JP7496003B2 - ファスナーストリンガー及びファスナーストリンガーの製造方法 - Google Patents

ファスナーストリンガー及びファスナーストリンガーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、隠しスライドファスナー用ファスナーストリンガー、及びそのファスナーストリンガーの製造方法に関する。
編成されたファスナーテープのエレメント取付部に、複数のファスナーエレメントがミシン糸で取り付けられて形成される隠しスライドファスナーが知られている。このような隠しスライドファスナーに使用されるファスナーストリンガーが、例えば実公昭57-36005号公報(特許文献1)に記載されている。
例えば図5に示すように、特許文献1に記載されている隠しスライドファスナー用のファスナーストリンガー80は、編成されたファスナーテープ81と、ファスナーテープ81に取り付けられるコイル状のファスナーエレメント82とを有する。
ファスナーテープ81は、テープ主体部81aと、テープ主体部81aから幅方向に延びるとともに折り返されて形成されるテープ二重部81bとを有する。テープ二重部81bの折り返されているテープ部分がファスナーテープ81のエレメント取付部となり、このエレメント取付部に、ファスナーエレメント82が縫着糸(ミシン糸)83によって取り付けられている。
特許文献1のファスナーテープ81において、テープ主体部81aの編組織は、鎖編糸と、トリコット編糸と、緯挿入糸とにより形成されている。エレメント取付部は、テープ側縁に形成される第1ウエールW1と、第1ウエールW1からテープ主体部81aに向けて順番に形成される第2ウエールW2及び第3ウエールW3とを有する。
特許文献1において、第1ウエールW1及び第3ウエールW3は、鎖編糸、トリコット編糸、及び緯挿入糸を用いて形成されている。第2ウエールW2は、トリコット編糸と緯挿入糸とのみによって形成されている。これにより、第2ウエールW2は、ファスナーテープ81のその他のウエールよりも細く形成される。すなわち、第2ウエールW2は、その他のウエールよりもウエール幅(ウエールの幅方向の寸法)を小さくして形成されている。また、それにより、第1ウエールW1と第2ウエールW2の間の間隔と、第2ウエールW2と第3ウエールW3の間の間隔とが、その他の互いに隣接するウエール間の間隔よりも拡大されている。
上述のように編成されたファスナーテープ81にファスナーエレメント82をミシンで縫着する場合、第1及び第2ウエールW1,W2間の間隔と、第2及び第3ウエールW2,W3間の間隔とが拡げられているため、これらの間隔にミシン針を円滑に刺通させて縫製加工を行うことができる。これにより、ミシン針とファスナーエレメント82とが干渉することを抑制し、複数のファスナーエレメント82をファスナーテープ81の所定の位置に一定のピッチで安定して固定できる。
実公昭57-36005号公報
例えば特許文献1に記載されているファスナーストリンガー80等を用いて形成される従来の隠しスライドファスナーは、現在、様々な衣類に使用されている。隠しスライドファスナーが衣服に使用される場合、一般的に、衣服を着脱する際に開閉させる衣服の開口部に取り付けられる。また近年では、衣服の着脱を行い易くするために、隠しスライドファスナーが、スライダーの摺動操作を行い易い衣服の前立て部に取り付けられることがある。
しかし、従来の隠しスライドファスナー(ファスナーストリンガー)は、ファスナーテープの一部に、上述したようなファスナーテープが折り返されて重なるテープ二重部が設けられていることもあり、取り付けられる衣服の生地(ガーメント生地)に比べて柔軟性が低く、硬さ(剛性)を感じさせ易くする。
このため、隠しスライドファスナーが取着された衣服を着用した人がかがんだとき、また、椅子に座ったときなどに、衣服の隠しスライドファスナーが取着されている部位が、部分的に硬くなること(つっぱること)、身体から離れるように部分的に膨らむ凸部(突出部分)が形成されること、及び、2つの凸部間で身体に近付くように窪む凹部が形成されること等が生じることがあった。衣服の着用時に、衣服の隠しスライドファスナーが取着されている部位に、上述のような硬くなる部分、凸部及び、凹部等が発生すると、衣服の着心地を低下させること、また、着用時における衣服のシルエットの美しさやデザインが損なわれることがあった。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ファスナーエレメントが取着された編成ファスナーテープのテープ二重部における柔軟性が高められた隠しスライドファスナー用ファスナーストリンガー、及び、そのファスナーストリンガーの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供されるファスナーストリンガーは、編成されたファスナーテープと、前記ファスナーテープのエレメント取付部にミシン糸で取り付けられる複数のファスナーエレメントとを有し、前記ファスナーテープは、テープ主体部と、前記テープ主体部から幅方向に延びるとともに折り返されて形成されるテープ二重部とを有し、前記テープ二重部に前記エレメント取付部が含まれる隠しスライドファスナー用ファスナーストリンガーであって、前記テープ主体部を形成する各ウエールに、少なくとも鎖編糸が含まれ、前記テープ二重部を形成するウエールは、前記テープ主体部を形成する前記ウエールの第1ウエール幅よりも大きな第2ウエール幅を備えた少なくとも1つのワイドウエールを有し、前記ワイドウエールは、鎖編糸のニードルループを備えずに形成されているファスナーストリンガーである。
本発明に係るファスナーストリンガーにおいて、前記テープ二重部における前記ワイドウエールと前記ワイドウエールに隣接する前記ウエールとの間に、前記ミシン糸の少なくとも1つが刺通されていることが好ましい。
また、前記テープ二重部は、前記テープ主体部から幅方向に延びる第1テープ部と、前記第1テープ部から延びるとともにU字状に折り曲げられたテープ折曲部と、前記テープ折曲部から延びるとともに前記第1テープ部に重ね合わされる第2テープ部とを有し、少なくとも前記テープ折曲部に、前記ワイドウエールが配されていることが好ましい。
更に、前記ファスナーテープの前記テープ二重部側のテープ側縁に形成されるウエールを第1ウエールとし、前記第1ウエールから前記ファスナーテープにおける反対側のテープ側縁に向けてN番目に配されるウエールを第Nウエールとする場合、前記テープ二重部は、前記第1ウエールから第5ウエールまでの5つのウエールにより形成され、前記テープ二重部を形成する第2ウエール及び第3ウエールは、前記ワイドウエールに形成され、前記第2ウエール及び前記第3ウエールは、トリコット編糸のニードルループのみが形成される編目と、トリコット編糸のニードルループとシングルサテン編糸のニードルループとが交絡して形成される編目とにより形成されていることが好ましい。
また本発明において、前記テープ主体部及び前記テープ二重部に、トリコット編糸及びシングルサテン編糸が含まれ、前記トリコット編糸は、第1トリコット編糸と、前記第1トリコット編糸よりも高い強度又は大きな繊度を備えるとともに前記テープ二重部にニードルループが形成される第2トリコット編糸とを有し、前記シングルサテン編糸は、第1シングルサテン編糸と、前記第1シングルサテン編糸よりも高い強度又は大きな繊度を備えるとともに前記テープ二重部にニードルループが形成される第2シングルサテン編糸とを有することが好ましい。
更に、前記ファスナーテープの前記テープ二重部とは反対側のテープ側縁に形成されるウエールの各コースに、編糸の1つのニードルループがそれぞれ形成されていることが好ましい。
次に、本発明により提供されるファスナーストリンガーの製造方法は、編成されたファスナーテープと、前記ファスナーテープのエレメント取付部にミシン糸で取り付けられる複数のファスナーエレメントとを有し、前記ファスナーテープは、テープ主体部と、前記テープ主体部から幅方向に延びるとともに折り返されて形成されるテープ二重部とを有し、前記テープ二重部に前記エレメント取付部が含まれる隠しスライドファスナー用ファスナーストリンガーの製造方法であって、前記テープ主体部を形成する各ウエールに少なくとも鎖編糸が含まれ、前記テープ二重部を形成するウエールの少なくとも1つに水溶性鎖編糸が含まれる前記ファスナーテープを編成すること、ミシンを用いる縫製加工により、編成された前記ファスナーテープの前記エレメント取付部に前記複数のファスナーエレメントを縫着すること、及び、前記複数のファスナーエレメントが縫着された前記ファスナーテープの前記水溶性鎖編糸を溶融して除去することにより、前記テープ主体部を形成する前記ウエールの第1ウエール幅よりも大きな第2ウエール幅を備えた少なくとも1つのワイドウエールを前記テープ二重部に形成することを含む製造方法である。
本発明の製造方法は、前記縫製加工において、前記テープ二重部において前記水溶性鎖編糸を含むウエールと、前記水溶性鎖編糸を含む前記ウエールに隣接するウエールとの間に前記ミシン糸の少なくとも1つを刺通させることにより、前記エレメント取付部に前記複数のファスナーエレメントを縫着することを含むことが好ましい。
本発明によれば、ファスナーエレメントが取着された編成ファスナーテープのテープ二重部における柔軟性が高められた隠しスライドファスナー用ファスナーストリンガーを提供できる。
本発明の実施例に係る隠しスライドファスナー用ファスナーストリンガーを模式的に示す断面図である。 図1に示したファスナーストリンガーにおけるファスナーテープの編組織を示す組織図である。 ファスナーテープに使用される各糸の組織図である。 編成後の水溶性編糸を含むファスナーテープの編組織を示す組織図である。 従来の隠しスライドファスナー用ファスナーストリンガーを示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施例の隠しスライドファスナー用ファスナーストリンガーを模式的に示す断面図である。図2は、図1に示したファスナーストリンガーにおけるファスナーテープの編組織を示す組織図である。図3は、そのファスナーテープに使用される各糸の組織図である。
以下の説明において、前後方向とは、ファスナーテープのテープ長さ方向に沿った方向を言い、スライダーが摺動する摺動方向と同じ直線的な方向である。左右方向とは、ファスナーテープのテープ主体部における幅方向に沿った方向を言い、テープ主体部のテープ面に平行で、且つ、テープ長さ方向に直交する方向である。上下方向とは、ファスナーテープのテープ主体部におけるテープ表面及びテープ裏面に直交するテープ表裏方向に沿った方向を言い、前後方向と左右方向とに直交する方向である。
ファスナーテープの編組織に関し、ファスナーテープの長さ方向(前後方向)に沿った方向をウエール方向と規定し、ウエール方向に直交する方向をコース方向と規定する。また、コース方向は、ファスナーテープを平面状に保持したときの幅方向に沿ったテープ面に平行な方向である。
図1に示す本実施例の隠しスライドファスナー1は、左右一対のファスナーストリンガー10と、左右のファスナーストリンガー10に形成されたエレメント列11に摺動可能に取り付けられる図示しないスライダーとを有する。本実施例のスライダーは、従来の隠しスライドファスナーに一般的に用いられているスライダーと実質的に同様の構造を有する。このため、本実施例では、スライダーの具体的な説明を省略する。
左右の各ファスナーストリンガー10は、帯状に編成された細長いファスナーテープ20と、ファスナーテープ20にミシン糸(縫製糸)18で縫着された複数のファスナーエレメント12とをそれぞれ有する。
複数のファスナーエレメント12は、ファスナーテープ20の長さ方向に沿ってコイル状に連続する形状を有しており、ポリアミド又はポリエステル等の熱可塑性樹脂からなるモノフィラメントをコイル状に巻き回すように成形することによって形成されている。コイル状に連続する複数のファスナーエレメント12が、ミシン糸18の二重環縫いによってファスナーテープ20のエレメント取付部21に長さ方向に沿って取着されることによって、エレメント列11を形成している。
各ファスナーエレメント12は、図1に示すように、噛合相手のファスナーエレメント12に噛み合わせられる噛合頭部13と、噛合頭部13から幅方向に延出する上脚部14及び下脚部15と、当該ファスナーエレメント12の上脚部14(又は下脚部15)と前後方向に隣接するファスナーエレメント12の下脚部15(又は上脚部14)を連結する連結部16とをそれぞれ有する。ファスナーエレメント12の上脚部14及び下脚部15は、噛合頭部13の上端部及び下端部からそれぞれテープ内方に向けて幅方向に延出する。ファスナーエレメント12は、上脚部14をファスナーテープ20に接触させるとともに、下脚部15をファスナーテープ20から離した姿勢でファスナーテープ20に固定されている。
左右の各ファスナーテープ20は、複数の編糸を用いて編成される経編組織を有する。各ファスナーテープ20は、図1及び図2に示すように、テープ主体部30と、テープ主体部30の一側縁部から幅方向に延びるとともに折り返されて形成されるテープ二重部40と、テープ主体部30の他側縁部から幅方向に延びるテープ外側縁部50とをそれぞれ有する。なお、図2は、図1における二重部が折り返されていない(開いた状態の)編組織を示した図である。
テープ二重部40は、テープ主体部30から幅方向の内側に向けて延びる第1テープ部41と、第1テープ部41から更に延びるとともにU字状に折り曲げられたテープ折曲部43と、テープ折曲部43から更に延びる第2テープ部42とを有しており、第1テープ部41と第2テープ部42とが互いに重ね合わされている。ここでいう内側とは、一対のファスナーテープ20の互いに対向する側縁部側(当該側縁部に近付く方向)である。テープ二重部40の第2テープ部42に、ファスナーエレメント12が縫着されるエレメント取付部21が設けられている。テープ二重部40のテープ折曲部43は、隠しスライドファスナー1を閉じたとき(左右のエレメント列11を噛合したとき)、噛合相手側のファスナーテープ20のテープ折曲部43に接触可能に形成される。
本実施例のファスナーテープ20は、図2及び図3に示すように、トリコット編糸61(1-2/1-0)、鎖編糸62(0-1/1-0)、及びシングルサテン編糸63(1-0/3-4)の3種類の編糸で編成されている。この場合、トリコット編糸61及びシングルサテン編糸63は、トリコット編糸61のシンカーループとシングルサテン編糸63のシンカーループとが、各コース間で互いに交差するように編込まれている。
本実施例において、トリコット編糸61、鎖編糸62、及びシングルサテン編糸63は、56T(デシテックス)以上167T以下の繊度を有する。また本実施例において、トリコット編糸61とシングルサテン編糸63とは、互いに同じ繊度を有する。これにより、ファスナーテープ20を編成し易くすることができる。なお本発明において、ファスナーテープ20を形成する各編糸の繊度は特に限定されない。また、各編糸の材質も限定されない。例えば、トリコット編糸61、鎖編糸62、及びシングルサテン編糸63には、例えば従来のスライドファスナー用ファスナーテープに使用されてきたポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、又はアクリル等からなるマルチフィラメント糸を用いることが可能である。
ファスナーテープ20は、ファスナーテープ20の一方のテープ側縁から他方のテープ側縁まで、第1ウエールW1~第14ウエールW14の14列のウエールを有する。この場合、ファスナーテープ20におけるテープ二重部40側のテープ側縁に形成されるウエールを第1ウエールW1とし、この第1ウエールW1から外側縁部側のテープ側縁に向けて、第2ウエールW2~第14ウエールW14がコース方向に順番に形成されている。
ファスナーテープ20のテープ二重部40は、第1ウエールW1~第5ウエールW5までの5つのウエールで形成されている。テープ主体部30及びテープ外側縁部50は、それぞれ、第6ウエールW6~第10ウエールW10までの5つのウエール及び第11ウエールW11~第14ウエールW14までの4つのウエールでそれぞれ形成されている。なお本発明において、ファスナーテープを形成するウエールの数は特に限定されず、スライドファスナーの用途等に応じてウエールの数を増減させることが可能である。また、テープ二重部、テープ主体部、及びテープ外側縁部をそれぞれ形成するウエールの数も特に限定されない。
第6ウエールW6~第10ウエールW10により形成されるテープ主体部30は、ファスナーテープ20において例えば衣服の生地等に縫い合わせられる部分である。テープ主体部30は、トリコット編糸61、鎖編糸62、及びシングルサテン編糸63により形成されている。
テープ主体部30を形成する全てのウエール(第6ウエールW6~第10ウエールW10)のそれぞれには、トリコット編糸61のニードルループ、鎖編糸62のニードルループ、及びシングルサテン編糸63のニードルループが形成されている。特に、第6ウエールW6~第9ウエールW9のそれぞれでは、トリコット編糸61、鎖編糸62、及びシングルサテン編糸63の3つのニードルループが各コースに形成されている。この場合、各コースにおいて、鎖編糸62のニードルループが、トリコット編糸61のニードルループとシングルサテン編糸63のニードルループとを外側から締めるように形成されている。なお本発明において、テープ主体部の編組織は、各ウエールに鎖編糸が含まれていれば特に限定されない。
本実施例では、テープ主体部30を形成する第6ウエールW6~第10ウエールW10について、1つのウエールにおけるウエール幅を第1ウエール幅と規定する。ここで、ウエールのウエール幅とは、当該ウエールにおいて、1つのニードルループ又は複数のニードルループにより形成される編目の幅方向又はコース方向における寸法の最大値を言う。従って、第1ウエール幅は、トリコット編糸61のニードルループ、鎖編糸62のニードルループ、及びシングルサテン編糸63のニードルループが交絡する編目の幅方向又はコース方向における寸法の最大値と言うこともできる。
テープ二重部40は、上述したように、第1ウエールW1~第5ウエールW5により形成されている。この場合、図1に示すように、第1ウエールW1及び第2ウエールW2が、テープ二重部40のエレメント取付部21を含む第2テープ部42に配される。第3ウエールW3が、テープ二重部40のテープ折曲部43に配される。第4ウエールW4及び第5ウエールW5が、テープ二重部40の第1テープ部41に配される。また、ファスナーエレメント12をエレメント取付部21に縫い付けるミシン糸18は、テープ二重部40における第1ウエールW1と第2ウエールW2の間、及び、第2ウエールW2と第3ウエールW3の間に刺通されている。
テープ二重部40は、トリコット編糸61、鎖編糸62、及びシングルサテン編糸63により形成されている。より具体的には、テープ側縁に形成される第1ウエールW1と、テープ主体部30に隣接する第1テープ部41を形成する第4ウエールW4及び第5ウエールW5とには、トリコット編糸61のニードルループ、鎖編糸62のニードルループ、及びシングルサテン編糸63のニードルループが各ウエールに形成されている。特に、第4ウエールW4及び第5ウエールW5のそれぞれには、トリコット編糸61、鎖編糸62、及びシングルサテン編糸63の3つのニードルループが各コースに形成されている。
テープ二重部40の第2ウエールW2及び第3ウエールW3は、トリコット編糸61及びシングルサテン編糸63の2種類の編糸により形成されている。言い換えると、第2ウエールW2及び第3ウエールW3には、鎖編糸62のニードルループが形成されておらず、トリコット編糸61及びシングルサテン編糸63の2種類のニードルループが形成されている。また、第2ウエールW2及び第3ウエールW3では、トリコット編糸61のニードルループのみが形成される編目と、トリコット編糸61のニードルループとシングルサテン編糸63のニードルループとが交絡して形成される編目とがウエール方向に交互に形成されている。
テープ二重部40において、鎖編糸62のニードルループを備えない第2ウエールW2及び第3ウエールW3では、トリコット編糸61のニードルループ、又は、トリコット編糸61及びシングルサテン編糸63のニードルループが鎖編糸62のニードルループによって外側から締められていないため、トリコット編糸61のニードルループ、又は、トリコット編糸61及びシングルサテン編糸63の2つのニードルループが、各コースで緩められて幅方向に膨らむように形成されている。
ここで、テープ二重部40の鎖編糸62を備えない第2ウエールW2及び第3ウエールW3について、各コースに1つ又は2つのニードルループで形成される編目の幅方向又はコース方向における寸法の最大値を第2ウエール幅と規定する。特に本実施例の場合、トリコット編糸61のニードルループとシングルサテン編糸63のニードルループが交絡して形成される編目のウエール幅(幅方向の寸法の最大値)が、トリコット編糸61のニードルループのみで形成される編目のウエール幅よりも大きくなるが、本実施例では、トリコット編糸61のニードルループのみで形成される編目のウエール幅を第2ウエール幅とする。
本実施例では、テープ二重部40の第2ウエールW2及び第3ウエールW3が、上述したように鎖編糸62が編み込まれていないため、ニードルループで形成される編目の幅方向における寸法が、テープ主体部30を形成する第6ウエールW6~第10ウエールW10よりも大きくなるワイドウエールで形成されている。
すなわち、第2ウエールW2及び第3ウエールW3(ワイドウエール)は、第6ウエールW6~第10ウエールW10の上述した第1ウエール幅よりも大きな第2ウエール幅(トリコット編糸61のニードルループのみで形成される編目の幅寸法)を有して形成されている。この場合、第2ウエールW2及び第3ウエールW3のトリコット編糸61とシングルサテン編糸63のニードルループが互いに交絡して形成される編目のウエール幅は、トリコット編糸61のニードルループのみで形成される編目のウエール幅(第2ウエール幅)よりも大きくなるため、必然的に、第6ウエールW6~第10ウエールW10の上述した第1ウエール幅よりも大きくなる。またこの場合、第2ウエールW2及び第3ウエールW3の第2ウエール幅は、テープ二重部40で鎖編糸62が編み込まれている第1ウエールW1、第4ウエールW4、及び第5ウエールW5のウエール幅よりも大きくなる。
テープ二重部40の第2ウエールW2及び第3ウエールW3が、ウエール方向に連続して編み込まれる鎖編糸62を含まない上述のようなワイドウエールで形成されていることにより、第2ウエールW2及び第3ウエールW3に形成されるニードルループを緩ませることができる。言い換えると、第2ウエールW2及び第3ウエールW3に形成されるニードルループは緩んだ状態で編み込まれていることにより、ニードルループの幅方向の寸法が大きくされている。
このように第2ウエールW2及び第3ウエールW3のニードルループが緩められていることにより、テープ二重部40のウエール方向(長さ方向)の伸縮性を向上させて、テープ二重部40の柔軟性を高めることができる。特に本実施例の場合、ワイドウエールである第2ウエールW2及び第3ウエールW3は、コース方向に関して、ミシン糸18がテープ二重部40を刺通する位置に隣接して配されている。具体的には、第1ウエールW1とワイドウエールである第2ウエールW2との間、及び、ワイドウエールである第2ウエールW2と第3ウエールW3の間にミシン糸18は配置される。
また、第3ウエールW3が、ファスナーテープ20のテープ表裏方向における柔軟性を低下させ易いテープ二重部40のテープ折曲部43に配されている。このような位置(すなわち、ミシン糸18の刺通位置に隣接する位置、及び/又は、テープ折曲部43の位置)に配される第2ウエールW2及び第3ウエールW3がワイドウエールで形成されることにより、テープ二重部40の柔軟性(特に、テープ表裏方向の柔軟性)をより効果的に高めることができる。ニードルループが緩められたワイドウエールに隣接してミシン糸18が配置されることにより、かがんだり座ったりするときに、その動きに合わせてミシン糸が多少動くことができるため、隠しスライドファスナー1の硬さを感じ難くなる。
ここで、ワイドウエールに隣接してミシン糸18が配置されるとは、ワイドウエールと当該ワイドウエールに隣接するウエールとの間に、ミシン糸18が刺通されていることを言う。この場合、ミシン糸18は、例えば第2ウエールW2と第3ウエールW3の間のように、ワイドウエールと当該ワイドウエールに隣接するワイドウエールとの間でテープ二重部を刺通していてもよく、又は、例えば第1ウエールW1と第2ウエールW2の間のように、ワイドウエールと当該ワイドウエールに隣接する非ワイドウエール(ワイドウエールではないウエール)の間でテープ二重部を刺通していてもよい。
ファスナーテープ20のテープ二重部40において、ファスナーテープ20のテープ側縁に形成される第1ウエールW1では、トリコット編糸61及び鎖編糸62のニードルループが互いに交絡して形成される編目と、シングルサテン編糸63及び鎖編糸62のニードルループが互いに交絡して形成される編目とがウエール方向に交互に形成されている。これにより、ファスナーテープ20のテープ側縁の強度を確保して、ファスナーテープ20のテープ形状を安定させることができる。その結果、コイル状のファスナーエレメント12を、ファスナーテープ20のエレメント取付部21の所定の位置に安定して固定できる。
更に、第1ウエールW1に配される鎖編糸62は、第4ウエールW4~第10ウエールW10のそれぞれに配されるその他の鎖編糸62よりも高い強度を備えている。これにより、ファスナーテープ20のテープ側縁の強度をより高めることができる。また本実施例の場合、第1ウエールW1に配される鎖編糸62は、その他の鎖編糸62と同じ繊度を有する。
ファスナーテープ20のテープ外側縁部50は、上述したように、第11ウエールW11~第14ウエールW14の4つのウエールで形成されている。また、ファスナーテープ20のテープ外側縁部50側のテープ側縁(第14ウエールW14)は、耳部と呼ばれることもある。このテープ外側縁部50は、トリコット編糸61及びシングルサテン編糸63により形成されており、鎖編糸62がテープ外側縁部50に配されていない。
本実施例のテープ外側縁部50において、テープ主体部30に隣接する第11ウエールW11では、トリコット編糸61とシングルサテン編糸63の2つにニードルループが各コースに形成されている。第11ウエールW11のテープ外側(テープ主体部30から離れる側)に隣接する第12ウエールW12では、トリコット編糸61とシングルサテン編糸63の2つのニードルループにより形成される編目と、トリコット編糸61のニードルループのみにより形成される編目とがウエール方向に交互に形成されている。第12ウエールW12のテープ外側に配される第13ウエールW13及び第14ウエールW14では、トリコット編糸61及びシングルサテン編糸63のどちらか1つのニードルループのみが各コースに形成されている。
テープ外側縁部50に、各ウエールに形成されるニードルループの割合を上述のようにテープ外側に向けて段階的に減少させる部分が設けられていることにより、テープ外側縁部50の柔軟性を向上させることができる。例えば本実施例の場合、テープ外側縁部50が上述の編組織で形成されていることにより、テープ幅方向における柔軟性とテープ表裏方向における柔軟性とが高められている。
更に本実施例において、ファスナーテープ20のテープ側縁(耳部)に形成される第14ウエールW14には、トリコット編糸61の1つのニードルループと、シングルサテン編糸63の1つのニードルループとがウエール方向に交互に形成されている。このように耳部を形成する第14ウエールW14の各コースにニードルループが1つずつ形成されていることにより、上述のようにテープ外側縁部50の柔軟性を向上させるだけでなく、テープ外側縁部50の強度を高めることができる。
本実施例において、ファスナーテープ20に編み込まれるトリコット編糸61は、テープ主体部30を含む第3ウエールW3~第13ウエールW13にニードルループを形成する複数の第1トリコット編糸61aと、第1トリコット編糸61aよりも高い強度を備えた第2トリコット編糸61bとを有する。本実施例の場合、第2トリコット編糸61bは、第1トリコット編糸61aと同じ繊度を有し、且つ、第1トリコット編糸61aよりも2.0cN/T以上、好ましくは5.0cN/T以上の高い強度を備えている。なお本発明において、第2トリコット編糸61bは、第1トリコット編糸61aよりも高い強度を備える代わりに又は高い強度を備えるとともに、第1トリコット編糸61aよりも大きな繊度を有する糸で形成されていてもよい。
上述した第2トリコット編糸61bは、ミシン糸18に挟まれる第2ウエールW2(ワイドウエール)にニードルループを形成するトリコット編糸61に使用されている。具体的には、第2トリコット編糸61bは、第1ウエールW1及び第2ウエールW2に跨って配されるトリコット編糸61と、第2ウエールW2及び第3ウエールW3に跨って配されるトリコット編糸61とに使用されている。
ファスナーテープ20に編み込まれるシングルサテン編糸63は、テープ主体部30を含む第3ウエールW3~第12ウエールW12及び第14ウエールW14にニードルループを形成する複数の第1シングルサテン編糸63aと、第1シングルサテン編糸63aよりも高い強度を備えた第2シングルサテン編糸63bとを有する。本実施例の場合、第2シングルサテン編糸63bは、第1シングルサテン編糸63aと同じ繊度を有し、且つ、第1シングルサテン編糸63aよりも2.0cN/T以上、好ましくは5.0cN/T以上の高い強度を備えている。なお本発明において、第2シングルサテン編糸63bは、第1シングルサテン編糸63aよりも高い強度を備える代わりに又は高い強度を備えるとともに、第1シングルサテン編糸63aよりも大きな繊度を有する糸で形成されていてもよい。
上述した第2シングルサテン編糸63bは、ミシン糸18に挟まれる第2ウエールW2(ワイドウエール)にニードルループを形成するシングルサテン編糸63と、第2ウエールW2を横断するシングルサテン編糸63とに使用されている。具体的には、第2シングルサテン編糸63bは、第1ウエールW1と第4ウエールW4とにウエール方向へ交互にニードルループを形成するシングルサテン編糸63、及び第2ウエールW2と第5ウエールW5とにウエール方向へ交互にニードルループを形成するシングルサテン編糸63とに使用されている。
第2トリコット編糸61b及び第2シングルサテン編糸63bが、第2ウエールW2に関して上述のように配されていることにより、テープ二重部40の強度(特に、エレメント取付部21の強度)が高められるため、エレメント取付部21にファスナーエレメント12を安定して固定できる。また、スライダーの摺動操作が繰り返されても、テープ二重部40に糸切れを生じさせ難くすることができる。
本実施例において、高い強度を備える第2トリコット編糸61bは、第13ウエールW13及び第14ウエールW14に跨って配されるトリコット編糸61にも使用されている。これにより、ファスナーテープ20のテープ外側縁部50の強度をより高めることができる。
次に、上述した本実施例のファスナーストリンガー10を製造する方法について説明する。
先ず、経編機を用いてファスナーテープ20を編成する編成加工を行う。この編成加工で編成されるファスナーテープ20は、テープ主体部30を形成する各ウエールに鎖編糸62が編み込まれ、且つ、テープ二重部40を形成するウエールの少なくとも1つに水溶性鎖編糸65が編み込まれた図4に示した編組織を備える。
具体的には、経編機により編成されるファスナーテープ20は、図2に示したファスナーストリンガー10のファスナーテープ20の編組織に、3つの水溶性鎖編糸65(0-1/1-0)が追加されて形成されている。この場合、水溶性鎖編糸65は、経編機により編成されるファスナーテープ20の第2ウエールW2及び第3ウエールW3と、耳部を形成する第14ウエールW14とに配される。本発明において、水溶性鎖編糸65は、水等の液体で溶融又は溶解する性質を備えた糸である。
上述のように水溶性鎖編糸65を用いてファスナーテープ20を編成することにより、編成されるファスナーテープ20のテープ形状を安定させることができる。特に、第2ウエールW2及び第3ウエールW3の水溶性鎖編糸65は、トリコット編糸61のニードルループを外側から締めるようにして、又は、トリコット編糸61のニードルループとシングルサテン編糸63のニードルループの両方を外側から締めるようにしてそれぞれのウエールに編み込まれる。これにより、経編機で編成されるファスナーテープ20の第1ウエールW1及び第2ウエールW2間と、第2ウエールW2及び第3ウエールW3間とに、例えばテープ主体部30の隣接するウエール間と同じ大きさ又は略同じ大きさの適切な間隔が安定して設けられる。
次に、経編機で編成されたファスナーテープ20に対し、ミシンを用いて、コイル状に連続する複数のファスナーエレメント12を縫着する縫製加工を行う。この縫製加工では、ミシンのミシン針を第1ウエールW1及び第2ウエールW2間の間隔の位置と、第2ウエールW2及び第3ウエールW3間の間隔の位置とにおいて昇降させることにより、ミシン糸(縫製糸)18を上述した2つの間隔にそれぞれ刺通させてミシン糸18の二重環縫いによる縫製部を形成する。それとともに、その形成した縫製部によって、複数のファスナーエレメント12をファスナーテープ20のテープ二重部40(テープ二重部40のエレメント取付部21)に固定する。
このとき、第1ウエールW1及び第2ウエールW2間の間隔と、第2ウエールW2及び第3ウエールW3間の間隔とは、上述したように水溶性鎖編糸65が第2ウエールW2及び第3ウエールW3にそれぞれ編込まれていることにより適切な大きさで形成されている。このため、ミシン針の昇降時にミシン針が第1ウエールW1~第3ウエールW3に干渉することを抑制できる。それにより、ミシン針の干渉に起因して、ファスナーテープ20にミシン糸18を刺通させる位置がずれること、及び、ミシン針がファスナーテープ20の編糸を切断すること等の不具合を生じさせ難くすることができる。
その結果、各ファスナーエレメント12をファスナーテープ20の所定の位置に、また、長さ方向に一定のピッチで取り付けることができる。また、ファスナーテープ20の強度(特にエレメント取付部21の強度)が低下することを抑制できる。このような縫製加工を行うことにより、ファスナーテープ20にファスナーエレメント12が縫着されたファスナーストリンガー10が作製される。
次に、作製されたファスナーストリンガー10を例えば液体中に浸漬することによって、ファスナーテープ20に編み込まれている水溶性鎖編糸65を溶融して除去する処理を行う。なお本実施例では、水溶性鎖編糸65を溶融させる前に、作製されたファスナーストリンガー10のファスナーテープ20の一部を折り返すことによりファスナーテープ20にテープ二重部40を形成し、更に、テープ二重部40が形成されたファスナーストリンガー10に熱セットを施すことによって、ファスナーテープ20の形態を固定してもよい。なお、このようにファスナーテープ20の形態を固定する工程は、後述する染色加工後に行われてもよい。
ファスナーテープ20に含まれる水溶性鎖編糸65を溶融する方法の一例として、例えば、ファスナーストリンガー10を染色する染色加工において、ファスナーストリンガー10を染色液中に浸漬することによって、水溶性鎖編糸65を染色液に溶解してファスナーテープ20から除去することができる。このように、ウエールを構成するループの最も外側にある水溶性鎖編糸65を溶かしてファスナーテープ20から除去することによって、水溶性鎖編糸65に外側から締められていたトリコット編糸61のニードルループ及び/又はシングルサテン編糸63のニードルループを緩ませて、大きくする(膨らませる)ことができる。
その結果、ファスナーテープ20の第2ウエールW2及び第3ウエールW3のウエール幅を、テープ主体部30を形成する第6ウエールW6~第10ウエールW10のそれぞれのウエール幅(第1ウエール幅)よりも大きくできるため、第2ウエールW2及び第3ウエールW3が、第1ウエール幅よりも大きな第2ウエール幅を備えたワイドウエールに形成される。更に、ファスナーテープ20から水溶性鎖編糸65が除去されることによって、テープ二重部40の厚さを薄くすることができる。なお本発明において、ファスナーテープ20に含まれる水溶性鎖編糸65を溶融して除去する方法は、ファスナーストリンガー10を染色液に浸漬する染色加工に限定されず、その他の加工又は処理を採用することも可能である。
以上のような工程を行うことによって、図1に示した隠しスライドファスナー1に使用されるファスナーストリンガー10を安定して製造できる。
更に、製造された2つのファスナーストリンガー10を組み合わせるとともに、組み合わせた一対のファスナーストリンガー10のエレメント列11に、図示しないスライダーを摺動可能に取着することによって、図1に示した本実施例の隠しスライドファスナー1が製造される。
以上のように製造される本実施例の隠しスライドファスナー1によれば、ファスナーテープ20のテープ二重部40に、上述したようにウエール方向に連続して編み込まれる鎖編糸62を備えないワイドウエールが含まれているため、ファスナーテープ20(特に、ファスナーテープ20のテープ二重部40)の柔軟性を高めることができる。更に本実施例では、ファスナーテープ20のテープ二重部40に配される第2ウエールW2及び第3ウエールW3が、ウエール幅が大きなワイドウエールとして形成されているため、左右の各ファスナーストリンガー10が、ウエール方向(長さ方向)に対する高い伸縮性を備えるとともに、ファスナーテープ20をテープ表裏方向に曲げ易い優れた柔軟性を備える。
これにより、本実施例の隠しスライドファスナー1が例えば衣服の前立て部等に取り付けられて使用される場合に、衣服を着用した人がかがんだとき、又は、椅子に座ったときなどに、従来の隠しスライドファスナーが使用される場合のように、衣服の隠しスライドファスナー1が取着されている部位に、硬くなる部分(つっぱる部分)、身体から離れるように膨らむ凸部、2つの凸部間で身体に近付くように窪む凹部等が発生することを抑制できる。従って、本実施例の隠しスライドファスナー1を用いることによって、隠しスライドファスナー1が取着された衣服の着心地が低下することを抑制でき、また、隠しスライドファスナー1によって衣服のシルエットの美しさ及びデザイン等が損なわれることを抑制できる。
また、本実施例の隠しスライドファスナー1において、ファスナーテープ20のテープ外側縁部50側のテープ側縁(耳部)に形成される第14ウエールW14には、上述したように。トリコット編糸61の1つのニードルループと、シングルサテン編糸63の1つのニードルループとがウエール方向に交互に形成されている。このため、ファスナーテープ20のテープ外側縁部50が適切な強度を確保できるとともに、テープ外側縁部50の柔軟性を向上させることができる。
従って、例えば衣服の隠しスライドファスナー1が取着される被着部分が、ファスナーテープ20の長さ方向に対して、左側又は右側にカーブする形状に形成されている場合でも、本実施例の隠しスライドファスナー1を、その衣服の被着部分の形状に追従するようにカーブさせながら、その被着部分に安定して縫着できる。また、隠しスライドファスナー1が衣服の被着部分にカーブ状に湾曲した状態で取着されても、その隠しスライドファスナー1のファスナーテープ20に、皺及び波打ち状の凹凸部分が形成されることを抑制できる。このため、隠しスライドファスナー1が縫着された衣服を綺麗に仕上げることが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施例の形態に限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
例えば、上述した実施例では、図2に示したように、ファスナーテープ20のテープ二重部40を形成する第1ウエールW1~第5ウエールW5のうちの第2ウエールW2及び第3ウエールW3が鎖編糸62を備えないワイドウエールに形成されている。しかし本発明では、テープ二重部40を形成する第1ウエールW1~第5ウエールW5のうちの少なくとも1つが鎖編糸62を備えないワイドウエールに形成されていればよい。
例えば本発明では、第1ウエールW1~第5ウエールW5のうちの第2ウエールW2のみが鎖編糸62を備えないワイドウエールに形成されていてもよく、又は、第1ウエールW1~第5ウエールW5の全てが鎖編糸62を備えないワイドウエールに形成されていてもよい。この場合、テープ二重部40に形成されるワイドウエールの数を増やすことによって柔軟性を高めることができるが、テープ二重部40の強度の低下を招く可能性も考えられる。このため、ワイドウエールは、上述した実施例のように第1ウエールW1~第5ウエールW5のうちの第2ウエールW2と第3ウエールW3の2つに形成されることが好ましい。
更に、上述した実施例のファスナーテープ20は、トリコット編糸61、鎖編糸62、及び、シングルサテン編糸63の3種類の編糸によって形成されているが、本発明では、シングルサテン編糸63の代わりに緯挿入糸を用いてファスナーテープが形成されていてもよい。すなわち、本発明のファスナーテープは、トリコット編糸61、鎖編糸62、及び、緯挿入糸によって形成されていてもよい。この場合、上述したトリコット編糸61、鎖編糸62、及び、シングルサテン編糸63によって形成される実施例のファスナーテープ20は、シングルサテン編糸63がニードルループを形成して編み込まれているため、例えばシングルサテン編糸63に代えて緯挿入糸を用いて形成されるファスナーテープに比べて、ニードルループの変形を生じさせ易くなり、その結果、ファスナーテープ20の柔軟性をより高めることができる。
1 隠しスライドファスナー
10 ファスナーストリンガー
11 エレメント列
12 ファスナーエレメント
13 噛合頭部
14 上脚部
15 下脚部
16 連結部
18 ミシン糸(縫製糸)
20 ファスナーテープ
21 エレメント取付部
30 テープ主体部
40 テープ二重部
41 第1テープ部
42 第2テープ部
43 テープ折曲部
50 テープ外側縁部
61 トリコット編糸
61a 第1トリコット編糸
61b 第2トリコット編糸
62 鎖編糸
63 シングルサテン編糸
63a 第1シングルサテン編糸
63b 第2シングルサテン編糸
65 水溶性鎖編糸
W1~W14 第1ウエール~第14ウエール

Claims (8)

  1. 編成されたファスナーテープ(20)と、前記ファスナーテープ(20)のエレメント取付部(21)にミシン糸(18)で取り付けられる複数のファスナーエレメント(12)とを有し、前記ファスナーテープ(20)は、テープ主体部(30)と、前記テープ主体部(30)から幅方向に延びるとともに折り返されて形成されるテープ二重部(40)とを有し、前記テープ二重部(40)に前記エレメント取付部(21)が含まれる隠しスライドファスナー(1)用ファスナーストリンガー(10)であって、
    前記テープ主体部(30)を形成する各ウエールに、少なくとも鎖編糸(62)が含まれ、
    前記テープ二重部(40)を形成するウエールは、前記テープ主体部(30)を形成する前記ウエールの第1ウエール幅よりも大きな第2ウエール幅を備えた少なくとも1つのワイドウエールを有し、
    前記ワイドウエールは、鎖編糸のニードルループを備えずに形成されている
    ことを特徴とするファスナーストリンガー。
  2. 前記テープ二重部(40)における前記ワイドウエールと前記ワイドウエールに隣接する前記ウエールとの間に、前記ミシン糸(18)の少なくとも1つが刺通されている請求項1記載のファスナーストリンガー。
  3. 前記テープ二重部(40)は、前記テープ主体部(30)から幅方向に延びる第1テープ部(41)と、前記第1テープ部(41)から延びるとともにU字状に折り曲げられたテープ折曲部(43)と、前記テープ折曲部(43)から延びるとともに前記第1テープ部(41)に重ね合わされる第2テープ部(42)とを有し、
    少なくとも前記テープ折曲部(43)に、前記ワイドウエールが配されている
    請求項1又は2記載のファスナーストリンガー。
  4. 前記ファスナーテープ(20)の前記テープ二重部(40)側のテープ側縁に形成されるウエールを第1ウエール(W1)とし、前記第1ウエール(W1)から前記ファスナーテープ(20)における反対側のテープ側縁に向けてN番目に配されるウエールを第Nウエールとする場合、前記テープ二重部(40)は、前記第1ウエール(W1)から第5ウエール(W5)までの5つのウエールにより形成され、
    前記テープ二重部(40)を形成する第2ウエール(W2)及び第3ウエール(W3)は、前記ワイドウエールに形成され
    前記テープ二重部(40)の前記ワイドウエールは、トリコット編糸(61)のニードルループのみが形成される編目と、トリコット編糸(61)のニードルループとシングルサテン編糸(63)のニードルループとが交絡して形成される編目とにより形成されている
    請求項1~3のいずれかに記載のファスナーストリンガー。
  5. 前記テープ主体部(30)及び前記テープ二重部(40)に、トリコット編糸(61)及びシングルサテン編糸(63)が含まれ、
    前記トリコット編糸(61)は、第1トリコット編糸(61a)と、前記第1トリコット編糸(61a)よりも高い強度又は大きな繊度を備えるとともに前記テープ二重部(40)にニードルループが形成される第2トリコット編糸(61b)とを有し、
    前記シングルサテン編糸(63)は、第1シングルサテン編糸(63a)と、前記第1シングルサテン編糸(63a)よりも高い強度又は大きな繊度を備えるとともに前記テープ二重部(40)にニードルループが形成される第2シングルサテン編糸(63b)とを有する
    請求項1~4のいずれかに記載のファスナーストリンガー。
  6. 前記ファスナーテープ(20)の前記テープ二重部(40)とは反対側のテープ側縁に形成されるウエールの各コースに、編糸の1つのニードルループがそれぞれ形成されている
    請求項1~5のいずれかに記載のファスナーストリンガー。
  7. 編成されたファスナーテープ(20)と、前記ファスナーテープ(20)のエレメント取付部(21)にミシン糸(18)で取り付けられる複数のファスナーエレメント(12)とを有し、前記ファスナーテープ(20)は、テープ主体部(30)と、前記テープ主体部(30)から幅方向に延びるとともに折り返されて形成されるテープ二重部(40)とを有し、前記テープ二重部(40)に前記エレメント取付部(21)が含まれる隠しスライドファスナー(1)用ファスナーストリンガー(10)の製造方法であって、
    前記テープ主体部(30)を形成する各ウエールに少なくとも鎖編糸(62)が含まれ、前記テープ二重部(40)を形成するウエールの少なくとも1つに水溶性鎖編糸(65)が含まれる前記ファスナーテープ(20)を編成すること、
    ミシンを用いる縫製加工により、編成された前記ファスナーテープ(20)の前記エレメント取付部(21)に前記複数のファスナーエレメント(12)を縫着すること、及び、
    前記複数のファスナーエレメント(12)が縫着された前記ファスナーテープ(20)の前記水溶性鎖編糸(65)を溶融して除去することにより、前記テープ主体部(30)を形成する前記ウエールの第1ウエール幅よりも大きな第2ウエール幅を備えた少なくとも1つのワイドウエールを前記テープ二重部(40)に形成すること
    を含むことを特徴とするファスナーストリンガーの製造方法。
  8. 前記縫製加工において、前記テープ二重部(40)において前記水溶性鎖編糸(65)を含むウエールと、前記水溶性鎖編糸(65)を含む前記ウエールに隣接するウエールとの間に前記ミシン糸(18)の少なくとも1つを刺通させることにより、前記エレメント取付部(21)に前記複数のファスナーエレメント(12)を縫着すること
    を含む請求項7記載のファスナーストリンガーの製造方法。
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