JP7499008B2 - 二相ステンレス鋼およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、二相ステンレス鋼およびその製造方法に関する。
二相ステンレス鋼は、耐食性に優れるとともに、特に高い強度を有することから、建材または構造材料として使用されている。熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯の中で二相ステンレス鋼の鋼種としては、JIS G 4304に記載のSUS329J1またはSUS329J4L等が挙げられる。
これら従来の二相ステンレス鋼は、添加元素量が多く比較的高価であるため、添加元素量を抑えたリーン型の二相ステンレス鋼が開発されている。特許文献1および2には、Ni含有量が低く、MnおよびN等のオーステナイト生成元素を活用した安価な二相ステンレス鋼が開示されている。
特開昭61-56267号公報 特開2010-229459号公報
しかし、Nを活用したリーン型二相ステンレス鋼は、オーステナイトとフェライトという異なる相の混合組織からなる。それに加えて、強力な固溶強化元素であり、容易に化合物を形成するNを多く含有する。そのため、様々な形状への加工が難しいという問題があった。特に、熱間加工では、オーステナイト相とフェライト相との特性の差が顕在化する。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、高い強度を有するとともに、耐食性および加工性に優れた二相ステンレス鋼を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した課題を解決するために検討を重ねた結果、以下の知見を得るに至った。
(a)数種の二相ステンレス鋼を溶製し、酸素を含有する雰囲気下において、多種の条件で処理した結果、Nはスケール中にほとんど含まれず、スケール直下の金属相に残留濃化することを見出した。
(b)スケール直下にNが濃化することにより、二相ステンレス鋼の表面には、オーステナイト相の分率が表面に近づくほど高くなるオーステナイト濃化層(以下、「γ濃化層」ともいう。)が形成される。
(c)上記の方法で形成されたγ濃化層では、結晶粒の著しい粗大化が生じない。そのため、γ濃化層と肉厚中心部との間での結晶粒径の差は、わずかとなる。また、Nの固溶限が高いオーステナイト相であるために、少なくとも、加工性を著しく劣化させる粗大な化合物が、肉厚中心部に対してγ濃化層で著しく増加する傾向も認められない。
(d)これらの特徴を有することにより、表面に上記のγ濃化層が形成された二相ステンレス鋼は、高い強度を有するとともに、耐食性および加工性に優れる。
(e)上記のγ濃化層は、O濃度が2~10%である雰囲気中において、1200~1300℃で5h以上加熱保持することにより形成することができる。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、下記の二相ステンレス鋼およびその製造方法を要旨とする。
(1)厚さ方向中心位置におけるオーステナイト相の面積率が35%以上65%未満である金属組織を有する二相ステンレス鋼であって、
表面から深さ方向に少なくとも50μmまでの領域において、オーステナイト相の面積率が65%以上であるオーステナイト濃化層を有し、
前記厚さ方向中心位置における平均結晶粒径dcと、前記オーステナイト濃化層における平均結晶粒径dsとが、下記(i)式を満足し、
前記厚さ方向中心位置におけるN含有量が、質量%で、0.050%以上である、
二相ステンレス鋼。
0.80≦ds/dc≦1.25 ・・・(i)
(2)前記オーステナイト濃化層の厚さをtとした時に、
前記表面から深さ方向にtの位置におけるオーステナイト相の面積率より、前記表面から深さ方向にt/2の位置におけるオーステナイト相の面積率の方が高く、
前記表面から深さ方向にt/2の位置におけるオーステナイト相の面積率より、前記表面から深さ方向にt/10の位置におけるオーステナイト相の面積率の方が高い、
上記(1)に記載の二相ステンレス鋼。
(3)前記表面から深さ方向にt/10の位置におけるオーステナイト相の面積率が90%以上である、
上記(1)または(2)に記載の二相ステンレス鋼。
(4)前記厚さ方向中心位置におけるN含有量より、前記表面から深さ方向にt/10の位置におけるN含有量の方が高い、
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の二相ステンレス鋼。
(5)前記厚さ方向中心位置における化学組成が、質量%で、
C:0.001~0.060%、
Si:0.01~1.50%、
Mn:0.1~6.0%、
P:0.050%以下、
S:0.0050%以下、
Cr:19.0~25.0%、
Ni:1.0~6.0%、
N:0.050~0.25%、
Al:0.003~0.050%、
Ti:0~0.050%、
Nb:0~0.15%、
Mo:0~2.0%、
Cu:0~3.0%、
W:0~2.0%、
Mg:0~0.0050%、
Ca:0~0.0050%、
REM:0~0.30%、
B:0~0.0040%、
残部:Feおよび不純物である、
上記(1)から(4)までのいずれかに記載の二相ステンレス鋼。
(6)前記厚さ方向中心位置における化学組成が、質量%で、
Ti:0.01~0.050%、
Nb:0.02~0.15%、
Mo:0.05~4.0%、
Cu:0.05~4.0%、
W:0.05~4.0%、
Mg:0.0002~0.0050%、
Ca:0.0002~0.0050%、
REM:0.005~0.30%、および、
B:0.0003~0.0040%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(5)に記載の二相ステンレス鋼。
(7)前記厚さ方向中心位置におけるN含有量に対して、前記表面から深さ方向にt/10の位置におけるN含有量が3.0倍以上であり、
前記表面における圧縮残留応力が400MPa以上である、
上記(1)から(6)までのいずれかに記載の二相ステンレス鋼。
(8)厚さ方向中心位置におけるオーステナイト相の面積率が35%以上65%未満である金属組織を有し、前記厚さ方向中心位置におけるN含有量が、質量%で、0.050%以上である二相ステンレス鋼に対して、
(a)O濃度を2~10体積%である雰囲気中において、1200~1300℃で5h以上加熱する工程と、
(b)ショットブラストを施す工程と、
(c)1~10%佛酸と2~20%硝酸とを含む水溶液をノズルから吹き付けることにより酸洗する工程と、を
順に施す、
二相ステンレス鋼の製造方法。
(9)前記厚さ方向中心位置における化学組成が、質量%で、
C:0.001~0.060%、
Si:0.01~1.50%、
Mn:0.1~6.0%、
P:0.050%以下、
S:0.0050%以下、
Cr:19.0~25.0%、
Ni:1.0~6.0%、
N:0.050~0.25%、
Al:0.003~0.050%、
Ti:0~0.050%、
Nb:0~0.15%、
Mo:0~2.0%、
Cu:0~3.0%、
W:0~2.0%、
Mg:0~0.0050%、
Ca:0~0.0050%、
REM:0~0.30%、
B:0~0.0040%、
残部:Feおよび不純物である、
上記(8)に記載の二相ステンレス鋼の製造方法。
(10)前記厚さ方向中心位置における化学組成が、質量%で、
Ti:0.01~0.050%、
Nb:0.02~0.15%、
Mo:0.05~4.0%、
Cu:0.05~4.0%、
W:0.05~4.0%、
Mg:0.0002~0.0050%、
Ca:0.0002~0.0050%、
REM:0.005~0.30%、および、
B:0.0003~0.0040%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(9)に記載の二相ステンレス鋼の製造方法。
(11)前記(c)の工程の後に、前記二相ステンレス鋼に対して、
(d)Nを含む雰囲気中において、1000~1200℃で10min以内の加熱保持する工程を、さらに施す、
上記(8)から(10)までのいずれかに記載の二相ステンレス鋼の製造方法。
本発明によれば、高い強度を有するとともに、耐食性および加工性に優れた二相ステンレス鋼を工業的に安定して得ることができる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
1.二相ステンレス鋼
本発明に係る二相ステンレス鋼は、厚さ方向中心位置におけるオーステナイト相の面積率が、常温で35%以上65%未満である金属組織を有する。なお、残部はフェライト相および析出物である。オーステナイト相の面積率が35%未満であると、十分な強度が得られない。一方、オーステナイト相の面積率を65%以上とするためには、以下のような種々の問題が生じ得る。
まず、一般的に希少金属にも分類され高価なオーステナイト安定化元素であるNiの含有量を増加する必要があり、高価となる。また、リーン二相鋼を想定した場合、Nの含有量が高くなり過ぎ、高強度となり過ぎる。それに加えて、熱間加工時に粗大な化合物を形成する。以上の理由から、厚さ方向中心位置におけるオーステナイト相の面積率は35%以上65%未満とする。
厚さ方向中心位置におけるオーステナイト相の面積率は、40~60%であることが好ましい。オーステナイト相以外の相は、フェライト相および析出物である。析出物は炭化物、窒化物、硫化物、または金属間化合物等のいずれでもよい。
オーステナイトの面積率は、電子線後方散乱回折装置(EBSD)により行う。具体的には、各深さ位置を中心として100μm×100μmの領域を対象とし、1μmのステップで測定を行うものとする。そして、解析結果からFCC相を特定し面積率を求め、オーステナイトの面積率とする。
2.オーステナイト濃化層
本発明に係る二相ステンレス鋼においては、表面から深さ方向に少なくとも50μmまでの領域において、オーステナイト濃化層を有する。本発明において、「オーステナイト濃化層(γ濃化層)」とは、オーステナイト相の面積率が65%以上である領域を指す。
上記のγ濃化層は、オーステナイト相の面積率が35%以上65%未満である金属組織を有する二相ステンレス鋼が改質されることにより形成されたものである。したがって、γ濃化層の金属組織において、残部はフェライト相および析出物である。
上述のように、γ濃化層は所定の酸素を含有する雰囲気での加熱、保持(熱処理)により、スケール直下にNが濃化することによって形成される。このようなプロセスで形成したγ濃化層では、結晶粒の粗大化が生じない。そのため、本発明に係る二相ステンレス鋼においては、厚さ方向中心位置における平均結晶粒径dcと、γ濃化層における平均結晶粒径dsとが、下記(i)式を満足する。
0.80≦ds/dc≦1.25 ・・・(i)
また、上記のγ濃化層は、上記の熱処理に続けて実施される熱間加工、室温へ冷却後に実施される冷間加工、および、例えば、製品または製品を構成する部品等への成形時にも、同熱処理で形成された割合のまま、少なくともほぼ近い割合のまま維持される。
なお、厚さ方向中心位置およびγ濃化層における平均結晶粒径は、オーステナイト相の面積率と同時に、EBSDにより測定することが可能である。また、平均結晶粒径とは、オーステナイト相およびフェライト相の全粒の結晶粒径の平均値を意味する。
オーステナイト相は、フェライト相に比べて相対的に耐食性および加工性に優れる。さらに、オーステナイト相の分率を増加させることで、オーステナイト相とフェライト相との分率が同程度である場合に比べて、特性の差による悪影響も緩和される。
その結果、オーステナイト相に富み、かつ粒径が中心位置と同程度であるγ濃化層を表面に有することにより、表面の影響を大きく受ける耐食性および加工性を向上させる効果が得られる。γ濃化層の厚さが50μm未満では、上記の効果が十分には得られない。そのため、γ濃化層の厚さは50μm以上とする。
なお、γ濃化層の厚さの上限は特に限定しないが、熱処理時に5mmを超える厚さとした場合、局所的に5mmを大きく超える深いスケールが形成されるような、異常な酸化が起こる可能性が増加する。また、材料のロスによる歩留り低下が大きく、製造コストが嵩むといった問題が生じる。
また、上述のように、γ濃化層中のオーステナイト相の分率は、表面に近づくほど高くなることが好ましい。オーステナイト相の分率が表面に向かって急激に変化せずに漸移的に増加することによって、より良好な加工性が得られると考えられる。所定の深さ位置で、特性が大きく異なる相に一気に変化した場合、板等への加工時、または、製品の成形時に、応力、歪の集中により、一気に変化した部分で割れまたは剥離を生じる可能性が高い。
具体的には、γ濃化層の厚さをtとした時に、表面から深さ方向にtの位置におけるオーステナイト相の面積率より、表面から深さ方向にt/2の位置におけるオーステナイト相の面積率の方が高くなり、表面から深さ方向にt/2の位置におけるオーステナイト相の面積率より、表面から深さ方向にt/10の位置におけるオーステナイト相の面積率の方が高くなることが好ましい。
さらに、γ濃化層の表面付近においては、オーステナイト相の面積率が高いほど好ましい。具体的には、表面から深さ方向にt/10の位置におけるオーステナイト相の面積率は90%以上であることが好ましい。ただし、表面付近に元々存在していたフェライト相は、Nの濃化に伴い、粒径が小さくなっていくものの、完全には消えずに残存することによって、オーステナイト相の粗大化を抑制する作用を発揮すると考えられる。そのため、t/10の位置における組織がオーステナイト単相であると、結晶粒の粗大化を抑制する効果が得られなくなるおそれがある。そのため、t/10の位置におけるオーステナイト相の面積率は100%未満であることがより好ましい。
3.寸法
本発明に係る二相ステンレス鋼の寸法については特に制限は設けない。なお、本発明の二相ステンレス鋼を加工後に鋼板として用いる場合には、その板厚は1.0~20.0mmであることが好ましい。
4.化学組成
本発明に係る二相ステンレス鋼は、厚さ方向中心位置におけるN含有量が、質量%で、0.050%以上である。上述のように、本発明においては、スケール直下にNを濃化させることでオーステナイト相の分率を増加させる。N含有量が0.050%未満では、上記の効果を得ることができない。
N以外の元素の含有量については、オーステナイト相の面積率が35%以上65%未満となる限り、特に制限はない。以下に、厚さ方向中心位置における好適な化学組成について説明する。各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.001~0.060%
Cは、耐食性を劣化させるため、その含有量は少ないほど好ましく、C含有量を0.060%以下とすることが好ましい。しかし、過度な低減は精錬コストの上昇に繋がるため、C含有量を0.001%以上とすることが好ましい。製造性の点から、C含有量のより好ましい範囲は0.010~0.045%である。
Si:0.01~1.50%
Siは、強度を高める元素であり、精錬時の脱酸効果を有するため、その含有量を0.01%以上とすることが好ましい。一方、過度な含有は、製造時の割れを招くため、Si含有量を1.50%以下とすることが好ましい。製造性の点から、Si含有量は1.00%以下であることがより好ましい。
Mn:0.1~6.0%
Mnは、比較的安価であるため、Niの代わりに添加される場合がある。高強度化に有効であり、脱酸効果を有するため、その含有量を0.1%以上とすることが好ましい。一方、過度の含有は耐食性の劣化を招くため、Mn含有量を6.0%以下とすることが好ましい。製造性およびコストを両立するためには、Mn含有量は0.5~5.5%であることがより好ましい。
P:0.050%以下
Pは、製造性および溶接性を阻害する元素であり、その含有量は少ないほどよい。そのため、P含有量を0.050%以下とすることが好ましい。しかし、過度な低減は精錬コストの上昇に繋がるため、P含有量を0.003%以上とすることが好ましい。製造性および溶接性の点から、P含有量のより好ましい範囲は0.005~0.040%であり、さらに好ましい範囲は0.010~0.030%である。
S:0.0050%以下
Sは、鋼中に含まれる不可避的不純物元素であり、熱間加工性を低下させる。したがって、S含有量は低いほど好ましく、0.0050%以下とすることが好ましい。熱間加工性の点から、S含有量は低いほど好ましいが、過度な低減は原料および精錬のコストの上昇に繋がるため、S含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。製造性の点から、S含有量のより好ましい範囲は0.0001~0.0020%であり、さらに好ましい範囲は0.0002~0.0010%である。
Cr:19.0~25.0%
Crは、耐酸化性、耐食性を向上する元素である。二相ステンレス鋼として十分な耐食性を確保するために、Cr含有量を19.0%以上とすることが好ましい。しかし、過度なCrの含有は高温雰囲気に曝された際、脆化相であるσ相の生成を助長することに加え、合金コストの上昇を招くため、Cr含有量を25.0%以下とすることが好ましい。製造性の点から、Cr含有量のより好ましい範囲は20.0~24.5%である。
Ni:1.0~6.0%
Niは、耐食性を向上させ、二相ステンレス鋼ではオーステナイト相を安定化させる。耐食性向上のために、Ni含有量を1.0%以上とすることが好ましい。一方、Niは合金コストが高価であるため、その含有量を6.0%以下とすることが好ましい。製造性の点から、Ni含有量の好ましい範囲は1.5~5.5%である。
N:0.050~0.25%
Nは、上述のように、本発明においては不可欠の元素である。加えて、Nは耐食性を向上させる元素であり、またNiと同様にオーステナイトを安定化させるため、Niの代替として用いることができる。N含有量が少ない場合には十分な耐食性が得られない場合がある。N含有量が多い方が耐食性には効果的であるが、溶製時に窒素ガス化して気泡を生成する場合があるため、N含有量を0.25%以下とすることが好ましい。製造性の観点から、N含有量のより好ましい範囲は0.10~0.20%である。
Al:0.003~0.050%
Alは、脱酸元素として用いられる。脱酸元素として0.003%以上含有すれば効果があるため、Al含有量を0.003%以上とすることが好ましい。一方、過度の含有は硬質化を招くため、Al含有量を0.050%以下とすることが好ましい。製造性の観点から、Al含有量のより好ましい範囲は0.005~0.030%である。
Ti:0~0.050%
Tiは、C、Nと結合し、溶接部耐食性の向上および高強度化に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。一方、過度の含有は耐食性の低下および合金コスト増を招くため、Ti含有量を0.050%以下とすることが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ti含有量を0.01%以上とすることが好ましい。
Nb:0~0.15%
Nbは、C、Nと結合し、溶接部耐食性の向上および高強度化に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。一方、過度の含有は耐食性の低下および合金コスト増を招くため、Nb含有量を0.15%以下とすることが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Nb含有量を0.02%以上とすることが好ましい。
Mo:0~2.0%
Cu:0~3.0%
W:0~2.0%
Mo、CuおよびWは、耐食性の向上に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。一方、過度の含有はコスト増加および熱間加工性の低下を招く。そのため、Mo含有量を2.0%以下、Cu含有量を3.0%以下、W含有量を2.0%以下とすることが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、これらの元素から選択される1種以上の含有量を0.05%以上とすることが好ましい。
Mg:0~0.0050%
Ca:0~0.0050%
REM:0~0.30%
B:0~0.0040%
Mg、Ca、REMおよびBは、熱間加工性を向上させる元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。一方、過度の含有は製造性を阻害することに繋がる。そのため、Mg含有量を0.0050%以下、Ca含有量を0.0050%以下、REM含有量を0.30%以下、B含有量を0.0040%以下とすることが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、上記効果を発揮するため、Mg:0.0002%以上、Ca:0.0002%以上、REM:0.005%以上、B:0.0003%以上から選択される1種以上を含有することが好ましい。
上記の化学組成において、残部はFeおよび不純物である。ここで「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
また、上述のように、γ濃化層はNを濃化させることによって形成することができる。そのため、厚さ方向中心位置におけるN含有量より、表面から深さ方向にt/10の位置におけるN含有量の方が高くなることが好ましい。すなわち、厚さ方向中心位置におけるN含有量をNc(質量%)、表面から深さ方向にt/10の位置におけるN含有量をNs(質量%)とした場合に、Ns/Ncの値が1.0超となることが好ましい。厚さ方向中心位置および表面から深さ方向にt/10の位置におけるN含有量は、電子線マイクロアナライザー(EPMA)により測定可能である。
γ濃化層にNをさらに吸収させ、結晶格子内により多くのNを濃化させることにより、鋼の表面付近に圧縮残留応力を付与することが可能となり、その結果、曲げ疲労特性が向上する。このような効果を得たい場合には、厚さ方向中心位置におけるN含有量に対して、表面から深さ方向にt/10の位置におけるN含有量が3.0倍以上であることがより好ましい。すなわち、Ns/Ncの値が3.0以上となることがより好ましい。
また、Nを吸収させることによって付与される圧縮残留応力を400MPa以上とすることによって、高い曲げ疲労特性が得られる。なお、引張側を正、圧縮側を負として表現した場合における残留応力は-400MPa以下となる。
5.製造方法
本発明の二相ステンレス鋼でγ濃化層を形成するための製造方法について説明する。γ濃化層の主因と考える窒素の濃化は、一般的な窒素吸収、窒化で呼称される外部雰囲気からの窒素の吸収に起因するものではない。本発明におけるγ濃化層は、一定濃度以上の窒素を含有する二相ステンレス鋼において、緻密なスケールを形成し、その内部で材料に元から含有されていた窒素がほとんど外部に抜けることなく、内部に拡散および濃化することにより形成される。発明者らはこの現象を発見したのである。
ただし、その前提となる緻密なスケールは組成、構造および厚さに依存し、スケールを形成する熱処理条件、特に雰囲気に影響される。また、γ濃化層の厚さは、前述のように工業的熱処理後で5mm程度であり、大きな寸法変化を伴う熱間圧延により後述する実施例のように400μm程度に減厚する。これらより、本発明のγ濃化層は、熱処理条件、および熱処理または熱間圧延後の脱スケール方法の影響を受け、それらの適切な調整により初めて得られるのである。
一例として、上述した化学組成を有する鋼片に対して、以下に示す条件で加熱する工程(a)と、その後、ショットブラスト(b)および酸洗(c)により脱スケールを施した場合に、γ濃化層が形成される。各工程について詳しく説明する。
(a)加熱工程
濃度を2~10体積%である雰囲気中において、1200~1300℃で5h以上加熱する。加熱後には、熱間圧延を実施してもよい。
<雰囲気>
加熱時における雰囲気中のO濃度を2~10体積%とする。O濃度が2体積%未満では、スケールの成長が十分ではなく、スケール直下におけるNの濃化も不十分となる。一方、O濃度が10体積%を超える場合も、γ濃化層が得られない場合がある。γ濃化層は、緻密なスケールの形成により初めて得られるのである。このため、雰囲気中のO濃度は10%以下とする。O濃度8%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましい。
<加熱温度>
加熱温度は1200~1300℃とする。加熱温度が1200℃未満では、スケールの成長が十分ではなく、スケール直下におけるNの濃化も不十分となり、γ濃化層が得られない。一方、1300℃を超えると、局所的に深いスケールが形成される異常な酸化が起こる可能性が高まることに加えて、生成スケールが多くなり、材料ロスにより歩留りが低下し、製造コストが嵩む問題がある。加熱温度は1210℃以上であるのが好ましく、1290℃以下であるのが好ましく、1280℃以下であるのがより好ましい。
<保持時間>
加熱時の保持時間は5h以上とする。保持時間が5h未満では、スケールの成長が十分ではなく、スケール直下におけるNの濃化も不十分となり、γ濃化層が得られない。一方、30hを超えて加熱しても効果は飽和し、コストが嵩むばかりであるため、製造性の観点から保持時間は30h以下とすることが好ましい。
(b)ショットブラスト工程および(c)酸洗工程
最終的なγ濃化層の厚さは、熱処理または大きな寸法の変化を伴う熱間圧延後の脱スケール方法に依存する。そして、50μm以上の厚さを残存させることで優れた効果を発現する。
例えば、スケールの破砕を目的とするショットブラストを実施した後、比較的薄い1%佛酸と2%硝酸とを含む水溶液をノズルから吹き付けることにより、スケールのみを飛散させ、γ濃化層の減厚を極力抑制することで得られ、優れた特性を達成する。
上記(b)および(c)の工程によってスケールを除去した後に、必要に応じて冷間圧延を施してもよい。ただし、この場合には、圧延の減厚に伴い、γ濃化層の厚さも低減する結果となる。そのため、γ濃化層の厚さを増加させることを目的として、γ濃化層にNをさらに吸収させてもよい。
(d)N吸収工程
スケールを除去し、必要に応じて冷間圧延を施した後に、Nを含む雰囲気中において、1000~1200℃で1~10min加熱保持してもよい。
<雰囲気>
加熱保持雰囲気については、Nを含む雰囲気であれば特に制限はない。効率的にNを吸収させるためには、例えば、75%Hおよび25%Nからなる雰囲気とすることができる。
<加熱温度>
加熱温度は1000~1200℃とする。加熱温度が1000℃未満では、十分な量のNを吸収させることが困難であり、残留応力の増加も不十分となる。一方、1200℃を超えると、窒化物の形成により、充分なNを固溶させることができず、γ濃化層の厚さを効率的に増加できない。
<保持時間>
加熱時の保持時間は10min以内とする。ただし、保持時間が1min未満では、γ濃化層の厚さの増加が不明瞭となり、十分な効果を確認できないため、1分以上が望ましい。一方、10minを超えて加熱しても効果は飽和傾向を示し、コストが嵩むばかりであるため、製造性の観点から保持時間は10min以下とすることが好ましい。ただし、特に厚いγ濃化層が必要となる場合、鋼帯を連続熱処理炉で複数回通板する、または、鋼板をバッジ炉で長時間保持する等により、増厚は可能である。
なお、γ濃化層を有していない鋼に対して、N吸収工程のみを施した場合には、表面付近におけるオーステナイト相の面積率を増加させることは可能であるが、オーステナイト単相組織となり、結晶粒が粗大化する。したがって、N吸収工程を施す場合においても、事前にγ濃化層を形成しておくことが重要である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する二相ステンレス鋼を溶製し、種々の条件で加熱した後、幅100mm、断面減少率95%の条件で熱間圧延を実施し、試験材を得た。なお、化学成分は成分調整後かつ鋳造直前の溶湯の中心部より必要量の試料を採取し、表1に示す元素について平均値を測定した。熱間圧延の加熱温度、保持時間、加熱時の雰囲気を表2に示す。加熱時の雰囲気は表2に示す濃度のOを含み残部がNである混合ガス雰囲気とした。
Figure 0007499008000001
Figure 0007499008000002
その後、加工による歪みの影響を除去するため、同雰囲気中において1100℃で5min熱処理した。次いで、ショットブラストを施した後、50℃に保持した1%佛酸および2%硝酸の水溶液をノズルから1分間吹き付けることで表面に形成したスケールを除去した。
そして、スケール除去後の試験材を組織観察および評価試験に供した。なお、スケール除去前後の断面観察の比較より、全ての試験材において、スケールのみが除去されていることを確認した。
まず、上記試験材から組織観察用の試験片を切り出した。そして、圧延方向に垂直な断面を観察面とし、EBSDにより測定した。なお、結果の解析は、TSL社製OIM Analysis ver.7.3.0を用いて実施した。そして、板厚中心位置と表面付近とのそれぞれについて、オーステナイト相の面積率、ならびにオーステナイト相およびフェライト相の平均結晶粒径を求めた。
なお、その後に記載するN含有量を含めて、各測定は、オーステナイト相およびフェライト相の両相を含む10以上の粒が測定対象となる状態で実施した。値の変動を抑制し、より正確な平均値を得るためには、20以上の粒を測定対象にすることが好ましい。
各深さ位置での測定は、所定の深さを中心として、100μm×100μmの領域について1μmの間隔(ピッチ)で実施し、その領域での平均値を採用した。なお、測定は100μmの一辺が、最も近い試験片の表面と最も平行になるような状態で実施した。
また、表面近傍については、例えば、最表面の場合、幅100μm×深さ50μmの領域、深さ10μmの場合、幅100μm×深さ60μmの領域、深さ20μmの場合、幅100μm×深さ70μmの領域について測定した。すなわち、表面から深さ50μmまでの場合、角100μmよりも狭い範囲の試験片断面での平均値となる。
さらに、測定結果について、スケールまたは局所的に材料が存在しない部分が含まれた場合、平均値の算出時に除去した。そして、オーステナイト相の割合が65%となる深さ位置を特定し、表面から当該深さまでの距離をγ濃化層の厚さとした。
その後、γ濃化層の厚さをtとした時に、表面から深さ方向にt/2の位置およびt/10の位置において測定されたオーステナイト相の割合をそれぞれの深さ位置における面積率とした。
また、同様の領域での結晶方位の測定結果より、結晶の確度の差が15゜以上となる部分を境界とし、それらに囲まれた部分の面積を円相当径に換算した値より円相当径を算出し、結晶粒径とした。
次に、同じ試験片を用いて、EPMAによる線分析を実施し、厚さ方向中心位置におけるN含有量(Nc)および表面から深さ方向にt/10の位置におけるN含有量(Ns)を測定し、その比(Ns/Nc)を算出した。なお、線分析は、直線にて長さ200μmを1μmピッチにて、各点を1秒保持で測定した。また、長さ200μmの直線での測定は最も近い試験片の表面と最も平行になるように実施した。
続いて、熱間加工性および耐食性の評価試験を行った。熱間加工性の評価は、熱間圧延後の耳割れを調査することにより行った。そして、板幅端部での割れの深さが2mm未満の場合に熱間加工性を○とし、2mm以上の場合に熱間加工性を×した。
また、耐食性の評価試験は以下の手順にて行った。まず、上記の試験材から厚さ方向が長手方向と一致するよう直径15mmの円筒状試験片を切り出した。そして、試験材の表面であった面を#600で研磨し、その後、JIS G 0577の「ステンレス鋼の孔食電位測定方法」に準拠して、孔食発生電位Vc100を測定した。測定は3回行い、平均値を算出した。Vc100が0.4V以上の場合を耐食性に優れると判断し、0.4V未満の場合に耐食性に劣ると判断した。
それらの結果を表2に併せて示す。
表2に示す結果から明らかなように、本発明の規定を満足する試験No.1~8では、熱間加工性および耐食性の双方に優れる結果となった。
それらに対して、試験No.9~13は、本発明の規定から外れる比較例である。具体的には、試験No.9および10では加熱条件が不適切であったため、γ濃化層が形成されず、熱間加工性および耐食性の双方が劣る結果となった。
また、試験No.11では加熱雰囲気中のO濃度が過剰であり、試験No.12では加熱温度が低く、かつ短時間であったため、試験片表面で脱窒が生じ、表面のオーステナイト相の面積率が低下した。その結果、耐食性が著しく悪化する結果となった。
そして、試験No.13では鋼中のN含有量が低いため、適切な条件で加熱処理を行ってもγ濃化層が形成されず、熱間加工性および耐食性の双方が劣る結果となった。
続いて、実施例1で用いた、試験No.1の試験材2つおよび試験No.9の試験材1つを準備し、それらに対して、冷間圧延を施し、厚さ1.0mmの試験材とした(試験No.14~16)。そのうち、試験No.15および16については、さらに75%Hおよび25%Nからなる雰囲気中において、1100℃で5min加熱保持するN吸収処理を行った。
そして、実施例1と同様の方法により、組織観察、Ns/Ncの測定、ならびに熱間加工性および耐食性の評価試験を行った。また、本実施例においては、さらに残留応力の測定および曲げ疲労特性の評価試験を実施した。
残留応力は、試験材の表面について、微小部X線残留応力測定装置を用いて、表3に示す条件にて測定した。なお、残留応力の値については、引張残留応力の場合を正、圧縮残留応力の場合を負として表わした。
Figure 0007499008000003
また、曲げ疲労特性は、JIS Z 2275に従い、以下の方法により評価した。b=20mm、R=30mmの短冊状試験片に対して、両振り式の平面曲げ疲労試験機を用いて、板表面での曲げ応力が500N/mmでの繰り返し曲げを行った。そして、10回繰り返し後の破断の有無を調査し、破断しなかった場合を○、破断した場合を×として評価した。
それらの結果を表4にまとめて示す。
Figure 0007499008000004
表4に結果を示すように、試験No.14および15は、本発明の規定を満足するため、熱間加工性および耐食性の双方に優れる結果となった。また、試験No.15では、N吸収処理を行ったため、試験No.14に比べて、γ濃化層の厚さが大きくなり、オーステナイト相の面積率も増加した。加えて、450MPaの圧縮残留応力が導入されたため、曲げ疲労特性が向上した。
それらに対して、試験No.16では、N吸収処理のみでγ濃化層を形成したため、厚さが50μm未満となり不十分であった。また、表面付近における金属組織がオーステナイト単相となったため、結晶粒が著しく粗大化し、熱間加工性が劣る結果となった。
本発明によれば、高い強度を有するとともに、耐食性および加工性に優れた二相ステンレス鋼を工業的に安定して得ることができる。

Claims (11)

  1. 厚さ方向中心位置におけるオーステナイト相の面積率が35%以上65%未満である金属組織を有する熱間圧延された二相ステンレス鋼であって、
    表面から深さ方向に少なくとも50μmまでの領域において、オーステナイト相の面積率が65%以上であるオーステナイト濃化層を有し、
    前記厚さ方向中心位置における平均結晶粒径dcと、前記オーステナイト濃化層における平均結晶粒径dsとが、下記(i)式を満足し、
    前記厚さ方向中心位置におけるN含有量が、質量%で、0.050%以上である、
    二相ステンレス鋼。
    0.80≦ds/dc≦1.25 ・・・(i)
  2. 前記オーステナイト濃化層の厚さをtとした時に、
    前記表面から深さ方向にtの位置におけるオーステナイト相の面積率より、前記表面から深さ方向にt/2の位置におけるオーステナイト相の面積率の方が高く、
    前記表面から深さ方向にt/2の位置におけるオーステナイト相の面積率より、前記表面から深さ方向にt/10の位置におけるオーステナイト相の面積率の方が高い、
    請求項1に記載の二相ステンレス鋼。
  3. 前記表面から深さ方向にt/10の位置におけるオーステナイト相の面積率が90%以上である、
    請求項1または請求項2に記載の二相ステンレス鋼。
  4. 前記厚さ方向中心位置におけるN含有量より、前記表面から深さ方向にt/10の位置におけるN含有量の方が高い、
    請求項1から請求項3までのいずれかに記載の二相ステンレス鋼。
  5. 前記厚さ方向中心位置における化学組成が、質量%で、
    C:0.001~0.060%、
    Si:0.01~1.50%、
    Mn:0.1~6.0%、
    P:0.050%以下、
    S:0.0050%以下、
    Cr:19.0~25.0%、
    Ni:1.0~6.0%、
    N:0.050~0.25%、
    Al:0.003~0.050%、
    Ti:0~0.050%、
    Nb:0~0.15%、
    Mo:0~2.0%、
    Cu:0~3.0%、
    W:0~2.0%、
    Mg:0~0.0050%、
    Ca:0~0.0050%、
    REM:0~0.30%、
    B:0~0.0040%、
    残部:Feおよび不純物である、
    請求項1から請求項4までのいずれかに記載の二相ステンレス鋼。
  6. 前記厚さ方向中心位置における化学組成が、質量%で、
    Ti:0.01~0.050%、
    Nb:0.02~0.15%、
    Mo:0.05~4.0%、
    Cu:0.05~4.0%、
    W:0.05~4.0%、
    Mg:0.0002~0.0050%、
    Ca:0.0002~0.0050%、
    REM:0.005~0.30%、および、
    B:0.0003~0.0040%、
    から選択される1種以上を含有する、
    請求項5に記載の二相ステンレス鋼。
  7. 冷間圧延された請求項1から請求項6までのいずれかに記載の二相ステンレス鋼であって、
    前記厚さ方向中心位置におけるN含有量に対して、前記表面から深さ方向にt/10の位置におけるN含有量が3.0倍以上であり、
    前記表面における圧縮残留応力が400MPa以上である、
    二相ステンレス鋼。
  8. 請求項1~4までのいずれかに記載の熱間圧延された二相ステンレス鋼を製造する方法であって、
    厚さ方向中心位置におけるオーステナイト相の面積率が35%以上65%未満である金属組織を有し、前記厚さ方向中心位置におけるN含有量が、質量%で、0.050%以上である二相ステンレス鋼に対して、
    (a)O濃度を2~10体積%である雰囲気中において、1200~1300℃で5h以上加熱し、熱間圧延を施す工程と、
    (b)ショットブラストを施す工程と、
    (c)1~10%佛酸と2~20%硝酸とを含む水溶液をノズルから吹き付けることにより酸洗する工程と、を
    順に施す、
    二相ステンレス鋼の製造方法。
  9. 前記厚さ方向中心位置における化学組成が、質量%で、
    C:0.001~0.060%、
    Si:0.01~1.50%、
    Mn:0.1~6.0%、
    P:0.050%以下、
    S:0.0050%以下、
    Cr:19.0~25.0%、
    Ni:1.0~6.0%、
    N:0.050~0.25%、
    Al:0.003~0.050%、
    Ti:0~0.050%、
    Nb:0~0.15%、
    Mo:0~2.0%、
    Cu:0~3.0%、
    W:0~2.0%、
    Mg:0~0.0050%、
    Ca:0~0.0050%、
    REM:0~0.30%、
    B:0~0.0040%、
    残部:Feおよび不純物である、
    請求項8に記載の二相ステンレス鋼の製造方法。
  10. 前記厚さ方向中心位置における化学組成が、質量%で、
    Ti:0.01~0.050%、
    Nb:0.02~0.15%、
    Mo:0.05~4.0%、
    Cu:0.05~4.0%、
    W:0.05~4.0%、
    Mg:0.0002~0.0050%、
    Ca:0.0002~0.0050%、
    REM:0.005~0.30%、および、
    B:0.0003~0.0040%、
    から選択される1種以上を含有する、
    請求項9に記載の二相ステンレス鋼の製造方法。
  11. 請求項8から請求項10までのいずれかに記載の二相ステンレス鋼の製造方法において、
    前記(c)の工程の後に、前記二相ステンレス鋼に対して、冷間圧延を施し、
    (d)Nを含む雰囲気中において、1000~1200℃で10min以内の加熱保持する工程を、さらに施して、請求項7に記載の冷間圧延された二相ステンレス鋼を製造する
    二相ステンレス鋼の製造方法。
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