JP7495895B2 - アンカー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば橋梁等に用いられるコンクリート構造物に鋼構造物等の固定対象物を固定するためのアンカー装置に関するものである。
一般に、例えば橋梁の橋脚や橋台等のコンクリート構造物に鋼構造物等の固定対象物を固定する場合は、コンクリート構造物にアンカーを埋設し、アンカーに取り付けられるベースプレートに固定対象物を固定するようにしている。
このようなアンカーの第1の従来例としては、予めコンクリート構造物にアンカーホールを設けておき、ベースプレートに締結されたアンカーボルトをアンカーホールに挿入し、アンカーホール内の隙間にモルタルを充填してアンカーボルトを埋設するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、第2の従来例としては、コンクリート打設時に先にアンカーボルトをコンクリート構造物に埋設しておき、アンカーボルト挿通用の孔を設けたベースプレートにアンカーボルトを締結するようにしたものが知られている。この場合、アンカーボルト挿通用の孔は、複数のアンカーボルトに対応する位置にそれぞれ設けられ、アンカーボルトの外径とほぼ同等の内径に形成される(例えば、特許文献2参照)。
更に、第3の従来例としては、第2の従来例と同様、コンクリート打設時に先にアンカーボルトをコンクリート構造物に埋設しておき、アンカーボルト挿通用の孔を設けたベースプレートにアンカーボルトを締結するようにしている。この場合、アンカーボルト挿通用の孔は、位置ずれを吸収するためにアンカーボルトの外径よりも拡大した内径に形成され、アンカーボルトに装着したワッシャをベースプレートに現場で溶接することにより、アンカーボルトをベースプレートに固定するようにしている(例えば、特許文献3参照)。
特開2013-213333号公報 特許第5907447号公報 特開2008-13912号公報
ところで、前記第1乃至第3の従来例では、コンクリート構造物に埋設されたアンカーボルトに、アンカーボルトの軸方向の引張力(引抜力)のみならず、アンカーボルトの径方向のせん断力が固定対象物から加わるため、このような荷重に対する強度を確保するためにアンカーボルトの太径化及び本数の増加を来たし、その分だけベースプレートが大型化するという問題点があった。特に、鉄筋が高密度に配置されるコンクリート構造物では、アンカーボルトの太径化及び本数の増加を来すと、鉄筋との干渉によりアンカーボルトの配置が困難になるという問題点があった。
また、第2の従来例では、予め埋設されるアンカーボルトの据付位置の誤差をベースプレート側で吸収することができないため、据付精度が低いと各アンカーボルトにせん断力が均等に分散されなくなるという問題点があった。
更に、第3の従来例では、溶接前のワッシャによってアンカーボルトの据付位置の誤差を吸収することができるが、ワッシャを現場溶接する必要があるため、狭小部での溶接作業が困難になるとともに、溶接スペースを確保するためにアンカーボルトの間隔を大きくすると、ベースプレートが大型化するという問題点があった。
また、ベースプレートにずれ止め用のスタッドを設けることにより、アンカーボルトに加わるせん断力をスタッドによって軽減するようにしたものも知られている。この場合、スタッドにもアンカーボルトの軸方向の引抜力が加わることになるが、スタッドはせん断力のみに対する抵抗部材として設計されるのが通常であるため、引抜力に対するスタッドの強度を十分に確保することができないという問題点があった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アンカーボルトへの引抜力がずれ止め部材に加わることがなく、且つずれ止め部材へのせん断力がアンカーボルトに加わることのないアンカー装置を提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、コンクリート構造物に固定対象物を固定するためのアンカー装置において、前記コンクリート構造物の表面に厚さ方向一方の面を向けて配置される第1のベースプレートと、第1のベースプレートの厚さ方向一方の面に設けられ、コンクリート構造物に埋設されるずれ止め部材と、第1のベースプレートの厚さ方向他方の面の上に厚さ方向一方の面を向けて配置され、厚さ方向他方の面に前記固定対象物が固定される第2のベースプレートと、コンクリート構造物に埋設されるアンカー部材と、一端側を第2のベースプレートの厚さ方向他方の面側に係止し、他端側をアンカー部材に連結されたアンカーボルトとを備え、第1及び第2のベースプレートに、アンカーボルトの他端側が軸方向に挿通し且つ軸方向に直交する方向への移動を許容可能な貫通部を設け、第1のベースプレートと第2のベースプレートとを互いにアンカーボルトの軸方向への移動が許容され且つアンカーボルトの軸方向に直交する方向への移動が規制されるように係合している。
これにより、固定対象物からアンカーボルトに軸方向への引抜力(引張力)が生ずると、引抜力は、第2のベースプレート、アンカーボルト及びアンカー部材へと順次伝達され、アンカー部材の支圧力が引抜力に対する抵抗力となる。その際、第2のベースプレートは第1のベースプレートにアンカーボルトの軸方向に移動可能に係合していることから、アンカーボルトへの引抜力が第1のベースプレートには伝達されず、第1のベースプレートのずれ止め部材に引抜力が加わることがない。また、固定対象物からアンカーボルトの軸方向に直交する方向へのせん断力が生ずると、せん断力は、第2のベースプレート、第1のベースプレート及びずれ止め部材へと順次伝達され、ずれ止め部材の支圧力がせん断力に対する抵抗力となる。その際、第2のベースプレートは第1のベースプレートにアンカーボルトの軸方向に直交する方向への移動を規制されるように係合していることから、第2のベースプレートから第1のベースプレートにせん断力が確実に伝達される。また、アンカーボルトは第1及び第2のベースプレートの貫通部をアンカーボルトの軸方向に直交する方向に移動可能に挿通しているので、第2のベースプレートからのせん断力がアンカーボルトに加わることがない。
本発明によれば、アンカーボルトへの引抜力がスタッドに加わることがなく、ずれ止め部材のせん断力がアンカーボルトに加わることがないので、固定対象物側から加わる引抜力とせん断力との伝達経路をアンカーボルトとずれ止め部材に確実に分離することができる。これにより、ずれ止め部材をせん断力のみに抵抗する部材として過不足のない適正な強度に設計することができ、せん断力に対するずれ止め部材の強度を十分に確保することができる。また、アンカーボルトの細径化及び本数の削減を図ることができるので、第1及び第2のベースプレートを小型化することができる。
本発明の一実施形態を示すアンカー装置の正面図 アンカー装置の平面図 A-A線矢視方向断面図 アンカー装置の側面図 B-B線矢視方向断面図 アンカー装置の一部分解側面図 アンカー装置の一部分解斜視図 アンカー装置の設置工程を示す正面図 アンカー装置の設置状態を示す正面図 アンカーボルトへの引抜力の伝達状態を示す概略正面図 スタッドへのせん断力の伝達状態を示す概略正面図 凹部の変形例を示す要部正面断面図 係合部材の変形例を示す平面図 アンカー装置の他の設置例を示す正面図
図1乃至図11は本発明の一実施形態を示すもので、コンクリート構造物に固定対象物を固定するためのアンカー装置を示すものである。
このアンカー装置は、コンクリート構造物1の表面に厚さ方向一方の面(下面)を向けて配置される第1のベースプレート10と、第1のベースプレート10の厚さ方向他方の面(上面)の上に厚さ方向一方の面(下面)を向けて配置され、厚さ方向他方の面(上面)に固定対象物が固定される第2のベースプレート20と、コンクリート構造物1に埋設されるアンカー部材30と、一端側(上端側)を第2のベースプレート20の上面側に係止し、他端側(下端側)をアンカー部材30に連結されたアンカーボルト40と、第1のベースプレート10と第2のベースプレート20とを係合する円板状の係合部材50とを備えている。
第1のベースプレート10は、長方形状をなす平板状の鋼材からなり、その厚さ方向がコンクリート構造物1の表面と直交する方向となるように配置される。第1のベースプレート10には厚さ方向に貫通する貫通部としての複数の貫通孔11が設けられ、各貫通孔11には各アンカーボルト40がそれぞれ第1のベースプレート10の厚さ方向に挿通される。各貫通孔11は、アンカーボルト40の外径よりも大きい内径(例えば、アンカーボルト40の外径の2~3倍)を有し、第1のベースプレート10の前後方向両端側にそれぞれ一列ずつ設けられるとともに、第1のベースプレート10の長辺に沿って等間隔で配置されている。第1のベースプレート10の上面には係合部材50の下部側が係合する円形の凹部12が設けられ、凹部12は第1のベースプレート10の厚さ寸法よりも小さい深さに形成されている。
また、第1のベースプレート10の下面には、ずれ止め部材としての複数のスタッド13が設けられている。各スタッド13は第1のベースプレート10の厚さ方向に延びる棒状の鋼材からなり、その上端を溶接等によって第1のベースプレート10の下面に接合され、その下端部は径方向に拡大するように形成されている。各スタッド13は、第1のベースプレート10の幅方向両端側にそれぞれ一列ずつ設けられ、第1のベースプレート10の短辺に沿って等間隔で配置されるとともに、第1のベースプレート10の前後方向一端側の貫通孔11の列と前後方向他端側の貫通孔11の列との間に千鳥状に配置されている。また、第1のベースプレート10の周縁側には、仮固定部材としての仮固定用ボルト14が螺合する複数のネジ孔15が設けられている。
第2のベースプレート20は、長方形状をなす平板状の鋼材からなり、その厚さ方向がコンクリート構造物1の表面と直交する方向となるように配置される。第2のベースプレート20は、前後方向の寸法と幅方向の寸法が第1のベースプレート10と等しくなるように形成され、その長辺と短辺が第1のベースプレート10の長辺と短辺の位置に一致するように第1のベースプレート10の上面に載置されている。第2のベースプレート20には厚さ方向に貫通する貫通部としての複数の貫通孔21が設けられ、各貫通孔21には各アンカーボルト40がそれぞれ第2のベースプレート20の厚さ方向に挿通される。各貫通孔21は、アンカーボルト40の外径よりも大きい内径(第1のベースプレート10の貫通孔11と等しい内径)を有し、第1のベースプレート10の各貫通孔11と同じ位置に同じ数だけ設けられている。また、第2のベースプレート20の下面には係合部材50の上部側が係合する円形の凹部22が設けられ、凹部22は第2のベースプレート20の厚さ寸法よりも小さい深さに形成されている。
また、第2のベースプレート20の上面には、図示しない固定対象物が固定される板状の固定部材23が接合され、固定部材23は厚さ方向が前後方向となるように互いに間隔をおいて前後に箇所に設けられている。各固定部材23の厚さ方向一方の面には第2のベースプレート20の上面に固定された複数の板状のリブ24が接合され、各リブ24は貫通孔21が間に位置するように互いに第2のベースプレート20の幅方向に間隔をおいて配置されている。尚、固定部材23は、固定対象物の大きさや荷重等に応じた形状となるため、本実施形態では図示を簡略化している。また、第2のベースプレート20の周縁側には、仮固定用ボルト14を挿通する複数のボルト挿通孔25が設けられ、各ボルト挿通孔25は第1のベースプレート10のネジ孔15と同じ位置に同じ数だけ設けられている。
アンカー部材30は、各ベースプレート10,20の幅方向に延びる複数の溝形鋼からなり、前後方向に二つずつ互いに間隔をおいて配置されている。各アンカー部材30は前後方向に延びる連結部材31によって連結されており、連結部材31は各アンカー部材30の上面側及び下面側にそれぞれ二箇所ずつ設けられ、溶接等によって各アンカー部材30に接合されている。この場合、前方に配置される一対のアンカー部材30間と、後方に配置される一対のアンカー部材30間には、それぞれアンカーボルト40を上下方向に挿通可能な隙間が設けられている。
アンカーボルト40は、丸棒状の鋼材からなり、その両端側にはそれぞれネジ部41が形成されている。アンカーボルト40の上端側は、第1及び第2のベースプレート10,20の貫通孔11,21を挿通するとともに、第2のベースプレート20の上方に配置された第1の係止部材としての第1のベアリングプレート42と、第1のベースプレート10の下方に配置された第2の係止部材としての第2のベアリングプレート43及び弾性部材44としての弾性プレート44とを挿通している。第1のベアリングプレート42はアンカーボルト40に螺合するナット45と第2のベースプレート20の上面との間に配置され、第2のベースプレート20の上面に係止している。第2のベアリングプレート43はアンカーボルト40に螺合する他のナット45と第1のベースプレート10の下面との間に配置され、第1のベースプレート10の下面側に弾性プレート44を介して係止している。第1のベアリングプレート42は貫通孔21よりも大きい四角形状の鋼板からなり、アンカーボルト40を挿通する孔42aを有している。第2のベアリングプレート43は貫通孔11よりも大きい円板状の鋼板からなり、アンカーボルト40を挿通する孔43aを有している。弾性プレート44はゴム等の弾性変形可能な部材によって形成されるとともに、貫通孔11よりも大きく且つ第2のベアリングプレート43と同等の外径を有する円板状の鋼板からなり、アンカーボルト40を挿通する孔44aを有している。
アンカーボルト40の下端側は、互いに隣り合うアンカー部材30の間を挿通するとともに、アンカー部材30の上方に配置された第3のベアリングプレート46と、アンカー部材30の下方に配置された第4のベアリングプレート47とを挿通している。また、アンカーボルト40の下端側は、ネジ部41に螺合する複数のナット48で締結されることにより、第3及び第4のベアリングプレート46,47とともにアンカー部材30に固定されている。第3及び第4のベアリングプレート46,47は互いに隣り合うアンカー部材30の間隔よりも大きい四角形状の鋼板からなり、第4のベアリングプレート47は第3のベアリングプレート46よりも大きい厚さ寸法を有している。
係合部材50は、円板状の鋼材からなり、第1のベースプレート10と第2のベースプレート20との対向面間に配置されている。係合部材50は第1及び第2のベースプレート10,20の凹部11,12の内径寸法と同等の外径寸法を有し、各凹部11,12の深さ寸法を合わせた寸法と同等の厚さ寸法を有している。係合部材50は、その上部側が第2のベースプレート20の凹部22に係合し、下部側が第1のベースプレート10の凹部12に係合している。これにより、第1のベースプレート10と第2のベースプレート20は、係合部材50により、互いにアンカーボルト40の軸方向への移動が許容され且つアンカーボルト40の軸方向に直交する方向への移動が規制されるように係合している。
以上のように構成されたアンカー装置においては、まず、図8に示すように、下端側にアンカー部材30が固定された各アンカーボルト40をコンクリート構造物1に埋設する。その際、コンクリート構造物1には、各アンカーボルト40の上端側と各スタッド13が配置される部分を箱抜きすることにより、コンクリートの存在しない空間をなす箱抜き部1aを形成しておく。
次に、各仮固定用ボルト14によって互いに仮固定された第1及び第2のベースプレート10,20を、第1のベアリングプレート42、第2のベアリングプレート43、弾性プレート44及び各ナット45によって各アンカーボルト40の上端側に固定する。その際、第1のベースプレート10の下面と第1のベアリングプレート42との間には弾性プレート44が介在しているので、弾性プレート44の弾性変形によりアンカーボルト40の軸方向一方(上方)への移動と軸方向に直行する方向への移動が許容される。
この後、コンクリート構造物1の箱抜き部1aに後打ちコンクリート(例えば無収縮モルタル)を打設し、図9に示すように各スタッド13をコンクリート構造物1に埋設するとともに、各仮固定用ボルト14を取り外す。その際、第1のベースプレート10の貫通孔11は弾性プレート44によって閉鎖されているので、後打ちコンクリートが貫通孔11内に流入することがない。
ここで、前記アンカー装置における荷重の伝達経路について、図10及び図11に基づいて説明する。尚、図10及び図11における着色部分は荷重の伝達経路を示すものである。
まず、図10に示すように、固定対象物(図示せず)から固定部材23にアンカーボルト40の軸方向上方への引抜力(引張力)が生ずると、引抜力は、第2のベースプレート20、第1のベアリングプレート42、アンカーボルト40及びアンカー部材30へと順次伝達され、アンカー部材30の支圧力が引抜力に対する抵抗力となる。その際、第2のベースプレート20は第1のベースプレート10に係合部材50を介してアンカーボルト40の軸方向に移動可能に係合しているので、アンカーボルト40への引抜力が第1のベースプレート10には伝達されず、第1のベースプレート10の各スタッド13に引抜力が加わることがない。また、アンカーボルト40への引抜力は第2のベアリングプレート43にも加わるが、第2のベアリングプレート43と第1のベースプレート10との間には弾性プレート44が介在しているため、第2のベアリングプレート43から第1のベースプレート10に伝達される引抜力は弾性プレート44の弾性変形によって吸収される。
次に、図11に示すように、固定対象物(図示せず)から固定部材23にアンカーボルト40の軸方向に直交する方向へのせん断力が生ずると、せん断力は、第2のベースプレート20、係合部材50、第1のベースプレート10及びスタッド13へと順次伝達され、各スタッド13の支圧力がせん断力に対する抵抗力となる。その際、第2のベースプレート20は、係合部材50を介して第1のベースプレート10にアンカーボルト40の軸方向に直交する方向への移動を規制されるように係合していることから、第2のベースプレート20から第1のベースプレート10にせん断力が確実に伝達される。また、アンカーボルト40は第1及び第2のベースプレート10,20の貫通孔11,21をアンカーボルト40の軸方向に直交する方向(貫通孔11,21の径方向)に移動可能に挿通しているので、第2のベースプレート20からのせん断力がアンカーボルト40に加わることがない。
このように、本実施形態によれば、アンカーボルト40の軸方向に直交する方向に生ずるせん断力をスタッド13に伝達する第1のベースプレート10と、アンカーボルト40の軸方向に生ずる引抜力をアンカーボルト40に伝達する第2のベースプレート20とを、互いにアンカーボルト40の軸方向への移動が許容され且つアンカーボルト40の軸方向に直交する方向への移動が規制されるように係合するとともに、アンカーボルト40を第1及び第2のベースプレート10,20の貫通孔11,21にアンカーボルト40の軸方向に直交する方向に移動可能に挿通したので、固定部材23から加わる引抜力とせん断力とをアンカーボルト40とスタッド13に確実に分離することができる。
これにより、アンカーボルト40への引抜力がスタッド13に加わることがないので、スタッド13をせん断力のみに抵抗する部材として過不足のない適正な強度に設計することができ、せん断力に対するスタッド13の強度を十分に確保することができる。
また、スタッド13へのせん断力がアンカーボルト40に加わることがないので、アンカーボルト40の細径化及び本数の削減を図ることができ、第1及び第2のベースプレート10,20を小型化することができる。
更に、アンカーボルト40は第1及び第2のベースプレート10,20の貫通孔11,21にアンカーボルト40の軸方向に直交する方向に移動可能に挿通されているので、コンクリート構造物1に埋設されたアンカーボルト40に第1及び第2のベースプレート10,20にアンカーボルト40を締結する際、アンカーボルト40の据付位置の誤差を吸収することができるとともに、従来のような現場でのワッシャの溶接作業も必要としないので、現場での設置作業を容易に行うことができる。
また、第1及び第2のベースプレート10,20間に配置され、第1及び第2のベースプレート10,20の対向面にそれぞれ設けた凹部12,22に、アンカーボルト40の軸方向への移動が許容され且つアンカーボルト40の軸方向に直交する方向への移動が規制されるように係合する係合部材50を備えているので、第1及び第2のベースプレート10,20におけるせん断力の伝達とアンカーボルト40の引抜力の遮断とを係合部材50によって確実に行うことができる。
更に、アンカーボルト40に螺合するナット45と第2のベースプレート20の上面との間に配置され、第2のベースプレート20の上面側に係止する第1のベアリングプレート42と、アンカーボルト40に螺合する他のナット45と第1のベースプレート10の下面との間に配置され、第1のベースプレート10の下面側に弾性プレート44を介して係止する第2のベアリングプレート43とを備えているので、アンカーボルト40から第1のベースプレート10の下面側に伝達される引抜力を弾性プレート44の弾性変形によって吸収することができ、アンカーボルト40からスタッド13への引抜力の伝達を確実に遮断することができる。
また、第1のベースプレート10の貫通孔11を弾性プレート44によって閉鎖するようにしているので、後打ちコンクリートが貫通孔11内に流入することがないという利点がある。
更に、第1のベースプレート10と第2のベースプレート20とを仮固定用ボルト14によって互いに仮固定するようにしたので、コンクリート構造物1への設置が完了するまで第1及び第2のベースプレート10,20を仮固定しておくことができ、アンカーボルト40への第1及び第2のベースプレート10,20の固定作業を容易に行うことができる。
尚、前記実施形態では、第1及び第2のベースプレート10,20の凹部12,22を切削加工により形成することができるが、図12に示すように、係止部材50と直径の等しい貫通孔を第1及び第2のベースプレート10,20に設けるとともに、係止部材50と直径の等しい円板状部材12a,22aを溶接等により貫通孔内に接合することにより凹部12,22を形成するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、第1及び第2のベースプレート10,20を一つの係止部材50で係合するようにしたものを示したが、図13に示すように第1及び第2のベースプレート10,20が横長の場合は、第1及び第2のベースプレート10,20を複数の係止部材50で係合するようにしてもよい。
更に、前記実施形態では、ずれ止め部材としての複数のスタッド13を設けたものを示したが、ずれ止め部材として周知のアンカーボックスを用いることも可能である。
また、本発明のアンカー装置は、図14に示すようにコンクリート構造物1の傾斜面に設置する場合にも適用することができる。この場合、アンカー装置はコンクリート構造物1の傾斜面に沿って斜めに設置され、第2のベースプレート20の固定部材23には、例えば垂直方向に延びる柱状の固定対象物60が固定される。
尚、前記実施形態は本発明の一実施例であり、本発明は前記実施形態に記載されたものに限定されない。
1…コンクリート構造物、10…第1のベースプレート、11…貫通孔、12…凹部、13…スタッド、14…仮固定用ボルト、20…第2のベースプレート、21…貫通孔、22…凹部、23…固定部材、30…アンカー部材、40…アンカーボルト、42…第1のベアリングプレート、43…第2のベアリングプレート、44…弾性プレート、45…ナット、50…係合部材、60…固定対象物。

Claims (6)

  1. コンクリート構造物に固定対象物を固定するためのアンカー装置において、
    前記コンクリート構造物の表面に厚さ方向一方の面を向けて配置される第1のベースプレートと、
    第1のベースプレートの厚さ方向一方の面に設けられ、コンクリート構造物に埋設されるずれ止め部材と、
    第1のベースプレートの厚さ方向他方の面の上に厚さ方向一方の面を向けて配置され、厚さ方向他方の面に前記固定対象物が固定される第2のベースプレートと、
    コンクリート構造物に埋設されるアンカー部材と、
    一端側を第2のベースプレートの厚さ方向他方の面側に係止し、他端側をアンカー部材に連結されたアンカーボルトとを備え、
    第1及び第2のベースプレートに、アンカーボルトの他端側が軸方向に挿通し且つ軸方向に直交する方向への移動を許容可能な貫通部を設け、
    第1のベースプレートと第2のベースプレートとを互いにアンカーボルトの軸方向への移動が許容され且つアンカーボルトの軸方向に直交する方向への移動が規制されるように係合した
    ことを特徴とするアンカー装置。
  2. 前記第1及び第2のベースプレート間に配置され、第1及び第2のベースプレートの対向面にそれぞれ設けた凹部に、アンカーボルトの軸方向への移動が許容され且つアンカーボルトの軸方向に直交する方向への移動が規制されるように係合する係合部材を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載のアンカー装置。
  3. アンカーボルトに螺合するナットと第2のベースプレートの厚さ方向他方の面との間に配置され、第2のベースプレートの厚さ方向他方の面側に係止する第1の係止部材と、
    アンカーボルトに螺合する他のナットと第1のベースプレートの厚さ一方の面との間に配置され、第1のベースプレートの厚さ一方の面側に弾性部材を介して係止する第2の係止部材とを備えた
    ことを特徴とする請求項1または2記載のアンカー装置。
  4. 前記弾性部材は第1のベースプレートの貫通部を閉鎖するように形成されている
    ことを特徴とする請求項3記載のアンカー装置。
  5. 前記第1のベースプレートと第2のベースプレートとを互いに仮固定可能な仮固定部材を備えた
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のアンカー装置。
  6. 前記ずれ止めは、互いにアンカーボルトの軸方向に直交する方向に間隔をおいて配置された複数のスタッドからなる
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のアンカー装置。
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JP2002030672A (ja) 2000-07-14 2002-01-31 Shimizu Corp 基礎杭と柱脚部との接合構造およびその構築方法
JP2003227173A (ja) 2002-02-05 2003-08-15 Nippon Steel Corp 建造物の柱脚支持構造およびその施工方法
JP2004225411A (ja) 2003-01-24 2004-08-12 Topy Ind Ltd 橋脚などのアンカーボルト装置
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