して第1の移動体2に引っ張られている状態であるか否かを判定する。
制御部36は、第2の移動体3がケーブル4を介して第1の移動体2によって引っ張られており、且つ第1の移動体2が加速または減速していると判定した場合、第1の移動体2から受信した張力情報に基づいて、第2の移動体3の姿勢制御を行う。これにより、第2の移動体3の姿勢制御を精度よく行うことができる。したがって、移動体システム1では、第2の移動体3の移動性能が第1の移動体2の移動性能よりも低い場合であっても、第2の移動体3は第1の移動体2の速度で移動することができる。
なお、張力情報は、第1の移動体2の張力検出部22によって検出された情報であるが、ケーブル4の張力の大きさと方向を検出する張力検出部はセンサ群35に設けられていてもよい。この場合、制御部36は、センサ群35の張力検出部によって検出された張力の大きさと方向とを示す張力情報を用いて、第2の移動体3の姿勢制御を行う。なお、制御部36は、第1の移動体2が加速または減速しているか否かにかかわらず、第2の移動体3の姿勢制御を行うこともできる。
また、通信部34は、センサ群35に含まれる1以上のセンサで検出された情報を第1の移動体2へケーブル4を介して送信する。例えば、通信部34は、センサ群35に含まれるカメラで検出された画像の情報を第1の移動体2へケーブル4を介して送信する。
ここで、ケーブル4と第2の移動体3との接続の一例について説明する。図11は、実施の形態1にかかるケーブルと第2の移動体との接続を説明するための図である。図11に示すように、第2の移動体3は、ユニバーサルジョイント37を有しており、かかるユニバーサルジョイント37に、一端部が第1の移動体2に接続されたケーブル4の他端部が接続される。また、ケーブル4の他端部の先端は、給電線4aが電源部31に接続され、通信線4bが通信部34に接続される。
ユニバーサルジョイント37は、例えば、カルダンジョイントまたはツェッパジョイントである。ユニバーサルジョイント37は、第2の移動体3の重心領域に配置される。このように、第2の移動体3は、ケーブル4に接続されるユニバーサルジョイント37が重心領域に配置されるため、ケーブル4の張力によって第2の移動体3に生じるモーメント力を抑制することができ、第2の移動体3の姿勢制御が不能になることを回避することができる。
なお、ケーブル4と第2の移動体3との接続は、ユニバーサルジョイント37に限定されない。例えば、第2の移動体3は、重心領域に一端部が取り付けられた複数の棒状部材の他端部がケーブル4に接続される構成であってもよい。図12は、実施の形態1にかかるケーブルと第2の移動体との接続の他の例を説明するための図である。
図12に示す例では、第2の移動体3は、移動体本体30の重心領域に一端部が取り付けられた複数の棒状部材71を備える。一端部が第1の移動体2に接続されたケーブル4の他端部は、3つに分岐されており、分岐された3つのケーブル4の各々の先端に複数の棒状部材71のうち対応する棒状部材が接続される。
なお、ケーブル4は、分岐された3つのケーブル4のうち1つのケーブル4のみに給電線4aと通信線4bが含まれる構成であってもよく、1つのケーブル4に給電線4aが含まれ、残りの1つのケーブル4に通信線4bが含まれる構成であってもよい。また、分岐された3つのケーブル4のすべてに給電線4aと通信線4bが含まれる構成であってもよい。なお、複数の棒状部材71のうち少なくとも1つの棒状部材71は、例えば、円筒状の部材であり、給電線4aおよび通信線4bは棒状部材71の内部に挿通されて、電源部31および通信部34に接続される。なお、棒状部材71の数は、4つ以上であってもよい。
つづいて、フローチャートを用いて第1の移動体2の制御部29による処理を説明する。図13は、実施の形態1にかかる第1の移動体の制御部による処理の一例を示すフローチャートである。第1の移動体2の制御部29は、図13に示す処理を繰り返し行う。
図13に示すように、制御部29は、位置情報、移動状態情報、張力情報、および障害物領域情報を取得する(ステップS11)。位置情報は、位置検出部23によって検出される第2の移動体3の位置を示す情報であり、張力情報は、張力検出部22によって検出される張力の大きさおよび方向を示す情報である。障害物領域情報は、障害物検出部24によって検出される障害物領域の情報であり、移動状態情報は、移動状態検出部25によって検出される第1の移動体2の移動状態を示す情報である。
制御部29は、ステップS11で取得した情報に基づいて、第2の移動体3の位置制御を行う(ステップS12)。ステップS12の処理において、制御部29は、例えば、第2の移動体3の制御とウィンチ21の制御とを含む位置制御を第2の移動体3の位置制御として行う。
また、制御部29は、ステップS11で取得した情報に基づいて、第2の移動体3の姿勢制御用の情報があるか否かを判定する(ステップS13)。制御部29は、例えば、第1の移動体2によって第2の移動体3がケーブル4を介して引っ張られている状態で、第1の移動体2が加速または減速する場合に、第2の移動体3の姿勢制御用の情報があると判定する。
制御部29は、第2の移動体3の姿勢制御用の情報があると判定した場合(ステップS13:Yes)、姿勢制御用の情報を第2の移動体3へ通信部26に送信させる(ステップS14)。ステップS14の処理において、制御部29は、例えば、第2の移動体3の姿勢制御用の情報として張力情報を第2の移動体3へ通信部26に送信させる。制御部29は、ステップS14の処理が終了した場合、または第2の移動体3の姿勢制御用の情報がないと判定した場合(ステップS13:No)、図13に示す処理を終了する。
つづいて、フローチャートを用いて第2の移動体3の制御部36による処理を説明する。図14は、実施の形態1にかかる第2の移動体の制御部による処理の一例を示すフローチャートである。第2の移動体3の制御部36は、図14に示す処理を繰り返し行う。
図14に示すように、制御部36は、センサ群35から情報を取得し(ステップS21)。第1の移動体2から情報を取得する(ステップS22)。そして、制御部36は、取得した情報に基づいて、各モータ33を制御する(ステップS23)。これにより、制御部36は、第2の移動体3の移動制御および姿勢制御を行うことができる。制御部36は、ステップS23の処理が終了した場合、図14に示す処理を終了する。
図15は、実施の形態1にかかる制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。図15に示すように、制御部29,36の各々は、プロセッサ101と、メモリ102とを備えるコンピュータを含む。
プロセッサ101およびメモリ102は、例えば、バス103によって互いに情報の送受信が可能である。図15が制御部29のハードウェア構成の場合、プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、移動軌跡予測部41、位置制御部42、またはウィンチ制御部43などの機能を実行する。また、図15が制御部36のハードウェア構成の場合、プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部36の機能を実行する。プロセッサ101は、例えば、処理回路の一例であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ102は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち一つ以上を含む。なお、制御部29,36の各々は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
以上のように、実施の形態1にかかる移動体システム1は、第1の移動体2と、第2の移動体3と、ケーブル4と、を備える。第1の移動体2は、地上の走行路または構造物の側壁の走行路を走行する。第2の移動体3は、モータ33を駆動源として空中を移動する。ケーブル4は、第1の移動体2と第2の移動体3とを接続し、第1の移動体2から第2の移動体3へ電力を供給する電路を形成する。第1の移動体2は、第2の移動体3の位置とケーブル4の状態とに基づいて、第2の移動体3の位置制御を行う制御部29を備える。これにより、移動体システム1は、第2の移動体3が空中で長時間移動することができ、さらに、第2の移動体3を精度よく制御することができる。なお、制御部29は、移動体制御装置の一例である。なお、上述では、制御部29によって第2の移動体3の位置制御に用いられるケーブル4の状態が、ケーブル4の張力およびケーブル4の長さのうちの少なくとも1つである例を示したが、第2の移動体3の位置制御に用いられるケーブル4の状態は、第1の移動体2と第2の移動体3との間のケーブル4の距離、第1の移動体2と第2の移動体3との間のケーブル4の弛み、および第1の移動体2と第2の移動体3との間のケーブル4の重さの少なくとも1つを含んでいてもよい。ケーブル4の距離は、例えば、ウィンチ21から送り出されているケーブル4の始点と終点との間の直線距離である。
また、第1の移動体2は、ケーブル4の送り出しと巻き取りとが可能なウィンチ21を備える。制御部29は、ウィンチ21を制御してケーブル4の送り出しおよび巻き取りのうち少なくとも一方を行って第2の移動体3の位置制御を行う。これにより、移動体システム1は、第2の移動体3を精度よく制御することができる。このように、移動体システム1は、ケーブル4の長さを調整することで、第2の移動体3を精度よく制御することができる。
また、制御部29は、第2の移動体3の位置とケーブル4の状態とに基づいて、第2の移動体3の位置制御とウィンチ21の制御とを連動させて第2の移動体3の位置制御を行う。これにより、例えば、移動体システム1は、第2の移動体3に対する移動指令だけでは第2の移動体3の位置制御が難しい場合であっても、第2の移動体3を精度よく制御することができる。
また、第1の移動体2は、ケーブル4の状態としてケーブル4の張力の大きさと方向とを検出する張力検出部22を備える。第2の移動体3は、張力検出部22の検出結果に基づいて、第2の移動体3の姿勢を制御する。これにより、移動体システム1は、第2の移動体3の姿勢を精度よく制御することができる。なお、ケーブル4の張力の大きさと方向を検出する張力検出部は、第2の移動体3のセンサ群35に設けられていてもよい。この場合、第2の移動体3は、センサ群35でケーブル4の張力の大きさと方向とを検出し、検出した張力の情報に基づいて第2の移動体3の姿勢を制御する。これにより、第2の移動体3は、第2の移動体3に加わる力に含まれるケーブル4の張力を外乱として姿勢制御を行うことができる。そのため、これによっても、第2の移動体3を精度よく制御することができる。
また、第1の移動体2は、第1の移動体2の加速度を検出する移動状態検出部25を備える。第2の移動体3は、移動状態検出部25によって検出される加速度が加速または減速を示す場合に、張力検出部22の検出結果に基づいて、第2の移動体3の姿勢を制御する。これにより、第2の移動体3は、第2の移動体3に加わる力に含まれるケーブル4の張力を外乱として姿勢制御を行うことができる。そのため、これによっても、移動体システム1は、第2の移動体3を精度よく制御することができる。したがって、移動体システム1では、第2の移動体3の移動性能が第1の移動体2の移動性能よりも低い場合であっても、第2の移動体3は第1の移動体2の速度で移動することができる。
また、第2の移動体3は、第1の移動体2に一端部が接続されるケーブル4の他端部に接続され、重心領域に配置されるユニバーサルジョイント37を備える。これにより、移動体システム1では、ケーブル4の張力によって第2の移動体3に生じるモーメント力を抑制することができ、第2の移動体3の姿勢制御が不能になることを回避することができる。
また、第1の移動体2または第2の移動体3は、障害物を検出する障害物検出部24を備える。第1の移動体2の制御部29は、移動軌跡予測部41と、位置制御部42とを備える。移動軌跡予測部41は、ケーブル4の移動軌跡を予測する。位置制御部42は、移動軌跡予測部41によって予測されたケーブル4の予測軌跡が障害物検出部24によって検出された障害物の領域に第2の移動体3が進入しないように第2の移動体3の位置制御を行う。これにより、移動体システム1では、ケーブル4が障害物である点検対象物に接触することを回避することができ、第2の移動体3を精度よく制御することができる。
また、移動軌跡予測部41は、第1の移動体2および第2の移動体3の移動状態のうちの少なくとも一方の移動状態と、ケーブル4の状態とに基づいて、ケーブル4の移動軌跡を推定する。これにより、移動体システム1は、ケーブル4の移動軌跡を精度よく予測することができる。
また、第1の移動体2は、第2の移動体3の位置を検出する位置検出部23を備える。制御部29は、位置検出部23によって検出された第2の移動体3の位置に基づいて、第2の移動体3の位置制御を行う。これにより、移動体システム1は、第2の移動体3の位置の検出を精度よく行うことができる。
また、位置検出部23は、第1の移動体2における互いに異なる位置に設けられ第2の移動体3が存在する方向を各々検出する複数の移動体検出部23a,23bを有し、複数の移動体検出部23a,23bの検出結果に基づいて、第2の移動体3の位置を検出する。このように、位置検出部23は、多点計測によって第2の移動体3の位置を検出するため、第2の移動体3の位置の検出を精度よく行うことができる。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる移動体システムは、ユニバーサルジョイントに代えて第2の移動体に3自由度のジンバル機構が設けられ、かかる3自由度のジンバル機構にケーブルが接続される点で、実施の形態1にかかる移動体システム1と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の移動体システム1と異なる点を中心に説明する。
図16は、実施の形態2にかかる移動体システムの構成の一例を示す図である。図17は、実施の形態2にかかる第2の移動体の構成の一例を示す図である。図16に示すように、実施の形態2にかかる移動体システム1Aは、第1の移動体2と、第2の移動体3Aと、第1の移動体2と第2の移動体3Aとを接続するケーブル4とを備える。
第2の移動体3Aは、図17に示すように、移動体本体30と、移動体本体30に取り付けられた3自由度のジンバル機構38とを備える。移動体本体30には、上述した電源部31、複数のロータ32、複数のモータ33、通信部34、センサ群35、および制御部36が含まれる。3自由度のジンバル機構38は、3つのロータ81a,81b,81cと、3つの回転軸82a,82b,82cとを備える。
回転軸82aは、移動体本体30の重心領域に取り付けられ、ロータ81aに不図示のベアリングを介して取り付けられる。回転軸82bは、ロータ81aとロータ81bとに各々不図示のベアリングを介して取り付けられる。回転軸82cは、ロータ81bとロータ81cとに各々不図示のベアリングを介して取り付けられる。ジンバル機構38は、ケーブル4の張力によって第2の移動体3Aが引っ張られた場合であっても、ケーブル4の張力が移動体本体30の重心領域に加わるように動作する。これにより、ケーブル4の張力によって第2の移動体3Aに生じるモーメント力を抑制することができ、第2の移動体3Aの姿勢制御が不能になることを回避することができる。
以上のように、実施の形態2にかかる移動体システム1Aの第2の移動体3Aは、第1の移動体2に一端部が接続されるケーブル4の他端部に接続される3自由度のジンバル機構38を備える。ジンバル機構38は、最も外側のロータであるロータ81cがケーブル4の他端部に接続され、最も内側のロータであるロータ81aが移動体本体30に接続される。これにより、移動体システム1Aでは、ケーブル4の張力によって第2の移動体3Aに生じるモーメント力を抑制することができ、第2の移動体3Aの姿勢制御が不能になることを回避することができる。また、給電線4aおよび通信線4bは、例えば、ロータ81a,81b,81cおよび回転軸82a,82b,82cの内部に配線される。
実施の形態3.
実施の形態3にかかる移動体システムは、モータを駆動源として空中を移動する第3の移動体と、第1の移動体と第3の移動体とを接続するケーブルとをさらに備える点で、実施の形態1にかかる移動体システム1と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の移動体システム1と異なる点を中心に説明する。
図18は、実施の形態3にかかる移動体システムの構成の一例を示す図である。図19は、実施の形態3にかかる移動体システムの一例を示す平面図である。図18に示すように、実施の形態3にかかる移動体システム1Bは、第1の移動体2Bと、第2の移動体3と、第1の移動体2Bと第2の移動体3とを接続するケーブル4と、第3の移動体5と、第1の移動体2Bと第3の移動体5とを接続するケーブル6とを備える。
ケーブル4は、第1のケーブルの一例であり、ケーブル6は、第2のケーブルの一例である。第3の移動体5の移動性能は、第2の移動体3の移動性能よりも高く、第1の移動体2Bが高速で移動している状態でも、第1の移動体2Bと同等以上の速度で移動することができる。
第1の移動体2Bは、制御部29に代えて制御部29Bを備え、さらにウィンチ61を備える点で、第1の移動体2と異なる。なお、ウィンチ61は、ウィンチ21と同じ構成である。ウィンチ61は、図19に示すように、ケーブル6の送り出しおよび巻き取りを行う機能を有する電動ウィンチであり、制御部29Bによる制御によってケーブル6を送り出したり、ケーブル6を巻き取ったりする。
図20は、実施の形態3にかかる第3の移動体の構成の一例を示す図である。図20に示すように、第3の移動体5は、電源部51と、複数のロータ52と、複数のモータ53と、通信部54と、センサ群55と、制御部56とを備える。電源部51は、電源部31と同じ構成であり、ロータ52はロータ32と同じ構成であり、モータ53は、モータ33と同じ構成であり、センサ群55は、センサ群35と同じ構成である。第3の移動体5に接続されるケーブル6は、第1の移動体2Bから第3の移動体5へ電力を供給する電路を形成する給電線6aと、第1の移動体2Bと第3の移動体5との間で送受信される信号が伝送される通信線6bとを含む。
電源部51は、ケーブル6に含まれる給電線6aを介して第1の移動体2Bから供給される電力に基づいて、通信部54、センサ群55、および制御部56などへ電力を供給する。通信部54は、ケーブル6に含まれる通信線6bに接続されており、通信線6bを介して第1の移動体2Bとの間で情報の送受信を行う。制御部56は、第1の移動体2Bから送信され通信部54で受信された信号を通信部54から取得したり、第1の移動体2Bへの信号を通信部54から第1の移動体2Bへ送信させたりすることができる。
制御部56は、第1の移動体2Bからケーブル6を介して送信される制御信号に含まれる移動指令に基づいて、移動指令に応じた移動速度で移動指令に応じた移動方向へ移動するように、複数のモータ53で複数のロータ52を回転させる移動制御を行う。
また、通信部54は、センサ群55に含まれるカメラ、LIDAR、またはRADARの検出結果に基づいて、第2の移動体3が存在する方向を示す情報である方向情報を第1の移動体2Bへケーブル6を介して送信する。
また、通信部54は、センサ群55に含まれるカメラ、LIDAR、またはRADARの検出結果に基づいて、第3の移動体5を基準とした第2の移動体3の相対位置を示す情報である位置情報を第1の移動体2Bへケーブル6を介して送信することもできる。
また、通信部54は、センサ群35に含まれる1以上のセンサで検出された情報を第1の移動体2Bへケーブル6を介して送信する。例えば、通信部54は、センサ群35に含まれるカメラで検出された画像の情報を第1の移動体2Bへケーブル6を介して送信する。
次に、第1の移動体2Bの構成について説明する。図21は、実施の形態3にかかる第1の移動体の構成の一例を示す図である。図21に示すように、第1の移動体2Bは、位置検出部23および制御部29に代えて位置検出部23Bおよび制御部29Bを備え、さらにウィンチ61を備える。制御部29Bは、位置制御部42およびウィンチ制御部43に代えて位置制御部42Bおよびウィンチ制御部43Bを備える点で、制御部29と異なる。
通信部26は、ケーブル6に含まれる通信線6bにさらに接続されており、第3の移動体5との間で信号の送受信を行う。制御部29Bは、第3の移動体5への信号を通信部26から第3の移動体5へ送信させたり、第3の移動体5から送信され通信部26で受信された信号を通信部26から取得することができる。
処理部28は、第3の移動体5から送信され通信部26で受信された情報を通信部26から取得し、取得した情報を処理する。例えば、処理部28は、第2の移動体3から送信される情報に対する処理と同様に、第3の移動体5から送信される情報を処理する。例えば、処理部28は、点検対象物の全体画像の情報および点検対象物の3次元点群の情報を生成することができる。
位置検出部23Bは、位置検出部23の機能に加え、移動体検出部23a,23bによって検出される第3の移動体5が存在する方向に基づいて、第3の移動体5の位置を検出する。位置制御部42Bは、位置検出部23Bによって検出された第3の移動体5の位置に基づいて、第3の移動体5の位置が目標位置になるように移動指令を生成し、生成した移動指令を含む制御信号を第3の移動体5へケーブル6を介して通信部26に送信させる。また、ウィンチ制御部43Bは、位置制御部42Bからの要求に基づいて、ケーブル6の巻き取りを行ったり、ケーブル6の送り出しを行ったりすることができる。
また、位置検出部23Bは、第3の移動体5から送信され通信部26で受信される方向情報に基づいて、第2の移動体3の位置を検出することができる。例えば、位置検出部23Bは、移動体検出部23a,23bのうち1つの移動体検出部によって検出された第2の移動体3が存在する方向と、第3の移動体5によって検出された第2の移動体3が存在する方向と、第3の移動体5の位置とに基づいて、第2の移動体3の位置を検出することができる。
例えば、図19に示すように、移動体検出部23bの位置をA点とし、第3の移動体5の位置をB点とし、第2の移動体3の位置をC点とする。この場合、位置検出部23Bは、移動体検出部23bによって検出された第2の移動体3が存在する方向と、第3の移動体5によって検出された第2の移動体3が存在する方向と、第3の移動体5の位置とに基づいて、第2の移動体3の位置を検出する。これにより、第1の移動体2Bは、例えば、移動体検出部23a,23bのうちいずれかの移動体検出部で第2の移動体3が存在する方向を検出することができない場合であっても、第2の移動体3の位置を精度よく検出することができる。なお、第1の移動体2Bに対する第3の移動体5の相対位置が予め定められている場合、位置検出部23Bは、第3の移動体5の位置を用いなくてもよい。
また、位置検出部23Bは、通信部26から検出情報を取得し、検出した第3の移動体5の位置と、検出情報で示される第2の移動体3の位置とに基づいて、第1の移動体2Bの基準位置に対する第3の移動体5の位置を検出することもできる。
実施の形態3にかかる第1の移動体2Bの制御部29Bのハードウェア構成例は、図15に示す第1の移動体2の制御部29のハードウェア構成と同じである。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部29Bの機能を実行することができる。なお、第1の移動体2Bは、ユニバーサルジョイント37に代えて、3自由度のジンバル機構38を備える構成であってもよい。
以上のように、実施の形態3にかかる移動体システム1Bは、モータ53を駆動源として空中を移動する第3の移動体5を備える。第1の移動体2Bは、第2の移動体3が存在する方向を検出する位置検出部23Bを備える。制御部29Bは、第3の移動体5によって検出された第2の移動体3が存在する方向と、位置検出部23Bによって検出された第2の移動体3が存在する方向とに基づいて、第2の移動体3の位置を検出する。これにより、移動体システム1Bは、第2の移動体3が第1の移動体2Bから見えない位置にある場合であっても、第2の移動体3の位置の検出を精度よく行うことができる。そのため、第1の移動体2Bは、第2の移動体3の位置制御を高精度に行うことができる。
また、ケーブル4を第1のケーブルとした場合、第1のケーブルとは異なるケーブルであって第1の移動体2Bと第3の移動体5とを接続し且つ第1の移動体2Bから第3の移動体5への電力供給の電路を形成する第2のケーブルの一例であるケーブル6を備える。これにより、第3の移動体5は、第2の移動体3と同様に空中を長時間移動することができる。
実施の形態4.
実施の形態4にかかる移動体システムは、第1の移動体と第3の移動体とを接続するケーブルが第2の移動体を経由する点で、実施の形態3にかかる移動体システム1Bと異なる。以下においては、実施の形態3と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態3の移動体システム1Bと異なる点を中心に説明する。
図22は、実施の形態4にかかる移動体システムの構成の一例を示す図である。図23は、実施の形態4にかかる移動体システムの一例を示す平面図である。図22に示すように、実施の形態4にかかる移動体システム1Cは、第1の移動体2Cと、第2の移動体3と、ケーブル4と、第3の移動体5と、第1の移動体2Cと第3の移動体5とを接続するケーブル6とを備える。ケーブル4は、第1のケーブルの一例であり、ケーブル6は、第2のケーブルの一例である。
図22および図23に示すように、第1の移動体2Cに一端部が接続されたケーブル6は、中途部が第2の移動体3に把持されており、第2の移動体3を経由して他端部が第3の移動体5に接続される。これにより、ケーブル6の中途部が第2の移動体3に伴って移動する。そのため、移動体システム1Cでは、例えば、図22に示すように、第1の移動体2Cから点検対象物が見えないような位置であっても、第3の移動体5によって点検対象物の情報を収集することができる。なお、ケーブル6は、第2の移動体3を経由して他端部が第3の移動体5に接続されていればよく、第2の移動体3は、ケーブル6の中途部を移動可能に保持することもできる。
図24は、実施の形態4にかかる第1の移動体の構成の一例を示す図である。図24に示すように、第1の移動体2Cは、位置検出部23Bおよび制御部29Bに代えて制御部29Cおよび位置検出部23Cを備える。制御部29Cは、位置制御部42Bに代えて位置制御部42Cを備える点で、制御部29Bと異なる。
位置検出部23Cは、第3の移動体5によって検出された第2の移動体3が存在する方向を示す情報を用いない点で、位置検出部23Bと異なる。位置検出部23Cは、通信部26から検出情報を取得し、検出した第3の移動体5の位置と、検出情報で示される第2の移動体3の位置とに基づいて、第1の移動体2Cを位置とした第3の移動体5の相対位置を検出する。
位置制御部42Cは、位置制御部42Bと同様に、第3の移動体5の位置制御を行う。位置制御部42Cは、位置検出部23Cによって検出された第3の移動体5の位置に基づいて、第3の移動体5の位置が目標位置になるように移動指令を生成し、生成した移動指令を含む制御信号を第3の移動体5へケーブル6を介して通信部26に送信させる。また、ウィンチ制御部43Bは、位置制御部42Cからの要求に基づいて、ケーブル6の巻き取りを行ったり、ケーブル6の送り出しを行ったりすることができる。
なお、図22および図23に示す例では、ケーブル6は、ケーブル4と別体で設けられるが、ケーブル6の一部がケーブル4と共通であってもよい。例えば、第1の移動体2Cと第2の移動体3とを接続するケーブルを、給電線4a、通信線4b、給電線6a、および通信線6bが被膜されたケーブルとし、第2の移動体3と第3の移動体5とを接続するケーブルを給電線6aおよび通信線6bが被膜されたケーブルとしてもよい。この場合、移動体システム1Cにおいて、ウィンチ61は設けられない。なお、給電線4aと給電線6aとは一部が共用されてもよい。
また、制御部29Cは、第2の移動体3によるケーブル6の保持を中止する指令である保持中止要求を含む制御信号を通信部26からケーブル4を介して第2の移動体3へ送信させることができる。第2の移動体3の制御部36は、第1の移動体2Cからの保持中止要求が通信部34で受信された場合、ケーブル6の保持を中止する。
実施の形態4にかかる第1の移動体2Cの制御部29Cのハードウェア構成例は、図15に示す第1の移動体2の制御部29のハードウェア構成と同じである。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部29Cの機能を実行することができる。
なお、第3の移動体5が点検対象物の情報をセンサ群55で収集する場合、第2の移動体3は、点検対象物の情報の収集処理機能を有しない構成であってもよい。
以上のように、実施の形態4にかかる移動体システム1Cは、モータ53を駆動源として空中を移動する第3の移動体5を備える。第2の移動体3は、第3の移動体5の位置を検出するセンサ群35を備える。センサ群35は、位置検出部の一例である。第1の移動体2Cの位置制御部42Cは、第1の移動体2Cの位置検出部23Cによって検出された第2の移動体3の位置と、第2の移動体3のセンサ群35によって検出された第3の移動体5の位置に基づいて、第1の移動体2Cを基準とした第3の移動体5の位置を検出する。これにより、移動体システム1Cでは、第1の移動体2Cから点検対象物が見えないような位置であっても、第3の移動体5によって点検対象物の情報を収集することができる。
また、移動体システム1Cは、ケーブル4を第1のケーブルとした場合、第1のケーブルとは異なるケーブルであって第2の移動体3と第3の移動体5とを接続し且つ第1の移動体2Cから第3の移動体5への電力供給の電路を形成する第2のケーブルの一例であるケーブル6を備える。これにより、第3の移動体5は、第2の移動体3と同様に空中を長時間移動することができる。
実施の形態5.
実施の形態5にかかる移動体システムは、モータを駆動源として空中を移動する第4の移動体と、第4の移動体への給電を行うケーブルとをさらに備える点で、実施の形態4にかかる移動体システム1と異なる。以下においては、実施の形態4と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態4の移動体システム1Cと異なる点を中心に説明する。
図25は、実施の形態5にかかる移動体システムの構成の一例を示す図である。図25に示すように、実施の形態5にかかる移動体システム1Dは、第1の移動体2Dと、第2の移動体3と、第3の移動体5と、第4の移動体7と、ケーブル4D,6D,8とを備える。第4の移動体7は、第3の移動体5と同じ構成であり、モータを駆動源として空中を移動する。第3の移動体5は、第2の移動体3の位置を検出する処理と同様の処理によって、第4の移動体7の位置を検出する。
ケーブル4Dは、第2の移動体3、第3の移動体5、および第4の移動体7の各々と第1の移動体2Dとの間の信号線と、給電線とを含み、第1の移動体2Dと第2の移動体3とを接続する。ケーブル6Dは、第3の移動体5および第4の移動体7の各々と第1の移動体2Dとの間の信号線と、給電線とを含み、第2の移動体3と第3の移動体5とを接続する。ケーブル8は、第4の移動体7と第1の移動体2Dとの間の信号線と、給電線とを含み、第3の移動体5と第4の移動体7とを接続する。ケーブル4Dは、第1のケーブルの一例であり、ケーブル6Dは、第2のケーブルの一例である。
なお、図25に示す例では、第2の移動体3、第3の移動体5、および第4の移動体7の各々は、ケーブル6D,8のうち対応する1以上のケーブルが挿通される筒状部材を有する。かかる筒状部材によって、第2の移動体3、第3の移動体5、および第4の移動体7の各々は、ケーブルがロータ32,52に接触することを防止することができる。なお、ケーブルがロータ32,52に接触することを防止することができればよく、ケーブルが保持される部材は、筒状部材に限定されない。
図26は、実施の形態5にかかる第1の移動体の構成の一例を示す図である。図26に示すように、第1の移動体2Dは、位置検出部23Cおよび制御部29Cに代えて位置検出部23Dおよび制御部29Dを備える。制御部29Dは、位置制御部42Cに代えて位置制御部42Dを備える点で、制御部29Cと異なる。
位置検出部23Dは、位置検出部23Cの機能に加え、第1の移動体2Dを基準とした第4の移動体7の相対位置を検出する機能を有する。位置検出部23Dは、検出した第3の移動体5の位置と第3の移動体5から送信される検出情報とに基づいて、第1の移動体2Dを基準とした第4の移動体7の相対位置を検出する。
位置制御部42Dは、位置制御部42Cの機能に加え、第4の移動体7の位置制御を行う。位置制御部42Dは、位置検出部23Dによって検出された第4の移動体7の位置に基づいて、第4の移動体7の位置が目標位置になるように移動指令を生成し、生成した移動指令を含む制御信号を第4の移動体7へケーブル8を介して通信部26に送信させる。
以上のように、実施の形態5にかかる移動体システム1Dでは、第3の移動体5に加え、第4の移動体7を有しており、かかる第4の移動体7によって障害対象物の情報を収集することができる。
なお、上述した移動体システム1,1A,1B,1C,1Dでは、移動体間の通信は、有線で行うが移動体間の通信を無線で行う構成であってもよい。例えば、この場合、ケーブルには通信線を設けなくてもよい。また、上述した例では、位置検出部23,23B,23C,23Dは、第1の移動体2,2B,2C,2Dを基準とした相対位置を検出するが、緯度、経度、および高度で示される絶対位置を検出することもできる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。